夏休みを前に、各大学の2023年(以下、23年。他年度も同様)入試結果データがほぼ出そろった。
ここでは、国公立大、私立大それぞれの一般選抜の結果を最終チェック。
さらに、新増設や科目変更など、24年入試の最新情報も紹介する。
※この記事は「螢雪時代(2023年8月号)」の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)
全体解説:一般選抜の結果を見ると、国公立大は全体的に安定、私立大は中堅校が易化。理系の資格志向が顕著。
国公立大:
東京工業大・一橋大・横浜国立大が難化か
国公立大の23年一般選抜の実施結果を『螢雪時代』編集部で調査したところ、全体の集計では22年に比べ、国立大が「志願者2%減、合格者1%減」で、倍率(実質倍率。受験者÷合格者)は2.6倍→2.5倍(22年→23年。以下同じ)とややダウン。一方、公立大(別日程実施の大学を除く)は「志願者1%減、合格者1%増」で、倍率は2.9倍と前年並みだった。
日程別に見ると(グラフ2)、公立大中期の倍率ダウンが目立つが、その他は前年並みか、わずかなダウンに留まった。
大学入学共通テスト(以下、共テ)の平均点が大幅アップ(グラフ1)。特に数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bの易化が文理ともに影響を及ぼし、幅広い学力層の国公立大への出願を後押しし、「初志貫徹」の出願傾向に結びついた。
また、22年以上にコロナ禍対応が進み、遠隔地受験への心理的ハードルが下がり、「大都市圏志向」が強まったことも、難関~準難関校の志願者増につながったと見られる。一方、共テの平均点アップで目標ラインが上がり、国公立大にぎりぎり手が届く学力層が、募集枠が小さい後期の出願をあきらめた模様だ。
各大学の実質倍率(全学の合計。受験者数÷合格者数。ただし、*は志願者数÷合格者数)の変動を見てみよう。
難関校では、情報系学部増設で志願者14%増の一橋大(4.0倍→4.6倍*)、24年に東京医科歯科大と統合予定の東京工業大(3.9倍→4.3倍*)の倍率アップが目立つ。また、北海道大(2.7倍→2.8倍)・京都大(2.7倍→2.8倍)もややアップ。一方、東北大(2.9倍→2.3倍)はダウン、東京大(3.2倍→3.1倍*)・神戸大(3.0倍→ 2.9 倍)もややダウンした。
準難関校では、横浜国立大(2.6倍→3.6倍)が「受験者36%増、合格者1%減」のため倍率大幅アップし、難化したと見られる。この他、東京農工大(2.5倍→3.0倍)・大阪公立大(4.3倍→4.6倍)のアップ、一方で東京外国語大(2.5倍→ 1.8 倍)・国際教養大(5.4 倍→ 4.4 倍)のダウンが目立った。
各地区の中堅校では、毎年繰り返されるのだが、前年の極端な反動が見られた。倍率の変動が目立った主な大学は次の通り。
【倍率アップ】北海道教育大1.6倍→2.0倍、室蘭工業大2.6倍→3.3倍、宮城教育大1.3倍→2.1倍、静岡大2.1倍→2.4倍、名古屋工業大2.6倍→3.2倍、山口大2.0倍→2.6倍、宮崎大2.8 倍→3.7 倍 【倍率ダウン】弘前大2.7倍→2.2倍、茨城大2.2倍→ 1.8 倍、山梨大4.0 倍→3.4 倍、福井大2.9倍→1.8倍、岐阜大3.6倍→2.8倍、奈良女子大2.7倍→2.3倍、鳥取大2.4倍→1.8倍、徳島大3.1倍→2.5倍、香川大2.6倍→1.8倍、高知大2.3倍→1.9倍、長崎大2.4倍→2.0倍、岩手県立大3.6倍→2.8倍、福井県立大2.8倍→2.0倍、愛知県立大3.1倍→2.7倍、島根県立大2.5倍→ 1.8 倍、熊本県立大2.8 倍→1.9 倍 |
学部系統別に見ると(グラフ3)、志願状況に比例して、医、歯、薬といった医療系の倍率アップが目立つ。理系では農・水畜産・獣医もやや倍率アップし、「理系の資格志向」で人気を集めた化学・生物系が難化した模様だ。
他方、経済・経営・商、文・教育・教養、国際・国際関係、外国語と、文系で倍率ダウンが目立つ。理、工もやや倍率ダウンしたものの、全体に弱めの「文低理高」といえる。
私立大:
志願者4%減、合格者2%減 「産近甲龍」が倍率アップ
『螢雪時代』編集部の私立大一般選抜結果調査(530大学集計:志願者303.8万人)によると、22年に比べ全体で「志願者4%減、合格者2%減」、倍率は2.9倍→2.8倍(ここでは志願者÷合格者。以下、特に注記のない場合は同じ)とややダウンした。コロナ禍以降、私立大一般選抜は「21年=志願者15%減・合格者7%増、22年=志願者増減なし・合格者5%増」(文部科学省集計)と易化し続けた。その反動もなく、大学受験生数の減少(2%減)を超える志願者減となったが、合格者増の傾向は落ち着いた。
入試方式別では、各大学の独自入試は「志願者4%減、合格者4%減」で倍率は3.1倍と前年並み。一方、共テ利用方式(独自入試との併用を含む)は「志願者3%減、合格者1%増」で、倍率は2.5倍→ 2.4倍とややダウンした。
共テ利用方式の志願者減の一因に、共テの3科目受験者の減少(6%減。共テ全体では3%減)が挙げられる。センター試験に比べ、私立大の独自入試とは対策の違いが大きくなり、私立大専願者の「共テ離れ」が進んだといえる。
コロナ対応の進展に加え、21・22年の易化が「チャレンジ志向」に結びつき、首都圏や京阪神の「ブランド校」で人気アップが目立った。一方、家計不安から併願校絞り込みが行われ、中堅校は軒並み大幅減と「二極化」したが、ここ数年の合格者増の傾向から一転、いずれも合格者を抑え目に出したことが注目される。
定員管理の方式が「入学定員の単年度管理」から「収容定員の複数年度管理」に変わり、柔軟な運用が可能になったため、21・22年の合格者増に対し、調整を行った可能性がある。
また、中堅校は募集の比重を一般選抜から学校推薦型・総合型選抜(以下、推薦型・総合型)に移しつつあり、早期の入学者確保のため、推薦型・総合型の合格者を増やしたところ、入学手続率も上がったため、一般選抜の合格者を増やす余地がなくなったものと見られる。
志願者数の上位10大学(表1)の入試結果を見ると、6大学で実質倍率(受験者÷合格者。ただし、*を付した大学は志願者÷合格者)がアップ。特に、中央大・近畿大の合格者大幅減による倍率アップが目立つ。
この他、主な大学のうち、実質倍率のアップダウンが比較的大きかった大学は次の通り。
【倍率アップ】学習院大3.3倍→3.6倍、芝浦工業大3.2倍→3.5倍、東京電機大4.6倍→4.9倍、京都産業大2.8倍→3.2倍、龍谷大2.5倍→ 3.0 倍、甲南大2.5 倍→ 3.0 倍 |
地区別の集計を見ると(グラフ4)、関西のみ倍率アップし、その他の5地区はダウン。関西では、いわゆる「産近甲龍」がそろって倍率アップ。また学部単位では、関西大-法の合格者31%減に、近畿大-法(36%減)、龍谷大-法(27%減)など、地区内の同系統の併願校が追随して合格者を減らしたのが注目される。
学部系統別に見ると(グラフ5)、私立大の主軸といえる経済・経営・商をはじめ、文系学部は全体に志願者減が顕著だが、合格者も減少したため、小幅な倍率ダウンか前年並みに留まった。理系学部は、医と農・獣医畜産・水産が「志願者増・合格者減」で倍率アップしたが、その他は理・工の合格者微増もあり、全体ではやはり小幅な倍率ダウンとなった。倍率面では緩やかな「文低理低」状態といえる。
グラフ6で文理別・難易ランク別の志願者・合格者動向(5月30日現在:駿台予備学校の集計)を見てみよう。ここでいう難易ランク(第3回駿台・ベネッセ共通テスト模試での合格可能性60%ラインによるグループ分け)は、同じ大学内でも学部によって異なるが、おおむね、Aランクは難関校や難関医科大、Bランクは準難関校、Cランクは中堅上位校、D~Eランクは中堅クラスを指す。
文系では、A・Bランクが志願者・合格者とも小幅な増減で安定しているが、C~Eランクは「志願者減・合格者減」、特にD・Eランクで顕著。一方、理系もA・Bランクは小幅な増減で安定しているが、Cランクで合格者増が目立ち、D・Eランクはやはり「志願者減・合格者減」。文理ともにC・Dランク、つまり中堅上位校とその併願校が倍率ダウンした様子が見て取れる。D・Eランクは推薦型・総合型で入学者の多数が決まる大学が多く、一般選抜の規模縮小に歯止めがかからない模様だ。
また、全国の私立大を、大学単位の競争率(実質倍率)グループ別に分類し、22・23年で比較すると(グラフ7)、3~5倍台はほぼ変わらず、2倍台が減少、1倍台が増加と低倍率校で動きが目立った。難関~準難関校の倍率安定に対し、推薦型・総合型の合格者増が顕著な中堅校は、一般選抜の受験者層が厚みを失い、ますます低倍率化が進行したものと見られる。
合格者成績の実例を見ると?
国公立大:
共テ・2次の配点比率で合格者の成績分布も変わる
「倍率」とともに気になるのが、合格者の最低点や平均点といった「合格者データ」だろう。
合格最低点は合否の分かれ目になる、いわゆる「ボーダーライン」。合格平均点は、総じて最低点より得点率(%)にして5~10p(ポイント)程度高い。合格最低点は「最低目標」として重要なデータなのだが、確実に合格を目指すには、「合格者平均点」のレベルまで学力アップしておくことが望まれる。
23年入試の例として、岡山大の前期日程の合格者データを見てみよう(表2)。後期を全学部で募集停止し、法[昼]・経済[昼]・医(保健)・工・歯で前期の募集枠を拡大した。
総合点を得点率(%)に換算し、各学部・学科等を分野別にまとめて平均すると、文系・教員養成系で「最低63%・平均68%」、理工農系で「最低57%・平均62%」、医療系で「最低66%・平均71%」となる。合格するには、文系・教員養成系で60%台後半、医療系で70%前後(医は80%前後)、理工農系で60%前後の得点が必要だったのだ。
また、合格者平均点を共テ・2次(個別試験)ごとに平均すると「文系・教員養成系=共テ70%・2次65%、理工農系=共テ68%・2次59%、医療系=共テ75%・2次68%」となる。マーク式の共テに比べ、記述式の2次の方が得点しにくかったことがわかる。
このうち、配点が共テ重視の文学部と、2次重視の理学部化学科を比較してみよう。
文学部の配点は「共テ750点、2次400点、総計1,150点」。合格者は、共テでは得点率64%~85%(平均75%)に分布し、最高・最低の差は21p。2次では得点率45~80 %(平均66%)に分布し、最高・最低の差は35p。配点の少ない2次の方が最高・最低の差が大きく、共テの得点である程度合否が決まったといえる。
一方、理学部化学科の配点は「共テ900点、2次1,400 点、総計2,300 点」。合格者は、共テでは得点率59~79%(平均69%)に分布、最高・最低の差は20p。2次では得点率46~71%(平均58%)に分布し、最高・最低の差は25p。配点の少ない共テと配点の多い2次で、最高・最低の差があまり変わらず、2次の得点力も合否に強く影響したことがうかがえる。
私立大:
合格ライン周辺から入試の実態を把握しよう
次に、私立大一般選抜の「合格ライン」付近の状況を見てみよう。国公立大と同様、合格への道標となる大切なデータだ。
グラフ8に、龍谷大- 経済(前期日程:文系型スタンダード方式)の23年入試で、合格ライン付近の人数分布を示した。同方式の科目・配点は「英語」「国語」「世界史、日本史、政治・経済、数学から1」の3科目で各100点、計300点。受験者数2,248人に対し合格者数379人で、実質倍率は5.9倍。合格最低点は190点(得点率63.3 %)だった。その分布状況を見ると、
①合格最低点を含め、上10点幅のゾーンに150人と、全合格者の約40%が集中している。 |
合格ライン付近では、総合的にほぼ同じ学力の受験生がひしめき合い、わずか1点差で合否が決まる。では、“1点差”を争う合格ラインを、どうやって突破するのか?
グラフ8の右側に、合格最低点とその1点下の受験者から、特徴のある得点パターンをピックアップした(科目ごとの得点は、中央値補正法を行った得点調整後の点数で小数第2位まで表示)。ここからわかるのは、「得意科目」の大切さと、「苦手科目」克服の必要性だ。
3科目入試では、1科目で得点が伸びなくても、他の科目でカバーできることが多い。Aさんのように得意科目があれば、他が普通、またはやや苦手であっても心強い。ただし、Cさん、Dさんのように苦手科目の失点が大きすぎると、カバーしきれず1点差に泣くことになる。
得意科目の優位を生かすには、苦手科目を「やや苦手~普通」までにレベルアップし、最低でも5割以上の得点はほしい。私立大一般選抜で合格確実なライン(7割台)をクリアするためには、得意科目(8割台)を持ち、残り2科目で7割台と6割台をキープしよう。
【ここポイント】
国公立中堅校で前年の極端な反動も
私立大は難関校と中堅校で二極化が顕著
人気校の合格ライン際は激戦!
24年変更点は何か?
共テの日程は23年と同時期
追・再試験は全国2会場に
ここからは、国公立大・私立大の24年入試について、6月中旬までに判明した主な変更点の一部を紹介する(以下、新増設大学・学部等については全て予定)。なお、推薦型・総合型と一般選抜の変更、国公立大の新増設・改組については、5・6月号に掲載したものを除いた。
24年度共通テストは1月13日・14日に本試験、2週間後の27日・28日に追・再試験が行われる。大学入試センターから各大学への成績提供は23 年と同時期(2月5日以降)になる。
このため、国公立大の出願締切日は2月2日に決定し、私立大の共テ利用方式の合格発表日も23年とほぼ同時期になる見込み。ただし、共テ追・再試験の会場は、21〜23年の全都道府県への設置から、コロナ禍以前の「全国2会場(東・西日本に各1会場)」に戻る。また、各大学の対応(追試験や他日程への振り替え)も20年以前の対応(他の感染症と同等)に戻っていく可能性もあるので要注意だ。
各大学の入試日程や、以下に紹介する変更点については、7月中に発表される国公立大の選抜要項、私立大の入試ガイド(印刷物、あるいはホームページ)などで必ず確認してほしい。
理工系の推薦型・総合型で
女子枠の新設が相次ぐ
24年は国公立大・私立大ともに、入学者中の女子比率が低い理工系学部の推薦型・総合型で「女子枠」の新設が目立つ。5月号で紹介した国公立大(北見工業大・東京工業大・熊本大)以外に、次の大学・学部等で新設する。
【国公立大】山梨大-工の共テ免除推薦に女子枠を新設(14人)/金沢大-理工学域で共テを課す「女子枠特別入試」を新規実施/大分大- 理工で推薦型に女子枠を新設(13人)/琉球大-工で、共テ免除総合型と共テを課す推薦型に女子枠を新設(各10人)/高知工科大-データ&イノベーション学群の推薦型で女子枠を新設。
【私立大】東北工業大-工で「公募制推薦型女子特別選抜」を新規実施。合格者対象の給付型奨学金制度も新設/玉川大-農・工で「理工系女子総合型入学審査」を新規実施/東京理科大-工・創域理工・先進工の3学部16学科で、女子枠の「総合型選抜(女子)」を新規実施(各学科3人、計48人)/広島工業大で推薦型「女子特別選抜」を新規実施。成績上位者に「女性エンジニア育成奨励金」を給付する。
国公立大:
千葉大で情報系学部を増設
三重大-生物資源で学科統合
●国公立大の新増設・改組
ここ数年の傾向と同じく、理系学部の増設や定員増が相次ぐ。以下、主な新増設や学部改組の予定をまとめた(新設の名称は仮称)。
公立専門職大学として、東北農林専門職大が開学予定(農林業経営の1学部2学科)。国立では、千葉大で「情報・データサイエンス学部」を開設予定。また、金沢大- 観光デザイン学類で定員増(20 人→ 55 人)を行う。
募集単位の「大括り化」も注目される。三重大- 生物資源で「4→1学科(4コース)」に統合予定。このうち「生物資源総合科学コース」では、1年次に志望分野を検討し、2年次以降、他の3コースに所属する。この他、富山大- 経済で「3→1学科」に統合、夜間主コースを募集停止。同- 理も「5→1学科」に統合の予定だ。
●推薦型・総合型の導入・廃止
富山大- 経済で共テを課す総合型、理で共テ課す推薦型を廃止。同- 薬の共テ免除総合型で県内出身者対象の地域枠を新設/滋賀大- 経済[夜]の共テ免除総合型で新方式(資格・検定型)を追加。
●一般選抜の科目等の変更
滋賀大- 経済[夜]で一般選抜を復活、前期・後期で実施する/岩手県立大- 社会福祉の前・後期が、学科別募集(社会福祉、人間福祉)から学部一括募集に変更。
私立大:
近畿大の共テ利用で多科目型導入
産業医科大で独自入試を新規実施
●新増設・改組等
24年度の私立大学の新設予定、学部・学科等の増設予定が文部科学省から発表された(大学は前年10月末認可申請。学部・学科等は3月末認可申請分。表3を参照)。4大学の設置、14 大学で学部等の増設を認可申請中だ。
その他に設置届出として、実践女子大- 国際、日本女子大- 建築デザイン、北里大- 健康科学、京都女子大-心理共生、甲南大-グローバル教養学環などの学部等が増設予定。全体に心理・医療・理工といった分野で目立つ。
さらに、東京薬科大- 薬では男女別募集(男子部・女子部)を廃止し、一般選抜・推薦型・総合型のいずれも募集枠を統合する。
●推薦型・総合型の導入・廃止
【首都圏】芝浦工業大- デザイン工でAO入学者選抜を新規実施/清泉女子大の総合型で10月Ⅰ期(専願制)を新規実施/東海大- 国際文化・生物の2学部で総合型(適性面接型)を廃止/日本大- 国際関係で総合型2期、同- 松戸歯で総合型3期を新規実施。
【京阪神】立命館大-薬で、AI活用の学習プログラムによるAO選抜を新規実施/大阪医科薬科大- 医で総合型(専願制)を廃止し、医・看護で公募制推薦(専願制)を新規実施/大阪経済大- 情報社会で学部AO入試を新規実施。
【その他の地区】愛知大- 地域政策で「プレゼンテーション入試」を新規実施/愛知淑徳大で総合型「大学理念・違いを共に生きる入試」を新規実施/椙山女学園大の公募制推薦Ⅰ期で「教科型」を新規実施。学科試験(2教科。一部学科で面接も)を課す/南山大で推薦型(長期留学経験者対象)を新規実施/名城大- 都市情報で「まちづくり特別入試」を新規実施/久留米大-医(医)で自己推薦型選抜を新規実施する。
●一般選抜(独自入試)の変更
文中、「共テ併用」とは大学の独自入試と共テ利用入試の成績を組み合わせて合否判定する「独自・共テ併用型」を示す。
【首都圏】青山学院大-理工の個別学部日程B方式で共テ併用を廃止し、英語を「共テ→独自試験」に移行。同-社会情報の個別学部日程B〜D方式も共テ併用を廃止し、独自入試の2教科入試(B・C=数学・英語、D=英語・総合問題)に軽減/大妻女子大は一般A方式Ⅰ期で英語外部検定を新規利用(得点換算)/共立女子大は一般2月日程で「外部英語検定利用方式」を導入/上智大はTEAP利用方式、学部学科・共テ併用方式で、出願締切を「1/18 →1/22」、2月の試験日程を「2/3〜7→ 2/6〜 11」に繰り下げる/清泉女子大は一般A日程に「2教科選択方式」を追加し、共テ併用の一般B日程を新規実施(共テ1科目+小論文)/専修大でスカラシップ入試(奨学生入試)の実施を2→3回、全学部入試の実施を1→2回に増加。また、経営の一般前期でB方式(選択科目重視)を新規実施/東海大-体育の一般選抜に実技を課さない「筆記試験型」を追加/東京電機大で一般選抜(情報系外部試験利用)を新規実施/東京薬科大はB方式Ⅱ期をT方式に名称変更し、薬・生命科学の2学部共通試験に変更(同時併願可)/日本大-生産工でN全学統一方式2期を新規実施。また、同-生物資源科学のA個別方式1・2期で学科間の第2志望を廃止。
【京阪神】追手門学院大の一般前期に「地歴公民重視型」を追加/摂南大の一般前期(1/20・21)に2科目型を追加/関西学院大は学部個別日程に「均等配点型」を追加する。
【その他の地区】獨協医科大- 医の一般前期で地域枠(埼玉県、茨城県、新潟県)を新設、一般後期を新規実施/椙山女学園大は一般入試Aに3教科型を追加/豊田工業大で独自入試の「個別学力試験入試」を新規実施(従来は共テ利用のみ実施)/名城大-法・経営・経済・人間・都市情報・農で一般K方式を新規実施(A方式の受験が必要)/産業医科大- 医の一般選抜をA~Cの3方式に複線化し、共テを課さないB方式(1次=独自試験、2次=小論文・面接)を新規実施(従来は共テ利用のみ実施)。
●一般選抜(共テ利用)の変更
【首都圏】成蹊大- 経済で共テ併用のM方式を廃止/清泉女子大は共テ利用で中期を廃止し、後期に3・4科目方式を追加/中央大- 総合政策の共テ併用方式で個別試験の英語の基準点(平均点に該当)を廃止/東京経済大の共テ利用前期で英語外部検定を新規利用(得点換算)/日本医科大-医(医)で共テ併用方式を「後期→前期」へ繰り上げ、英語外部検定を新規利用/神奈川大-法・経済・外国語(英語英文IES、スペイン語)・国際日本・人間科学で共テ利用後期を新規実施。
【京阪神】京都橘大の共テ利用前期に4科目型を追加。合格者は新設の給付型「共通テスト受験奨励奨学金(年間40万円)」の受給対象/立命館大-映像の共テ方式(2月選考)に7科目型、同-スポーツ健康科学の共テ方式(2月選考、3月選考)に3教科型を追加/追手門学院大の共テ利用前期で4教科型を追加/関西大-環境都市工の共テ利用前期・併用で4科目型を追加/関西医科大-看護の共テ利用に5教科型を追加/近畿大の共テ利用前期で次のように変更。法・経営・建築・薬・文芸・総合社会に5教科7科目型、情報に5教科6科目型、産業理工に5教科5科目型を追加。同- 国際で2教科2科目型を廃止し5教科5科目型を追加。同-工で4教科4科目型・4教科5科目型を廃止して5教科5科目型を追加/摂南大は共テ利用中期を3→2科目に軽減、共テ利用後期に2科目型を追加/神戸学院大-薬の共テ利用前・後期で共テの数学・理科を各2→1科目に軽減。
【その他の地区】獨協医科大- 医の共テ利用で5→6科目に増加/福岡大- スポーツ科学で一般前期・共テ併用型、同-薬で共テ利用Ⅲ期を新規実施。
【ここポイント】
理工系で女子枠の新設が相次ぐ
私立大では共テ利用多科目型導入と
英語外部検定利用の拡大も目立つ
この記事は「螢雪時代(2023年8月号)」より転載いたしました。