入試動向分析

2024年の私立大入試はこう変わる!【2023年8月】

2023(令和5)年度

私立大の2024 年入試ガイドがほぼ出そろった。
「後がない入試」と言われる2024 年私立大一般選抜は何が変わるのか、
どのような大学・学部・学科が新設されるかを紹介する。


全体解説:
人気校の変更点総まとめ!
共テ利用方式の多科目化と英語外部検定の新規利用、理工系学部の新設が目立つ


「後がない入試」の意識から私立大は超安全志向になる?

 『螢雪時代』編集部では、全国の私立大から2024年(以下、24年。他年度も同様)入試の概要(科目・配点、募集人員、日程など)を掲載した「入試ガイド」を集めた。ここでは、主に全国各地区で志願者数の比較的多い大学の入試ガイドをもとに、23年から変更され、志望動向に影響しそうなポイントを、一般選抜、つまり独自入試と共通テスト(以下、共テ)利用方式を中心に紹介する。

 『螢雪時代』9月号付録『2024年 全国私立大学 入試科目・配点一覧』と、その解説記事と併せて活用し、志望校の入試情報をつかみ、得意科目を生かす効率的な受験対策や併願作戦を立てよう。詳細は各大学の入試ガイドや募集要項を必ず入手し、確認してほしい。なお、各大学のコロナ禍対応(追試験や他日程への振り替えなど)が、20年以前の対応(他の感染症と同等)に戻る可能性があるので、各大学のホームページで発表される情報を必ず確認してほしい。

 25年の新課程入試(現在の高校1・2年生が学ぶ新カリキュラムに基づく入試)を直後に控え、24年入試は浪人できない「後がない入試」と言われる。6月末現在、各私立大が発表した25年の予告を見る限り、24年と比べ地歴以外に大きな変化は見られないが、それでも不安が募ることだろう。こうした時、受験生は「超安全志向」に傾き、前年の入試結果(志願者増減や倍率の変化)の反動が最大の変動要因となりそうだ。

 導入4年目の共テは、新課程の共テを控えることもあり、大きな難易変動はなさそうだが、共テと私立大独自入試の対策の違いから、私立大専願者の「共テ離れ」は一層進みそう。また、23年の私立大一般選抜ではやや合格者を絞る傾向が見られた。難関校への「チャレンジ志向」が続く一方、中堅校では学校推薦型・総合型選抜(以下、推薦型・総合型と略)で「早く確実に」決める傾向が強まると見られる。

 そのため、私立大一般選抜は独自入試も共テ利用方式もやや志願者減が見込まれる。また、大都市圏のブランド校とそれ以外の大学で、志願状況の二極化は23年以上に見られそうだ。


青山学院大で共テ併用を縮小、近畿大で共テ利用を多科目化


①共テ利用方式の変更

 一般選抜の変更では、共テ利用方式における「多科目型」の導入が目立つ。要注目は近畿大。京阪神の「台風の目」となりそうだ。

【多科目化】近畿大の共テ利用前期では、法・薬など6学部に5教科7科目型、情報に5教科6科目型、国際・産業理工に5教科5科目型を追加。また、立命館大‒ 映像の2月選考に7科目型、京都橘大・追手門学院大は共テ利用前期に4科目型を追加する。23年共テの3科目受験者の減少(6%減)を受け、国公立大併願者に照準を定めたものと見られる。

【共テ併用型】独自入試と共テの成績を組み合わせる「共テ併用」方式の導入は、工学院大のB日程共テプラス型が目立つ程度。一方、成蹊大‒ 経済では共テ併用のM方式、日本社会事業大でも共テ併用B方式を廃止する。

【その他】日本赤十字系列の6看護大で共テ利用の共通入試を新規実施する(同時併願可)。


②独自入試の変更

 各大学の独自入試で注目すべきは、青山学院大の「独自入試回帰」と関西学院大の配点ウエートによる複線化。いずれも志願者増は必至だ。

【実施方法】青山学院大‒ 理工の個別学部日程B方式で共テ併用を廃止し、英語を「共テ→独自試験」に移行。社会情報の個別学部日程B・C・D方式でも共テ併用を廃止し、独自入試の2教科入試(B・C=数学・英語、D=英語・総合問題)に変更。21年に個別学部日程の共テ併用化を進めたが、再び独自試験に戻りつつある。

【新方式】23年まで共テ利用方式のみ実施していた豊田工業大が「個別学力試験入試」、産業医科大‒ 医もB方式と、初めて独自試験のみの方式を実施する。この他、名城大で一般K方式(A方式の受験が必要)を新規実施する。

【試験日程】関西学院大では学部個別日程を、配点により傾斜配点型と均等配点型に複線化。文系10学部で均等配点型を新規実施し、併願を可能とした。この他、専修大でスカラシップ入試の実施を2→3回に、全学部入試の実施を1→2回に増加。広島修道大は一般前期で試験日程を整理(5→3日間)、全日程でスタンダード(受験必須、全学共通問題)・高得点科目重視・共テプラスの3方式を同時実施。同時併願可とし、受験料のセット割引も導入する。


③英語外部検定利用の拡大

 独自試験や共テの英語の代わりに(または併用し)、英語外部検定を利用する方式の導入が続く。主な新規利用例として、大妻女子大の一般A方式Ⅰ期、共立女子大の一般2月日程、大東文化大・東京経済大の共テ利用前期、広島修道大の共テ利用前・後期が挙げられる。その他には、東京電機大で情報系資格が対象の「情報系外部試験利用」を新規実施する。


④受験生の経済的負担の軽減

【奨学金・特待生】国際基督教大で、首都圏(1都3県)以外の出身者対象の入学前予約採用型「ICU Cherry Blossom奨学金」を新設。また、東北学院大では北海道〜北関東の11道県出身で前期A日程の成績優秀者対象の「東日本地域別スカラシップ選抜」を、大東文化大も独自入試2科目の「桐門の翼奨学金試験」を新規実施する。

【受験料減額】関西学院大で学部個別日程(均等配点型)と共テ併用日程(英語)、英数日程と共テ併用日程(数学)の同時併願割引(2出願目が3万5千円→1万円)を導入。神戸学院大で共テ利用の受験料を減額(1万円→5千円)する。


⑤その他の変更

【募集形態】東京薬科大‒ 薬で男女別募集(男子部・女子部)を廃止し、一般選抜・推薦型・総合型のいずれも募集枠を統合する。


【ここポイント】

「後がない」意識と「共テ離れ」が影響か
首都圏の青山学院大、京阪神の近畿大、
関西学院大が「台風の目」に!?


主な変更点は何か?


●変更点一覧の見方

 文中、共通テストは「共テ」と略。「共テ併用」は、共テの成績と大学の独自試験を組み合わせた方式。学部・学科名は原則として略称とし、例えば「医(看護)」のように記載。入試方式・日程等も略称とし(例:一般選抜前期日程→一般前期、共テ利用入試前期→共テ利用前期)、変更点は「23年→24年」で表記した。また、誌面の都合上、学科単位の変更や、ほぼ変更のない大学は、原則として割愛した。


◎英語外部検定利用の表記について

出願資格=大学(学部・学科)が指定する基準(スコア・級)をクリアすれば出願でき、あとは英語以外の科目を受験し、その得点で合否が決まる(単に出願資格の場合もある)。

得点換算=大学(学部・学科)が指定する基準(スコア・級)をクリアすれば、英語を満点(または一定の得点)と見なして換算する。その他の入試科目の得点と合算し、合否を判定。

加点=スコアや級ごとに設定された得点に換算し、満点を超えない範囲で合計点に加える。共テや大学独自で実施する英語の受験が必要。


北海道・東北〜関東・甲信越


東京薬科大- 薬で男女別の募集枠を廃止・統合!

●北星学園大
 一般選抜・共テ利用選抜で主体性等評価票(ネット出願時に200字程度で入力)の提出を廃止。

●北海道科学大
 保健医療(看護)の一般前・後期の数学で「数学Ⅰ・A」も選択可に(従来は数学Ⅰ・Ⅱ・A・B)。

●東北学院大
 ①給付型奨学金制度「東日本地域別スカラシップ選抜」を新規実施。募集枠は36人。北海道~北関東の11道県出身者で、一般前期A日程の成績優秀者が対象。合格者に年間50万円を支給する。/②工(機械知能工、電気電子工)の共テ利用前期で国語を除外。/③地域総合の一般後期で、2学科間(地域コミュニティ、政策デザイン)の第二志望制を導入。

●東北工業大
 共テ利用2期を3→2科目に軽減。

●東北福祉大
 ①一般選抜でB・C日程をB日程に統合。/②一般B日程で小論文型→面接型に変更。

●国際医療福祉大
 ①成田薬学部を開設予定。/②一般前期・共テ利用選抜を特待奨学生S・Aの対象に追加(S=授業料相当額全額支給、A=50%支給、B=30%支給)。成田看護・小田原保健医療は特待奨学生Bの対象にも追加。/③福岡保健医療(理学療法、作業療法)の一般前期から小論文を除外。

●獨協医科大
 ①医の一般前期で地域枠(埼玉県、茨城県、新潟県。各2人)を新設し、1次試験で本学会場を廃止(東京会場のみで実施)。/②医で一般後期を新規実施。/③医の共テ利用を5→6科目に負担増。/④看護で募集人員増(一般A日程45人→70人、推薦型40人→65人)の予定。

●獨協大
 ①一般選抜の2・3科目学科別で「外検+(プラス)」併願時の受験料を無料に(従来は1万円)。/②法で「外検+」を導入し、外部検定試験活用型を廃止。/③一般選抜で立川・名古屋の2会場を廃止。

●文教大
 文・健康栄養で一般B日程を新規実施。

●青山学院大
 ①理工の個別学部日程B方式で共テ併用を廃止し、英語を「共テ→独自試験」に移行。/②社会情報の個別学部日程B~D方式で共テ併用を廃止し、独自試験の2教科入試(B・C=数学・英語、D=英語・総合問題)に変更。B方式は共テの国語・英語、C方式は数学・英語、D方式は英語・選択1教科(国語・地歴・公民)を廃止し、いずれも独自試験に英語を追加。

●亜細亜大
 経済・経営(ホスピタリティ・マネジメント)の一般入試(学科別)で2教科型を廃止。

●桜美林大
 一般前期で札幌・水戸・長野の3会場を増設。

●大妻女子大
 ①一般A方式Ⅰ期で英語外部検定を新規利用(得点換算)。/②文・人間関係(人間関係)・比較文化で、一般A方式Ⅰ期の2/1・2両日実施を導入(併願可)。/③家政(児童=児童教育)の一般A方式Ⅱ期で小論文→面接(口頭試問)に変更。/④文(コミュニケーション文化)の一般A方式Ⅱ期で小論文を廃止。/⑤人間関係(人間関係=社会・臨床心理学)で一般A方式Ⅱ期を新規実施。/⑥文(コミュニケーション文化)・社会情報(環境情報学)・人間関係(人間関係)の共テ利用B方式Ⅰ期で3科目型を追加。

●学習院大
 ①理(物理)の一般選抜プラス試験(他学部のメイン試験日に共通問題で選抜を行い、受験機会増)で、出願資格に英語外部検定を追加し、試験科目から英語を除外。/②理(生命科学)で一般選抜プラス試験を廃止し、共テ利用方式(4科目型・6科目型)を新規実施。

●共立女子大
 一般2月日程で外部英語検定利用方式を導入。

●国際基督教大
 入学前予約採用型の「ICU Cherry Blossom奨学金」を新設。首都圏(1都3県)以外の出身者対象で20人採用。入学金と授業料・施設費の3分の2を免除。

●工学院大
 全4学部でB日程共テプラス型(共テ1科目と独自B日程2科目の併用)を新規実施。

●杏林大
 ①医の共テ利用で英語を「必須→選択」に。/②保健の一般選抜をA(1/29・30)・B日程(2/6)に分割。/③保健の共テ利用、総合政策・外国語の共テ利用前期で、出願締切日を共テ本試験の「前→後」に繰り下げる。

●実践女子大
 人間社会、生活科学(現代生活)で共テ利用Ⅳ期を新規実施。

●上智大
 ①TEAP利用方式、学部学科試験・共テ併用方式で、出願締切日を「1/18→1/22」、2月の試験日程を「2/3~7→2/6~11」に繰り下げる。/②文・総合人間科学の学部学科試験・共テ併用方式の試験日を、学科により2日間(2/7・8)に分割。

●成蹊大
 経済で独自・共テ併用のM方式を廃止。

●清泉女子大
 ①一般A日程で2教科選択方式を追加。/②共テ併用のB日程を新規実施(共テ1科目+小論文。従来のB日程はC日程に移行)。/③併願受験料割引の範囲を、同日程内に加え、A~C日程の間にも拡大。/④一般A・C・D日程の英語外部検定利用で、下限を英検準2級相当に緩和。/⑤共テ利用中期を廃止し、同後期に3・4科目方式を追加。

●専修大
 ①スカラシップ入試(奨学生入試)の実施を2→3回に増加(2/12を追加)。/②全学部入試の実施を1→2回に増加(2/9を追加)。/③経営の一般前期にB方式(選択科目重視)を追加。

●大東文化大
 ①共テ利用前期で英語外部検定を新規利用(英語民間型。得点換算)。/②独自入試2科目の「桐門の翼奨学金試験」を新規実施。奨学金対象(100人)の他、一般選抜免除合格(入学定員の10~12%程度)もある。

●拓殖大
 ①一般選抜の受験料を増額(3万2千円→3万5千円)する代わり定額制を導入(いくつ併願しても同額)。/②共テ利用前期に4教科型を追加。

●中央大
 ①総合政策の共テ併用方式で、個別試験の英語の基準点(平均点に該当)を廃止。/②経済の共テ単独方式で募集枠を削減(40人→20人)。

●東海大
 体育の一般選抜に筆記試験型(実技なし)を追加。

●東京経済大
 共テ利用前期で英語外部検定を新規利用(得点換算)。

●東京工科大
 ①奨学生入試で札幌・宇都宮・高崎・横浜・大阪の5会場を増設。/②工・コンピュータサイエンスの共テ利用前期で2科目型を追加。/③共テ利用後期を2科目型に統一する。

●東京女子大
 ①現代教養学部数理科学科に「情報数理科学専攻」を増設予定。/②現代教養の文系10専攻の共テ利用3教科型で、国語から漢文を除外。/③現代教養(人文=哲学)の一般3月期(専攻特色型)で、共テの国語を「必須→選択」とし、地歴・公民・数学・理科も選択可に。/④現代教養(人文=日本文学)の一般3月期(専攻特色型)で共テを2→3科目に増加し、小論文を追加。

●東京電機大
 一般選抜(情報系外部試験利用)を新規実施。指定の情報系有資格者が対象で、理科を免除。一般前期との併願時は受験料を減額する。

●東京薬科大
 ①薬学部で3→1学科に統合。/②薬で男女別募集(男子部・女子部)を廃止し、一般選抜・推薦型・総合型とも募集枠を統合。/③一般B方式Ⅱ期をT方式に改称し、薬・生命科学の2学部共通試験に変更(同時併願可)。

●東洋大
 ①生命科学部と食環境科学部を「群馬県邑楽郡板倉町(生体医工学科は埼玉県川越市)→埼玉県朝霞市(一部、東京都北区)」にキャンパス移転。/②独自入試における新規実施は次の通り。経済(総合政策)=中期3教科数学重視、経営(経営)=前期・中期3教科英語重視、国際(国際地域)=前期4教科均等配点・中期3教科英語重視、国際(地域総合)=前期3教科均等配点、国際観光=中期3教科数学重視、健康スポーツ科学(健康スポーツ)=中期3教科均等配点(理系)、理工(建築)=前期3教科数学重視・理科重視。/③共テ利用方式における新規実施は次の通り。文(英米文)=前期5教科均等配点、文(教育‒ 人間発達)=前期4教科英語重視、文(哲学)=中期3教科均等配点、社会(社会、社会心理)=前期3教科数学重視、国際=前期5教科均等配点、理工(応用化学)=前期3教科理科重視・5教科均等配点、生命科学・食環境科学(食環境科学、フードデータサイエンス)=前期5科目均等配点。

●日本大
 ①N全学統一方式2期で千葉会場を増設。/②生産工でN全学統一方式2期を新規実施。/③芸術(音楽=音楽教育、弦楽打楽)でN全学統一方式1期を新規実施。/④生物資源科学のA個別方式1・2期で学科間の第2志望を廃止し、学外試験場を削減(1期=札幌・長野、2期=仙台・福岡)。/⑤芸術(写真)のA個別方式から小論文を除外する。

●日本医科大
 医(医)で共テ併用方式を「後期→前期」へ日程変更し、英語外部検定を新規利用。

●日本社会事業大
 社会福祉で共テ併用B方式を廃止。

●日本獣医生命科学大
 獣医(獣医)で一般1回(独自試験方式)の募集枠を37人→42人に拡大。

●日本赤十字看護大
 共テ利用の「6看護大学連携併願選抜」を新規実施。日本赤十字学園が設置する6大学(日本赤十字北海道看護大・同秋田看護大・同看護大・同豊田看護大・同広島看護大・同九州国際看護大)の共通試験で、共テ3または4科目(国語・英語必須)を受験すれば、1回の出願で複数の大学を同時併願できる。

●明治学院大
 社会の一般A日程の英語外部検定試験利用型を「出願資格方式→得点換算方式」に変更。

●立教大
 文(ドイツ文学)の共テ利用で4科目型を廃止。

立正大
 経営で共テ利用後期を新規実施。

●神奈川大
 ①法・経済・外国語(英語英文IES、スペイン語)・国際日本・人間科学で共テ利用後期を新規実施。/②外国語(英語英文GEC)で一般B方式(得意科目型)を新規実施。

●北里大
 ①健康科学部を開設予定(新潟県南魚沼市)。/②獣医(生物環境科学)の2年次以降のキャンパスを移転(青森県→神奈川県)。/③獣医の一般中期で仙台会場を廃止。/④獣医(動物資源科学)で共テプラス選抜(共テ併用)を廃止、一般中期の募集枠縮小(25人→10人)。/⑤理の一般選抜で学科間の第2志望制を廃止。/⑥海洋生命科学の一般後期の募集枠縮小(15人→5人)。


北陸・東海〜九州


関西学院大の文系10学部が学部個別日程を配点で複線化

●金沢工業大
 学外試験場を変更。一般試験Aで豊橋、同Bで千葉を廃止し、いずれも姫路に新設。

●愛知工業大
 全学で前期Aw方式(最高得点重視型)を新規実施。前期A方式(受験必須。均等配点)の高得点科目を2倍にし、3教科3科目で判定。

●愛知淑徳大
 ①健康医療科学(医療貢献)に理学療法学・臨床検査学の2専攻を増設予定。/②一般前・後期の国語の出題範囲から漢文を除外。/③グローバル・コミュニケーションの一般前期で英語の配点を変更(3教科型=200点→100点、2教科型=150点→100点)

●椙山女学園大
 ①一般入試Aで2教科型に加え、3教科型を新規実施。/②一般入試A(共テ併用型)の判定方法を「個別の高得点1科目→共テの高得点1科目→個別・共テの中で次に高得点1科目」の採用に変更。/③共テ利用Aで、人間関係(心理)に3教科型、看護に5教科型を追加。/④国際コミュニケーション(表現文化)で一般入試B(小論文型)を廃止。

●豊田工業大
 独自入試の「個別学力試験入試」を新規実施(従来は共テ利用のみ実施)。

●名城大
 法・経営・経済・人間・都市情報・農で一般K方式を新規実施(A方式の受験が必要)。

●鈴鹿医療科学大
 ①一般A日程で金沢・那覇の2会場を廃止。/②一般B日程を特待生選考対象に追加。/③共テ利用後期で2科目判定型(調査書点数化なし)を新規実施。

●京都橘大
 ①一般前期A・B日程で学外試験場を福井に新設。/②共テ利用前期で4科目型を新規実施。合格者は新設の給付型「共通テスト受験奨励奨学金」(年間40万円)の受給対象となる。

●同志社大
 ①政策の全学部日程で、選択科目の配点を200点→150点に変更。/②社会(メディア)の共テ利用方式で共テを3→4科目に増加し、小論文を廃止。/③スポーツ健康科学の共テ利用(スポーツ競技力加点方式)で募集人員減(19人→15人)。

●立命館大
 ①映像学部を京都市、情報理工学部を滋賀県草津市から、大阪府茨木市へキャンパス移転。/②映像の共テ方式(2月選考)に7科目型を追加。/③スポーツ健康科学の共テ方式(2月・3月選考)に3教科型を追加。

●龍谷大
 ①一般選抜で先端理工と農の同日同時併願が可能に。/②文(英語英米文)で一般前・中期に英語重視方式(500点中、英語400点)を追加。また、一般前期に共テ併用リスニング方式(共テ=英語リスニング、独自=英語)、一般中期に共テ併用外国語方式(共テ=外国語、独自=英語)、共テ利用後期に外国語1教科方式を追加。/③先端理工の一般後期を3→2教科に軽減。

●追手門学院大
 ①共テ利用前期で4教科型を追加。/②一般前期に地歴公民重視型を追加。/③国際の一般前・後期に、英語1教科の国際学部独自型を追加。

●大阪医科薬科大
 薬の一般入試Bで募集枠を縮小(50人→40人)し、学外試験場を変更(広島・高松・福岡を廃止し、岡山に増設)。

●大阪経済大
 一般A方式で神戸会場を増設。

●大阪経済法科大
 一般選抜の受験料を増額(1万円→2万円)、共テ利用入試は減額(1万円→5千円)。ただし、定額制(複数併願無料)は従来通り継続。

●大阪工業大
 ①知的財産の前期A日程で3→2教科に軽減。/②知的財産、情報科学(データサイエンス)で、前期C日程文系総合型と後期C日程文系型(それぞれ共テ利用)を4→3科目に軽減。/③情報科学(データサイエンス=文系型)に共テ併用の前期AC日程・BC日程、後期DC日程を追加。

●大阪歯科大
 ①歯の一般後期で2→3教科に負担増。/②歯の一般前・後期で、オプション方式として高得点1教科型・2教科型を新規実施(受験3教科中の高得点教科と小論文・面接で判定)。/③共テ利用前期・後期ともに、新たに2科目型・3科目型の2方式で実施(理科2科目可)。

●関西大
 ①外国語の全学日程2の2教科型で、英語外部検定の利用方法を変更。基準を満たした場合、「満点とみなし、個別の英語を免除」→「点数化し、個別の英語と比較し、高得点の方を利用」。/②全学日程2と共テ併用で滋賀・米子・沖縄に会場を増設。/③環境都市工の共テ併用で「4科目型(個別=数学)」「4科目型(個別=数学または理科)」、共テ前期で4科目型を追加。

●関西医科大
 ①看護の共テ利用で5教科型、リハビリテーション(理学療法)の共テ利用で4教科型を新規実施。/②リハビリテーション・看護の一般選抜で英語外部試験利用制度を導入(得点換算)。

●近畿大
 ①法・経営・建築・薬・文芸・総合社会の共テ利用前期に5教科7科目型を追加。/②情報の共テ利用前期に5教科6科目型を追加。/③国際の共テ利用前期で2教科2科目型を廃止し、5教科5科目型を追加。また、共テ利用中期(3教科3科目型)で英語・国語を「必須→選択」に変更。/④工の共テ利用前期で4教科4科目型・4教科5科目型を廃止し、5教科5科目型を追加。また、共テ利用中期(4教科4科目型)で数学・理科を「必須→選択」に変更。/⑤産業理工の共テ利用前期に5教科5科目型を追加。/⑥建築・農の共テ併用A日程で、共テを3→2科目に軽減する。

●摂南大
 ①共テ利用中期で3→2科目に軽減。/②共テ利用後期に2科目型を追加。/③一般前期(1/20・21)に2科目型を追加、従来の前期2科目型(2/9)は「中期」に名称変更。/④一般前期で草津会場(滋賀県)を増設。

●関西学院大
 ①学部個別日程を、「傾斜配点型(2/3・4)、均等配点型(2/6・7)」に複線化。文系10学部(神・文・社会・法・経済・商・人間福祉・国際・教育・総合政策)で均等配点型を新規実施。/②国際・教育で共テ併用日程(数学)を新規実施。/③文系10学部で学部個別日程(均等配点型)と共テ併用日程(英語)の同時併願減額制度(2出願目が3万5千円→1万円)を導入。/④法・経済・商・国際・総合政策・理・工・生命環境・建築で、英数日程と共テ併用日程(数学)の同時併願減額制度(同上)を導入。

●甲南大
 一般後期で、理工(物理)は面接を、マネジメント創造は面接から「英語での質疑応答」を除外。

●甲南女子大
 共テ利用Ⅱ日程で面接を追加。

●神戸学院大
 ①共テ利用入試の受験料を減額(1出願目=1万円→5千円、2出願目以降=5千円→2千円:同一日程に限る)。/②薬の共テ利用前・後期で、共テの数学・理科を各2→1科目に軽減。また、前期共テプラス型で共テを「2〜4科目」→2科目、中期共テプラス型で共テを3→2科目に軽減。

●兵庫医科大
 ①共テ利用面接併用型を廃止。/②看護・リハビリテーションで共テ利用後期を新規実施。

●岡山理科大
 一般入試最終日程を新規実施(3月下旬。1科目型)。

●広島工業大
 ①一般A日程の試験日を「2→3日間」に延長、B日程を「2→1日間」に短縮。/②一般A日程で東京・名古屋・那覇の3会場を増設。/③一般A日程受験者のB・C日程併願時の受験料割引(半額)を導入。/④共テ利用の受験料を減額(2万円→1万5千円)

●広島修道大
 ①人文学部で「人間関係学科→社会学科」に改組予定。/②一般前期が、23年の「A・B日程(スタンダード方式)、C日程(英語資格加点方式)、D・E日程(高得点科目重視方式)」の5日間実施から、A~C日程の3日間実施に短縮。全日程で1日1学科につきスタンダード方式(受験必須。全学科共通問題の3科目型)、高得点科目重視方式、共テプラス方式(独自・共テ併用)の3方式を実施し、スタンダード方式の出願学科について同時併願可。その場合の「3方式セット割引」(7千円減額)も導入。また、1日につき「1学科のみ出願可」から「2学科まで併願可」となり、最大6併願可能に。/③一般・共テ併用選抜を一般前期に移行し、共テプラス方式に名称変更。法(法律)で新規実施。/④一般前期で英語資格加点方式を廃止。一方、共テ利用前・後期、一般前期の共テプラス方式で英語外部検定を新規利用(得点換算。高得点利用)。

●産業医科大
 医で一般選抜を3方式に複線化。A方式は「1次=共テ、2次=独自試験の合格者に小論文・面接を実施」で募集60人。B方式は「1次=独自試験、2次=小論文・面接」、C方式は「1次=共テ、2次=小論文・面接」で各5人募集。

●日本赤十字九州国際看護大
 ①共テ利用前期で、共テを「4または5科目→3または4科目」に軽減。/②共テ利用後期で英語外部検定利用を導入(加点)。/③一般後期を新規実施(英語・小論文・面接・調査書)。

●福岡大
 ①理学部で「ナノサイエンス・インスティテュート」を募集停止。/②理の一般前期で、物理科学科に「物理重視型」、化学科に「化学重視型」を追加。/③スポーツ科学で一般前期・共テ併用型を新規実施。/④薬で共テ利用Ⅲ期を新規実施。

●福岡工業大
 社会環境の共テ併用型選抜で、個別試験の科目を「エッセイ→国語・数学から1」に変更。

●熊本学園大
 ①社会福祉学部第一部で福祉環境学科を募集停止。/②商・経済の一般前期にB方式(数学重視型)・C方式(英語重視型)を追加。

●立命館アジア太平洋大
 英語重視方式で英語外部検定を新規利用(得点換算)。


新増設の大学・学部等は?


女子大中心に情報・建築・心理系の増設予定が目立つ

 ここからは、全国の私立大(専門職大学を含む)について、24年度に新設予定の大学・学部・学科等(既存の学部・学科の組織改編を含む)を紹介する。

 大学の新設予定、学部・学科の増設予定(認可申請分)、さらに学部・学科の改組・再編等に伴う増設で、4月末までに文部科学省に「設置届出」があったもの(6月末発表)を、下の添付ファイルに掲載した。

 学問分野や教員組織等を大きく変えないなど、一定の条件を満たす場合に限り、文部科学大臣に届け出れば学部・学科等を増設できる(設置届出)。その他の学部・学科増設や、大学の新設には「認可申請」が必要で、最終的には8月末に正式認可される予定だ。


●大学の新設と募集停止

 4大学が開設を申請中。このうち3大学が看護・医療系の学部のみで構成される。また、私立専門職大学の新設予定はない。

 一方、恵泉女学園大・神戸海星女子学院大の2大学、東京福祉大短大部・植草学園短大・実践女子大短大部・愛知医療学院短大の4短大が募集停止される予定だ。


●学部・学科増設(設置届出)

 4月末までの届出分は、学部等の増設(既設学部の改組を含む)が千葉工業大- 情報変革科学・未来変革科学、実践女子大- 国際、日本女子大- 建築デザイン、椙山女学園大- 外国語、京都女子大- 心理共生など18大学22学部、学科増設が21大学24学部32学科等となった。

 届出は12月まで随時受け付けられ、今回の掲載分は24年度の一部に過ぎない(5月以降の届出分の一部を「変更点一覧」に掲載)。


●学部・学科増設(認可申請)

 認可申請は、学部増設が順天堂大- 薬、明治学院大- 情報数理など10大学11学部、学科増設が4大学4学部4学科。今回の申請で私立大の定員は約1,200人増える(大学新設を含む)。

 さらに、別途申請された定員増(約1,300 人)を加え、募集停止予定の2大学を除くと、私立大全体の定員は約2,100人増える(以上、通信教育課程と編入学定員を除く)

 この他、学部・学科とは別に、甲南大で「学部等連係課程実施基本組織」の申請があった。これは学内の既存の学部等が連係し、学問分野横断型の教育プログラムを行うための組織だ。


●新設大学・学部・学科の特徴

 分野別に見ると、国の理・工・農学系拡大の施策を受け、理工系学部の増設が目立つ。中でも多いのが情報系と建築系だ。また、医療系も大阪歯科大- 看護など8大学と、相変わらず多い。一方、文系では神戸女学院大- 心理など心理系の増設が目立つ。この他、芝浦工業大- 工の学部改組(9学科→5課程)、武庫川女子大-薬(薬)の定員減(210人→ 105 人)も要注目。

 女子大における活発な増設・改組も24年の特徴だ。女子受験生の志望分野の多様化や共学志向の強まりを受け、従来カバーしていなかった分野へ進出する一方、人文系の学部等を統合するなど「生き残り戦略」として注目される。

 新設大学・学部・学科等の詳細は、案内パンフレットや募集要項などで必ずチェックし、不明の点は入試担当者に問い合わせてほしい。特に、申請時とは名称や定員が変更されている場合があるので、注意してほしい。


【ここポイント】

4大学が新設、2大学が募集停止の予定
情報・建築・心理系の増設が目立つ
女子大で増設・改組が活発化

  

2024年度/私立大学の新設予定大学・学部・学科一覧(認可申請分+設置届出<4月分>)


この記事は「螢雪時代(2023年9月号)」より転載いたしました。

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