《国公立大》地方中堅校人気は継続も、共通テスト難化が逆風に!?
《私立大》大都市圏でチャレンジ志向が復活、二極化か?!
入試改革2年目で変更点が少ない2022年入試は、「コロナ禍」の影響が続き、経済不安と推薦型・総合型選抜人気から、一般選抜の志願者数は、国公立大が約4%減、私立大が約6%減と予測される。「超地元志向」は続くものの、共通テストの難化が予想され、国公立大出願には逆風となりそう。一方、大都市圏ではチャレンジ志向の復活もありえ、21年に易化した私立大準難関校の一部で反動増が見込まれる。学部系統別では、文系は人気低迷、理工系・医療系の人気アップが予想される。
この記事は『螢雪時代11月臨時増刊』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)。
【共通テスト】志願者数は受験生数に比例して減少、52万人前後か
ここでは、高校・予備校の進路指導のベテラン先生方へのアンケートを参考に、さまざまな変動要因を総合し、国公私立大の難易や人気度がどう変わるのか、2022年(以下、22年。他年度も同様)一般選抜の動向を予測する。
旺文社の推定によると、21年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が63万3千人と、20年より4.8%減少した模様。22年は高卒者数の減少(2.0%減)に加え、新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)による経済状況低迷の影響から、大学・短大への現役志願率も引き続き低下が予想され、大学受験生数は旺文社の推定で61万3千人と、前年より3.2%減少すると見られる。
それでは、大学入学共通テスト(以下、共テ)の出願者数はどうなるか。22年の受験生は、共テの過去問を利用できる初年度であり、休校措置がなく例年通りの受験スケジュールをこなしているので、共テへの不安感は薄らいだと思われる。
スポーツや文化活動の諸大会・コンテストや各種資格・検定も例年に近い規模で実施されているため、学校推薦型選抜(以下、推薦型)や総合型選抜(以下、総合型)、特に指定校推薦で早期の合格確保を図る受験生の増加が見込まれる。ただし、罹患者の救済措置の追試験や、一般選抜が実施困難な時の代替措置は共テ利用が基本となるので、セーフティーネットとして共テの出願は重要だ。
こうした要素を考えあわせ、共テの出願者数は、大学受験生数の減少にほぼ比例し、21年より3%程度減少し、52万人前後と予測する(図表1)。
【国公立大学】4%程度の志願者減か。東の横浜国立大、西の大阪公立大に注目!
先生方の回答では、国公立大志向について昨年に比べ「やや弱まる」が減り、「やや強まる」が増えた。コロナ禍の影響から、大都市圏以外の受験生の「超地元志向」が継続。経済状況の低迷による家計不安、感染状況の違いから、未だオンライン授業が多く、本来のキャンパスライフにはほど遠い大都市圏の大学を敬遠する傾向は変わらない。
このため、対面授業の比率が高く、通学範囲内で難易度の面でも手が届きそうな地方国公立大は、安定して志願者を集めそうだ。しかし、共通1次試験やセンター試験(以下、セ試)でも導入2年目は平均点がダウンした前例もあり、共テの平均点ダウン(=難化。特に数学)が予想され、国公立大の出願には「向かい風」になる。
21年に人気アップした公立大後期は、反動で志願者減が見込まれ、大都市圏では21年に「志願者減・合格者増」で易化した難関私立大へ、狙い目と見て国公立大志望者の一部が志望変更する可能性もある。
●新増設・改組の影響
22年の主な大学・学部等の新増設・改組を図表2に示した。最注目は、大阪市立大・大阪府立大を統合・改組して開設される「大阪公立大」。新旧の学部・学域等の対比(募集人員、21年の志願者増減など)で見る限り大幅な志願者増はなさそうだが、志望動向に与える影響は大きい。
工学部を例に取ると(図表3)、前期の募集人員増、後期の募集停止と中期への統一もあり、大阪大‐工・基礎工、神戸大‐工の前期からの志望変更と、神戸大‐工、兵庫県立大‐工、徳島大‐理工などの後期への併願増が予想され、広範囲に影響を及ぼしそうだ。
新設の川崎市立看護大も、初年度から前・後期で実施するため、首都圏の看護系に影響しそうだ。
国立大では、富山大で学部改組(人間発達科学→教育)、教員養成以外の学科を廃止し、学内5学部に定員を移行。金沢大で観光デザイン学類、奈良女子大で女子大初の工学部を新設する。図表2以外では、宮城教育大、熊本大‐教育の、複数の教員養成課程の統合と定員減が注目される。
●推薦型・総合型の拡大が影響
北海道大‐医(保健)、埼玉大‐経済、富山大‐医(医)・薬、岡山大‐工、山口大‐教育、九州大‐歯など、推薦型・総合型を導入・拡大し、一般選抜の募集枠を縮小するケースが目立ち、志願者減に直結しそうだ。
日程変更では、北海道大‐医(保健)、富山大‐医(医)、長崎大‐医(保健)・歯、大阪公立大‐工、島根県立大‐人間文化などで後期を募集停止。一方、大分大‐医(看護)で後期を新規実施、前橋工科大が「後期→中期」に変更する。
21年開設校では、三条市立大は共テを課す前・中期を新規実施、叡啓大は別日程で実施する。
●科目の変更は少なめ
入試改革初年度の21年に比べ、科目等の変更は少ない。共テについては、富山大‐教育の後期で科目数を軽減。一方、長崎県立大‐経営・地域創造・国際社会の前・後期は科目数を増加。金沢大‐理工学域の前期では、全7学類で英語外部検定が利用可能になる。2次では、宮城教育大の前期で小論文、信州大‐教育の前期で面接、名古屋大‐農の前期で国語を追加。富山大‐教育は小論文を、前期で学科試験、後期で面接に変更した。
長崎大‐工の前期では、配点により、a方式(共テ重視)・b方式(2次重視)に複線化する。
その他、名古屋大‐医(医)の前・後期で2段階選抜を復活。横浜国立大‐経営の前期、大阪公立大‐獣医の前期、同‐現代システム科学域・農の前・後期などで新規実施する。
●個別試験復活の大学に注目!
コロナ禍対応で、21年は2次の個別試験を中止した宇都宮大・横浜国立大・山陽小野田市立山口東京理科大や信州大‐人文・経法などで、22年は個別試験を復活。共テが難化した場合、2次逆転狙いの志願者が戻り、大幅増が見込まれる。特に横浜国立大は首都圏の「台風の目」となりそうだ。
一方、面接をオンライン化したり、集団討論・面接を個人面接に切り替えたり、出願書類の点数化を中止したりするなど、コロナ禍対応で実施方法を見直すケースも散見される。特に調査書等の点数化は志願動向への影響が意外に強く、要注目。福島大・筑波大で21年に続き調査書の点数化を中止し、弘前大では志望理由書の点数化を中止する。
なお、今後も実施方法等の「再変更」があり得る。感染状況次第で2次を中止する旨を選抜要項等で予告した大学もあるので、注視したい。
以上の変更点も考えあわせ、国公立大全体の志願者は、共テの志願者数の減少にほぼ比例し、4%程度の減少が見込まれる。変更点の比較的少ない年は、前年の志願者増減や倍率アップダウンの反動が、より極端に起こりやすく、志望動向に大きく影響するので、注意してほしい。
【私立大学】6%程度の志願者減か。大都市圏の準難関校が人気復活も!?
私立大志向が強まるか、弱まるかについては、先生方の回答でも見方が分かれた。現状では「21年より強まる」「やや強まる」との回答が多かったが、これは推薦型・総合型人気の反映といえる。
コロナ禍による家計急変や感染拡大の懸念から、「より早く確実に」合格を確保するため、もともと推薦型や総合型への志向は強まっている。特に、指定校制の希望者増が顕著との声が多く聞かれる。一方、大学側が一般選抜の募集枠確保のため、指定校制の枠を前年より絞っているともいわれる。このため再挑戦組が一般選抜へ回る可能性もある。
●大都市圏でチャレンジ志向も!?
21年入試では、大都市圏の難関~準難関校をはじめ、「志願者減・合格者増」、さらに追加・補欠合格の増加で実質倍率(受験者数÷合格者数。以下、倍率)がダウンし、「穴場」となった大学が多い(図表4)。その反動から、大都市圏の私立大専願型の受験生に、チャレンジ志向の復活が見られる。また、共テの難化が予想される中、国公立大志望者層の一部が、私立大難関~準難関校の独自入試に切り替える動きもあるという。
21年入試の併願パターンは、チャレンジ校も合格確保校も精選し、実力相応校を幅広く受ける「横一文字型」になった。22年も出願校を精選する傾向に変わりはないが、大都市圏ではチャレンジ校を加えた「逆T字型」になりそうだ。特に、入試改革でも方式等の変更が少なかった大学、例えば中央大・東京理科大・法政大・立命館大・関西大が人気を集めるものと見られる。
一方、合格確保校は最小限に絞られるため、大都市圏の中堅校は志願者大幅減が予想される。
●「共テ併用方式」が増加
国公立大と同様、一般選抜の変更は少ない中、各大学の独自入試と共テの成績を組み合わせて合否判定する「共テ併用方式」の導入が目立つ。主な新規導入は、千葉工業大のSA日程、昭和薬科大のD方式、京都女子大のC方式など。また、追手門学院大では、共テ併用方式の実施学部を「1→7学部」と全学に拡大する。
一方、21年に共テ併用を軸に、総合問題の導入、文系学部での数学必須など、従来の私立大入試とは異なる方向性の改革を行い、志願者大幅減となった青山学院大・早稲田大は、引き続き敬遠されそうだ。
●共テ利用は関西学院大に注目!
共テ利用方式では、東北医科薬科大‐医の新規実施や、専修大の文系6学部の共テ利用前期における4科目型、関西学院大の文系10学部の1月出願における7科目型など多科目型の導入が要注目。
共テ英語のリスニングの配点は、21年に決定した配点比率を継続する大学がほとんどだが、関西学院大で共テ利用方式の英語の配点比率を「1:1」から「4:1」に変更。リーディングの配点比率を高め、セ試利用時代に戻したのが注目される。
調査書等の点数化は少数派だが、大妻女子大・共立女子大・東京家政大などの女子大における導入や拡充が、多面的な評価として注目される。
●新設大学・学部・学科の特徴
分野別では看護・医療系の新増設が最も多く、文系では心理・国際・教育、理系では建築・情報に関する増設が目立つ。中でも、武蔵大‐国際教養、近畿大‐情報は注目度が高い。
大規模な改組では、東海大の全学・全国規模の改組(3キャンパスに5学部を増設、2学部を統合し「文理融合学部」を開設など)、兵庫医科大と兵庫医療大の統合が注目される。
なお、徳山大が公立大学法人化を認可申請中で、「周南公立大」に名称変更する予定だ。
以上の変動要因も考えあわせ、私立大一般選抜全体の志願者数は、前年(14%減)よりも緩やかな6%程度の減少に留まると予測する。
【学部系統別】情報系など理工系人気が高まり、文系・医・教員養成は志願者減か
コロナ禍による経済状況や就職事情の悪化から、経済や国際・外国語をはじめ文系学部の人気低迷は続きそうだ。国立大教員養成学部の定員減や教員を取り巻く環境などから、教員養成系も低迷が続きそう。ただし、資格志向の強まりで、地方公務員を目指し、法はやや人気回復しそうだ。
理系では理・工の志願者増が見込まれ、特に情報科学や建築分野は人気を集めそうだ。「理系の資格志向」も強まり、医療現場が注目される中、医・薬や、新設の多い看護・医療も志願者増が見込まれる。
以下、各地区の主な大学について、22年一般選抜の変動要因と志望・難易動向を見ていこう。文中、変更点は21年→22年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=[前]、後期日程=[後]、公立大中期日程=[中]、昼・夜間主コース=[昼] [夜] 、共通テスト=共テ、(旧)センター試験=セ試、個別学力検査等(2次試験)=2次、学校推薦型選抜=推薦型、総合型選抜=総合型、共テを課さない(課す)=共テ免除(課す)、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。教科・科目数は「5または6教科7または8科目(科目選択による)=5(6)教科7(8)科目」のように略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。
北海道・東北
北海道大・弘前大・秋田大・福島大・東北学院大が志願者増、
定員減の宮城教育大や、東北大・福島県立医科大が志願者減か。
国公立大
● 北海道大
前期の総合入試(文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施)は、前年の反動(志願者増減や倍率の変動による。以下、同じ)から、文系で志願者増が予想される。理系は募集人員減(1,017人→984人)のため、やや難化か。前期の学部別入試や後期では、総合型の募集枠拡大の影響から、医(保健)の「後期募集停止、前期142人→136人」をはじめ、一般選抜の募集人員減(理[後]66人→50人、工[後]151人→139人)が、医(保健)[前]・理[後]・工[後]の志願者減につながりそうだ。この他、前年の反動から、文[後]・教育[後]・法[後]・経済[後]・医(医)[前]・歯[前]・農[後]・獣医[前][後]で志願者増、教育[前]・法[前]・水産[後]で志願者減が見込まれる。医(医)[前]は募集人員減(97人→92人)のため、難化は必至だ。
● 北海道教育大
教員養成課程(札幌校・旭川校・釧路校)では、前年の反動から釧路校[前][後]で志願者減、旭川校前[後]で志願者増が見込まれる。一方、教員養成以外の学科(函館校・岩見沢校)では、岩見沢校は募集人員の変更(前期80人→94人、後期52人→38人)が、前期の志願者増、後期の志願者減に直結しそう。また、函館校[後]は前年の反動で志願者増が見込まれる。
● 北見工業大
工[前][後]は前年の反動に加え、後期は学外試験場増設(札幌)もあり、志願者増が見込まれるが、募集人員の9割程度を共テの得点(後期は2次との合計点)で、残り1割程度を調査書点数化も加えて合否判定する選抜方法の継続が敬遠材料となり、小幅な増加に留まりそうだ。
● 室蘭工業大
前年の反動から、理工[昼・夜][前]で志願者増、・同[昼][後]で大幅減が見込まれる。公立千歳科学技術大[前]からの志望変更も想定される。
● 弘前大
人文社会科学[前][後]・医(保健)[前]・理工[前][後]・農学生命科学[前][後]の2次で、志望理由書の点数化を中止。また、人文社会科学・医(保健・心理支援科学)・理工・農学生命科学の前期で、学外試験場を仙台に増設(八戸は廃止)。いずれも人気材料となりそう。
前年の反動もあり、人文社会科学[前][後]・教育[前][後]・医(医・保健・心理支援科学)[前]・理工[前][後]・農学生命科学[前][後]の志願者増が見込まれる。医(医)[前]は「青森県定着枠」の増加(15人→20人)が予定され、増加要因となりそう。一方、農学生命科学[後]は募集人員減(41人→34人)で難化は必至だ。
● 岩手大
前年の反動から、教育[後]・理工[前]・農[前][後]で志願者増の見込み。一方、人文社会科学[前][後]は志願者減が見込まれる。弘前大‐人文社会科学[前][後]への志望変更がありそうだ。
● 東北大
経済[前]・医(保健)[前]・薬[前]・工[前]・農[前]で志願者減、文[前]・教育[前]・法[前]・理[前][後]で志願者増が見込まれる。
● 宮城教育大
教育で初等教育・中等教育・特別支援教育の各教員養成課程を統合し、「学校教育教員養成課程」に改組。初等教育、中等教育、芸術体育・生活系教育、特別支援教育の4専攻を設置する。また、中等教育専攻で後期を募集停止し、学部全体で「前期225人→203人、後期56人→41人」に募集人員減。前期の2次負担増(教育小論文を追加)も敬遠材料となり、前・後期とも志願者大幅減が見込まれる。岩手大‐教育[後]、山形大‐地域教育文化[前][後]、秋田大‐教育文化[前]への志望変更が想定される。
● 秋田大
前年に全学で志願者14%減の反動から、国際資源[前][後]・教育文化[前][後]・医(医・保健)[前]・理工[後]で志願者増が見込まれ、教育文化[後]は募集人員減(36人→31人)のため、難化必至だ。
一方、やはり前年の反動から、理工[前]は志願者減が見込まれる。
● 山形大
前年の反動から、人文社会科学[前]・理[後]・医(医)[前][後]・医(看護)[前]・工[昼][前][後]で志願者増、理[前]・医(看護)[後]・工[夜][前][後]・農[前][後]で志願者減が見込まれる。また、宮城教育大‐教育[前][後]の募集人員減の影響で、地域教育文化[前][後]は志願者増が見込まれる。
● 福島大
22年も全学で調査書の点数化を取りやめる。前年の反動から、人間発達文化学類(以下、学類を略)前[後]・行政政策[後]・経済経営[前]で志願者増、行政政策[前]・共生システム理工[前]・食農前[後]で志願者減が見込まれる。また、共生システム理工[後]は、茨城大‐工[後]からの志望変更で志願者増が見込まれる。
● 岩手県立大
看護の募集人員を、前期で48人→53人に増加、後期は15人→10人に削減。前年の反動もあり、前・後期とも志願者増、後期の難化が見込まれる。この他、やはり前年の反動から、総合政策前[後]で志願者増、社会福祉[前][後]・ソフトウェア情報[前][後]で志願者減が見込まれる。
● 宮城大
食産業学群(以下、学群を略)で、食資源開発学類を「生物生産学類」に名称変更。前年の反動もあり、食産業[前]・看護[後]で志願者増、事業構想[前][後]で志願者減が見込まれる。
● 福島県立医科大
医[前]は募集人員減(80人→75人:総合型を新規実施)、保健科学[前]は開設2年目の反動から志願者減が見込まれる。一方、看護[前]は募集人員増(40人→44人)、同[後]は前年の反動から志願者増が見込まれる。
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この他、前年の反動などから、旭川医科大‐医(医・看護)[後]、釧路公立大‐経済[中]、名寄市立大‐保健福祉[前][後]、会津大‐コンピュータ理工[前]などで志願者増が、小樽商科大‐商[昼][後]、帯広畜産大[前][後]、秋田県立大‐生物資源科学[前]などで志願者減が見込まれる。国際教養大(A~C日程)も、コロナ禍による留学困難等の影響で、引き続き志願者減が見込まれる。
私立大
強い地元志向から、国公立大との併願が多い北海学園大・北海道科学大・東北学院大などはやや志願者増が予想される。特に東北学院大は、全学部の一般前期で従来の方式・日程(2/1=全学部型、英語資格・検定試験利用選抜、2/2・3=学科分割型)を「2/1=全学部型A、2/2=全学部型B(英語外部検定利用可)」に変更。一般前期A・Bは複数学科併願方式で、1日につき3学科同時併願可のため、新たに導入する受験料併願割引が人気材料となりそうだ。
この他、北海道科学大‐薬の一般選抜・共テ利用選抜で、数学・外国語が「必須→選択」になり、国語が選択可に。東北医科薬科大 ‐ 医で共テ利用選抜を新規実施。東北工業大の一般A・B日程で、志望理由書の提出を追加する。
関東・甲信越
2次復活の横浜国立大が増加、千葉大・東京農工大が志願者減か。
私立大は中央大・法政大が増加、立教大が志願者減か。
国公立大
● 茨城大
前年は全学で志願者12%増。その反動から、人文社会科学[前][後]・教育[前][後]・理[前]・工[昼][後]・工[夜][前]で志願者減が見込まれる。工[昼][後]は福島大‐共生システム理工[後]への志望変更が想定される。
一方、やはり前年の反動から、工[昼][前]・工[夜][後]・農[前][後]、21年に募集人員増(35人→64人)の理[後]で志願者増が見込まれる。
● 筑波大
21年に続き、2次の調査書点数化を中止するため、全体的にはやや志願者増が見込まれる。前年に学類・専門学群選抜と並行して、前期で総合選抜(大括り募集。2年次から志望する学群・学類に所属)を導入。導入2年目で認知度が高まり、総合文系[前]・総合理系Ⅰ~Ⅲ[前]のいずれも、やや志願者増か。
学類・専門学群選抜は、前年の反動などから、人文学類(以下、学類を略)前[後]・比較文化[前]・障害科学[前][後]・地球[後]・化学[後]・応用理工[前]・情報科学[前]・体育専門学群[前]・芸術専門学群[前][後]で志願者増が見込まれる。芸術専門学群[後]は、2段階選抜の予告倍率緩和(約6倍→約10倍)も要因となりそうだ。
一方、やはり前年の反動などから、社会[前]・心理[前][後]・生物[後]・生物資源[後]・地球[前]・工学システム[後]・社会工学[後]・知識情報・図書館[後]・医[前]・医療科学[前]で志願者減が見込まれる。
● 宇都宮大
21年はコロナ禍対応で、全学の前・後期とも個別試験を中止、共テの成績と出願書類等を基に合否判定したため、志願者12%減。22年入試では個別試験を復活するため、地域デザイン科学[前][後]・国際[前]・工[前]・農[前]で志願者増が見込まれる。農[前]は、福島大‐食農学類[前]からの志望変更が想定される。
共同教育[前]も、共テの科目数を教育人間科学系と人文社会系で8→6(7)科目、芸術表現・生活・健康系で6→5(6)科目に軽減したため、やや志願者増か。一方、前年の反動から、工[後]・農[後]は志願者減が見込まれる。
● 群馬大
宇都宮大の個別試験復活の影響と、前年の反動から、共同教育[前][後]・医(保健)[前][後]・理工[後]・情報[前]で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、医(医)[前]・理工[前]・情報[後]で志願者増が見込まれる。
● 埼玉大
前年の反動から、教養[前]・経済[昼][前][後]・理[後]で志願者増、教養[後]・工[前][後]で志願者減が見込まれる。工[前][後]の減少は、個別試験復活の横浜国立大‐理工[前][後]への志望変更もありそうだ。経済[昼][前]は募集人員減(230人→215人:総合型を復活)のため、難化は必至だ。
● 千葉大
前年は横浜国立大の個別試験中止の余波もあり、全学で志願者13%増。22年は逆に、法政経・教育・工が、横浜国立大の個別試験復活の影響を強く受けそうだ。その他の前年の反動もあり、文[後]・法政経[後]・教育[前]・理[後]・工[前][後]・医[後]・園芸[後]・薬[後]で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、文[前]・看護[前]で志願者増が見込まれる。
● 東京大
文系不人気の傾向から、文科1・2類[前]ではやや志願者減が予想される。一方、理工系人気から、理科1類[前]は志願者増が見込まれる。
● 東京外国語大
言語文化[前]・国際社会[前]の2次で、21年に導入予定だったが中止した英語スピーキングテストを、22年から新規実施。
コロナ禍で逆風を受ける分野だが、前年の大幅減(全学で19%減)の反動もあり、言語文化[前]・国際社会[後]・国際日本[前]のいずれも、やや志願者が増加しそうだ。
● 東京工業大
前年の反動から、理学院[前]、物質理工学院[前]、環境・社会理工学院[前]で志願者増が、生命理工学院[前]で志願者減が見込まれる。
● 東京農工大
横浜国立大‐理工の個別試験復活の影響を強く受け、工[前][後]は志願者減が見込まれる。工[前]は募集人員減(279人→272人:総合型を拡大)もあり、大幅減は必至だ。この他、前年の反動から農[前][後]も志願者減が見込まれる。
● 一橋大
前年の反動から、商[前]・社会[前]で志願者増、経済[前]で志願者減が見込まれる。また、横浜国立大‐経済[後]・経営[後]の個別試験復活の影響で、経済[後]もやや志願者減が見込まれる。
● 横浜国立大
21年はコロナ禍対応で、前・後期とも個別試験を中止、共テの成績と出願書類等を基に合否判定したため、全学の志願者は45%減。22年では個別試験を復活するため、2次逆転を狙う高学力層を中心に、20年のレベルまで志願者が戻りそうだ。
教育[前]・経済[前][後]・経営[後]・理工[前][後]・都市科学[前][後]で志願者増が見込まれる。埼玉大・千葉大・東京農工大・横浜市立大など、広く首都圏の準難関校に影響しそうだ。ただし、経済[前][後]・経営[後]で2段階選抜も復活(予告倍率は、経済[前]が約7倍、経済[後]が約15倍、経営[後]が約8倍)するため、難化は必至だ。
一方、経営[前]は前年の志願者増の反動に加え、2段階選抜の新規実施(予告倍率=約6倍)のため、大幅減が見込まれる。
● 上越教育大
学校教育[前]の2次で、21年は中止した実技・面接を復活。志願者増が見込まれる。
● 新潟大
前年の志願者大幅減(全学で13%減)の反動から、人文[前]・教育[前]・法[前]・経済科学[後]・理[後]・医(医・保健)[前]・歯[前]・農[前][後]・創生[前]で志願者増の見込み。一方、やはり前年の反動から法[後]・工[前]・歯[後]で志願者減が見込まれる。
● 山梨大
前年は全学で志願者14%減。その反動から、教育 [前][後]・工 [前][後]・生命環境 [前][後]で志願者増が見込まれる。生命環境は生命工学科の「バイオ・メディカルデータサイエンス特別コース」新設も要因となりそう。医(医) [後]も富山大‐医(医)の後期募集停止の影響で志願者が増加しそうだ。
● 信州大
人文 [後][後]・経法 前は、21年にコロナ禍対応で2次の個別試験を中止したが、22年は実施を復活。人文[前]で学外試験場(東京)を廃止するが、人文 [前][後]・経法[前]のいずれも志願者大幅増が見込まれる。一方、教育[前]は2次の面接(口頭試問を含む)の追加と募集人員減(142人→136人)が敬遠材料となり、志願者減の見込み。この他、前年の反動から、教育[後]・繊維[後]で志願者増、理 [前][後]・医(医)[前]・工 [前][後]・農 [後]で志願者減が見込まれる。
● 前橋工科大
工を「6学科→2学群(建築・都市・環境工学群、情報・生命工学群)6プログラム」に改組。夜間主開講を廃止し、昼間開講に統一。また、「後期→中期」に切り替える。募集人員は、前期が「昼128人・夜20人→180人」に増加、「後期→中期」が「昼48人・夜12人→24人」に減少する。このため、工[前]で志願者増、工[後]で大幅減が見込まれる。
● 東京都立大
前年の反動から、人文社会[前][後]・経済経営[前]・理[前][後]・都市環境[前]・システムデザイン[前]・健康福祉[前]で志願者増、法[前]・経済経 [後]・システムデザイン[後]で志願者減が見込まれる。
● 横浜市立大
横浜国立大‐経済・経営の個別試験復活の影響と、前年の反動から、国際商[前]・データサイエンス[前]・医(医・看護)[前]で志願者減の見込み。一方、やはり前年の反動から、理[前]で志願者増が見込まれる。
● 川崎市立看護大
看護学部のみで開学予定。一般選抜は、共テを課す前期・後期で実施するため、埼玉県立大・神奈川県立保健福祉大など、地区の看護系の志願動向に影響を及ぼしそうだ。
● 三条市立大
開学2年目で、理工の一般選抜は共テを課す前期・中期で新規実施。新潟大‐工[前]の志願者減に影響しそうだ。
*****
この他、前年の反動から、お茶の水女子大‐文教育[後]・理[後]、電気通信大‐情報理工[昼][前]、東京医科歯科大‐医(医)[前]・歯[前][後]、東京海洋大‐海洋工[前][後]、東京学芸大‐教育[前]、高崎経済大‐経済[前]・地域政策[前]、都留文科大‐文[前][中]、公立諏訪東京理科大[前][中]などで志願者増が見込まれる。一方、東京海洋大‐海洋生命科学[前]・海洋資源環境[後]、高崎経済大‐地域政策[後]などで志願者減が見込まれる。
私立大
コロナ禍の影響から首都圏回避の傾向が続き、他地区からの流入は弱まりそうだが、難関~準難関校をはじめ、「ブランド校」が軒並み倍率ダウンで易化した21年入試の状況から、首都圏受験生の一部にチャレンジ志向が復活するものと見られる。一方で、併願校を精選する傾向は変わらず、中堅校や従来の低倍率校は志願者減と、二極分化しそうだ。
21年では難関校の一般選抜で、共テ利用を軸として、数学必須化や記述式の導入など、従来の私立大入試とは異なる方向性の入試改革が注目された。青山学院大と早稲田大‐政治経済・国際教養・スポーツ科学は、22年も私立大専願者からは敬遠されそう。また、立教大も数少ない志願者増加校(7%増)だったが、22年は反動減が予想される。
21年の入試改革でも20年以前と入試形態がほぼ変更がなく、過去問対策がしやすく、しかも21年に「志願者減・合格者増」で倍率ダウンが顕著だった難関~準難関校、具体的には中央大・東京理科大・法政大あたりが狙われる可能性があるので要注意だ。
以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
● 千葉工業大
全学部で独自・共テ併用のSA日程を新規実施(共テ=数学2科目、独自=A日程の数学)。また、コロナ禍対応の受験生支援策として、共テ利用方式の受験料免除を継続する。
● 青山学院大
全学部日程で仙台・岡山の2会場を廃止。文の個別学部日程で「英米文C方式=国語から漢文を除外、フランス文A方式=共テ3→2科目(国語を除外)、日本文B方式=共テ2→1科目(国語を除外)」に軽減。
法の個別学部日程A方式で、総合問題の国語の出題範囲から古文・漢文を除外。総合文化政策の個別学部日程A方式と共テ利用選抜でも、共テの国語から古文・漢文を除外する。
● 大妻女子大
一般A方式Ⅰ・Ⅱ期、共テB方式Ⅰ・Ⅱ期で調査書点数化を導入する。また、共テB方式Ⅰ・Ⅱ期で英語外部検定利用可に(得点換算)。
● 学習院大
国際社会科学の一般選抜で、21年はコロナ禍対応で中止した英語外部検定利用のプラス試験(コア試験以外の受験日)を復活する。
● 工学院大
全学部の共テ利用前期で、4教科型を追加(従来は3教科型のみ)。また、建築の一般B日程が2→3科目に負担増。
● 駒澤大
全学部統一日程で学外試験場を変更。水戸・立川・横浜を廃止し、札幌・つくば・大阪・福岡を追加する。また、文(地理、社会=社会)、医療健康科学、グローバル・メディア・スタディーズで一般T方式3月を廃止する。
● 成城大
経済の共テ利用B方式の前期(3教科型、4教科型)で、英語にリスニングを追加。文芸の共テ利用B方式で後期を新規実施する。
● 専修大
経済・法・経営・商・人間科学・文(日本文学文化、哲学、環境地理、ジャーナリズム)の共テ利用前期で4科目型を、文(英語英米文)で5科目型を新規実施する。
● 中央大
理工の学部別選抜で英語外部試験利用方式を新規実施。また、一般選抜の学外試験場のうち、新潟・広島を廃止する。
● 大東文化大
外国語(日本語)の一般3教科、全学統一前・後期で国語の配点を100点→200点に増加。また、全学の共テ利用入試で前期後出願と中期を統合し、新たに中期を実施する。
● 東海大
全学・全国規模の改組(3キャンパスに児童教育・経営・国際・建築都市・人文の5学部を増設、2学部を統合し「文理融合学部」を開設など)を行う。また、政治経済の3~4年次を、湘南キャンパス(神奈川県平塚市)→東京キャンパス(渋谷区)に移転する。
文系・理系学部統一選抜(前期・後期)、一般選抜(医学部医学科以外)で、英語外部検定を利用する場合も、大学独自の英語筆記試験の受験が必須となった(高得点の方を利用)。
● 東京家政大
一般1期を「独自のみ→独自・共テ併用型」に変更。また、一般2期で調査書点数化を導入。
● 日本大
医・歯・松戸歯でN全学統一方式2期を新規実施。医でA個別方式を廃止し、N全学統一方式1期の2次試験を「小論文・面接・適性検査→数学・英語・面接」に変更、受験料を増額(5万円→6万円。2期も)する。
一方、松戸歯で、受験料を「A個別方式=5万円→4万円、N全学統一方式・C共テ利用方式=2万4千円→1万8千円」に減額する。
● 法政大
グローバル教養の一般A方式で、英語の独自試験を廃止し、英語外部検定を新規利用(出願資格、得点換算)。また、社会・国際文化で英語外部試験利用入試(出願資格型)を新規実施。
● 明治大
国際日本の学部別入試で選択から政治・経済を除外。農の学部別入試で、配点を各科目120点→150点(合計360点→450点)にアップ。
● 明治学院大
心理(教育発達)で一般B日程を廃止。法(グローバル法)で英語外部試験を新規利用(全学部日程=出願資格、A日程=得点換算)。
● 早稲田大
文・文化構想の一般選抜の募集人員を「文390人→340人、文化構想430人→370人」に削減(共テ利用方式、英語4技能テスト利用方式は変更なし)。
また、人間科学の一般選抜(共テ+数学選抜方式)で、独自試験(数学)を560点→360点に配点ダウンする(共テは140点で変更なし)。
*****
獨協大は、外国語・国際教養・経済の一般A方式で英語外部検定利用の「外検+(プラス)」を新規実施(同一学科に限り併願可)。
共立女子大は家政・文芸・国際・看護の共テ利用2月・3月で、調査書点数化を導入。國學院大で学部増設(観光まちづくり)。
実践女子大は一般Ⅲ期で共テ併用型を新規実施。順天堂大で学部増設(医療科学)。昭和薬科大で独自・共テ併用のD方式を新規実施。成蹊大‐理工で「3→1学科」に統合・改組する。玉川大は5学部で地域創生教員養成入試を新規実施。東京経済大は全学で共テ利用中期を新規実施。東京慈恵会医科大‐医(医)で東京都地域枠入試を廃止。東京農業大は共テ利用前期で2科目型を新規実施。武蔵大で学部増設(国際教養)。神奈川大でも学部増設(建築)する。
北陸・東海
富山大の全学的改組の影響大。福井大・静岡大が志願者増、
金沢大・岐阜大・名古屋大・三重大が志願者減か。
国公立大
● 富山大
人間発達科学を「教育学部」に改組し、金沢大との「共同教員養成課程」を設置予定。人間環境システム学科を廃止(共同教員養成課程は80人→85人に定員増)、一般選抜の募集人員を前期102人→62人、後期45人→10人に削減。このため、教育全体の志願者大幅減は確実だが、共同教員養成課程は前期の2次を「小論文→学科試験」に変更、後期で共テを6(7)科目→4科目に軽減するため、人気材料となりそうだ。学内5学部に定員が移され、募集人員が「経済[昼][前]199人→229人/人文[前]110人→125人・[後]35人→38人/都市デザイン[前]81人→95人・[後]33人→38人/理[前]121人→124人・[後]46人→45人/工[前]264人→286人・[後]57人→50人」と変更される。
さらに、医(医)で後期を募集停止し、[前]60人→70人に募集人員増。薬の定員を、薬学科(6年制)で55人→70人に増加、創薬科学(4年制)で50人→35人に削減。また、前期75人→69人・後期10人→8人に募集人員減(総合型を新規実施)。これらの変更に加え、前年の反動もあり、人文[前][後]・経済[昼][前][後]・経済[夜][後]・理[前]・医(医)[前]・芸術文化[前]・都市デザイン[前][後]で志願者増、医(看護)[前][後]・薬(創薬科学)[前]・工[前][後]・芸術文化[後]で志願者減が見込まれる。
工[前][後]は、富山県立大‐工の定員増の影響も受けるものと見られ、易化は必至だ。
● 金沢大
融合学域に「観光デザイン学類(以下、学類を略)」を増設。一般選抜の募集人員は前期40人。コロナ禍の逆風を受ける分野だけに、初年度は様子見で志願者は少数に留まりそうだ。同学類増設で、3学類が募集人員減(人文[前]123人→120人、法[前]135人→125人、国際[前]53人→51人)。法[前]は志願者減につながりそう。21年に「後期→前期」に移行した、学類別募集と別枠で実施する文系・理系一括入試(同入試による入学者は、2年次から各学類に配属)では、文系・理系とも前年の反動から志願者減の見込み。この他の学類別募集(以下、学類を略)では、やはり前年の反動から、先導[前]・経済[前]・地域創造[前]・数物科学[前]・「機械工・フロンティア工・電子情報通信」[前]・物質化学[前]で志願者減、学校教育[前]・国際[前]・生命理工[前]・医薬科学[前]・保健[前]・薬[前]で志願者増が見込まれる。理工学域[前]では、全7学類の共テの英語で英語外部検定が利用可能になるが、志願動向に及ぼす影響は限定的と見られる。
● 福井大
富山大‐医(医)の後期募集停止に伴う併願増、同‐教育の改組と定員減による影響が想定される。前年の反動もあり、教育[前]・医(医・看護)[前][後]・工[前][後]で志願者増が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、国際地域[後]で志願者減が見込まれる。また、教育[後]は募集人員減(20人→13人:推薦型で「嶺南地域枠」を新設)のため、やはり志願者減が見込まれる。
● 岐阜大
医(医)は、募集人員を前期37人→45人に増加、後期25人→10人に削減。前年の反動もあり、前期で志願者増、後期で志願者減が見込まれるが、富山大‐医(医)の後期募集停止の影響から、超高倍率の激戦が続きそうだ。
社会システム経営学環は開設2年目の反動で志願者減が見込まれる。また、やはり前年の反動から、地域科学[前][後]・医(看護)[前][後]・応用生物科学[前][後]で志願者減が、教育[前]・工[前][後]で志願者増が見込まれる。
● 静岡大
前年の反動から、教育[後]・情報[前][後]・理[後]・工前[後]・地域創造学環[前]で志願者増、人文社会科学[前][後]・農[前][後]・地域創造学環[後]で志願者減が見込まれる。
● 名古屋大
農[前]は2次で国語を追加。また、医(医)[前][後]で2段階選抜を復活(基準=共テ900点満点中700点以上)。いずれも敬遠材料となり、志願者減の要因となりそうだ。この他、前年の反動から、法[前]・情報[前]・工[前]で志願者減、教育[前]・医(保健)[前]で志願者増が見込まれる。
● 名古屋工業大
工二部(夜間学部:4学科)を募集停止し、夜間主コースの「基幹工学教育課程」を設置予定(電気・機械工学、環境都市工学の2コース編成)。同時に一般選抜(前期)を募集停止する(推薦型・総合型を新規実施)。全学ではやや志願者減ながら、工[後]は大阪公立大‐工の後期募集停止の影響から、やや志願者増となりそうだ。
● 三重大
前年の反動から、教育[前][後]・医(医・看護)[前][後]・工[前]・生物資源[前][後]は志願者減が見込まれる。教育[前][後]は、教員志望確認書の総合評価の導入も敬遠材料となりそう。また、医(医)[前]は岐阜大‐医(医)[前]への志望変更がありそうだ。
● 富山県立大
工は定員増(340人→375人)に伴い、一般選抜で募集人員増(前期221人→245人・後期34人→36人)のため、前期の志願者増が見込まれる。この他、前年の反動から、看護[後]で志願者増、工[後]・看護[前]で志願者減が見込まれる。
● 公立小松大
前年は全学で志願者47%増。その反動から、生産システム科学[前][中]・保健医療[中]・国際文化交流[前][中]で志願者減が見込まれる。国際文化交流は募集人員の変更(前期30人→35人、後期30人→25人)もあり、前期は易化必至だ。
● 福井県立大
海洋生物資源で学科増設(先端増養殖科学)、一般選抜で前期10人・後期6人を募集する。そのため、海洋生物資源[前][後]で志願者増の見込み。この他、前年の反動から、経済[後]・生物資源[前]も志願者増の見込み。一方、看護福祉[前][後]は看護学科の2段階選抜(予告=志願者が100人を超えた場合)が敬遠材料となり、志願者増には至らないものと見られる。
● 静岡県立大
全学の志願者増減(18年25%減→19年22%増→20年17%減→21年13%増)の揺れ戻しから、国際関係[前]・看護[前][後]・食品栄養科学[後]で志願者増、薬[中]・経営情報[後]で志願者減の見込み。薬[中]から岐阜薬科大[中]へ、志望変更がありそうだ。
● 名古屋市立大
前年の反動から、薬[中]・経済[前]で志願者増、経済[後]・人文社会[後]・芸術工[前][後]で志願者増が見込まれる。
また、医[前]は2段階選抜の基準の緩和(共テ550点満点中、概ね75%以上→73%以上)が前年の反動を相殺、志願者はほぼ前年並みか。
私立大
21年に倍率ダウンの愛知大・中京大・南山大・名城大で、以下の変更もあり、やや志願者を戻しそうだ。愛知大で「愛知大学スカラシップ採用枠」を拡大(200人→300人)、対象に一般M方式を追加。中京大で後期F方式を全問マーク式に変更。南山大 ‐ 外国語の一般入試を「専攻別募集→学科別募集」に、専攻決定を「入学時→2年次」に変更。名城大で学部増設(情報工)、外国語・情報工・理工で傾斜配点型K方式を新規実施(A方式を指定配点で再判定)、理工の共テC方式前期に 5教科6科目型を追加する。
この他の変動要因としては、愛知学院大 ‐ 心理、金城学院大 ‐ 看護、名古屋女子大 ‐ 医療科学などの学部増設が注目される。
関西
「大阪公立大」が大阪大・神戸大・和歌山大などに影響大!
私立大は立命館大・関西大・関西学院大が志願者増か。
国公立大
● 滋賀大
前年の反動から、経済[昼][前]・データサイエンス[前]で志願者増、経済[昼][後]・教育[後]で志願者減が見込まれる。
特にデータサイエンス[前]は高人気分野だけに、大幅増が見込まれる。
● 京都大
大都市圏の難関校を敬遠する傾向から、全体的にやや志願者減が見込まれる。
ただし、前年の反動が強く出そうな文[前]・法[前]・経済(理系)[前]・工[前]で志願者増が、総合人間(文系)[前]・法[後]・理[前]・医(医)[前]で志願者減が見込まれる。
● 大阪大
神戸大からの揺れ戻しが想定され、難関大志望者の人気を集めそう。ただし「大阪公立大」開設が影響し、経済・工・基礎工など、共テの難化次第では志望変更もありそうだ。
前年の反動から、外国語[前]・経済[前]・医(医・保健)[前]・薬[前]・工[前]で志願者増、文[前]・歯[前]・基礎工[前]で志願者減が見込まれる。基礎工[前]は2段階選抜の予告倍率引き締め(約3.0倍→約2.9倍)も敬遠材料となりそうだ。
なお、21年の推薦型・総合型(旧:世界適塾入試)では、合格者が募集人員の約75%に留まり、不足分を前期に上乗せしたため、外国語[前]・法[前]・理[前]・工[前]で、合格者数が募集人員を大幅に上回った。この現象は22年も想定され、意外な倍率ダウンもありうるので要注意だ。
● 神戸大
21年は全学で志願者10%増。その反動に加え、前期では「大阪公立大」への志望変更も想定される。前年の反動から、国際人間科学[前]・文[後]・法[後]・理[前]・工[前]・農[前]・医(保健)[前]・海洋政策科学[前]で志願者減が見込まれる。
一方、やはり前年の反動から、文[前]・法[前]・経営[前]で志願者増が見込まれる。また、工[後]は大阪公立大‐工[前]からの併願増が想定され、やや志願者増が見込まれる。
● 奈良女子大
工学部を新設予定。募集人員は前期30人・後期10人(以下、募集人員に総合型と高大接続特別入試を含む)。女子大初の工学部だが、初年度は様子見で志願者は少数に留まりそうだ。
一方、工の開設に伴い、生活環境を改組し、定員減(175人→145人)。募集人員は前期105人→92人・後期37人→27人に削減。また、理を定員減(150人→135人)、募集人員は前期98人→91人、後期33人→29人に削減する。前年の反動もあり、文[前][後]・理[前][後]は志願者増、生活環境[前][後]は志願者減が見込まれる。
● 和歌山大
大阪公立大‐工の後期募集停止、同‐商[後]の募集人員減の影響から、経済[後]・システム工[後]は併願増で志願者増が見込まれる。また、前年の反動から、教育[前][後]・経済[前]・システム工[前]も志願者増が見込まれる。
● 滋賀県立大
前年の反動から、工[前][後]・人間文化[前][後]で志願者増、環境科学[前]・人間看護[前][後]で志願者減が見込まれる。人間看護[前]は、滋賀医科大‐医(看護)への志望変更が想定される。また、環境科学[後]は、生物資源管理学科の共テの軽減(5→4科目)、2次の変更(数学を除外、理科1→2科目)が増加要因となりそうだ。
● 京都府立大
前年の反動から、文[前][後]・公共政策[前][後]で志願者増、生命環境[後]で志願者減の見込み。文[後]は、和食文化学科が共テの理科で基礎科目が選択可になったことも要因となりそうだ。
● 大阪公立大
大阪市立大(8学部)と大阪府立大(4学域)を統合し、11学部1学域で開学予定。22年国公立大入試で最大の変動要因といえる。
農・獣医・看護の3学部が新設だが、旧2大学の学類・学科を学部に昇格したものだ。その募集人員は新旧で次のように対応している。「応用生命科学類[前]60人・[後]20人、緑地環境科学類[前]30人・[後]10人」→農[前]90人・[後]30人、獣医学類[前]35人→獣医[前]35人、「医(看護)[前]40人、看護学類[前]50人・[後]15人」→看護[前]85人・[後]20人。
また、既設の学部・学域の募集人員も次のように増減する。現代システム科学域[前]203人→170人、法[前]145人→155人・[後]20人→25人、経済[前]170人→185人・[後]45人→50人、商[後]25人→18人、理[前]111人→204人・[後]32人→58人、工[前]225人→269人・[後]49人→募集停止・[中]451人→442人、生活科学[前]95人→109人。
新旧の同系統学部・学域の対比(募集人員の増減、21年の志願者増減など)で見る限り、全学での大幅な志願者増はなさそうだが、志望動向に与える影響は大きい。図表3でも例に挙げたが、工は前期の募集人員増、後期の募集停止と中期への統一もあり、大阪大‐工・基礎工、神戸大‐工の前期からの志望変更と、神戸大‐工、兵庫県立大‐工、徳島大‐理工などの後期への併願増が予想され、関西を中心に、広範囲に影響を及ぼすものと見られる。
前年の反動もあり、現代システム科学域[前]・文[後]・法[前]・商[前]・理[前]・工[前]中・看護[前][後]・生活科学[前]で志願者増が見込まれる。現代システム科学域[前]は募集人員減ながら、心理学類の新設、学類別募集の他に学域募集(入学後に学類を決定。2次の科目により、英・数型、英・国型、英・小論型・理・数型の4受験区分で募集)の新規実施が志願者増の要因となりそうだ。
一方、やはり前年の反動などから、現代システム科学域[後]・法[後]・商[後]・経済[前][後]・理[後]・医(医・リハビリテーション)[前]・獣医[前][後]・農[前][後]で志願者減が見込まれる。このうち、農[前][後]・獣医[前]・医(リハビリテーション)[前][後]は2段階選抜の新規実施、法[後]は予告倍率引き締め(約14倍→約11倍)が敬遠材料となりそうだ。
● 兵庫県立大
前年は全学で志願者12%増。その反動から、国際商経[後]・社会情報科学[前][中]・工[前]・環境人間[前][後]・看護[前][後]で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、国際商経[前]・理[中]、大阪公立大‐工[前]からの併願増で工[後]の志願者増が見込まれる。
● 和歌山県立医科大
開設2年目の薬[前]は、21年が比較的低倍率だったことからやや志願者増か。保健看護[前]は、大阪公立大‐看護[前]への志望変更がありそう。この他、前年の反動から保健看護[後]で志願者増、医[前]で志願者減が見込まれる。
*****
この他、前年の反動から、兵庫教育大[前][後]、奈良県立医科大‐医(医)[前][後]などで志願者増、京都教育大[前][後]、京都工芸繊維大[後]、奈良教育大[前]、京都府立医科大‐医(医)[前]などで志願者減が見込まれる。
私立大
入試科目の変更や新方式の実施などは少ない。そのため、前年の倍率の極端な変化が、反動となって現れる可能性がある。
大都市圏回避の一方で、京阪神の受験生の一部にチャレンジ志向が復活し、21年に軒並み倍率ダウンした「関関同立」のうち、「志願者減・合格者増」の立命館大(志願者19%減に対し合格者3%増)、関西大(志願者9%減に対し合格者16%増)や、共テ利用で英語のリスニングの配点比率を下げ、多科目型も導入した関西学院大の志願者増が見込まれる。中堅上位の「産近甲龍」も、21年に「志願者減・合格者増」の近畿大(志願者6%減に対し合格者11%増)・甲南大(志願者22%減に対し合格者14%増)などは揺れ戻しそうだが、中堅校は併願を厳しく絞られ、二極化しそうだ。
以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
● 京都女子大
一般中期を廃止する一方、一般前期の試験日程を2→3日間に延長、A方式の国語とB方式の全科目を「記述式→マーク式」に変更、英語外部検定利用のC方式を「D方式」に名称変更、共テ併用のC方式を新規実施する。
● 佛教大
教育で学科増設(幼児教育)。また、一般A日程に2科目型を追加(従来は3科目)する。
● 立命館大
薬の全学統一方式(理系)と薬学方式で、薬(6年制)・創薬科学(4年制)の2学科併願制を導入(同方式で2学科同時併願が可能に)。情報理工の「共テ+面接」グローバルコース方式で、面接をオンライン実施に変更。また、全学(薬を除く)の共テ方式後期で、21年はコロナ禍対応の特例措置として導入した5教科型・3教科型を廃止(4教科型のみ実施)する。
● 追手門学院大
国際教養学部を2学部(文、国際)に分割・改組。また、前期A・B日程、後期で共通テストプラス(独自・共テ併用)の実施学部を「心理のみ→全7学部」に拡大する。
● 大阪工業大
独自入試の前期A・B日程、後期D日程で、同時併願制度の「プラスワン理系」「プラスワン文理」を新規導入。また、前期A・AC・B・BC日程、後期D・DC日程(AC・BC・DCは共テ併用)で「第2(3)志望制度」を「第2(~第5)志望制度」に拡充する。
● 近畿大
情報学部を増設。人気分野だけに多くの志願者を集めそうだ。また、工で共テ併用方式後期を新規実施(一般後期から1科目、共テから1科目で判定)する。
● 森ノ宮医療大
保健医療学部を3学部(看護・総合リハビリテーション・医療技術)に分割・改組。また、共テ利用選抜で、国語から古文・漢文を除外し、英語のリスニング・リーディングの配点比率を「1:1→4:1」に変更する。
● 関西学院大
共テ利用で、英語のリスニング・リーディングの配点比率を「1:1→4:1」に変更。リーディングの配点比率を高め、セ試利用時代に戻した。併願が多い国公立大(神戸大、兵庫県立大、神戸市外国語大)と共通する。また、文系10学部の共テ利用1月出願で、7科目型を新規実施する。いずれも、国公立大受験者層の人気を集め、志願者増の要因となりそうだ。
一方で、理・工・生命環境・建築(前年に理工を4学部に分割)の一般選抜の共テ併用型数学で、「3教科必須型」を廃止する。
● 兵庫医科大
兵庫医科大・兵庫医療大の2大学が統合し、「兵庫医科大」として新たにスタートする。薬・看護・リハビリテーションは「統合効果」で志願者増が見込まれる。
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京都橘大は前期A~C日程と後期で、国際英語が英語特化方式を、工(情報工)が数学特化方式を新規実施。同志社大‐理工(情報システムデザイン)の全学部日程で文系型を廃止。龍谷大の共テ利用中期・後期で、英語外部試験を新規利用(得点換算)する。大阪学院大は、一般A~C日程、共テ利用A~B日程で、活動報告書の提出と点数化を導入。大阪信愛学院大が開学予定(看護・教育の2学部)。大阪電気通信大で一般中期を新規実施。摂南大で学部改組(外国語→国際)。甲南大の一般前期で堺・豊岡に学外試験場を増設する。
中国・四国
島根大・広島大・徳島大・高知大・島根県立大が志願者増、
鳥取大・岡山大・山口大・香川大・愛媛大が志願者減か。
国公立大
● 鳥取大
前年の反動から、地域[後]・医(医)[前]・農[前]で志願者増、地域[前]・医(保健)[前][後]・工[前]・農[後]で志願者減の見込み。農[後]は募集人員減(25人→20人)、2次の面接の配点アップ(100点→300点)も敬遠材料となり、大幅減は必至だ。
● 島根大
21年は全学で志願者14%減。その反動から、法文[前]・教育[前]・医(医)[前]・医(看護)[前][後]・総合理工[前][後]・生物資源科学[後]で志願者増が見込まれる。鳥取大‐医(保健)[前][後]・工[前]・農[後]からの揺れ戻しもありそうだ。一方、やはり前年の反動から法文[後]・教育[後]・人間科学[前][後]・生物資源科学[前]で志願者減が見込まれる。
● 岡山大
21年に工・環境理工の2学部を統合した工[前][後]は、推薦型拡大に伴う募集人員減(前期429人→400人、後期40人→35人)のため、やや志願者減の見込み。工[後]は、2次が面接のみであることも、大阪公立大‐工などからの併願の際、敬遠材料となりそうだ。
この他、前年の反動から、文[前][後]・法[昼][前]・理前・歯[前]で志願者増が、教育[前]・法[昼・夜][後]・経済[昼][前][後]・経済[夜][前]・理[後]・医(保健)[前][後]・歯[後]・薬[前]・農[前][後]で志願者減が見込まれる。医(保健)[前]は2次負担増(面接を追加)も敬遠材料となりそうだ。
● 広島大
情報科学[前]で、A型(文系型)の2次の配点を「数学600点→800点、外国語600点→400点」に変更。また、同[後]も共テの数学・外国語の配点を「数学600点→800点、外国語600点→400点」に変更。いずれも文系型受験生にとって敬遠材料となり、特に共テの数学が難化した場合は、志願者大幅減が見込まれる。
この他、前年の反動から、総合科学[前]・教育[前]・法[昼][後]・法[夜][前]・経済[昼][後]・経済[夜][前][後]・医(保健)[前]・歯[前][後]・薬[前]・工[後]・生物生産[前][後]で志願者増が見込まれる。一方で、文[後]・教育[後]・法[夜][後]・経済[昼][前]・理[後]では志願者減が見込まれる。
● 山口大
前年の反動から、国際総合科学[前]・経済[前]・理前[後]・農[前][後]・共同獣医[前][後]で志願者増、国際総合科学[後]・人文[前]・教育[前]・経済[後]・医(保健)[前][後]・工[前][後]で志願者減の見込み。
教育[前]は推薦型の募集枠拡大に伴う募集人員減(141人→126人)も敬遠材料となりそう。工[前]は山陽小野田市立山口東京理科大‐工[前]への志望変更も想定される。また、医(医)[後]は、中国・四国地区の医学科で唯一の後期として、超高倍率の激戦となりそうだ。
● 徳島大
前年の反動から、総合科学[前]・医(保健)[前][後]・歯[前]・薬[前]・理工[昼][前]・生物資源産業[前][後]で志願者増が、医(医・医科栄養)[前]・歯[後]・薬[後]・理工[夜][前]で志願者減が見込まれる。生物資源産業[前]は2次の科目変更(総合問題→化学)も増加要因となりそうだ。また、理工[昼][後]も大阪公立大‐工[前]からの併願増が見込まれる。
● 香川大
前年の反動から、法[昼][前][後]・創造工[前]・農[前]で志願者増、教育[前][後]・経済[昼][前][後]・医(医・看護・臨床心理)[前]・創造工[後]で志願者減が見込まれる。医(臨床心理)[前]は、2段階選抜の予告倍率引き締め(約6倍→約5倍)も敬遠材料となりそう。また、創造工[後]は総合型の縮小に伴う募集人員増(49人→55人)で、易化は必至だ。
● 愛媛大
前年の反動から、法文[夜][前]・社会共創[前]・理[前][後]・医(看護)[前]・農[前][後]で志願者増、法文[昼][前][後]・教育[前][後]・医(医)[前]・工[前][後]で志願者減が予想される。工[前][後]は香川大‐創造工[前]、高知大‐理工[前][後]へ志望変更がありそうだ。
● 高知大
前年の反動から、理工[前][後]・医(医)[前]・農林海洋科学[後]・地域協働[前]で志願者増、人文社会科学[前][後]・医(看護)[前][後]で志願者減が見込まれる。理工[後]は生物科学科の2次負担減(小論文・活動報告書→面接)も増加要因となりそうだ。
● 島根県立大
前年の志願者6割減の反動が強く出そう。21年に、総合政策を2学部に分割して開設された国際関係・地域政策は、初年度の志願者大幅減の反動から、国際関係[前][後]・地域政策[前][後]ともに大幅増の見込み。人間文化[前]は、前年の反動に加え、2学科の募集人員増(地域文化30人→42人、保育教育20人→25人)もあり、志願者大幅増が見込まれる。
一方、人間文化[後]は地域文化学科の後期募集停止、看護栄養[前]は健康栄養学科の募集人員減(17人→14人)、看護学科の「島根県地域枠」新設と一般枠削減(40人→20人)が前年の反動を相殺し、志願者はほぼ前年並みと見られる。
● 県立広島大
前年に全学で志願者が42%増も増加した反動から、特に地域創生[前][後]・生物資源科学[前][後]で志願者減が見込まれる。
● 山陽小野田市立山口東京理科大
工[前][中]・薬[中]で2次の個別試験の実施を復活。合わせて、学外試験場も復活(神戸・広島・愛媛・北九州・福岡・大分。中期は松江も)する。このため、工[前][中]・薬[中]のいずれも、志願者大幅増が見込まれる。工[前]は、山口大‐工[前]、北九州市立大‐国際環境工[前]からの志望変更が予想される。ただし、募集人員を工で「前期A48人→40人・B48人→40人、中期26人→20人」に、薬[中]も90人→70人に削減(推薦型の募集枠を拡大)するため、難化は必至だ。
● 高知工科大
前年の志願者20%減の反動から、システム工学群[前][後]・環境理工学群[前][後]・情報学群[前][後]で志願者増が見込まれる。特に環境理工学群[前]は大幅に揺れ戻しそう。一方、やはり前年の反動から、経済マネジメント学群[前]で志願者減が見込まれる。
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この他、前年の反動などから、公立鳥取環境大‐環境[後]・経営[後]、岡山県立大‐情報工[中]、広島市立大‐国際[前][後]・芸術[後]、下関市立大‐経済[中]、山口県立大‐国際文化[前]・社会福祉[前][後]・看護栄養[前]などの志願者増が見込まれる。一方、公立鳥取環境大‐環境[前]・経営[前]、岡山県立大‐情報工[前]・保健福祉[前][後]、広島市立大‐情報科学[前][後]、下関市立大‐経済[前]、山口県立大‐国際文化[後]・看護栄養[後]などで志願者減が見込まれる。なお、叡啓大の一般選抜は、共テを新規利用(5科目)するが、別日程で実施する。
私立大
超地元志向から、国公立大との併願が多い岡山理科大・広島修道大・松山大はやや志願者増が見込まれる。
特に、岡山理科大は学部増設(生命科学)、学部改組(総合情報→情報理工)が人気材料となり、松山大は前年の易化(志願者13%減、合格者27%増)の反動に加え、人文(社会)の募集人員増(一般82人→92人、共テ前期20人→30人)、薬の一般選抜の募集回数増(1月実施のⅠ期を新規実施)も要因となりそうだ。
なお、徳山大が公立化を認可申請中(周南公立大に名称変更予定)。認可されれば、別日程実施のため、志願者大幅増が見込まれる。
九州
佐賀大・熊本大・大分大・西南学院大が志願者増、
九州大・宮崎大・鹿児島大・長崎県立大が志願者減か。
国公立大
● 九州大
前年の反動から、共創[前]・教育[前]・経済[後]・理[前][後]・医(保健)[前]・歯[前]・薬[前][後]・農[後]で志願者減、文[後]・法[前]・医(生命科学)[前]で志願者増が見込まれる。歯[前]は、推薦型の導入に伴う募集人員減(45人→37人)も要因となりそうだ。
● 九州工業大
前年の反動から、工[後]・情報工[前][後]で志願者減が見込まれる。佐賀大‐理工[前]、大分大‐理工[前][後]への志望変更がありそうだ。
● 佐賀大
前年の反動から、教育[前][後]・芸術地域デザイン前[後]・医(医)[前]・理工[前]・農[後]で志願者増、医(医)[後]・医(看護)[前][後]・農[前]で志願者減が見込まれる。また、経済[前][後]は共テ負担増の長崎県立大‐経営から志願者が流入しそうだ。
● 長崎大
医(保健)で後期を募集停止、前期を68人→83人に募集人員増。前期は前年の反動もあり、志願者増が見込まれ、長崎県立大‐看護栄養[後]への併願が増えそう。歯も後期を募集停止、鹿児島大‐歯[後]への併願増が見込まれる。
工[前]は配点により、a方式(共テ重視)・b方式(2次重視)に複線化(募集人員=a方式160人・b方式50人)。配点は「a方式=共テ600点・2次420点、b方式=共テ300点・2次720点」となる。共テの出来次第で選択できるので、増加要因となりそう。募集人員減(224人→210人)のため、難化は必至だ。また、工[後]は募集人員増(50人→53人)、やや志願者増が見込まれる。
この他、前年の反動から、多文化社会[前]・教育前・経済[昼][前][後]・医(保健)[前]・歯[前]・情報データ科学[前][後]・工[前][後]・環境科学[前][後]・水産[前]で志願者増、多文化社会[後]・医(医)[前]・薬[前][後]で志願者減が見込まれる。環境科学[後]は募集人員減(26人→20人)のため難化、歯[前]は九州大‐歯[前]からの志望変更が想定される。
● 熊本大
教育で小学校・中学校・特別支援・養護教諭の各教員養成課程を「学校教育教員養成課程」に統合し、230人→220人に定員減。教育[前]は募集人員減(177人→161人)のため、志願者減が見込まれる。また、文[後]はコミュニケーション情報学科の後期募集停止、薬[前]も募集人員減(70人→65人)のため志願者減の見込み。
この他、前年の反動から、文[前]・医(医・保健)[前]・工[前][後]で志願者増、法[後]・理[前]で志願者減が見込まれる。医(医)[前]は募集人員減(90人→87人)のため、難化しそうだ。
● 大分大
医(看護)で後期を復活し、前期を40人→35人に募集人員減。後期で2段階選抜も新規実施(予告倍率=約7倍)する一方、前期は共テを7→6科目に軽減。前期は前年の反動もあり、志願者増で難化は必至だ。
この他、前年に全学で志願者が22%減少した反動から、教育[前][後]・経済[前]・医(医)[前]・理工[前][後]・福祉健康科学[前][後]で志願者増が見込まれる。教育[前]には熊本大‐教育[前]からの志望変更が考えられるが、初等中等教育コースの募集人員減(75人→65人:総合型を新規実施)のため、やや難化しそうだ。一方、やはり前年の反動から、経済[後]で志願者減が見込まれる。
● 宮崎大
教育(小中一貫教育=中学校主免)で後期を募集停止。また、同(小中一貫教育=理系型)[前]で2次を理科→「国語・英語から1」に変更。前年の反動もあり、教育[後]で志願者減が見込まれ、大分大‐教育[後]へ志望変更しそうだ。
医(医)は前期で2次に理科を追加するが、後期では2次から理科を除外し、2段階選抜の予告倍率を約10倍→約14倍に緩和。この対照的な変更が影響し、前期で志願者減、後期で増加の見込み。募集人員減(前期50人→45人、後期20人→15人)もあり後期は難化必至だ。
この他、前年の反動から、農[前][後]・地域資源創成[前][後]で志願者減、医(看護)[前][後]・工[前]で志願者増が見込まれる。
農は森林緑地環境科学科の前・後期、海洋生物環境学科の後期で共テを6科目→7(8)科目に増加することも敬遠材料となりそう。また、医(看護)は宮崎県立看護大[前][後]からの志望変更が想定される。
● 鹿児島大
前年の反動から、法文[後]・医(医)[前]・医(保健)[前][後]・農[前][後]で志願者増、法文[前]・教育[前][後]・理[前][後]・工[前]・医(医)[後]・水産[前]・共同獣医[後]で志願者減が見込まれる。共同獣医[後]は募集人員減(4人→2人)も要因となる一方、農[前]は募集人員減(163人→154人:総合型を拡大)のため、やや難化しそうだ。
● 琉球大
前年の反動から、人文社会[後]・国際地域創造[夜][前]・理[前][後]・医(保健)[後]・工[前][後]・農[前][後]で志願者増が、人文社会[前]・国際地域創造[昼][前][後]・教育[前]・医(医)[前][後]・医(保健)[前]で志願者減が見込まれる。
理[前][後]は鹿児島大‐理[前][後]から、農[前][後]は宮崎大‐農[前][後]からの志望変更が想定される。
● 北九州市立大
前年の反動から、外国語[前][後]・経済[前][後]・文[後]・法[後]で志願者増、文[前]で志願者減が見込まれる。また、山陽小野田市立山口東京理科大‐工[前]の2次復活の影響で、国際環境工[前]も志願者減が見込まれる。
● 長崎県立大
経営[前][後]で4科目→6(7)科目、地域創造[前][後]で5科目→6(7)科目、国際社会[前][後]で5(6)科目→7(8)科目と、3学部で共テを負担増。敬遠材料となり、いずれも志願者減の見込み。佐賀大‐経済[前][後]、北九州市立大‐外国語[前][後]・経済[前][後]などへの志望変更がありそうだ。一方、看護栄養[後]は長崎大‐医(保健)の後期募集停止が影響、志願者増が見込まれる。
● 熊本県立大
前年の反動から、文[前]・環境共生[前][後]・総合管理[前]で志願者増が、総合管理[後]で志願者減が見込まれる。
● 名桜大
21年は一般選抜をオンライン実施に変更した。22年は、国際学群[前]で、2次に英語を追加し、学外試験場を復活(前期=東京・大阪・福岡・那覇、後期=那覇)。募集人員を前期で120人→125人に増加、後期で20人→15人に削減する。前年の反動もあり、前期で志願者増、後期で志願者減が見込まれる。
人間健康は、看護学科の後期募集停止、2次の負担増(看護学科の前期で総合問題を追加、スポーツ健康学科の前期で面接にプレゼンテーションを追加)のため、前・後期ともに志願者減が見込まれる。
私立大
強い地元志向から西南学院大・福岡大、九州産業大・久留米大などへ出願し、京阪神への流出は少なそう。西南学院大は前年の倍率低下(4.1倍→ 2.8倍)の反動で狙われそうだ。
令和健康科学大が開学予定(看護・リハビリテーションの2学部)。産業医科大 ‐ 医の一般選抜で募集人員減(85人→80人)。中村学園大で一般後期を新規実施。福岡大で、医(医)の共テ利用の日程を繰り上げ(出願を2月から1月に、2次試験を3月から2月に)、薬の共テ併用前期で共テに数学を追加。福岡歯科大の一般A・B日程で小論文を除外する。
(文責/小林)
この記事は「「螢雪時代11月臨時増刊」より転載いたしました。