入試動向分析

2016年の私立大入試はこう変わる!【2015年9月】

2015(平成27)年度

「英語外部試験利用」の導入が加速! センター利用入試の変更も目立つ

 

 私立大の入試ガイドがほぼ出そろった。インターネット出願の導入や英語外部試験利用など、私立大入試(おもに主要校の一般入試)のどこが変わるのか、どのような大学・学部・学科が新設されるかを紹介する。

 

※この記事は『螢雪時代・2015年9月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

 

 

人気校の変更点を総まとめ!
青山学院大・立教大・関西学院大などで英語外部試験を新規利用!

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 全国のおもな私立大の入試変更点で、志望動向に影響しそうなものを一挙に掲載した。英語外部試験を利用する方式の導入が目立ち、センター試験利用入試に関する変更(募集回数の増加や新方式実施)も多い。また、インターネット出願(以下、ネット出願)を導入する大学は、2015年と同じく、大幅に増えそうだ。

 

志望校の入試のしくみを把握し、的確でムダのない受験対策を!

 

 『螢雪時代』編集部では、全国の大学から2016年(以下、16年)入試の概要(科目・配点、募集人員、日程など)を掲載した「入試ガイド」を集めた。
 私立大入試のしくみは多様かつ複雑で、しかも毎年のように変更される。15年の数学、理科に続き、国語、地歴、公民、英語が新課程科目に移行するが、その他に大規模な入試改革や、出願システムの変更などが数多くあるのだ。
 ここでは、おもに全国各地区で志願者数の比較的多い大学の「入試ガイド」から、新課程への移行に伴う変更以外で、15年に比べ大きく変更され、志望動向や難易変動に影響しそうな注目ポイントについて、独自入試、センター試験(以下、セ試)利用入試を中心に(一部、AO・推薦についても)紹介する。
 『螢雪時代』9月号付録「2016年 全国私立大学 入試科目・配点一覧」とあわせ、志望校の入試情報をしっかりつかみ、得意科目を最大限に生かせる、効率的な受験対策や併願作戦をたてよう。そして、くわしくは各大学の入試ガイドや募集要項を必ず取り寄せ、確認してほしい。

 

東京理科大・明治大・南山大などでネット出願を導入

 

(1)ネット出願

 15年に私立大の約3分の1が実施した「ネット出願」は、16年入試でも導入校が大幅に増えそう。また、ネット出願に伴う受験料割引(以下、ネット割)を併せて導入するケースも見られる。さらに、ネット出願に全面移行(紙の願書を廃止)する大学が目立つ。
 ネット出願は、ネット環境さえ整っていれば、出願締切日の深夜まで「いつでも、どこでも」出願でき、記入ミスも未然に防げる利便性が持ち味。ネット割があれば、受験料も節約できる。
 青山学院大・国際基督教大・東京理科大・明治大・南山大が一般入試(国際基督教大以外はセ試利用を含む)でネット出願を導入し、紙の願書を廃止。学習院大でも一般入試でネット出願を導入するが、紙の願書も併用する。また、専修大では一般入試・セ試利用入試でネット出願(紙の願書と併用)を導入するが、あわせて受験料割引(ネット割)も導入する。
 この他にも、東北学院大・獨協大・大妻女子大・金沢工業大・関西外国語大・武庫川女子大・松山大・熊本学園大など二十数校で、ネット出願を導入する予定(ただし、対象となる入試やネット割の有無は各大学で異なる)。
 すでに実施している大学では、京都産業大・龍谷大が一般入試・セ試利用・公募推薦をネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止(受験料割引は継続)。また、亜細亜大・大東文化大もネット出願に全面移行(一部方式を除く)。東海大は医学部もネット出願の対象に追加する。

 

(2)英語外部試験利用

 急速な国際化に対応するため、各大学で“グローバル人材”育成が重視される中、入試面でも、実践的な英語運用能力を持つ入学者の確保へ向け、従来の入試方式の中で、独自試験やセ試の英語の代わりに、4技能(読む、聴く、書く、話す)を測定できる「英語外部試験」を利用する方式の導入が目立つ。
 青山学院大・法政大・立教大・関西学院大などで「指定の基準以上で出願可。あとは英語以外の科目で合否判定」する方式を新規実施。また、中京大・南山大・立命館大などで「指定基準に達すれば、英語を満点、またはレベルに応じた得点に換算し、他科目と合算」する方式を導入する。
 
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 この他には、次のような特徴がみられる。
(3)AO・推薦入試では、基本的に自己推薦であるAOを縮小・廃止し、高校長の推薦が必要な公募推薦や指定校推薦を拡大・導入するケースが目立つ(東北工業大・清泉女子大で公募推薦を新規実施、など)。
(4)首都圏を中心に、セ試利用入試における新方式の実施(成蹊大‐文・経済、中央大‐法、法政大‐社会、早稲田大‐文・文化構想)や、募集回数増(獨協大・國學院大)が目につく。
(5)「ネット割」以外でも、学内併願時の受験料割引制度の導入、奨学生制度の拡充など、受験生を経済面で支援する改革が目立つ。特に、専修大・関西大・福岡大など、入学前予約型の給付奨学金の新設が注目される。

 
 

●変更点一覧の見方

文中、学部・学科名は原則として略称とし、例えば「医(看護)」のように記載。入試方式・日程等も略称とし(例:一般入試前期日程→一般前期、セ試利用入試前期→セ試前期)、変更点は「15年→16年」で表記した。また、誌面の都合上、学科単位の変更や、ほぼ変更のない大学については、原則として割愛した。

 
 

北海道・東北~関東・甲信越

 

早稲田大‐文・文化構想でセ試利用入試を複線化

 

●北海学園大
 (1)経営1部の一般入試で、英語からリスニングを除外。/(2)人文2部でセ試利用入試を新規実施(セ試Ⅱ期として)する。
●岩手医科大
 (1)医の一般入試で名古屋会場を増設。/(2)歯・薬で一般中期を廃止する。
●東北学院大
 一般後期・セ試後期で、ネット出願とその際の受験料割引(ネット割)を導入する。
●獨協大
 (1)一般入試・セ試利用入試でネット出願を導入(紙の願書と併用)。/(2)一般A方式で「外部検定試験活用型」を新規実施。学科指定の基準以上なら、英語以外の2科目で合否判定する。/(3)全学部でセ試利用中期を新規実施。/(4)経済のセ試利用後期に、5科目型を追加する。
●青山学院大
 (1)一般入試・セ試利用入試でネット出願を導入し、紙の願書を廃止。/(2)文(英米文)の一般C方式、および地球社会共生・総合文化政策の一般B方式で、TEAP利用型(文<英米文>は4技能、他は「読む、聴く」の2技能)を新規実施。学部・学科指定の基準を満たせば、文(英米文)は英語以外の2科目、その他は小論文のみで受験可。/(3)総合文化政策の一般入試で、募集人員を「A方式90人→65人、B方式30人→45人、全学部日程30人→40人」に変更。/(4)地球社会共生でセ試利用入試を新規実施する。
●亜細亜大
 (1)入試名称を「A方式→一般(学科別)、B方式→セ試利用入試、C方式→全学統一入試(前期)、T方式→同(後期)」に変更し、全学統一入試で中期を新規実施。/(2)全学統一入試の前期・中期に3教科型(独自・セ試併用)を追加。/(3)一般入試・セ試利用入試で、ネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止する(受験料割引は継続)。
●学習院大
 (1)一般入試でネット出願を導入する(紙の願書と併用)。/(2)国際社会科学(新設予定)でAO入試・公募推薦を新規実施する予定。
●北里大
 (1)医で一般入試の募集人員を削減(89人→84人)、指定校推薦枠を増加(30人→35人)。また、一般入試の試験日を「1次=1/24→1/30、2次=1/31・2/1→2/6・7」に繰り下げる。/(2)獣医(獣医)で一般後期を、同(生物環境科学)でセ試利用後期を新規実施する。
●共立女子大
 (1)国際で独自・セ試併用入試を新規実施。/(2)看護が全学部日程の統一入試に新規参加。
●慶應義塾大
 経済の一般入試で、募集人員を「A方式480人→420人、B方式240人→210人」に削減。
●國學院大
 (1)V方式(セ試利用)でⅡ期を新規実施。/(2)C日程(独自・セ試併用)を廃止。/(3)法で、V方式Ⅰ期・A日程受験者を対象に、書類選考(エントリーシート・調査書)を加えて合否判定する「法学部特別選考」を新規実施。/(4)人間開発のB日程を2→3科目に増加。/(5)経済では、A日程(学部学科特色型)で学部内併願制度を導入(3学科まで同時併願可)する。
●国際基督教大
 一般入試(A・B方式)でネット出願を導入し、紙の願書を廃止する。
●国士舘大
 政経で、公募制推薦の募集人員を142人→195人に増加、一般後期を41人→15人に削減。
●実践女子大
 (1)一般Ⅰ期で学外試験場(仙台・新潟・長野・静岡)を廃止、3科目型を追加(従来は2科目型)し、全学部統一入試を3科目型で実施。/(2)セ試利用Ⅲ期を新規実施(文‐国文・美学美術史を除く)。
●芝浦工業大
 セ試利用入試で、英語のリスニングを「選択→必須」に変更(従来は「筆記のみ」と「リスニングを含む換算点」のうち高得点の方を採用)。
●上智大
 (1)全学部統一日程「TEAP利用型入試」の募集枠を拡大(全体で384人→402人)。また、TEAPについて、新たに技能ごとの基準スコアを設定し、文(英文・新聞)・総合人間科学(社会・教育)・法律(国際関係法)・経済・外国語(英語)・総合グローバルは4技能全ての利用に移行(他は「読む、聴く」で変更なし)。/(2)外国語(英語)のTEAP利用型で2次(英語、面接)を廃止する。
●成蹊大
 (1)文で独自・セ試併用のP方式(国公立併願アシスト入試)を新規実施。セ試5科目とE方式(全学部日程)1科目で判定。/(2)経済のセ試利用で、3月実施のM方式(多面評価型入試)を新規実施(セ試5科目+グループ面接)。/(3)E方式で会場を変更(長野を廃止、仙台に増設)。
●成城大
 (1)一般A方式の試験日を「2/10~13→2/4~7」に繰り上げる。/(2)文芸でS方式(全学部統一入試)の募集枠を拡大(30人→45人)。/(3)S方式で静岡会場を増設する。
●専修大
 (1)7学部で定員増(文660人→674人、法1部700人→715人、経済1部680人→695人、経営530人→542人、商1部660人→675人、人間科学190人→194人、ネットワーク情報230人→235人)を予定。/(2)一般入試・セ試利用入試でネット出願およびネット割を導入(紙の願書と併用)。/(3)スカラシップ入試の募集枠を拡大(40人→60人)し、基準点と志望理由書提出を廃止。/(4)入学前予約型の給付奨学金制度「専修大学進学サポート奨学生」を新設する(200人を採用。4年間、授業料の半額相当額を支給。首都圏の1都3県以外の出身者が対象)。
●大東文化大
 (1)経営学部を「2→1学科」に統合する予定。/(2)推薦・一般・セ試利用入試で紙の願書を廃止し、ネット出願に全面移行する。
●玉川大
 農・リベラルアーツ・観光で、独自・セ試併用型入試を新規実施。
●中央大
 (1)文系5学部の統一入試と、理工のセンター併用方式(理数選抜入試)で金沢会場を増設。/(2)総合政策で「プロフェッショナルコース」を廃止。また、同学部の統一入試で4教科型を廃止する。/(3)法のセ試利用単独方式前期で、3教科型を新規実施する(従来は5教科型)。
●帝京大
 (1)8学部で、一般入試・セ試利用入試とも「2→3科目」に増加(医・薬は従来から3科目)し、全学部で英語が「選択→必須」に。
●東海大
 (1)医でセ試利用入試(前・後期)を新規実施する(従来は神奈川県地域枠入試として実施)。/(2)医の一般入試・セ試利用入試でネット出願・ネット割を導入。/(3)一般A方式で、健康科学(看護)の試験日を「2/2・3→2/7~9」に繰り下げ、体育を「2/9~11→2/7~9」に繰り上げる(それぞれ、試験日自由選択制)。
●東京経済大
 (1)一般前期でベスト2型(3教科受験の高得点2教科判定)を新規実施。/(2)セ試利用入試で、英語を「筆記・リスニング合計」と「筆記のみ(250点に換算)」のうち、高得点の方を合否判定に利用する方式に変更する。
●東京女子医科大
 医の一般入試に小論文を追加する。
●東京電機大
 情報環境の一般後期で科目増(2→3科目)、英語を「選択→必須」に。
●東京都市大
 環境のセ試利用入試で5教科型を新規実施。
●東京理科大
 (1)経営を定員増(240人→480人)し、キャンパスを移転(埼玉県久喜市→東京都新宿区)。/(2)A方式(セ試利用)・B方式(一般入試)・C方式(セ試併用)・グローバル方式でネット出願を導入し、紙の願書を廃止。/(3)薬のB方式で数学の出題範囲に数Ⅲを追加。/(4)新設予定の経営(ビジネスエコノミクス)の一般入試で「グローバル方式」を新規実施。出願資格(TEAPがリーディング・リスニング2技能合計で100点以上)をクリアすれば、数学のみで受験可。
●東邦大
 (1)医(医)の一般入試の1次で、小論文を基礎学力試験(論理的思考力・数理解析能力等を問う)に変更。/(2)理(化学・生物・生物分子科学・生命圏環境科学)でセ試利用後期を新規実施。
●東洋大
 (1)法のセ試利用前期に5教科型を追加。/(2)経済のセ試前期3科目型で「英語外部試験利用入試」を新規実施(出願資格に利用)。/(3)国際地域のセ試前期ベスト2型で、英語外部試験が基準(英検準1級など)を満たせば、英語を満点とみなす制度を導入。/(4)ライフデザインの一般入試で「実技入試(実技のみで判定)」を新規実施する。
●日本大
 (1)国際関係でA方式3期を廃止。/(2)医がN方式1期(学部共通入試)に新規参加(ただし、2次に小論文・面接・適性検査を課す)。/(3)歯でセ試C方式2期を新規実施する。
●日本医科大
 医で試験日を「1次=2/2→1/25、2次=2/12・13→2/3・4」に繰り上げる。
●日本女子大
 家政(被服・家政経済)・人間社会(現代社会・教育・心理)で、セ試利用後期を新規実施。
●法政大
 (1)グローバル教養でT日程(全学部日程)を新規実施。/(2)人間環境・現代福祉・グローバル教養・スポーツ健康・情報科学・生命科学で「英語外部試験利用入試」を新規実施。英語外部試験で学部指定の基準以上なら、英語以外の1科目で合否判定(T日程と同日実施)する。募集人員は6学部合計で35人。/(3)社会のセ試利用入試でC方式(5教科6科目型)を新規実施し、B方式のうち4科目型を廃止する。
●武蔵野大
 (1)グローバル・コミュニケーションを「グローバル学部」に改組(1→3学科に分割)する予定。/(2)全学部の一般入試(S・A・B日程)で、英語外部試験利用の「グローバル方式」を新規実施。英語に代えて、英語外部試験の成績を利用(英検2級=80点、準1級以上=満点に換算、など)。
●明治大
 (1)一般入試・セ試利用入試でネット出願(割引なし)を導入し、紙の願書を廃止。/(2)法で一般選抜の募集人員を350人→330人に削減(海外就学者特別入試を、若干名→10人に増員)。/(3)商のセ試利用入試で、募集人員を「前期6科目方式15人→25人、後期18人→25人」に増やし、指定校推薦を削減(148人→131人)。/(4)政治経済(地域行政)でセ試利用後期を廃止する。
●立教大
 全学部日程で「グローバル方式」を新規実施(従来型は「3教科方式」と改称)。英語の試験に代えて、4技能(読む、聴く、話す、書く)を評価する英語外部試験を出願資格(例:TEAP226点、英検準1級など)として利用する。試験当日は外国語(英語)以外の2教科を受験。募集人員は全体で「3教科方式472人、グローバル方式131人」、両方式の併願は不可。
●立正大
 経済で指定校推薦の募集枠を75人→85人に拡大する一方、セ試前期を40人→35人、3月試験を20人→15人に削減する。
●早稲田大
 (1)文・文化構想のセ試利用入試で、セ試(6または7科目)のみで判定する方式を追加(従来は「独自2教科+セ試1教科」の併用型)。募集人員は「文=セ試のみ・併用各25人、文化構想=セ試のみ・併用各35人」。/(2)商でセ試利用入試を「6または7科目→5または6科目」に軽減する。

 
 

北陸・東海~九州

 

関西大・福岡大で入学前予約型の給付奨学金制度を新設

 

●金沢工業大
 (1)ネット出願を導入(紙の願書と併用)。/(2)一般前期を「2→3教科」に増加。/(3)セ試利用前・後期で、英語を「選択→必須」にする。
●金城学院大
 (1)セ試利用前期を「2→3教科」に増加。/(2)セ試プラス方式で、セ試を「2→1教科」に軽減。
●中京大
 10学部で、前期A方式に「英語基準型」を導入。英語外部試験の基準(英検準1級など)を満たせば、英語を満点とみなし、他の2教科とあわせて判定する。
●南山大
 (1)一般入試・セ試利用・セ試併用でネット出願を導入し、紙の願書を廃止。/(2)全学統一入試で、英語外部試験が基準(TEAP360点など)を満たせば、英語を満点とみなす制度を導入。/(3)人文・外国語で、全学統一入試の個別学力試験型を新規実施する。
●藤田保健衛生大
 医療科学でセ試プラス(一般前期とセ試前期の高得点科目を採用)を新規実施する。
●名城大
 (1)外国語学部を開設予定(定員130人)。/(2)法を「2学科→1学科3コース」に再編し、定員減(530人→400人)の予定。/(3)農でF方式(独自・セ試併用)を新規実施。/(4)経営・外国語で「英語資格取得者特別入試」を新規実施する。
●京都産業大
 (1)理に「宇宙物理・気象学科」を増設予定。/(2)一般入試・セ試利用入試・公募推薦をネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止する(受験料割引は継続)。
●京都女子大
 (1)文・発達教育・家政・法のセ試利用前期で、5科目型を追加。/(2)発達教育・法でセ試利用後期を新規実施する。/(3)一般前期で、英語の解答方式を「記述式→マークシート」に変更。
●同志社女子大
 看護でセ試利用入試を新規実施する。
●立命館大
 (1)法で「特修」を募集単位とせず、学部一括募集に変更(2年進級時に、法政展開・司法特修・公務行政特修のいずれかを選択)。/(2)理工・生命科学・薬で、学部個別配点方式に「理科2科目型」を追加。/(3)全学(法・理工を除く)のセ試利用入試(7科目型・5教科型・3教科型・後期)で、英語外部試験が指定の基準以上(英検準1級など)の場合、セ試の英語を満点として換算。/(4)国際関係のIR方式で英語リスニングを廃止し、英語外部検定の成績を新規利用(英検2級=80点、準1級以上=満点に換算、など)。
●龍谷大
 (1)農でセ試利用入試を新規実施。/(2)一般入試・セ試利用入試・公募推薦をネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止(受験料割引は継続)。
●追手門学院大
 (1)地域創造学部でセ試利用入試を新規実施。/(2)一般S日程で後期を廃止。/(3)一般B日程で3科目方式を廃止する。
●大阪薬科大
 一般Aの募集人員を増加(80人→90人)し、セ試利用入試を削減(後期も含め30人→20人)。
●関西大
 (1)法・経済で全学部日程に「同一配点方式」を追加。/(2)経済のセ試利用入試で、4科目型と6科目型を追加。/(3)入学前予約型の「学の実化(じつげ)入学前採用型給付型奨学金」を新設する。一般入試・セ試利用入試の受験者が対象。
●近畿大
 (1)法で定員減(680人→500人)の予定。/(2)医のC方式セ試で、前・中期ともに2次(小論文・面接)を追加。/(3)法・経済・経営・文芸・総合社会の5学部で、一般入試に学部内併願方式(同一学部内の複数学科等を同時併願可)を導入(従来は一般公募推薦で実施)。
●摂南大
 (1)4学部で定員増(法・経済各220人→250人、経営260人→270人、理工450人→500人)を予定。/(2)法・外国語・経済・経営の前期A日程を2→3教科に負担増(国語を選択→必須に)。/(3)前期B日程の試験日を「2/9・10→2/3・4」に繰り上げる。/(4)セ試利用前期で、法・外国語・経済・経営は2科目型を、理工・薬・看護は2教科型を廃止し、4科目型を追加。
●関西学院大
 (1)全学部のセ試利用入試(1月出願)で「英語検定試験活用型」を新規実施。英語外部試験(TEAP、英検準1級など)を出願資格として活用し、各学部が指定する、英語以外のセ試の科目で合否判定。/(2)全学日程で学外試験場を変更(長崎を廃止、奈良に新設)。
●神戸学院大
 (1)法・経済・経営・人文・現代社会・総合リハビリテーション(社会リハビリテーション)の一般前期で、複数学部・学科の同時併願制度(最大8学科)を新規実施。/(2)グローバル・コミュニケーションでセ試利用入試を新規実施する。
●神戸女学院大
 一般前期の学外試験場を、高松・広島に増設。
●神戸薬科大
 一般中期を「英語必須、化学・生物から1選択」から「化学・数学各必須」に変更する。
●兵庫医科大
 (1)一般入試の募集枠を拡大(74人→79人)し、公募推薦を削減(15人→10人)。/(2)一般入試の学外試験場を名古屋に増設する。
●武庫川女子大
 (1)ネット出願・ネット割を導入(紙の願書と併用)。/(2)学内併願割引の対象を拡大。公募推薦前期・後期、一般A(前期)・B(中期)をまとめて適用する(従来は各入試の中で併願割引を実施)。/(3)看護でセ試利用入試を新規実施。
●広島修道大
 一般前期C日程で、資格・検定等を評価・加点(例:英検準2級=5点、2級以上=10点)する制度を導入。
●松山大
 (1)一般入試・セ試利用入試でネット出願を導入し、紙の願書を廃止。/(2)経済で一般Ⅱ期の募集人員を削減(173人→153人)し、セ試利用前期を増加(30人→45人)する。
●西南学院大
 一般A日程の同一日内併願(他学部・学科・専攻との同時併願)が、法でも可能となる。
●福岡大
 入学前予約型の「七隈(ななくま)の杜」給付奨学金を新設。一般入試(系統別、前期)、センタープラス型入試、セ試利用Ⅰ期の受験者が対象。
●熊本学園大
 (1)推薦入試・一般入試・セ試利用入試でネット出願を導入し、紙の願書を廃止。/(2)セ試利用入試でC日程を新規実施する。
●立命館アジア太平洋大
 (1)セ試方式で7科目型を新規実施(従来は3教科型・5教科型)。/(2)セ試方式(後期)を「3または4科目→4または5科目」に増加する。

 

☆TEAPとは?

 TEAP(アカデミック英語能力判定試験)とは、上智大と日本英語検定協会が共同開発した、大学で学習・研究を行う際に必要とされる総合的な英語運用力を測定するテスト。「読む、聴く、書く、話す」の4技能で構成され、レベルは英検準2級~準1級程度とされる。年3回、全国11都市で実施し、複数回受験が可能。

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新設大学・学部・学科をチェック!
学習院大・近畿大・岡山理科大など、国際系と教員養成系の新設が目立つ

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 ここからは、全国の私立大について、16年度に新設予定の大学・学部・学科等(既存の学部・学科の組織改編を含む)を紹介する。学習院大‐国際社会科学、近畿大‐国際など、国際系や教員養成系の新設が目立つ。一方、看護系については、15年の“新設ラッシュ”に比べて少なめとなった。

 

37年ぶりに医学部開設か? 看護系の新設予定は少なめ

 私立大における、16年度の新設予定大学、および学部・学科の増設予定(認可申請分)、さらに学部・学科の改組・再編等に伴う増設で、5月末までに文部科学省に「設置届出」があったもの(7月末発表)を、このページ下にリンクした。
 学問分野や教員組織等を大きく変えないなど、一定の条件を満たす場合に限り、文部科学大臣に届け出れば学部・学科等を増設できる(設置届出)。その他の学部・学科増設や、大学そのものの新設には「認可申請」が必要で、最終的には8月末に正式に認可される予定だ。なお、16年度から「認可申請」については、申請締め切りが「大学の新設=3月末→前年10月末、学部・学科増設=5月末→3月末」に、認可が下りる時期が「10月末→8月末」に繰り上がった。

●大学の新設と短大の募集停止

 通信制の滋慶大が新設予定。一方、4短大(亜細亜大短大部・名古屋学芸大短大部・成美大短大部・鈴峯女子短大)が募集停止の予定だ。

●学部・学科増設(設置届出)

 5月末までの届出分は、学部増設が日本大‐スポーツ科学・危機管理、立命館大‐総合心理、近畿大‐国際など17大学21学部等、学科増設が16大学19学部29学科となった。届出は12月まで随時受け付けられるので、今回の掲載分は16年度のごく一部に過ぎない(なお、6月以降の届出分の一部を変更点一覧に掲載)。

●学部・学科増設(認可申請)

 認可申請したのは、学部増設が15大学15学部、学科増設が8大学8学部8学科。この中では、認可されれば37年ぶりとなる医学部新設(東北薬科大)や、学習院大‐国際社会科学、岡山理科大‐教育など、最近のトレンドといえる「国際系と教員養成系」の新設予定が注目される。
 今回の申請で、私立大の定員は約1,200人増える。さらに別途申請中の定員増(約2,700人)も加えると、私立大全体の定員は約3,900人増える(通信教育課程と編入学定員を除く)。

●新設大学・学部・学科の特徴

 分野別に見ると、相変わらず医療系が多い中で、看護学部・学科を増設する大学は6校と、前年同時期(15校)より少なめとなった。全大学の約3分の1が看護学部・学科を設置し、飽和状態になっているのに加え、看護系専門学校などとの競合もあって、看護系自体の志願者数がここ数年で頭打ちになったためとみられる。
 むしろ前述の通り、国際系と教員養成系の増設予定が目立つ。また、宮城学院女子大(1→4学部)、白百合女子大(1→2学部)と、1学部構成の女子大の複数学部化も注目される。
 新設大学・学部・学科等の詳細は、案内パンフレットや募集要項などで必ずチェックし、不明の点は入試担当者に問い合わせてほしい。

 
pdf平成28年度 大学・短大新増設一覧(7月末現在までの発表分)
 

 ●お詫びと訂正

小社刊『螢雪時代・2015年9月号』の「2016年の私立大入試はこう変わる!」98ページと、同「“グローバル人材育成入試”とは何か?」162ページにおいて、青山学院大の文学部英米文学科、地球社会共生学部、総合文化政策学部の「TEAP利用型」入試について、『総合文化政策学部は「読む、聞く」の2技能、他は4技能』と掲載しましたが、地球社会共生学部も2技能のみ利用するため、正しくは『文学部英米文学科は4技能、他は「読む、聞く」の2技能』となります。読者ならびに大学関係各位にお詫びして訂正いたします。なお、当サイトに転載した同記事については修正済みです。

 

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2015年9月号)」より転載いたしました。

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