《国公立大》一橋大の後期縮小が影響、首都圏準難関校の文系後期が難化か!?
《私立大》定員増でも合格者絞り込みに注意。明治大・同志社大が難化か!?
いよいよ受験勉強も大詰めにさしかかるこの時期、気になるのは志望校や併願校の人気度や難易度だ。ここでは、高校・予備校の進路指導の先生方へのアンケートを中心に、前年の入試結果や学部・学科改組、あるいは定員の増減など、さまざまな変動要因を総合し、国公私立大の難易や人気度がどう変わるのか、2018年の一般入試のゆくえを予測する。
この記事は『螢雪時代・2017年11月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・訂正を施した)
《国公立大》一橋大の後期縮小が影響、首都圏準難関校の文系後期が難化か!? 《私立大》定員増でも合格者絞り込みに注意。明治大・同志社大が難化か!?地区別に志望動向・難易変動を予測する!
・北海道・東北
・関東・甲信越
・北陸・東海
・関西
・中国・四国
・九州
2018年(以下、18年)の大学受験生数はほぼ前年並み、一般入試の志願者数は国公立大が約1%減、私立大が約5%増と予測される。国立大の文系縮小と推薦・AO拡大、公立大で目立つ新増設、私立大の大規模定員増が相俟って、「国立→公立・私立」への志望変更や併願が増えそう。しかし、私立大では定員超過の制限がさらに厳しくなり、難関~中堅上位校は合格者絞り込みで前年に続き難化しそうだ。学部系統別では、経済・社会・国際系など文系の志願者増、医・歯・薬など医療系と教員養成系の志願者減が予想される。
受験生数は前年並み、センター出願者は58万人程度か
文部科学省発表の『平成29年度学校基本調査速報』によると、17年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が、前年比で約1万4千人(2.1%)増加した。18年は、18歳人口が減少(1.5%減)するものの、大学・短大への現役志願率は上昇が見込まれることから、大学受験生数は本誌推定で67万9千人と、前年とほぼ同程度になるとみられる。
センター試験(以下、セ試)の出願者数はどうなるのか。文系も理系も、セ試の理科に対する負担感は変わらないが、国公立大でセ試を課す推薦・AO入試の導入や拡充が目立ち、「私立→公立」化した長野大や、18年新設の長野県立大が、全面的にセ試を利用する入試に移行する。また、私立大でもセ試利用入試を用いた新方式実施が多く、国公立大志望者が私立大の併願を増やす場合、セ試利用入試への依存度は相変わらず高い。さらに、18年は既卒者(浪人)が増加している模様。こうした要素も考慮すると、18年のセ試の出願者数は、17年よりわずかに増える58万人程度と予測する(図1)。
【国公立大】首都大学東京など公立の新増設が影響大、「国立→公立」に流出か!?
18年度のセンター試験は、17年に平均点が大幅ダウンした国語が、その反動でやや易化する一方、平均点がアップした英語、生物基礎、数学Ⅰ・Aなどは、やはり反動で難化が見込まれ、全体の平均点はほぼ前年並みと予想される。得点が伸び悩むため、安全志向が強まりそうだ。
本誌アンケートの先生方の回答を見ると、私立大志向に比べ、国公立大志向の勢いは感じられない。しかも、17年と同様、「国立大=志願者減、公立大=志願者増」となりそうだ。
●国公立大の学部改組の影響
学部増設・改組は、国立大よりむしろ公立大で目立つ(表1)。
最も大規模なのは、首都大学東京の全学的な改組だ。文理融合の都市教養学部を4学部(人文社会・法・経済経営・理)に分割し、都市環境学部を「1→6学科」、システムデザイン学部も「1→5学科」に改編。目指す学部・学科名がわかりやすくなったため、人気を集めるものと見られ、首都圏の台風の目となりそうだ。
この他、公立小松大・長野県立大が新設され、横浜市立大・都留文科大など5大学で学部増設が行われる。さらに諏訪東京理科大が「私立→公立」へ移行する。
一方、国立大では「文系・教員養成系の縮小」と「文理融合型の増設」が続くが、17年より規模は小さい。富山大・広島大・九州大の文理融合学部増設、香川大・琉球大の大規模な改組、埼玉大の定員増減(教育を削減、工を増加)が注目される。また、複数学科を1学科、あるいはより少数に統合する動きも目立つ。
図2は、国立大の入学定員の増減を、学部・学科の新設・廃止や改組等を含め、学問分野別に集計したもの(文部科学省による)。「人文社会」が最も減少し、「工」「農水」「教員養成」も減少する一方、文理融合型学部・学科の新設による「その他」が増加。17年の「文系縮小・理系拡大」とはやや異なる現象といえる。
文理融合型学部・学科は、教育内容や卒業後の進路がすぐにはわかりにくく、従来学部、特に教員養成系学部の縮小に悩む国立大志望者の“受け皿”となりにくいので、新増設が目立つ公立大、さらには定員増が相次ぐ私立大への併願増や志望変更が想定される。しかし、小規模校の多い公立大の収容力を考えると、私立大への流れが強まりそうだ。
このため、国公立大全体の志願者は1%程度減少すると見られる。
●推薦・AOの拡大と一般枠縮小
国公立大一般入試の志願者が減る要因としては、推薦・AO入試の拡大と、一般入試枠の縮小も注目される。一橋大‐経済・法・社会でセ試を課す推薦を導入し、法・社会で後期を募集停止、経済で前期の募集枠を縮小。また、東京医科歯科大が推薦の、弘前大・東北大がAO入試の募集枠を拡大し、一般入試の募集人員を削減する。特に、一橋大の後期縮小で、首都圏の文系難関大志望者は、併願先の選択肢が狭まるため、千葉大・横浜国立大など準難関校の後期に志願者が集中し、難化しそうだ。
筑波大‐医療科学類、金沢大‐経済学類、九州大‐歯、熊本大‐医(保健)なども後期を募集停止。一方、4月から「私立→公立」に移行した長野大と、新設の長野県立大が「前期・中期」で実施。やはり新設の名古屋市立大‐総合生命理が「後期のみ」、山陽小野田市立山口東京理科大‐薬が「中期のみ」で実施する。いずれも志望動向に大きく影響するものとみられる。
●英語・面接重視の変更と「大括り募集」
一般入試では、個別試験(以下、2次)の負担増、しかも英語、小論文、面接を追加する大学・学部が目立つ。
東京大‐理Ⅲの前期で面接を追加。茨城大‐工[昼・夜]の前・後期で英語を追加、同‐教育の前期でも課程・選修により面接や集団行動を追加する。埼玉大‐工の前期は小論文を追加。愛知教育大‐教員養成課程では、前期の2次で学科試験を小論文に変更、後期の2次も課程・専攻により異なっていた選抜方法を面接に変更する。こうした負担増や小論文・面接重視の変更は、敬遠材料となりそうだ。
学部・学科に分けず大括りで募集し、入学後に幅広く学んだ後、所属を決定する方式の導入も見られる。金沢大の後期で、学類別募集とは別に「後期一括入試(文系・理系)」を導入。九州工業大でも、入試時は「学科別→類別募集」に移行(工に5つ、情報工に3つの「類」を設ける)し、「類別入試」を実施する。専門分野を決めかねる受験生の人気を集めそうだ。
●国公立大でもネット出願導入が加速
17年に実施校が過半数を超えた私立大に続き、国公立大でもインターネット出願の導入が本格化。18年一般入試では、国公立42大学(9月末現在。公立化予定の諏訪東京理科大を含む)がネット出願を実施し、全体の約24%に達した。このうち、40大学が全面実施(紙の願書を廃止)する。東京医科歯科大・神戸大・熊本大・首都大学東京など、20大学が新規実施するが、私立大と異なり、ネット出願による利便性向上が志願者増に直結するわけではないので、志望動向への影響は小さそうだ。
【私立大】文系人気と合格者絞り込みで、難関校から中堅校まで難化か!?
それでは、私立大の志望動向はどうか。先生方の回答では、私立大志向が「やや強まる」が多数派となった。
17年入試では、国立大の文系縮小とセ試の得点伸び悩みから、国立文系志望者が私立難関~中堅上位校の併願を増やし、私立大専願者が押し出される形で中堅校への併願を増やした。一方、16年から始まった「定員管理の厳格化」が、17年にさらに厳しくなり、大都市圏の総合大学で志願者増と合格者絞り込みによる実質倍率(受験者数÷合格者数。以下、倍率)アップが目立った(表2)。しかも、定員増を行った大学(表中、☆で表示)まで、合格者を絞り込むケースが多かったのが注目される。
このため「セ試利用入試で、自己採点時にA判定であっても不合格が続出した」という。
●定員増でも合格者を絞り込む!?
18年は、入学定員の超過率はさらに抑制され、補助金が交付されなくなるラインは、大規模校(収容定員8千人以上)で「17年1.14倍→18年1.10倍」、中規模校(同4千人~8千人)で「17年1.24倍→18年1.20倍」となる。
一方、63大学の定員増(6,801人増)が認可された(8月末現在)。特に増加数が多いのは、東北学院大・日本大・明治大・同志社大・福岡大といった、大都市圏や地方主要都市の大規模校(表3)で、倍率アップの緩和を期待し、多くの志願者が集まりそう。しかし、定員増加率ほど合格者を出さないことは、17年入試で実証済み。かえって合格者減による難化もありうるので、要注意だ。
定員増を行わない大学では、難関国立大からの併願が多い慶應義塾大・早稲田大・同志社大・関西学院大などで、合格者絞り込みによる難化が予想される。一方で、17年に定員増を行いながら、志願者減で倍率ダウンした中央大・西南学院大は、かなり人気を集めそうだ。
18年も「国公立から併願増→難関~中堅上位校の難化→私立専願型が中堅校を併願増」という図式は変わらず、17年の難化による既卒者(浪人)の増加もあり、私立大全体の志願者数は5%程度増える見込みだ。
●英語外部検定利用が増加
独自試験やセ試の英語の代わりに、4技能(読む、聞く、書く、話す)を測定する「英語外部検定試験」を利用する方式の導入が相次ぐ。
東京女子大が「指定の基準以上で出願可。英語以外の科目で合否判定」する方式を新規実施。また、国士舘大・駒澤大・東京都市大・京都産業大などで「指定基準に達すれば、レベルに応じた得点に換算し、他科目と合算」する方式を導入する。さらに、既実施校の立教大・南山大では、セ試利用入試でも英語外部検定利用が可能になった。基準を満たせば「意外に入りやすかった」との声もあり、限定的ながら志願者増に結びつきそうだ。
●経済的負担の軽減も人気要因に
この他、志願者増につながる要因として、学習院大の「コア試験日・プラス試験日」の新設(同一学部・学科の2回受験が可能に)、日本大の学部共通日程入試(N方式)の受験料減額、入学前予約型給付奨学金の新設(東北学院大・東京理科大・日本大)、日本医科大の学費減額などがあげられる。
【系統別】文・経済・社会・国際を中心に、私立で「文高理低」が続きそう
17年に続き、国公立大で弱めの「文低理高」、私立大で相対的な「文高理低」となりそうだ。好調な就職状況を受け、文・経済・社会・国際関係など、文系人気が定着。ただし、法は「法曹離れ」のため、増加は小幅か。理系では工で志願者増、特に建築・情報分野は人気を集めそうだ。一方、医・歯・薬など医療系は志願者減が予想される。薬は、18年入学者から4年制学科で国家試験受験資格が取得不可となるため、減少要因となりそう。看護・医療は増設が相次ぐが、既設学部・学科は易化が予想される。定員減や教員を取り巻く厳しい環境なども影響し、国立教員養成系の減少が続きそうだ。
進路指導の先生方は18年入試の志望動向をどう見ているか
最後に、進路指導のプロである先生方が、18年入試の志望動向をどのように見据えているのか、アンケート結果と先生方のコメントをもとに、基本的な考え方を示しておこう。
A.国公立大志向はどうなりますか?
①強まる…0人 ②やや強まる…4人 ③変わらない…9人 ④やや弱まる…4人 ⑤弱まる…0人
B.私立大志向はどうなりますか?
①強まる…0人 ②やや強まる…10人 ③変わらない…5人 ④やや弱まる…2人 ⑤弱まる…0人
C.併願校数はどうなりますか?
①17年とほぼ同数…11人 ②17年よりやや増える…6人 ③17年よりやや減る…0人
注目すべきは、Bで②「やや強まる」が全体の過半数を超えたこと。国公立大に比べ、私立大志向の強まりが見て取れる。また、Cでは昨年と比べ、②の比率がやや増えた。
私立大志向の強まりを肌で感じ、合格者絞り込みによる難化にも備え、併願校数の増加を視野に入れている様子が見て取れる。実際、「合格者絞り込み対策として、第1志望校については学内併願を増やして合格率アップを目指す」という先生のコメントも見られた。
一方、国公立大の推薦・AOの拡大傾向については、志望動機が明確な受験生であれば、一般入試の対策と両立できる、セ試を課す方式を積極的に活用させるようだ。「注目すべき入試」として、東京大・京都大・大阪大などの推薦・AOをあげる先生が目立った。特に大阪大の「世界適塾入試」は、17年では11学部中5学部で志願者が募集人員を割り込んだ。その結果、18年は学部により出願要件から評定平均値を除くなどハードルを下げたため、志願者が集まると見ている。後期の選択肢が狭まる中、難関大志望者は「推薦・AO→前期」の併願パターンへの転換を迫られているといえよう。
地区別に「志望動向・難易変動を予測する!
以下、各地区のおもな大学について、18年一般入試の変動要因と難易動向を見ていこう。文中、変更点は17年→18年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼] [夜]、センター試験=セ試、個別学力検査等(2次試験)=2次、セ試を課さない推薦=セ試免除推薦、セ試を課す推薦=セ試課す推薦、AO入試=AO、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。教科・科目数については「5または6教科7または8科目(科目選択による)=5(6)教科7(8)科目」のように略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。また、英語外部検定利用に関する表記(カッコ内)は次の通り。出願資格=指定基準(スコア・級)以上で出願でき、英語以外の科目の得点で合否判定。得点換算=指定基準(スコア・級)により、英語を満点、または一定の得点に換算。その他の科目の得点と合算し、合否判定。加点=スコア・級ごとに設定した得点に換算、満点を超えない範囲で英語の合計点に加える。
【北海道・東北】
北海道教育大・東北大・山形大・秋田大が志願者増、弘前大・岩手県立大が志願者減か。
<国公立大>
●北海道大
前期の総合入試(文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施)は、前年(17年。以下同じ)の志願者減の反動から、理系でやや志願者増が予想される。
前期の学部別入試や後期では、前年の反動(志願者増減や倍率の変動による。以下、同じ)から、医(医)【前】・医(保健)【後】・理【後】・歯【前】【後】・薬【後】・水産【前】【後】で志願者増、文【前】【後】・教育【前】【後】・法【後】・経済【後】で志願者減が見込まれる。
●北海道教育大
教員養成課程(札幌校・旭川校・釧路校)では、前年の反動に加え、旭川校【前】・釧路校【前】が札幌会場(札幌校とは別の市内中心部)で新たに受験可能になったため、旭川校【前】【後】・釧路校【前】で志願者増が見込まれる。
一方、教員養成以外の学科(函館校・岩見沢校)では、やはり前年の反動から、岩見沢校【後】で志願者増、函館校【前】【後】で志願者大幅減が見込まれる。
●旭川医科大
医師不足や偏在の解消策として認められた、医学部の臨時定員増について、08年~09年の認可分が期限を迎え、医学科で定員を削減したため、医(医)【後】が募集人員減(22人→15人)。ただし、前年の反動から志願者増が見込まれるため、難化は必至だ。また、医(看護)【前】【後】も前年の反動から志願者増が見込まれる。
●北見工業大
17年の学科統合(6→2学科)の認知度が高まり、前年の反動もあって、工【前】【後】とも志願者増が見込まれる。後期は、室蘭工業大‐工[昼]【後】、公立はこだて未来大【後】から流入しそうだ。
●弘前大
AOの募集枠を拡大し、一般入試の募集枠を大幅に削減した人文社会科学【後】(60人→35人)、教育【前】(130人→109人)・同【後】(30人→20人)、理工【前】(221人→191人)は、前年の反動などもあり、いずれも志願者減が見込まれる。
一方、医(保健)【前】は前年に、募集人員増(127人→150人)と2次負担減(専攻により、理科または数学を除外)にもかかわらず志願者減、易化した反動から、大幅増は必至。この他、前年の反動から、人文社会科学【前】・医(医)【前】・農学生命科学【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●岩手大
前年の反動から、人文社会科学【後】・教育【前】・理工【前】で志願者増、教育【後】・理工【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。
人文社会科学【後】・教育【前】・理工【前】には、募集人員大幅減の弘前大‐人文社会科学【後】・教育【前】・理工【前】から流入しそうだ。
●東北大
世界最高水準の研究を見込める「指定国立大学」に選定され、評価が高まったため、理系の難関大志望者の人気がさらに高まりそう。前年の反動もあり、理【前】【後】・工【前】で志願者増が見込まれる。
また、やはり前年の反動などから、教育【前】・経済【後】で志願者増、文【前】・法【前】・医(医)【前】・歯【前】で志願者減が見込まれる。
経済【後】・理【後】は、難関大に残る数少ない後期として、東京大・一橋大などからの併願増が見込まれる。一方、AO入試の募集枠拡大に伴い、一般入試の募集人員を「医(医)【前】120人→105人、歯【前】43人→37人」に削減したことが、医(医)【前】・歯【前】の志願者減に直結しそうだ。
●宮城教育大
推薦枠拡大に伴い、一般入試で「前期229人→225人・後期71人→56人」に募集人員減。後期で志願者減が見込まれ、山形大‐地域教育文化【後】への流出や、新設の東北学院大‐文(教育)への併願が続出しそうだ。
●秋田大
理工で、募集人員を前期220人→229人に増加、後期86人→71人に削減。理工【前】は、セ試・2次の配点比率により、a(セ試重視)・b(2次重視)の2方式に分割することもあり、志願者増が見込まれる。一方、同【後】も前年の反動から志願者増が見込まれ、難化しそうだ。この他、前年の反動から、教育文化【前】【後】・医(保健)【後】・国際資源【前】【後】で志願者増、医(医)【前】【後】・医(保健)【前】で志願者減が見込まれる。
●山形大
17年は全学的な改組(文系・教員養成系縮小、理系拡大)により、志願者17%減。その反動から、人文社会科学【前】・地域教育文化【前】【後】で志願者増が見込まれる。
また、前年に募集枠を拡大しながら、志願者が「微増~やや減少」だった理【前】【後】や、前年に大幅減の工[昼]【前】【後】・同[フレックス]【前】も、やはり志願者増が見込まれる。工[フレックス]【前】は、面接の除外も要因となりそうだ。
医(医)は、臨時定員増の期限が切れるため定員減(125人→120人)。募集人員の増減(前期85人→75人、後期10人→15人)が、医(医)【前】の志願者減、同【後】のやや増加に直結しそう。実施2年目の工[フレックス]【後】、医(看護)【後】は、前年高倍率の反動で大幅減は必至。医(看護)【前】はセ試の理科が1(2)科目のため、理科負担増の宮城大‐看護学群【前】から流入しそうだ。
●福島大
前年の反動から、人間発達文化【前】【後】・行政政策【後】・理工【前】【後】で志願者増、行政政策【前】・経済経営【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●岩手県立大
全学の志願者は「16年32%減→17年12%増」と推移。隔年現象による反動から、看護【後】・ソフトウェア情報【前】・総合政策【前】で志願者減、社会福祉【後】で志願者増が見込まれる。
●宮城大
17年では、全学的な改組(学部・学科→学群・学類に移行)と、事業構想・食産業の入試変更(「学科別募集→学群一括募集」へ移行/募集人員を「後期→前期」へ移行)のため、志願者22%減。その反動から、事業構想【前】・食産業【前】で志願者増が見込まれる。
一方、看護【前】【後】は前年の大幅増の反動に加え、セ試負担増(理科が「1(2)→2(3)科目」)のため、志願者大幅減が見込まれる。
●秋田県立大
システム科学技術を「4→5学科」に再編。前年の反動もあり、システム科学技術【前】・生物資源科学【前】【後】で志願者増が見込まれる。
この他、前年の反動から、小樽商科大‐商[昼]【後】、室蘭工業大‐工[昼]【前】、釧路公立大‐経済【前】【中】、福島県立医科大‐医【後】・看護【前】【後】などで志願者増が見込まれ、室蘭工業大‐工[昼]【後】、札幌医科大‐医【前】、福島県立医科大‐医【前】などで志願者減が見込まれる。
<私立大>
弘前大・宮城教育大の一般枠縮小などが影響し、国立大志望者の東北学院大への併願が増える見込み。学科増設(文‐教育)、入試前予約型の給付奨学金の新設に加え、文系5学部の定員増(全学で151人増:約6%増)も志願者増の要因となりそうだ。
この他、北海道科学大と北海道薬科大の統合、北海道科学大の入試改革(3学部でセ試中期を廃止/工の一般前・後期を2→3科目に負担増)、北海学園大‐人文1・2部のセ試利用入試の募集回数増(1→2回)と一般入試における英語外部検定の新規利用、東北福祉大の給付型奨学金入試(12月実施)の導入なども注目される。
【関東・甲信越】
首都大学東京・中央大・日本大が志願者増、茨城大・筑波大・一橋大・青山学院大が志願者減か。
<国公立大>
●茨城大
工を「8→5学科」に再編。工[昼・夜]【前】のB方式(セ試・2次合計で判定。A方式はセ試のみで判定)の2次と、同【後】の2次で英語を追加。敬遠材料となり、前・後期ともに志願者減が見込まれる。また、教育【前】の2次でも、課程・選修により面接や集団行動を追加するため、やはり敬遠材料となりそうだ。一方、人文社会科学【前】【後】・理【前】【後】・農【前】【後】は、前年の反動による志願者増が予想される。
●筑波大
17年は全学の志願者9%増。その反動から、各学群・学類の前期では、比較文化・日本語日本文化・国際総合・心理・障害科学・生物・数学・化学・応用理工・知識情報図書館・看護・医療科学で志願者減が見込まれる。推薦枠拡大に伴う募集人員減(生物【前】37人→32人、知識情報・図書館【前】60人→50人)も要因となりそう。医療科学類は後期を募集停止するため、前期の併願先として茨城県立医療大【後】が増えそうだ。
●宇都宮大
前年の反動から、地域デザイン科学【前】・国際【前】・農【前】で志願者増、地域デザイン科学【後】・工【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。
●群馬大
前年の反動から、教育【前】・医(保健)【前】で志願者増、社会情報【後】・理工[昼]【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●埼玉大
教育【前】は募集人員減(327人→283人)、志願者減が見込まれる。一方、工は7→5学科に再編し、募集人員増(前期201人→235人・後期222人→240人)。工【後】は2次負担減(英語を除外)で志願者増が見込まれるが、工【前】は2次負担増(小論文を追加)が敬遠され志願者減、易化しそう。
理【前】は前年の反動、同【後】は2次負担減(英語を除外)のため、志願者増が見込まれる。教養は募集人員減(前期125人→115人・後期35人→25人:セ試免除推薦を導入)。教養【後】は志願者減が見込まれるが、同【前】は前年の大幅減の反動もあり志願者増、難化が予想される。また、経済[昼]も募集人員を前期240人→215人に削減し(セ試課す推薦を導入)、後期40人→50人に増加。後期は一橋大の後期縮小の影響もあり志願者増、前期も前年の反動から志願者増、難化が見込まれる。
●千葉大
工【前・後】は、デザインコースの後期募集停止や前年の反動から、やや志願者減が見込まれる。
薬【後】は薬学科(6年制)で募集停止、薬科学科(4年制)のみ後期を継続するため、志願者大幅減は必至。一方、一括募集を継続する前期は、前年の反動から志願者増が見込まれる。園芸【後】は募集人員減(61人→44人)が志願者減の要因となりそう。
この他、前年の反動から、国際教養【前】・理【後】・看護【前】で志願者増、文【前】【後】・医【前】で志願者減が見込まれる。法政経【後】は一橋大‐法の後期募集停止の影響で難化は必至だ。
●東京大
理Ⅲ【前】の2次で面接を追加、出願書類に志望理由書を追加したことが敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。この他、前年の反動と安全志向から、文Ⅰ【前】・文Ⅱ【前】・理Ⅱ【前】で志願者減、文Ⅲ【前】はやや志願者増が見込まれる。
●東京医科歯科大
医(医)【後】で募集人員減(15人→10人。セ試課す推薦を導入)も、2段階選抜の予告倍率緩和(約8倍→約12倍)のため、志願者は前年並みと見込まれ、難化しそう。医(保健衛生)【前】は、前年の反動と募集人員減(65人→62人)から志願者減の見込み。歯も、前期は募集人員減(歯38人→33人、口腔保健32人→28人。セ試免除推薦を導入)、後期は前年の反動から、やはり志願者減が見込まれる。
●東京工業大
19年から「類別募集→学院別募集」に移行する予定。既卒者を中心に、制度変更前の合格を目指し、全体に志願者増が見込まれる。ただし、前年の大幅増の反動から、第5類【前】・第7類【前】では志願者減が見込まれる。
●お茶の水女子大
生活科学に「心理学科」を増設、前期は志願者増の要因となりそう。また、文教育【前】も、人間社会科学科の2次負担減(国語・数学必須→国語・数学から1選択)が人気材料となりそうだ。この他、前年の反動から、文教育【後】・生活科学【後】で志願者減が見込まれる。
●一橋大
法・社会で後期を募集停止、経済【前】で210人→195人に募集人員減(セ試課す推薦を導入)。経済【後】は学内他学部や東京大‐文Ⅱ【前】からの併願が集中、志願者大幅増で難化は必至だ。この他、前年の反動から、商【前】・法【前】で志願者減、社会【前】で志願者増が見込まれる。
●横浜国立大
教育【前】は全国枠推薦の募集枠拡大のため、募集人員減(160人→134人)。人間形成・教科教育で2次に集団面接を追加、特別支援教育で2次を「総合問題→小論文・集団面接」に変更することも敬遠材料となり、大幅減が見込まれる。
開設2年目の都市科学【前】【後】は認知度が高まり、やや志願者増か。17年に募集人員減の経済【前】は、かえって志願者増で難化した反動で、志願者減が見込まれるが、経済【後】・経営【後】は一橋大の後期縮小の影響で志願者増、難化が見込まれる。
●新潟大
開設2年目の創生は、初年度の高倍率が敬遠され、後期が志願者減の見込み。教員養成課程のみとなった教育【前】【後】は、倍率アップの反動により、志願者減が見込まれる。17年に募集人員増を行った学部・日程では、前年の反動もあり、理【前】・農【前】【後】で志願者増、工【前】で志願者減、理【後】で大幅減が予想される。
●山梨大
前年の反動から、医(看護)【前】【後】・工【前】・生命環境【前】【後】で志願者増、教育【後】・医(医)【後】・工【後】で志願者減が見込まれる。
●信州大
経法では、総合法律学科で後期を募集停止。応用経済学科【後】の2次負担増(課さない→数学)もあり、経法【後】の大幅減は必至。医(保健)【後】も、理学療法学専攻の後期募集停止で、志願者減が見込まれる。一方、工【前】【後】は募集人員増(前期299人→322人、後期70人→101人。セ試課す推薦を廃止)に加え、後期の4学科で2次を「面接→数学」に変更するため、志願者増が見込まれる。
この他、前年の反動から、人文【前】【後】・教育【前】・理【前】【後】で志願者増、教育【後】・経法【前】・医(医)【前】・農【前】【後】・繊維【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●首都大学東京
都市教養を、人文社会・法・経済経営・理の4学部に分割・改組(人文・社会系、法学系、経営学系、理工学系を移行)。募集人員を前年と比較すると、経済経営【前】170人→130人・【後】30人→20人、理【前】137人→97人・【後】54人→42人の減少が目立つものの、目指す学部・学科がわかりやすくなるため、人気を集めそう。募集人員減の経済経営・理は難化しそうだ。
都市環境を「1→6学科」に改組、都市教養から都市政策コースを移行し「都市政策学科」を増設。募集人員増(前期118人→156人・後期30人→39人)もあり、志願者増が見込まれる。また、システムデザインも「1→5学科」に改組、都市教養から2コース(電気電子工学・機械工学)を移行し、募集人員増(前期170人→195人・後期50人→63人)。やはり志願者増の見込み。一方、健康福祉は募集人員減(前期117人→97人・後期28人→23人)のため志願者減が見込まれる。
●横浜市立大
「データサイエンス学部」を新設。注目度の高い分野に加え、学内の他学部と異なり後期も実施するため、初年度から多くの志願者を集めそう。一方、医(看護)【前】は2次に面接を追加したことが、志願者減の要因となりそうだ。
●都留文科大
「教養学部」を増設(文から初等教育・社会の2学科を移行)したが、大学全体の志願者数は、前年の反動で前・中期ともやや減少しそうだ。
●長野大
17年4月から「私立→公立」に移行。18年から全3学部とも前期・中期で実施する。中期では学外試験場も設置(福島・東京・長岡・松本・富山・名古屋)するため、人気を集めそう。高崎経済大‐経済【前】【中】など、北陸新幹線沿線の大学の志望動向に大きく影響しそうだ。
●長野県立大
長野県短大を母体に、4年制大学を新設。グローバルマネジメント・健康発達の2学部を設置。一般入試は、2学部ともセ試を課す前期・中期で実施。特に中期は人気を集めそうだ。
<私立大>
17年に続き、国立大の後期縮小と文系・教員養成系縮小により、国公立大文系志望者が、就職が好調な首都圏の難関~中堅上位校の併願を増やすものとみられる。一方、定員規模の大きな大学では、定員超過率が17年以上に厳しく抑制されるため、定員増を行う大学であっても、合格者絞り込みによる難化が想定される。その中で、大規模な定員増を行う日本大・明治大は、志願者大幅増が見込まれる。定員増を行わない大学では、難関国立大からの併願増で、慶應義塾大・早稲田大・東京理科大が難化しそう。17年に定員増(全学で約8%増)を行いながら、志願者減で倍率ダウンした中央大は、その反動で志願者増が見込まれる。一方、やはり定員増を行いながら、合格者を大幅に削減した青山学院大・立教大などは、警戒されて志願者減が見込まれる。この他、上智大はTEAP利用型入試がTEAP(英語外部検定)自体の受験者増に比例し、学習院大も一般入試の日程複数化により、いずれも志願者増が見込まれる。首都圏以外では、「私立→公立」化を予定する諏訪東京理科大で、負担増(セ試A方式で「前期3→4科目、中期2→4科目」、B方式前・後期で数Ⅲを追加)するものの、爆発的な志願者増が見込まれる。以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
●学習院大
法・経済・理・国際社会科学・文(心理・教育)で「コア試験日・プラス試験日」を設定。募集が1→2回となり、同一学部・学科の2回受験が可能となる。
●駒澤大
全学部統一日程入試で、学外試験場を増設(高崎・宇都宮・静岡)。また、英語外部検定利用が可能になる(得点換算)。
●芝浦工業大
セ試利用方式の募集人員を「工162人→205人、システム理工85人→107人、デザイン工30人→36人、建築34人→44人」に増加。システム理工(生命科学・数理科学)、デザイン工の全学統一日程と一般後期を2→3科目に増加する。
●東海大
学部改組(文→文・文化社会、健康科学→健康)を実施。医(医)を除く全学の一般A方式で、新たに英語外部検定利用が可能に(得点換算)。
●東京女子大
学科改組(国際英語、心理・コミュニケーションを増設、人間科学を廃止)を実施。一般入試で「英語外部検定試験利用型」を新規実施(出願資格。3教科型と同日実施で、英語以外の2科目で受験可、同時併願可で併願割引制度も導入)。国際英語学科は加点(最大20点)も行う。
●東京電機大
情報環境をキャンパス移転(千葉県印西市→東京都足立区)。理工を「5→6学系」に再編する。工2部で定員増(150人→180人)を実施。
全学(工2部以外)でセ試後期を新規実施。システムデザイン工・未来科学・理工で、一般前・後期に数学満点選抜方式(3科目受験は必須だが、数学が満点なら合格)を導入する。
●東京農業大
農で2学科(生物資源開発・デザイン農)を増設、1学科を廃止(バイオセラピー)。農・応用生物科学・生命科学・地域環境科学・国際食料情報でセ試後期3科目型を新規実施する。
●東京理科大
給付型の「新生のいぶき奨学金」を新設(採用者数100人。年額40万円を給付。昼間学部の一般入試を受験する自宅外通学予定者が対象)。また、昼間学部の一般入試で英語外部検定利用の「グローバル方式」を導入(出願資格)。
●日本大
N方式(学部共通日程入試)で、受験料を「医=6万円→5万円、歯・松戸歯=5万円→2万4千円、その他の学部=3万5千円→1万8千円」に減額。また、出願前予約採用型給付奨学金を新設(募集250人。年額30万円を給付。法2部以外の一般入試出願予定者が対象)する。
5学部で定員増、1学部で定員減(全学で472人増:約3%増)。法のA方式1期で、2学科以上の同時併願が可能に(併願割引も導入)。商のセ試C方式1期で「4教科奨学金型」を廃止。工のセ試C方式で、5教科型を「4教科型」に軽減。生物資源科学でセ試C方式を廃止する一方、N方式1期の実施学科を「2→12」に増やした。
●明治大
全10学部で定員増(1,030人増:15.3%増)。18年で最大規模の定員増だ。国際日本の一般入試で、英語外部検定が利用可能に(得点換算)。また、商の一般入試で「英語4技能試験利用方式」を新規実施する(出願資格)。
●明治学院大
法で学科増設(グローバル法)。文(英文・フランス文)・社会・法の一般A日程で「英語外部検定試験利用型」を追加する(文は得点換算方式、社会・法は出願資格方式)。
●早稲田大
政治経済の一般入試で、政治・経済が選択不可に。一方、法の一般入試で、数学が選択可に(セ試の得点を利用)なる。国際教養の一般入試で、英語外部検定利用(4技能:加点)を導入する一方、英語リスニングを廃止する。
育英大‐教育、新潟食料農業大‐食料産業が新設される。獨協医科大‐医の一般入試で東京会場を新設。獨協大‐外国語・国際教養のセ試利用入試で「英語資格」型を新規実施(出願資格)。麻布大では獣医で一般Ⅱ期を新規実施し、全学でセ試Ⅱ期を廃止する。
北里大‐医の一般入試で適性検査を除外。国士舘大では、デリバリー入試・一般中期で英語外部検定利用が可能に(得点換算)。昭和大‐歯・薬・保健医療のセ試利用入試で、B方式「地域別選抜入試」を新規実施(全国を6地区に分け、募集人員を設定。現役のみ受験可)。成城大‐経済・文芸でセ試B方式後期を廃止。専修大でスカラシップ入試の募集枠を拡大(全学で60人→100人)する。
大東文化大で学部改組(環境創造→社会)、学科増設(スポーツ・健康科学‐看護、文‐歴史文化)。玉川大では、セ試利用の「国公立大学併願スカラシップ入試」を新規実施(合格者は授業料が国公立大と同額に)。中央大‐理工のセ試利用入試併用方式で、2学科まで同時併願可に(2学科目の受験料を1万9千円→1万円に減額)。東京都市大では全学統一入試・一般前期で英語外部検定利用が可能に(得点換算)。東洋大‐経営の一般前期で英語外部検定利用が可能に(得点換算)。日本医科大で学費を減額(6年間合計:2,770万円→2,200万円)。日本女子大で定員増(全学で137人増:約10%増)。法政大‐法・理工で英語外部試験利用入試を新規実施(出願資格)。武蔵野大で定員増(全学で385人増:約19%増)、学科増設(教育‐こども発達)。立教大は全学部のセ試利用入試で、英語外部検定利用が可能に(得点換算)。立正大で定員増(全学で210人増:約9%増)を行う。
【北陸・東海】
金沢大の「後期一括入試」は注目度大。岐阜大が志願者増、富山大・静岡大・三重大が志願者減か。
<国公立大>
●富山大
文理融合の「都市デザイン学部」を新設。一方、工を6→1学科に統合、材料機能工学科を新設学部へ移行し、募集人員を前期254人→264人・後期73人→57人に変更。理も地球工学科を新設学部へ移行、前期143人→117人・後期51人→42人に募集人員減。
都市デザインは、移行した学科の教育内容が既知なので、前期で学外試験場を設置(さいたま・名古屋)することもあり、従来の志望者を軸に安定して志願者を集めそうだ。
他学部の募集人員減で目立つのは「人文【前】119人→110人、経済[昼]【前】210人→199人・【後】59人→30人」。経済[夜]では前期を募集停止する。この他、薬でも募集人員を変更する(前期70人→75人、後期20人→10人)。
工【後】でセ試を「5科目(生命工学は4科目)→7科目」に、2次を「課さない→数学(応用化学は化学)・面接」に負担増。一方、芸術文化【前】、同【後】(募集区分a)で2次から面接を除外した。
以上の変動要因と、前年の反動から、人文【前】【後】・人間発達科学【後】・芸術文化【前】【後】で志願者増、経済[昼]【前】【後】・理【前】【後】・工【前】【後】・医(医)【後】・医(看護)【後】・薬【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●金沢大
後期で学類別募集の他に「後期一括入試(文系・理系)」を新規実施(募集人員=文系62人・理系82人)。同入試による入学者は、2年次から各学域・学類に配属される(文系は人間社会学域の6学類へ、理系は理工学域・医薬保健学域の10学類へ)。専門を決めかねる受験生の選択肢として人気を集めそうだ。
一方、後期の学類別募集は、経済学類(以下、学類を略)で募集停止し、人文【後】35人→32人、理工学域【後】100人→42人、保健【後】20人→17人に募集人員を削減する。
前期では、機械工・フロンティア工・電子情報通信が「理工3学類前期一括入試」に移行。また、経済【前】150人→110人、法【前】125人→115人、薬・創薬科学【前】70人→64人に募集人員減。一方、国際【前】40人→48人、地域創造【前】50人→55人、理工学域【前】482人→499人に募集人員増。
入試科目では、学校教育【前】・地域創造【前】【後】のセ試で、現代社会・倫理・政経が選択可に。経済【前】で2次から国語を除外。保健(放射線技術科学・検査技術科学)【前】の2次で、数学を追加する。
こうした変動要因に加え、前年の反動もあり、前期では、人文・学校教育・地域創造・国際・理工学域・医で志願者増が、法・経済・保健・薬・創薬科学で志願者減が見込まれる。
●福井大
前年の反動から、教育【後】・医(医)【後】・医(看護)【前】【後】・工【前】で志願者増が、教育【前】・医(医)【前】・工【後】で志願者減が見込まれる。また、国際地域【前】は、金沢大‐国際学類【前】の募集人員増(40人→48人)が影響、やや志願者減か。
●岐阜大
前年の反動から、教育【前】【後】・地域科学【前】【後】・医(看護)【前】・工【前】【後】で志願者増、医(看護)【後】で志願者減が見込まれる。工【前】は静岡大‐工【前】、教育【前】【後】は三重大‐教育【前】【後】から流入しそうだ。ただし、工【前】はセ試・2次の配点比率が「均等→2次重視」に変更される(700:700→500:1,000)ので、セ試の平均点次第では、志願者増は小幅に留まりそう。また、医(医)【後】は2段階選抜の実施が警戒され、引き続き志願者減が見込まれる。
●静岡大
17年に全学で志願者19%増。その反動から、教育【前】【後】・情報【前】【後】・理【前】【後】・工【前】で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、人文社会科学[昼]【前】・工【後】・農【前】・地域創造学環【前】で志願者増が見込まれる。
●浜松医科大
医(医)【後】で10人→15人に募集人員増(推薦枠縮小)。一方、同【前】で2段階選抜を新規実施、同【後】で予告倍率を「15倍→10倍」に引き締める。前期で志願者減、後期で増加が見込まれる。
●愛知教育大
教員養成課程の前期の2次で、学科試験等(課程・専攻により異なる)を小論文に変更する。また、同じく後期の2次も、課程・専攻により異なっていた選抜方法(学科試験、総合問題、実技など)を面接に変更する。小論文・面接重視の入試変更が敬遠材料となり、前・後期ともやや志願者減が見込まれる。
●名古屋大
情報(17年に情報文化を改組)は、規模の拡大ほど志願者が集まらず倍率ダウン。その反動からやや志願者増が見込まれる。この他、前年の反動から、教育【前】・医(医)【前】で志願者増、文【前】・法【前】で志願者減が見込まれる。
●豊橋技術科学大
工で、前期を40人→45人に募集人員増(この他、「グローバル技術科学アーキテクト養成コース入試」を新規実施、推薦枠を大幅削減)。ただし、前年のほぼ倍増の反動から、やや易化しそうだ。
●三重大
17年は全学で志願者18%増。その反動から、教育【前】【後】・医(医)【前】・工【後】・生物資源【前】【後】で志願者減が見込まれる。一方、前年の反動から医(医)【後】・医(看護)【前】で志願者増が見込まれる。
●公立小松大
生産システム科学・保健医療・国際文化交流の3学部構成で新設される。一般入試は別日程実施のため、多数の志願者を集めそうだ。
●福井県立大
前年の反動から、経済【前】【後】・生物資源【前】・看護福祉【前】【後】で志願者増、海洋生物資源【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●静岡県立大
薬【中】で「学部一括募集→学科別募集(薬:6年制、薬科学:4年制)」に変更。前年の反動から志願者減が見込まれ、岐阜薬科大【中】(17年に4年制学科を廃止し大幅減)へ流出しそうだ。
やはり前年の反動から、食品栄養科学【前】・経営情報【前】で志願者増が、食品栄養科学【後】・経営情報【後】・看護【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●愛知県立大
前年の反動から、外国語【後】・教育福祉【後】・情報科学【前】で志願者増、外国語【前】・日本文化【後】・看護【前】・情報科学【後】で志願者減が見込まれる。
●名古屋市立大
「総合生命理学部」を増設。後期のみ実施のため、名古屋大‐理【前】、静岡大‐理【前】などの新たな併願先として多数の志願者を集め、高倍率の激戦となりそうだ。
この他、前年の反動から、医【前】・看護【前】【後】で志願者増、薬【中】・経済【後】・人文社会【後】・芸術工【前】【後】で志願者減が見込まれる。
<私立大>
17年に続き、国公立大から愛知大・南山大・中京大・名城大への併願が多くなりそうだ。
金沢医科大‐医で一般後期を新規実施。常葉大では、静岡市駿河区の新キャンパスに、5学部を他キャンパスから移転。愛知大では学科(文‐心理)とコース(地域政策‐食農環境)を増設。愛知工業大では、独自・セ試併用のセンタープラスA・M方式を新規実施。金城学院大で一般前期に「複数日評価型」を追加(複数日受験したうちの高得点2科目を合計し、もう1回合否判定)。中京大は10学部の前期A方式で、2教科型を新規実施。名古屋学芸大で看護学部を増設。南山大ではセ試利用前・後期で英語外部検定利用が可能に(得点換算)。また、全学統一入試(併用型)で、セ試の英語でも外部検定利用が可能になる(従来は個別のみ)。藤田保健衛生大‐医で一般後期を新規実施、前期で面接を点数化し、セ試前期に「地歴・公民から1」を追加する。
【関西】
大阪大・神戸大・同志社大が志願者増、大阪市立大は志願者減、関西大・関西学院大が難化か。
<国公立大>
●滋賀大
開設2年目のデータサイエンスは、社会的需要の高さと初年度の低倍率から、前・後期とも志願者増が見込まれるが、前期は募集人員減(60人→50人:AOの募集枠を拡大)のため、やや難化しそうだ。
この他、前年の反動や学内の志望変更から、経済[昼]【前】【後】・同[夜]【前】・教育【後】は志願者減、教育【前】は志願者増が見込まれる。
●京都大
薬【前】は「学科別募集(薬:6年制、薬科学:4年制)→学部一括募集」に変更(入学後、3年次後期に所属学科を決定)。薬(薬)で特色入試(セ試課すAO)を新規実施し、学部全体の前期の募集枠を削減(77人→74人)するため、やや志願者減ながら、難易はほぼ前年並みと見込まれる。
この他、前年の反動もあり、総合人間【前】・理【前】・農【前】で志願者増、文【前】・教育【前】・法【後】・経済【前】で志願者減が見込まれる。
●京都教育大
前年の反動から、教育【前】は志願者減、同【後】は社会専攻で後期を募集停止するものの、志願者増が見込まれる。前期は滋賀大‐教育【前】へ流出、後期は同‐教育【後】から流入しそうだ。
●京都工芸繊維大
工芸科学で、5課程(生体分子応用化学、高分子機能工学、物質工学、デザイン経営工学、デザイン・建築学)を2課程(応用化学、デザイン・建築学)に再編する。前年の反動もあり、工芸科学[昼]【前】で志願者減が見込まれる。
●大阪大
17年から導入したセ試課すAO・推薦「世界適塾入試」の募集枠が、18年にさらに拡大されたため、前期日程の募集人員を「経済213人→206人、工793人→766人、医(保健)156人→151人」と削減した。
ただし、17年の「世界適塾入試」では、5学部で志願者が募集人員を割り込み、最終合格者(118人)が募集人員(270人)の半数にも満たなかったため、不足分を前期に上乗せしたと見られ、文・外国語・法・理などで、合格者数が募集人員を大幅に上回った。
これに加え、前年の反動もあり、外国語【前】・理【前】・医(医)【前】で志願者増が、法【前】・経済【前】・工【前】で志願者減が見込まれる。
●神戸大
経済【前】で募集人員増(200人→220人:推薦枠を縮小)、3方式(総合選抜、数学選抜、英数選抜)に分割(募集人員は160人、30人、30人)。2次では、総合選抜は従来型(国語・数学・英語の3教科)、数学選抜は数学、英数選抜は数学・英語を課す。最大3つまで同時併願可のため、志願者大幅増が見込まれる。
17年の大阪大の後期募集停止が引き続き影響するものと見られ、さらに前年の反動も加味すると、国際人間科学【後】・医(医)【前】・農【前】【後】・海事科学【後】で志願者増、文【前】【後】・法【後】・経営【前】・医(保健)【後】で志願者減が見込まれる。
●兵庫教育大
学校教育で、募集人員を前期77人→80人に増加、後期33人→22人に削減。前年の反動もあり、前期はやや志願者増、後期は大幅減が予想される。後期からは、前年大幅減の鳴門教育大【後】へ志望変更しそうだ。
●奈良女子大
前年の反動から、理【前】【後】・生活環境【前】【後】で志願者増、文【前】【後】で志願者減が見込まれる。理【前】【後】には、大阪市立大‐理【前】【後】から志望変更がありそうだ。
●和歌山大
前年の反動と、学内の志望変更(観光→経済)から、経済【前】【後】で志願者増、教育【後】・観光【前】【後】で志願者減が見込まれる。経済【後】は大阪市立大‐商【前】からの併願増が予想される。
●滋賀県立大
前年の反動から、工【前】【後】・人間文化【前】【後】で志願者減、環境科学【前】【後】・人間看護【前】【後】で志願者増が見込まれる。工【前】【後】は材料科学科の2次の変更(前期=英語→グループ討論、後期=グループ討論を追加)も減少の要因となりそうだ。
●大阪市立大
商に「公共経営学科」を増設、募集は学部単位(2年次後期から所属決定)のため、前期で募集人員増(183人→198人)。このため、商【前】は17年に続き志願者増が見込まれる。
大阪大の後期募集停止の影響が続き、京都大・大阪大・神戸大の文系学部から併願が集中するものの、前年の反動もあり、商【後】・経済【前】【後】・法【後】・文【前】【後】・理【前】【後】・工【後】・医(医・看護)【前】で志願者減が見込まれる。
工【後】の場合、化学バイオ工学科でセ試に国語を追加、2次を「論文(化学・生物)→数学」に変更し、2段階選抜の予告倍率を17倍→10倍に引き締めたことも、志願者減の要因となりそう。理【前】【後】からは奈良女子大‐理【前】【後】、経済【後】からは和歌山大‐経済【後】へ流出しそうだ。
●大阪府立大
生命環境科学域の自然科学類を「理学類」に名称変更し、数理科学課程を増設、定員増(115人→149人)。理学類【前】【後】は募集人員増(前期88人→120人、後期21人→24人)もあり、特に前期で志願者増が見込まれる。
この他、前年の反動から、生命環境科学域【後】で志願者減、現代システム科学域【前】・地域保健学域【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●兵庫県立大
17年に募集人員を「前期→後期」へ移行した経営は、前・後期とも倍率アップした反動から、いずれも志願者減が見込まれる。一方、経済は前年の反動に加え、学内の志望変更(経営→経済)もあり、前期は志願者減、後期は大幅増が予想される。この他、やはり前年の反動などから、工【前】【後】・理【中】で志願者増、環境人間【後】・看護【前】で志願者減が見込まれる。
●奈良県立医科大
地区内で唯一の医学系の後期として、医(医)【後】は引き続き志願者増の見込み。一方、前年の反動から、医(医)【前】は志願者減が見込まれる。
●和歌山県立医科大
医【前】は2次負担減(小論文を除外)のため、前年に続き志願者増の見込み。奈良県立医科大‐医(医)【前】から流入しそうだ。
この他、前年の反動から、京都府立大‐文【前】・公共政策【前】で志願者増が見込まれ、大阪教育大‐教育1部【後】、奈良教育大【前】【後】、京都府立大‐公共政策【後】・生命環境【後】、福知山公立大‐地域経営【後】、神戸市外国語大‐外国語1部【後】、神戸市看護大【前】【後】で志願者減が見込まれる。
<私立大>
文系学部の定員規模が大きい「関関同立」「産近甲龍」に対し、国立大の「文系縮小」や推薦・AO拡大に伴う一般枠縮小により、受け皿を求める国公立大文系志望者が併願を増やすものとみられる。大阪大の後期募集停止の影響は続き、同志社大・関西学院大では、難関国公立大からの併願増が予想される。
一方、定員規模の大きな大都市圏の大学では、定員超過率が17年以上に厳しく抑制され、合格者絞り込みが予測されるため、定員増を行わない関西大・関西学院大・龍谷大などがやや難化する見込み。近畿大は17年の大規模定員増(11学部で920人増:約13%増)が、18年も志願者を集める要因となりそう。
また、同志社大は定員増を行うため、倍率アップの緩和を期待する志願者を集めそうだが、合格者を絞り込む可能性もある(前年は合格者3%減)ので要注意だ。
以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
●京都外国語大
「国際貢献学部」を増設。また、一般A・C日程で語学検定試験結果活用型(出願資格+得点換算)を新規実施(小論文も課す)。
●京都産業大
経済で定員増(570人→625人)を実施。総合生命科学の一般入試で、数学の出題範囲から数Ⅲを除外。また、全学部のセ試前・後期で、英語外部検定が利用可能になる(得点換算。例:英検準1級=セ試の英語を満点と見なす)。
●同志社大
全14学部で定員増(全学で326人増:約5%増)を実施。特に社会科学系(法・経済・商で各850人→893人)の定員大幅増が注目される。
●立命館大
「食マネジメント学部」を開設(滋賀県草津市)。また、理工のセ試利用入試で、新たに英語外部検定利用が可能に(見なし満点)。
●龍谷大
理工は、セ試前期で独自・セ試併用の「3教科一般入試併用型」を新規実施。また、一般C日程で配点セレクト方式(数学重視、理科重視)を新規実施。重視する科目の得点を2倍する。
●追手門学院大
国際教養で定員増(230人→330人)を実施。また、全6学部のセ試利用入試で、前期に4科目型を追加し、最終日程(2科目型)を新規実施。
●大阪医科大
看護の一般入試に2科目型を追加。また、医でセ試後期を廃止する。
●大阪歯科大
歯のセ試前・後期から小論文を除外。また、一般前・後期で独自・セ試併用の「プラス1」を新規実施(前期=セ試1教科・一般3教科、後期=セ試1教科・一般2教科)する。
●大阪薬科大
薬科学科(4年制)を募集停止。薬学科(6年制)に一本化し、セ試後期を廃止する。
●関西大
経済・政策創造の学部個別日程で「2教科型英語外部試験利用方式」を新規実施(出願資格)。政策創造・人間健康の全学部日程に「3教科型同一配点方式」を追加。政策創造のセ試前期に4・6科目型を追加。システム理工・環境都市工のセ試中期で、語学力重視方式を「システム理工=5→3科目、環境都市工=5→4科目」に軽減。
●関西外国語大
御殿山キャンパス(大阪府枚方市)を新設、英語国際を中宮キャンパス(同)から移転する。また、一般前期で英語1科目型のS方式を導入(英語外部検定による加点方式も導入)。
●関西学院大
経済の一般入試(全学日程、学部個別日程)に「理系3科目型」を追加。教育(初等教育)の学部個別日程文系型・理系型で、書類審査(調査書を10点に点数化)を加えた総合評価で合否判定を行う「主体性評価方式」を導入する。
大谷大で全学改組、1→3学部(文→文・教育・社会)に分割。京都女子大‐現代社会で、募集人員を3専攻に分割(前期A方式では同時併願可)。京都橘大‐健康科学で学科増設(作業療法・臨床検査)。佛教大の一般A日程で、同時3学科まで併願可とし、3学科目の受験料を減額(1万円→5千円)する。大阪工業大の後期C日程(セ試利用)で、英語外部検定利用が可能に(得点換算)。大阪電気通信大で学科増設(工‐建築、総合情報‐ゲーム&メディア)の一方、金融経済学部を募集停止。関西医科大で看護学部を増設。甲南大‐文でセ試後期・セ試併用型後期を廃止。甲南女子大で医療栄養学部を増設。兵庫医療大はセ試利用入試で、薬が中期、看護が後期を廃止し、全3学部で面接併用型を新規実施する。
【中国・四国】
鳥取大・広島大・愛媛大が志願者増、島根大・徳島大・香川大・高知大が志願者減か。
<国公立大>
●鳥取大
17年の志願者22%減の反動で、地域【前】・医(医・生命科学・保健)【後】・工【前】【後】で志願者増が見込まれる。医(生命科学)【前】も、2次で面接を除外することが増加要因となりそうだ。一方、医(医)【前】は2次負担増(理科2科目を追加)が敬遠され、志願者減が見込まれる。
●島根大
開設2年目の人間科学は、前期が新設の島根県立大‐人間文化の影響を受け、後期は2段階選抜の新規実施が敬遠され、志願者減が見込まれる。総合理工は5→7学科に再編し、募集人員を前期223人→233人・後期77人→81人に増加(推薦枠を縮小)するが、前年の反動が強く、やはり志願者減で易化しそう。生物資源科学【後】も、農林生産学科の2次負担増(面接を追加)が敬遠材料となりそうだ。この他、前年の反動から、法文【後】・教育【後】・医(医)【前】で志願者増が、医(看護)【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●岡山大
教育【前】は「岡山県北地域教育プログラム」の新設(AOで実施)に伴う募集人員減(184人→154人)が敬遠され、志願者減は必至。
この他、前年の反動から、法[昼]【前】・理【前】・医(保健)【前】【後】・歯【前】【後】・環境理工【前】【後】で志願者増、法[昼]【後】・経済[昼]【前】・理【後】・医(医)【前】・薬【前】【後】・工【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。医(医)は臨時定員増の期限が切れるため、定員減(115人→112人)。前期の縮小(100人→98人)も敬遠されそう。一方、医(保健)【後】は募集人員減(20人→14人)のため、難化が見込まれる。
●広島大
「情報科学部」を新設(前期72人・後期6人)。人気分野だけに、多くの志願者を集めそうだ。一方、他学部の募集人員を「文【前】95人→90人、教育【前】326人→315人・【後】58人→55人、経済[夜]【前】27人→20人・【後】8人→5人、工【前】427人→398人・【後】41人→30人」に削減する。
総合科学でも学科増設(国際共創)、前期を募集人員増(100人→110人)。後期の募集形態も、文科系と理科系を「分けて試験実施→分けずに一括実施」に変更し、2次を面接に統一する。前年の反動もあり、総合科学【前】・法[昼]【後】・経済[昼]【前】・医(医)【後】・歯【後】・生物生産【前】【後】で志願者増、総合科学【後】・文【後】・法[昼]【前】・理【後】・歯【前】・薬【前】・工【前】【後】で志願者減が予想される。
●山口大
医(医)【前】で2段階選抜を新規実施し、2次で理科1→2科目に増加。敬遠材料となり、前年の反動もあって志願者減は必至。
この他、やはり前年の反動から、国際総合科学【後】・経済【前】【後】・理【前】【後】・農【前】で志願者増、国際総合科学【前】・医(医)【後】・工【前】【後】・共同獣医【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●徳島大
全学の志願者が「16年27%減→17年30%増」とゆれ戻した反動から、総合科学【後】・医(医)【前】・医(保健)【後】・歯【前】・薬【前】【後】・理工[昼]【前】【後】・生物資源産業【前】【後】で志願者減が見込まれる。薬は「学部一括募集→学科別募集(薬:6年制、創製薬科学:4年制)」に変更、薬学科が「後期を募集停止、前期で2次に集団面接を追加し、2段階選抜を新規実施」するため、前・後期とも大幅減は必至だ。一方、やはり前年の反動から、歯【後】・理工[夜]【前】で増加が見込まれる。
●香川大
工を4→1学科に統合、「創造工学部」に改組。募集人員を、前期156人→184人に増加、後期52人→49人に削減。前年の反動もあり、前期で志願者増、後期で大幅減が見込まれる。
一方、経済を3→1学科に統合し、経済[昼]の募集人員を前期136人→110人、後期45人→35人に削減。セ試で地歴・公民・理科の選択を3(4)科目→2(3)科目に軽減するが、前年の反動もあり、前・後期とも志願者減が見込まれる。
教育で人間発達環境課程を廃止し、医に「臨床心理学科」を増設(前期のみ募集)。人気分野だが、2段階選抜を実施するため要注意だ。
農で募集人員を変更(前期100人→105人、後期25人→15人)。この他、前年の反動もあり、教育【前】【後】・法[昼]【前】・医(医)【前】【後】・農【後】で志願者減、医(看護)【前】・農【前】で志願者増が見込まれる。
●愛媛大
17年の志願者15%減の反動で、法文[昼]【前】【後】・同[夜]【前】・教育【後】・社会共創【前】・医(医・看護)【前】・理【後】・工【前】で志願者増が見込まれる。一方、やはり前年の反動から理【前】・農【後】は志願者減か。医(医)【後】も2段階選抜の新規実施(予告倍率=約20倍)が敬遠材料となり、前年に続き志願者減が見込まれ、やや易化しそうだ。
●高知大
17年の志願者22%増の反動から、人文社会科学【前】・理工【前】【後】・農林海洋科学【前】【後】・地域協働【前】で志願者減が見込まれ、募集人員減(65人→60人)の医(医)【前】も、やや志願者減か。
一方、やはり前年の反動から、教育【前】【後】・医(看護)【前】【後】で志願者増が見込まれる。教育【前】は募集人員増(68人→78人)も増加要因となりそうだ。
●島根県立大
松江市に「人間文化学部」を増設(保育教育・地域文化の2学科)。また、出雲市の看護に「健康栄養学科」を増設し、「看護栄養学部」に名称変更。人間文化(保育教育)、看護栄養(健康栄養)は前期のみ実施。従来の短大部の志望者層も取り込み、多くの志願者を集めそうだ。
●山陽小野田市立山口東京理科大
薬学部を増設。一般入試は中期のみで実施するため、中国・四国~九州の医・薬学部志望者から幅広く併願されそうだ。
一方、工【前】【中】は前年の反動による減少が見込まれるが、中期はやはり中国・四国~九州北部の理工系志望者の併願先として、前年ほどではないが、高倍率の激戦が続くものとみられる。
●下関市立大
経済で前期120人→130人に募集人員増、中期193人→180人に削減。経済【前】は、全3学科で入試方式を統一し、新たにA方式(4教科型)・B方式(2~3教科型)に分割。3学科志望制を導入し、第3志望まで同時出願可になる。また、前・中期とも「入試成績優秀者入学金優遇制度」を導入(入学金を半額免除)。前年の反動もあり、前期で志願者大幅増が見込まれる。
この他、前年の反動から、公立鳥取環境大‐環境【後】・経営【前】【後】、岡山県立大‐保健福祉【前】【後】、県立広島大‐生命環境【前】【後】、広島市立大‐情報科学【前】【後】、山口県立大‐国際文化【後】・社会福祉【前】、高知県立大‐社会福祉【前】【後】・健康栄養【前】、高知工科大‐情報【前】【後】で志願者増が見込まれる。
一方で、岡山県立大‐情報工【前】、県立広島大‐人間文化【前】【後】・経営情報【前】・保健福祉【前】【後】、広島市立大‐国際【前】【後】・芸術【前】、山口県立大‐看護栄養【前】【後】、高知県立大‐文化【前】【後】・看護【前】【後】、高知工科大‐システム工【後】・環境理工【前】・経済・マネジメント【前】の志願者減が見込まれる。
<私立大>
国公立との併願が多い広島修道大は、新設学部(国際コミュニティ)や経済系を中心に志願者を集めそう。岡山理科大の獣医学部増設(申請中)と一般入試の負担軽減(教育・経営の前期SA・SB・SAB方式で、国語の除外範囲を「漢文→古文・漢文」に拡大)も、志望動向に影響を及ぼしそうだ。
【九州】
佐賀大・鹿児島大・西南学院大・福岡大が志願者増、大分大・宮崎大・北九州市立大が志願者減か。
<国公立大>
●九州大
文理融合型の「共創学部」を新設。一般入試は前期のみ(65人)で、同時に2段階選抜も導入(予告倍率=約4倍)。教育内容などの認知度不足のため、初年度は低倍率の見込み。また、理では「国際理学コース」を新設する。学部増設に伴い、他の11学部で定員減。そのうち、一般入試の募集人員減では、文【前】134人→119人、法【前】154人→146人、経済【前】185人→176人、理【後】44人→27人(数学科で後期を募集停止)、工【前】681人→665人の規模が大きく、志願動向に影響しそうだ。
前年の反動に加え、上記の募集人員減も影響し、文【前】【後】・法【前】・経済【前】【後】・理【後】・薬【後】で志願者減、法【後】・医(保健)【前】・芸術工【前】で志願者増が見込まれる。また、歯は後期を募集停止し、前期を募集人員増(42人→45人)。前期はやや志願者増が見込まれ、後期の併願先を鹿児島大‐歯【後】に求めるものと見られる。
●九州工業大
全学で「学科別募集→類別募集」に移行。工に「工学1~5類」、情報工に「情工1~3学類」を設け、募集段階では「類別入試」を実施し、入学後の2年進級時に所属学科を決定する。専門を決めかねる受験生の人気を集めそうだが、志願者増は小幅に留まりそうだ。
●佐賀大
全学の前・後期のセ試で、英語外部検定利用が可能になる(得点換算)。前年の反動もあり、教育【前】・芸術地域デザイン【前】【後】・経済【後】・医(医)【前】・医(看護)【後】・理工【前】・農【前】で志願者増、経済【前】・農【後】で志願者減が見込まれる。
●長崎大
多文化社会は、前期で学外試験場を変更(東京を廃止、大阪に新設)。2段階選抜の基準点も複数化し、前期は従来(セ試の外国語の得点率80%以上)に加え、「セ試の外国語75%以上、かつ外国語以外の3教科3(4)科目の得点率75%以上」も合格とする。また、後期は従来(セ試の外国語の得点率85%以上)に加え、「セ試の外国語80%以上、かつ外国語以外の2教科2科目の得点率80%以上」も合格とする。このため、前・後期ともやや志願者増が見込まれる。一方、歯【前】は2次負担増(面接を追加)が敬遠され、志願者減が予想される。
この他、前年の反動から、経済[昼]【前】【後】・環境科学【前】【後】・水産【前】【後】で志願者増、教育【前】【後】・医(医)【前】・医(保健)【前】【後】・歯【後】・薬【後】・工【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●熊本大
前年の反動から、文【前】・教育【後】・工【後】で志願者増、文【後】・法【後】・理【前】で志願者減が見込まれる。法【前】は、募集人員減(155人→145人)が敬遠材料となり、前年に続き志願者減か。また、医(医)【前】も、セ試の理科で生物が「必須→選択」になったことが、前年に続く志願者増に結びつくものと見られ、難化しそうだ。医(保健)で後期を募集停止するため、併願先を大分大‐医(看護)【後】、鹿児島大‐医(保健)【後】などに求めるものと見られる。
●大分大
福祉健康科学【前】【後】で2段階選抜を新規実施、敬遠材料となりそう。同【後】は前年の志願者増の反動もあり、前・後期とも志願者減が見込まれる。この他、前年の反動から、教育【前】【後】・経済【前】・医(看護)【前】【後】で志願者増、経済【後】・医(医)【前】・理工【前】【後】で志願者減が予想される。医(看護)【前】【後】の場合、セ試で「地歴A科目、現代社会、倫理、政治・経済」が選択可能になることも、志願者増の要因となりそう。大分県立看護科学大【前】【後】から流入しそうだ。また、理工【前】からは、2次の英語を覚悟で、宮崎大‐工【前】、鹿児島大‐工【前】へ流出するものと見られる。
●宮崎大
17年は全学で志願者10%増。その反動から、教育【後】・医(医)【前】【後】・医(看護)【前】【後】・工【後】・農【前】・地域資源創成【前】【後】で志願者減の見込み。ただし、医(看護)【前】はセ試の数学が1科目ですむため、小幅な減少となりそう。また、地域資源創成【前】で学外試験場を新設(東京)するが、影響は小さそうだ。
一方、やはり前年の反動から、教育【前】・工【前】で志願者増が見込まれるが、工【前】は2次の英語が敬遠材料となり、小幅な増加となりそうだ。
●鹿児島大
17年に法文・教育の改組もあって、志願者20%減の反動から、法文【前】・教育【前】・理【前】【後】・工【前】【後】・医(医)【後】・医(保健)【前】【後】・歯【前】・農【前】【後】・水産【前】【後】・共同獣医【前】【後】で志願者増が見込まれる。ただし、医(保健)【後】は募集人員減(18人→13人)で難化しそうだ。また歯【後】は、後期廃止の九州大‐歯【前】から併願増が予想される。一方、やはり前年の倍率アップの反動から、法文【後】・教育【後】の志願者減が見込まれる。
●琉球大
法文(定員405人)・観光産業科学(同140人)を、人文社会(同200人:3学科8プログラムで構成)・国際地域創造(同345人:昼間主コースは1学科5プログラム、夜間主コースは1学科3プログラムで構成)の2学部に改組。夜間主コースを国際地域創造に統合する。国際地域創造【前】【後】では「国際的思考系」「論理的思考系」「数学的思考系(昼間主コースの前期のみ)」に分けて募集(2次の科目による)。入学後、両学部とも2年次から各プログラムに配属される。地区外の認知度不足から、改組前と比べ、志願者減が見込まれる。
この他、前年の志願者14%減の反動から、教育【前】・理【前】【後】・医(医)【後】・医(保健)【後】・農【前】【後】で志願者増が見込まれる。農【前】は健康栄養科学コースで、2次を「小論文・面接→数学・理科」に変更したことも、増加要因となりそう。一方、医(保健)【前】は2次負担増(面接を追加)が敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。
●北九州市立大
前年の17%増の反動から、経済【前】【後】・法【前】・地域創生【前】・国際環境工【前】【後】で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、文【前】【後】・法【後】で志願者増が見込まれる。外国語は募集人員減(前期166人→161人、後期26人→21人:推薦・AO枠を拡大)がやや影響しそうだ。
●長崎県立大
17年の20%減の反動から、経営【前】・地域創造【後】・国際社会【後】・情報システム【前】【後】・看護栄養【前】【後】で志願者減が予想される。佐賀大‐経済【前】などから流入しそうだ。一方、やはり前年の反動から、地域創造【前】で志願者減が見込まれる。
●熊本県立大
前年の反動から、文【前】【後】・環境共生【後】で志願者増、総合管理【前】【後】で大幅減が見込まれる。
<私立大>
西南学院大は、17年に大幅定員増(全学で280人増:約17%増)にも関わらず志願者2%減で倍率ダウンした反動で、志願者増は必至。また、福岡大は定員増(全学で310人増:約8%増)が人気を集めそう。いずれも国立大志願者からの併願増が見込まれる。
この他、九州産業大の文系学部の大規模改組(人間科学・地域共創の2学部を増設、商1・2部と経営を「商学部」に統合)、久留米大でセンタープラス入試(独自・セ試併用)を新規実施し、文系5学部の一般入試で同一試験日の複数同時併願が可能になる、熊本学園大で一般前期が1回の受験で学部の枠を超えて3併願まで可能になる、などが注目される。
(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2017年11月号)」より転載いたしました。