入試動向分析

2021年一般選抜の難易変動はこうなる!?【2020年11月】

2020(令和2)年度

《国公立大》大都市圏を回避、地方中堅校では前年の極端な反動も!?
《私立大》入試変更が少なく、前年に合格者増の難関校が狙われる?!

 

 「学業の遅れ」を乗り越え、いよいよ受験勉強も大詰め。気になるのは志望校や併願校の難易度や志望動向だ。難化必至の共通テストをはじめ、前年の入試結果、新増設、入試方式の変更、負担の増減、さらには「コロナ禍」対応の再変更など、さまざまな要素によって変動する2021年一般選抜のゆくえを予測する。

 

この記事は『螢雪時代・2020年11月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)。

 

 

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 「入試改革」と「コロナ禍」に翻弄される2021年入試は、かつてない地元志向と安全志向のもと、一般選抜の志願者数は、国公立大が約6%減、私立大が約3%減と予測される。首都圏を回避、「安全校なき入試」を警戒しつつ、地方の中堅国公立大、大都市圏も含め私立大中堅上位校の志願者増と難化が見込まれる。学部系統別では、文系人気は沈静化、理・工・農への人気集中が予想される。

 

【共通テスト】志願者数は20年センターより減少、53万人前後か

 

 ここでは、高校・予備校の進路指導の先生方へのアンケートを参考に、さまざまな変動要因を総合し、国公私立大の難易や人気度がどう変わるのか、入試改革初年度である、2021年(以下、21年。他年度も同様)一般選抜の動向を予測する。
 旺文社の推定によると、20年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が65万8千人で、19年より2.4%減少した模様。21年は高卒者数の減少(1.9%減)に加え、新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)による経済状況の悪化の影響から、大学・短大への現役志願率も低下が予想され、大学受験生数は旺文社の推定で63万2千人と、前年より4.0%減少するものとみられる。
 今年の受験生は「大学入学共通テスト(以下、共テ)」を初めて受ける。思考力重視の出題、リスニングの配点アップや「1回読み、2回読み」の併用(6問中4問が1回読み)など、共テはセンター試験(以下、セ試)より出題レベルが上がる(平均点50%台が目標。セ試は60%台)。
 共テの出願者数はどうなるか。セ試より難化することに加え、コロナ禍に伴う日程変更(2回の本試験日設定など)など、度重なる変更がマイナス要因となる。また、学校推薦型選抜(以下、推薦型)や総合型選抜(以下、総合型)で早期の合格確保を図る受験生の増加が見込まれ、さらに私立大専願者は、募集枠が小さく高倍率になりやすい共テ利用選抜を敬遠する可能性がある。
 こうした要素を考えあわせ、共テの出願者数は、20年セ試より5%程度減少し、53万人前後と予測する(図表1)。

 
2021年度/国立大教員養成系学部の改組・定員増減の予定
 

【国公立大学】推薦型・総合型の拡大や共テ・2次の負担増が影響。6%程度の志願者減か

 先生方の回答を見ると、昨年に比べ、国公立大志向が「弱まる」「やや弱まる」が大幅に増えた。
 コロナ禍により、かつてなく地元志向と安全志向が強まっている。大都市圏の難関校に合格した先輩たちが、入学後も秋までキャンパスに入構できず、通信環境が整わない中でオンライン授業が続き、アルバイト先も激減して経済的に苦しむ姿を見て、大都市圏敬遠の傾向が強まっている模様。地方から大都市圏への流入が止まり、難関~準難関の国公立大(特に文系)が敬遠される一方、通学可能で、難易度の面でも手が届く範囲の地方国公立大が人気を集めそうだ。

 

●学部増設・改組の影響

 学部増設・改組は、国立大で改組、公立大で新増設が目立つ(図表2)。
 国立大では、金沢大で文理融合型の「融合学域」を増設。群馬大で社会情報学部を文理融合の「情報学部」に改組。岡山大では工・環境理工の2学部を「工学部」に統合する。また、図表2以外では、岐阜大で学部横断型教育プログラムの「社会システム経営学環」を新設する。
 公立大では、2大学(三条市立大・叡啓大)の新設、2大学の学部増設(福島県立医科大‐保健科学、和歌山県立医科大‐薬)、島根県立大の学部分割・改組(総合政策→国際関係・地域政策)が注目される。

 
2021年度/国立大教員養成系学部の改組・定員増減の予定
 

●推薦型・総合型の拡大が影響大

 推薦型・総合型を導入・拡大し、一般選抜の募集枠を縮小(特に後期募集停止)するケースが多く見られ、一般選抜の志願者減に直結しそうだ。
 弘前大・東北大・愛知教育大・島根大などで、募集人員を一般選抜から推薦型・総合型へ移行。また、滋賀大‐経済[昼]の「後期重視→前期重視」の募集人員移行も注目される。
 日程変更では、金沢大が全学で後期を募集停止。また、新潟大・岐阜大・高知大・長崎大・琉球大の各教育学部で後期を募集停止する。一方、筑波大‐人間学群、東京都立大‐法で後期を新規実施。貴重な併願先として人気を集めそうだ。

 

●共テ英語リスニングの配点比率

 共テの英語の配点はリーディング(R)100点、リスニング(L)100点で、配点比率は「1:1」だが、入試での比重は各大学が決定する。選抜要項で発表された「R:L」の配点を基に、8月中旬時点で配点比率別に集計すると(図表3)、「1:1」が全体の約34%で最も多く、旧セ試と同じ「4:1」が約32%、「3:1」が約16%と続く。リスニングの実力に不安を覚える受験生は、配点比率の低い大学・学部を選ぶ可能性があり(例えば、「1:1」の九州大を敬遠し、「4:1」の熊本大に志望変更)、志望動向に微妙に影響しそうだ。

 
共テ英語のリスニング
 

●筑波大で全学規模の「大括り募集」

 筑波大の前期で、学類・専門学群選抜と並行し、大括り募集の「総合選抜」を新規実施。同選抜の入学者は、2年次から志望学群・学類に所属する。また、九州大‐工などでも部分的に大括り募集を導入する。

 

●共テ・2次とも負担増が目立つ

 新入試初年度のため、一般選抜の変更点が例年より多い。しかも、全体に共テ・個別試験(以下、2次)ともに科目増や、2次の面接導入など負担増が目立つ。こうした変更は志願者減の要因となりそうだ。
 また、「主体性の評価」として、弘前大・茨城大・信州大・愛媛大・長崎大・琉球大など、出願書類(調査書や志望理由書など)の点数化の新規実施や拡充が目立つ。配点が比較的大きい場合は敬遠されそうだ。

 

●2段階選抜の実施増

 東京工業大、大阪大‐人間科学の前期や、滋賀大‐経済[昼]の前・後期、兵庫県立大‐理の中期などで2段階選抜を新規実施。筑波大でも「総合選抜」をはじめ、新規実施する学群・学類が目立つ。一方、名古屋大‐医(医)の後期では廃止する。

 

●随時発表の再変更に注意!

 21年入試では、実施方法の「再変更」に注意したい。コロナ禍の状況や「学業の遅れ」などに対応するため、実施方法等を21年に限って見直すケースが続出しているのだ。
 横浜国立大は、2次の個別試験を中止し、共テの成績と出願書類等を基にした方式に切り替えた。その他の大学でも、面接をオンライン化したり、集団討論や集団面接を個人面接に切り替えたり、調査書等の点数化を中止したりした。
 感染症に罹患した場合の救済措置として予定される各大学の追試験も、「共テと出願書類で判定」となる可能性があり、共テの重要性が高まりそうだ。
 
 以上の変更点も考えあわせ、国公立大全体の志願者は、共テの志願者数の減少にほぼ比例し、6%程度の減少が見込まれる。先行きの読みにくい年ほど、前年の志願者増減や倍率アップダウンの反動が、より極端に起こりやすく、志望動向に大きく影響するので、注意してほしい。

 

【私立大学】“超絶安全志向”とブランド重視で中堅上位校に人気集中!?

 私立大の志望動向はどうか。先生方の回答では、私立大志向が「20年より強まる」が多数派だ。とはいえ、併願校数は「20年以上に増やすのは難しい」との見方もある。
 コロナ禍による家計急変や感染拡大の懸念から、「より早く確実に」合格を確保するため、推薦型(特に指定校)や総合型への志向が強まるため、一般選抜を受験する層が減り、共テの志願者減に伴い共テ利用選抜の志願者減は必至。このため、私立大一般選抜全体の志願者数は3%程度の減少が見込まれる。
 併願パターンは従来の「チャレンジ校→実力相応校→合格確保校」ではなく、チャレンジ校をやめ、一方で前年に激戦化した合格確保校も精選し、実力相応校を幅広く受ける「横一文字型」になりそうだ。

 

●難関校は意外な穴場に!?

 20年入試では合格者が絞り込まれず、難関~準難関校では「志願者減・合格者増」、さらに追加合格・補欠合格の増加で実質倍率(受験者数÷合格者数)がダウンし、意外な穴場となった大学が多い(図表4)。
 とはいえ、「私立大難化」のイメージは根強く、かつてない地元志向と現役志向から“超絶安全志向”は継続し、難関~準難関校が敬遠される傾向は変わらないものと見られる。
 一方、従来は「安全校」と目された中堅校は、前年に志願者が殺到して競争が激化したため警戒され、併願増には至らない見込み。さらに、オープンキャンパスや模試のオンライン化で、志望校選定に必要な情報が限定された結果、知名度が高く、しかも手が届きそうな難易度の中堅上位校、具体的には「日東駒専」「産近甲龍」クラスに人気が集まりそうだ。なお、難関~準難関校の中で、入試方式等の変更が少ない大学は、狙われるケースもあり得る。

 
おもな私立大一般入試の志願者・合格者増減と倍率変動の例(2020年)
 

●共テ英語のリスニング

 共テの英語のリスニング配点アップは、私立大の共テ利用選抜にも影響しそうだ。主な私立大の「R:L」の配点比率を見ると、20年までほぼ全てを占めた「4:1」が減少し、青山学院大・上智大・立教大・関西学院大が「1:1」、同志社大も「2:1」とするなど、リスニングの比率を高める大学が増加している。
 また、共テ利用選抜の英語でリスニングを課す大学が増え、東京電機大・東京都市大など、筆記のみの得点とリスニングを含む換算点の高い方の採用から「リスニング必須」に転換する大学も目立つ。

 

●首都圏難関校の「共テ併用」化

 国公立大に比べ、私立大一般選抜の科目等の変更は少ない。その中で注目されるのが、首都圏難関校の共テ利用を軸とした全学的な変更だ。学習院大と上智大で共テ利用入試を新規実施。上智大では一般選抜の学科別募集も、独自入試から「独自・共テ併用」に移行する。青山学院大・立教大や、早稲田大の政治経済など3学部でも、独自入試の「共テ併用」化や記述式の導入が進められ、特に早稲田大‐政治経済の数学必須化と総合問題出題、立教大(文を除く)における大学独自の英語出題の廃止は、従来の私立大入試とは異なる方向性だけに敬遠されそう。中央大・法政大・明治大や東京理科大など、ほぼ変更を行わない大学への志望変更が予想される。

 

●英語外部検定利用の拡大

 各大学の独自試験や共テの英語の代わりに英語外部検定の成績を利用できる方式の導入や拡大は、東北学院大・國學院大・愛知大など、21年も活発に行われている。条件を満たす受験生は、一般選抜の負担軽減策として活用したい。

 

●「主体性の評価」は限定的

 一般選抜の「主体性の評価」は、難関~中堅上位校を中心に、出願時に志望理由や高校までの活動歴などを専用フォームに記入(50字~300字程度が多い)、提出させるが、合否判定には用いない大学が多い。とはいえ、志望理由の曖昧な受験生に対する障壁にはなりそうだ。

 

●新設大学・学部・学科の特徴

 分野別では看護・医療系の新増設が最も多い。また、文系では社会学系、理系では理工系、特に情報系の増設が目立つ。大規模な改組では、大阪医科大と大阪薬科大の統合(大阪医科薬科大に名称変更予定)、関西学院大の理工系4学部の開設予定(理工学部を分割)が注目される。

 
 

【学部系統別】情報系など理工系人気が高まり、文系・医・教員養成は志願者減か

 コロナ禍による経済状況や就職事情の急速な悪化から、文系人気は冷え込みそうだ。特に、留学が卒業要件となることが多い国際系は大幅減の見込み。ただし、経済系はコロナ禍収束後の景気回復を見据え、志願者減は小幅に留まりそう。
 理系では理・工・農の志願者増が見込まれ、特に情報科学分野や建築分野は人気を集めそうだ。
 一方、医療現場が直面する厳しい状況から、医・歯は志願者減が見込まれるが、薬は創薬分野の注目度が高まり、看護・医療は不況下での貴重な就職先として人気を集めそう。国立大における後期募集停止や、教員を取り巻く環境などが影響し、教員養成系は人気低迷が続きそうだ。

 
 

【アンケート集計】進路指導の先生方は21年入試の志望動向をどう見ているか

 最後に、進路指導のプロである先生方が、コロナ禍の下での21年新入試の志望動向をどのように見据えているのか、アンケート結果と先生方のコメントをもとに、基本的な考え方を示しておこう。
 
A.国公立大志向はどうなりますか?
①強まる…1人
②やや強まる…4人
③変わらない…2人
④やや弱まる…7人
⑤弱まる…2人
 
B.私立大志向はどうなりますか?
①強まる…2人
②やや強まる…9人
③変わらない…4人
④やや弱まる…1人
⑤弱まる…0人
 
C.併願校数はどうなりますか?
①20年とほぼ同数…8人
②20年よりやや増える…6人
③20年よりやや減る…2人
 
 昨年と比べ、Aでは見方が分散したものの、昨年と異なり、国公立大志向が「やや弱まる」「弱まる」が全体の過半数を超えた。一方、Bでは「強まる」「やや強まる」が大勢を占め、私立大志向は昨年よりさらに強まるとの見立てになった。
 Cでは「増える」も多いが、昨年より「変わらない」の割合が増えた。20年の「後がない」入試で併願校の増加がピークに達し、経済状況の悪化、感染リスクの回避もあり、さらに併願校を増やすのは難しいという。また、推薦型・総合型の志望者増、オープンキャンパスや模試などのオンライン化で、志望校選定に必要な情報が限定される現状も、出願校が増えない要因になるという。
 コロナ禍で大都市圏(特に首都圏)を回避する傾向が強まり、地元の国公立大と地域を代表する私立大への志向が強まるとの見立ても目立った。一方、大都市圏でも各都府県内で出願校を選ぶ、狭い範囲のブロック化が進んでいるようだ。

 

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地区別に「志望動向・難易変動」を予測する!

 

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 以下、各地区のおもな大学について、21年一般選抜の変動要因と志望・難易動向を見ていこう。文中、変更点は20年→21年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼] [夜] 、共通テスト=共テ、センター試験=セ試、個別学力検査等(2次試験)=2次、学校推薦型選抜=推薦型、総合型選抜=総合型、共テを課さない(課す)=共テ免除(課す)、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。教科・科目数については「5または6教科7または8科目(科目選択による)=5(6)教科7(8)科目」のように略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。

 
 

【北海道・東北】
東北大・山形大・岩手県立大・東北学院大が志願者増、旭川医科大・弘前大・岩手大・秋田大が志願者減か。
 
<国公立大>

●北海道大
 前期の総合入試(文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施)は、前年の反動(志願者増減や倍率の変動による。以下、同じ)から、文系で志願者減、理系でやや志願者増が予想される。前期の学部別入試や後期では、やはり前年の反動から、文【前】・教育【前】【後】・法【前】・理【後】・工【後】・獣医【前】【後】・水産【後】で志願者増、経済【後】・医(医)【前】・医(保健)【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。また、歯で後期を募集停止。歯【前】は募集人員増(30人→38人)ながら、2次負担増(面接を追加)が敬遠材料となり志願者減、やや易化が見込まれる。
●北海道教育大
 教員養成課程(札幌校・旭川校・釧路校)では、前年の反動から釧路校【前】【後】で志願者増、旭川校【前】【後】で志願者減が見込まれる。一方、教員養成以外の学科(函館校・岩見沢校)では、やはり前年の反動から、函館校【前】でやや志願者増が見込まれる。
●旭川医科大
 医(医・看護)【前】【後】では、2段階選抜の予告倍率を「募集人員の約10倍→約5倍(以下、募集人員を略)」に引き締め、医(医)【後】の2次を「理科→英語」に変更する。いずれも敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。
●小樽商科大
 商[昼]【後】で募集人員減(90人→70人)。また、商[昼]【前】で2次配点により英語重視枠・数学重視枠を新設(まず数学重視枠で、次に英語重視枠で合格者を決定)。前年の反動もあり、商[昼・夜]【前】で志願者増、商[昼]【後】はやや減少しそうだ。
●北見工業大
 工【前】【後】で、募集人員の9割程度を共テの得点(後期は2次との合計点)で、残り1割程度を調査書点数化も加えて合否判定する選抜方法を導入。また、総合型の新規実施に伴い、前期164人→153人、後期143人→133人に募集人員減。いずれも志願者減の要因となりそうだ。
●弘前大
 総合型の募集枠拡大に伴い、募集人員を「人文社会科学【前】170人→150人、理工【前】185人→168人、農学生命科学【前】124人→109人・【後】48人→41人、医(医)【前】70人→65人、医(保健)【前】150人→122人」に削減。また、人文社会科学【前】【後】・理工【前】【後】・農学生命科学【前】【後】・医(保健、心理支援科学)【前】で、志望理由書を点数化。さらに、教育【前】で2次に面接を追加し、医(医)【前】で2次を数学・外国語→総合問題に、農学生命科学【後】も2次を理科→小論文に変更する。医(保健)【前】でも、3専攻で2次に小論文を課す一方、2専攻で2次の科目数を軽減する。
 前年の反動もあり、教育【前】【後】・医(医)【前】で志願者増、人文社会科学【前】・医(医・保健)【前】・理工【前】・農学生命科学【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●岩手大
 総合型の募集枠拡大に伴い、募集人員を「農【前】164人→149人・【後】31人→24人、教育【前】101人→96人・【後】17人→12人」に削減。また、教育【後】の2次に集団討論を追加する。前年の反動もあり、人文社会科学【前】・農【前】で志願者増、教育【前】【後】・理工【前】・農【後】で志願者減の見込み。志望者が弘前大‐教育【前】【後】、秋田大‐理工【前】へ流出しそうだ。
●東北大
 AOⅡ・Ⅲ期の募集枠拡大に伴い、募集人員を「法【前】118人→112人、経済(文系)【前】155人→147人・【後】30人→25人、文【前】170人→147人、教育【前】60人→49人、農【前】112人→105人、医(保健)【前】108人→100人」に削減。また、理【後】は2段階選抜の予告倍率を「約20倍→約10倍」に引き締め、2次に面接を追加。歯【前】も2次に面接を追加する。これらの変動要因と前年の反動から、文【前】・理【前】【後】で志願者減、教育【前】・経済【後】・理【前】・医(保健)【前】・歯【前】・工【前】・農【前】で志願者増が見込まれる。教育【前】・医(保健)【前】・農【前】はやや難化しそうだ。
●秋田大
 医(保健)で後期を募集停止し、前期を59人→64人に募集人員増。教育文化(教育実践、理数教育)【前】で2次を1→2科目に増加、同(英語教育)【後】で英語を追加、同(教育実践・地域文化)【後】で面接を追加。国際資源【後】で2次に小論文を追加。理工【後】で2次に数学を追加と、負担増が目立つ。前年の反動もあり、理工【前】・医(医)【後】・医(保健)【前】で志願者増、国際資源【前】【後】・教育文化【後】・医(医)【前】で志願者減が見込まれる。
●山形大
 前年の反動から、人文社会科学【前】【後】・地域教育文化【前】【後】・理【前】・医(医)【後】・医(看護)【前】・農【前】【後】で志願者増、理【後】・工[昼]【前】【後】・医(看護)【後】で志願者減が見込まれる。工[昼]【後】は2次負担増(課さない→小論文)でも敬遠されそう。一方、人文社会科学【後】も前年の反動を2次変更(英語→小論文)が相殺、小幅な増加に留まりそうだ。
●福島大
 人間発達文化学類(以下、学類を略)で募集人員減(【前】166人→154人、【後】19人→12人)。前年の反動で志願者増が見込まれ、やや難化しそう。その他の4学類は、やはり前年の反動から、共生システム理工【前】・食農【前】【後】で志願者増、行政政策【後】で大幅減が見込まれる。
●岩手県立大
 前年の反動から、社会福祉【前】・総合政策【後】で志願者増、ソフトウェア情報【前】【後】で大幅増、看護【前】・社会福祉【後】・総合政策【前】でやや志願者減が見込まれる。総合政策【後】は共テの5(6)科目→3科目への軽減も増加要因となりそうだ。
●宮城大
 事業構想学群(以下、学群を略)【前】【後】・食産業【前】【後】で「活動実績報告書」を点数化。食産業【前】【後】で数学重視・理科重視の2区分の選抜を廃止。前年の反動もあり、食産業【前】・看護【後】で志願者増、事業構想【前】で志願者減が見込まれる。
●福島県立医科大
 保健科学部を増設。前期のみ募集で2段階選抜も実施するが、予告倍率(約4倍)を超える志願者を集めそう。山形県立保健医療大【前】から志望変更がありそうだ。この他、前年の反動から医【前】・看護【前】【後】で志願者増が見込まれる。
 この他、前年の反動などから、公立千歳科学技術大‐理工【前】、国際教養大(A日程)で志願者増が、帯広畜産大【前】【後】、室蘭工業大‐理工[昼]【前】、宮城教育大【前】、釧路公立大‐経済【前】、名寄市立大‐保健福祉【前】【後】、秋田県立大‐生物資源科学【前】などで志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 強い地元志向から、北海学園大・北海道科学大・東北学院大など、地区を代表する大学や医療系・理工系大学は志願者増が予想される。
 北海道医療大は薬・看護福祉(臨床福祉)・心理科学で一般後期Bを、薬・歯・看護福祉(臨床福祉)・心理科学で共テ利用後期Bを新規実施し、医療技術の一般前・後期で面接を除外。酪農学園大は一般選抜、共テ利用入試で調査書点数化を新規実施し、獣医学類の一般1・2期で共テ併用型を、共テ利用入試で5教科5科目方式を追加。東北学院大は英語資格・検定試験利用選抜の実施学部を「1→6学部」に拡大(得点換算)。また、北海道科学大・東北福祉大の共テ利用の英語リスニング追加も注目される。

 
 

【関東・甲信越】
筑波大の「総合選抜」、横浜国立大の2次中止が台風の目に。青山学院大・立教大が志願者減、中央大・法政大・明治大が増加か。
 
<国公立大>

●茨城大
 人文社会科学【前】【後】・理【前】【後】・工[昼・夜]【前】【後】・農【前】【後】で2次に主体性評価(点数化)を追加。理で募集人員を変更(前期140人→110人、後期35人→64人)し、後期で新規に2次を課す(理科か総合問題)。農【後】も2次を「課さない→英語」に変更する。こうした変動要因に加え、前年の反動もあり、人文社会科学【前】【後】・理【前】・工[昼]【後】で志願者増が予想される一方、教育【前】・農【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●筑波大
 全学(体育専門学群を除く)の前期で、学類・専門学群選抜と並行して、総合選抜(大括り募集)を新規実施。募集人員は総合選抜(文系)128人、同(理系Ⅰ)154人、同(理系Ⅱ)41人、同(理系Ⅲ)90人。同選抜による入学者は、2年次から志望する学群・学類に所属する。2段階選抜も実施するが、志望分野が固まっていない受験生の人気を集めるものと見られる。
 このため、学類・専門学群選抜は規模縮小。日本語・日本文化学類(以下、学類を略)、知識情報・図書館の前期を募集停止。また、比較文化、情報科学、情報メディア創成で後期を募集停止する一方、人間学群、物理、化学で後期を新規実施。また、募集人員減の学群・学類も多く、2段階選抜の新規実施(予告倍率ごとに、約5倍=比較文化【前】・生物【前】・情報学群【前】、約6倍=芸術専門学群【後】、約8倍=生物【後】・地球【後】、約10倍=人間学群【後】・物理【後】・化学【後】)も多い。
 科目の変更では、教育【前】・障害科学【前】で共テを5(6)科目→6(7)科目に増加。応用理工【後】の2次から小論文を除外。芸術専門学群【後】の2次で「実技→面接」に変更する。
 これらの変更を考慮すると、学類・専門学群選抜は志願者減が見込まれるが、総合選抜も合わせた大学全体の志願者はやや増加しそうだ。
●宇都宮大
 20年に群馬大と連携して開設された共同教育【前】は、前年の反動から、やや志願者増が見込まれる。また、やはり前年の反動から、地域デザイン科学【前】・工【前】・農【前】で志願者増が見込まれる。一方、後期で2次を「課さない→課す」に変更するケースが目立ち、工【後】は小論文、農【後】は面接を新たに課す。いずれも敬遠材料となり、志願者減の要因となりそうだ。
●群馬大
 社会情報を文理融合の「情報学部」に改組(理工から情報科学コースを移管・統合)。人気系統だけに、募集人員増(前期56人→96人、後期16人→24人)もあり、前・後期ともに志願者大幅増が見込まれる。一方、理工は「4学科→2類(8プログラム)」に改組され、フレックス制の総合理工学科は募集停止。理工【前】は募集人員減と前年の反動から志願者減か。20年に宇都宮大と連携して開設された共同教育【前】【後】は、前年の反動から、やや志願者増が見込まれる。この他、やはり前年の反動から、医(医)【前】・医(保健)【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●埼玉大
 前年の反動から、教養【後】・経済[昼]【前】・教育【前】・工【前】で志願者増、理【後】で志願者減が見込まれる。経済[昼]【前】は募集人員増(215人→230人)も要因となりそうだ。
●千葉大
 法政経【前】・教育(英語教育以外)【前】・理(物理以外)【前】・工【前】・薬【前】の2次で、英語外部検定を新規利用(加点)。また、薬【前】の2次で理科1→2科目に増加。前年の反動もあり、文【後】・教育【前】・工【後】・園芸【後】・薬【前】で志願者増、文【前】・理【前】・園芸【前】・医【前】・看護【前】で志願者減が見込まれる。
●お茶の水女子大
 前年の反動から、文教育【前】・理【後】で志願者増が見込まれる。理【後】の場合、数学科の負担減(共テ=7→5科目、2次=「数学→課さない」)も要因となりそうだ。
●東京大
 全科類で、共テの英語にリスニングを追加する。難関大(特に文系)を敬遠する傾向から、文科1~3類ではやや志願者減が予想される。
●東京工業大
 生命理工学院で後期を募集停止し、前期は105人→135人に募集人員増。また、全学の前期で、2段階選抜を新規実施(予告倍率=4倍)。首都圏難関校の敬遠傾向もあり、生命理工学院【前】以外は志願者減が見込まれる。
●一橋大
 首都圏の難関校、特に文系を敬遠する傾向から、法【前】・社会【前】で志願者減が見込まれる。
●横浜国立大
 コロナ禍における入試実施の一つの答えとして、全学の前・後期とも、21年度は個別試験を中止、共テの成績と出願書類を基に合否判定。地方国公立大志望者など、従来とは異なる受験者層を集める可能性があり、全体に志願者増が見込まれる。ただし、募集人員の変更(経済=【前】125人→140人、【後】90人→80人。経営=【前】128人→155人、【後】98人→81人)、経済【後】の共テの科目軽減(8→6または7科目)から、経済【後】・経営【後】は難化しそう。募集人員減(134人→100人)の教育【前】は大幅減が見込まれる。
●新潟大
 教育・創生で後期を募集停止し、教育【前】で2次に面接を追加。工で【前】310人→320人に募集人員増、【後】60人→50人に削減し、前期は共テ・2次の配点比率により「共通テスト重視型」「個別学力試験重視型」に複線化。また、医(保健)【後】で2次から小論文を除外する。こうした変更に加え、前年の反動もあり、教育【前】・法【前】・経済科学【後】・理【後】・医(保健)【前】・歯【前】・工【後】・農【後】・創生【前】【後】で志願者減、理【前】・医(医)【前】・農【前】で志願者増が見込まれる。
●山梨大
 「工【前】226人→207人・【後】48人→35人、生命環境【前】130人→119人、教育【前】78人→60人・【後】28人→21人」に募集人員減。教育【後】で共テの科目数を軽減する一方、教育【前】では2次に面接を追加。生命環境【前】も2次を「学科試験→小論文」に変更。前年の反動もあり、教育【後】・医(医)【後】で志願者増、その他はやや減少が見込まれる。
●信州大
 理【前】【後】以外のほぼ全学の2次で調査書を新たに点数化。経法で後期を募集停止。農で募集人員を変更(前期122人→110人、後期16人→24人)、農【前】【後】で共テを6→7科目に増加、農【後】の2次で「面接→理科」に変更。医(医)【前】で、2段階選抜の予告倍率を「約5倍→約4倍」に引き締める。教育【後】は共テの科目増を行うコースが多く、教育【前】は2次に面接を課すコースが目立つ。前年の反動もあり、人文【後】・農【前】で志願者減、人文【前】・理【前】・医(保健)【前】【後】・農【後】・繊維【前】で志願者増が見込まれる。
●東京都立大
 法で後期を新規実施、難関国立大の併願先として人気を集めそうだ。一方、法【前】は募集人員減(176人→150人)、前年の反動からやや志願者増が見込まれ、難化は必至だ。一般選抜の募集人員減が目立つ(人文社会【前】131人→118人・【後】25人→10人、経済経営【前】130人→120人、都市環境【前】156人→143人、システムデザイン【前】195人→167人)。一方、経済経営【前】・都市環境【前】・理【前】・システムデザイン【前】で2次から英語を除外し、人文社会【前】は「外国語→小論文」に、法【前】も「外国語→地歴・数学から1」に変更。さらに、健康福祉【後】で2段階選抜の予告倍率を「約14倍→約30倍」に緩和する。こうした変更に加え、前年の反動もあり、人文社会【前】【後】・経済経営【前】【後】・都市環境【前】・健康福祉【前】で志願者減、理【前】・システムデザイン【前】【後】・健康福祉【後】で志願者増が見込まれる。
●横浜市立大
 医(医)【前】で、2段階選抜(予告倍率=約3倍)に得点基準(共テ1,000点満点中750点以上)を追加したが、前年の反動からやや志願者増が見込まれる。この他、やはり前年の反動から、国際商【前】・理【前】・データサイエンス【前】・医(看護)【前】で志願者増、データサイエンス【後】で志願者減の見込み。また、国際教養【前】はコロナ禍の影響による系統不人気で志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 コロナ禍の影響から首都圏回避の傾向が高まるうえ、強い現役志向と“超絶安全志向”から、全国型の難関~準難関校が敬遠される一方、20年に人気が高まり難化した中堅校や従来の低倍率校も警戒され、併願校を精選する傾向が強まりそう。その結果、「日東駒専」など中堅上位校に志願者が集中しそうだ。
 首都圏私立大の一般選抜で注目されるのが、難関校の共テ利用を軸とした全学的な変更だ。学習院大と上智大で共テ利用入試を新規実施。上智大では一般選抜の学科別募集も、独自入試から「独自・共テ併用」に移行する。青山学院大・立教大や、早稲田大‐政治経済・国際教養・スポーツ科学でも、独自入試の「共テ併用」化や記述式の導入が進められ、特に早稲田大‐政治経済の数学必須化や総合問題出題、立教大(文を除く)における大学独自の英語出題の廃止は、従来の私立大入試とは異なる方向性だけに、私立大専願者から敬遠されそう。中央大・東京理科大・法政大・明治大など、ほぼ変更を行わない大学への志望変更が予想される。
 共テ利用選抜の英語で、工学院大・東京電機大・東京都市大など、筆記のみの得点とリスニングを含む換算点の高い方の採用から「リスニング必須」に転換する大学の続出も目立つ。
 なお、前年の倍率の極端な変化が、反動となって現れる可能性がある。20年に志願者大幅減・合格者大幅増で倍率ダウンが顕著だった、國學院大・駒澤大・専修大・東洋大などは狙われる可能性があるので要注意だ。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●青山学院大
 理工学部で物理科学・数理サイエンスの2学科を増設予定(物理・数理学科を分割)。
 全学の個別学部日程(経済と、文・理工の一部方式を除く)が、独自入試から独自・共テ併用に移行。同日程の個別試験では、総合問題を文(フランス文)・法・国際政治経済・総合文化政策(A方式)で、小論文を文(比較芸術)・教育人間科学で新たに課す。文(英米文)の個別C方式で英語外部検定利用を廃止。総合文化政策は個別A方式を英語外部検定利用(出願資格)に変更する一方、個別B方式では英語外部検定利用を廃止。
 経済の個別A方式を3→2科目に軽減(国語を除外)。社会情報で個別B方式(共テ2科目+数学)・D方式(共テ2科目+総合問題)を新規実施。コミュニティ人間科学で、個別A~C方式を1方式(共テ2科目+小論文)に統合。地球社会共生で個別A・B方式を1方式(共テ3科目+小論文)に統合。共テ利用入試では、総合文化政策・経営が4教科型を廃止する。
●亜細亜大
 全学の一般(学科別)を「2→3教科」に増加(一部学科は2教科型も実施)。また、全学統一入試の前・中期で3教科型(セ試併用)を廃止し、後期で英語外部検定が利用可に(得点換算)。
●学習院大
 全学で共テ利用入試を新規実施。一方、法・理(化学)で一般選抜のプラス試験を廃止、国際社会科学でプラス試験(英語外部検定利用)を、21年のみ中止する。
●國學院大
 観光学部を増設予定。V方式(共テ利用)でⅡ期を廃止。一方、文(史学、哲学)・神道文化・法・人間開発の一般B日程で英語外部検定が利用可に(得点換算)。
●上智大
 全学で共テ利用型(共テのみで判定)を新規実施、英語外部検定利用可(得点換算)。また、学科別募集が全て、独自入試から共通テスト併用型(独自・共テ併用)に移行する。やはり英語外部検定利用可(加点)。さらに、TEAPスコア利用型で、利用方法を出願資格から「出願資格および得点換算」に変更する。
●東京女子大
 共テ利用入試で5科目型を新規実施し、3月期で国公立併願型(共テのみで判定)を追加する。また、現代教養(国際英語)で共テ併用の英語Speaking Test利用型を新規実施する。
●東京理科大
 基礎工学部を「先進工学部」に改組・名称変更する予定。経営学部に「国際デザイン経営学科」を増設する予定。
●日本大
 文理でN全学統一方式2期を新規実施。生産工でCA共テ併用方式を新規実施し、A個別方式3期・C方式2期を廃止。薬・生産工のC方式、文理(英文・ドイツ文以外)のC方式1期(共テ利用)で英語にリスニングを追加する。
●日本女子大
 人間社会を、西生田キャンパス(川崎市多摩区)から目白キャンパス(東京都文京区)に移転。全学部を都心キャンパスに集約する。家政・理では、一般個別選抜型で3教科型を追加(従来は2教科型のみ。併願可)し、英語外部検定入試で個別試験を「1→2教科」に増加する。
●法政大
 グローバル教養でT日程を廃止し、英語外部試験利用入試の利用方法に得点換算を追加(従来は出願資格)、共テ利用B方式の出願資格に英語外部検定を追加。また、法(政治)・キャリアデザインで英語外部試験利用入試を導入。
●明治大
 経営の全学部統一入試で「英語4技能3科目方式」を新規実施(出願資格・得点換算)。商の共テ利用前期で数学を「選択→必須」とし、「3科目方式→4科目方式」「4科目方式→5科目方式」に変更する。また、国際日本の共テ利用前期で数学を「選択→必須」とし、「4科目方式→5科目方式」に変更する。
●立教大
 文以外の9学部で個別学部日程を廃止し、一般入試(旧:全学部日程)の試験日を「1→5日(理は2日)」に増加。一般入試の英語が共テ利用または英語外部検定利用(選択可)となり、大学独自の出題を廃止。文のみ、英語の独自試験を行う日程を設ける。さらに、一般入試・共テ利用入試ともに、英語外部検定利用の最低スコア基準を撤廃する。
●早稲田大
 政治経済で一般入試を、独自入試(3科目)から共テ併用方式に移行。共テは数学Ⅰ・A必須の4または5科目、独自試験は総合問題(日本語・英語の長文読解)を課す。
 国際教養の独自入試が、独自・共テ併用方式に移行。また、共テのみ利用を廃止する。スポーツ科学の一般選抜(独自入試)も、独自・共テ併用方式(共テ2科目+小論文)に移行する。
 文・文化構想の共テ利用は併用方式のみ存続。商の一般選抜を3方式(地歴・公民型、数学型、英語4技能型)に複線化。英語4技能型は英語外部検定を利用(出願要件・加点)。一方で、共テのみ利用を廃止する。
 
 慶應義塾大‐総合政策・環境情報で、それぞれ一般選抜の募集人員を「275人→225人」に削減。国際基督教大は一般A方式の募集人員を290人→240人に削減。国士舘大は一般前・後期で英語外部検定が利用可に(加点)。芝浦工業大は工・システム理工・デザイン工・建築の共テ利用後期で国語を除外(4→3教科に軽減)。成城大は法の共テ利用B方式で英語にリスニングを追加し、社会イノベーションの共テ利用B方式で後期を廃止。中央大は経済の共テ併用方式で「英語選択」方式を廃止。神奈川大‐国際日本・外国語・国際経営が新設キャンパスに移転する(横浜市神奈川区→西区)。

 
 

【北陸・東海】
富山大・福井大・名古屋大・三重大・静岡県立大が志願者増、金沢大・岐阜大・静岡大・愛知教育大が志願者減か。
 
<国公立大>

●富山大
 前年に全学で志願者13%減。その反動に加え、後期募集停止の金沢大からの併願増で、人文【後】・人間発達科学【前】【後】・経済[昼]【前】【後】・経済[夜]【後】・理【前】【後】・医(医)【前】・医(看護)【前】・薬【前】【後】・工【前】【後】・芸術文化【前】【後】で志願者増が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、人文【前】・医(看護)【後】・都市デザイン【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●金沢大
 融合学域先導科学類を増設。文理融合型の教育内容のため、初年度は様子見で志願者は少数に留まりそうだ。
 全学で後期を募集停止。学類別募集と別枠で実施する文系・理系一括入試(同入試による入学者は、2年次から各学類に配属)も「後期→前期」に移行する。大学全体の志願者大幅減はもとより、富山大・福井大をはじめ、北陸地区全体の後期の志願動向に影響しそうだ。
 学類別募集(以下、学類を略)では、2次負担増(人文【前】・国際【前】で総合問題、法【前】・保健‐看護学【前】で数学、経済【前】で国語を追加。地域創造【前】で2→3科目に増加)、前期の募集人員増(法【前】115人→135人、人文【前】100人→123人、地域創造【前】55人→63人、保健【前】142人→152人)、薬学系2学類を学類別募集に変更(薬・創薬科学【前】64人→薬【前】53人・医薬科学【前】18人)したのが主な変動要因。これに前年の反動も絡み、人文【前】・国際【前】・地球社会基盤【前】・医【前】・保健【前】で志願者減、法【前】・経済【前】・学校教育【前】・地域創造【前】・数物科学【前】・「機械工・フロンティア工・電子情報通信」【前】・生命理工【前】で志願者増が見込まれる。
●福井大
 後期募集停止の金沢大と岐阜大‐教育からの併願増が想定される。前年の反動もあり、教育【前】【後】・医(看護)【後】・工【後】・国際地域【前】【後】で志願者増が、医(医)【前】【後】・工【前】で志願者減が見込まれる。
 工【前】は募集人員減(291人→266人)も敬遠材料となりそう。一方、工【後】は敦賀会場(自校キャンパス)の増設、物質・生命化学科の2次変更(面接→数学)も志願者増の要因となりそうだ。
●岐阜大
 学部横断型教育プログラムの「社会システム経営学環」を新設(前期のみ募集)。教育内容が一部重なる地域科学【前】はやや志願者減か。
 教育で後期を募集停止、福井大‐教育【後】、三重大‐教育【後】への併願が増えそう。美術教育講座以外の前期で2次に面接を追加するが、前年の反動と相殺、志願者はほぼ前年並みと見られる。この他、やはり前年の反動から、医(医)【後】・工【前】【後】・応用生物科学【前】【後】で志願者増が、医(医)【前】・医(看護)【後】で志願者減が見込まれる。
●静岡大
 全体に、共テ・2次とも負担増が目立つ。人文社会科学[昼](社会、言語文化)【前】・教育【前】【後】・理(化学)【後】で、2次に小論文を追加。人文社会科学[昼](社会、言語文化、法)【後】で共テを3(4)科目→7(8)科目、同(経済)【後】も6(7)科目→7(8)科目、理(創造理学)【後】は5→7科目に増加する。いずれも敬遠材料となり、人文社会科学【前】【後】・教育【前】【後】・理【後】は志願者減が見込まれる。
 この他、前年の反動から、情報【前】【後】・理【前】・農【前】【後】・地域創造学環【後】で志願者増、工【前】で志願者減が見込まれる。理【前】は創造理学コースの前期の新規実施も要因となりそうだ。
●愛知教育大
 教員養成4課程を学校教員養成課程に統合。推薦型・総合型の募集枠拡大で、一般選抜は募集人員減(前期582人→507人、【後】125人→92人)。前・後期とも志願者減は必至だ。
●名古屋大
 前年の反動から、教育【前】・法【前】・情報【前】・医(医)【後】で志願者増、医(医)【前】で志願者減が見込まれる。医(医)【後】は、2段階選抜の廃止も人気材料となりそう。一方、医(保健)【前】は2次負担増(国語を追加)が志願者減の要因となりそうだ。
●三重大
 前年の反動から、教育【後】・医(医)【後】・医(看護)【前】・工【前】・生物資源【後】は志願者増が見込まれる。ただし、医(看護)【前】は2次負担増(学科1→2科目)のため、小幅な増加に留まりそう。医(医)【後】は浜松医科大‐医(医)【後】から、工【前】は静岡大‐工【前】から流入しそうだ。
 一方、やはり前年の反動から、人文【後】・医(医)【前】・工【後】で志願者減が見込まれる。人文【後】は法律経済学科の共テ負担増(3または4科目→7または8科目)でも敬遠されそうだ。
●石川県立大
 生物資源環境【前】で、共テ4教科型を新規実施し、従来の5教科型を「7→6(7)科目」に軽減。前年に続き、志願者増が見込まれる。
●福井県立大
 看護福祉(看護)【前】【後】で2段階選抜を新規実施(予告=志願者が100人を超えた場合)し、2次で「学科試験2科目→面接」に変更するため、志願者大幅減は必至。また、前年の反動から経済【後】で志願者増、生物資源【前】【後】・海洋生物資源【後】で志願者減が見込まれ、海洋生物資源【後】は募集人員減(19人→10人)も要因となりそうだ。
●静岡県立大
 全学の志願者増減(17年14%増→18年25%減→19年22%増→20年17%減)の揺れ戻しから、薬【中】・食品栄養科学【後】・経営情報【前】で志願者増、看護【前】【後】で志願者減の見込み。看護【前】は2次の変更(英語→口頭試問)も敬遠され、募集人員増(70人→85人)のため易化は必至。国際関係【前】は系統不人気に加え、募集人員減(141人→126人)のため志願者減が見込まれる。
●名古屋市立大
 前年の反動から、経済【前】【後】・人文社会【前】【後】・芸術工【後】・看護【前】で志願者増が見込まれる。芸術工【後】は募集人員減(38人→32人)のため、やや難化しそう。また、薬【中】は募集人員増(76人→82人)が前年の反動を相殺、志願者数はほぼ前年並みか。一方、医【前】は募集人員減(70人→60人)が敬遠され、やや人気低下しそうだ。
 この他、前年の反動から、富山県立大‐工【前】【後】・看護【前】、公立小松大‐生産システム科学【前】【中】・保健医療【中】、岐阜県立看護大【前】、愛知県立大‐教育福祉【前】【後】・看護【前】【後】・情報科学【後】などで志願者増が、石川県立看護大【前】【後】、三重県立看護大【前】【後】などで志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 首都圏回避、地元志向の強まりから、20年に合格者増で倍率が緩和された愛知大・中京大・南山大・名城大が人気を集めそうだ。
 金沢工業大は一般A・Bで首都圏(さいたま・千葉)に学外試験場を増設。愛知大は一般前・後期とM方式で、愛知学院大は前期A・Bと共テプラス試験で、愛知淑徳大は前期3・2教科型と共テプラス型で、英語外部検定が利用可に。
 椙山女学園大は一般入試Bで独自・共テ併用型を廃止。中京大はスポーツ科で学科増設(スポーツマネジメント、トレーナー)。また、心理・経済・スポーツ科のM方式で理系型を廃止し、経済・工の後期F方式で2教科型を導入、1教科型を廃止。名古屋外国語大は一般後期で国語を除外。南山大は理工を「3→4学科」に改組し、学科の第2志望制を導入(同時併願可に)。名城大は、募集人員を経済で「A方式108人→90人、F方式(共テ併用)10人→30人」、経営で「A方式100人→80人、F方式10人→30人」に変更する。

 
 

【関西】
神戸大・大阪市立大・滋賀大・関西学院大が志願者増、京都大・和歌山大・立命館大は志願者減か。
 
<国公立大>

●滋賀大
 経済[昼]で募集人員の比率を「後期重視→前期重視」に移行し、2段階選抜を新規実施。また、経済[夜]は一般選抜を募集停止(総合型に移行)。経済[昼]【前】は前年の反動もあり志願者増、同【後】は大幅減が見込まれる。この他、やはり前年の反動から、教育【前】【後】・データサイエンス【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●京都大
 大都市圏の難関校を敬遠する傾向から、文系学部を中心に、全体的にやや志願者減が見込まれる。ただし、前年の反動が強く出そうな教育【前】・法【後】では志願者増が見込まれる。医(医)【前】で2段階選抜の基準から得点(20年はセ試900点中630点以上)を除外し、予告倍率のみとするが、志望動向に与える影響は小さそうだ。
●大阪大
 人間科学【前】で2段階選抜を新規実施(予告倍率=2.4倍)。また、薬【前】では2段階選抜の予告倍率を「約4倍→約2.5倍」に引き締め、2次に小論文・面接を追加した。いずれも敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。薬【前】から新設予定の和歌山県立医科大‐薬に流出しそうだ。
 この他、前年の反動から、法【前】・経済【前】・歯【前】・基礎工【前】で志願者増が、外国語【前】・医(医)【前】・工【前】で志願者減が見込まれる。
 なお、20年の世界適塾入試では、合格者が募集人員の約6割に留まり、不足分を前期に上乗せしたため、外国語【前】・法【前】・経済【前】・理【前】・工【前】で、合格者数が募集人員を大幅に上回った。この現象は21年の推薦型・総合型でも想定され、意外な倍率ダウンもありうるので要注意だ。
●神戸大
 海事科学を「海洋政策科学部」に名称変更し、3→1学科に統合。後期は募集人員減(47人→40人)。前年の反動もあり、前期は志願者増、後期は減少が見込まれる。
 医(医)【前】で2段階選抜の基準を「得点(セ試900点中650点以上)→予告倍率(3倍)」に変更。工で【前】445人→457人に募集人員増、【後】108人→95人に削減。こうした変動要因に加え、前年の反動もあり、文【後】・国際人間科学【前】・法【後】・経済【前】・医(保健)【前】【後】・農【前】で志願者増、文【前】・経営【前】・医(医)【前】・工【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。
●奈良女子大
 総合型の探求力入試「Q」の導入に伴い、前期の一般選抜の募集枠を縮小。前年の反動もあり、文【前】【後】・理【後】で志願者減の見込み。
 一方、生活環境【前】【後】では志願者増、前期はやや難化が見込まれる。
●和歌山大
 観光で後期を募集停止し、前期は55人→63人に募集人員増ながら、2次で「学科試験→総合問題」に変更。コロナ禍の影響による系統不人気もあり、やや志願者減で易化しそうだ。
 教育【前】では2次の面接重視の変更(前期=文科系・理科系で「英語→面接」に変更、実技系に面接を追加)が敬遠され、やや志願者減か。前年の反動から、経済【前】【後】では志願者増、教育【後】・システム工【前】で志願者減が見込まれる。
●京都府立大
 全学部の前・後期で調査書を点数化。生命環境(環境デザイン)で後期を募集停止する。前年の反動もあり、文【後】・生命環境【後】で志願者減、公共政策【後】で志願者増が見込まれる。
●京都府立医科大
 2段階選抜の予告倍率を、医(医)【前】で「約4倍→約3倍」、医(看護)【前】で「約5倍→約3倍」に引き締める。いずれも敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。
●大阪市立大
 前年の反動から、商【後】・経済【前】【後】・文【前】・理【前】【後】・工【前】・医(医)【前】・生活科学【前】で志願者増が、商【前】・文【後】・工【後】で志願者減が見込まれる。
 なお、大阪府立大との統合計画(22年予定)が本格化し、名称も「大阪公立大学(仮称)」に決定。志願動向にプラスに働きそうだ。
●大阪府立大
 生命環境科学域【後】では、共テの科目数を緑地環境科学類は「5→6科目」、理学類は数学・物理・化学・生物の重点型でそれぞれ1科目増加。地域保健学域では、看護学類【前】を文系型・理系型に分割、教育福祉学類【後】で共テを3(4)科目→4(5)科目に負担増。こうした変動要因と、前年の反動から、現代システム科学域【前】【後】・地域保健学域【前】で志願者増、生命環境科学域【後】・地域保健学域【後】で志願者減が見込まれる。
●兵庫県立大
 前年は全学で志願者15%減。その反動から、国際商経【前】【後】・社会情報科学【中】・工【前】・環境人間【前】【後】・看護【前】【後】で志願者増が見込まれる。社会情報科学【中】は、近年人気の高い分野であり、併願に貴重な中期のため、高倍率の激戦となりそうだが、国際商経【前】【後】はコースにより英語外部検定を出願資格としていることが敬遠材料となり、志願者増は小幅に留まりそうだ。一方、理【中】は2段階選抜を導入(予告倍率=約14倍)、敬遠材料となり、やや志願者減が見込まれる。
●和歌山県立医科大
 薬学部を増設。一般選抜は前期のみ募集し、2段階選抜を実施(予告倍率=約3.3倍)。大阪大‐薬【前】、徳島大‐薬【前】からの志望変更が想定される。また、前年の反動から医【前】・保健看護【前】で志願者増が見込まれる。
 
 この他、前年の反動から、滋賀医科大‐医(医、看護)【前】、京都工芸繊維大‐工芸科学[昼]【前】、滋賀県立大‐環境科学【前】【後】、神戸市外国語大‐外国語【前】【後】、神戸市看護大‐看護【前】【後】で志願者増、滋賀県立大‐工【前】【後】、奈良県立医科大‐医(医)【後】で志願者減が見込まれる。また、京都教育大・大阪教育大・奈良教育大は、20年に続き志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 大都市圏回避と“超安全志向”から、難易度が高い「関関同立」を一部敬遠しつつ、19~20年に志願者急増で難化した中堅校も警戒し、中堅上位の「産近甲龍」を第1志望とする、または併願を増やす傾向が強まりそうだ。
 首都圏と異なり、入試科目の変更や新方式の実施などは比較的少ない。そのため、前年の倍率の極端な変化が、反動となって現れる可能性がある。
 20年に「志願者減・合格者増」で倍率ダウンが顕著だった、龍谷大(志願者4%減に対し合格者22%増)、近畿大(志願者6%減に対し合格者22%増)、関西学院大(志願者14%減に対し合格者4%増)、甲南大(志願者17%に対し合格者5%増)などは狙われる可能性が高い。一方、志願者10%増で倍率も19年並みだった立命館大、「志願者増・合格者減」で倍率アップした佛教大(志願者1%増に対し合格者5%減)などは警戒される可能性がある。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●京都外国語大
 一般A日程で「検定プラス1教科型・2教科型」を新規実施。それぞれ、A日程2教科型・3教科型に対応する英語外部検定利用方式(出願資格+得点換算)で、従来の語学検定型(英語外部検定、小論文、書類審査で選抜)を廃止。
●京都産業大
 経済・経営・法・現代社会・理・情報理工・生命科学の共テ利用前・後期で、英語にリスニングを追加。外国語の一般選抜で英語1科目型を廃止する。
●京都女子大
 全学で一般中期を新規実施(独自2科目型と共テ併用型)。また、一般前期でA方式の試験日を「2→1日」に削減し、C方式を「共テ併用→英語外部検定利用」に変更する。
●京都薬科大
 共テA方式で英語にリスニングを追加。また、共テC方式で、英語を「調査書・志望理由書の点数化」に変更する。
●佛教大
 全学の一般A日程で、判定方法に「高得点科目重視方式」を追加(従来は3科目均等配点)。一方で、セ試併用型を廃止する。また、教育・保健医療技術の一般A日程のスタンダード3科目方式で、国語が「選択→必須」になる。
●大阪医科薬科大
 大阪医科大と大阪薬科大が統合して「大阪医科薬科大学」に名称変更、大阪薬科大は「大阪医科薬科大学薬学部」となる。薬の一般Bで化学が「選択→必須」、数学が「必須→選択」となる。また、薬の共テ利用入試で理科2→1科目に軽減(化学必須)する。
●関西大
 全学で、一般後期(3月募集)を廃止。共テ利用後期は継続する。社会安全・人間健康の一般全学日程で、英語外部試験利用方式を新規実施(出願資格)。文の共テ利用前期で、英語外部試験重視方式を新規実施(出願資格・加点)。法で共テ併用小論文型を新規実施(小論文は現代社会、政治・経済が題材)。
●関西医科大
 医の共テ利用後期で国語を除外(6→5科目に軽減)。また、看護の一般選抜と共テ利用選抜に2教科型を追加する(従来は3教科型)。
●近畿大
 全学(医以外)の共テ利用入試の受験料を変更。「2志願目まで2万円一括。3志願目から1志願につき7千円」→「2志願目まで2万円、3~5志願目まで3万円一括。6志願目から1志願につき7千円」に拡大する。一般前期A日程で共テ併用方式を新規実施(共テ併用方式A日程)し、従来のPC方式前期を「共テ併用方式B日程」に名称変更する。
●関西学院大
 理工学部を分割・改組し、理工系4学部(理・工・生命環境・建築)を開設する。4学部とも学部個別日程を廃止し、全学日程を総合型(3科目均等配点)と数学・理科重視型に複線化。また、併願割引制度(同時併願時。2出願目を3万5千円→1万円に)を導入するので、4学部全体の志願者増につながりそうだ。
 一方、法の個別学部日程では試験日を1→2日に増加。経済・教育・総合政策で学部個別日程(理系型)を廃止する。
●甲南大
 マネジメント創造でマネジメント・特別留学の2コースを統合し、一括募集に。文で一般後期を廃止。また、経済・法の一般後期で調査書点数化を廃止し、英語1科目判定とする。
●神戸学院大
 共テ併用型前・中・後期で、共テの英語にリスニングを追加。全学(薬以外)の共テ利用入試で、国語の古文・漢文が「必須→選択(いずれか高得点を採用)」に変更。全学(グローバル・コミュニケーション以外)の共テ利用後期で、英語にリスニングを追加する。
 
 京都橘大で工・経済・経営の3学部を開設予定。大阪学院大は一般A日程前期で共テ併用方式を新規実施。大阪工業大で学科増設(情報科学‐データサイエンス)を予定。摂南大は3学部で定員増を予定(法250人→280人、経済250人→280人、理工500人→585人)。桃山学院大は学部増設(ビジネスデザイン)と経営の定員増(225人→295人)を予定する。

 
 

【中国・四国】
鳥取大・岡山大・広島大・山口大が志願者増、島根大・徳島大・香川大・愛媛大・島根県立大が志願者減か。
 
<国公立大>

●鳥取大
 医(医)【前】は、2段階選抜を新規実施するが、前年の倍率低下の反動から、やや志願者増か。この他、前年の反動から、地域【前】【後】・医(生命科学)【前】・医(保健)【前】【後】・工【前】【後】・農【後】で志願者増が、医(生命科学)【後】で志願者減が見込まれる。ただし、調査書の新規点数化が影響し、地域【前】・医(生命科学、保健)【前】・工【前】【後】の志願者増は小幅に留まりそう。一方、医(保健)【後】は募集人員減(15人→10人)もあり、難化は必至だ。
●島根大
 20年は全学で志願者25%増。その反動に加え、募集人員減(法文【前】104人→80人・【後】54人→43人、総合理工【前】238人→216人・【後】81人→72人)もあり、法文【前】【後】・教育【前】【後】・医(医)【前】・医(看護)【前】【後】・総合理工【前】【後】で志願者減が見込まれる。教育【前】は学校教育Ⅰ類の2次変更(学科試験→小論文)も影響しそうだ。一方、やはり前年の反動から生物資源科学【前】【後】で志願者増、募集人員減(前期127人→106人、後期30人→24人)による難化が見込まれる。
●岡山大
 工・環境理工の2学部(8学科)を「工学部(1学科4系10コース)」に統合・改組。学科【後】との募集から、系単位の大括り募集となる。募集人員は、旧2学部合計と比べ「前期390人→429人、後期80人→40人」と前期比率が高まった。旧2学部合計と比べ、前期が志願者微増でやや易化、後期は志願者減ながら難化しそうだ。
 この他、経済[夜]で後期を募集停止。農で募集人員を【前】78人→86人に増加、【後】18人→10人に削減。薬(薬)【前】、薬【後】で2次に面接を追加。こうした変動要因と前年の反動から、文【後】・教育【前】・経済[昼]【前】【後】・理【後】・医(保健)【前】【後】・歯【後】・農【前】で志願者増、文【前】・法[昼]【後】・理【前】・医(医)【前】・薬【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●広島大
 前年の反動から、総合科学【前】・文【後】・教育【後】・法[昼]【前】【後】・法[夜]【後】・経済[昼]【前】・経済[夜]【前】【後】・理【後】・医(医)【前】・薬【前】・工【前】・情報科学【後】で志願者増、文【前】・法[夜]【前】・歯【後】・工【後】で志願者減が見込まれる。
●山口大
 医(医)【後】は、香川大‐医(医)、愛媛大‐医(医)の後期募集停止の影響で、中国・四国地区の医学科で唯一の後期として、他医学部からの併願が集中し、超高倍率の激戦となりそうだ。
 理系学部で共テの負担増が相次いだ。工【前】【後】で4→7科目、共同獣医【後】で5→6科目に増加。理【後】でも全学科で6(7)~7科目に増加した。前年の反動もあり、人文【前】【後】・教育【前】・経済【前】【後】・医(保健)【前】【後】・農【後】で志願者増、医(医)【前】・工【前】【後】・理【後】・農【前】で志願者減の見込み。また、国際総合科学【前】【後】はコロナ禍による学部系統の人気低下で志願者減が見込まれる。
●徳島大
 薬で創製薬学科(4年制)を募集停止し、薬学科(6年制)に統合。薬【後】は15人→20人に募集人員増も、2段階選抜を新規実施。薬【前】も2段階選抜の予告倍率を「10倍→5倍」に引き締めるため、前・後期とも志願者減が見込まれる。
 医(医科栄養)で後期を募集停止。医(保健=看護学・放射線技術科学)【前】で、2次に面接を追加。さらに前年の反動もあり、総合科学【前】・医(保健)【前】【後】・歯【前】【後】・理工[昼]【前】【後】・生物資源産業【前】【後】で志願者減が、総合科学【後】・医(医)【前】・理工[夜]【前】で志願者増が見込まれる。
●香川大
 医(医)で後期を募集停止。前期は募集人員増(59人→79人)に比例した志願者増となりそう。また、前年の反動から、教育【前】・経済[昼]【前】【後】・医(看護・臨床心理)【前】・創造工【後】で志願者増、法[昼]【前】【後】・農【前】で志願者減が見込まれる。
●愛媛大
 医(医)で後期を募集停止、前期は40人→55人に増加するが、前年の反動に加え、2次で「英語→総合問題」に変更することから、志願者増は小幅に留まり、やや易化しそうだ。
 この他、法文[昼・夜]【前】【後】・工【前】【後】・農【前】などで調査書を点数化。医(看護)【前】で共テを5(6)科目→7(8)科目に増加する。こうした変更に加え、前年の反動もあり、法文[昼・夜]【前】【後】・教育【前】・工【前】【後】で志願者増、社会共創【前】・理【前】・医(看護)【前】・農【後】で志願者減が予想される。
●高知大
 人文社会科学(社会科学)・教育で後期を募集停止。人文社会科学【前】は人文科学・国際社会の2コースで共テを3(4)科目→5(6)科目に増加。こうした変動要因と前年の反動から、人文社会科学【前】・理工【後】・医(医)【前】・地域協働【前】で志願者減、教育【前】・医(看護)【前】【後】・農林海洋科学【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●島根県立大
 前年に志願者が倍増した反動が強く出そう。総合政策を「国際関係・地域政策」の2学部に分割、改組する。募集人員は、総合政策【前】120人・【後】25人→「地域政策【前】60人・【後】20人、国際関係【前】50人・【後】10人」となるが、前年に志願者が激増した反動から、2学部合計でも大幅減は必至だ。また、やはり前年の反動から、看護栄養【前】・人間文化【前】【後】は大幅減が見込まれる。
●岡山県立大
 デザインを「2→3学科」に改組し、前期で68人→54人に募集人員減。保健福祉で学科を分割(保健福祉→現代福祉・子ども)し、同(看護)【前】【後】の2次から小論文を除外。また、保健福祉(栄養)【前】【後】・情報工【前】【中】・デザイン【前】で、調査書等を点数化。これらの変更に加え、前年の反動もあり、保健福祉【前】【後】・情報工【前】で志願者増、デザイン【前】で志願者減が見込まれる。
●県立広島大
 20年に全学的な学部統合や定員減を伴う改組を実施し、志願者大幅減。募集人員減にほぼ比例した減少率だった地域創生【前】・生物資源科学【後】、健康科学コースで後期を募集停止する地域創生【後】は、20年並みの志願者数が予想されるが、生物資源科学【前】は反動から大幅増が見込まれる。保健福祉では「5学科→1学科(5コース)」に統合・改組し、前期でコース別募集とは別にコース選択制(1年次前期終了時に所属コースを決定)の一括募集枠を新設。募集人員減(25人→19人)の後期はやや難化が予想される。
 
 この他、前年の反動などから、公立鳥取環境大‐環境【前】・経営【後】、広島市立大‐情報科学【前】【後】、高知工科大‐システム工【後】・経済マネジメント【前】で志願者増が見込まれる。
 一方、公立鳥取環境大‐環境【後】、広島市立大‐国際【前】【後】、下関市立大‐経済【中】、山陽小野田市立山口東京理科大‐工【前】【中】、高知工科大‐システム工【前】・環境理工【前】・情報【前】【後】・経済マネジメント【後】で志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 広島修道大は、前年の易化(志願者2%減、合格者17%増)が人気材料となり、志願者増が見込まれる。この他、地区内の志望動向に影響を及ぼしそうな変動要因は次の通り。
 岡山理科大は全学(獣医‐獣医を除く)の前期B日程で、スタンダード方式を2→3科目に増加し、共テ利用入試で英語にリスニングを追加。松山大は、全学の一般選抜で募集回数を「2→1回」とし、3科目型に統一(2科目型を廃止)。共テ利用も3教科型に統一する。

 
 

【九州】
熊本大・長崎大・宮崎大・鹿児島大・福岡大が志願者増、九州大・佐賀大・大分大が志願者減か。
 
<国公立大>

●九州大
 工学部を「6→12学科」に改組。前・後期とも、12学科を6学科群(Ⅰ~Ⅵ)にグループ化して募集し、Ⅵ群では学部一括入試(入学後にコースを決める大括り募集)を実施する。募集人員減(【前】665人→629人、【後】113人→102人)や前年の反動もあり、前期は志願者減、後期はほぼ前年並みでやや難化しそうだ。
 この他、経済【前】(176人→159人)、芸術工【前】(131人→121人)の募集人員減や、法【後】の2次変更(小論文→講義理解力試験)、文【後】の2次負担増(小論文が1→2問に。志望理由等の論述を追加)が敬遠材料となりそう。前年の反動もあり、法【後】・経済【前】・芸術工【前】・薬【前】・農【後】で志願者減、文【後】・教育【前】・法【前】・理【前】・医(医)【前】・農【前】で志願者増が見込まれる。
●九州工業大
 総合型・推薦型の募集枠拡大に伴い、工で【前】233人→223人・【後】174人→130人、情報工で【前】236人→230人・【後】68人→57人に募集人員減。ただし、前年の志願者20%減の反動もあり、工【前】・情報工【前】が志願者増で難化、工【後】・情報工【後】はやや志願者減が見込まれる。
●佐賀大
 前年の反動から、理工【前】・農【後】で志願者減、教育【前】【後】は大幅減、芸術地域デザイン【後】・経済【前】・医(看護)【後】で志願者増が見込まれる。大分大‐経済【前】などから流入、九州工業大‐工【前】・情報工【前】などへ流出しそうだ。
●長崎大
 教育で後期を募集停止、前期は前年の反動もあり、志願者減が見込まれる。
 全学部の前・後期(環境科学【後】以外)で調査書を新たに点数化。また、経済[昼]【前】【後】・薬【前】・薬(薬科学)【後】・情報データ科学【前】【後】・工【前】【後】・環境科学【前】・水産【前】で2次にペーパーインタビューを追加する。
 この他、医(医)【前】で71人→76人に募集人員増。多文化社会【前】【後】で2段階選抜の基準を緩和。薬【後】で、2段階選抜の基準を「得点(セ試600点中480点以上)→倍率(約20倍)」に変更。工【後】で共テを5→7科目に増加。水産【後】で2次に総合問題、環境科学【後】で小論文を追加する。
 これらの変更に加え、前年の反動もあり、多文化社会【前】【後】・経済[昼]【後】・医(医・保健)【前】・歯【前】【後】・薬【後】・環境科学【前】【後】・水産【前】で志願者増、経済[昼]【前】・医(保健)【後】で志願者減が見込まれる。また、情報データ科学【前】【後】は開設2年目で認知度が高まり、人気系統だけに志願者増が見込まれる。
●熊本大
 前年の反動から、文【前】・教育【前】・理【前】【後】・医(医)【前】・薬【前】で志願者増、工【前】で志願者減が見込まれる。共テの英語リスニングの配点比率が20年までと同じ(4:1)なので、九州大からの志望変更につながりそうだ。
●大分大
 医(看護)で後期を募集停止。医(看護)【前】から、佐賀大‐医(看護)【後】、宮崎県立看護大【後】などへの併願増が見込まれる。また、前期は共テを5→7科目に増加。2段階選抜の予告倍率を「約6倍→約3倍」に引き締め、2次に面接を追加。敬遠材料となり、やや志願者減が見込まれる。
 理工は前期が募集人員増(248人→257人)の一方、数理科学コースで後期を募集停止。福祉健康科学の心理学コースでも、後期を募集停止する。さらに教育【後】で2次に小論文を追加。これらの変動要因に加え、前年の反動もあり、教育【前】【後】・経済【後】で志願者増、理工【前】【後】でやや増、経済【前】で志願者減が見込まれる。教育【前】【後】には佐賀大‐教育【前】【後】から、経済【前】からは佐賀大‐経済【前】への志望変更が考えられる。
●宮崎大
 工で「7学科→1学科(6プログラム)」に統合・改組する。前・後期とも一括募集ながら第6志望まで出願でき、入学時に仮配属されるので、志願動向への影響はなさそう。工【後】は前年の反動から、志願者増が見込まれる。
 医(看護)【前】【後】で共テを5→6(7)科目に増加し、同【後】で10人→5人に募集人員減。前年の反動もあり、前・後期とも大幅減は必至だ。
 地域資源創成【前】の2次で「英語・小論文→総合問題」に変更し、教育【前】【後】で2次に面接を追加するが、前年の反動もあり、教育【後】・医(医)【前】・農【前】【後】・地域資源創成【前】【後】で志願者増が、教育【前】・医(看護)【前】で志願者減が見込まれる。
●鹿児島大
 20年は教育・理・工の学科・課程の統合・改組などが影響し、志願者14%減。その反動もあり、教育【前】【後】・理【前】【後】・工【前】・医(医・保健)【後】・歯【前】【後】・水産【前】・共同獣医【後】で志願者増、共同獣医【前】で志願者減が見込まれる。共同獣医【前】は2次負担増(英語を追加)も敬遠材料となりそうだ。また、教育【後】は後期募集停止の琉球大‐教育【前】からの併願増が見込まれる。
●琉球大
 教育で後期を募集停止、前期91人→101人に募集人員増。また、小学校教育コースの学校教育専攻で共テの数学を2→1科目に軽減し、教科教育専攻で2次の国語から古文・漢文を除外。このため、教育【前】は志願者増が見込まれる。
 農【後】は共テを7(8)科目→5~5(6)科目に軽減し、2次を「課さない→面接」に。前年の反動もあり、やはり志願者増が見込まれる。
 人文社会(国際法政)【前】【後】・同(人間社会)【前】・国際地域創造[昼・夜]【前】【後】・農【前】【後】・理【前】【後】(海洋自然科学<生物系>【後】を除く)で調査書を新たに点数化するが、前年の反動もあり、人文社会【後】・国際地域創造[昼]【前】・同[夜]【前】【後】・理【前】・医(医)【前】【後】・医(保健)【前】【後】で志願者増が、理【前】・工【後】で志願者減が見込まれる。
●北九州市立大
 全学の志願者増減(17年17%増→18年8%減→19年11%増→20年18%減)の揺れ戻しから、外国語【前】【後】・経済【前】【後】・文【前】・法【前】【後】・国際環境工【後】で志願者増が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、文【後】・国際環境工【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●熊本県立大
 全学の前・後期で調査書を点数化するが、配点は小さく、影響は小さそう。前年の反動から、文【後】・環境共生【前】・総合管理【後】で志願者増が、総合管理【前】で志願者減が見込まれる。
●大分県立看護科学大
 前期で共テを6科目→7(8)科目に増加。また、前・後期で共テの国語に古文・漢文を追加し、2次で面接を新たに点数化。いずれも敬遠材料となり、志願者大幅減が見込まれる。
●名桜大
 21年度は全入試(人間健康‐看護の推薦型を除く)をオンライン実施に変更。全学の前・後期で、調査書・エントリーシート・実績報告書等を点数化し、人間健康(スポーツ健康)【前】で2段階選抜を新規実施する一方、同(看護)【前】【後】で共テを6(7)科目→5(6)科目に軽減。前年の反動もあり、国際学群【前】・人間健康【後】で志願者増、人間健康【前】で志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 強い地元志向から、国公立大受験者層が西南学院大・福岡大、さらに九州産業大・久留米大などの併願を増やすものとみられる。ただし、西南学院大は前年の合格者絞り込み(志願者4%減に対し、合格者13%減)のため、小幅な増加に留まりそうだ。この他、立命館アジア太平洋大の入試変更(共テ方式で英語リスニングを必須化、一般前期で国語に古文・漢文を追加、など)が注目される。 

 

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2020年11月号)」より転載いたしました。

 

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