入試動向分析

2021年 国公私立大入試 [学部別&日程別]志願者動向最新レポート【2021年4月】

2021(令和3)年度

国公立大入試の地区別・大学別の確定志願状況と、私立大入試の志願状況をお伝えする。
国公立大の志願者は前年比3%減、共通テストの平均点アップでやや強気な出願傾向に。
私立大一般入試は前年比13%減(2月24日現在)、「コロナ禍」の影響が顕著に表れた。

 

※この記事は『螢雪時代・2021年4月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・訂正を施した)

 

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【国公立大】
志願者3%減、公立後期は増加
やや強気で最後まで粘る傾向

 

 志願者数は全体で、前年(20年)に比べ3%減(グラフ①)。後期(2%減)は募集人員減(6%減)より減り幅が小さく、特に公立大後期は4%増。
 新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)に伴う、かつてない地元志向の強まりと、経済面の不安による国公立大志向の強まりを、共通テスト(以下、共テ)の平均点アップが後押しし、やや強気で、しかも最後まで粘ろうという傾向が見られた。同時に、前年の反動(志願者増減や倍率の変動による)も顕著に見られた。

 
2021年国公立大一般選抜日程別志願者状況
 

●北海道・東北地区

 

 地区全体で志願者9%減、6地区で最も減少率が高い。
 北海道大は前年比で12%減(以下、大学名の後のカッコ内に増減を表示)。前期の総合入試(文系・理系の大括りで募集)は、前年の反動から文系が志願者大幅減。一方、理系はやや減少に留まった。
 東北大は前年並み。募集人員減(総合型選抜に移行)の文【前】・教育【前】・法【前】は志願者減だが、同じく経済【前】は前年の反動で大幅増。この他、工【前】・農【前】・薬【前】が増加した。
 募集人員減の北見工業大(25%減)・弘前大(32%減)や、秋田大(14%減)・福島大(17%減)が大幅減。一方で、保健科学部を増設した福島県立医科大(85%増)や、小樽商科大(19%増)・公立千歳科学技術大(39%増)の大幅増が目立った。

 
 

●関東・甲信越地区

 

 地区全体で志願者5%減。コロナ禍に伴い首都圏が敬遠された模様。
 東京大(2%減)では、最難関の文科一類(10%減)・理科三類(7%減)が減少した。また、一橋大(1%増)は微増だが、後期募集停止の東京工業大(15%減)は大幅減となった。
 準難関校では、国公立大で志願者数トップの千葉大(13%増)と、東京農工大(16%増)が大幅増。前期の一部に総合選抜(文系・理系の大括り募集)を導入した筑波大は微減(2%減)、埼玉大(1%増)・東京都立大(2%減)もほぼ前年並みを保った。一方で、東京外国語大(19%減)・横浜国立大(45%減)は大幅減。横浜国立大は、コロナ禍対応で今年度は2次を取りやめたことで敬遠された模様だ。
 この他、やはり2次を中止した宇都宮大(14%減)、学外試験場を全国展開する都留文科大(13%減)や、新潟大(13%減)・山梨大(14%減)が大幅減。一方、前年の反動で茨城大(12%増)・群馬大(10%増)が大幅増、横浜市立大(9%増)も増加した。

 
 

●北陸・東海地区

 

 地区全体の志願者は前年並み。金沢大(23%減)は全学で後期を募集停止したことが大幅減の主な要因となった。一方、名古屋大は難関大志望者の地元志向から4%増。法【前】・情報【前】・医〈医〉【前】が大幅増となった。
 この他、三重大(18%増)・富山県立大(28%増)・公立小松大(47%増)・静岡県立大(13%増)・愛知県立大(10% 増)が大幅増、岐阜大(3%減)・静岡大(5%減)・愛知教育大(6%減)が減少、福井大(19%減)が大幅減。岐阜大は教育【後】の募集停止、愛知教育大【前】は募集人員減(582人→507人)も要因となった。

 
 

●関西地区

 

 地区全体で志願者1%減となった。難関大では、京都大が4%減。法【前】・経済【前】・工【前】で志願者減、法【後】・理【前】は増加した。大阪大も6%減、外国語【前】・経済【前】・薬【前】の大幅減が影響した。薬【前】は2段階選抜の予告倍率引き締めで敬遠された模様。
 一方、難関大志望者の人気を集めたのは神戸大(10%増)。文【後】・法【後】・国際人間科学【前】・工【前】・海洋政策科学【前】が大幅増となった。
 22年に「大阪公立大」として統合予定の大阪市立大・大阪府立大は、いずれも前年並みを保った。
 この他、国立大では京都工芸繊維大(9%増)・奈良教育大(8%増)が増加する一方、滋賀大(14%減)・奈良女子大(15%減)は大幅減。滋賀大は経済[昼]で募集人員配分の「後期重視→前期重視」への変更が主な要因となった。また、公立大では兵庫県立大(12%増)、薬学部増設の和歌山県立医科大(72%増)が大幅増の一方、京都府立大(14%減)は減少した。

 
 

●中国・四国地区

 

 地区全体で志願者3%減となった。岡山大は10%増、前年の反動で法[昼]【後】・経済[昼]【前】【後】・農【前】【後】が大幅増、工・環境理工を統合した工【前】【後】もやや増加した。一方、広島大は8%減、法[昼]【後】・経済[昼]【後】・生物生産【前】【後】が大幅減となった。
 この他、山口大(19%増)・県立広島大(42%増)・広島市立大(23%増)が大幅増。一方、昨年倍増の島根県立大は60%減、島根大(14%減)・下関市立大(12%減)・高知工科大(20%減)も大幅減となった。島根大は前年の反動に加え、法文・総合理工の募集人員減も影響した。

 
 

●九州地区

 

 地区全体の志願者は前年並みだが、極端な隔年現象が見られた。
 九州大(5%増)は、教育【前】・経済【後】・理【前】【後】・薬【前】【後】が大幅増。学部改組(6→12学科)の工【前】【後】は、募集人員減にも関わらず、志願者微増となった。また、宮崎大(19%増)・鹿児島大(11%増)が大幅増、福岡教育大(8%増)・九州工業大(8%増)も増加。宮崎大は隔年現象(19年16%増→20年24%減)といえる。
 一方、佐賀大(10%減)・大分大(22%減)が大幅減、熊本大(6%減)・琉球大(7%減)・北九州市立大(8%減)も減少。大分大は医〈看護〉、琉球大は教育【後】の募集停止も影響した。

 
 

【私立大】
難易を問わず大幅減が続出
立教大・関西学院大は増加

 

 2月24日現在の、主に2月入試の志願状況(集計数:207大学・約265万人)を見ると、志願者数は前年比13%減。コロナ禍による大都市圏敬遠、経済面の不安による併願数絞り込み、学校推薦型選抜の合格者増、専門学校への流出など、複合的な要因が影響したと見られる。
 各大学の独自入試で13%減、共テ利用選抜も12%減(グラフ②)。
 共テ前に出願を締め切る方式で減少が目立ち、2~3割減も珍しくない。
 以下、主な大学の志願状況を紹介する。

 
2021年私立大一般選抜方式別志願者状況

 

●首都圏

 

 難関~準難関校では、全学規模で共テ利用に傾斜した入試改革を行った5大学のうち、立教大(7%増)・学習院大(1%増)は志願者増、上智大も前年並みを保ったが、青山学院大(31%減)・早稲田大(12%減)は大幅減と明暗が分かれた。
 中央大(9%減)・東京理科大(13%減)・法政大(12%減)も大幅減の一方、慶應義塾大(5%減)・明治大(4%減)は小幅な減少に留まった。
 中堅上位校のうち、いわゆる「日東駒専」は、駒澤大が前年の約4割減の反動で4%増も、専修大(7%減)・日本大(13%減)・東洋大(8%減)は減少。日本大は隔年現象(19年12%減→20年15%増)といえる。この他、獨協大(21%減)・國學院大(23%減)・成蹊大(15%減)・武蔵大(23%減)の大幅減が目立った。
 中堅校も軒並み志願者減の中で、今年度は共テ利用選抜の受験料を免除した千葉工業大(7%増)は、志願者数で全体の3位に躍り出た。

 
 

●京阪神地区

 

 いわゆる「関関同立」では、関西学院大(2%増)がやや増加、関西大(2%減)も微減に留まったが、同志社大(11%減)・立命館大(21%減)は大幅減。また、いわゆる「産近甲龍」では、龍谷大(6%増)の増加に対し、京都産業大(27%減)・甲南大(21%減)は大幅減、私立大で志願者数トップの近畿大(6%減)も減少した。関西学院大は理工系学部の分割・改組(理工→理・工・生命環境・建築)と同時併願の受験料減額制度導入が志願者増の主な要因となった。
 中堅校でも、佛教大(23%減)、大阪工業大(22% 減)、桃山学院大(34%減)、神戸学院大(14%減)など、文理問わず大幅減が相次いだ。

 
 

●その他の地区

 

 東北学院大は微増(1%増)、南山大(3%減)・広島修道大(1%減)も小幅な減少に留まったが、その他は北海学園大(15%減)、愛知大(16%減)、西南学院大(18%減)、福岡大(14%減)など、大幅減が目立った。

 

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2021年4月号)」より転載いたしました。

 

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