国公立大と難関私立大がやや易化、私立大低倍率校が難化!
コロナ禍の影響を受けつつ、各大学の2020年(以下、20年)入試結果データがほぼ出そろった。ここでは、国公立大、私立大それぞれの一般入試結果を最終チェック。さらに、21年“新入試”の最新情報も紹介する。
※この記事は『螢雪時代・2020年8月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)
一般入試の合格状況を総ざらい! 国公立大では前年の極端な反動、私立大の独自入試で合格者増が顕著
20年の一般入試結果を見ると、国公立大は「志願者6%減、合格者:前年並み」、私立大は「志願者2%減、合格者9%増」で、いずれも倍率ダウンした。難関~中堅上位校が敬遠され、中堅の低倍率校が志願者大幅増、難化した模様だ。学部系統別では、国公立大は文理とも倍率ダウン、私立大は「文低理高」となった。
国公立大:
後期で倍率ダウンが顕著、ほぼ全学部系統で倍率低下
国公立大の20年一般入試の実施結果を『螢雪時代』で調査したところ、全体の集計では19年に比べ、国立大が「志願者7%減、合格者:前年並み」で、倍率(志願者÷合格者。以下、特に注記のない場合は同じ)は19年3.7倍→20年3.5倍(以下、年度を略)とダウン。また、公立大(別日程実施の2大学を除く)も「志願者5%減、合格者:前年並み」で、倍率は4.6倍→4.4倍とダウンした。
日程別に見ても(グラフ2)、国立・公立のいずれも、前期・後期ともに倍率ダウンしたが、特に後期で顕著だった。後期の場合、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、北海道を中心に8大学で後期の個別試験の実施を取りやめ、センター試験(以下、セ試)の成績や出願書類等で合否判定を行った結果、入学手続率が読みにくく、合格者を多めに出したことも影響したと見られる。
一方、公立大中期は合格者が10%減と絞り込まれ、倍率がかなりアップした。
大学入学共通テスト(以下、共通テスト)や主体性の評価など、21年“新入試”への警戒感のため、20年の受験生はもともと現役志向が極端に強く、“超絶安全志向”ともいうべき心理状態だった。さらに、最後のセ試の数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B、英語(筆記・リスニング)の難化による平均点ダウン(グラフ1)が影響し、国公立大への出願をためらわせる要因となった。
各大学の倍率(全学の合計)の変動を見てみよう。難関校では、北海道大が前述の理由から4.0倍→3.6倍にダウンしたのをはじめ、東京工業大(4.8倍→4.4倍)、一橋大(4.1倍→3.8倍)の倍率ダウンが目立つ。また、東北大(3.2倍→3.1倍)、名古屋大(2.6倍→2.5倍)、京都大(2.9倍→2.8倍)、神戸大(3.9倍→3.7倍)、九州大(3.0倍→2.9倍)もややダウンしたが、東京大は3.1倍、大阪大も2.4倍で前年と変わらず、安定した人気を保った。
準難関校では、志願者数トップの千葉大が4.5倍→4.2倍にダウン。「首都大学東京」から名称変更した東京都立大も5.6倍→5.0倍に倍率ダウンした。この他、筑波大(4.1倍→3.8倍)・横浜国立大(4.7倍→4.3倍)・広島大(3.2倍→2.9倍)・大阪市立大(4.1倍→3.8倍)のダウンが目立った。
各地区の中堅校でも、倍率ダウンした大学が多く、しかも前年の極端な反動が見られた。倍率の変動が目立った主な大学は次の通り。
【倍率アップ】新潟大2.8倍→3.3倍、島根大3.5倍→4.5倍、徳島大3.8倍→4.3倍 【倍率ダウン】群馬大3.6倍→2.7倍、富山大5.0倍→4.3倍、山梨大5.2倍→4.1倍、信州大3.9倍→3.4倍、岐阜大5.3倍→4.8倍、滋賀大6.9倍→5.2倍、鳥取大4.6倍→3.8倍、山口大4.1倍→3.2倍、大分大4.6倍→3.9倍、宮崎大5.1倍→4.1倍、岩手県立大6.9倍→5.4倍、静岡県立大4.2倍→3.4倍、県立広島大4.5倍→3.3倍、北九州市立大4.6倍→4.0倍 |
学部系統別(グラフ3)にみると、ほぼ全系統で倍率ダウンした。中でも、経済・経営・商、文・教育・教養、社会・社会福祉、医、歯、教員養成、家政・生活科学のダウンが目立つ。教員養成系は、教員を取り巻く環境の改善が進まず、人気低下に歯止めがかからない。例えば関西地区の教員養成系4大学が、そろって倍率ダウン(京都教育大2.8倍→2.1倍、大阪教育大3.6倍→3.1倍、兵庫教育大5.2倍→4.5倍、奈良教育大5.1倍→4.3倍)したのが象徴的だ。
対照的に、理、工は倍率ダウンが小幅に留まった。工では、公立諏訪東京理科大(志願者が約3倍増、倍率も3.7倍→8.5倍に急上昇)のような極端なケースも見られた。
総合点の“合格者平均点”のクリアを最終目標にしよう
「倍率」とともに気になるのが、合格者の最低点や平均点といった「合格者データ」だろう。
合格最低点は合否の分かれ目になる、いわゆる「ボーダーライン」。合格平均点は、総じて最低点より得点率(%)にして5~10p(ポイント)程度高い。合格最低点は「最低目標」として重要なデータなのだが、確実に合格を目指すには、「合格者平均点」のレベルまで学力アップしておくことが望まれる。
20年入試の例として、金沢大の前期日程の合格者データを見てみよう(表1)。
総合点を得点率(%)に換算し、各学類を分野別にまとめて平均すると、文系(人間社会学域)で「最低67%・平均71%」、理工系(理工学域)で「最低60%・平均64%」、医療系(医薬保健学域)で「最低63%・平均67%」となる。合格するには、文系で7割以上、理工系・医療系で6~7割程度(医は8割近く)の得点が必要だったのだ。また、合格者平均点をセ試・2次(個別試験)ごとに平均すると「文系=セ試76%・2次63%、理工系=セ試72%・2次57%、医療系=セ試74%・2次60%」となる。マーク式のセ試に比べ、記述式の2次の方が得点しにくかったことがわかる。
このうち、配点がセ試重視の「地域創造学類」と2次重視の「物質化学類」を比較してみよう。
地域創造学類の配点は「セ試950点、2次400点、総計1,350点」。合格者は、セ試では得点率72%~83%(平均76%)に分布し、最高・最低の差は11p。2次では得点率47~75%(平均60%)に分布し、最高・最低の差は28p。配点の少ない2次の方が最高・最低の差が大きく、セ試の得点である程度合否が決まったことがうかがえる。
一方、物質化学類の配点は「セ試900点、2次1,200点、総計2,100点」。合格者は、セ試では得点率64%~78%(平均72%)に分布、最高・最低の差は14p。2次では得点率46~65%(平均54%)に分布し、最高・最低の差は19p。地域創造学類に比べ、セ試と2次で得点幅にあまり違いがなく、2次の得点力が合否に強く影響したことがうかがえる。
私立大:
志願者2%減、合格者9%増
それでも「安全校なき入試」
『螢雪時代』の私立大一般入試結果調査(534大学集計:志願者372.9万人)によると、19年に比べ「志願者2%減、合格者9%増」で、倍率は全体で19年4.2倍→20年3.8倍とダウンした。
入試方式別では、各大学の独自入試は「志願者1%増、合格者13%増」で倍率は4.7倍→4.2倍にダウン。また、セ試利用入試(独自入試との併用を含む)は「志願者10%減、合格者1%増」で、倍率は3.6倍→3.2倍とダウンした。セ試の数学・英語の難化も、事後出願(セ試本試験日の後まで出願可)の大学や方式への出願に影響したようだ。
私立大一般入試の志願者は14年ぶりに減少したが、合格者は大幅増と対照的。また、難関~中堅上位校の志願者が減る一方、中堅校、特に低倍率校の志願者が増えた。
19年入試では、難関校の合格者絞り込みによる難化が、志望変更や併願増によって中堅上位校に波及した。その再現を恐れ、さらに低倍率の中堅校への併願を増やしたり、志望変更したりする傾向が強まった。また、指定校推薦やAO入試への出願が増加し、公募推薦は合格者大幅増で易化したため、一般入試志望者自体が減少したものと見られる。
一方、難関~準難関校は、敬遠されて志願者減。しかも、定員超過率の制限が固定されたため、合格者を減らさず、たとえ正規合格者は絞っても、追加合格や補欠合格を多めに出したこともあり、「志願者減・合格者増」で倍率ダウンする大学が続出、意外な穴場となった。
志願者数の上位10大学(表2)の入試結果を見ても、4大学が志願者減の一方で合格者を増やすなど、全体に合格者を絞り込まず、法政大・明治大・早稲田大・近畿大など10大学中8大学で実質倍率(受験者÷合格者。東洋大は志願者÷合格者)がダウンした。
この他、主な大学のうち、実質倍率が比較的大きくダウンした大学は次の通り(ただし、*=志願者÷合格者)。國學院大、駒澤大などは前年の倍率急上昇の反動が強く出た。
國學院大7.1倍→5.7倍、駒澤大6.7倍→3.4倍、上智大5.7倍→4.6倍、成蹊大5.7倍→4.4倍、成城大5.0倍→3.2倍、専修大6.4倍→4.2倍、明治学院大5.4倍→4.1倍、立教大6.1倍→5.0倍*、龍谷大4.9倍→3.8倍、関西学院大4.2倍→3.4倍、甲南大5.2倍→4.1倍 |
主な大学で倍率アップしたのは、国際基督教大(3.0倍→3.3倍)、九州産業大(2.4倍→3.1倍)など、少数に留まる。
地区別の集計をみると(グラフ4)、北海道・東北、中国・四国、九州が志願者大幅増に対し、首都圏を擁する関東・甲信越、京阪神を擁する関西が志願者減、倍率もかなり低下しているのが対照的。“超絶安全志向”とともに地元志向も強まったことがわかる。
グラフ6で文理別・難易ランク別の志願者・合格者動向(5月25日現在:駿台予備学校の集計)を見てみよう。ここでいう難易ランク(第3回駿台・ベネッセマーク模試での合格可能性60%ラインによるグループ分け)は、同じ大学内でも学部によって異なるが、おおむね、Aランクは難関校や難関医科大、Bランクは準難関校、Cランクは中堅上位校、D~Eランクは中堅クラスを指す。
文系はA~Cランクが「志願者減・合格者増」、Dランクも合格者増が顕著だが、Eランクのみ志願者が爆発的に増加する一方、合格者が微増に留まっている。また、理系はA~Bランクが「志願者減・合格者増」、Cランクも合格者増加率が上回っているが、Dランクは志願者増加率が上回り、Eランクは文系と同様、志願者が爆発的に増加、合格者増加率をはるかに上回る。
前述の通り、“超絶安全志向”からA~Bランク(文系はCランクも)を敬遠し、それ以降の志望者が、合格確保校として次のランクの併願を増やしたり、志望校をランクダウンしたりした結果、文理ともランクが下がるほど倍率がアップした様子が見て取れる。
19年と比べると、Eランクの急激な難化ぶりが特徴的だ。なお、文系は理系に比べ、上位ランクの志願者がより減少し、「文低理高」状態を如実に表している。
また、全国の私立大を、大学単位の競争率(実質倍率)グループ別に分類すると(グラフ7)、5倍台以上と1倍台の大学が減る一方で、2~3倍台の大学が増えている。従来の高倍率校が志願者減と合格者増で倍率ダウンする一方、従来の低倍率校が志願者急増で倍率アップした結果、双方向から2~3倍台に集約されたことを示している。グラフ6とあわせ、“超絶安全志向”が裏目に出て、19年に続き「安全校なき入試」につながったことがわかる。
学部系統別にみると(グラフ5)、文系学部は経済・経営・商をはじめ、全面的に「志願者減・合格者増」で倍率ダウン、易化したといえる。一方、理系学部では志願者増の理、工、農・獣医畜産・水産も、志願者減の医療系も、倍率ダウンは比較的小幅に留まっている。特に医は合格者を絞り込んだため、倍率は前年並みを保った。倍率面では志願状況以上に“文低理高”になったといえる。
合格ライン周辺から私立大の入試の実態を把握しよう
倍率に続き、私立大一般入試の「合格ライン」を見てみよう。国公立大と同様、合格への道標となる大切なデータだ。
グラフ8に、龍谷大‐経営(A日程:文系型スタンダード方式)の20年入試で、合格ライン付近の人数分布を示した。同方式の科目・配点は「英語」「国語」「世界史、日本史、政治・経済、数学から1」の3科目で各100点、計300点。受験者数2,171人に対し合格者数386人で、実質倍率は5.6倍。合格最低点は216点(得点率72.0%)だった。その分布状況を見ると、
①合格最低点を含め、上10点幅のゾーンに167人と、全合格者の約43%が集中している。
②不合格者の最高点(215点)を含め、下10点幅のゾーンに217人もいる。
③合格最低点で合格したのは20人、1点差での不合格者も10 人いる。
合格ライン付近では、総合的にほぼ同じ学力の受験生がひしめき合い、わずか1点差で合否が決まる。では、“1点差”を争う合格ラインを、どうやって突破するのか?
グラフ8の右側に、合格最低点とその1点下の受験者から、特徴のある得点パターンをピックアップした(科目ごとの得点は、中央値補正法を行った得点調整後の点数で小数第2位まで表示)。ここからわかるのは、「得意科目」の大切さと、「苦手科目」克服の必要性だ。
3科目入試では、1科目で得点が伸びなくても、他の科目でカバーできることが多い。Bさんのように絶対的な得意科目があれば、他にやや苦手な科目があっても心強い。ただし、Cさんのように苦手科目の失点が大きすぎると、カバーしきれず、1点差に泣くことになる。
得意科目の優位を生かすには、苦手科目を「やや苦手~普通」までにレベルアップし、6割以上の得点はほしい。私立大一般入試で、何とか合格ライン(7割台)をクリアするためには、得意科目(8割台)を持ち、残り2科目で7割台と6割台をキープしよう。
21年“新入試”の変更点をチェック! 東京大や北海道大など難関国立大で英語リスニングの配点比率アップ!
ここからは、4・5月号に続き、6月下旬までに判明した主な21年“新入試”の変更点を紹介する。国立では工学系の学部改組、私立では英語外部検定利用の導入が目立つ。6月以降、新型コロナウイルス対応の入試実施方法について次々と発表され、すでに発表された入試科目や方式、日程なども変更の可能性があるので、要注意だ。
新型コロナウイルス対応で、共通テストの日程が一部変更
新型コロナウイルス感染拡大の中で入試を実施するための対策や、休校措置による学習の遅れ、学校推薦型選抜(以下、推薦型)・総合型選抜(以下、総合型)の出願資格となる各大会等の中止や検定・資格試験の延期などへの配慮として、さまざまな施策が打ち出されつつある。
6月19日に文部科学省は、共通テストを当初予定の21年1月16日・17日(仮に第1日程)に加え、1月30日・31日(仮に第2日程)にも実施し、第1日程の追試験としての目的に加え、現役生の「学習の遅れ」を理由とした受験も可能とし、全都道府県に試験場を設置すること、さらに第2日程の追試験(特例追試)を2月13日・14日に実施することを発表した。
また、各大学の個別試験でも「追試験の実施」か「別日程への受験の振替」を要請。この他、総合型の出願開始を繰り下げ(9/1→9/15)、出願資格への配慮、一般選抜の出題範囲や科目数について「学習の遅れ」への配慮も要請した。
こうした対応に伴い、各大学の入試日程や選抜方法にも変更が出てくる可能性がある。いずれも、7月中に発表される各大学の選抜要項や入試ガイドを必ず確認してほしい。
各大学の選抜方法も、コロナ禍の影響で再変更
文部科学省の発表以前から、各大学でもすでに発表した入試の実施方法や出願資格等を、21年に限って見直すケースが出てきていた。
国立では、筑波大が一般選抜に調査書の点数化を導入する予定、東京外国語大‐言語文化・国際社会の前期でも英語スピーキングテストを導入する予定だったが、21年は中止を発表。私立の関西学院大でも、一般選抜・共テ利用入試で、筆記試験の総合点と「筆記試験の総合点と主体性の評価の得点の合計」を同一基準で比較し、高得点の方を合否判定に利用する方式を導入予定だったが、21年は実施を取りやめた。今後も同様の措置が予想されるので要注意だ。
以下、6月下旬の時点で判明している、各大学の変更点の一部を紹介する。なお、推薦型・総合型と一般選抜の変更については、原則として4・5月号に掲載したものを除いた。
国公立大:
九州大や岡山大などで工学系の改組が相次ぐ
●共通テストの英語の配点
センター試験の英語の配点は、筆記200点、リスニング50点で、「筆記:リスニング」の配点は「4:1」だった。実際の入試では、合計200点に換算し、「筆記160点:リスニング40点」とする大学がほとんどだった。
共通テストの英語の配点は、リーディング(R)100点、リスニング(L)100点で、配点比率は「1:1」。ただし、各技能の点数の入試での比重は、各大学が決定する。21年入試の国公立大の予告を旺文社が調査したところ、5月12日時点で「R:L」の配点比率を明確に示していたのは105大学だった。配点比率別に集計すると、トップはこれまでと同じ「4:1」で全体の約36%だが、「1:1」が約29%、「3:1」が約18%など、リスニングの比率を高めた大学・学部が多数ある。各大学・学部等の「R:L」の比率は、一覧表を見てほしい。
東京大がリスニングを新規利用し、配点比率を「7:3」とするのをはじめ、北海道大が「1:1」、東北大・名古屋大・京都大・大阪大が「3:1」と、難関国立大でリスニングの配点比率を高めたのが注目される。ただし、今後も変更の可能性があるので、募集要項などで要チェックだ。
●国公立大の改組と新増設
工学系を中心に、学部内の複数の学科等を、1つか、より少数に統合・再編したり、入学後に専門分野を決める仕組みを導入したりするケースが目立つ。以下、主な学部改組や新増設の予定をまとめた(新設学部等の名称は仮称)。
【国立大】金沢大で「融合科学域(先導学類)」を増設。岐阜大で学部横断型教育プログラムの「社会システム経営学環」を新設する。
群馬大‐社会情報を「情報学部」に改組し、同‐理工を「4学科→2類(8プログラム)」に統合、フレックス制の総合理工学科を募集停止。また、岡山大‐工・環境理工の2学部8学科を「工学部(1学科4系)」に統合・改組する。
愛知教育大で教員養成4課程を1課程に統合。神戸大‐海事科学を「海洋政策科学部」に改称、3→1学科に統合。徳島大‐薬で4年制の創製薬科学科を募集停止、6年制の薬学科に統合。九州大‐工を6→12学科に改組(募集は6学科群にグループ化)。宮崎大‐工を「7学科→1学科(6プログラム)」に統合・改組する。
【公立大】福島県立医科大で「保健科学部」を、和歌山県立医科大で「薬学部」を新設予定。島根県立大‐総合政策を、国際関係・地域政策の2学部に分割・改組する。
私立大:
英語外部検定利用の実施大学が増加
●新増設・改組等
21年度の私立大学の新設予定、学部・学科等の増設予定が文部科学省から発表されている(大学は前年10月末認可申請。学部・学科等は3月末認可申請分。表3を参照)。大学の新設予定は3大学。また、19大学で学部・学科の増設を認可申請中。さらに、専門職大学(公立含む)は7校が設置認可申請中だ(カコミを参照)。
その他に設置届出として、①関西医科大‐リハビリテーション、桃山学院大‐ビジネスデザインなどの学部増設、②東京理科大(基礎工→先進工)、京都橘大(現代ビジネス→経済・経営・工)、関西学院大(理工→理・工・生命環境・建築。図も参照)などの学部改組が予定されている。全体として、医療、国際、工といった分野の増設・改組が多い。この他、苫小牧駒澤大が「北洋大学」に、東北女子大が共学化し「柴田学園大学」に名称変更予定だ。
●推薦型・総合型
東邦大‐医、摂南大‐農で総合型を新規実施。また、女子栄養大では基礎学力試験を課す推薦型「一般推薦」を新規実施する。
●独自入試(一般選抜)
文中、「併用型」とは大学の独自入試と共テ利用入試の成績を組み合わせて合否判定する「独自・共テ併用型」を示す。東北学院大で英語資格・検定試験利用選抜を新規実施(得点換算)/亜細亜大の一般(学科別)を「2→3教科」に増加。また、全学統一前・中期で3教科型(併用型)を廃止/国士舘大の一般前・後期で英語外部検定が利用可に/大東文化大の全学部統一前・後期、3教科入試で英語外部検定が利用可に(得点換算)/愛知大の一般前・後期、M方式で英語外部検定が利用可に(加点)/京都女子大で一般中期を新規実施(A方式=独自2科目、B方式=併用型)、前期C方式を「併用型→英語外部検定利用」に変更/松山大で一般選抜の募集回数を「2→1回」とし、3科目型に統一(2科目型を廃止)する。
●共テ利用入試
芝浦工業大(建築以外)の共テ利用後期で国語を除外/中京大の共テ利用前・後期で英語外部検定が利用可に(得点換算)/専修大‐国際コミュニケーション・ネットワーク情報・人間科学、京都産業大‐経済・経営・法・現代社会・理・情報理工・生命科学の共テ利用前・後期で英語にリスニングを追加する。
◆専門職大学‐学部の新設予定(以下、仮称) 【専門職大学の新設】国際観光芸術専門職大(公立)‐芸術文化観光/モビリティシステム専門職大‐モビリティシステム工/ビューティアンドウェルネス専門職大‐ビューティアンドウェルネス/かなざわ食マネジメント専門職大‐フードサービスマネジメント/名古屋国際工科専門職大‐工科学/大阪国際工科専門職大‐工科学/和歌山リハビリテーション専門職大‐健康科学 【専門職大学の学部増設】開志専門職大‐アニメ・マンガ、国際観光 ※専門職大学名は略称。 |
* * *
以上、詳細は国公立大の選抜要項、私立大の入試ガイドなどで必ず確認してほしい。
(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2020年8月号)」より転載いたしました。