入試動向分析

2024年 国公立大入試 志願者動向分析【2024年4月】

2024(令和6)年度

2024年国公立大入試について、人気度を示す「志願者動向」を分析する。一般選抜の志願者数は、前期・後期とも前年並み。人文系・国際系が人気復活した。共通テストの平均点アップが追い風となり、「初志貫徹」の出願傾向が見られた。


《全体解説》
共通テストの2年連続の易化が後押しし「初志貫徹」
全体では波静かな入試だが、地方で極端な反動も


受験生数減でも人気安定
国立は微増、公立は微減

 文部科学省の発表によると、2024年(以下、 24年。他年度も同じ)の国公立大一般選抜の確定志願者数は423,260人で、23年とほぼ同数(独自日程で入試を行う国際教養大・新潟県立大・叡啓大・芸術文化観光専門職大は集計に含まれない)。全募集人員(98,878人)に対する倍率(志願倍率)も、23年・24年とも4.3倍と変動がなかった(グラフ①)。
 4(6)年制大学の受験生数は前年比で約3%減(本誌推定)、大学入学共通テスト(以下、共テ)の志願者数も4.0%減(国公立大志望が多い既卒者は4.8%減)と、基本ベースが縮小したにもかかわらず、国公立大一般選抜の志願者は前年並みを保ち、底堅い人気を示した。
 25年新課程入試を直後に控え、当初は「後がない」意識から、共テを課さない学校推薦型選抜と総合型選抜(以下、「選抜」を略)に国公立大志望者の一部が流れると予想されたが、実際には志願者は23年並みに留まり、一般選抜への影響は小さかった。
 入試日程別に志願状況(グラフ②)と志願倍率の変化(23年→24年)を見ると、前期は「0.4%増:2.9倍→2.9倍」、後期は「0.1%減:10.0倍→10.0倍」、公立大中期(以下、中期)は「1.9%減:13.0倍→12.9倍」となった。
 募集人員の増減(前期0.3%増、後期0.5%減、中期1.2%減)と比べると、ほぼ順当な志願状況だが、中期の減少は中国・四国地区で情報科学系の学部等の新設が集中したことによる、山陽小野田市立山口東京理科大・周南公立大の大幅減も影響している。
 さらに、国立・公立を日程別に比べると、国立大の「前期0.6%増、後期0.3%増」に対し、公立大は「前期0.3%減、後期1.6%減」。微小な違いとはいえ、国立大の志願者増に対し、公立大の志願者減が対照的な結果になった。



2年連続の共テ易化が追い風
成績上位層中心に「初志貫徹」

 共テは平均点が2年連続でアップ(=易化)した。そこに受験生が自信を得ての結果が、24年の国公立大の志願状況に表れたといえるが、さらに詳しく要因を考えていこう。
 国公立大受験の共テ科目の標準となる、文系・理系に共通の5教科6科目(地歴 ・ 公民合わせて1科目として100点、理科1科目として100点の800点満点)の加重平均点(科目別平均点と受験者数から算出。ただし、理科基礎は2科目受験者の加重平均点で、追試を含む)を算出すると461.3点(得点率57.7%)で、23年に比べ7.4点アップ。得点率も1.0ポイントアップした。23年ほどの大幅アップ(29.0点アップ)ではなかったが、それでも2年連続で易化したことが、受験生が国公立大の出願に踏み切る後押しになったことは確かだ。
 科目別に見ると、国語、地理B、生物、生物基礎、英語リスニングなどで平均点がアップ。国語は4年連続のダウンから一転、現代文が比較的平易だったこともあり、大幅アップとなった。一方、日本史B、政治・経済、数学Ⅰ・ A、数学Ⅱ・ B、英語リーディングなどがダウン。政治・経済は3年連続でダウン、センター試験(以下、セ試)・共テを通して過去最低を記録した。また、数学Ⅰ・ A、数学Ⅱ・ Bの場合は、 23年の大幅アップの反動と見られる。
 特に影響力の大きい、文系・理系ともに受験する基幹科目で、数学Ⅰ・ A、数学Ⅱ・ Bがややダウンしたものの、国語、英語リスニングのアップが、受験生にとっては追い風となった模様。そのため、国立大・公立大ともに、成績上位層を中心にやや強気な「初志貫徹」の出願傾向になったものと見られる。


大都市圏志向が復活の一方、
地方公立大では「後期離れ」

 24年入試では、新型コロナウイルス感染症の扱いが、他の感染症と同等の「5類」に移行したため、受験生に遠隔地受験の心理的なハードルが下がったことが、大都市圏の国公立大の志願者増につながったと見られる。対面授業の増加、学生同士の交流の復活など、大学生を取り巻く環境が改善されたことも、受験生の大都市圏への流動に結びついた模様。
 ただし、それは私立大についても同じで、「後がない意識」も微妙に影響し、国立大の受験者層の一部が、大都市圏の難関~準難関私立大への併願を増やす(主に共テ利用方式で)ことにもつながったと見られる。
 一方、共テの平均点アップで目標ラインが上がったため、公立大にぎりぎり手が届く受験生層が、募集枠が小さく志願倍率が高い後期の出願をあきらめた模様。特に公立大中堅校の後期は、個別試験(以下、2次)の配点比率が低い場合が多く、逆転が難しいことも要因といえる。


相次ぐ情報科学系の新設や
理工系定員増も志願者分散

 24年入試は、前述の通り「後がない意識」は予想ほど強くなかったため、国公立大一般選抜の人気は変わらず、しかも「初志貫徹」が基調となった。それでもいざ出願となると、「後がない意識」が働き、共テの難易や前年の入試結果の反動が強く作用した。
 そのような状況の下、24年入試の変動要因として注目されたのが、情報科学系の新設と、理工系学部の定員増だった。
 24年は情報科学系学部等の「新設ラッシュ」となり、茨城大・宇都宮大・千葉大・熊本大・富山県立大・下関市立大・周南公立大・高知工科大で新設。特に、千葉大 – 情報・データサイエンスは、既設の一橋大 – ソーシャル・データサイエンスや横浜市立大 – データサイエンスの志願者減に影響した。
 また、「高度情報専門人材」の確保に向けた国の支援事業により、国立9大学(北海道大・東北大・電気通信大・東京工業大・金沢大・岡山大・愛媛大・佐賀大・大分大)の理工系学部で計365人の定員増が行われた。このうち、一般選抜の志願者増に結びついたのは、東北大 – 工、電気通信大 – 情報理工学域、金沢大 – スマート創成科学類、岡山大 – 工に留まった。
 中国・四国地区では情報科学系に関わる、公立大の学部等新設(下関市立大 – データサイエンス、周南公立大 – 情報科学、高知工科大 – データ&イノベーション)が集中して志願者が分散。大学合計では下関市立大の20%増に対し、周南公立大は20%減、高知工科大は30%減。また、山陽小野田市立山口東京理科大も影響を受け、34%も減少した。
 結果として、同系統の他大学・学部等と志願者が分散するだけで、必ずしも国が意図する情報科学系の起爆剤とはならなかったようだ。

【ここがポイント】
共テの易化で基調は「初志貫徹」だが、前年の反動も顕著
情報科学系の学部等新設や理工系の定員増も志願者分散


地区・系統ごとに見ると?


遠隔地受験はコロナ前まで復活
北陸で震災と新幹線延伸が影響

 全国6地区の志願動向(グラフ③)を見ていこう。関西と九州が微増、関東・甲信越と中国・四国が前年並み、北海道 ・ 東北と北陸・東海が微減と、地区ごとの差異が少なく、「波静かな」入試状況だったことを示している。
 各地区とも、従来から地元志向が強いので、基本的に地区内で出願が完結する。それでも、遠隔地受験や大都市圏志向は「コロナ以前」に戻りつつあり、例えば「山形大・福島大→茨城大・宇都宮大」のように、東北地区から関東北部への志望変更の流れがうかがえる。
 逆に「初志貫徹」のため、難関校や医学部以外は、大都市圏から地方への進出が鈍ったようだ。特に、北陸地区では共テ直前に襲った能登半島地震で甚大な被害を受けた地域を含む、富山・石川両県内にある大学の志願者減が目立ち、県外からの流入減と見られる。ただし、北陸新幹線の福井県延伸により、関東・甲信越からのアクセスが向上したため、福井大は大幅増、福井県立大もやや増加した。
 中国・四国では、鳥取大・島根大・徳島大・香川大といった前年の極端な反動による大幅増の一方で、前述のように公立大に新増設・改組が集中し、かえって志願者が分散したこともあり、全体としては前年並みに収まった。
 なお、医学部志望者は全国を視野に入れて受験するため、流動性が高い。24年は岐阜大-医〈医〉の前期における2段階選抜予告倍率引き締めの影響が大きく、隣県の福井大・信州大・三重大の各医学科の前期へ志望変更があった模様だ。


人文・経済・国際が人気復活
医・薬・医療・農が志願者減

 次に学部系統別の志願状況を見てみよう(グラフ④)。近年は「文低理高」傾向が続いていたが、24年は一転。文・教育・教養、経済・経営・商、国際・国際関係、外国語の人気復活が目立つ。就職事情の好転に加え、特に国際・国際関係、外国語の場合は新型コロナウイルス感染症が通常の感染症と同様の「5類」に移行し、海外留学の可能性が開けたことや、ここ数年の減少傾向の反動などが要因と見られる。
 一方、社会の「コロナ慣れ」や就職事情の好転によって「理系の資格志向」が弱まり、薬が減少、医、医療・看護も微減と、前年まで人気を集めていた医療系が減少。その他、農 ・ 水畜産 ・ 獣医が減少し、理工系学部等の新設や定員増が相次いだが、理、工もほぼ前年並みに留まるなど、弱めの「文高理低」状態となった。
 文系でも、法、社会・社会福祉が減少。教員養成系もやや減少し、資格志向の弱まりが見て取れる。いずれも、勤務環境や待遇面の改善が進まないことが要因と見られる。

【ここがポイント】
6地区とも変動が小さく、地元志向は強いが遠隔地受験も復活
文理とも「資格系」が人気低下、弱めの「文高理低」に


大学・学部ごとに見ると?


「前年の反動」や入試科目・募集人員の変更は要注意

 大学・学部別の志願状況を見るためには、次の4つのポイントを押さえておこう。25年一般選抜の志望動向の予測にも生かせるポイントだ。

①前年度の倍率アップダウンの反動
 受験生は前年の倍率や、志願者の増減を気にする。高倍率や倍率アップ、志願者増なら敬遠、低倍率や倍率ダウン、志願者減なら人気を集めるため、前年の反動、さらには1年おきに増減を繰り返す “ 隔年現象 ” が起きやすい。これが最も起こりやすいパターンだ。

②入試科目の変更、科目数の増減
 入試科目数の増減、新方式実施、2段階選抜の廃止(導入)や予告倍率緩和(引き締め)など、負担の変化が志願者増減に結びつく傾向がある。

③学部・学科の増設・廃止、募集人員の変更
 後期から前期へ(その逆も)募集人員を移したり、学部全体の募集人員が増減したりした大学・学部では、募集人員が増えた(減った)日程は志願者も増える(減る)ことが多い。また、学部・学科の新設や、新たに前・後・中期で入試を実施、あるいは募集停止する場合、周囲の大学・学部に対する影響は大きい。

④他大学への「玉突き」
 志願者が急激に増えた(減った)大学・学部や、後期日程の廃止・縮小、新設大学・学部などがあると、近隣の大学や学内の他学部で、玉突きのように変動が起きるケースがある。

 具体例として、東北大 – 工、岐阜大 – 医〈医〉、奈良県立医科大 – 医〈医〉、長崎大 – 多文化社会の事例を紹介する(以下、【前】=前期日程、【後】=後期日程、【中】=公立大中期日程)。

例1:東北大-工【前】
 東北大 – 工では定員増(40人増)に伴い、前期の募集人員を567人→595人に増加(→③)。前年の志願者11%減の反動(→①)、さらに大学自体が「国際卓越研究大学」の候補に選定されたこともあり、志願者は10%増。東京工業大(4%減)など、他の難関理工系からの志望変更につながったと見られる(→④)。

例2:岐阜大-医〈医〉【前】
 岐阜大 – 医〈医〉【前】では、2段階選抜の予告倍率を2年連続で「募集人員の15倍→9倍→3倍」に引き締めた(→②)。これが敬遠材料となり、前年の志願者27%増の反動もあり(→①)、志願者は66%減。
 隣県の、福井大 – 医〈医〉【前】(26%増)、信州大-医〈医〉【前】(17%増)、三重大-医〈医〉【前】(71%増)の大幅増に影響した(→④)。

例3:奈良県立医科大-医〈医〉【前】
 奈良県立医科大 – 医〈医〉【前】では、2次を学科試験(数学・理科・英語)から小論文に変更(→ ②)。対策が立てにくくなり、前年の志願者56%増の反動もあり(→①)、志願者は75%減。三重大 – 医〈医〉【前】(71%増)、和歌山県立医科大-医【前】(76%増)の大幅増に影響した(→④)。

例4:長崎大-多文化社会【前】
 長崎大 – 多文化社会【前】は、2段階選抜(共テの外国語の得点率75%以上)を廃止(→②)。前年の志願者39%減の反動もあり(→①)、志願者は73%増。山口大 – 国際総合科学【前】(42%減)、長崎県立大-国際社会【前】(22%減)などの減少に影響した(→④)。


東北大・京都大・九州大が増加
志願者最多は大阪公立大

 表2では志願者数の多い順に、上位10大学を一覧にした。国公立の難関~準難関校が連なる中で、特に注目すべきは東北大・京都大・九州大といった難関校の人気アップだ。
【難関校】志願者数で第5位の東京大(1%増)は、文科一類(8%減)・二類(5%減)で2段階選抜を行わなかったが、全体では微増となった。北海道大(3%減)は後期が5%減。前年の10%増の反動に加え、東北大 – 経済・理の後期への志望変更もあった模様だ。関西では、京都大(5%増)・神戸大(3%増)と大阪大(3%減)で、やや対照的な志願動向となった。
 表2以外の大学も含めると、「初志貫徹」を反映し、東北大(9%増)・名古屋大(3%増)・九州大(4%増)が増加、東京医科歯科大(1%減)・一橋大(1%増)も安定。東北大は前年の8%減の反動に加え、前述のように「国際卓越研究大学」の候補に選定されたことで、難関校志望者の人気を集めた模様。一方、東京工業大は4%減、前年の10%増の反動に加え、学校推薦型・総合型の女子枠新設(6学院中4学院)による一般選抜の募集人員4%減も一因と見られる。
【準難関校】志願者数が最も多い国公立大は3年連続で大阪公立大。26年までに府内出身者を段階的に学費無償化する予定であることが人気材料になり、前年の志願者7%増の反動を相殺した模様で、微増(1%増)となった。
 その他の準難関校は、共創工学部を増設したお茶の水女子大(14%増)が大幅増、同じく情報科学系学部等を増設した千葉大(3%増)・熊本大(5%増)や、筑波大(3%増)・東京外国語大(3%増)・岡山大(7%増)はやや増加。
 一方で、横浜国立大(9%減)・広島大(6%減)は減少、東京都立大(3%減)もやや減少した。横浜国立大は2年連続大幅増(22年74%増→23年30%増)の反動と見られる。

【中堅校】各地区の国公立大中堅校も、基本的には「初志貫徹」ながら、25年新課程入試を控えた「後がない」意識からか、前年の志願者増減の極端な反動が随所に見られた。また、学校推薦型・総合型への募集人員の移行が影響した大学もある。
 その中で、表2にランクインした兵庫県立大は、大阪公立大と同様、26年までに県内出身者が段階的に学費無償化の予定となったことが人気材料となったようだ。
 特に変動が大きかった主な大学は次の通り。

①国立大
【志願者増】岩手大21%増、茨城大17%増、宇都宮大31%増、山梨大15%増、福井大64%増、奈良教育大16%増、鳥取大43%増、島根大39%増、香川大28%増、長崎大17%増
【志願者減】北海道教育大22%減、福島大13%減、群馬大10%減、富山大19%減、山口大24%減、宮崎大23%減
②公立大
【志願者増】秋田県立大21%増、横浜市立大11%増、都留文科大11%増、愛知県立大10%増、広島市立大36%増、北九州市立大25%増
【志願者減】岩手県立大11%減、高崎経済大10%減、埼玉県立大55%減、富山県立大32%減、周南公立大20%減、高知工科大30%減


 表3では、志願者の増加率が高い順に上位10大学を示した。表2と異なり、単科大学(1学部のみ)が6大学、公立が4大学を占めるが、福井大・鳥取大・島根大といった地方国立総合大学が名を連ねているのが目立つ。1位の宮崎公立大は人文系単科大ながら、志願者が2倍超に膨張。24年の人文系人気復活の象徴といえる。学外試験場増設という積極策も一因だが、同校も含め、表3の全大学で前年の志願者大幅減の反動が出ている。
 ちなみに、昨年は志願者87%増で1位だった浜松医科大は、やはり前年の反動から大幅減(27%減)となった。


志願倍率トップは下関市立大の情報系新設学部の中期日程

 次は、各入試日程で特に志願倍率(志願者数 ÷ 募集人員)が高い(低い)学部等を各20学部紹介する(表4~6。同倍率が多数の場合は小数点第2位以下まで比較し、それでも同倍率ならば20を超えて掲載。医学部医学科や看護学科などは1学部として扱う)。なお、「受験者数 ÷ 合格者数」で割り出す、実際の倍率を「実質倍率(または競争率)」という。
 まず、表4・5の「高倍率の学部等」から見ていこう。前期では医学部医学科が目立ち、変わらない難関ぶりを物語る。その中で、3位の釧路公立大 – 経済は「学科別募集→学部一括募集(2年次進級時に所属決定)」に移行。近年のトレンドである「Late specialization」が、志願者34%増の一因となった模様だ。
 後期・中期は募集人員が少なく、実施学部 ・学科も減っているので、最高倍率(42.4倍)の24年新設の下関市立大 – データサイエンス【中】など、前期以上の「超高倍率」になるが、欠席率の高さ(例えば後期の場合、前期の入学手続者が欠席するので、志願者の約60%が欠席)を割り引いて考える必要がある。公立大は中期の実施校が増え、後期も国立大に比べ多く残っていることから、併願先の私立大が限られる大都市圏以外の地域では、志願者が集中しがちだ。
 一方で、表6のように前期で志願倍率が1倍台のケースもある。岩手大 – 理工、富山大 – 理など、理工系が多いことに注目したい。なお、山口大 – 工【前】は隔年現象(22年61%減→23年75%増→24年43%減)によるもので、25年は再び揺れ戻す可能性があるので要注意だ。




第1段階選抜の不合格者は前・中・後期合計で8,812人

 最後に、前期、および後期・中期の2段階選抜の実施状況を紹介しよう。
 前期では、予告した学部(68大学178学部等)に対し、実際に行ったのは35大学55学部等で、前年より3学部等減ったが、第1段階選抜の不合格者は「23年3,811人→24年4,413人」と前年比16%増加した。大学別に見ると、不合格者が最も多い東京大では、6科類中2科類で第1段階選抜を行わなかったが、かえって23年より不合格者は増えた(691人→892人:29%増)。次いで東京工業大(407人)、東京都立大(360人)、一橋大(306人)、愛媛大(239人)…と続く。共テ平均点アップの影響からか、前期の志願者3%増の一橋大で39%増、同じく4%増の東京都立大でも37%増となった。難関校や医学科に対し、「初志貫徹」でやや強気な出願を行った結果といえる。
 一方、後期・中期では、予告した学部(47大学100学部等)に対し、実際に行ったのは29大学36学部等で、前年より4大学3学部等増えたが、第1段階選抜の不合格者は「23年4,671人→24年4,399人」とやや減少(6%減)した。公立大における減少(975人→718人)がほぼ影響している。大学別に見ると、最も多かったのが山梨大(853人)で、次いで一橋大(487人)、大阪公立大(423人)、東北大(276人)、福井大(274人)…と続く。東北大で不合格者が「なし→276人」、山梨大もほぼ倍増(99%増)する一方、宮崎大では「529人→50人」と10分の1以上に減少した。

【ここがポイント】
国公立大の志願状況を見るには「4つのポイント」を押さえよう
第1段階選抜の不合格者数は、前期で増加、後期・中期で減少


この記事は「螢雪時代(2024年5月号)」より転載いたしました。

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