全体に入試の変更点は少なめ、定員増は前年のほぼ3分の1!
私立大の入試ガイドがほぼ出そろった。インターネット出願の導入や英語外部検定利用など、私立大入試(おもに主要校の一般入試)のどこが変わるのか、どのような大学・学部・学科が新設されるかを紹介する。
※この記事は『螢雪時代・2018年9月号』の特集より一部改変のうえ、転載いたしました。
人気校の変更点を総まとめ!
工学院大・東京電機大・日本女子大の一般入試で英語外部検定を新規利用
全国のおもな私立大の入試変更点で、志望動向に影響しそうなものを一挙に掲載した。2021年の「入試改革」を2年後に控え、入試の変更点は前年までに比べて少なめだ。その中で、英語外部検定を利用する方式の導入が相次いでいる。また、日本医科大・関西医科大など、医学部における変更の多さも注目される。
志望校の入試のしくみを把握し、的確でムダのない受験対策を!
『螢雪時代』編集部では、全国の大学から2019年(以下、19年。他年度も同様)入試の概要(科目・配点、募集人員、日程など)を掲載した「入試ガイド」を集めた。
私立大入試のしくみは、毎年のように変更される。ここでは、おもに全国各地区で志願者数の比較的多い大学の入試ガイドから、18年に比べ変更され、志望動向に影響しそうなポイントを、独自入試、センター試験(以下、セ試)利用入試を中心に紹介する。
『螢雪時代』9月号付録『2019年 全国私立大学 入試科目・配点一覧』とあわせ、志望校の入試情報をしっかりつかみ、得意科目を最大限に生かせる、効率的な受験対策や併願作戦をたてよう。そして、くわしくは各大学の入試ガイドや募集要項を必ず取り寄せ、確認してほしい。
日本医科大など、医学部で一般入試の変更が目立つ
(1)21年「入試改革」を控え変更点は少なめ
19年度は2年後に「入試改革」を控える。セ試が廃止され、その代わりに記述式問題を含む「大学入学共通テスト」が導入され、主体性の評価、英語4技能の評価など、その他の入試のあり方も大きく変わる。各大学では、大幅な入試の変更は2年前に公表しなければならず、そちらに注力せざるを得ない状況だ。
そのため19年入試では、前年までと比べ、一般入試の方式や科目等の変更は全体的に少ない。その中で英語外部検定利用の導入・拡大や小論文・面接の導入が目立つ。
(2)東京23区内の定員増や増設が不可に
大都市圏の大学に対して、補助金の不交付措置がとられる入学定員超過率のラインは、大規模校(収容定員8千人以上)で1.10倍、中規模校(同4千人~8千人)で1.20倍と、厳しい水準のまま固定される。さらに19年度から、東京23区内に立地する大学については、定員増や学部等増設の申請が、今後10年間不可とされた。
このためか、19年度の学部・学科の増設や定員増の申請は、前年と比べ規模が小さい。
東京23区内の難関~中堅上位校は軒並み難化が見込まれ、一方で首都圏のその他の地域や京阪神の大学への併願増も予想されるため、大きな変動要因となりそうだ。
(3)インターネット出願
インターネット出願(以下、ネット出願)の実施校は、18年に私立大の6割を超えた。しかも、大規模校を中心に、主だった大学のほとんどが全面移行(紙の願書を廃止)した。
19年入試でネット出願を新規導入する私立大は、18年に続き中~小規模校だ。女子栄養大・聖マリアンナ医科大・金沢医科大・大阪医科大・産業医科大など十数校でネット出願を導入(対象となる入試や、全面移行か紙の願書と併用するかは各大学で異なる)。既にネット出願を実施している大学では、大妻女子大などが全面移行(一部方式を除く)し、紙の願書を廃止する。
(4)英語外部検定利用
各大学で“グローバル人材”育成が重視される中、実践的な英語運用能力を持つ入学者の確保へ向け、従来の入試方式の中で、独自試験やセ試の英語の代わりに、4技能(読む、聞く、書く、話す)を測定できる「英語外部検定試験」を利用する方式の導入や拡大が続いている。
工学院大・玉川大・東京電機大(工2部以外)や日本女子大‐人間社会が「指定の基準以上で出願可。あとは英語以外の科目で合否判定(玉川大は小論文・口述試験)」する方式を新規実施。また、日本大‐経済や金城学院大などで「指定基準に達すれば、英語を満点、またはレベルに応じた得点に換算し、他科目と合算」する方式を導入する。既実施校では、西南学院大が独自入試で英語外部検定を利用する方式(出願資格として利用。ただし、スコアによって加点)を追加する(従来はセ試利用入試で利用)。
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この他には、次のような特徴がみられる。
(5)推薦・AO入試では、玉川大(文・教育・芸術・工・農で「首都圏教員養成AO型入学審査」を導入)、早稲田大‐教育(自己推薦を廃止、指定校推薦を導入)、近畿大(文系6学部の公募推薦で英語外部検定を新規利用)、西南学院大(「総合型選抜」を5学部で導入、公募推薦を4学部で廃止)の事例が注目される。
(6)「英語外部検定利用」以外に、一般入試で目立った変更は少ない。その中で、杏林大・日本医科大・愛知医科大・関西医科大など、医学部における入試複線化や日程変更が目立つ。
(7)ここ数年と同様、学内併願時の受験料割引や奨学金制度の拡充が目立つ。特に、近畿大の入学前予約型給付奨学金の新設が注目される。
●変更点一覧の見方
文中、センター試験は「セ試」、インターネット出願は「ネット出願」と略。学部・学科名は原則として略称とし、例えば「医(看護)」のように記載。入試方式・日程等も略称とし(例:一般入試前期日程→一般前期、セ試利用入試前期→セ試前期)、変更点は「18年→19年」で表記した。また、誌面の都合上、学科単位の変更や、ほぼ変更のない大学については、原則として割愛した。
◎英語外部検定利用の表記について
出願資格=大学(学部・学科)が指定する基準(スコア・級)をクリアすれば出願でき、あとは英語以外の科目を受験し、その得点で合否が決まる(単に出願資格の場合もある)。
得点換算=大学(学部・学科)が指定する基準(スコア・級)をクリアすれば、英語を満点(または一定の得点)と見なして換算する。その他の入試科目の得点と合算し、合否を判定。
加点=スコアや級ごとに設定された得点に換算し、満点を超えない範囲で合計点に加える。セ試や大学独自で実施する英語の受験が必要。
北海道・東北~関東・甲信越
立教大のセ試利用入試で、6科目型を追加、4科目型を廃止
●北海学園大
経営の一般入試で英語外部検定利用が可能に(得点換算)。
●北海道科学大
全学部のセ試利用入試で英語外部検定利用が可能に(加点)。
●岩手医科大
①薬の一般前・後期に面接を追加し、札幌・大阪の2会場を廃止。/②医の一般入試の2次で大阪会場を増設する。
●東北医科薬科大
医の一般入試の1次で大阪会場を増設する。
●日本赤十字秋田看護大
看護で一般入試を新規実施(従来はセ試利用入試のみ実施)。国語・英語の2科目を課す。
●獨協医科大
①看護の一般A日程で「小論文→国語」に変更し、数学・理科を「各必須→1科目選択」に軽減する。/②看護の一般B日程も「小論文→面接」に変更する。
●女子栄養大
①全入試でネット出願を導入し、紙の願書を廃止する。/②栄養の一般3期で英語が「必須→選択」となる。
●獨協大
①経済で「セ試利用英語資格入試」を新規実施(出願資格。セ試中期と同時期)し、一般A方式の「外部検定試験活用型」を廃止。/②外国語・国際教養・法で、独自・セ試併用の「C方式セ試併用型」を新規実施する。
●青山学院大
①「コミュニティ人間科学部」を、相模原キャンパス(神奈川県相模原市)に開設する予定。/②文(英米文)の個別学部日程C方式で、出願資格の英語外部検定(TEAP)のスコアを、新たに得点換算化する。/③経済の個別学部日程B方式で、英語外部検定利用と国語を廃止、「大学独自の英語と数学の2科目」に変更し、募集人員を増加する(15人→45人)。
●桜美林大
①東京都新宿区にキャンパス新設、ビジネスマネジメント学群を同町田市から移転する予定。/②独自・セ試併用の「セ試プラス前期」を導入。
●大妻女子大
一般入試をネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止する。
●共立女子大
看護・家政(食物栄養)で、一般3月日程を新規実施する。
●杏林大
医で一般後期を新規実施する。
●工学院大
全学部で、一般A日程と同時期に「英語外部試験利用入試」を新規実施(出願資格)。
●順天堂大
①国際教養で定員増(120人→240人)、セ試A・D方式を新規実施。/②医療看護でセ試前期B方式を新規実施する。
●昭和大
①医の一般Ⅰ期で、歯・薬を第2・3志望として同時併願可能にする。/②歯でセ試A方式Ⅱ期を廃止する。
●聖心女子大
文を「現代教養学部」に名称変更予定。
●清泉女子大
①文の一般2月入試・3月入試で英語外部検定利用が可能に(得点換算)。/②一般2月入試が「1科目必須、1科目選択」から「1科目必須、2科目受験し高得点1科目を合否判定に利用」に変更(3科目受験が必須に)。
●聖路加国際大
看護でセ試利用入試(C方式)を新規実施し、一般A方式を「3→2科目」に軽減する。
●大東文化大
出願締切日がセ試本試験日の前か後かによって、全学部のセ試利用前期を「前出願型・後出願型」に分割。後出願型は新規実施で、3・4教科型の2タイプに複線化する(ただし、経営は3教科型、社会は4教科型のみ実施)。
●玉川大
全8学部で「英語外部試験スコア利用入試」を新規実施。TOEIC Programのスコアを出願資格に利用し、書類審査・小論文・口述試験で選抜。
●中央大
「国際情報学部」を新設予定(東京都新宿区)。
●東海大
①文系・理系学部一括入試で、英語外部検定利用が可能に(得点換算)。/②医(医)で神奈川県地域枠入試(セ試利用)を復活し、セ試後期を廃止する。
●東京電機大
①工2部以外の4学部で「一般入試(英語外部試験利用)」を新規実施。/②工の一般入試(前期・後期・英語外部試験利用)で数学満点選抜方式(数学が満点の場合は合格とする)を導入。
●東京都市大
①知識工を「4→3学科」に再編・統合し、定員減(295人→240人)。一方、工を定員増(725人→780人)の予定。/②全学統一入試を廃止し、全学部で一般中期とセ試後期3教科グループディスカッション型を新規実施。
●東京理科大
理2部で、A方式(セ試利用)を3学科共通の2教科2科目から「数学科=2教科3科目、物理学科・化学科=3教科4科目」に負担増。また、B方式(一般)も、物理学科・化学科は「2教科2科目→3教科3科目」に負担増する。
●東京薬科大
生命科学でセ試A方式2期を新規実施する。
●日本大
①経済の一般A方式1・2期で、英語外部検定利用が可能に(得点換算。学部独自の英語と高得点の方を利用)。/②生物資源科学(森林資源科学・生物環境工・国際地域開発)がN方式2期を新規実施。/③生物資源科学で学外試験場を「A方式1期=6→16、同2期=1→16」に増設。/④N方式1期で高崎・湘南の2会場を増設。/⑤文理(英文)でセ試C方式2期を新規実施。
●日本医科大
医の一般後期で「セ試(国語)併用型」を新規実施(募集10人)し、一般前期を募集人員減(100人→90人)。
●日本獣医生命科学大
①獣医(獣医保健看護)のセ試利用第1回を「4→3科目」に軽減(国語を除外)。/②獣医(獣医保健看護)・応用生命科学の一般入試で、セ試併用方式を新規実施する。
●日本女子大
①人間社会で「英語外部試験利用型一般入試」を新規実施。一般入試と同日実施で同時併願可(出願資格。英語以外の2科目で判定)。/②家政(児童)のセ試前期を4→3教科に軽減(数学が必須→選択に)。
●日本体育大
スポーツ文化・スポーツマネジメント・保健医療の3学部で、セ試利用入試を新規実施する。
●法政大
文・デザイン工で「英語外部試験利用入試」を導入する(T日程と同日実施)。
●武蔵野大
看護のキャンパスを「東京都西東京市→東京都江東区」に移転する予定。
●明治大
経営・国際日本・農・総合数理の全学部統一入試で、英語外部検定利用(4技能)が可能に(得点換算。総合数理は4科目方式)。
●明治学院大
経済(経営)でセ試後期を廃止する。
●立教大
全学部(文‐ドイツ文学を除く)のセ試利用入試で6科目型を新規実施し、4科目型を廃止。ただし、理は従来の4教科型(6科目)を名称変更。
●立正大
全学部入試の一般RisE方式(英語必須の3教科型)を新規実施する。
●早稲田大
教育で指定校推薦の導入に伴い、一般入試の募集人員を削減(700人→560人)する。
●聖マリアンナ医科大
推薦入試・一般入試でネット出願を導入し、紙の願書を廃止する。
北陸・東海~九州
近畿大で入試前予約型の給付奨学金制度を新設
●金沢医科大
推薦入試・一般入試(医はAO入試も)でネット出願を導入し、紙の願書を廃止する。
●金沢工業大
①全学部でセ試中期を新規実施。/②全学部のセ試後期を「4または5科目→3または4科目」に軽減。/③一般入試の募集回数を「3→2」に削減(前期・中期・後期→A・B)する。
●岐阜聖徳学園大
①一般B・C日程を全学部統一試験に変更。/②教育で、独自・セ試併用の「B日程センタープラス方式」を導入する。
●愛知医科大
医でセ試後期を新規実施する。
●金城学院大
①一般前期で「英語外部試験利用型」を新規実施する。/②一般入試をネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止する。
●中京大
①セ試前期・後期で2科目型(工は2教科3科目型)を新規実施。/②法・総合政策のセンタープラス型(独自・セ試併用)に国語型を追加。
●日本赤十字豊田看護大
セ試前期をA・B方式に分割する。
●藤田医科大
医で募集人員を変更(一般前期90人→80人、一般後期・セ試後期合計10人→15人)。
●名城大
経済・経営で、一般A方式とF方式(独自・セ試併用)が新たに同時実施となり、同時併願が可能になった。
●皇學館大
文・現代日本社会で、セ試利用入試(前・中・後期)を2→3科目に負担増。
●京都外国語大
①外国語の一般A日程で3教科型を新規実施。/②全学でセ試C日程を新規実施する。
●京都産業大
文化で一般英語1科目型を廃止する。
●追手門学院大
①一般前期で、数学重視型・地歴公民重視型を導入。/②セ試利用後期を「2→3科目」に負担増。
●大阪医科大
①ネット出願を導入し、紙の願書を廃止。/②医の一般前期で、試験日を繰り下げる(1次=1/25→2/11、2次=2/14→2/20)。
●大阪経済大
前期C方式(セ試利用)で、セ試の英語、簿記・会計、情報関係基礎に、資格保持者優遇制度を新設する(得点換算)。
●大阪薬科大
薬の募集人員を変更(一般A90人→100人、一般B70人→50人、公募推薦80人→90人)。
●関西大
①文の一般後期でセ試併用型小論文方式を新規実施(セ試3科目と小論文を課す)。/②システム理工のセ試前期で5科目型、セ試中期で4科目型を新規実施する。
●関西医科大
①医でセンター・一般併用入試を新規実施。セ試7科目と一般前期(4科目、小論文)の合計で判定。/②看護でセ試利用入試を新規実施し、一般入試に小論文を追加する。
●近畿大
①「入学前予約採用型給付奨学金制度」を新設(採用人数は150人。年額30万円を給付。一般前期A・B日程、一般後期、公募推薦の出願予定者が対象)。/②前期A日程で、理工・建築・薬(創薬科学)・農・生物理工が第1志望の場合、理系学部他学部併願方式(複数学部の同時併願可)を導入。/③理工の前期A日程で、学部内併願方式(複数学科・コースの同時併願可)を導入。/④セ試C方式前期で、農に4教科4科目型・5教科5科目型、生物理工に5教科5科目型、工に4教科4科目型・4教科5科目型を追加する。
●神戸学院大
栄養で一般後期を新規実施する。
●神戸女学院大
一般前期で広島会場を廃止する。
●兵庫医科大
医でセ試利用入試(前・後期)を廃止する。一方で、英語外部検定利用の一般B(高大接続型)を新規実施する。
●兵庫医療大
前期A・B日程で、配点パターンにより、スタンダード型と特定科目重視型(新規実施)の複数判定方式を受けることが可能に。
●武庫川女子大
①「教育学部」を開設予定。文(教育)を改組し、定員増(225人→240人)の予定。/②一般Aの3科目型で、同一配点方式と傾斜配点方式の2タイプを新たに設定する。
●川崎医科大
医の一般入試で岡山県地域枠(募集10人)を新設し、一般枠を60人→50人に削減する。
●川崎医療福祉大
一般後期で基礎学力確認テストを「5教科総合型→3教科総合型(国語・数学・英語)」に軽減。
●広島工業大
セ試利用入試の募集を2→3回に増やす。
●広島国際大
一般入試で「手続期間長期型」(入学手続期限を3/11に一括化)と前期C日程を新規実施。
●九州産業大
全学でセ試中期を新規実施する。
●産業医科大
一般入試でネット出願を導入する。
●西南学院大
一般入試で「英語4技能利用型入試」を新規実施。基準スコアを満たせば、英語を免除し、その他の2科目で合否判定する。また、別途定めるスコアによって加点する(出願資格・加点)。
●久留米大
①医(医)で一般後期を新規実施。/②セ試A・B日程、文系5学部の一般後期で、複数学部・学科(専攻)の同時併願が可能になる。/③セ試利用A・B日程、センタープラス入試(独自・セ試併用)で英語外部検定利用が可能になる(得点換算)。
●福岡大
①人文でセ試Ⅱ期の実施学科増(3→8学科)、これで全学科が導入する。/②工(機械工)で一般後期を新規実施する。
新設大学・学部・学科をチェック!
看護・医療、特に看護の増設が目立つ。専門職大学は8校が開設予定
ここからは、全国の私立大について、19年度に新設予定の大学・学部・学科等(既存の学部・学科の組織改編を含む)を紹介する。看護・医療をはじめ、食物・栄養、教育・保育、国際といった分野の新設が目立つ。前年同時期と比べ、学部・学科増設や定員増の規模が縮小しているのが注目される。
中央大・京都産業大などで、学部増設や改組を予定
私立大における、19年度の新設予定大学、および学部・学科の増設予定(認可申請分)、さらに学部・学科の改組・再編等に伴う増設で、5月末までに文部科学省に「設置届出」があったもの(7月末発表)を、このページ下にリンクした(専門職大学については割愛)。
学問分野や教員組織等を大きく変えないなど、一定の条件を満たす場合に限り、文部科学大臣に届け出れば学部・学科等を増設できる(設置届出)。その他の学部・学科増設や、大学の新設には「認可申請」が必要で、最終的には8月末(専門職大学は9月末)に正式に認可される予定だ。
●大学・専門職大学の新設
4大学が新設予定。うち3大学が看護・医療系の単科校だ。一方、5短大(関東短大・青山学院女子短大・大谷大短大部・芦屋学園短大・環太平洋大短大部)が募集停止を予定している。
また、19年度から「専門職大学」がスタート。全て私立の8校が開設を申請中だ。
●学部・学科増設(設置届出)
5月末までの届出分は、学部等の増設(既設学部の改組を含む)が中央大‐国際経営、京都産業大‐生命科学・国際関係、立命館大‐グローバル教養など19大学25学部等、学科増設が津田塾大‐学芸(多文化・国際協力)など10大学11学部11学科となった。届出は12月まで随時受け付けられるので、今回の掲載分は19年度のごく一部に過ぎない。なお、6月以降の届出分の一部を、変更点一覧に掲載した。
●学部・学科増設(認可申請)
認可申請したのは、学部増設が17大学17学部、学科増設が4大学4学部4学科。今回の申請で、私立大の定員は1,906人増える(新設大学を含む)。さらに、別途申請・認可された定員増(1,092人)と、その後申請された定員増(250人)も加えると、私立大全体の定員は3,248人増える(通信教育課程と編入学定員を除く)。ただし、前年同時期と比べ、定員増の規模はほぼ3分の1に縮小した。
●新設大学・学部・学科の特徴
分野別に見ると、看護・医療系の学部・学科の新増設が、申請・届出を合わせ18大学と多い。しかも看護学部・学科の増設が10大学もある。次いで、食物・栄養、心理、教育・保育、国際といった分野の増設予定も目立つ。
前年同時期に比べ、学部・学科増設、定員増とも規模が縮小している。要因として、①大~中規模大学の定員超過率制限が固定された、②東京23区内の大学は10年間、定員増や新増設が認められなくなった、の2点が挙げられる。
新設大学・学部・学科等の詳細は、案内パンフレットや募集要項などで必ずチェックし、不明の点は入試担当者に問い合わせてほしい。
(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2018年9月号)」より一部改変のうえ、転載いたしました。