入試動向分析

大予測!2025年一般選抜の難易変動はこうなる!?【2024年10月】

2024(令和6)年度

《全体予測》
国公立大:基本は初志貫徹も、理工系定員増や新課程科目の一部が影響か!?
私立大:難関校へのチャレンジ志向、中堅校の「年内入試」人気で二極化!?

  

新課程初年度となる2025年入試は、受験生数が微増(『螢雪時代』編集部推定)も、負担増で「共通テスト離れ」が見込まれ、学校推薦型・総合型選抜の拡大もあり、一般選抜の志願者数は、国公立大が約1%増、私立大が約1%減と予測される。
チャレンジ志向が強まる一方、現役志向と家計不安から「年内入試」人気も高まり、全体に二極化が進みそう。
学部系統別では2024年と同様、文・国際・経済など文系人気が高まる一方、薬・看護・医療は人気低下、情報系は新設・定員増の過多で易化の見込みなど、弱めの「文高理低」が続きそうだ。

  

【共通テスト】
共通テストの志願者数はほぼ前年並みの49万人か

ここでは、高校・予備校の進路指導のベテラン先生方へのアンケートを参考に、さまざまな変動要因を総合し、2025年(以下、25年。他年度も同様)一般選抜の動向を予測する。

『螢雪時代』編集部推定によると、24年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が64万7千人と、23年より2.5%減少。25年は高卒者数が増加に転じる(2.3%増)が、大学現役志願率はほぼ前年並で、大学受験生数は65万7千人(前年比1.5%増加)と見られる(図表1)。

 


 

それでは、大学入学共通テスト(以下、共テ)の出願者数はどうなるか。新課程初年度の25年は、初登場の教科・科目以外に仕組み自体の変更は少なく、既卒者対象の経過措置(旧課程科目の出題)もあり、過去の課程の切り替わり時と同様、出題レベルの大きな変動はなさそう。

ただし、情報Ⅰの追加、国語の出題増、数学の出題範囲増などの負担増が敬遠され、私立大専願者を中心に「共テ離れ」が進みそうだ。また、強まる現役志向、物価上昇などによる家計不安の影響もあり、学校推薦型選抜(以下、推薦型)や総合型選抜(以下、総合型)で、早期に合格を確保したい受験生の増加が見込まれることも、「共テ離れ」に結びつく。

以上から、25年共テの出願者数は、前年とほぼ同じ49万人前後と予測する。

  

【国公立大学】
理工系の定員増や女子枠拡大、後期縮小・2段階選抜が影響か

25年入試は、現役生は基本的に「初志貫徹~チャレンジ志向」と見られる。既卒者のほうが、経過措置が今年度限りのため安全志向が強そう。

アンケート回答では、国公立大志向について、「変わらない」「やや強まる」がほぼ半数で拮抗した昨年と異なり、今年は「変わらない」が大多数を占めた。

●新課程科目は局所的に影響

新課程でも、共テも2次も新登場の教科・科目以外に基本的な仕組みは変わらない。志望動向に影響する可能性があるのは次の2つだろう。

①共テの情報Ⅰ
共テの情報Ⅰは、国立大はほぼ9割が必須だが、公立大は「選択」が約3割、「課さない」も約2割を占める。また、必須の場合も配点が10%(共テの素点での比率)以下のケースが大多数を占め、北海道大・徳島大など必須だが点数化しない大学もあるが、 10%を超えるケースも理系(特に理工・情報科学・医)に見られる。基本的に配点が低いので過度に心配する必要はないが、共テの比重が大きい中堅国公立大の志望者は少しでも配点比率の低い大学・学部を選ぶ可能性がある。逆に、配点比率が15%を超える場合は、相応の得点が必要とされるだろう。例えば、一橋大はソーシャル・データサイエンスの前期(16%)・後期(18%)のみならず、商・経済の前期(17%)、経済の後期(15%)と、難関大の文系学部ながら比率の高さが際立つ。その他、配点比率が15%以上の主な例は次の通り。

愛知教育大(後期:教育支援専門職以外)、名古屋工業大(後期)、神戸大‐システム情報(前期)、広島大‐情報科学(後期)、三条市立大‐工(前・中期)、福井県立大‐恐竜・生物資源(前・後期)、広島市立大‐情報科学(前・後期)

②共テの数学ⅡBC
共テの数学②では、数学Cが出題範囲に加わった。選択問題では、数学Bの「数列」「統計的な推測」、数学Cの「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」の4題から3題を選択する必要があり、文系は主に「統計的な推測」、理系は主に「平面上の曲線と複素数平面」を選択することになる。いずれにしても負担増となるので、数学1科目選択(数学ⅡBCを受けなくて済む)の大学・学部は、数学に自信のない文系や看護系の志望者の人気を集めそう。特に、公立の看護・医療系に多く見られるので要注目だ。

 

●理工系で定員増や女子枠導入が進む

【新増設・改組】
25年の主な大学・学部等の新増設・改組を図表2に示した。東京医科歯科大と東京工業大が統合し、10月から「東京科学大」として発足。また、昨年に続き理系の学部等の新設が目立つ。特に神戸大‐システム情報、福井県立大‐恐竜は、地区を越えて注目度が高い。既存の理系学部の再編も目立ち、岩手大‐理工が3→1学科、島根大‐総合理工が7→1学科、宮崎大‐農が6→2学科に統合する。

 

 

【定員増】
国立大の理工系学部で定員増が相次ぐ。 25年は、福島大‐理工学群(40人増)、横浜国立大‐理工(23人増)、岐阜大‐工(20人増)、名古屋大‐工(20人増)、三重大‐工(30人増)、滋賀大‐データサイエンス(50人増)、大阪大‐工(33人増)・基礎工(27人増)、和歌山大‐システム工(30人増)、広島大‐情報科学(30人増)などで定員増が行われる。

一方で、秋田大‐教育文化(20人減)、和歌山大‐教育(30人減)、山口大‐教育(25人減)など、教員養成系の定員減が目立つ。

【女子枠】
学生の多様性の確保を目的として、男子比率が高い理工系学部への「女子枠」設置が続いている。25年は国立15大学(室蘭工業大・秋田大・福島大・茨城大・千葉大・新潟大・福井大・三重大・滋賀大・神戸大・和歌山大・香川大・佐賀大・長崎大・宮崎大)の推薦型・総合型で新設。東京科学大・名古屋大・島根大でも実施学部等を増やす。

こうした定員増減や女子枠の拡大は、一般選抜の募集人員の増減につながる場合が多いので要注意だ。

 

●2段階選抜の引き締めが目立つ

一般選抜の変更を見てみよう。

【日程変更】
京都工芸繊維大が後期を募集停止。京都大‐法、茨城県立医療大、沖縄県立看護大も後期を募集停止。一方、山陽小野田市立山口東京理科大‐薬で前期、和歌山大‐観光で後期を新規実施する。

【共テ】
富山大‐教育の後期で4→8科目に増加。一方、新潟県立看護大の前・後期で数学を2→1科目に軽減する。

【2次】
宇都宮大‐農の前期で英語重視の1→2科目に増加。和歌山大‐経済・観光の前期で総合問題を学科2科目に変更。熊本大‐薬の前期で英語・面接を追加。東京都立大では5学部の前期で英語を追加。静岡県立大‐経営情報の前期で1→2科目に増加。

一方で、一橋大は全学の前期で外国語から聞き取り・書き取り試験を除外。名古屋大‐医(医)・理の前期で国語を除外。島根大‐教育の前・後期で調査書点数化を除外。神戸市外国語大・高知工科大では全学の後期で2次を取りやめる。

【2段階選抜】
九州大‐薬(臨床薬)、長崎大‐薬(薬)、熊本大‐薬、山形県立保健医療大の各前期で新規実施。新設の神戸大‐システム情報の前・後期でも実施する。また、旭川医科大の前・後期、東京大の前期(理科三類以外)で予告倍率を引き締め、大阪公立大‐医(医)の前期で選抜基準に倍率を追加(従来は得点)、奈良県立医科大‐医(医)の前期では得点を追加(従来は倍率)する。一方、横浜国立大は全学で廃止する。

【学費等の増減】
東京都立大で生計維持者が都内に在住する学生の授業料全額免除を導入。神奈川県立保健福祉大でも入学金を半額に減額。一方で、東京大が学費を増額する。

以上の点も踏まえると、25年国公立大一般選抜の志願者は1%程度の増加が見込まれる。

 

【私立大学】
難関校へのチャレンジ志向と推薦・総合型人気に二極化

私立大志向についての先生方のアンケート回答は、国公立大と異なり、24年と同様に「やや強まる」「変わらない」に集約された。ただし「やや強まる」は推薦型・総合型人気の反映とも言える。

ここ数年の私立大一般選抜の易化傾向から、難関~準難関校への「チャレンジ志向」が続く一方、中堅校を中心に推薦型・総合型で「早く確実に」決める傾向が強まり、一般選抜の受験者層が薄くなりそう。このため、志願状況の二極化が進みそうだ。

24年入試では、大都市圏の難関~準難関校で、実質倍率(受験者数÷合格者数。以下、倍率)の倍率アップダウンが相半ばした(図表3)。25年入試も同じ傾向が続くものと見られる。

 

 

24年は弱いながら「後がない」意識が見られ、チ ャレンジ校へ目配りしつつ、合格確保校も押さえる「十字型」の出願パターンが見られた。25年は合格確保校を「学科試験重視、併願可」の推薦型・総合型で押さえるケースが増える可能性があり、一般選抜自体は「凸型」の出願パターンになりそうだ。

●早稲田大で「共テ併用化」が進む

一般選抜の変更で、共テ利用方式における「情報必須の方式」「多科目型」の導入が目立つ。

【共テ併用化】
早稲田大‐社会科学・人間科学が独自入試を、独自入試と共テの成績を組み合わせる「共テ併用方式」に全面的に移行する。

【情報必須の方式】
私立大の共テ利用方式では、情報は「選択」か「課さない」がほとんどだが、情報を必須とする方式の導入もある。立命館大では7学部の共テ併用方式で情報活用型を、関西学院大の共テ利用1月出願でも情報必須の8科目型を新規実施。獨協大・東京都市大も情報必須の新方式を導入する。

【多科目型の導入】
青山学院大‐国際政治経済の共テ利用、日本女子大の共テ利用前期で5科目型を、名城大‐法・農・薬のC方式前期で5教科型を、近畿大‐情報の共テ利用前期で6教科7科目型、同‐建築の共テ利用中・後期で5教科7科目型を導入。情報必須の方式も含め、国公立大併願者が主な対象と見られる。

【共テ利用その他】
聖心女子大・聖マリアンナ医科大で新規実施。一方、獨協医科大‐医で廃止する。また、立命館大の共テ利用3月選考では、7学部で5教科型と3教科型を廃止する。

●独自入試で英語外部検定利用が拡大

【新方式】
東邦大‐医・薬・理・看護・健康科学で統一入試を、大阪歯科大‐歯・医療保健・看護で全学部日程を新規実施する。

【試験日程】
実践女子大では1月実施の一般Ⅰ期を新規実施。甲南大は一般中期の試験日程を「2/9→2/17・18」に繰り下げ、法・経済など5学部で一般後期を廃止する。

【英語外部検定利用】
芝浦工業大の一般前期・全学統一日程、玉川大の全学統一入試前・後期では、英語の独自試験を廃止し、共テの英語または英語外部検定の利用に全面移行。また、慶應義塾大‐文の一般選抜、國學院大の一般A日程、中央大‐商の学部別選抜、津田塾大の一般A方式、名城大の一般A・F・K方式などで新規利用。

早稲田大では英語外部検定利用方式を、商で廃止し、文・文化構想で募集枠を拡大する。

●新設大学・学部・学科の特徴

理工系学部、特に情報科学系と建築系の増設が多く、愛知淑徳大‐教育など教員養成系の増設も目立つ。この他、金沢工業大の全学的な改編(4→6学部)、龍谷大‐社会の学科統合(3→1学科)、桃山学院大と桃山学院教育大の統合(桃山学院大‐教育に)も要注目だ。さらに、女子受験生の志望分野の多様化を受け、大妻女子大‐データサイエンスや安田女子大‐理工など、女子大で活発な増設・改組が行われる。

●女子大の共学化が続出

【共学化】
25年は女子大の共学化が相次いでいる。清泉女学院大(清泉大に改称予定)、名古屋女子大(名古屋葵大に改称予定)、神戸松蔭女子学院大(神戸松蔭大に改称予定)が全学部で共学に移行し、東京家政学院大・園田学園女子大(園田学園大に改称予定)・活水女子大も一部の学部を共学化する。

【キャンパス移転】
東京理科大‐薬が「千葉県野田市→ 東京都葛飾区」、龍谷大‐社会が「滋賀県大津市→京都市伏見区」にキャンパス移転。

以上の変動要因から、私立大一般選抜全体の志願者数は1%程度の減少と予測する。

【学部系統の人気度】
24年に続き弱めの「文高理低」か。情報系人気は定員増に追いつかない?

24年は国際・外国語をはじめ文系が人気復活、薬や医療系など「理系の資格系」が人気低下、理工系も伸びず、弱めの「文高理低」となった。

25年もこの傾向は変わらず、就職事情の好転から、文、国際・外国語、法、経済系など文系学部は人気が高まる見込み。一方、教員を取り巻く環境などから、教員養成系の人気低迷は続きそう。

理系では、定員増などの影響で理・工・農の志願者増が見込まれるが、情報科学系は相次ぐ新設や定員増の規模に志願者増が追いつかず、やや易化が見込まれる。また、医で志願者増、歯・薬や看護・医療系は人気低下が予想される。

  

地区別予測

各地区の主な大学について、2025年一般選抜の変動要因と難易動向を見ていこう。
志望校・併願校選びの参考にしてほしい。

文中、変更点は24年→25年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼][夜]、共通テスト=共テ、個別学力検査等(2次試験)=2次、学校推薦型選抜=推薦型、総合型選抜=総合型、共テを課さない(課す)=共テ免除(課す)、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。教科・科目数は「6または7教科8または9科目(科目選択による)=6(7)教科8(9)科目」のように略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。

 

《北海道・東北》

北海道大・室蘭工業大・東北大・山形大・岩手県立大が志願者増、
北見工業大・弘前大・岩手大・秋田大が志願者減か。

 

国公立大

● 旭川医科大
前年の反動(志願者増減や倍率の変動による。以下同じ)から、医(医・看護)【前】【後】とも志願者増が見込まれるが、2段階選抜の予告倍率引き締め(募集人員の5倍→4倍。以下、募集人員を略)が敬遠され、増加は小幅に留まりそうだ。

● 北海道大
前期の総合入試(文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施)は、総合文系【前】が前年の反動から、やや志願者増が見込まれる。その他、前年の反動から、文【前】・教育【前】【後】・法【前】【後】・医(保健)【前】・歯【前】・薬【後】・農【後】で志願者増、文【後】・経済【前】・獣医【後】で志願者減の見込み。

なお、25年は共テの情報を点数化しないことも、志願動向に影響しそうだ。

● 北海道教育大
前年の大幅減の反動から、教員養成課程では札幌校【前】【後】・旭川校【前】【後】・釧路校【後】で、それ以外の学科では函館校【前】【後】で、志願者増が見込まれる。釧路校【後】は募集人員減(72人→63人)のため難化は必至。一方、岩見沢校【前】【後】は募集人員減(【前】94人→87人、【後】38人→31人)が敬遠材料となりそうだ。

● 室蘭工業大
前年の反動から、工[昼・夜]【前】【後】ともに志願者大幅増が見込まれる。北見工業大‐工【前】【後】、公立千歳科学技術大‐理工【前】などからの志望変更が予想される。

● 弘前大
志願者は全学で「23年15%減→24年7%増」と推移。その揺れ戻しから、人文社会科学【前】・教育【後】・医(保健)【前】・農学生命科学【後】で志願者減が見込まれる。医(保健)【前】は、募集人員減(122人→112人)も影響しそう。

一方、やはり前年の反動から、人文社会科学【後】・理工【前】【後】で志願者増の見込み。また、医(医)【前】は2次の科目変更(総合問題→数学・英語)で対策が立てやすくなることから志願者増が見込まれる。秋田大‐医(医)【前】から志望変更がありそうだ。

● 岩手大
理系で全学規模の改組を実施。農(共同獣医)を母体に「獣医学部」を開設し、農は6→4学科に改編、募集人員は「【前】150人→141人、【後】20人→26人」に変更。理工は3→1学科に統合され、定員減により募集人員減(【前】264人→256人、【後】74人→69人)。さらに、志願者は全学で「23年18%減→24年21%増」と推移、その揺れ戻しもあり、人文社会科学【後】・教育【前】【後】・理工【前】【後】・農【前】で志願者減、農【後】で志願者増が見込まれる。また、獣医は人気系統だけに、学部昇格でやや志願者は増えそうだ。

● 東北大
「国際卓越研究大学」に正式に選定されたことと、東京大の全学規模の2段階選抜予告倍率引き締めのため、理系を中心に、関東・甲信越から難関大志望者の流入が予想される。前年の反動もあり、教育【前】・法【前】・医(保健)【前】・歯【前】・工【前】・農【前】で志願者増、経済(文系)【前】【後】・同(理系)【後】・理【後】・薬【前】で志願者減が見込まれる。

● 秋田大
情報データ科学部を新設。注目度の高い分野のため志願者を集めそうだが、やはり新設の山形大‐社会共創デジタル学環の影響も受けそう。

一方、総合環境理工(理工を改組)は、定員減に伴う募集人員減(【前】205人→178人、【後】55人→48人)のため、前・後期とも志願者減の見込み。また、教育文化【前】も募集人員減(119人→106人)による志願者減が見込まれる。

この他、前年の反動から国際資源【前】【後】・医(医)【後】で志願者増、教育文化【後】・医(医)【前】・医(保健)【前】【後】で志願者減の見込み。医(医)【前】は募集人員減(55人→45人)も敬遠材料となりそうだ。

● 山形大
社会共創デジタル学環を新設。【前】12人・【後】3人と小規模だが、共テの数学(1科目選択)が人気材料となり、高倍率の激戦になりそう。

前年の反動から、人文社会科学【前】・地域教育文化【前】・理【前】【後】・医(医・看護)【前】・農【前】【後】で志願者増の見込み。特に、募集人員減の人文社会科学【前】(195人→186人)、地域教育文化【前】(93人→85人)、理【前】【後】(【前】130人→125人、【後】30人→25人)はやや難化が見込まれる。

一方、やはり前年の反動から人文社会科学【後】・工[昼・フレックス]【前】【後】、募集人員大幅減(22人→10人)で地域教育文化【後】の志願者減が見込まれる。

● 福島大
前年の反動から、行政政策【前】・共生システム理工【前】【後】・食農【前】で志願者増、人間発達文化【前】・経営経済【前】【後】は志願者減が見込まれる。共生システム理工は定員増に伴う募集人員増(【前】70人→102人、【後】42人→50人)も増加要因となり、特に前期は2次で数学が「必須→選択」になることもあり、大幅増は必至。一方、食農【後】は負担減(学科1科目・面接→ペーパーインタビュー)が、かえって敬遠材料となりそうだ。

● 釧路公立大
前年の反動から、経済【前】【中】とも志願者増が見込まれる。旭川市立大‐経済【前】からの志望変更が想定される。

● 公立はこだて未来大
システム情報科学【前】は前年の反動から志願者増の見込み。公立千歳科学技術大‐理工【前】からの志望変更が想定される。一方、同【後】は募集人員減(25人→15人)のため志願者減は必至だ。

● 岩手県立大
前年の反動から、看護【前】・社会福祉【前】【後】・ソフトウェア情報【前】・総合政策【前】【後】で志願者増、看護【後】・ソフトウェア情報【後】で志願者減が見込まれる。総合政策【前】【後】は、共テの数学が1科目であることも増加要因となりそうだ。

● 宮城大
前年の反動から、看護【前】【後】・事業構想【後】で志願者増、食産業【前】【後】で志願者減が見込まれる。

● 秋田県立大
前年の反動から生物資源科学【後】で志願者増、システム科学技術【前】【後】で志願者減が見込まれる。

 

この他、前年の反動などから、小樽商科大‐商[昼]【後】、帯広畜産大‐畜産【後】、宮城教育大‐教育【後】、札幌医科大‐医【前】、国際教養大‐国際教養A~C日程、福島県立医科大‐医【前】・看護【前】【後】・保健科学【前】で志願者増が見込まれる。

一方、やはり前年の反動などから、小樽商科大‐商[昼]【前】、札幌医科大‐保健医療【前】、会津大‐コンピュータ理工【前】で志願者減が見込まれる。

 

私立大

北海学園大は道内の国公立大の併願先として安定、東北学院大は前年の倍率ダウンの反動に加え、24年導入の「東日本地域別スカラシップ選抜」(北海道~北関東の11道県出身の前期A日程高得点者が対象)の認知度アップが要因となり、志願者増が予想される。この他、地区の志望動向に影響を与えそうな変更は次の通り。

北星学園大で一般Ⅱ期(3月実施)を新規実施。北海道科学大で学部増設(情報科学)、一般後期で総合評価型(学科1科目・総合問題・面接・書類審査)を新規実施。酪農学園大‐獣医学類で一般選抜(個別学力入試)を復活。東北工業大の一般B日程、東北福祉大の一般A日程で学外試験場を削減する(東北工業大=青森・盛岡・秋田・山形・郡山、東北福祉大=札幌・新潟)。

  

《関東・甲信越》

東京大の2段階選抜引き締めが影響大、一橋大が志願者増か。
私立大は中央大が志願者増、上智大・専修大・法政大が減少か。

 

国公立大

● 茨城大
大学全体の志願者は「23年19%減→24年17%増」と推移。隔年現象による反動で、教育・理・工・農の前・後期とも志願者減が見込まれる。工【後】は募集人員減(179人→150人)も要因となりそうだが、工【前】は募集人員増(273人→290人)のため、小幅な減少に留まりそうだ。

一方、開設2年目の地域未来共創学環【前】【後】は、認知度が高まったのと、前年が比較的低倍率だったため、やや志願者増が見込まれる。

● 筑波大
総合選抜(大括り募集。2年次から志望する学群・学類に所属)は、前年の反動から、理系Ⅱ・Ⅲ【前】で志願者増、文系【前】・理系Ⅰ【前】で志願者減が見込まれる。理系Ⅲは募集人員減(90人→84人)のため、やや難化しそうだ。

また、学類・専門学群選抜は、人文学類(以下、学類を略)【後】・社会【前】・国際総合【前】・教育【前】・心理【前】【後】・生物【前】・数学【前】・物理【前】・化学【後】・工学システム【前】・知識情報・図書館【後】・看護【前】・医療科学【前】で志願者増、人文【前】・教育【後】・生物【後】・地球【前】【後】・物理【後】・化学【前】・医【前】・芸術専門学群【前】で志願者減が見込まれる。医【前】は募集人員減(62人→57人)も要因となりそう。体育専門学群【前】も募集人員減(140人→130人)のため、やや志願者減か。芸術専門学群【後】は募集人員増(5人→10人)、2次の変更(面接・口述試験→実技)が、前年大幅増の反動を相殺しそう。

なお、共テの情報を25年に限り、全員に同点数を付与することも増加要因となりそうだ。

● 宇都宮大
24年の大学全体の志願者は31%増。その反動から、地域デザイン科学【後】・国際【前】・共同教育【前】・工【前】【後】で志願者減が見込まれる。また、農【前】は募集人員減(126人→108人)に加え、2次負担増(3学科で英語を追加、2学科で英語を選択→必須に)が敬遠材料となり、やはり志願者減の見込み。一方、開設2年目のデータサイエンス経営は、千葉大‐情報・データサイエンス【前】の募集人員減の影響から、前期はやや志願者流入が見込まれるが、後期は群馬大‐情報【後】への志望変更がありそうだ。

● 群馬大
前年の反動から情報【前】【後】・医(保健)【前】、共同教育【前】も宇都宮大‐共同教育【前】からの志望変更で、志願者増が見込まれる。

● 埼玉大
前年の反動から、教養【前】・理【前】・工【前】【後】で志願者増、教養【後】・教育【前】・経済[昼]【前】【後】・理【後】で志願者減が見込まれる。教育【前】は募集人員減(274人→265人)も減少の要因となりそうだ。

● 千葉大
情報・データサイエンス【前】は開設2年目の反動に加え、募集人員減(90人→70人。推薦型の女子枠を新設)のため、志願者減が見込まれる。

この他、前年の反動から、工【後】・園芸【前】・医【後】・看護【前】で志願者増、国際教養【前】・文【前】・理【前】【後】・医【前】で志願者減が見込まれる。

● お茶の水女子大
開設2年目の共創工は初年度で低倍率(2.2倍)の前期が志願者増の見込み。前年の反動から、文教育【前】・生活科学【前】【後】で志願者増、文教育【後】・理【前】【後】で志願者減が見込まれる。

● 東京大
2段階選抜の予告倍率を「文科一類~三類=約3.0倍→約2.5倍、理科一類=約2.5倍→約2.3倍、理科二類=約3.5倍→約3.0倍」(各前期)に引き締める。さらに学費を増額(年間で535,800円→642,960円)、いずれも敬遠材料となり、理科三類【前】以外は志願者減の見込み。東北大・一橋大などへの志望変更が予想される。

● 東京外国語大
前年の反動から言語文化【前】で志願者増、国際社会【前】【後】・国際日本【前】で志願者減の見込み。

● 東京科学大
東京医科歯科大と東京工業大が10月に統合、「東京科学大学」に名称変更。

医歯学系(旧医科歯科大)は、前年の反動で医(医)【後】・医(保健衛生)【後】は志願者増、医(保健衛生)【前】・歯【前】【後】は志願者減の見込み。

理工学系(旧工業大)は、総合型に女子枠を新設する理学院・工学院(以下、学院を略)が、一般選抜の募集人員減(理【前】143人→128人、工【前】314人→261人)のため志願者大幅減は必至。

また、前年の志願者増や募集人員減による倍率アップの反動から、物質理工【前】、生命理工【前】、環境・社会理工【前】は志願者減の見込み。一方で情報理工【前】は、前年の募集人員増・志願者減の反動から大幅増が見込まれる。

● 東京学芸大
初等教育(現代教育実践=学校心理・環境教育)、中等教育(音楽・情報)、特別支援教育で後期を募集停止するため、教育【後】は募集人員減(153人→100人)、志願者大幅減は必至。

● 一橋大
全5学部の前期で2次の外国語から聞き取り・書き取り試験を除外、人気材料となりそう。前年の反動もあり、社会【前】、ソーシャル・データサイエンス【前】【後】で志願者増、商【前】・法【前】で志願者減が見込まれる。東京大からの志望変更も予想されるが、難関大の中では共テの情報の配点比率が高いことが壁となりそう。

● 横浜国立大
経済【前】【後】・経営【前】【後】・理工【前】【後】・都市科学(都市社会共生)【後】で2段階選抜を廃止。また、理工【前】で募集人員増(350人→362人)のため、前年の反動もあり、教育【前】・経済【前】【後】・経営【前】【後】・理工【前】で志願者増の見込み。一方、都市科学【後】は志願者減が見込まれる。

● 新潟大
前年の反動から、人文【前】・法【前】【後】・経済科学【前】【後】・医(保健)【後】・工【前】で志願者増、人文【後】・医(医)【前】・歯【前】【後】・工【後】・農【前】【後】・創生【前】で志願者減が見込まれる。

● 山梨大
24年は全学の志願者が15%増。その反動から、教育【前】【後】・医(医)【後】・生命環境【前】で志願者減の見込み。教育【前】は募集人員減(56人→47人)も要因となりそう。ただし、生命環境【前】は学科・コースにより2次の小論文を学科試験に変更、対策が立てやすくなり、志願者減は小幅に留まると見られる。

一方、やはり前年の反動から、工【前】・医(看護)【前】では志願者増が見込まれる。

● 信州大
教育(現代教育、国語教育、心理支援教育)で後期を募集停止(総合型を新規実施)するため、教育【後】は募集人員減(44人→34人)、志願者減につながりそう。この他、前年の反動から、人文【前】・教育【前】・理【前】・医(医)【前】で志願者減、経法【前】・理【後】・医(保健)【後】・工【前】【後】・農【前】で志願者増が見込まれる。

● 茨城県立医療大
保健医療で後期を募集停止。福島県立医科大‐看護【後】、東京都立大‐健康福祉【後】の志願者増に結びつきそう。一方、前期は前年の反動から志願者減の見込み。

● 東京都立大
生計維持者(保護者)が東京都内在住の学生(在学生・新入生)の授業料を全額免除(所得制限なし)する制度を導入。人気材料になりそうだが、一方で5学部の前期で2次に英語を追加(共テの英語、英語外部検定の利用を含む)。相反する要因に加え、前年の反動もあり、人文社会【後】・経済経営【後】・理【後】・都市環境【前】【後】・システムデザイン【後】で志願者増、人文社会【前】・法【後】・理【前】で志願者減が見込まれる。

● 神奈川県立保健福祉大
入学金を「県内出身者=282,000円→141,000円、その他=564,000円→282,000円」に減額。また、保健福祉(リハビリテーション)で後期を新規実施。さらに、前・後期とも共テの数学が1科目のため、やや志願者増が見込まれる。

● 横浜市立大
前年の反動から、国際教養【前】・理【後】・データサイエンス【前】で志願者増、国際商【前】・理【前】・医(医・看護)【前】で志願者減の見込み。ただし、医(看護)【前】は共テ3科目の方式を追加(従来型は共テ6科目)のため、小幅な減少に留まりそう。

 

この他、前年の反動などから、東京農工大‐工【前】、上越教育大‐学校教育【前】【後】、高崎経済大‐経済【前】・地域政策【後】で志願者増、電気通信大‐情報理工【前】【後】、東京農工大‐農【後】で志願者減が見込まれる。

 

私立大

難関~準難関校では、24年に「志願者減・合格者増」で倍率低下した中央大が狙われそう。一方、「志願者増・合格者減」の上智大・東京理科大・法政大はやや志願者減が予測される。早稲田大では、社会科学の一般選抜の募集枠縮小と共テ併用への全面移行が要注目だ。

中堅上位~中堅校は、東洋大・大東文化大・共立女子大などで新規実施する「学科試験重視、併願可」の推薦型・総合型が注目される。ここで合格を確保した上で、さらに上位校の一般選抜に挑戦する「関西型」の併願パターンが出てきそう。東洋大の場合、「MARCH」へのチャレンジが増える一方で、駒澤大・専修大や自校の一般選抜に影響しそうだ。

以下、各大学の主な変更点を紹介する。

 

● 青山学院大
文(英米文)は個別学部日程で英語外部検定利用のD方式を新規実施、共テ利用に4科目型を追加。国際政治経済の個別学部日程で、国際経済学科は英語外部検定利用のB方式を新規実施、国際政治・国際コミュニケーションの2学科はB方式を「共テ併用→英語外部検定利用」に変更。国際政治経済の共テ利用で5科目型を新規実施。教育人間科学の共テ利用で教育学科は5科目型を追加、心理学科は3→5科目に負担増。

● 亜細亜大
都市創造を「社会学部」に改組。経済・法・国際関係・社会の一般学科別で3教科型(ベスト2)を新規実施。また、全学統一入試前・中期で英語外部検定を新規利用(得点換算)。

● 大妻女子大
データサイエンス学部を開設。社会情報(環境情報学)・人間関係(人間福祉)の一般A方式Ⅱ期で面接を除外。比較文化の一般A方式Ⅱ期で国語から古文を除外。共テ利用B方式Ⅰ期で、社会情報(情報デザイン)は3科目型、比較文化は2科目型を新規実施。

● 慶應義塾大
文の一般選抜の外国語で、英語外部検定が利用可に(得点換算)。環境情報・薬で数学の出題範囲にⅢCを追加(環境情報で「情報および数学」選択の場合は含まない)。

● 国際基督教大
一般A方式を人文・社会科学選択(110人)、自然科学選択(40人)、日英バイリンガル面接利用(20人)に分割(カッコ内は募集人員)。

● 実践女子大
環境デザイン学部を開設。一般Ⅰ期(1/24)と、共テ利用Ⅰ期の2科目外部試験利用方式を導入。

● 芝浦工業大
一般前期・全学統一日程をA方式(3教科)・B方式(2教科。旧英語資格・検定利用方式)に分割、英語の独自試験を廃止。A方式は共テの英語または英検を利用(得点換算)、B方式は英語外部検定を利用(出願資格)。

● 専修大
ネットワーク情報では、共テ併用AS方式で共テの情報Ⅰを必須として追加、数学ⅠAは必須だが合計点に加えず、合格基準として利用。また、共テ利用後期で情報必須型(4科目)を新規実施。全学の一般後期で学外試験場(仙台・新潟・長野・静岡)を廃止する。

● 中央大
商の学部別選抜で英語外部試験利用方式を新規実施。国際経営が6学部共通選抜の募集から離脱。国際情報の学部別選抜の英語外部試験利用方式で、出願資格に加えて得点換算でも利用。

● 東京都市大
理工(電気電子通信工)、情報工、メディア情報(情報システム)、デザイン・データ科学で一般前期情報型を新規実施。共テ2教科と独自入試「情報Ⅰ・Ⅱ」(外部試験利用可)で判定。また、共テ利用前期で6教科基準点型を導入する。

● 東洋大
一般中期・共テ利用中期を廃止し、一般後期2教科型を3教科型に負担増。また、文(教育=人間発達)、文2部(教育)、福祉社会デザイン(社会福祉)、健康スポーツ科学(栄養科学)、生命科学(生命科学・生物資源)、食環境科学で多面的評価入試(英語外部検定利用、小論文、面接等で選抜)を新規実施。

● 日本大
文理のA個別方式、C共テ利用方式で2期を廃止し、A個別方式で英語外部検定が利用可に。文理(社会、数学)の共テ利用方式で3→4科目に増加(社会=情報を必須として追加/数学=「理科・情報から1」を追加)。芸術でA個別方式を廃止し、N全学統一方式1期で学力検査型・専門試験併用型を新規実施。国際関係のA個別方式1・2期で英語外部検定が利用可に。生産工でCA共テ併用方式を廃止し、C共テ利用方式2期を新規実施。工のC共テ利用方式を3→2教科型に軽減する。

● 日本女子大
食科学部を開設。また、全学の共テ利用前期で5科目型を新規実施する。

● 明治大
国際日本で学部別入試を2→4方式に増加。3科目方式を2科目方式・共テ併用型3科目方式に分割し、英語4技能試験活用方式(地歴を除外し、国語1科目に軽減)にも共テ併用型(独自:国語+共テ:地歴)を追加する。

● 早稲田大
社会科学で、一般選抜を独自試験から共テ併用(総合問題型・数学型)に変更、募集人員減(450人→370人)。また、共テ利用入試も募集人員減(50人→30人)。人間科学も、一般選抜(文系・理系方式)を独自試験から共テ併用(国英型・数英型)に変更。スポーツ科学の一般選抜(共テ併用)で「小論文→総合問題」に変更し、共テ利用入試の募集人員を「共テのみ方式50人→20人、共テ+競技歴方式50人→75人」に変更。商の一般選抜で英語4技能テスト利用型を廃止し、地歴・公民型を募集人員増(355人→390人)。一方、文は「一般選抜340人→260人、英語4技能テスト利用方式50人→85人」、文化構想も「一般選抜370人→330人、英語4技能テスト利用方式70人→110人」に変更する。

● 北里大
理(物理)・医療衛生・未来工で一般中期を新規実施。医療衛生で一般後期を廃止し、共テ利用選抜を新規実施。健康科学で共テ利用前・後期を新規実施する。

 

上記の他、獨協大で共テ利用情報(国語・外国語・情報必須)を新規実施。千葉工業大は独自・共テ併用のSB日程で「総合問題→タイプⅠ(情報選択)・Ⅱ(国語選択)」に変更。國學院大の一般A日程の2/4で英語外部試験利用型を導入(出願資格)。順天堂大の共テ利用で、医療科学は2科目判定型を、健康データサイエンスは3科目判定型を新規実施。玉川大は全学統一入試前・後期、給付型奨学金入試前・後期、地球創生教員養成入試で、英語の個別試験を廃止し、共テの英語または英語外部検定を新規利用。大東文化大は一般選抜(3教科)でベスト2教科型を導入。津田塾大の一般A方式で英語外部試験利用型を新規実施。東京経済大で一般前・後期を「全学統一方式前・後期、個別方式」に変更。東京電機大の共テ利用前・後期で4教科方式(情報)を追加。東京理科大‐薬を「千葉県野田市→東京都葛飾区」にキャンパス移転。東邦大は医・薬・理・看護・健康科学で統一入試を導入する。

  

《北陸・東海》
富山大・金沢大・岐阜大・静岡大・名古屋市立大が志願者増、
福井大・三重大・福井県立大・愛知県立大が志願者減か。

 

国公立大

● 富山大
24年は能登半島地震の影響もあり、全学で志願者19%減。その反動から、人文【前】・教育【前】・理【前】【後】・医(医)【前】・薬【前】・工【前】・芸術文化【前】【後】・都市デザイン【後】で志願者増が見込まれる。工【前】は募集人員増(288人→301人)も増加要因となりそうだ。

一方、やはり前年の反動から、経済【後】・医(看護)【前】【後】・薬【後】は志願者減の見込み。また、教育【後】は共テ科目増(4→8科目)、工【後】は募集人員減(58人→45人)と2次の変更(コースごとに異なる学科試験を小論文に変更・統一)が敬遠材料となり、いずれも大幅減が見込まれる。ただし、経済【後】は共テの数学が1科目のため、小幅な減少に留まりそうだ。

● 金沢大
学類別募集では、前年の反動から人文【前】・経済【前】・地域創造【前】・数物科学【前】・物質化学【前】・理工3学類一括【前】・保健【前】で志願者増、先導【前】・観光デザイン【前】・法【前】・学校教育【前】・地球社会基盤【前】・生命理工【前】・医【前】・薬【前】で志願者減の見込み。また、文系・理系一括入試(学類別募集と別枠で実施)も、前年の反動から文系【前】・理系【前】ともに志願者増が見込まれ、募集人員減(文系72人→68人、理系83人→78人)のため、やや難化しそうだ。

● 福井大
24年は全学で志願者64%増。その反動から、教育【後】・医(医)【前】【後】・医(看護)【前】・工【前】【後】・国際地域【前】【後】で志願者減が見込まれる。特に、工【後】は募集人員減(191人→134人。推薦型・総合型に女子枠を導入)のため、大幅減は必至。富山大‐工【前】・医(医)【前】、富山県立大‐工【前】【後】などへ志望者が流出しそうだ。

● 岐阜大
応用生物科学で2課程→3学科に改組(この他に共同獣医学科あり)し、募集人員を【前】133人→129人、【後】20人→25人に変更。前年の反動から、地域科学【前】・医(医)【前】・医(看護)【前】【後】・応用生物科学【後】で志願者増が見込まれる。医(医)【前】・医(看護)【前】【後】には、三重大‐医(医)【前】・医(看護)【前】【後】からの志望変更が想定される。一方、やはり前年の反動から、工【後】・社会システム経営学環【前】は志願者減が見込まれる。

● 静岡大
前年の反動から、人文社会科学[昼]【後】・情報【前】【後】・理【前】・工【前】【後】・農【前】【後】・グローバル共創科学【前】で志願者増、教育【前】・グローバル共創科学【後】で志願者減の見込み。人文社会科学[昼]【前】も、法・経済の2学科の2次負担増(小論文を追加)で志願者減が見込まれる。

● 名古屋大
理【前】・医(医)【前】で2次から国語を除外。難関校志望者の関心が高く、志願者増に結びつきそう。理【前】は募集人員減(220人→215人)のため、難化が見込まれる。この他、前年の反動から、文【前】・法【前】・農【前】で志願者増、経済【前】・医(保健)【前】・工【前】で志願者減が見込まれる。

● 三重大
前年の反動から、人文【前】【後】・医(医)【前】・医(看護)【前】【後】・工【前】で志願者減、教育【後】・工【後】・生物資源【後】で志願者増が見込まれる。工は定員増に伴い募集人員増(【前】222人→233人、【後】130人→141人)、前期は易化の、後期は志願者増の要因となりそう。また、生物資源(農林環境科学、海洋生物資源学、生命化学)【後】の2次から「数学・理科から1」を除外、負担減となり、これも増加要因となりそうだ。

● 富山県立大
開設2年目の情報工は、前年に低倍率(1.7倍)だった前期が狙われそう。また、前年の反動から、工【前】【後】・看護【前】【後】で志願者増が見込まれる。いずれも共テで情報を課さず、看護【前】【後】は共テの数学が1科目であることも要因となりそうだ。

● 公立小松大
前年の反動から、保健医療【前】・国際文化交流【前】で志願者増、生産システム科学【中】で志願者減が見込まれる。

● 福井県立大
恐竜学部を新設。募集人員は【前】15人・【後】3人と小規模だが、そのユニークさから注目度は高い。ただし、共テの情報の配点比率が高い(前期・後期とも20%)ことと、交通アクセスの不便さが敬遠され、初年度は低倍率になりそう。

この他、前年の反動から、経済【前】・生物資源【前】【後】・海洋生物資源【前】【後】で志願者減、経済【後】で志願者増が見込まれる。看護福祉【後】は看護学科の募集人員減(17人→10人)、生物資源【前】は恐竜学部と同様、共テの情報の配点比率が高い(17%~20%)ことが敬遠材料となりそうだ。

● 静岡県立大
食品栄養科学【後】は募集人員減(14人→7人。食品生命科学科で後期を募集停止)が志願者減に直結し、経営情報【前】は2次負担増(数学・英語から1→数学・英語必須)が敬遠され、志願者減が見込まれる。

この他、前年の反動から、薬【中】で志願者増、食品栄養科学【前】・経営情報【後】・看護【前】【後】で志願者減の見込み。経営情報【後】は募集人員減(15人→10人)も要因となりそう。また、薬【中】は岐阜薬科大‐薬【中】からの志望変更がありそうだ。

● 愛知県立大
前年の反動から、看護【前】で志願者増、外国語【前】【後】・教育福祉【後】・看護【後】・情報科学【前】【後】で志願者減が見込まれるが、情報科学以外は共テの数学が1科目なので小幅な減少に留まりそうだ。

● 名古屋市立大
医学部に看護学部を統合、リハビリテーション学専攻(理学療法学・作業療法学の2コース)を増設し「医学部保健医療学科」に改組。地区内では希少な公立医療系として、看護学科が前年の反動で志願者減となる分をカバーしそうだ。

この他、前年の反動から、医(医)【前】・薬【中】・人文社会【前】【後】・総合生命理【後】で志願者増、経済【後】・芸術工【後】で志願者減が見込まれる。

● 三重県立看護大
前年の反動から、看護【前】【後】とも志願者減の見込み。前期から岐阜県立看護大‐看護【前】への志望変更が想定される。

 

私立大

24年に「志願者減・合格者大幅増」で倍率ダウンした中京大、英語外部検定利用を拡大する名城大はやや志願者増、愛知大・南山大はほぼ前年並みか。名古屋葵大の共学化(名古屋女子大から名称変更)の動向も注目される。以下、志望動向に影響しそうな変更点を紹介する。

金沢工業大で全学的に改編(4→6学部)、一般選抜で「都道府県選抜試験」を新規実施し、一般試験Aを3→2教科に軽減。岐阜聖徳学園大で学部改組(外国語→人文)、一般前期に基礎科目方式を追加する。

愛知大の数学重視型入試で、国語・英語の配点を各100点→50点に低減(数学は200点のまま)。愛知医科大は医で共テ利用後期を廃止する一方、看護で共テ併用型を新規実施。愛知淑徳大で教育・建築の2学部を増設。南山大の共テ利用前期で、理工は5→6教科型に増加(情報を追加)、国際教養は3教科型を新規実施。日本福祉大は工学部を新設、共テ利用方式で全学部出願型(3教科型)を新規実施。名城大は共テC方式前期で、法・農・薬は5教科型を新規実施し、農の4教科型を3教科型に軽減。また、法・外国語・人間・都市情報・農・薬の一般A・F・K方式で英語外部検定が利用可能になる。

  

《関西》

大阪大が志願者増か、京都工芸繊維大の後期募集停止が影響大。
私立大は関西大・近畿大が志願者増、立命館大・甲南大が減少か。

 

国公立大

● 滋賀大
データサイエンスは定員増に伴い募集人員増(【前】50人→70人、【後】20人→40人)。後期は個別学力検査実施型(従来型:募集30人)と面接型(新規実施:募集10人)に複線化、面接型は2次にオンライン面接を課し、2段階選抜(共テ600点満点中450点以上)を実施するものの、いずれも人気材料となりそう。前年の反動もあり、教育【前】【後】・データサイエンス【前】【後】で志願者増が見込まれる。教育は奈良教育大【前】【後】からの志望変更がありそうだ。一方、経済は夜間主コースを募集停止し、旧昼間主コースも募集人員減(【前】172人→164人、【後】150人→140人。総合型を拡大)。やはり前年の反動もあり、前・後期とも志願者大幅減が見込まれる。

● 京都大
法の特色入試を「後期→推薦型」に移行。法【前】から大阪公立大‐法【後】、神戸大‐法【後】への併願増が予想される。前年の反動から、教育(理系)【前】・経済(理系)【前】・医(人間健康科学)【前】で志願者増、総合人間(理系)【前】・教育(文系)【前】・法【前】・経済(文系)【前】・工【前】で志願者減が見込まれる。ただし、首都圏の難関大志望者の一部に「東京大→京都大」のシフトも見られ、微妙に影響しそうだ。

● 京都工芸繊維大
工芸科学で後期を募集停止し、前期を334人→380人に募集人員増。前期で志願者大幅増が見込まれる。また、滋賀県立大‐工【後】、大阪公立大‐工【中】などへの併願が増えそうだ。

● 大阪大
定員増に伴い、工【前】で736人→769人、基礎工【前】で390人→417人に募集人員増。基礎工は前年の反動もあり、いずれも志願者増の見込み。

やはり前年の反動から、文【前】・経済【前】・薬【前】で志願者増、人間科学【前】・外国語【前】・理【前】・医(医)【前】・歯【前】で志願者減が見込まれる。

● 神戸大
工(情報知能工)を改組し、システム情報学部を開設。一般選抜は【前】110人・【後】20人で、学部に昇格する分、前年より志願者を集めそうだ。その影響で、工【前】【後】は募集人員減(【前】423人→317人、【後】129人→115人)、志願者減の見込みだが、難易は前年並みか。医で学科増設(医療創成工)、前期のみ25人を募集。2段階選抜を実施予定(予告倍率=約5倍)だが志願者を集めそうだ。一方、医(保健=看護学)で後期を募集停止する。この他、前年の反動などから、文【後】・法【後】・経済【前】・海洋政策科学【後】で志願者増、文【前】・法【前】・経営【前】・理【前】・医(保健)【前】【後】・農【前】で志願者減が見込まれる。

● 奈良教育大
教育(教科教育=音楽・美術)【前】【後】、同(教育発達=教育学)【後】の2次で面接→小論文に変更、同(教科教育=保健体育、伝統文化=書道)【前】【後】では2次に小論文を追加。敬遠材料になりそうだ。前年の反動もあり、教育【前】【後】で志願者減が見込まれる。さらに、前期は募集人員減(156人→149人)も志願者減の要因となりそうだ。

● 奈良女子大
前年の反動から、生活環境【後】・工【後】で志願者増、文【前】【後】・理【前】【後】・工【前】で志願者減の見込み。文【後】は共テで情報を課さないため、微減に留まりそう。また、生活環境【前】は募集人員増(83人→90人)のため、やや志願者増が見込まれる。

● 和歌山大
観光で後期を復活するが、小規模(5人)のため、学内併願に留まりそう。システム工【前】【後】は募集人員増(【前】160人→170人、【後】100人→110人)のため志願者増の見込み。また、経済【前】の2次で総合問題→数学・英語、観光【前】の2次も総合問題→「英語必須、国語・数学から1」に変更と対策が立てやすくなった。前年の反動もあり、経済【前】【後】・観光【前】・社会インフォマティクス【前】で志願者増が見込まれる。一方、教育【前】【後】は募集人員減(【前】90人→70人、【後】25人→20人)に加え、前期の文科系・理科系の2次負担増(英語を追加)もあり、志願者減が見込まれる。

● 滋賀県立大
工(材料化学、機械システム工)【前】【後】、同(電子システム工)【後】で、2次から理科を除外。同(電子システム工)【前】も2次から英語を除外。負担減と前年の反動から、工【前】は志願者増が見込まれる。また、工【後】は負担減と京都工芸繊維大(後期を募集停止)からの併願増が前年の反動を相殺、志願者は前年並みか。この他、前年の反動から環境科学【前】・人間文化【前】・人間看護【前】【後】で志願者増、環境科学【後】で志願者減が見込まれる。

● 京都府立大
24年に学部再編(生命環境を3学部に分割)を実施。認知度は高まったが、前年の反動や倍率の高低により、文【前】【後】・公共政策【前】・農学食科学【後】・生命理工情報【後】・環境科学【後】で志願者減、公共政策【後】・農学食科学【前】で志願者増が見込まれる。ただし、文【前】・公共政策【前】は共テの数学が1科目のため、微減に留まりそうだ。

● 大阪公立大
26年までに府内出身者は段階的に学費無償化の予定で、認知度の高まりから府内出身者の人気アップにつながりそう。前年の反動から、文【前】【後】・法【前】【後】・商【前】【後】・工【前】・農【後】・看護【前】【後】で志願者増、現代システム科学域【前】【後】・経済【前】【後】・理【前】・農【前】・獣医【前】・医(医)【前】・医(リハビリテーション)【後】・生活科学【前】で志願者減が見込まれる。医(医)【前】は募集人員減(80人→75人)、2段階選抜の基準変更(共テ900点満点中650点以上→共テ1,000点満点中700点以上で3倍)も敬遠材料となりそうだ。

● 神戸市外国語大
外国語【後】は2次を廃止(小論文→課さない)するものの、63人→50人に募集人員減(推薦型・総合型を拡大)のため、志願者減の見込み。また、前年の反動から、外国語【前】で志願者増、同2部【後】で志願者減が見込まれる。

● 兵庫県立大
26年までに県内出身者は段階的に学費無償化の予定で、認知度の高まりから県内出身者の人気アップにつながりそう。

前年の反動から、国際商経【前】【後】・社会情報科学【前】【中】・看護【前】【後】で志願者増、工【前】・理【中】・環境人間【後】で志願者減が見込まれる。

● 奈良県立医科大
医(医)【前】は前年の志願者大幅減の反動が見込まれるが、2段階選抜の基準を「15倍→共テ900点満点中概ね730点以上で15倍」と得点基準を追加するため敬遠され、微増に留まりそう。

この他、やはり前年の反動から、医(医)【後】・医(看護)【前】は志願者増が見込まれる。

 

この他、前年の反動から、京都府立医科大‐医(医)【前】、和歌山県立医科大‐保健看護【後】で志願者増、滋賀医科大‐医(医・看護)【前】、大阪教育大‐教育【後】、奈良県立大‐地域創造【前】【中】、和歌山県立医科大‐医【前】・保健看護【前】で志願者減の見込み。

 

私立大

「関関同立」では、同志社大が難関国公立大の併願先として安定した人気を集め、関西大は情報系の学部・学科増設で志願者増に結びつきそう。一方、立命館大・関西学院大は共テ利用方式で情報必須の新方式を導入するが、前年の志願者増の反動でやや志願者減が見込まれる。また、「産近甲龍」では、24年に「志願者減、合格者増」で倍率ダウンした近畿大・龍谷大が反動でやや志願者増、志願者大幅減となった京都産業大はキャンパスの立地から引き続き志願者減、「志願者増、合格者減」で倍率アップした甲南大は反動による志願者減が見込まれる。中堅校は選抜の主軸が推薦型・総合型にシフトし、一般選抜の受験者層が厚みを失った状況に加えて、家計不安に由来する併願数減の傾向もあるため、志願者は減少傾向となる見込み。以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学の主な変動要因を紹介する。

 

● 立命館大
産業社会・経営・映像・食マネジメント・情報理工・理工・生命科学(生命情報)の2月入試の共テ併用方式で、共テの情報Ⅰが必須の「情報活用型」を新規実施。一方、情報理工でISSE方式を廃止。また、共テ利用3月後期型で、文・法・政策科学・経営・国際関係・映像・食マネジメントは5教科型・3教科型を、産業社会は5教科型を、薬は3教科型を廃止する。

● 龍谷大
社会を「滋賀県大津市→京都市伏見区」にキャンパス移転。また、社会の共テ利用前期で数学1教科方式を新規実施する。

● 関西大
ビジネスデータサイエンス学部を開設予定。システム理工に「グリーンエレクトロニクス工学科」を増設予定。また、全学日程1の2教科型(英語外部試験利用方式)で、利用方法に「加点」を追加する(従来は出願資格)。

● 大阪歯科大
歯・医療保健・看護の一般選抜で全学部日程を新規実施(英語外部検定利用可)し、医療保健の一般前期で面接を除外。また、一般後期で「学科2科目→小論文」に変更する。

● 近畿大
共テ利用中期の出願締切日を「2/1→2/10」に繰り下げる。情報の共テ利用前期で6教科7科目型、中期で4教科4科目型、後期で3教科3科目型を追加。建築の共テ利用中・後期で5教科7科目型を追加する。

● 関西学院大
全学部の共テ利用1月出願で8科目型(情報必須)を新規実施。理・工・生命環境・建築の共テ利用1月出願で3教科型(英語資格・検定試験利用も)を新規実施。商の共テ利用3月出願で英数3科目型を廃止。人間福祉の学部個別日程で英語・国語型を廃止し、傾斜配点型を新規実施。社会・教育の学部個別日程で英数日程を新規実施する。

● 甲南大
一般前期の試験日程を「2/1~5→1/30~2/1、2/4・5」に変更、一般中期を「2/9→2/17・18」に繰り下げ、法・経済・経営・マネジメント創造・理工で一般後期を廃止。グローバル教養学環で一般中期を新規実施し、一般中期を3→2科目に統一して軽減。共テ利用前期で、フロンティアサイエンスが5科目型、知能情報が6科目型を新規実施する。

● 神戸女学院大
「150周年記念 共通テストスカラシップ制度」を新設。新規実施の共テ利用スカラシップ5科目型で大学指定の得点率を上回った入学者は、授業料等の半額を2年間減免(入学後の成績により延長あり)。一方、共テ利用後期を廃止。

 

上記の他、京都橘大で一般前期A日程に2科目方式、同B日程に3科目方式を追加。同志社大‐グローバル・コミュニケーションで共テ利用方式を新規実施。大阪医科薬科大‐薬の一般入試Bで3→2科目に軽減(英語を除外、数学が選択→必須)。大阪経済大‐国際共創で共テ利用前期C方式を新規実施。大和大は共テ利用前期で学部により7~8科目型を導入する。神戸学院大は一般前期で2科目評価型(3科目受験必須)、後期で1科目評価型(2科目受験必須)を導入。神戸薬科大は一般前期で110人→80人に募集人員減。兵庫医科大ではリハビリテーションで一般後期を新規実施し、薬の一般後期で「英語→小論文」に変更。武庫川女子大の一般前期・後期で「英語外部検定利用型」をオプションで追加し、共テ利用後期を新規実施する。

  

《中国・四国》

広島大は情報科学で定員増、下関市立大は看護学部を新設。
山口大で志願者増、鳥取大・島根大・香川大で志願者減か。

 

国公立大

● 鳥取大
24年は全学で志願者43%増。その反動から、地域【後】・医(保健)【前】【後】・医(生命科学)【前】・工【前】【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。工【前】は募集人員減(294人→270人。総合型を拡大)も影響しそう。一方、やはり前年の反動から、地域【前】・医(医)【前】・医(生命科学)【後】・農【前】で志願者増が見込まれるが、農【前】は共同獣医学科の2次負担増(数学を追加)のため微増に留まりそうだ。

● 島根大
24年は全学で志願者39%増。その反動から、人間科学【前】【後】・医(看護)【前】【後】・総合理工【前】【後】・材料エネルギー【前】【後】・生物資源科学【前】【後】で志願者減が見込まれる。特に、総合理工は7→1学科への統合、募集人員減(【前】181人→167人、【後】61人→55人)も敬遠材料となりそうだ。

一方、やはり前年の反動に加え、教育【前】【後】では調査書点数化を廃止する影響もあり、法文【前】・教育【前】【後】・医(医)【前】で志願者増が見込まれる。

● 岡山大
前年の反動から、教育【前】・法[夜]【前】・医(保健)【前】・歯【前】・薬【前】・農【前】で志願者増、文【前】・法[昼]【前】・経済[昼]【前】・理【前】で志願者減が見込まれる。教育【前】は募集人員減(148人→141人)のため、難化は必至だ。

● 広島大
情報科学で定員増、【前】90人→115人、【後】10人→15人に募集人員増。前期は志願者増が見込まれる。教育は、第二類=数学教育学、第四類=家政教育学で後期を募集停止。第四類=健康スポーツ教育学【後】の2次で「実技→小論文・出願書類(点数化)」に変更することもあり、教育【後】は志願者減の見込み。この他、前年の反動から、総合科学【後】・文【後】・法[夜]【後】・経済[昼]【前】・経済[夜]【前】・医(医)【前】・医(保健)【前】・歯【後】・理【後】・工【前】【後】・生物生産【前】【後】で志願者増、総合科学【前】・文【前】・法[昼]【前】【後】・歯【前】・薬【前】【後】・情報科学【後】で志願者減が見込まれる。理【後】は、化学科の2次における面接の配点減(400点→200点)も増加要因となりそうだ。

● 山口大
ひと・まち未来共創学環(定員40人)を新設。一般選抜は「前期24人・後期8人」を募集。経済【前】で181人→166人に募集人員減、教育【前】で126人→103人に募集人員減(心理学選修を募集停止)で、いずれも志願者減の見込み。

この他、前年の反動から、国際総合科学【前】【後】・人文【前】【後】・経済【後】・医(医)【前】・工【前】【後】・農【前】・共同獣医【後】で志願者増、理【前】・農【後】で志願者減が見込まれる。また、医(保健)【前】は下関市立大‐看護の新設の影響から、志願者減の見込み。

● 徳島大
理工[夜]【前】は募集人員減(45人→30人。応用化学システムコースで一般選抜を募集停止)のため志願者減の見込み。薬【前】では共テの理科(2科目)で化学を「選択→必須」に、配点を「100点→化学100点、その他50点」に変更。

前年の反動もあり、医(医)【前】・医(保健)【後】・歯【前】【後】・薬【前】【後】・生物資源産業【前】で志願者増、総合科学【前】【後】・医(医科栄養)【前】・医(保健)【前】・理工[昼]【後】・生物資源産業【後】で志願者減が見込まれる。

● 香川大
24年は全学で志願者28%増。その反動から、教育【後】・法[昼]【後】・経済[昼]【前】【後】・医(医・看護)【前】・創造工【前】【後】・農【前】で志願者減の見込み。創造工は募集人員減(【前】183人→180人・【後】55人→44人)も影響しそうだ。一方、やはり前年の反動から、法[昼]【前】・医(臨床心理)【前】・農【後】で志願者増が見込まれる。

● 愛媛大
社会共創(産業イノベーション、環境デザイン)【前】の共テで数学・理科各1→2科目に増加し、産業イノベーションは2次に小論文を追加。同(地域資源マネジメント)【前】で共テを5科目(スポーツ健康マネジメントコースは3科目)→8科目に増加、2次でグループディスカッション(または実技)→小論文・調査書点数化に変更。負担増のため志願者減につながりそう。この他、前年の反動から、法文[昼]【前】・教育【後】・理【後】・工【前】・農【前】【後】で志願者増、法文[昼]【後】・同[夜]【前】【後】・教育【前】・医(医・看護)【前】で志願者減が見込まれる。

● 高知大
人文社会科学【前】は、国際社会学科の2次の変更(小論文→英語)が志願者増につながりそうだ。

前年の反動から、理工【前】・医(看護)【後】・農林海洋科学【前】【後】で志願者増、人文社会科学【後】・教育【前】・医(医)【前】・地域協働【前】で志願者減が見込まれる。農林海洋科学【前】は募集人員減(121人→111人)のため、やや難化しそうだ。

● 広島市立大
情報科学【前】で共テから国語を、同【後】も共テから理科を除外。また、情報科学【後】の2次で「数学→情報Ⅰ」に変更。さらに、情報科学では共テの情報の配点比率が他大学より高い(前期25%、後期33%)。前年の反動もあり、国際【前】【後】・情報科学【後】で志願者減が見込まれる。

● 山陽小野田市立山口東京理科大
薬で前期を新規実施(8人)、学外試験場も設置(7都市)。そろって2段階選抜を新規実施する九州地区の薬学部からの志望変更が見込まれる。

工【前】【中】・薬【中】は学外試験場を鹿児島に増設、神戸・北九州を廃止する。前年の反動から、工【前】【中】・薬【中】は志願者増が見込まれ、薬【中】は募集人員減(52人→46人)が難化要因となりそうだが、工【前】は方式別の募集人員の変更(A方式55人→60人、B方式55人→40人。共テ多科目型を増加)がやや敬遠材料となりそうだ。

● 下関市立大
看護学部を開設、一般選抜は【前】35人・【中】8人を募集。九州北部からの志願者流入が見込まれる。一方、開設2年目のデータサイエンス【前】【中】は反動から志願者減が見込まれる。

● 山口県立大
国際文化は学科増設(情報社会)も、【前】50人→43人に募集人員減(総合型を新規実施)。社会福祉【前】は46人→30人に募集人員減。前年の反動もあり、国際文化【前】【後】・社会福祉【前】【後】で志願者減、看護栄養【前】【後】で志願者増が見込まれる。

● 高知工科大
システム工学群で募集人員を、【前】A方式80人→85人に増加、【後】20人→10人に削減。後期の志願者減は必至。また、情報学群、システム工学群、理工学群、経済・マネジメント学群の各後期で2次を廃止する。

前年の反動もあり、システム工学群【前】・理工学群【前】【後】・情報学群【前】【後】で志願者増、経済・マネジメント学群【前】【後】で志願者減が見込まれる。開設2年目のデータ&イノベーション【前】【後】も、やはり反動から志願者減となる見込み。

 

私立大

広島工業大・広島修道大は前年の志願者大幅増の反動、岡山理科大は合格者絞り込みによる倍率アップの反動が予想される。ただし、岡山理科大は一般前期A日程3科目型・B日程2科目型で高得点科目重視型を導入、共テ利用Ⅰ期で5教科方式を追加する。

その他の主な変更としては、川崎医療福祉大が一般前期の募集人員を5学部合計で286人→186人に削減(総合型の募集枠を421人→518人に拡大)。広島国際大は一般中期を廃止。広島工業大は学部改組(4→3学部)、安田女子大で理工学部、松山大で情報学部を新設する。

  

《九州》

九州大・長崎大・熊本大の薬学部で2段階選抜を新規実施。
宮崎大で志願者増、長崎大・北九州市立大で志願者減か。

 

国公立大

● 九州大
薬(臨床薬)【前】で2段階選抜を新規実施(予告倍率=約3倍)、2次に面接を追加することもあり、志願者減が見込まれる。共テの結果次第で、新規実施の山陽小野田市立山口東京理科大‐薬【前】への志望変更もありそうだ。一方、薬【後】は共テで外国語を50点→200点に配点増、2次から英語を除外、負担減のため志願者増につながりそうだ。芸術工【前】で学科一括募集を20人→5人に削減、2次負担増(面接・志望理由書を追加)もあり、志願者減の見込み。この他、前年の反動から、法【後】・理【後】・薬【後】で志願者増、共創【前】・文【後】・教育【前】・経済【後】・医(生命科学)【前】・農【前】【後】で志願者減が見込まれる。

● 福岡教育大
教育【前】で募集人員増(379人→415人)、同【後】で削減(107人→92人)。【前】は志願者増、【後】は志願者減が見込まれる。また、初等教育の2次は面接を各プログラムの選考方法に変更するのに対し、中等教育の2次は小論文を面接に変更、または除外する専攻が目立つなど対照的。「初等(国語)【前】=面接→国語、同(英語)【前】=面接→英語」「中等(国語・英語・技術)【前】=小論文を除外」は前期の増加要因となりそうだ。

● 佐賀大
前年の反動から、芸術地域デザイン【前】【後】・経済【前】【後】・医(医)【前】・理工【後】・農【後】で志願者増、教育【前】【後】・医(看護)【前】【後】・理工【前】・農【前】で志願者減が見込まれる。理工【前】は募集人員減(291人→283人。推薦型・総合型に女子枠を新設)も要因となりそう。また、医(医)【後】も募集人員減(10人→4人)の影響が大きく、2次から課題論文を除外するものの、志願者減が見込まれる。

● 長崎大
24年は全学で志願者17%増。その反動から、多文化社会【前】・教育【前】・経済【前】・医(医・保健)【前】・歯【前】・情報データ科学【前】【後】・環境科学【前】【後】で志願者減の見込み。情報データ科学【前】は募集人員減(75人→70人。推薦型に女子枠を新設)も要因となりそう。薬は薬学科で後期を募集停止し、薬学科【前】で28人→34人、薬科学科【前】で21人→26人に募集人員を増やすが、薬学科【前】で2段階選抜の新規実施(予告倍率=約5倍)、薬学科【前】・薬科学科【後】の2次変更(ペーパーインタビュー→面接)が敬遠材料となり、前年の反動からも、志願者減か。歯【前】は2次負担増(「数学・理科から1」→数学・理科必須)と、募集人員増(33人→40人)のため、易化は必至。多文化社会【前】も、2次の「総合問題→小論文(全コース)・ペーパーインタビュー(オランダ特別コース以外)」の変更が減少要因となりそう。一方、やはり前年の反動から、経済【後】・工【前】【後】・水産【後】で志願者増が見込まれる。工【前】は210人→198人に募集人員減(推薦型に女子枠を新設)、難化の要因となりそうだ。

● 熊本大
薬【前】で2段階選抜を新規実施(予告倍率=約4倍)し、2次に英語・面接を追加。負担増のため敬遠されそう。工【前】【後】の共テで英語のリーディング・リスニングの配点比率を「4:1→1:1」に変更、志願者減につながりそう。医(保健=看護学)【前】の2次で、国語から古文・漢文を除外し、志願者増が見込まれる。この他、前年の反動もあり、教育【前】・法【前】【後】・情報融合学環【前】で志願者増、医(医)【前】・理【前】【後】・工【後】で志願者減が見込まれる。

● 大分大
前年の反動から、医(看護)【後】・医(先進医療科学)【前】・理工【後】・福祉健康科学【前】【後】で志願者増、教育【前】【後】・経済【前】【後】で志願者減が見込まれる。経済【前】【後】の場合、佐賀大‐経済【前】【後】への志望変更が想定される。理工【前】も募集人員減(267人→257人)が、やや志願者減につながりそう。

● 宮崎大
24年は全学で志願者23%減。その反動から、教育【前】【後】・医(医)【前】【後】・医(看護)【前】・工【後】・地域資源創成【前】【後】で志願者増が見込まれる。一方、やはり前年の反動から医(看護)【後】で志願者減の見込み。農は学科改組(6→2学科に統合)に加え、募集人員を【前】149人→129人、【後】69人→53人に削減(総合型を拡大)。農【前】・地域資源創成【前】の2次で学外試験場(横浜)を新設するが、農【前】【後】とも前年に続き志願者減の見込み。工【前】も募集人員減(240人→200人。推薦型を新規実施)のため、志願者大幅減が見込まれる。

● 鹿児島大
医(保健)【前】で83人→75人、理【後】で25人→13人に募集人員減(推薦枠を拡大)、教育【後】で24人→19人に募集人員減となり、それぞれ志願者減の見込み。また、法文(人文)【後】も15人→10人に募集人員減。法文【前】・同(地域社会・経済、多元地域文化)【後】・農【前】【後】・共同獣医(畜産)【前】【後】で2次に調査書点数化を追加。法文【前】は志願者減となりそう。理【後】で2次を廃止(面接→課さない)。この他、前年の反動から、理【前】・工【後】・医(医)【前】・医(保健)【後】・工【後】・農【前】【後】・水産【前】で志願者増、法文【後】・医(医)【後】・歯【後】・工【前】・共同獣医【前】【後】で志願者減の見込み。

● 琉球大
前年の反動から、国際地域創造[夜]【前】【後】・教育【前】・医(医)【前】【後】・工【後】・農【後】で志願者増、国際地域創造[昼]【後】・理【前】【後】で志願者減の見込み。

また、医(保健)【後】は沖縄県立看護大の後期募集停止が影響、志願者増が見込まれる。

● 北九州市立大
24年は全学で志願者25%増。その反動から、外国語【前】【後】・経済【前】・文【前】【後】・法【前】【後】・地域創生【前】・国際環境工【前】【後】で志願者減が見込まれる。法【前】は学外試験場(広島)の廃止も要因となり、募集人員増(140人→145人)のため易化しそうだ。一方、やはり前年の反動から、経済【後】で志願者増が見込まれる。

● 長崎県立大
前年の反動から、経営【前】・国際社会【前】・情報システム【前】で志願者増、地域創造【前】【後】・情報システム【後】・看護栄養【後】で志願者減が見込まれる。

● 熊本県立大
前年の反動から、文【前】【後】・環境共生【前】・総合管理【前】【後】で志願者減が見込まれる。

● 名桜大
前年の反動から、人間健康【前】【後】で志願者増、国際【前】で志願者減が見込まれる。人間健康では、健康情報学科の募集人員減(【前】35人→30人、【後】10人→5人。総合型を新規実施)も、前期におけるB方式の新規実施(共テ=2または3教科3科目、個別=調査書・提出書類の点数化)も増加要因となりそう。一方、国際【後】は募集人員減(20人→15人)のため、やや志願者減か。

 

私立大

西南学院大・福岡大は特に変動要因もなく、国公立大の併願先として安定した志願状況となりそう。九州産業大は前年の志願者18%減の反動に加え、一般前期の複線化(生命科学が文系、人間科学・経済・芸術が理系を新規実施)もあり、やや志願者増が見込まれる。この他の主な変動要因として、福岡工業大は共テ利用前期をA・Bに複線化。新規実施のB(情報型)は情報が必須。別府大で看護学部を新設。立命館アジア太平洋大は一般前・後期で英語外部検定を新規利用(得点換算)し、共テ利用(共テ方式、共テ併用方式、共テ+面接方式)で英語外部検定の利用方法を「満点と見なす→段階的な得点換算」に変更、共テ+面接方式で共テの基準点(60%以上)を廃止する。

 

この記事は「螢雪時代(2024年11月号・11月臨時増刊)」より転載いたしました。

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