入試動向分析

2025年 学校推薦型・総合型選抜結果レポ―ト【2025年5月】

2025(令和7)年度

2025年度の学校推薦型選抜と総合型選抜の実施結果を調査・集計した。受験生数の増加や強い現役志向を背景に、国公立大・私立大ともに人気が高まった。2025年入試の前半戦として注目された「年内入試」の実施結果をレポートする。

 

《全体解説》
国公立大は志願者8%増、私立大は17%増!
強烈な現役志向が「年内入試」人気を加速

 

国公立大:共通テスト免除
総合型の募集枠拡大が追い風に

『螢雪時代』では、国公立大の共通テストを課さない(以下、共テ免除)学校推薦型選抜と総合型選抜(以下、「選抜」を略)について、2025年度(以下、25年。他年度も同様)入試結果の調査を行った。24年12月25日現在(調査締切日)の、共テ免除方式の両選抜合計の集計データ(83校:志願者数=約2万5千人)では、前年比で「志願者8%増、合格者6%増」、倍率(志願者数÷合格者数。以下も同様)は2.3倍→2.3倍(24年→25年)とほぼ同じだった(グラフ①)。

 

 

そのうち、国立大が「志願者5%増、合格者6%増」で倍率は2.5倍と前年並み、公立大が「志願者11%増、合格者7%増」で倍率は2.1倍→2.2倍とわずかにアップした。

志願者が増えた基本的な要因として、大学受験生数の増加(約3%増。旺文社推定)と、「現役合格が必須」の意識の強まりがある。さらに、次の3点が主な要因と見られる。

(1)理工系・情報系の女子枠導入など、共テ免除方式の実施学部が増えた(学校推薦型334→356、総合型260→410)。特に、学校長の推薦を必要としない総合型の大幅増は追い風となった。

(2)共テ課す方式も含め、募集人員が増えた(学校推薦型3%増、総合型17%増)。

(3)新課程初年度の共テへの不安感から、できれば「共テ以外の学力や実績を強みとして、共テ前に合格を確保したい」意識が働いた。

総合型に力を入れる東北大が志願者7%増。また、一般後期を募集停止した京都工芸繊維大(30%増)、女子枠を導入した茨城大(12%増)・滋賀大(48%増)の大幅増が目立った。

 

【学部系統別】
文・人文、経済、理工、看護・医療が大幅増。文理ともに幅広く志願者が増加する中で、法はほぼ前年並みに留まった。

 

私立大:学校推薦型・総合型
首都圏は学科試験方式の影響大

私立大の学校推薦型(指定校制を含む)と総合型についての、24年12月25日現在(調査締切日)の集計データ(115校:志願者数=約33万6千人)では、前年比で「志願者17%増、合格者7%増」、倍率は2.2倍→2.4倍とアップした(グラフ②)。最終的にここまで増えないにせよ、近年では突出した人気ぶりだ。

 

 

国公立大と同じく受験生数の増加と、強烈な現役志向に加え、次の3点が要因と見られる。

 

(1)全体に、「専願→併願可」への変更、複数方式の同時併願制度の導入、英語外部検定利用の拡大が目立ち、見かけの志願者数の増加要因となった。

(2)「小論文・面接中心、専願」が主流だった首都圏で、京阪神に多い「学科試験中心、併願可」の方式の導入が相次ぎ、首都圏の競争激化につながった。

(3)国の「修学支援新制度」の拡充で、学費減免や給付型奨学金の対象が少しずつ広がり、従来の短大・専門学校の志望者層が、私立大の「年内入試」に目を向けた。

 

【地区別】
首都圏では、慶應義塾大(16%増)、立教大(16%増)、早稲田大(25%増)など、難関校でも大幅増が目立った。

志願者の約76%を占める京阪神地区では、京都産業大(55%増)、龍谷大(16%増)、近畿大(9%増)、甲南大(21%増)と、「産近甲龍」がそろって志願者大幅増、やや難化した模様だ。

【学部系統別】
就職事情の好転などから、文系は軒並み大幅増。理工系・農学系も高人気だが、医、薬、生活科学は小幅な増加に留まった。


この記事は「螢雪時代(2025年5月号)」より転載いたしました。

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