入試動向分析

2023年入試 志望動向&難易変動予測!【2022年11月】

2022(令和4)年度

《国公立大》国公立大志向は強まるも、共通テスト難化と後期縮小が逆風に!?
《私立大》チャレンジ志向は強まるが、推薦型・総合型人気もあり二極化か?!

 

 2021年共通テスト導入と、2025年「新課程入試」の中間にあたる2023年入試。
 「コロナ禍」や国際情勢による経済不安に加え、共通テストの難化も予想されるが、一般選抜の志願者数は、国公立大が約1%減、私立大が約1%増と予測される。
 一見“波静かな”入試だが、チャレンジ志向が強まる一方、「推薦型・総合型人気」も影響、全体に二極化が進みそう。学部系統別では、国立大の「理系拡大」もあって、理・工・農の人気アップ、国際・教員養成の人気低迷など、「文低理高」が続きそうだ。

 

この記事は『螢雪時代11月臨時増刊』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)。

 


このページの先頭へ

 

【共通テスト】共通テストの志願者数は2%減少し52万人前後か

 

 ここでは、高校・予備校の進路指導のベテラン先生方へのアンケートを参考に、さまざまな変動要因を総合し、国公私立大の難易や人気度がどう変わるのか、2023年(以下、23年。他年度も同様)一般選抜の動向を予測する。
 旺文社の推定によると、22年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が63万7千人と、21年より3.2%減少した模様。23年は高卒者数の減少幅(2.7%減)が前年より大きく、大学への現役志願率はややアップが予想されるものの、大学受験生数は旺文社の推定で62万4千人と、前年より2.0%減少すると見られる(図表1)。
 それでは、大学入学共通テスト(以下、共テ)の出願者数はどうなるか。
 22年度共テの難化、特に「数学ショック」の印象は強い。新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)や混迷する国際情勢による経済低迷の影響もあり、学校推薦型選抜(以下、推薦型)や総合型選抜(以下、総合型)、特に指定校推薦で、共テより前に合格を確保したい受験生の増加が見込まれる。一方、一般選抜を受ける受験生にとっては、罹患者の救済措置の追試験や、一般選抜が実施困難な時の代替措置は共テ利用が基本となるので、セーフティーネットとして共テの出願は重要だ。
 こうした要素を考えあわせ、共テの出願者数は、大学受験生数の減少にほぼ比例し、22年より2%程度減少し、52万人前後と予測する。


図表1 大学受験生数と共通テスト(センター試験)出願者数,大学現役志願率の推移

 

【国公立大学】後期中心に志願者は微減か。一橋大・岡山大が影響大!

 

 23年入試は、21年の共テ導入と、25年の新課程入試(現在の高校1年生が学ぶ新カリキュラムに基づく入試)の中間にあたり、大規模な変更のない「無風期」。こうした時は、共テの難易や前年の入試結果(志願者増減や倍率変動)の反動が強く作用する。
 先生方のアンケート回答は、国公立大志向について「やや強まる」「変わらない」に集約された。コロナ禍や混迷する国際情勢に伴う経済状況の低迷と家計不安は、確かに国公立大の出願を後押しする要因と言える。ただし、先生方の回答は、拡大傾向にある推薦型・総合型も念頭に置いていると思われる。
 一方で、かつての共通1次試験やセンター試験のように、導入3年目の共テはさらなる難化が予想され、国公立大出願の不安材料となり得る。
 特に国立大後期が、22年入試の「志願者増・合格者減」による難化や、推薦型・総合型の拡大による募集人員減もあって敬遠され、22年に合格者増で易化した難関私立大への出願が増える可能性がある。

 

●情報系など「理系の拡大」が顕著

 23年の主な大学・学部等の新増設・改組を図表2に示した。注目は、一橋大-ソーシャル・データサイエンス、名古屋市立大-データサイエンスなど情報科学系の学部等の新設。特に、一橋大では初の文理融合学部であり、文理双方の難関校志望者から注目され、難関理系志望者の流入も見込まれる一方で、既存4学部の定員減を伴うため、首都圏の社会科学系学部の志願動向に幅広く影響しそうだ。
 文部科学省は、地方創生を目的とした政策に基づき、国立大の定員増の制限を緩和する「魅力ある地方大学の実現に資する地方国立大学の定員増」を選定し、島根大・広島大・徳島大が選ばれた。島根大の学部増設(材料エネルギー)、広島大-情報科学、徳島大-理工[昼]の定員増と、いずれも理系学部の拡大が特徴だ。一方で、学内他学部の定員減もあり、その影響は無視できない。
 図表2以外では、東京学芸大で教員養成課程を4→1課程、滋賀大-経済は5→1学科、大分大-理工も2→1学科に統合する。


図表2 2023年度 国公立大の主な新増設・改組・定員増(例)

 

●岡山大は全学で後期募集停止

 一橋大と並んで、23年の国公立大入試で最大級の変動要因は、岡山大の全学の後期募集停止だ。西日本の難関~準難関校の貴重な併願先だっただけに影響は大きく、23年国公立大入試で最大規模の変動要因と言える。図表3で、経済・工の2学部における志望変更と併願増の可能性を示した。
 この他、岐阜大-医(医)、長崎大-多文化社会の後期募集停止、岩手県立大-ソフトウェア情報の「後期→中期」への移行、一方で秋田大-医(保健)、香川大-農、横浜市立大-理の後期新規実施、22年から公立化した周南公立大の前・中期新規実施が注目される。
 募集人員の変更では、京都工芸繊維大・兵庫教育大・神戸市外国語大で推薦型・総合型を拡大して一般選抜を削減。一方、山梨大-工は総合型を縮小して一般選抜を増加。また、北海道大・東京医科歯科大・九州大・長崎大の医(医)の前期では、定員減のため募集人員減。いずれも志願者増減に直結しそうだ。


図表3 大岡山大の後期募集停止で予想される影響(経済学部・工学部の例)

 

●東京外国語大で数学の負担増

 科目等の変更を見てみよう。共テについては、東京外国語大の前期で数学を1→2科目に増加。兵庫県立大-理の中期で、英語のリーディング・リスニングの配点比率を「4:1→1:1」に変更する。
 2次では、北海道教育大-教員養成課程の前・後期で「学びの履歴と志望理由書」提出を追加し、前期では加点対象に。徳島大-理工[昼]の後期で志望調書の提出と点数化を追加。また、横浜市立大-理・データサイエンスの前期で英語を追加。一方、富山大-工は5コース中4コースの後期で面接を廃止する。
 選抜方法では、鹿児島大-理・歯・共同獣医の前期で、共テ・2次の配点により、a方式(共テ重視)・b方式(2次重視)に複線化する。
 2段階選抜では、東京大-理科三類の前期で予告倍率を引き締め、「最難関」のさらなる難化要因となりそうだ。この他、横浜国立大-理工の前・後期などで新規実施。さらに岐阜大-医(医)、岡山大-医(医)、広島大-医(医)の各前期で予告倍率を引き締める。一方、名古屋大-医(医)の前期で得点基準を緩和、三重大-医(医)の後期などでは予告倍率を緩和する。

 

* * *

 

 以上の点も踏まえると、23年国公立大一般選抜の志願者は1%程度の減少が見込まれる。

 

【私立大学】難関校へのチャレンジ志向と推薦型人気の二極化が顕著に

 

 先生方のアンケート回答では、私立大志向については「変わらない」が大多数を占めた。「やや強まる」との回答もあったが、それは推薦型・総合型人気の反映と言える。
 私立大の22年入試では、推薦型・総合型も一般選抜も合格者増で易化した。そのため、23年では難関校への「チャレンジ志向」が強まる一方、中堅校については推薦型・総合型で「早く確実に」決める傾向が強まるものと見られる。また、大都市圏回避の傾向も弱まっている模様なので、23年私立大一般選抜では、大都市圏のブランド校とそれ以外の大学で、志願状況の二極化が見られそうだ。

 

●チャレンジ志向は強まる!?

 22年入試では、大都市圏の難関~準難関校で、21年の大幅減の反動によって志願者は増加したものの、追加・補欠合格の増加によって実質倍率(受験者数÷合格者数。以下、倍率)がダウンし、易化した大学が目立つ(図表4)。このため、私立大専願型の受験生にチャレンジ志向の強まりが見られる。また、共テの難化が予想される中、国公立大志望者層の一部が、縮小する後期の代わりに難関~準難関校の独自入試に切り替える動きもあるという。
 22年入試の併願パターンは、大都市圏で合格確保校を絞りつつ、チャレンジ校を加えた「逆T字型」にする傾向が見られたが、23年入試では全国レベルでさらに波及しそうだ。特に、22年に倍率ダウンが目立った大学、例えば上智大・中央大・立教大・関西大・関西学院大などが狙われるものと見られる。
 一方、私立専願型の成績中~下位者は推薦型・総合型の出願にシフトするため、一般選抜の受験者が不足し、併願が絞られることもあって、中堅校は大都市圏も地方も志願者減が予想される。


図表4 主な私立大一般選抜の合格者増減と倍率変動の例(2022年)

 

●共テ利用は上智大に注目!

 一般選抜の変更を俯瞰すると、共テ利用方式に関する変更が目立つ。中でも注目は、早稲田大-教育における新規実施と、上智大の3教科型の導入だ。
 早稲田大-教育の場合、主たる実施方式(C方式)は共テ科目数の多さ(7~8科目)、個別試験との併用、2段階選抜など、国立大志望者向きの重量級入試だ。また、他大学の既存の実施学部でも、多科目型の導入が多い。一方、上智大の共テのみで判定する方式は、従来は数学必須の4教科型だったため、文系学部で数学を受けなくてもよい(経済、総合人間科学の一部学科は必要)3教科型は、私立文系型の人気を集めるものと見られる。
 この他、京都産業大が共テ利用方式の英語で、リーディング・リスニングの配点比率を「1:1→4:1」に変更。22年の関西学院大に続き、リーディングの配点比率を高めたのが注目される。

 

●成城大・甲南大で募集回数増

 各大学の独自入試では、試験日や募集回数の増加が目立つ。学習院大-法でプラス試験(他学部のメイン試験日に共通問題で実施)を追加、成城大の学部選抜(A方式)で全学部・学科の試験日を複数化、日本大-芸術・理工・工・薬・生物資源科学(獣医)がN全学統一方式2期に新規参加、甲南大が一般中期を新規実施する。いずれも志願者増の要因となりそうだ。
 また、日本大-商のA方式1・2期、法政大-経営の「英語外部試験利用入試」、甲南大の一般前・中期の「外部英語試験活用型」など、英語外部検定利用の導入も続いている。さらに、芝浦工業大の一般後期では個別試験の英語を廃止し、共テ利用または英語外部検定利用で代替するのが注目される。
 この他、中央大-法の都心回帰(東京都八王子市→同文京区にキャンパス移転)、関西医科大-医の学費減額(23年度入学者から初年度学費が570万円→290万円)が、志願者大幅増の要因となりそうだ。

 

●新設大学・学部・学科の特徴

 学部等の新増設・改組の傾向を見ると、分野別では、順天堂大-健康データサイエンス、東京都市大-デザイン・データ科学、神奈川大-情報、京都女子大-データサイエンスなど、情報科学系の新増設が目立つ。また、看護・医療、心理、教員養成の新増設も多い。この他、共立女子大-建築・デザイン、日本女子大-国際文化、龍谷大-心理、摂南大-現代社会などの学部増設、東京理科大-理工の「創域理工学部」への名称変更、東北学院大の全学的改組(教養学部を4学部に分割)などが注目される。さらに、旭川市立大の公立大学法人化(旭川大から名称変更)も、爆発的な志願者増が見込まれる。

 

* * *

 

 以上の変動要因も考えあわせ、私立大一般選抜全体の志願者数は、22年と同じく「前年並み」か、1%程度の増加と予測する。

 

【学部系統別】情報系をはじめ「文低理高」、国際・教員養成は志願者減か

 

 「文低理高」傾向が定着。コロナ禍や混迷する国際情勢による経済状況の悪化や海外留学の困難などから、文、国際・外国語など文系学部の人気低迷は続きそうだ。国立大教員養成課程の定員減や教員を取り巻く環境などから、教員養成系も低迷が続きそう。
 一方、資格志向の強まりで、地方公務員を目指し、法は人気を集めそうだ。また、コロナ禍の後を見据え、経済系も人気復活の兆しがある。
 理系では、国立大の理系定員増なども追い風となり、理・工・農の志願者増が見込まれ、特に新設が相次ぐ情報科学系は人気を集めそう。また、医療現場が注目される中、医・薬も志願者増が見込まれる。

 

* * *

 

 以下、各地区の主な大学について、23年一般選抜の変動要因と志望・難易動向を見ていこう。文中、変更点は22年→23年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=[前]、後期日程=[後]、公立大中期日程=[中]、昼・夜間主コース=[昼][夜]、共通テスト=共テ、個別学力検査等=2次、学校推薦型選抜=推薦型、総合型選抜=総合型、共テを課さない=共テ免除、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。教科・科目数は「5または6教科7または8科目(科目選択による)=5(6)教科7(8)科目」のように略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。

 

北海道・東北

北海道教育大・東北大・福島大・旭川市立大・東北学院大が志願者増、
北海道大・弘前大・秋田大・山形大が志願者減か。

 

国公立大

●旭川医科大

 前年の反動(志願者増減や倍率の変動による。以下同じ)から、医(医)[前]、医(看護)[前][後]で志願者増、医(医)[後]で志願者減が見込まれる。北海道大‐医(医)[前]、札幌医科大‐保健医療[前]から志望変更がありそうだ。

●北海道大

 前期の総合入試(文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施)は、前年の反動から、文系で志願者減、理系でやや志願者増が予想される。前期の学部別入試や後期では、やはり前年の反動から、教育[前]・法[前]で志願者増、経済[後]・歯[前]・薬[後]・工[後]・農[後]・獣医[後]・水産[前][後]で志願者減の見込み。また、医(医)[前]も定員減に伴う募集人員減(92人→85人)のため、やや志願者減が見込まれる。

●北海道教育大

 札幌校[前][後]・旭川校[前][後]・釧路校[前][後]・函館校(国際地域=地域教育)[後]の2次で「学びの履歴と志望理由書」の提出が追加される。後期では加点せず面接資料として活用するが、前期は加点対象となるため、敬遠材料となりそうだ。
 教員養成課程(札幌校・旭川校・釧路校)では、前年の反動から札幌校[後]・旭川校[前][後]・釧路校[前][後]で増加が見込まれるが、加点対象となる前期は小幅な増加に留まりそう。同じ理由から、札幌校[前]は志願者減が見込まれる。
 教員養成課程以外の学科(函館校・岩見沢校)では、やはり前年の反動から、函館校[前][後]・岩見沢校[前]で志願者増が見込まれる。

●室蘭工業大

 前年の反動から、理工[昼] [後]・同[夜] [前]で志願者増、理工[昼] [前]・同[夜] [後]は志願者減が見込まれる。理工[昼] [前]から、公立千歳科学技術大‐理工[前]への志望変更が予想される。

●弘前大

 22年は全学で志願者58%増。その反動から、人文社会科学[前]・教育[前][後]・医(医・保健・心理支援科学)[前]・理工[前][後]・農学生命科学[後]で志願者減が見込まれ、岩手大‐人文社会科学[前]・教育[前][後]、秋田大‐医(医)[前]へ志望変更しそうだ。
 一方、やはり前年の反動から、人文社会科学[後]で志願者増の見込み。また、農学生命科学[前]では学科間の第2志望選抜(生物と分子生命科学、食料資源と国際園芸農)の導入が人気材料となり、やや志願者増が見込まれる。岩手大‐農[前]から志望変更がありそうだ。

●岩手大

 農では共同獣医学科で後期を募集停止し、それ以外の5学科の後期では、2次を「小論文→面接」に変更。また、理工ではやや募集人員減(前期267人→264人、後期79人→74人)。これらの変動要因に加えて前年の反動もあり、農[前][後]・理工[後]は志願者減が見込まれる。
 一方、教育は中学校教育コースで技術・家庭の各サブコースの募集を停止する一方、学部全体でやや募集人員増(前期96人→98人、後期12人→17人)。また、小学校教育・特別支援教育の各コースでは、後期の2次から面接を除外。前年の反動もあり、志願者増が見込まれる。この他、人文社会科学[前][後]も前年の反動から志願者増が見込まれ、弘前大‐人文社会科学[前]・教育[前]から志望変更がありそうだ。

●東北大

 成績上位層のチャレンジ志向から、関東・甲信越からの志望者流入が予想される。
 前年の反動から、経済(文系) [前]・経済(理系) [後]・歯[前]・農[前]・薬[前]で志願者増、文[前]・経済(文系) [後]・経済(理系) [前]・理[前]・医(保健) [前]は志願者減が見込まれる。

●秋田大

 医(保健)で後期を新規実施(10人)、岩手県立大‐看護[後]からの志望変更が見込まれる。一方、前期は募集人員減(64人→44人)、前年の反動もあり、志願者大幅減は必至だ。
 教育文化では、理数教育コースの前期で2次を軽減(2→1科目)、英語教育コースでは前・後期とも共テ英語のリスニングとリーディングの配点比率を「4:1→1:1」に変更、前期の2次で英語からリスニングを除外し、小論文(英語)を追加。ただし、前年の反動が強く作用しそうで、教育文化[前][後]は志願者減が見込まれる。
 この他、やはり前年の反動から、医(医) [前]・理工[前][後]は志願者増、国際資源[前][後]・医(医) [後]・医(保健) [前]は志願者減が見込まれる。

●山形大

 前年の反動から、地域教育文化[前][後]・理[前]・工[フレックス][前][後]・農[前][後]で志願者増、人文社会科学[後]・医(医)[前][後]・医(看護)[後]・工[昼][前][後]で志願者減が見込まれる。秋田大‐教育文化[前][後]、福島大‐人間発達文化[前][後]、秋田県立大‐生物資源科学[前][後]から志望者が流入、一方で福島県立医科大‐医[前]へ流出しそうだ。

●福島大

 前年の反動から、行政政策[前]・共生システム理工[前][後]は志願者大幅増、経営経済[前]・食農[前]は志願者減の見込み。また、前年に志願者大幅減の宮城教育大‐教育[前][後]、山形大‐地域教育文化[前][後]の反動による増加が影響し、人間発達文化[前][後]も志願者減が見込まれる。

●岩手県立大

 ソフトウェア情報で後期を中期に移行し、募集人員減(20人→15人)。同時に2段階選抜を新規実施(予告倍率=募集人員の30倍。以下、募集人員を略)し、2次を1(2)科目→4科目に増加。人気系統で、かつ併願先として貴重な中期だが、募集人員減や負担増のため、志願者増は小幅に留まりそう。
 この他、前年の反動から、社会福祉[前][後]・ソフトウェア情報[前]で志願者増、看護[後]・総合政策[前][後]で志願者減が見込まれる。

●宮城大

 前年の反動から、看護[前]・事業構想[前][後]で志願者増、食産業[前][後]で志願者減が見込まれる。

●秋田県立大

 前年の反動から、システム科学技術[前]・生物資源科学[前][後]で志願者減、システム科学技術[後]で志願者増が見込まれる。

●福島県立医科大

 前年の反動から、医[前]・保健科学[前]で志願者増、看護[前][後]で志願者減が見込まれる。

 

* * *

 

 この他、前年の反動などから、宮城教育大‐教育[前][後]、釧路公立大‐経済[中]、青森公立大‐経営経済[前]、国際教養大‐国際教養B日程、会津大‐コンピュータ理工[前]で志願者増が見込まれる。一方、やはり前年の反動などから、北見工業大‐工[前][後]で志願者減が見込まれる。

 

私立大

 国公立大との併願が多い北海学園大・東北学院大は志願者増が予想される。特に東北学院大は、教養学部を分割し、地域総合・情報・人間科学・国際の4学部を開設。また、仙台市中心部にキャンパスを増設、従来キャンパスと合わせ、全9学部の全学年を郊外キャンパスから移転、集約するため、大幅増は必至だ。
 一方、北海学園大は人文1・2 部、経営1・2 部の一般選抜で英語外部検定利用を廃止することもあり、志願者増は小幅に留まりそう。
 なお、旭川大が「私立→公立化」し、旭川市立大に名称変更する。初年度は従来と同じ方式で別日程実施のため、志願者激増が見込まれる。公立・私立を問わず、道内の経済・看護・福祉系の志願動向に大きく影響しそうだ。

 

関東・甲信越

一橋大の学部増設が影響大。千葉大・東京都立大が志願者増か。
私立大は上智大・中央大・立教大が志願者増、青山学院大が志願者減か。

 

国公立大

●茨城大

 前年の反動から、教育[前][後]・理[前][後]・工[昼] [後]で志願者増、人文社会科学[後]・工[夜] [後]・農[前][後]で志願者減が見込まれる。工[昼] [後]は宇都宮大‐工[後]からの志望変更が予想される。

●筑波大

 総合選抜(大括り募集。2年次から志望する学群・学類に所属)は、前年の反動から、総合理系Ⅱ [前]で志願者増、総合文系[前]・総合理系Ⅲ [前]で志願者減が見込まれる。
 学類・専門学群選抜は、やはり前年の反動から、社会学類(以下、学類を略)[前]・教育[前][後]・心理[前][後]・生物[後]・生物資源[前][後]・地球[前]・数学[前]・化学[後]・応用理工[後]・工学システム[後]・社会工学[後]・医[前]・医療科学[前]・芸術専門学群[後]で志願者増が見込まれる。一方、人文[後]・比較文化[前]・国際総合[前]・障害科学[前][後]・生物[前]・応用理工[前]・工学システム[前]・社会工学[前]・体育専門学群[前]・芸術専門学群[前]で志願者減が見込まれる。

●宇都宮大

 前年の反動から、地域デザイン科学[後]・国際[前]・共同教育[前]・工[後]・農[前][後]で志願者減が見込まれる。農[前]は募集人員減(144人→138人)も要因となりそうだ。

●群馬大

 前年の反動から、共同教育[前][後]・医(保健) [前][後]・情報[前]で志願者増の見込み。共同教育[前]は宇都宮大からの志望変更が予想される。一方、医(医)[前]・理工[前][後]・情報[後]は志願者減が見込まれる。

●埼玉大

 前年の反動から、教養[後]・理[前]・工[前][後]で志願者増、経済[昼]s[前][後]・理[後]で志願者減の見込み。理・工は募集人員を「理[前]87人→91人・[後]114人→108人、工[前]235人→245人・[後]240人→230人」に変更。理[前]・工[前]の志願者増、理[後]の志願者減の一因となりそうだ。

●千葉大

 22年は横浜国立大の個別試験復活の余波もあり、全学で志願者8%減。その反動から、国際教養[前]・文[後]・法政経[後]・教育[前]・理[後]・工[前]・医[前]で志願者増が見込まれる。一方、園芸[前][後]・薬[前][後]で志願者減が見込まれる。

●電気通信大

 情報理工学域[前]で大括り募集(Ⅰ~Ⅲ類の一括募集)から類別募集に変更。出願時から専門分野が明確になるため、志願者増の見込み。

●東京大

 チャレンジ志向から安定した人気が続きそうだが、理科三類[前]は2段階選抜の予告倍率引き締め(約3.5倍→約3.0倍)が敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。

●東京医科歯科大

 医(医)[前]は募集人員減(79人→69人。地域特別枠推薦の募集枠拡大)のため、やや志願者減の見込み。また、医(保健衛生)は後期を新規実施(検査技術専攻のみ)する一方、前期は募集人員を削減(62人→55人)するが、前年の反動から志願者増が見込まれる。

●東京外国語大

 言語文化・国際社会・国際日本の前期で、共テの数学を1→2科目に負担増。コロナ禍で逆風を受ける分野ということもあり、いずれも志願者大幅減が見込まれる。また、国際社会[後]も前年の反動から志願者減が見込まれる。

●東京工業大

 前年の反動から、工学院[前]、物質理工学院[前]、環境・社会理工学院[前]で志願者減が見込まれる。

●東京農工大

 前年の反動から、農[前]・工[前]で志願者増が見込まれる。千葉大‐園芸[前]、横浜国立大‐理工[前]から志望変更がありそうだ。

●一橋大

 ソーシャル・データサイエンス学部を開設予定。一般選抜の募集人員は「前期30人、後期25人」。同校で初の文理融合の情報科学系学部であり、文理双方の難関校志望者から注目度が高い模様。特に、後期は理系が受験しやすい(経済[後]と同じく、共テの地歴・公民が1科目、2次が数学・理科、数学Ⅲまで範囲)ため、理系の難関校志望者の併願先として狙われそうだ。
 一方で、既存4学部では募集人員を「法[前]155人→144人、経済[前]195人→180人・[後]60人→58人、商[前]255人→238人、社会[前]220人→205人」に削減する。新学部への志望変更と、前年の反動から、商[前]・経済[後]は志願者減、経済[前]は志願者増で難化が見込まれる。

●横浜国立大

 22年に全学で志願者32%増。ただし、21年にコロナ禍対応で中止した個別試験を22年は復活したため、20年のレベルまで戻ったに過ぎない。経済の募集人員増(前期140人→145人、後期80人→90人)はあるが、小幅な増加に留まりそう。一方、理工[前][後]は2段階選抜の新規実施(予告倍率:前期=約6倍、後期=約8倍)が敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。

●新潟大

 22年は全学で志願者15%増。その反動から、人文[前][後]・経済科学[前][後]・理[前]・医(医)[前]・歯[後]・工[前]・農[前][後]で志願者減の見込み。一方、医(保健)[前][後]・歯[前]・工[後]で志願者増が見込まれる。

●山梨大

 前年の反動から、教育[後]・生命環境[前][後]・医(医)[後]で志願者減、医(看護)[前][後]で志願者増が見込まれる。工は募集人員増(前期207人→242人、後期35人→43人。総合型を縮小)が前年の反動を相殺し、志願者は前年並みか。

●信州大

 農で募集人員を、前期で110人→92人に削減、後期を24人→36人に増加するため、前期で志願者減、後期で志願者増の見込み。また、前年の反動から、経法[前]・理[前][後]・医(医)[前]・工[前][後]で志願者増、人文[後]・教育[後]・医(保健)[前]で志願者減が見込まれる。

●茨城県立医療大

 保健医療[前][後]では、看護・理学療法・作業療法の3学科で共テを理科2→1科目に軽減したため、志願者増が見込まれる。

●群馬県立女子大

 文で学科改組(総合教養→文化情報)、定員増(20人→30人)。文(文化情報)で後期を新規実施、前期も募集人員増(10人→15人)。前年の反動もあり、文[前]・国際コミュニケーション[前][後]で志願者増、文[後]はやや減少が見込まれる。

●東京都立大

 22年は全学で志願者13%減。その反動から、人文社会[後]・経済経営[後]・都市環境[前][後]・システムデザイン[前][後]・健康福祉[前]で志願者増が見込まれる。一方、法[後]・経済経営[前]・健康福祉[後]は前年の反動から、理[後]は横浜市立大‐理の後期新規実施の影響で、志願者減が見込まれる。

●横浜市立大

 理で後期を新規実施(10人)。「共テ7科目、2次:面接」を課し、2段階選抜も実施(予告倍率=約10倍)。一方、前期は2次に英語を追加。B方式を25人→20人に削減し、判定方法に「A方式の条件を満たす志願者はB方式も自動集計」を追加。また、B方式で共テを7→5科目に軽減し、2次を理科1→2科目に増加する。理[後]は理学系志望者の貴重な併願先となる一方、理[前]は前年の反動もあり、志願者減が見込まれる。
 医(看護) [前]は推薦型拡大に伴う募集人員減(65人→55人)が志願者減の要因となりそう。
 この他、前年の反動などから、国際教養[前]・国際商[前]・データサイエンス[前][後]・医(医)[前]で志願者増が見込まれる。国際教養[前]のB方式は共テの数学を1科目で受験できるため、東京外国語大からの志望変更が予想される。ただし、データサイエンス[前]は2次負担増(英語を追加)のため、微増に留まりそうだ。

 

* * *

 

 この他、前年の反動から、高崎経済大‐経済[中]・地域政策[前][後]、都留文科大‐教養[前][中]で志願者増、お茶の水女子大‐文教育[後]・理[後]、高崎経済大‐経済[前]で志願者減が見込まれる。

 

私立大

 首都圏回避の傾向は弱まり、他地区からの流入が前年より増えそう。難関~準難関校で追加・補欠合格が相次ぎ、合格者増と倍率ダウンが目立った22年入試の状況から、チャレンジ志向が強まるものと見られる。一方で、中堅校以降は志願者減、かつ難関校からの「玉突き」で合格者を増やさざるを得ず、全体に二極化しそうだ。
 慶應義塾大・東京理科大・明治大・早稲田大はチャレンジ志向から人気アップしそう。要注目の変動要因は、早稲田大‐教育の共テ新規利用だが、国立大志望者向きの重量級入試で、低倍率の「穴場」になる可能性がある。
 22年に「志願者減・合格者増」で倍率ダウンが顕著だった学習院大・上智大・中央大・立教大は狙われる可能性がある。特に、上智大は共テ利用で3教科型を導入し、人気を集めそうなので要注意だ。一方、青山学院大・法政大は志願者大幅増で倍率アップした反動減が予測される(図表4を参照)。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学の主な変動要因を紹介する。

 

●千葉工業大

 SB日程を新規実施。B日程と同日・別時間で実施し、同時併願可。総合問題(数学・国語)で判定。また、共テ利用後期を3タイプに複線化(Ⅰ=2教科、Ⅱ=数理3科目、Ⅲ=4教科)。共テ利用方式の受験料免除も継続する。

●青山学院大

 共テ利用入試で、文(史学)が6科目型、法が5科目型、総合文化政策・社会情報・コミュニティ人間科学が4科目型・5科目型を追加。
 一方、理工の個別学部日程B方式(共テ併用)で共テを4→1科目に軽減(数学・理科を除外)。

 地球社会共生の個別学部日程(共テ併用)でも共テを3→2科目に軽減(国語が必須→選択)。

●亜細亜大

 経営で学科増設(データサイエンス)。また、全学部で共テ利用後期を新規実施する。

●学習院大

 法の一般選抜でプラス試験(他学部のメイン試験日に共通問題で選抜を実施)を新規実施。

●共立女子大

 建築・デザイン学部を増設。また、家政(食物栄養=管理栄養士)、看護以外の全学で、一般2月日程の試験日を1→2日間に増加し、試験日自由選択制を導入する。

●杏林大

 保健学部で理学療法・作業療法の2学科をリハビリテーション学科に統合(旧学科は専攻に移行)し、言語聴覚療法学専攻を増設。また、医・保健で共テ利用後期を廃止する。

●成城大

 学部別選抜(A方式)の全学部・学科で、試験日を複数化(1日→2 ~ 3日)。

●専修大

 経済(現代経済、生活環境経済)の一般前期(学部個別)で、B方式(選択科目重視)を新規実施。また、商の一般前期で、従来のB方式(得意科目重視)を、B(選択科目重視)・C(英語重視)・D方式(国語重視)に分割して実施する。

●玉川大

 全学統一入試前期の試験日を「1→4日間」に増加し、試験日自由選択制を導入。一方、学部別入試を廃止する。また、英語外部試験スコア利用入試を新規実施(得点換算)する。

●中央大

 法学部を「東京都八王子市→同文京区」にキャンパス移転する予定(茗荷谷キャンパスを新設)で、志願者大幅増は必至。また、総合政策の一般方式で、国語の出題範囲から古文を除外する。

●東海大

 医・体育・教養(芸術=専門試験型)を除く全学の一般選抜で、試験日を3→4日間に増加。また、体育・医(看護)で共テ利用後期を新規実施する。

●東京経済大

 一般前期で2教科型の実施方法を、配点による「得意科目2倍方式」に変更。また、一般後期で英語外部検定を新規利用(得点換算)する。

●東京電機大

 一般前期(英語外部試験利用を含む)で試験日1日あたり、最大4学科・学系まで併願可に。また、一般後期で英語外部検定利用枠を新設する。

●東京都市大

 デザイン・データ科学部を増設。また、理工(自然科学以外)の一般前期で、独自・共テ併用の理工系探究型を導入。共テ2教科と探究総合問題を課し、入学手続時に所属学科を選択する。

●東京理科大

 理工を「創域理工学部」に名称変更し、10学科中7学科で名称変更。このうち2学科でS方式を新規実施する(数理科学=数学・英語、電気電子情報工=数学・物理・英語)。また、先進工では学科増設(物理工、機能デザイン工)、物理工は理1部‐応用物理を移行する。

●日本大

 芸術・理工・工・薬・生物資源科学(獣医)でN全学統一方式2期を新規実施。商のA方式1・2期で英語外部検定を新規利用。国際関係でA方式3期を新規実施する。
 一方、芸術でA方式2期を廃止。理工でCA共テ併用方式を廃止。また、生物資源科学のA方式で学外試験場を削減。1期で2会場、2期で11会場を廃止する。

●法政大

 経営で英語外部試験利用入試を新規実施(出願資格)。また、スポーツ健康の共テ利用でC方式(5教科型)を新規実施する。

●早稲田大

 教育で共テ併用のC方式とD方式(D方式は生物学専修のみ)を新規実施、初等教育学専攻と生物学専修で独自入試のB方式を廃止(生物学専修は共テ併用のみに)。募集人員は学部合計でC方式120人・D方式10人、独自入試A・B方式を560人→520人に削減。C方式は共テが学科により7~8科目、個別試験(1科目)は学科により「教育・社会・複合文化=総合問題、国語国文=国語、英語英文=英語、理=理科、数学=数学」。共テによる2段階選抜を実施(予告倍率=募集人員の約8.0倍)。D方式は共テ5科目、個別試験は理科、2段階選抜は行わない。

●麻布大

 獣医(獣医)の一般Ⅰ期で試験日を「1→2日」に増加(A日程:1/28を新規実施)し、一般Ⅰ・Ⅱ期で同(動物応用科学)への第2志望制を廃止。生命・環境科学の一般Ⅰ期で125人→95人に募集人員減(総合型を新規実施)。

●神奈川大

 化学生命・情報の2学部を増設。理を「4学科1プログラム」→1学科に統合し、「神奈川県平塚市→横浜市神奈川区」にキャンパス移転。工も「5学科1プログラム」→4学科に改組する。

 

* * *

 

 上記の他、桜美林大で教育探究科学群、順天堂大で健康データサイエンス学部を増設。実践女子大の共テ利用Ⅰ期3科目型で英語外部検定利用を新規実施。芝浦工業大の一般後期で個別試験の英語を廃止し、共テ利用または英語外部検定利用に移行。上智大は共テ利用方式で3教科型を新規実施。昭和大‐医の一般Ⅰ期で歯学部併願入試を廃止。
 大東文化大は共テ利用前期で「基準点型」を新規実施(各学科指定の基準点を超えれば合格)。東京薬科大‐薬で共テ・独自併用のS方式(3科目)を廃止し、B方式Ⅱ期(独自2科目)を新規実施。東洋大で福祉社会デザイン・健康スポーツ科学の2学部を増設する。
 明治薬科大‐薬(薬)で共テ利用の地域枠入試を新規実施(6年間の学費を全額給付)。日本女子大で国際文化学部、明星大でデータサイエンス学環、立教大でスポーツウエルネス学部、北里大で未来工学部を増設する。

 

北陸・東海

静岡大・名古屋市立大の学部増設が地区内に影響大。
富山大・三重大が志願者増、福井大・岐阜大・名古屋大が志願者減か。

 

国公立大

●富山大

 22年は学部改組(人間発達科学→教育)や医(医)の後期募集停止が影響し、全学の志願者は10%減。23年はその反動から、経済[昼][前]・経済[夜][後]・医(医)[前]・医(看護)[前][後]・薬[前]・工[前][後]・芸術文化[前][後]で志願者増が見込まれる。工[後]は募集人員増(50人→56人)と生命工以外の4コースの面接廃止もあり、大幅増は必至だ。また、工[前]は募集人員減(286人→277人)のため、難化が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、人文[後]・教育[後]・経済[昼][後]・理[前]・薬[後]で志願者減が見込まれる。

●金沢大

 融合学域にスマート創成科学類(以下、学類を略)を増設。新学類の募集は前期のみ18人。規模の小ささから、初年度は様子見で志願者は少数に留まりそう。一方、観光デザイン[前]は開設2年目で認知度が高まり、募集人員増(13人→18人)もあり、やや志願者増が見込まれる。
 一方で、理工学域[前]の募集人員は508人→486人、地域創造[前]は63人→58人に減少するが、影響は小さそう。学類別募集では前年の反動から、先導[前]・経済[前]・数物科学[前]・「機械工・フロンティア工・電子情報通信」[前]・医[前]で志願者増、法[前]・学校教育[前]・国際[前]・地球社会基盤[前]・生命理工[前]・薬[前]・医薬科学[前]・保健[前]で志願者減の見込み。また、文系・理系一括入試(学類別募集と別枠で実施。同入試による入学者は、2年次から各学類に配属)も、文系・理系とも前年の反動から志願者増が見込まれる。

●福井大

 22年は全学で志願者24%増。その反動から、教育[前][後]・医(医)[前]・医(看護)[前][後]・工[後]・国際地域[前]で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、国際地域[後]では志願者増が見込まれる。また、医(医)[後]は岐阜大‐医(医)の後期募集停止に伴う併願増が予想される。

●岐阜大

 医(医)で後期を募集停止し、前期を募集人員増(45人→55人)。医学部志望者の貴重な併願先だっただけに、福井大‐医(医)[後]、浜松医科大‐医(医)[後]の激戦化につながりそうだ。一方、前期は2段階選抜の予告倍率引き締め(約15倍→約9倍)と前年の反動から志願者減が見込まれ、やや易化しそう。浜松医科大‐医(医)[前]、三重大‐医(医)[前]への志望変更が見込まれる。
 前年の反動から、地域科学[前][後]・医(看護)[前]・社会システム経営学環[前]で志願者増、教育[前]・医(看護)[後]・工[前][後]・応用生物科学[後]で志願者減の見込み。工[前][後]から、静岡大‐工[前][後]、名古屋工業大‐工[前][後]への志望変更がありそうだ。

●静岡大

 地域創造学環を募集停止し、グローバル共創科学部を増設する。地域創造学環と比べ、一般選抜の募集人員は「前期25人→47人、後期5人→20人」に増えるため、志願者大幅増は必至。
 また、前年の反動から、理[前][後]・工[前][後]も志願者増が見込まれる。一方、学部増設に伴い他学部は定員減となったが、最も削減されたのが教育で、一般選抜の募集枠は「前期184人→154人、後期41人→34人」に縮小した。そのため、前・後期とも志願者減が見込まれる。また、やはり前年の反動から、人文社会科学[前][後]・情報[前][後]・農[前][後]で志願者減が見込まれる。

●名古屋大

 医(医)で募集人員を変更。地域枠(5人)を「前期→後期」に移行し、後期を一般枠とする。また、2段階選抜の基準を、前期で「共テ900点満点中700点以上→600点以上」に緩和、後期で「共テ900点満点中700点以上→予告倍率(約12倍)」に変更する。後期も実質的な緩和といえ、前・後期ともに志願者増が見込まれる。
 この他、前年の反動から、医(保健) [前]・工[前]で志願者増、教育[前]・法[前]・経済[前]・理[前]・農[前]で志願者減が見込まれる。

●三重大

 前年の反動から、教育[前][後]・医(医)[前]・医(看護)[前][後]・工[前]・生物資源[前][後]は志願者増が見込まれる。また、医(医)[後]は2段階選抜の予告倍率緩和(約10倍→約15倍)が増加要因になり、岐阜大‐医(医)[前]からの併願が増えそうだ。
 一方、やはり前年の反動から、人文[後]・工[後]は志願者減の見込み。人文[後]はぺーパーインタビューを廃止したが、影響は小さそうだ。

●富山県立大

 前年の反動から、看護[前][後]で志願者増、工[前]で志願者減が見込まれる。工[前]は長野会場の廃止も要因となりそうだ。

●公立小松大

 22年は全学で志願者27%減。その反動から、生産システム科学[前][中]・国際文化交流[前][中]で志願者増が見込まれる。

●福井県立大

 22年は全学で志願者22%増。その反動から、経済[後]・生物資源[前][後]・海洋生物資源[後]・経済[前]・看護福祉[後]で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動で、経済[前]・看護福祉[前]は志願者増が見込まれる。

●静岡県立大

 全学の志願者増減(18年25%減→19年22%増→20年17%減→21年13%増→22年13%減)の揺れ戻しから、薬[中]・食品栄養科学[前]・国際関係[前]で志願者増、食品栄養科学[後]・経営情報[前][後]・看護[前][後]で志願者減の見込み。薬[中]には、岐阜薬科大[中]から志望変更がありそうだ。

●愛知県立大

 前年の反動から、外国語[前]・日本文化[後]・教育福祉[前][後]・看護[前]・情報科学[後]で志願者増、外国語[後]・看護[後]・情報科学[前]で志願者減が見込まれる。名古屋市立大‐データサイエンス[前]の新設の影響を受け、情報科学[前]から志望変更、他方で同[後]への併願増がありそうだ。

●名古屋市立大

 データサイエンス学部を新設。人気分野だけに、多くの志願者を集めそう。一般選抜の募集は前期のみ50人で、名古屋大‐情報[前]、愛知県立大‐情報科学[前]からの志望変更が予想される。また、経済[前]で120人→140人、看護[前]で45人→60人に募集人員増。いずれも前年の反動を相殺し、志願者はほぼ前年並みか。
 一方、医[前]で2段階選抜の基準を「共テ550点満点中、概ね73%以上→71%以上」に緩和するが、予告倍率(募集人員の約3倍)も追加。敬遠材料となり、志願者減は必至だ。
 この他、前年の反動から、芸術工[後]で志願者増、薬[中]・経済[後]で志願者減が見込まれる。芸術工[後]は、後期を大幅縮小する京都工芸繊維大からの併願増が予想される。

 

私立大

 22年に合格者を絞り込み、倍率アップした愛知大・中京大・名城大はやや志願者減、一方で倍率ダウンした南山大は前年に続く志願者増が見込まれる。この他、志望動向に影響を与えそうな、主な変動要因は次の通り。
 北陸学院大は1→3学部(人間総合→健康科学・社会・教育)に改編。愛知学院大は健康科学部を増設し、歯の一般前期A・中期・後期で小論文を除外。中部大で理工学部を増設。藤田医科大は、医の募集人員を「前期一般枠73人→78人、後期一般枠10人→5人」に変更し、成績優秀者奨学金対象枠を「一般後期・共テ利用後期→一般前期」へ移行。鈴鹿医療科学大は共テ利用で前期2科目判定型に傾斜配点(最高得点科目を1.5倍)を導入、中期を廃止する。

 

関西

後期縮小の京都工芸繊維大、統合2年目の大阪公立大が影響大!
私立大は関西医科大・関西学院大・甲南大が志願者増か。

 

国公立大

●滋賀大

 経済[昼・夜]で5→1学科(総合経済)に統合、入学者は3年進級時に専攻を選択する仕組みを導入。経済[昼][前][後]は「学科別募集→一括募集」に変更され、高人気分野のデータサイエンス[前][後]とともに、志願者増が見込まれる。

●京都大

 難関校へのチャレンジ志向が継続する中、23年も引き続き志願者を集めそう。前年の反動もあり、総合人間(文系) [前]・経済(文系) [前]・理[前]・医(医) [前]で志願者増が見込まれる。
 一方、やはり前年の反動から、教育(文系) [前]・経済(理系) [前]・薬[前]・工[前]・農[前]で志願者減が見込まれる。

●京都工芸繊維大

 工芸科学(一般プログラム)で、総合型の拡大、推薦型の新規実施に伴い、一般後期の募集人員を159人→74人に削減、特にデザイン科学域で後期を募集停止する。そのため、工芸科学[後]は2次負担減(応用生物学域で総合問題を、物質・材料科学域、設計工学域で理科を除外)にも関わらず、志願者大幅減は必至。名古屋市立大‐芸術工[後]、滋賀県立大‐工[後]などへの志望変更が見込まれる。

●大阪大

 22年は全学で志願者7%増と、難関大志望者の人気を集めた。23年はその揺れ戻しで、神戸大・大阪公立大への志望変更が予想され、人間科学[前]・法[前]・経済[前]・医(医・保健)[前]・薬[前]・工[前]で志願者減、文[前]・基礎工[前]で志願者増の見込み。特に、工[前]と基礎工[前]は20年度以降、学部間で顕著な隔年現象が続いている。
 なお、22年度の推薦型・総合型では、合格者が募集人員の約67%に留まり、不足分を前期に上乗せしたため、外国語[前]・法[前]・理[前]・工[前]で、合格者数が募集人員を大幅に上回った。この現象は23年もあり得るので要注意だ。

●神戸大

 大阪大からの志望変更(流入)と、岡山大・大阪公立大への志望変更(流出)が予想される。
 前年の反動から、国際人間科学[前]・法[後]・経済[前]・医(保健)[前][後]・海洋政策科学[前]で志願者増、文[前]・国際人間科学[後]・法[前]・農[前]で志願者減が見込まれる。また、工は募集人員の変更(前期460人→452人、後期92人→100人)が微妙に影響し、前期はやや志願者減が見込まれる。

●兵庫教育大

 学校教育で推薦型を拡大し、前期80人→70人、後期30人→10人に募集人員減。前・後期ともに志願者減が見込まれる。

●奈良女子大

 前年の反動から、開設2年目の工[前][後]と文[前][後]・理[前][後]で志願者減、生活環境[後]は志願者増が見込まれる。

●和歌山大

 社会インフォマティクス学環を新設、一般選抜は前期のみ20人。人気分野だが小規模のため、初年度は様子見で志願者は少数に留まりそう。
 一方、既存の学部は募集人員減(経済[前]180人→170人、観光[前]65人→60人、システム工[前]170人→160人、教育[前]95人→90人・[後]30人→25人)のため、教育[前]・システム工[前]・観光[前]はやや志願者減の予想だが、教育[後]・経済[前]は前年の反動から志願者増が見込まれ、難化しそうだ。

●滋賀県立大

 前年の反動から、人間文化[後]・人間看護[前][後]で志願者増、環境科学[後]・工[前]で志願者減が見込まれる。

●大阪公立大

 22年に大阪市立大と大阪府立大を統合して開学。志願者数は公立大で最多となったが、旧2大学合計と比較すると、一般選抜は募集人員減(4%減)のため、志願者も4%減となった。
 23年は統合2年目で認知度が高まり、志願者増が見込まれる。特に、工[中]は募集枠の大きさから、難関工学系志望者の併願先として、全国レベルで注目度が高まりそう。また、岡山大の全学の後期募集停止が影響し、大阪大・神戸大からの併願増も予想される。
 統合前後の同系統学部・学域の対比(募集人員の増減、22年の志願者増減と倍率変動など)から前年の反動を想定すると、文[前][後]・法[前]・商[前][後]・経済[前][後]・理[後]・工[前][中]・医(医)[前]・獣医[前][後]・農[前][後]で志願者増が見込まれる。一方で、現代システム科学域[後]・法[後]・医(リハビリテーション)[後]では志願者減が見込まれる。

●神戸市外国語大

 外国語で、総合型の拡大に伴い募集人員減(前期245人→225人・後期70人→63人)。前期は志願者減が見込まれるが、後期は前年の反動からやや志願者増、難化が見込まれる。

●神戸市看護大

 入学金を大幅に減額。神戸市在住者・親族(2親等以内)が「28万2千円→14万1千円」、それ以外が「42万3千円→28万2千円」となるため、看護[前][後]とも志願者増が見込まれる。

●兵庫県立大

 前年は全学で志願者13%減。その反動に加え、岡山大の全学の後期募集停止も影響し、国際商経[後]・社会情報科学[前][中]・工[前][後]・環境人間[前][後]・看護[後]で志願者増が見込まれる。
 一方、国際商経[前]は前年の反動から、理[中]は共テで英語のリーディング・リスニングの配点比率を「4:1→1:1」に変更し、リスニングの比重を高めたことが敬遠材料となり、ともに志願者減の見込み。また、神戸市看護大の入学金減額の影響で、看護[前]も志願者減が見込まれる。

●奈良県立医科大

 医(医・看護) [前]は滋賀医科大‐医(医) [前]、和歌山県立医科大‐医[前]・保健看護[前]からの志望変更で志願者増、医(医) [後]は前年の反動から志願者減が見込まれる。

●和歌山県立医科大

 医[前]で県民医療枠C(不足診療科枠)を新設し、全国対象に2人程度を募集。一方、県民医療枠A(診療科指定なし)を15人→10人に削減。また、医[前]では2段階選抜の予告倍率を「約3.3倍→約3.4倍」に緩和する一方、得点基準(共テ900点満点中630点以上)を追加する。いずれも敬遠材料となる可能性があり、さらに前年の反動もあって、医[前]・保健看護[前][後]・薬[前]で志願者減が見込まれる。

 

* * *

 

 この他、前年の反動から、京都教育大[前]、奈良教育大[前][後]で志願者増、滋賀医科大‐医(医・看護)[前]、京都府立大‐文[前][後]・公共政策[後]・生命環境[前][後]で志願者減が見込まれる。

 

私立大

 大都市圏回避の傾向が弱まる一方、京阪神の受験生にチャレンジ志向が復活し、「関関同立」のうち、22年に合格者増で倍率低下した関西大・関西学院大(図表4を参照)の志願者増が見込まれる。また、中堅上位の「産近甲龍」は、22年に「志願者減・合格者増」で倍率低下した京都産業大・龍谷大が揺れ戻し、近畿大は情報学部が引き続き人気を集め、甲南大は一般中期の新規実施が人気材料となりそう。一方、中堅校は併願を絞られ、22年に続き大幅減が相次ぐ見込みで二極化しそうだ。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学の主な変動要因を紹介する。

 

●京都産業大

 共テ利用で、英語のリーディング・リスニングの配点比率を「1:1→4:1」に変更。併願が多い国公立大(京都工芸繊維大、京都府立大)と共通し、志願者増の要因となりそうだ。

●京都橘大

 総合心理学部を増設。また、一般前期A~C日程と後期で英語外部検定を新規利用(得点換算。高得点利用)する。

●立命館大

 総合心理で、学部個別配点方式(理科1科目型)を廃止、理系型3教科方式を導入し、共テ方式(2・3月選考)に3教科型を追加。また、産業社会の共テ併用方式3教科型と共テ方式3教科型で、共テの国語を必須として追加する。

●大阪経済大

 4学部で定員増(経済600人→680人、経営1部510人→630人、情報社会250人→300人、人間科学175人→200人)、経営2部で定員減(110人→50人)を行う。

●関西大

 総合情報の全学日程1で、2/1は2教科選択型を2教科型(英国方式・英数方式・国数方式)に分割、2/3に英数方式を新規実施。また、システム理工・環境都市工・化学生命工の全学日程2で3教科型(理科設問選択方式=理数重視)、経済の共テ併用で2科目型(小論文<公民>)を新規実施。環境都市工・化学生命工の共テ併用(数学力重視方式、理科力重視方式)で、共テの理科を2→1科目に軽減。化学生命工の共テ利用後期で理科2→1科目に軽減する。

●関西医科大

 23年度入学者から、医の6年間の学費総額を「2,770万円→2,100万円」に、初年度学費を「570万円→290万円」に減額。また、医・看護・リハビリテーションの一般選抜で小論文を除外。志願者増は必至で、大阪医科薬科大、兵庫医科大の志願動向に影響しそうだ。

●関西外国語大

 国際共生学部を増設。また、外国語で英語・デジタルコミュニケーション学科を増設する。
 共テ利用前期で5科目型を、一般前期で共テプラス方式(独自・共テ併用)を新規実施する。

●近畿大

 経済の共テ利用前期で5教科7科目型を追加、理工の共テ利用中期で4→3科目に軽減する。また、生物理工の一般前期B日程で学部独自方式(3科目受験、数理2科目判定。スタンダード方式との併願時のみ出願可)を導入する。

●関西学院大

 文系9学部(経済以外)の「共テ併用型・英語」で共テの選択に英語を追加し、「いずれか高得点の2科目」に統一(国語を必須→選択に)。社会・法・商・総合政策の「共テ併用型・数学」で、英語を「必須→選択」とし、社会で共テ併用の英語・数学型を廃止する。また、共テ利用1月出願(英語資格・検定試験利用)で、英語を「免除→課す」に変更し、出願資格を「CEFRB2→B1」に緩和する。一方、教育(初等教育学)の全学部日程で主体性評価方式(理系型)、学部個別日程で主体性評価方式を廃止する。

●甲南大

 一般中期を新規実施。また、一般前期3教科・2教科、一般中期で「外部英語試験活用型」を導入(得点換算)、フロンティアサイエンスの一般中期で2教科判定方式(3教科受験、学部・学科指定2教科で判定)を新規実施する。

●武庫川女子大

 2学部(心理・社会福祉、社会情報)を増設。また、健康・スポーツ科学で学科増設(スポーツマネジメント)を行う。また、一般B(中期)で3科目型を廃止し、2科目傾斜配点型を追加。看護の一般A(前期)で2科目型を追加する。

 

* * *

 

 京都女子大でデータサイエンス学部を増設。京都ノートルダム女子大で社会情報課程を開設。龍谷大で心理学部を増設する。
 追手門学院大で法学部を増設。大阪医科薬科大‐薬で共テ利用後期を新規実施。摂南大で現代社会学部を、大和大で情報学部を増設する。
 大手前大で経営学部を、兵庫大で教育学部を増設。兵庫医科大では薬・看護・リハビリテーションの一般前期で特定科目重視型を廃止する。

 

中国・四国

後期募集停止の岡山大から、山口大・香川大・愛媛大などへ併願増か。
定員増の島根大・広島大・徳島大が志願者増、周南公立大も台風の目に!?

 

国公立大

●鳥取大

 前年の反動から、医(医)[前]・医(生命科学)[前][後]・工[前][後]で志願者増、地域[前][後]・医(保健)[前]・農[後]で志願者減の見込み。医(医)[前]は島根大‐医(医)[前]から揺れ戻しそう。また、工[後]は後期募集停止の岡山大‐工から併願増が見込まれる。

●島根大

 広島大・徳島大と共に、地域創生の観点から定員増が認められ、材料エネルギー学部を新設。一般選抜は前期40人、後期8人を募集。教育・研究内容が明確なので、初年度から多くの志願者を集めそう。一方、総合理工は定員減に伴い募集人員減(前期214人→181人・後期71人→61人)、新学部への志望変更もあり、前・後期とも志願者減の見込み。この他、前年の反動から、法文[前][後]・人間科学[前][後]・生物資源科学[前]で志願者増、教育[前][後]・医(医)[前]・医(看護)[前][後]・生物資源科学[後]で志願者減が見込まれる。

●岡山大

 文・法[昼・夜]・経済[昼]・理・医(保健)・歯・薬・工・農で後期を募集停止。全学で前期のみの募集とし、推薦型・総合型を拡大。前期の募集人員を「法[昼]140人→152人、経済[昼]131人→143人、医(保健)97人→108人、工400人→415人、歯30人→34人」に増加し、農は86人→82人に削減する。神戸大・大阪公立大の前期からの志望変更と、鳥取大・山口大・香川大・愛媛大・兵庫県立大の後期への併願増が予想され、関西~中国・四国の広範囲に影響する、西日本の国公立大で最大の変動要因と言ってもいい。
 この他、前年の反動もあり、教育[前]・法[昼][前]・経済[昼][前]・医(保健)[前]・薬[前]・工[前]・農[前]で志願者増、医(医)[前]・歯[前]で志願者減が見込まれる。医(医)[前]は2段階選抜の予告倍率引き締め(約4倍→約3倍)も敬遠材料となりそう。また、募集人員増の歯[前]はやや易化しそうだ。

●広島大

 情報科学で定員増(80人→150人)、推薦型(地元志向型特別入試:募集45人)の導入とともに、一般選抜も募集人員増(前期72人→90人、後期6人→10人)。人気分野だけに志願者増は必至だ。また、法[昼]が広島市中心部にキャンパス移転(東広島市→広島市中区)。利便性が向上し、前・後期とも志願者増の要因となりそう。
 一方、教育は定員減(445人→425人)、後期では募集人員を55人→31人に削減(第一類=学校教育系、第四類=音楽文化系で後期を募集停止)するため、志願者減が見込まれる。
 この他、前年の反動から、総合科学[後]・文[後]・経済[昼][後]・経済[夜][前][後]・理[後]・医(医・保健)[前]・歯[後]・薬[前]・工[後]・生物生産[後]で志願者減、経済[昼][前]・工[前]で志願者増が見込まれる。医(医)[前]は、2段階選抜の予告倍率引き締め(7倍→約5倍)でも敬遠されそうだ。

●山口大

 22年は全学で志願者19%減。その反動に加え、岡山大の影響もあり、人文[前][後]・教育[前]・経済[前][後]・医(医・保健)[前]・工[前][後]・農[前]で志願者増の見込み。一方、やはり前年の反動から、国際総合科学[前][後]・理[前][後]・共同獣医[前][後]で志願者減が見込まれる。特に経済[後]・工[後]は岡山大‐経済[昼]・工からの併願増が予想される。
 ただし、工[前]は学科増設の山陽小野田市立山口東京理科大‐工[前]への志望変更も予想される。また、医(医) [後]は本地区の医学科で唯一の後期として、超高倍率の激戦が続きそうだ。

●徳島大

 理工[昼]で定員増(550人→580人)、「医光/医工融合プログラム」を増設。理工[昼][前]は募集人員増(304人→315人)のためやや志願者増、同[後]は2次に志望調書(点数化)を追加したため志願者減が見込まれる。この他、前年の反動から、医(医・医科栄養)[前]・歯[前]・薬[後]・理工[夜][前]で志願者増が、総合科学[前][後]・医(保健)[前][後]・歯[後]・薬[前]・生物資源産業[前][後]で志願者減が見込まれる。ただし、医(医科栄養)[前]は2次の面接追加で小幅な増加に留まりそうだ。

●香川大

 農は後期を新規実施(10人)し、前期で募集人員減(105人→90人)。後期は、後期募集停止の岡山大‐農[前]の併願先として機能しそうだ。
 この他にも、経済[昼][後]・創造工[後]で岡山大‐経済[昼]・工からの併願増が予想される。岡山大の影響と前年の反動から、教育[後]・経済[昼][後]・医(看護・臨床心理)[前]・創造工[後]で志願者増、法[昼][前]・経済[昼][前]・医(医)[前]・創造工[前]・農[前]で志願者減が見込まれる。

●愛媛大

 前年の反動に加え、岡山大の影響もあり、法文[昼][前][後]・教育[前]・理[後]・医(医)[前]・工[前][後]・農[後]で志願者増、法文[夜][前][後]・社会共創[前]・理[前]・医(看護)[前]・農[前]で志願者減が予想される。工[前][後]は香川大‐創造工[前]、高知大‐理工[前][後]から志望変更がありそうだ。

●高知大

 前年の反動に加え、岡山大の影響もあり、人文社会科学[前][後]・医(医)[前]・医(看護)[前][後]・地域協働[前]で志願者増、理工[前][後]・農林海洋科学[前][後]で志願者減が見込まれる。農林海洋科学は募集人員の増減(前期126人→121人、後期24人→27人)のため、後期はやや易化しそうだ。

●山陽小野田市立山口東京理科大

 工で数理情報科学科を増設、学部全体で募集人員増(前期A40人→54人・B40人→54人、中期20人→28人)。機械工・電気工の前期B方式で共テを4(5)科目→5(6)科目に増加するが、前・中期とも志願者増の見込み。一方、薬[中]は2次の数学の出題範囲に数学Ⅲを追加、募集人員減(70人→64人)もあり、志願者減は必至だ。

●周南公立大

 4月から「私立→公立」に移行し、一般選抜は前期・中期で新規実施。募集人員は「経済[前]50人・[中]47人、福祉情報[前]10人・[中]10人」と中期の比率が比較的高い。経済[前][中]・福祉情報[前][中]ともに、共テが3(4)科目と私立専願型も受験しやすく、学外試験場(広島・福岡)を設置するため、多くの志願者を集めそう。下関市立大‐経済[前][中]、北九州市立大‐経済[前]、福岡県立大‐人間社会[前]などへの影響が予想される。

●高知工科大

 前年の志願者29%増の反動から、システム工学群[後]・理工学群[前][後]・情報学群[前][後]・経済マネジメント学群[前]で志願者減の見込み。理工学群[前]はC方式(理科の配点重視)を導入するが増加要因にはならず、同[後]は募集人員減(15人→10人)も敬遠材料となりそうだ。一方、やはり前年の反動から、システム工学群[前]・経済マネジメント学群[後]で志願者増が見込まれる。

 

* * *

 

 この他、前年の反動などから、岡山県立大‐情報工[前][中]・保健福祉[後]・デザイン[前]、県立広島大‐地域創生[後]・生物資源科学[前][後]などで志願者増が見込まれる。一方、島根県立大‐国際関係[前][後]・地域政策[前][後]・人間文化[前]、岡山県立大‐保健福祉[前]、県立広島大‐保健福祉[前][後]などで志願者減が見込まれる。

 

私立大

 京阪神への志向が復活、岡山理科大・広島修道大・松山大はやや志願者減が見込まれる。変動要因としては、広島経済大の方式増(1期B方式)、広島工業大の科目変更(一般A・B日程で文系科目受験型を廃止、同C日程で数学・英語を記述式総合問題に変更)が注目される。

 

九州

九州大・宮崎大・鹿児島大・名桜大が志願者増、
佐賀大・長崎大・大分大・琉球大・西南学院大は志願者減か。

 

国公立大

●九州大

 前年の反動から、文[後]・教育[前]・経済[前]・理[前][後]・医(保健)[前]・薬[前][後]・農[後]で志願者増、文[前]・経済[後]・医(医)[前]・工[後]・農[前]で志願者減が見込まれる。医(医)[前]は募集人員減(110人→105人)も敬遠材料となりそうだ。

●福岡教育大

 全学の募集人員を増加(前期381人→386人、後期82人→102人)し、初等教育教員養成課程の中に5プログラム(幼児教育、小学校教育専攻、人文・社会教育、理数教育、芸術・実技教育)を新設。また、教育(初等教育)では前期の2次で「小論文→面接」、後期の2次で「面接→小論文」に変更。さらに、前期の2次では「幼児教育=調査書の点数化を追加、理数教育=数学または理科を追加、芸術・実技教育=実技等を追加」する。教育[後]は募集人員の増加幅が大きく、志願者増が見込まれる。募集枠縮小の広島大‐教育[後]からの志願変更もありそうだ。

●九州工業大

 前年の反動から、工[後]・情報工[後]で志願者増が見込まれる。募集人員減の大分大‐理工[後]からの志望変更が予想される。一方、情報工[前]は広島大‐情報科学[前]の募集人員増の影響で志願者減が見込まれる。

●佐賀大

 前年の反動から、医(医)[前][後]・医(看護)[前]・理工[後]・農[前]で志願者増、教育[前]・芸術地域デザイン[後]・経済[前][後]・医(看護)[後]・理工[前]・農[後]で志願者減が見込まれる。九州大・長崎大・熊本大の医(医)[前]から志望変更がありそうだ。

●長崎大

 多文化社会で後期を募集停止、医(医) [前]も募集人員減(76人→71人)。一方、情報データ科学[前]で募集人員増(70人→75人)、医(保健=理学療法学) [前]も募集人員増(15人→24人)。
 水産では、募集人員の配分を「前期45人→60人、後期45人→30人」と、均等配分から前期重視に変更。前期で2段階選抜(基準:共テ900点中450点以上)を廃止し、実施方式を「共テ900点を2段階選抜のみに利用、2次280点で合否判定」から「共テ900点、2次900点で合否判定」に変更する。
 さらに、経済[昼] [前]で配点A(2次の数学・外国語が均等配点)・B(高得点の方を2倍)のうち、配点Bを廃止する。
 こうした変動要因に加えて、前年の反動もあり、教育[前]・経済[昼][前]・医(保健)[前]・薬[後]・水産[前]で志願者増、多文化社会[前]・経済[昼][後]・医(医)[前]・歯[前]・情報データ科学[前][後]・工[後]・環境科学[前][後]・水産[後]は志願者減が見込まれる。

●熊本大

 前年度の反動から、文[後]・教育[前]・法[後]・理[前][後]で志願者増、医(医・保健) [前]・工[後]で志願者減が見込まれる。

●大分大

 医で学科増設(先進医療科学)、一般選抜は前期26人・後期9人を募集する。人気系統だが、2段階選抜の実施(予告倍率:前期=約3倍、後期=約7倍)が敬遠材料となりそうだ。
 22年は全学で志願者29%増。その反動から、教育[前][後]・医(医・看護)[前]・理工[前][後]・福祉健康科学[後]で志願者減が見込まれる。理工[前][後]は学科統合(創生工・共創理工→理工)・定員減に伴う募集人員減(前期257人→244人、後期63人→49人)もあり、大幅減は必至。また、教育[前][後]は定員増に伴う募集人員増(前期68人→75人、後期22人→25人)のため、易化は必至だ。
 一方、経済[後]は前年の反動で志願者増が見込まれ、定員減に伴う募集人員減(80人→65人)のため、かなり難化しそうだ。

●宮崎大

 前年の反動から、教育[後]・医(医)[前][後]・農[前][後]・地域資源創成[前][後]で志願者増、医(看護)[前][後]・工[前]で志願者減が見込まれる。鹿児島大‐医(医)[前][後]・農[前][後]から志望変更、逆に宮崎県立看護大[前][後]への志望変更がありそうだ。

●鹿児島大

 理・歯・共同獣医の前期で配点パターンをa(共テ重視)・b(2次重視)に複線化。理[前]・歯[前]は高得点の方を利用し、共同獣医[前]は募集人員を分割(各10人)。また、共同獣医[後]で2次(面接)を廃止し、医(保健=理学療法学)[前][後]で共テの理科を2→1科目に軽減。いずれも志願者増の要因となりそうだ。また水産[後]には、募集人員減の長崎大‐水産[後]からの志望変更が予想される。前年の反動もあり、教育[前][後]・理[前][後]・工[前]・歯[前]・水産[前][後]・共同獣医[前][後]で志願者増、法文[後]・医(医)[前][後]・医(保健)[後]・農[前][後]で志願者減が見込まれる。医(医)[後]は募集人員減(23人→21人)も微妙に影響しそうだ。

●琉球大

 名桜大の学部改組・定員増(国際学群→国際学部)の影響で、国際地域創造[昼][前][後]は志願者減の見込み。また、前年の反動から人文社会[前][後]・教育[前]・理[前][後]・医(医)[後]・工[前]・農[前]で志願者増、国際地域創造[夜][前][後]・医(医)[前]・医(保健)[後]で志願者減が見込まれる。

●北九州市立大

 経済[前]は周南公立大‐経済[前]の新規実施の影響、国際環境工[前]も山陽小野田市立山口東京理科大‐工の学科増設(数理情報科学)の影響で、ともに志願者減が見込まれる。
 この他、前年の反動から、文[前]・経済[後]・地域創生学群[前]・国際環境工[後]で志願者増、外国語[後]・文[後]・法[後]で志願者減が見込まれる。

●福岡県立大

 前年の反動から、人間社会[後]・看護[前][後]で志願者増が見込まれる。ただし、人間社会[前]は周南公立大‐福祉情報[前]の新規実施の影響を受け、志願者はほぼ前年並みの見込み。

●長崎県立大

 22年は全学で志願者23%増。その反動から、経営[後]・地域創造[前][後]・情報システム[前][後]・看護栄養[前][後]で志願者減が見込まれる。
 一方、やはり前年の反動に加え、長崎大‐多文化社会の後期募集停止も影響し、国際社会[前][後]・経営[前]で志願者増が見込まれる。

●熊本県立大

 前年の反動から、総合管理[前][後]で志願者増、文[前][後]・環境共生[前][後]で志願者減が見込まれる。

●名桜大

 国際学群を「国際学部」に改組。6専攻のうち4専攻を「国際文化・国際観光産業」の2学科に統合し、定員増(280人→340人)。それに伴い、一般選抜は募集人員増(前期125人→155人、後期15人→20人)。また、国際学群から2専攻を移し、人間健康で学科増設(健康情報)、一般選抜は「前期35人・後期10人」を募集する。さらに前年の反動もあり、国際[前][後]・人間健康[前][後]ともに志願者大幅増が見込まれる。

 

私立大

 地元志向は強いものの、京阪神地区への流出も見込まれ、西南学院大・福岡大は前年並みかやや志願者減が予想される。西南学院大は国際文化で英語4技能利用型一般入試を導入、F日程で大阪会場を増設するが、前年の合格者絞り込み(志願者1%増、合格者3%減)で敬遠されそう。一方、第一薬科大‐薬(薬)の共テ利用の面接廃止、福岡歯科大の一般A日程・共テ利用1期における学外試験場新設(東京・大阪)、立命館アジア太平洋大の学部増設(サステイナビリティ観光)が志願者増の要因となりそうだ。

 

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代11月臨時増刊」より転載いたしました。


このページの先頭へ

記事一覧に戻る