入試動向分析

2020年一般入試の難易変動はこうなる!?【2019年11月】

2019(令和1)年度

《国公立大》地方公立大が人気アップ、前年の極端な反動も!?
《私立大》「安全校なき入試」の一方、難関校は意外な穴場に?!

 

 いよいよ受験勉強も大詰め。気になるのは志望校や併願校の難易度や志望動向だ。「入試改革」を次年度に控え、2020年入試は現役合格への強い意識から“超安全志向”の激戦が予想される。さらに、前年の入試結果、新増設、入試科目の変更など、さまざまな要素によって変動する2020年一般入試のゆくえを予測する。

 

この記事は『螢雪時代・2019年11月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)。

 

 

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 2020年(以下、20年。他年度も同様)一般入試の志願者数は、国公立大が約2%減、私立大が約4%増と予測される。21年「入試改革」と、近年の私立大の難化を意識した“超安全志向”から、国公立・私立を問わず併願が増え、志望校のランクダウンも顕著に。地方公立大や中堅私立大の志願者増と難化が見込まれ、「安全校なき入試」となりそう。学部系統別では、文系人気は沈静化、理工系の人気復活が予想される。

 

【センター試験】志願者数は2019年より約1%減、57万人前後か

 

 ここでは、高校・予備校の進路指導の先生方へのアンケートを参考に、さまざまな変動要因を総合し、20年一般入試の志望動向や難易変動を予測する。
 文部科学省発表の『平成31年度学校基本調査速報』によると、19年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が67万4千人で、18年より0.7%減少した。20年は高卒者数の減少(1.3%減)に加え、大学・短大への現役志願率も2年連続ダウンが予想されるため、大学受験生数は本誌推定で65万8千人と、前年より2.4%減少すると見られる。
 今年の受験生は、次年度に21年「入試改革」を控える。廃止されるセンター試験(以下、セ試)に代わって、数学・国語の記述式問題、英語外部検定の併用などを盛り込む「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」が導入され、セ試より出題レベルが上がる(平均点5割が目標。セ試は6割)。また、英語外部検定利用に関する迷走ぶり、共通テストの試行テストにおける記述式問題の解答率や正答率の低さなど、報道等で不安感を抱き、現役での確実な合格を目指して、19年以上の“超安全志向”となりそうだ。
 セ試の志願者数はどうなるか。「現行入試のうちに合格したい」強い意識から、「ラスト・センター」への駆け込み出願が考えられる。一方、ここ数年で私立大入試が難化したため、併願数を増やす傾向が強まりそうだが、募集枠が小さく高倍率になりやすいセ試利用入試より、募集枠が大きい独自入試(一般入試)を併願するケースが増えそう。また、現役志向の強かった19年入試の結果、既卒者(浪人)は減少した模様だ。
 こうした要素を考えると、20年のセ試の志願者数は、19年より1%程度減少し、57万人前後と予測する(を参照)。

 
2017年度/国立大教員養成系学部の改組・定員増減の予定
 

【国公立大】推薦・AOの拡大や定員減が影響、2%程度の志願者減か

 20年度のセ試は、19年に平均点が大幅アップした国語と英語リスニングが、その反動でやや難化する可能性がある。ただし「最後のセンター試験」となるため、各教科・科目とも出題レベルの大きな変更はなさそうで、全体の平均点はほぼ19年並みと予想される。
 先生方のアンケート回答を見ると、国公立大志向が強まるか、弱まるかについては見方が分かれた。難関国立大が敬遠される一方、私立大の難化に対して併願数の増加で対処する一環として、私立大志望者層が地方国公立大(特に公立大)も視野に入れているからだ。
 国公立大志望者も、入試改革に対する強い不安が“駆け込み”意識につながり、セ試の持ち点を活かす戦略で、セ試の配点が高い地方国公立大が人気を集めそうだ。
 また、国公立大の多くが21年入試から英語外部検定を利用し、一定のスコアを出願資格とする予定の大学も少なくない。そうなる前に国公立大にチャレンジしたい、との意識も“駆け込み”につながりそうだ。

 

●国公立大の学部改組の影響

 学部増設・改組は、国立大も公立大も、前年とほぼ同じ規模だ(表1)。
 国立大では、宇都宮大‐教育と群馬大‐教育が連携し、カリキュラム等を共同設計・実施する全国初の「共同教育学部」を設置。また、新潟大・鹿児島大で大規模な改組、長崎大で情報データ科学部の増設を予定。新潟大‐経済科学、九州大‐芸術工、鹿児島大‐理・工で、複数学科を1つ、あるいはより少数に統合する。
 公立大では、県立広島大の学部・学科の統合を伴う全学的な改組、2大学の学部増設(新潟県立大‐国際経済、福知山公立大‐情報<予定>)、首都大学東京の「東京都立大学」への名称変更などが注目される。

 
2017年度/国立大教員養成系学部の改組・定員増減の予定
 

●教員養成・医の定員減も影響大

 教員養成系で、定員減や専攻・コースの統廃合など規模縮小が目立つ。群馬大‐共同教育、新潟大‐教育、長崎大‐教育、鹿児島大‐教育などで定員減。特に、長崎大‐教育では芸術・技術系4専攻を募集停止する。
 また、国立11大学の医学科で定員減を申請。深刻な医師不足対策として実施された「臨時定員増」が期限を迎えたためで、17年まで10年連続で増えてきた医学科の定員は、一転して削減の段階に入った。特に旭川医科大・東北大・山形大の医学科の大幅な定員減(旭川医科大107人→95人、東北大135人→116人、山形大120人→105人)は要注意。いずれも、志願者減の要因となりそうだ。

 

●推薦・AO枠拡大の影響

 推薦・AO入試の導入・拡大も、一般入試の志願者減に影響しそうだ。東北大‐経済の前期、新潟大‐工の前・後期、岐阜大‐工の前・後期、都留文科大‐文の前・中期などで、募集人員を一般入試から推薦・AO入試へ移行。また、鳥取大‐医(医)、広島大‐医(医)、福島県立医科大‐医で後期を募集停止する。一方、「私立→公立」に移行した公立千歳科学技術大(19年は別日程実施)が「前期・中期」で新規実施。中期は併願先として人気を集めそうだ。

 

●面接重視の変更が目立つ

 20年入試は一般入試の変更点が少ない。21年「入試改革」へ向けて、各大学では入試方法の決定に注力せざるを得ないからだ。
 その中で、個別試験(以下、2次)で負担増や、面接重視の変更が目立つ。千葉大‐教育の前期で、全体に学科試験を2→3教科に増加。静岡大‐工の前・後期で英語を追加。九州大‐医(医)・歯の前期で面接を追加。愛媛大‐教育の前期で小論文を「グループディスカッション」に変更。また、宇都宮大‐共同教育、群馬大‐共同教育では、募集単位ごとに異なっていた2次の選抜方法を、基本的に前期は「小論文・面接」、後期(群馬大のみ実施)は「面接」にそろえる(芸術系は実技も必須)。こうした変更は志願者減の要因となりそうだ。
 この他、東北大‐経済の前・後期で、理系受験生向きの「理系入試」を追加する。
 2段階選抜では、長崎大‐歯の後期、公立千歳科学技術大‐理工の中期で新規実施。一方、名古屋大‐医(医)の前期、茨城県立医療大の前・後期で2段階選抜を廃止する。

 

●「大括り募集」がじわり増加

 宇都宮大‐共同教育、群馬大‐共同教育では、募集単位も共通化。分野・専攻を4系統に集約し、大括り募集を行う。九州大‐芸術工の前期、鹿児島大‐理の後期、同‐工の前期でも、入学後に専門分野を決定する大括り募集の入試方式を導入する。
 以上の変更点も考えあわせ、国公立大全体の志願者は、大学受験生数の減少に比例し、2%程度の減少が見込まれる。なお、“超安全志向”のため、前年の志願者増減や倍率アップダウンの反動がより極端に起こりやすく、志望動向に大きく影響するので、注意してほしい。

 

【私立大】“超安全志向”で中堅校が激戦化、安全校なき入試に!?

 私立大の志望動向はどうか。先生方の回答では、私立大志向が「19年より強まる」が多数派だ。併願校数が「増える」との見立ても多いので、私立大は志願者増が見込まれる。ただし、併願パターンは従来の「チャレンジ校→実力相応校→合格確保校」ではなく、実力相応校を幅広く、合格確保校を下位まで増やす「T字型」になり、難関校は引き続き敬遠されそうだ。

 

●難関校は意外な穴場に!?

 19年入試では、大都市圏の大~中規模校に対する入学定員超過率の制限は固定され、合格者の絞り込みはあまり見られず、難関~準難関校ではかえって「志願者減・合格者増」で実質倍率(受験者数÷合格者数。以下、倍率)がダウン、意外な穴場となった大学もある(表2)。
 とはいえ、“超安全志向”と現役志向から、19年以上に「早めで確実な合格」を目指して公募推薦やAO入試の志願者増、指定校推薦の利用率アップが予想される。推薦・AO入試に殺到し激戦化、一般入試では志望校のランクダウンや併願増が予想され、中堅校、さらに「安全校」とされていた大学が、思わぬ競争激化で「安全校なき入試」になる可能性がある。一方、19年に敬遠された難関~準難関校の中には、揺れ戻しで狙われるケースもありそうだ。
 入学手続率が高いだけに、推薦・AO入試の志願者増によって一般入試枠が圧迫され、合格者を絞らざるを得ず、「推薦・AOの志願者増と難化→再挑戦組が2月一般入試に流入→合格者絞り込みで難化」という連鎖が起こりそう。
 以上から、私立大一般入試全体の志願者数は4%程度増える見込みだ。

 
2019年度/国立大教員養成系学部の改組・定員増減の予定
 

●一般入試の変更は少なめ

 国公立大と同様、私立大一般入試の科目等の変更は全体的に少ない。
 ここ数年、英語外部検定を利用する方式が急速に増えたが、20年入試における導入や拡大は控えめ。利用可能な検定の追加や入れ替え、基準レベルの変更といった微調整が多い。
 新規導入で注目されるのは、成蹊大のG方式。従来のE方式(2科目型)をベースに、英語外部検定を出願資格と得点加算の対象として利用する。また、東京経済大・追手門学院大や近畿大‐国際では「指定基準に達すれば、英語を満点、またはレベルに応じた得点に換算し、他科目と合算」する方式を導入する。この他、既実施校の利用学部増は、日本女子大‐文・家政・理、関西大‐法・システム理工など。
 セ試利用入試では、大東文化大の全学的な多科目型の追加と少数科目型の廃止、関西大の4学部における科目数軽減が目立つ。

 

●医学部に変更が目立つ

 また、獨協医科大・北里大・杏林大・関西医科大など、医学部で一般入試の変更が多い。特に、北里大‐医の健康診断の廃止、兵庫医科大の調査書・面接の点数化などが注目される。

 

●経済的負担減にも注目

 経済的負担の軽減では、成蹊大・甲南大の入試前予約型給付奨学金の新設や、日本大の全学規模の同時併願割引(A方式とN方式1期)、玉川大の資格・検定取得者対象の受験料減額の導入などが注目される。国の給付型奨学金制度が拡充され、学費減免制度も導入されるとはいえ、対象者はまだ少数に限られる。上記のような軽減策は人気を集めそうだ。

 

●新設の国際・経営・建築系が高人気に!?

 学部・学科等の新増設は、例年より看護・医療系が少なく、心理、国際、経営、建築で目立つ。いずれも人気の高い分野だけに、要注意だ。

 

【学部系統別】情報系・国際系は志願者増、医・薬・教員養成は志願者減か!?

 ここ数年続いてきた「文系人気」は、文・法などでトーンダウンしそう。ただし、いまだ好調な就職状況を受け、経済・国際系は引き続き人気を集めそう。理系では理工の志願者増が見込まれ、特に情報科学分野は人気を集めそうだ。
 一方、医・薬・農など医療系・生物科学系は志願者減が予想される。看護・医療も例年より新増設が少なく、志願者は前年並みか。国立大における定員減や、教員を取り巻く環境などが影響し、教員養成系も志願者減となりそうだ。

 

【アンケート集計】進路指導の先生方は20年入試の志望動向をどう見ているか

 最後に、進路指導のプロである先生方が、20年入試の志望動向をどのように見据えているのか、アンケート結果と先生方のコメントをもとに、基本的な考え方を示しておこう。
 
A.国公立大志向はどうなりますか?
①強まる…1人
②やや強まる…3人
③変わらない…6人
④やや弱まる…3人
⑤弱まる…0人
 
B.私立大志向はどうなりますか?
①強まる…1人
②やや強まる…8人
③変わらない…4人
④やや弱まる…0人
⑤弱まる…0人
 
C.併願校数はどうなりますか?
①19年とほぼ同数…4人
②19年よりやや増える…9人
③19年よりやや減る…0人
 
 昨年と比べ、Aでは「やや強まる」と「やや弱まる」で見方が分散したのに対し、Bでは「変わらない」の割合が低下し、「やや強まる」が全体の過半数を超えた。そして、Cでは②の割合が大幅に増えた。国公立大志向の強まりは地方公立大など限定的であるのに対し、“超安全志向”による併願増という形で、私立大志向は中堅校を中心に幅広い範囲を対象として、19年以上に強まりそうだ。
 皮肉にも“超安全志向”がもたらす、私立大の「安全校なき」難化を見据え、さらに受験生や保護者に強まる「後がない入試」意識にも配慮し、併願校数の増加を視野に入れている様子が見て取れる。
 国公立大の推薦・AO入試の拡大については、一般入試対策を重視しつつ、適性のある受験生であれば積極的に活用させるようだ。一方、私立大については「指定校推薦の希望者が倍増した」との指摘もあり、それをきっかけに、推薦・AO志願者の爆発的な増加が再現されそうだ。

 

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地区別に「志望動向・難易変動」を予測する!

 

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 以下、各地区のおもな大学について、20年一般入試の変動要因と難易動向を見ていこう。
 文中、変更点は19年→20年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼] [夜]、センター試験=セ試、個別学力検査等(2次試験)=2次、セ試を課さない推薦=セ試免除推薦、セ試を課す推薦=セ試課す推薦、AO入試=AO、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。教科・科目数については「5または6教科7または8科目(科目選択による)=5(6)教科7(8)科目」のように略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。
 また、英語外部検定利用に関する表記は次の通り。出願資格=指定基準(スコア・級)以上で出願でき、英語以外の科目の得点で合否判定。得点換算=指定基準(スコア・級)により、英語を満点、または一定の得点に換算。その他の科目の得点と合算し、合否判定。加点=スコア・級ごとに設定した得点に換算、満点を超えない範囲で英語の合計点に加える。

 
 

【北海道・東北】
秋田大・山形大が志願者増、弘前大・福島大が志願者減か。公立千歳科学技術大が台風の目に?!
 
<国公立大>

●北海道大
 前期の総合入試(文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施)は、前年(19年。以下同じ)の志願者減の反動から、文系でやや志願者増が予想される。
 また、前期の学部別入試や後期では、前年の反動(志願者増減や倍率の変動による。以下、同じ)から、理【後】・医(医・保健)【前】・歯【前】で志願者増、文【前】・教育【前】【後】・法【前】【後】・経済【後】・医(保健)【後】・農【後】・獣医【前】【後】・水産【後】で志願者減が見込まれる。
●北海道教育大
 教員養成課程(札幌校・旭川校・釧路校)では、前年の反動から釧路校【後】で志願者減が見込まれる。一方、教員養成以外の学科(函館校・岩見沢校)では、やはり前年の反動から、岩見沢校【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●旭川医科大
 医(医)は臨時定員増が期限を迎え、定員減(107人→95人)。後期は募集人員減(15人→8人)のため、超高倍率の激戦化は必至。また、前年の反動から、医(医)【前】で志願者増、医(看護)【後】で志願者減が見込まれる。医(医)【前】からは、秋田大‐医(医)【後】への併願が増えそうだ。
●室蘭工業大
 公立千歳科学技術大の前期・中期新規参入の影響を強く受け、理工[昼]【前】は志願者大幅減が見込まれる。一方、前年の反動から、理工[昼・夜]【後】は志願者増が見込まれ、北見工業大‐工【後】からの志望変更がありそうだ。
●弘前大
 医で「心理支援科学科」を増設、前期のみ募集する。人気の高い分野だけに、高倍率の激戦が予想される。また、前年の反動から、教育【前】【後】・医(医)【前】・理工【前】・農学生命科学【後】で志願者減、医(保健)【前】で志願者増が見込まれる。教育【前】は3専攻(中学‐音楽・美術・保健体育)の前期募集停止(AOに移行)も影響し、大幅減は必至。医(医)【前】は募集人員増(65人→70人:青森県定着枠5人増)のため、やや易化しそう。岩手大‐教育【前】【後】、秋田大‐教育文化【前】【後】・医(医)【前】・理工【前】へ志望変更がありそうだ。
●岩手大
 前年の反動から、教育【前】【後】で志願者増、人文社会科学【前】・理工【前】・農【後】で志願者減の見込み。志望者が秋田大‐理工【前】【後】へ流出、弘前大‐教育【前】から流入しそうだ。
●東北大
 経済【前】【後】で理系入試を新規実施(従来型は文系入試)。セ試は5教科7科目(理科発展2科目)、2次は「前期=数学・理科2科目・英語、後期=数学」を課す、典型的な理系型の入試だ。近年、理系受験生の経済系への進出が見られるものの、募集人員の変更(前期を185人→165人に削減、後期を30人→40人に増員。各10人、理系入試を含む)もあり、経済【前】は志願者減、同【後】はやや増加が見込まれる。
 医(医)では臨時定員増が期限を迎え、定員減(135人→116人)。医(医)【前】は募集人員減(105人→75人)のため、志願者大幅減は必至。北海道大‐医(医)【前】、秋田大‐医(医)【前】、福島県立医科大‐医【前】への志望変更が見込まれる。
 また、前年の反動から、教育【前】・理【前】【後】で志願者減、経済【後】・医(保健)【前】・薬【前】・工【前】で志願者増が見込まれる。
●秋田大
 全学の志願者増減(18年67%増→19年23%減)の揺れ戻しから、教育文化【前】【後】・理工【前】【後】・医(医)【前】・医(保健)【前】【後】で志願者増、国際資源【前】で志願者減が見込まれる。
 医(医)【後】は、福島県立医科大‐医の後期募集停止の影響で、地区内の他医学部からの併願が増えそう。2段階選抜の予告倍率緩和(募集人員の7倍→10倍。以下、募集人員を略)も人気材料となり、志願者増は必至。募集人員減(25人→20人)のため、難化が見込まれる。
●山形大
 前年の反動から、理【前】【後】・工[昼]【前】【後】、農【前】【後】で志願者増、人文社会科学【前】【後】・地域教育文化【前】【後】・工[フレックス]【後】・医(看護)【前】【後】で志願者減が見込まれる。
 医(医)【前】は臨時定員増の期限切れ(120人→105人に定員減)に伴う募集人員減(75人→65人)が敬遠され、2段階選抜の予告倍率を「約4.5倍→約5倍」に緩和するものの、志願者減が見込まれる。一方、医(医)【後】は福島県立医科大‐医の後期募集停止の影響で、医学系統の数少ない併願先として、志願者大幅増は必至だ。
●福島大
 食農学類(以下、学類を略)は開設2年目の反動でやや志願者減か。また、その他の4学類は、前年の反動から、人間発達文化【前】【後】・行政政策【前】・経済経営【前】・共生システム理工【前】【後】で志願者減、行政政策【後】で志願者増が見込まれる。
●公立千歳科学技術大
 4月から「私立→公立」に移行し、前期・中期に新規参入(19年は私立大として別日程実施)。募集人員は理工【前】125人・【中】55人、中期で2段階選抜を新規実施(予告倍率=10倍)。
 前期は北見工業大‐工【前】、室蘭工業大‐理工[昼]【前】からの志望変更が見込まれ、東京・名古屋に試験場を増設するため、地方公立も視野に入れた大都市圏の私立理系志望者も取り込みそう。また、中期は理工系の貴重な併願先として、多数の志願者を集めると見られる。
●岩手県立大
 前年の反動から、看護【後】・社会福祉【前】・ソフトウェア情報【前】【後】で志願者減、社会福祉【後】・総合政策【前】でやや志願者増が見込まれる。
●宮城大
 事業構想【前】・食産業【前】で学外試験場を廃止するが、前年の反動から、食産業【前】・看護【後】で志願者減、事業構想【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●国際教養大
 国際教養で募集人員を、A日程で40人→55人に増加する一方、B日程50人→40人、C日程15人→5人に削減。また、A日程でセ試を3(4)科目→5(6)科目に負担増、B日程でセ試を5(6)科目→3(4)科目に軽減する。メイン入試がA日程に移行したといえ、A日程・B日程はやや志願者増、セ試・2次とも英語のみのC日程は志願者大幅減ながら難化が見込まれる。
●福島県立医科大
 医で後期を募集停止、前期を募集人員増(67人→80人)。医【前】は2段階選抜の予告倍率を「約5倍→約4倍」に引き締めるものの、募集人員減の東北大‐医(医)【前】の影響もあり、志願者増が見込まれる。後期の併願先を、秋田大‐医(医)【後】、山形大‐医(医)【後】へ求めそうだ。
 この他、前年の反動から、帯広畜産大【前】【後】、宮城教育大【前】などで志願者増が見込まれる。一方、釧路公立大‐経済【中】、秋田県立大‐システム科学技術【前】【後】などで志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 強い地元志向から、19年で志願者大幅増の北海学園大・北星学園大・北海道科学大や、東北学院大など、国公立との併願が多い拠点校は、引き続き志願者増が予想される。
 北海学園大・北星学園大がインターネット出願(以下、ネット出願)を新規導入。また、北海道医療大‐医療技術のセ試利用入試の新規実施、東北医科薬科大‐医の札幌会場増設も注目される。

 
 

【関東・甲信越】
一橋大・東京都立大・日本大・立教大が志願者増、筑波大・千葉大・新潟大・駒澤大が志願者減か。
 
<国公立大>

●茨城大
 全学で2年連続の志願者増(18年10%増→19年14%増)の反動から、人文社会科学【前】【後】・理【前】・工[昼]【後】・工[夜]【前】【後】で志願者減が予想される一方、教育【後】・理【後】・農【前】【後】で志願者増が見込まれる。教育【後】は、群馬大‐共同教育【後】の募集枠縮小の影響も想定される。
●筑波大
 全学の志願者増減(17年9%増→18年13%減→19年9%増)の揺れ戻しから、各学群・学類の前期では、日本語日本文化・社会・教育・数学・物理・工学システム・社会工・芸術専門で志願者減が見込まれる。
 一方、比較文化・障害科学・知識情報図書館・情報メディア創成・医・医療科学の前期は、前年の反動で志願者増が見込まれる。
●宇都宮大
 群馬大‐教育と連携してカリキュラム等を共同設計・実施する、全国初の「共同教育学部」を、教育を改組して開設する。共同教育【前】では、2次を小論文(芸術系は実技)・面接に統一。学科試験や実技が小論文に変更されるため、敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。
 この他、前年の反動から、国際【前】・工【前】【後】・農【後】で志願者増、地域デザイン科学【前】【後】・農【前】で志願者減が見込まれる。地域デザイン科学では、2学科(建築都市デザイン、社会基盤デザイン)の後期を軽減(2次を免除)したが、建築都市デザイン学科の前・後期のセ試負担増(6→7科目)も、志願者減の要因となりそうだ。
●群馬大
 教育を改組し、宇都宮大との「共同教育学部」を開設。定員減(220人→190人)に伴い、募集人員を削減(前期145人→126人、後期44人→27人)する(音楽専攻、教育・教育心理専攻で後期募集停止)。募集単位も、前・後期とも「専攻別募集(13専攻)→系別募集(4系)」に統合。さらに2次の選抜方法を、前期は小論文・集団面接(芸術系は実技も)に、後期は集団面接(芸術系は実技も)に統一。集団面接を追加し、専攻【後】との学科試験を小論文に変更することが敬遠材料となり、募集人員減もあって、前・後期とも志願者大幅減が見込まれる。
 理工は定員増(510人→540人)を行い、理工[昼]【前】は募集人員増(266人→282人)。前年の反動もあり、志願者増が見込まれる。この他、やはり前年の反動から、社会情報【前】・理工[夜]【後】で志願者増、医(医)【前】・医(保健)【前】【後】・理工[昼]【後】・理工[夜]【前】で志願者減が見込まれる。
●埼玉大
 前年の反動から、教養【前】【後】・経済【前】・教育【前】で志願者減、経済【後】で志願者増が見込まれる。
●千葉大
 教育【前】で、2次を大幅に変更。課程・コース・分野ごとに、教科を追加、または選択教科を必須化するなど、全体に学科試験を「2→3教科」に負担増。特に、数学が必須となる選修・コース・分野が目立つ。また、セ試・2次の配点を「450点:1,000点」に統一し、全体的に2次配点比率が高まる。こうした変更が敬遠材料となり、志願者大幅減が見込まれる。
 文【後】は、人文(日本・ユーラシア文化)の後期募集停止(AO新規実施)のため、やや志願者減が見込まれる。一方、医【前】は募集人員減(97人→95人)のため、やや難化しそうだ。
 この他、前年の反動から、国際教養【前】・理【前】・薬【前】【後】・看護【前】で志願者増、法政経【後】・工【後】・園芸【後】で志願者減が見込まれる。なお、20年入学者から年間授業料を値上げ(535,800円→642,960円)する影響も注目される。
●東京大
 前年の反動から、文科1類【前】で志願者減、理科3類【前】はやや志願者増が見込まれるが、“超安全志向”による難関大敬遠傾向から、全体としてやや志願者減が予想される。
●東京医科歯科大
 前年の反動から、医(医)【後】・歯【後】で志願者減、医(医・保健衛生)【前】で志願者増が見込まれる。
●東京外国語大
 開設2年目の国際日本は、2次の「英語スピーキング」が引き続き敬遠される可能性があり、志願者減の見込み。また、前年の反動から国際社会【後】も志願者減が見込まれる。
●東京工業大
 学院別募集に移行して2年目を迎え、物質理工【前】・情報理工【前】・生命理工【前】で志願者増、理【前】・工【前】・環境・社会理工【前】・生命理工【後】で志願者減が見込まれる。
●東京農工大
 前年の志願者大幅減の反動から、農【後】・工【後】で志願者増が見込まれる。工【後】の場合、東京工業大などからの併願が増えそうだ。
●お茶の水女子大
 前年の反動から、生活科学【前】【後】で志願者増、文教育【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●一橋大
 前年の反動から、経済【前】・社会【前】で志願者増が見込まれる。
●横浜国立大
 前年の反動から、都市科学【前】【後】・理工【前】で志願者増、教育【前】・経営【後】で減少が見込まれる。
●新潟大
 経済[昼]を2→1学科に統合し、定員増(305人→350人)、夜間主コースを募集停止し、「経済科学部」に改組する。経済科学【前】【後】は募集人員増(前期160人→180人・後期65人→80人)に加え、後期は2次負担減(総合問題→課さない)のため、志願者大幅増が見込まれる。
 一方、他の3学部で定員減(人文225人→210人、教育220人→180人、法180人→170人)。人文【前】【後】は募集人員減(前期145人→140人、後期50人→40人)に加え、前年の反動もあり志願者減が見込まれる。教育【前】【後】も募集人員減(前期144人→120人、後期36人→20人)が志願者減に直結しそうだ。ただし、法も募集人員減(前期90人→85人、後期40人→35人)ながら、前年の反動や法曹養成プログラム新設のため、志願者増で難化が見込まれる。
 この他、工はAO新規実施、推薦枠拡大に伴う募集人員減(前期349人→310人、後期71人→60人)のため、やはり志願者減が見込まれる。また、前年の反動から、理【前】【後】・医(保健)【前】・歯【前】【後】・農【後】・創生【後】で志願者増、医(医)【前】・農【前】で志願者減が見込まれる。
●山梨大
 全学の志願者増減(18年11%減→19年16%増)の揺れ戻しから、教育【前】【後】・医(看護)【前】【後】・工【前】・生命環境【前】【後】で志願者減、工【後】で志願者増が見込まれる。
●信州大
 前年の反動から、人文【前】・教育【前】【後】・経法【後】・医(医)【前】・医(保健)【前】【後】・農【後】・繊維【後】で志願者減、経法【前】・工【前】【後】で志願者増が見込まれる。教育【前】は上越教育大‐学校教育【前】へ志望者が流出しそう。一方、工【前】【後】は新潟大‐工【前】【後】、静岡大‐工【前】【後】から志望者が流入しそうだ。
●東京都立大
 19年4月から「首都大学東京」を名称変更する予定。旧称の復活は、保護者にアピールし、人気度アップを後押ししそうだ。
 前年の反動から、人文社会【前】・経済経営【後】・都市環境【前】【後】で志願者増、人文社会【後】・法【前】・理【後】・健康福祉【後】で志願者減の見込み。人文社会【前】は、人文学科の募集人員減(61人→51人:指定校推薦を拡大)のため、難化が見込まれる。
●横浜市立大
 19年の全学的な改組(国際総合科学を、国際教養・国際商・理の3学部に分割)の認知度が高まり、志願者増の要因となりそう。前年の反動から、国際商【前】・データサイエンス【前】【後】で志願者増、理【前】・医(医)【前】で志願者減が見込まれる。医(医)【前】は募集人員減(80人→74人)も要因となりそうだ。医(看護)【前】も募集人員減(70人→65人)のため、やや志願者減か。
●都留文科大
 文【前】【中】は、英文学科が募集人員減(前期20人→15人、中期40人→30人:AO枠を拡大)、さらに前・中期ともセ試5教科5科目型を新たに追加(従来型は3教科3科目型)。前年の反動もあり、志願者減は必至。一方、やはり前年の反動から、教養【前】【中】は志願者増が見込まれ、前期は山梨大‐教育【前】から流入しそうだ。
●新潟県立大
 「国際経済学部」を増設。学内他学部と同じく別日程実施で、募集人員はA日程40人・B日程20人・C日程5人。選抜方法はB・C日程が私立文系型で、A・B日程では東京会場も設置し、かつ人気分野だけに、地方公立大も視野に入れた私立受験者層を取り込み、多くの志願者を集めそうだ。一方、前年の反動もあり、国際地域のA日程は志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 “超安全志向”と強い現役志向から、難関~準難関校を敬遠し、中堅上位~中堅校を第1志望とする、または併願を増やす傾向が、19年以上に強まりそう。一方、大~中規模校は定員超過率が厳しいながら固定され、19年と同様、合格者絞り込みは緩和されそうだ。
 20年は科目変更や新方式の実施などが前年より少なく、「波静かな入試」といわれる。このため、国公立と同様、前年の倍率の極端な変化が、反動となって現れる可能性がある。
 19年に志願者減・合格者増で倍率ダウンが顕著だった、青山学院大(志願者4%減に対し合格者11%増)、国士館大(志願者13%減に対し合格者5%増)、立教大(志願者4%減に対し合格者7%増)などは狙われる可能性がある。
 一方、志願者増・合格者減の國學院大(志願者19%増に対し合格者9%減)、駒澤大(志願者9%増に対し合格者17%減)、東京理科大(志願者7%増に対し合格者2%減)などはやや敬遠されそうだ。
 この他、前年に志願者大幅減の日本大なども、反動による人気回復が見込まれる。
 なお、上智大・立教大などでは21年入試から、独自入試で英語外部検定利用が必須となる。そうした大規模な変更予告も、変更前の“駆け込み出願”につながる可能性がある。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●北里大
 薬でセ試利用入試を廃止し、一般入試を募集人員増(170人→182人)。医の一般入試で募集人員減(84人→65人:地域枠を指定校推薦に移行)、2次の健康診断を廃止。
●工学院大
 工の一般S・A日程、セ試前期で「学部総合(入学時に学科を定めない募集単位)」を廃止する。先進工の一般S・A・B日程、セ試前期でも「学部総合(同上)」を廃止し、「大学院接続型6年一貫コース」を設置する。
●成蹊大
 経営学部を増設。経済(現代経済)・経営・法・文(英語英米文、国際文化)で、G方式を新規実施。試験日・試験問題はE方式と共通で、英語外部検定利用と活動報告書提出が必須(各得点換算)。合格者は新設する学部横断型のグローバル教育プログラム「EAGLE」に所属する。この他、入試前予約型給付奨学金を新設する。
●専修大
 国際コミュニケーション学部を増設し、神田キャンパスに高層校舎を新築。さらに、商を生田キャンパス(神奈川県川崎市)から神田キャンパス(東京都千代田区)に移転する。一方、法・経済・商で第二部を募集停止する。
●大東文化大
 セ試利用入試(前期前出願型・後出願型、中期、後期)で、全学的に多科目型(4教科型)を新規実施する一方、少数科目型(1~2教科型)を廃止。幅広い基礎学力の重視と、国公立大受験者層の併願増を狙った変更といえる。
●玉川大
 全学の給付型奨学金入試と国公立大学併願スカラシップ入試で、後期(3月実施)を新規実施。また、全学統一入試前・後期、学部別入試、給付型奨学金入試で、資格・検定取得者の受験料割引制度を導入する(割引額:英語系検定=1万円、国語系・数学系検定=5千円)。
●中央大
 商・理工・総合政策・国際経営・国際情報のセ試併用方式で、出願締切日をセ試本試験日の「前→後」に繰り下げ、セ試の結果を見て出願できるようになる。一方、法の一般入試とセ試併用方式で、3学科の試験が同日実施になる(19年は政治学科が2/13、他2学科は2/12)。
●東海大
 文系・理系学部入試後期(旧一般B方式)で、新たに英語外部検定利用が可能になる。また、体育でセ試利用入試を新規実施する。
●日本大
 一般A方式とN方式1期で同一学部・学科を同時併願した場合の受験料割引制度を導入(N方式1期の方が無料に)。文理の各学科で、次のように変更。社会・教育でA方式2期を新規実施、体育でセ試C方式1期を新規実施、数学のセ試C方式2期で4→3科目に軽減、地球科学でセ試C方式2期を廃止。生物資源科学でN方式2期の実施学科を増加する(3→11学科)。
●日本女子大
 文・家政・理で「英語外部検定入試」を新規実施(出願要件・加点)。一般入試と同日実施で同時併願可。全学部で利用することになる。
●武蔵野大
 看護で1年次のキャンパスを「東京都西東京市→同江東区」に移転(都心に全面移転)。また、全学の募集人員を「一般入試875人→925人、セ試利用入試250人→310人」に増加する。
●明治大
 国際日本で英語外部検定入試を新規実施(出願要件・加点)。一方で、一般3科目方式、全学部統一3科目方式(いずれも従来型)では、英語外部検定が「利用可→不可」になる。
 農の全学部統一入試でも、英語外部検定入試を新規実施する(出願要件・加点)。一方で、全学部統一3科目方式(従来型)では、英語外部検定が「利用可→不可」になる。
 また、総合数理(ネットワークデザイン)の全学部統一入試で、3科目方式を廃止する。
●明治学院大
 法(法律)のA日程の英語外部検定試験利用型が「出願資格方式→得点換算方式」に変更。また、心理(心理)のA日程で英語外部検定試験利用型(得点換算方式)を新規実施する。
 
 獨協医科大‐医は、セ試利用入試で個別試験から小論文を除外。青山学院大‐経営の個別学部日程でC方式(英語外部検定利用)を廃止。桜美林大で航空・マネジメント学群を増設。共立女子大でビジネス学部を増設。 杏林大‐医・保健でセ試後期を新規実施し、医で一般後期を廃止。國學院大‐経済で経済ネットワーキング学科を廃止し、他の2学科を定員増(経済210人→255人、経営150人→255人)。
 国士舘大‐理工でセ試利用Ⅲ期を廃止。順天堂大‐医の募集人員を変更、一般A方式を61人→67人に増員する一方、一般B方式を10人→5人、センター・一般独自併用を20人→15人に削減。昭和女子大で環境デザイン学部を増設する。
 東京経済大は一般前期で英語外部検定を新規利用(得点換算)。東京慈恵会医科大‐医(医)の一般入試で、出願書類に英語外部検定結果を追加(提出は任意)。東京都市大では、工・知識工の2学部を、理工・情報工・建築都市デザインの3学部に改組。東邦大‐薬でセ試利用後期を廃止し、薬・健康科学でセ試併用型を新規実施。武蔵大の全学部統一グローバル型で、新たに英語外部試験を得点換算(従来は出願資格のみで利用)。神奈川大で国際日本学部を増設する。

 
 

【北陸・東海】
金沢大・岐阜大・三重大が志願者増、静岡大・静岡県立大・愛知県立大が志願者減か。
 
<国公立大>

●富山大
 前年の反動から、人文【前】【後】・医(看護)【後】・工【前】・芸術文化【後】で志願者増、人間発達科学【前】【後】・経済[昼]【後】・経済[夜]【後】・理【前】・医(看護)【前】・工【後】・薬【前】【後】・都市デザイン【後】で志願者減が見込まれる。
●金沢大
 学類別募集と別枠で実施する「後期一括入試(文系・理系)」は、同入試による入学者が、2年次から各学類に配属されるため、専門を決めかねる受験生の選択肢として人気を集めているが、前年の反動から、文系一括で志願者増、理系一括で志願者減が見込まれる。
 同入試以外の学類別募集(以下、学類を略)では、やはり前年の反動から、人文【前】【後】・地域創造【後】・数物科学【前】・物質化学【後】・地球社会基盤【前】【後】・薬・創薬科学【前】・保健【前】【後】で志願者増、法【前】【後】・経済【前】・学校教育【前】・国際【前】【後】・生命理工【前】で志願者減が見込まれる。医【前】は2段階選抜の予告倍率を「3.5倍→3倍」に引き締めるため、敬遠材料となり、前年の反動を相殺し、志願者はほぼ前年並みに落ち着きそうだ。
●福井大
 前年の反動から、医(医)【後】・医(看護)【前】・工【前】【後】で志願者増が、教育【前】【後】・医(看護)【後】・国際地域【前】【後】で志願者減が見込まれる。医(看護)【後】は、募集人員減(10人→5人)も影響しそう。また、工【前】【後】は静岡大‐工【前】【後】から志望者が流入しそうだ。ただし、全学の前・後期の2次で、合否判定に調査書を追加する。点数化しないが総合判定に利用するため、やや敬遠材料となりそうだ。
●岐阜大
 医(医)は、募集人員の配分を「後期重視→前期重視」に転換(前期32人→37人、後期35人→25人)、志願者増減に直結しそう。前期は前年大幅減の反動もあり、増加が見込まれる。後期は医学系統に残る、比較的規模の大きな併願先であることに変わりはなく、小幅な志願者減に留まり、超高倍率の激戦が続きそうだ。
 また、工は推薦枠拡大に伴う募集人員減(前期232人→222人・後期235人→214人)で、こちらも「後期重視→前期重視」に転換されるため、後期でやや志願者減が見込まれる。
 この他、志願者増減(17年12%減→18年18%増→19年8%減)の揺れ戻しから、教育【前】・地域科学【前】【後】・医(看護)【前】【後】・応用生物科学【後】で志願者増が見込まれるが、医(看護)【前】は募集人員減(47人→42人)のため、小幅な増加に留まりそうだ。一方、教育【後】・応用生物科学【前】で志願者減が見込まれる。
●静岡大
 工【前】【後】では2次負担増(英語を追加)が敬遠材料となり、前・後期とも志願者減が見込まれる。2次で英語を課さない信州大‐工【前】【後】、福井大‐工【前】【後】への志望変更が想定される。
 志願者増減(17年19%増→18年18%減→19年11%増)の揺れ戻しから、人文社会科学【後】・情報【前】【後】・理【後】・農【後】・地域創造学環【前】【後】で志願者減、教育【後】でやや志願者増が見込まれる。情報【前】では、情報社会学科の2次の変更(国語→小論文)も敬遠材料となりそう。教育【後】は、愛知教育大【後】から志望者が流入しそうだ。
●浜松医科大
 医(医)で募集人員を「前期75人→66人、後期15人→14人」に削減。前年の反動もあり、前期で志願者大幅減、後期は志願者大幅増で難化が見込まれる。前期は岐阜大‐医(医)【前】、三重大‐医(医)【前】への志望変更が増えそうだ。
●名古屋大
 前年の反動から、経済【前】・医(医)【前】・農【前】で志願者増、教育【前】・医(医)【後】で志願者減が見込まれる。医(医)【前】の場合、2段階選抜を廃止したことでも人気を集めそう。
 一方、医(医)【後】からは、浜松医科大‐医(医)【後】、三重大‐医(医)【後】への志望変更が見込まれる。
●三重大
 前年の反動から、医(医)【前】【後】・医(看護)【前】【後】・工【後】・生物資源【前】【後】は志願者増が見込まれる。浜松医科大‐医(医)【前】、三重県立看護大【前】からの志望変更が考えられる。
 一方、やはり前年の反動から教育【後】・工【前】で志願者減が見込まれる。工【前】の場合、入学後に進路を選べる総合工学コースで、高倍率の反動が強く出そうだ。
●富山県立大
 看護【前】【後】は、開設2年目の反動で志願者大幅減が見込まれる。石川県立看護大【前】【後】への志望変更がありそうだ。一方、工【前】【後】は前年の反動に加え、学科改組(電子・情報工を電気電子工、情報システム工の2学科に分割。80人→90人に定員増)もあり、志願者増が見込まれる。
●公立小松大
 19年に全学部(国際文化交流・生産システム科学・保健医療)で前期・中期に移行し、北陸地区全体の志願状況に影響を与えた。2年目を迎え、中期は貴重な併願先ではあるものの、特に高倍率だった保健医療【中】は志願者減が見込まれる。
●福井県立大
 生物資源で「創造農学科」を増設、前期で募集人員増(18人→31人)。前年大幅増の反動を相殺し、志願者はほぼ前年並みか。この他、前年の反動から、経済【前】【後】・海洋生物資源【前】・看護福祉【前】【後】で志願者増、生物資源【後】・海洋生物資源【後】で志願者減が見込まれる。
●静岡県立大
 全学の志願者増減(17年14%増→18年25%減→19年22%増)の揺れ戻しから、薬【中】・食品栄養科学【後】・国際関係【前】・経営情報【前】【後】・看護【後】で志願者減、看護【前】で志願者増の見込み。薬【中】は名古屋市立大‐薬【中】へ志望変更しそうだ。
●愛知県立大
 全学の志願者増減(18年11%減→19年14%増)の揺れ戻しから、外国語【前】【後】・教育福祉【後】・看護【後】で志願者減、日本文化【前】・情報科学【前】で志願者増が見込まれる。
●名古屋市立大
 前年の反動から、経済【前】・人文社会【前】・芸術工【後】・看護【前】・総合生命理【後】で志願者減、医【前】・薬【中】・人文社会【後】で志願者増が見込まれる。
 
 この他、前年の反動から、名古屋工業大‐工1部【前】、石川県立大‐生物資源環境【前】【後】、岐阜県立看護大【前】などで志願者増が見込まれる。

 

<私立大>

 19年で「志願者減・合格者増」だった中京大・南山大が人気復活しそう。また、志願者増だが合格者を多めに出し、倍率がやや下がった愛知大・名城大も、引き続き人気を集めそうだ。
 愛知大は法・経済・経営・文(心理)・地域政策(食農環境)の一般入試で、数学重視型を新規実施(国語・数学・英語の3科目型)。愛知学院大は、法と、経済・経営・商の1年次を、日進キャンパス(愛知県日進市)から名城公園キャンパス(名古屋市北区)に移転する。中京大は学部を統合(国際英語・国際教養→国際)。また、M方式2教科型の試験日(自由選択制)を3日間(1/30~2/1)→2日間(1/30・31)に短縮する一方、一般後期の試験日を「1日(3/7)→2日間(3/7・8)」に増やし、自由選択制を導入する。中部大はセ試C方式前期で2教科型を、同後期で2教科型・5教科型を新規実施。藤田医科大は出願を「締切日必着→消印有効」に変更。名城大は都市情報・外国語・人間で、セ試C方式前期に5教科5科目型を追加する。

 
 

【関西】
大阪大・大阪市立大・立命館大が志願者増、京都大・滋賀大・兵庫県立大・甲南大は志願者減か。
 
<国公立大>

●滋賀大
 前年の反動から、経済[昼]【前】【後】・経済[夜]【前】・教育【後】・データサイエンス【前】【後】で志願者減、教育【前】でやや志願者増が見込まれる。データサイエンス【前】【後】の場合、新設予定(申請中)の福知山公立大‐情報【前】【後】の影響も想定される。また、教育【前】には奈良教育大【前】から流入しそうだ。
●滋賀医科大
 医(医)【前】で募集人員減(75人→60人:推薦枠拡大)、さらに医(医・看護)【前】で2段階選抜の予告倍率を「約7倍→約4倍」に引き締めることもあり、医(医・看護)【前】ともに志願者減が見込まれる。医(医)【前】からは、奈良県立医科大‐医(医)【前】などへの志望変更が想定される。
●京都大
 積極的な広報活動もあり、首都圏の難関大志望者の注目度が高まっている模様。ただし、“超安全志向”で難関校を敬遠する傾向から、全体的にはやや志願者減か。前年の反動もあり、法【後】・理【前】で志願者減、総合人間【前】・薬【前】・工【前】で志願者増が見込まれる。
●大阪大
 医(医)【前】で、2段階選抜の予告倍率・ラインを「セ試900点中720点→630点、募集人員の約2.6倍→約3倍」に緩和。また、2次の数学・理科・英語の配点を各200点→500点にアップし、セ試・2次の配点比率を「500点:600点→500点:1500点」と、さらに2次重視(55%→75%)に変更した。セ試で目標得点を取れず、2次逆転を狙う受験生の人気を集めると見られ、京都大‐医(医)【前】から志望変更がありそうだ。
 この他、前年の反動から、文【前】・外国語【前】・歯【前】・工【前】で志願者増が、法【前】・経済【前】・理【前】・薬【前】で志願者減が見込まれる。
 なお、19年の世界適塾入試(推薦・AO)では、合格者が募集人員の6割に満たず、不足分を前期に上乗せしたため、外国語【前】・経済【前】・理【前】・工【前】で、合格者数が募集人員を大幅に上回った。この現象は20年も想定され、意外な倍率ダウンもありうるので要注意だ。
●神戸大
 前年の反動から、国際人間科学【後】・経営【前】・理【後】・農【後】・医(保健)【後】・海事科学【後】で志願者増、文【後】・経済【前】・理【前】・医(保健)【前】・工【前】・海事科学【前】で志願者減が見込まれる。
●兵庫教育大
 前年の反動から、学校教育【前】【後】ともに志願者減が見込まれる。
 例年、鳴門教育大との間で志願者増減を繰り返しており、前年に志願者減の鳴門教育大‐学校教育【前】【後】への志望変更が増えそうだ。
●奈良女子大
 前年の反動から、文【後】・理【後】で志願者増、生活環境【前】【後】で志願者減が見込まれる。ただし、生活環境【前】【後】では食物栄養学科のセ試で「地歴・公民2科目利用型」を新規実施するため、志願者減は小幅に留まりそうだ。
●和歌山大
 前年の反動から、経済【前】・システム工【前】では志願者増、経済【後】・システム工【後】・観光【後】では志願者減が見込まれる。
●滋賀県立大
 前年の反動から、工【前】【後】・人間看護【前】で志願者増、環境科学【後】・人間看護【後】は志願者減が見込まれる。
●京都府立大
 前年の反動から、公共政策【前】・生命環境【後】で志願者増、文【前】【後】・公共政策【後】で志願者減が見込まれる。
●福知山公立大
 「情報学部」を増設予定(認可申請中)。募集人員は、前期55人(5教科型40人・3教科型15人)・後期10人。前期は学外試験場を大阪に設置予定。近年人気の高い分野であり、私立型の方式も用意するため、幅広く志願者を集めそうだ。認可された場合、滋賀大‐データサイエンス【前】【後】、兵庫県立大‐社会情報科学【前】にも影響を及ぼしそうだ。
 一方、地域経営【前】【後】は、地域経営学科の募集人員減(前期50人→41人、後期10人→7人)のため、やや志願者減が見込まれる。
●大阪市立大
 前年の反動から、法【後】・文【後】・理【前】・工【後】・医(医)【前】・医(看護)【前】で志願者増が見込まれる。理は定員増(148人→160人)に伴う募集人員増(前期104人→111人、後期27人→32人)も、前期は増加の要因となりそうだ。また、医(医)【前】は募集人員減(80人→75人:大阪府指定医療枠5人を廃止)のため、難化は必至だ。
 一方、やはり前年の反動から、商【後】・経済【後】・文【前】・工【前】で志願者減が見込まれる。
 なお、大阪府立大との統合計画(22年予定)も、志願動向に微妙に影響しそうだ。
●大阪府立大
 前年の反動から、現代システム科学域【前】【後】・地域保健学域【前】で志願者減、生命環境科学域【後】で志願者増が見込まれる。また、工学域【中】は理工系の貴重な併願先として、「後がない」意識から併願が増えそうだ。
●兵庫県立大
 19年に経済・経営を「国際商経・社会情報科学」の2学部に再編成。2年目を迎え、認知度が高まったものと見られる。
 社会情報科学【中】は、近年人気の高い分野であり、併願に貴重な中期のため、前年同様、高倍率の激戦となりそう。同【前】は、初年度は比較的低倍率だったため、反動で志願者増が見込まれる。一方、国際商経【前】【後】は、2段階選抜の予告と、コースにより英語外部検定を出願資格としていることが敬遠材料となり、志願者は前年並みに留まりそうだ。
 前年の反動から、環境人間【前】・看護【後】で志願者減が見込まれる。看護【後】は2次から小論文を除外し、面接を点数化したことも敬遠材料となりそう。この他、理【中】は併願に貴重な中期であり、2段階選抜も予告していないため、やや志願者増が見込まれる。
●奈良県立医科大
 医(医)【前】は滋賀医科大‐医(医)【前】の募集人員大幅減、医(医)【後】は鳥取大‐医(医)の後期募集停止が影響し、医(看護)【前】は募集人員増(45人→50人。うち、一般枠35人→40人)のため、いずれも志願者増が見込まれる。
 
 この他、前年の反動から、京都工芸繊維大‐工芸科学[昼]【前】【後】で志願者増、京都教育大‐教育【後】、大阪教育大‐教育【前】【後】、神戸市外国語大‐外国語【前】【後】、神戸市看護大‐看護【前】【後】などで志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 “超安全志向”から、難易度の高い「関関同立」を敬遠し、中堅上位の「産近甲龍」、さらに「摂神追桃」など中堅校を第1志望とする、または併願を増やす傾向が、19年以上に強まりそうだ。
 20年は入試科目の変更や新方式の実施などが前年より少ない「波静かな入試」だ。一方、19年から定員規模の大きな大学では、定員超過率の制限が固定され、合格者絞り込みは緩和されたが、志願者が急増した中堅クラスでは、推薦・AO入試の志願者増の影響で、一般入試の募集枠が圧迫され、合格者を絞らざるを得ない状況も見られた。こうした前年の倍率の極端な変化が、反動となって現れる可能性がある。
 19年に「志願者減・合格者増」で倍率ダウンが顕著だった、立命館大(志願者4%減に対し合格者10%増)、佛教大(志願者10%減に対し合格者21%増)などは狙われる可能性がある。一方、「志願者増・合格者減」で倍率アップした甲南大(志願者16%増に対し合格者3%減)、神戸学院大(志願者39%増に対し合格者21%減)などは警戒される可能性が高い。
 また、京都産業大・龍谷大・近畿大・摂南大などの大規模な公募推薦に志願者が殺到し、激戦化した場合、18~19年と同様、3月まで「難化の連鎖」が続くものと見られる。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●立命館大
 スポーツ健康科学・食マネジメントの一般入試で理系型3教科入試を新規実施し、スポーツ健康科学で理科1科目入試を廃止。また、グローバル教養では「セ試+面接」方式を廃止し、一般入試を全廃する。
●龍谷大
 理工を「先端理工学部」に改組。全学で4,913人→5,154人に定員増(241人増:5%増)を行う。政策のセ試利用で「3科目一般入試併用型」と中期3科目型・後期3教科型(セ試のみで判定)を新規実施。先端理工のセ試利用で「3教科一般入試併用型」を新規実施。
 農では独自入試とセ試利用入試を変更。一般A・B日程の農学型をスタンダード・高得点科目重視の2方式に分割、C日程に高得点科目重視方式を導入。また、セ試前期を4教科型→3科目型に軽減、セ試中期に「3科目一般入試併用型」を追加する。
●追手門学院大
 2学部で定員増を予定(地域創造150人→230人、社会230人→350人)。セ試利用入試の受験料を減額(1万5千円→1万円)。一般前・後期で英語外部検定を新規利用する(得点換算)。一般前期で英・国総合型を新規実施し、3教科型高得点2科目方式を「3教科型高得点科目重視方式」に変更(判定科目数を2→3に)。一般後期を「英国総合型→2教科型」に変更する。
●関西大
 法では、学部個別日程で英語外部試験利用方式を新規実施(出願資格。英語以外の2科目で判定)、セ試前期に3科目型を追加、セ試中期(併用型)でセ試を4(5)科目→2科目に軽減する。社会安全のセ試後期を4(5)科目→2科目に軽減。システム理工のセ試前期を5→4科目に軽減、セ試後期で英語外部試験利用方式(出願資格)と3科目型(数学科のみ。英語と数学2科目)を導入。環境都市工のセ試前期で6→5科目に軽減し、セ試後期に4科目型を導入する。
●関西医科大
 医でセ試利用後期を新規実施。また、看護のセ試利用入試で、個別試験(小論文)を廃止。
●近畿大
 建築のセ試C方式中期で4→3科目に軽減する。また、国際の一般A日程で英語外部検定利用を新規導入する。
●関西学院大
 理工で新方式を複数導入。セ試1月出願で5科目型(理科1科目選択)を、セ試3月出願で4科目型を新規実施。一般入試で関学数学併用型(全学科共通)を新規実施。セ試2科目と独自入試の数学を課す。
 
 同志社女子大は薬・生活科学(食物栄養科学)の一般入試で、セ試併用方式(独自・セ試併用)を導入。大阪医科大‐医の一般前期で「研究医枠」を廃止。摂南大で農学部を増設する。
 神戸学院大の一般後期で調査書併用型を導入(2科目に調査書点数化を加えて合否判定)。甲南大で入試前予約型給付奨学金を新設。甲南女子大で国際学部を増設。武庫川女子大で経営・建築・食物栄養科学の3学部を増設。兵庫医科大‐医の一般入試で名古屋会場を廃止し、調査書・面接を新たに得点化する。

 
 

【中国・四国】
島根大・山口大・香川大が志願者増、広島大・高知大や全学的改組の県立広島大が志願者減か。
 
<国公立大>

●鳥取大
 医(医)で後期を募集停止、前期を募集人員増(65人→79人)。医(医)【前】は前年の反動もあり、志願者増は必至。島根大‐医(医)【前】、岡山大‐医(医)【前】から志望変更がありそうだ。また、後期の併願先を、山口大‐医(医)【後】、奈良県立医科大‐医(医)【後】などへ求めそうだ。この他、前年の反動から、地域【後】・医(生命科学)【前】・工【後】で志願者増が、医(生命科学)【後】・医(保健)【前】・工【前】・農【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●島根大
 19年は全学で志願者25%減。その反動から、法文【前】【後】・教育【後】・人間科学【前】【後】・総合理工【後】・生物資源科学【後】で志願者増が、教育【前】・医(看護)【前】で志願者減が見込まれる。また、医(医)【前】は募集人員減(62人→58人)もあり、鳥取大‐医(医)【前】への志望変更がありそうだ。
●岡山大
 前年の反動から、教育【前】・経済[夜]【後】・理【後】・医(医)【前】・医(保健)【後】・歯【後】・農【前】で志願者減、法[昼]【後】・歯【前】・薬【前】【後】・工【前】【後】で志願者増が見込まれる。医(医)【前】は募集人員減(98人→95人)も敬遠材料となりそうだ。
●広島大
 医(医)で後期を募集停止。すでに、19年に募集枠を大幅縮小(20人→5人)したため、影響は小さいとみられるが、それでも学内併願先が失われるため、山口大‐医(医)【後】、香川大‐医(医)【後】、愛媛大‐医(医)【後】への併願が増えそうだ。
 この他、前年の反動から、文【前】・教育【後】・法[夜]【前】・経済[昼]【前】・医(保健)【前】・工【後】・生物生産【前】・情報科学【後】で志願者増、総合科学【前】【後】・法[昼]【後】・法[夜]【後】・経済[夜]【前】【後】・理【前】・歯【前】【後】・薬【前】・生物生産【後】で志願者減が見込まれる。
 また、医(医)【前】は九州大‐医(医)からの志望変更が予想され、前年の反動を相殺し、志願者はほぼ前年並みと見られる。
●山口大
 医(医)で前期を募集人員減(60人→55人)、後期に地域枠を新設。前期は前年の反動や、九州大‐医(医)【前】からの志望変更などで志願者大幅増が見込まれ、後期は鳥取大‐医(医)、広島大‐医(医)の後期募集停止の影響で、他医学部からの併願が集中し、超高倍率の激戦となろう。
 この他、前年の反動から、人文【前】・教育【前】・国際総合科学【前】・理【後】・医(保健)【後】・農【前】・共同獣医【前】で志願者増、国際総合科学【後】・経済【前】【後】・理【前】・医(保健)【前】・工【前】【後】・共同獣医【後】で志願者減が見込まれる。農【前】は、2次の負担減(数学・理科必須→「数学・理科から1選択」)も志願者増の要因となりそうだ。
●徳島大
 理工[昼]【前】は募集人員増(287人→304人:推薦枠縮小)、歯【前】【後】は歯学科の募集人員増減(前期20人→24人、後期10人→6人)が、そのまま志願者増減に結びつきそうだ。また、前年の反動から、医(保健)【前】・理工[昼]【後】で志願者増が、医(医)【前】・医(医科栄養)【後】・医(保健)【後】・薬【後】・理工[夜]【前】で志願者減が見込まれる。
●香川大
 前年の反動から、法[昼]【前】【後】・医(看護)【前】・創造工【前】【後】・農【前】で志願者増、教育【前】【後】・経済[昼]【前】【後】・医(医)【前】・医(臨床心理)【前】で志願者減の見込み。また、医(医)【後】は鳥取大‐医(医)、広島大‐医(医)の後期募集停止の影響で併願増が見込まれ、高倍率の激戦となりそうだ。
●愛媛大
 教育(中等=音楽・美術)で前期募集停止(AOに移行)。また、教育【前】で2次を「小論文→グループディスカッション」に変更。さらに教育【前】【後】の2次で、合否判定に調査書・活動報告書を追加(グループディスカッションまたは面接に含めて評価)。こうした変更が敬遠材料となり、前年の反動もあり、前期で志願者大幅減、後期でやや志願者増が見込まれる。
 一方、医(医)【後】は鳥取大‐医(医)、広島大‐医(医)の後期募集停止で併願増が見込まれ、高倍率の激戦となりそうだ。
 この他、前年の反動から、法文[昼・夜]【前】【後】・社会共創【前】・理【後】・医(医)【前】・農【前】で志願者減、医(看護)【前】・工【後】で志願者増が予想される。
●高知大
 志願者増減(17年22%増→18年32%減→19年18%増)の揺れ戻しから、人文社会科学【前】【後】・理工【前】【後】・医(看護)【前】【後】・農林海洋科学【前】【後】で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、教育【前】・医(医)【前】・地域協働【前】で志願者増が見込まれる。
●県立広島大
 全学的な規模縮小を伴う改組を実施。人間文化・経営情報の2学部を「地域創生学部」に統合・改組し、定員減(220人→200人)。一般入試の募集人員を「前期123人→85人、後期40人→32人」に削減(前年の2学部合計との比較)。前期は志願者大幅減、後期もやや減少が見込まれる。また、生命環境(生命科学・環境科学の2学科)を「生物資源科学部(地域資源開発学科、生命環境学科)」に改組し、定員減(165人→140人)。一般入試の募集人員を「前期86人→60人、後期34人→20人」に削減。前・後期とも志願者大幅減は必至。島根大‐生物資源科学【後】、香川大‐農【前】、尾道市立大‐経済情報【後】、福山市立大‐都市経営【前】【後】など、周囲の同系統へ志望者が流出しそうだ。
 この他、保健福祉でも「5学科→1学科(5コース)」に統合・改組し、後期を募集人員減(33人→25人)。前年の反動もあり、前・後期とも志願者減が見込まれる。
●山陽小野田市立山口東京理科大
 前年の志願者大幅減の反動に加え、松江に学外試験場を増設することもあり、工【前】【中】・薬【中】のいずれも志願者増が見込まれる。
●高知工科大
 前年の反動から、環境理工【前】・情報【前】【後】・経済マネジメント【後】で志願者増、システム工【後】で志願者減が見込まれる。また、環境理工【後】は募集人員減(20人→15人)、セ試のみで判定する方式の廃止が志願者減に影響しそうだ。
 
 この他、前年の反動から、公立鳥取環境大‐環境【後】・経営【前】、岡山県立大‐情報工【前】・保健福祉【前】・デザイン【前】、広島市立大‐国際【前】【後】、下関市立大‐経済【中】、山口県立大‐国際文化【前】・社会福祉【後】・看護栄養【前】【後】、高知県立大‐看護【後】・社会福祉【前】で志願者増が見込まれる。
 一方、公立鳥取環境大‐環境【前】、岡山県立大‐保健福祉【後】、広島市立大‐情報科学【前】【後】・芸術【前】【後】、山口県立大‐社会福祉【前】、高知県立大‐文化【前】【後】・看護【前】・社会福祉【後】・健康栄養【前】で志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 広島修道大は、前年の難化(志願者11%増、合格者1%減)の反動が見込まれるが、人間環境は負担減(前期C日程を3→2教科に/前期D日程で英語を「必須→選択」に/セ試前・後期、セ試併用型で国語から古文・漢文を除外)が人気を集めそう。その他の変動要因としては、岡山理科大の一般SA・SAB・SB方式(獣医‐獣医を除く)における指定科目重視型(傾斜配点)の追加、広島国際大の全学的改組(医療福祉・医療経営・心理・医療栄養の4学部を健康科学部に統合し、健康スポーツ学部を新設)が、地区内の志望動向に影響を及ぼしそうだ。

 
 

【九州】
佐賀大・長崎大・福岡大が志願者増、熊本大・大分大・宮崎大・鹿児島大が志願者減か。
 
<国公立大>

●九州大
 芸術工を「5→1学科(5コース)」に統合・改組。前期で、コース別募集とは別に「学科一括入試」(大括り募集)を新規実施する。同入試では、入学後に複数分野を学び、コースを選択するため、専門を決めかねる受験生の人気を集めるものとみられ、やや志願者増か。
 一方、医(医)【前】は、2段階選抜の予告倍率を「約4倍→約2.5倍」に引き締め、2次に面接を追加。歯【前】も面接を追加する。いずれも敬遠材料となり、前年の反動もあり、志願者大幅減が見込まれる。医(医)【前】は山口大‐医(医)【前】、長崎大‐医(医)【前】への志望変更がありそうだ。
 この他、前年の反動から、法【前】【後】・医(保健)【前】・薬【前】で志願者増、文【後】・教育【前】・理【前】・農【前】で志願者減が見込まれる。
●佐賀大
 前年の反動から、教育【前】【後】・医(医)【後】・医(看護)【前】・理工【後】・農【後】で志願者増、理工【前】・芸術地域デザイン【後】・経済【前】で志願者減が見込まれる。ただし、理工・農は特色加点(探究活動、課外活動、資格・検定等の実績などについて加点する制度。申請書提出は任意)が、学科試験以外の判定要素として敬遠材料となりそうだ。
●長崎大
 情報データ科学部を増設。募集人員は【前】70人・【後】15人で、選抜方法は前期が「セ試=5教科7科目、2次=数学・理科・英語」、後期が「セ試=3教科5科目、2次=数学」。人気分野だけに、多くの志願者を集めそう。ただし、工(情報工学)を移行して新設するので、その分、工【前】は募集人員減(263人→221人)。志願者減の要因となるが、難易レベルは前年並みになると見られる。
 教育で定員減(240人→180人)。中学校教育コースで音楽・美術・技術・家庭の4専攻を募集停止し、専攻別募集(10専攻)→系別募集(文系・理系・実技系)に変更する。前年の反動もあり、前・後期とも志願者大幅減は必至だ。
 この他、前年の反動から、経済[昼]【後】・医(医)【前】・薬【後】・環境科学【後】・水産【前】【後】で志願者増、多文化社会【前】【後】・医(保健)【前】【後】・歯【前】で志願者減が見込まれる。また、歯【後】で2段階選抜を新規実施(予告倍率=約20倍)し、2次を総合問題→小論文に変更。敬遠材料となり、前年の大幅減の反動を相殺、やや志願者減か。
●熊本大
 医(医)は臨時定員増が期限を迎え、定員減(115人→110人)。前期は募集人員減(95人→90人)、前年の反動もあり、志願者減は必至。長崎大‐医(医)【前】への志望変更がありそうだ。
 この他、前年の反動から、文【後】・法【後】・工【前】で志願者増、文【前】・教育【前】・法【前】・理【前】・医(保健)【前】・薬【前】・工【後】で志願者減が見込まれる。
●大分大
 全学の志願者は「18年20%減→19年33%増」と乱高下。20年は隔年現象による反動から、教育【前】【後】・医(看護)【前】【後】・理工【前】【後】で志願者減が見込まれる。
 教育【前】【後】からは佐賀大‐教育【前】【後】、福岡教育大‐教育【後】へ、理工【前】【後】からは新設予定の長崎大‐情報データ科学【前】【後】へ、医(看護)【前】からは佐賀大‐医(看護)【前】へ志望変更がありそうだ。
 一方、やはり前年の反動から、経済【前】【後】・医(医)【前】で志願者増が予想される。経済【前】には佐賀大‐経済【前】から、医(医)【前】は宮崎大‐医(医)【前】から志望変更がありそうだ。
●宮崎大
 前年の反動から、医(医)【前】・医(看護)【前】・工【後】・農【前】【後】・地域資源創成【後】で志願者減が、教育【前】・医(看護)【後】・工【前】で志願者増が見込まれる。教育【前】の場合、募集人員大幅減の鹿児島大‐教育【前】から志望変更がありそうだ。
●鹿児島大
 全学的な改組を実施。教育で定員減(215人→190人)、2→1課程に統合。理を「4→1学科(5プログラムで構成)」に統合・改組。工で建築以外の6学科を「先進工学科」に統合・改組(6プログラムで構成)する。
 教育【前】【後】は、中等教育(音楽・保健体育)の後期募集停止を含め、募集人員減(前期162人→124人、後期33人→24人)。2次負担増(面接を追加)もあり、志願者大幅減は必至だ。
 理【後】で「大括り入試」を新規実施(前期はプログラム別募集)、2年次進級時に配属プログラムを決定する。工(先進工)【前】もプログラム別募集と別に「括り枠」を新設、同枠の入学者は1年次後期に配属プログラムを決定する。いずれも、受験前に専門を決めかねる受験生の人気を集めるものと見られる。
 医(保健)は看護学専攻で後期募集停止、併願先には宮崎大‐医(看護)【後】が増えそうだ。
 この他、前年の反動から、理【前】・工【後】・医(保健)【前】・歯【前】・農【前】・水産【前】【後】・共同獣医【後】で志願者増、医(医)【前】【後】・歯【後】・共同獣医【前】で志願者減が見込まれる。
 なお、全学の前・後期で、セ試の英語外部検定利用の基準を変更。従来の「見なし満点」に「セ試の英語(筆記、リスニング)8割以上」の条件を加え、かつ基準未満の場合は一定率を加点するよう複雑化したため、メリットが薄まった感があり、利用者減につながりそうだ。
●琉球大
 前年の反動から、人文社会【前】【後】・国際地域創造[昼]【前】【後】・教育【前】【後】・理【前】・医(医)【前】・工【後】で志願者増が見込まれる。国際地域創造[昼]【後】は募集人員増(35人→44人)も人気材料となりそう。この他、医(医)【後】では2段階選抜の予告倍率緩和(約5倍→約10倍)が志願者増の要因となりそうだ。一方、やはり前年の反動から、国際地域創造[夜]【後】・教育【前】【後】・理【後】・工【前】・農【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●北九州市立大
 全学の志願者増減(17年17%増→18年8%減→19年11%増)の揺れ戻しから、外国語【前】【後】・法【前】【後】で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、文【後】・国際環境工【前】【後】で志願者増が見込まれる。国際環境工【前】は九州工業大‐情報工【前】から流入しそうだ。
●長崎県立大
 前年の反動から、地域創造【前】【後】・国際社会【前】【後】・看護栄養【前】【後】で志願者減が、経営【前】・情報システム【前】で志願者増が見込まれる。
●熊本県立大
 前年の反動から、文【後】・環境共生【後】・総合管理【前】【後】で志願者増が、文【前】・環境共生【前】で志願者減が見込まれる。

 

<私立大>

 国公立大受験者層が、西南学院大・福岡大、さらに九州産業大などの併願を増やすものとみられる。西南学院大は学部改組(文→外国語)や北九州会場の増設、福岡大は入学前予約型給付奨学金の対象に一般後期を追加したことも、志願者増に 結び付きそう。ただし、西南学院大は前年の合格者絞り込み(志願者4%増・合格者2%減)のため、小幅な増加に留まりそうだ。
 この他、久留米大(文系5学部の一般前期を4→3日程に短縮/医‐医で福岡県特別枠を一般入試から推薦へ移行)、国際医療福祉大(福岡薬学部を増設)、中村学園大(一般入試でB方式を新規実施し、後期を廃止/セ試利用入試で英語外部検定の利用方法を「見なし得点→加点」に変更)、福岡歯科大(セ試利用3期を新規実施)、熊本学園大(セ試利用A日程で新たに2学科まで同時併願可能に)などが、おもな変動要因として注目される。 

 

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2019年11月号)」より転載いたしました。

 

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