入試動向分析

2015年新課程一般入試の難易変動はこうなる!?【2014年11月】

2014(平成26)年度

《国公立大》東京大や首都圏準難関校が志願者減、京都大・東京工業大が志願者増!?
《私立大》青山学院大・立命館大・龍谷大が志願者増、法政大は志願者減!?

 

 いよいよ受験勉強が本格化する時期に入った。2015年は「新課程入試」が数学・理科でスタート。各大学の科目指定は、出願時に最も注意すべきポイントになる。「大学受験生数は微増、センター試験の平均点はややアップ」と予想される中で、国公私立大の難易や人気度がどう変わるのか。ここでは、高校・予備校の進路指導の先生方へのアンケートを中心に、さまざまな変動要因を総合し、2015年“新課程”一般入試の動向を予測する。

 

※この記事は『螢雪時代・2014年11月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)。

 

 

志願者数は国公立大1%増、私立大3%増か。新課程理科とネット出願が最大の変動要因に!?

 

 2015年(以下、15年。他年度も同様)の大学受験生数は微増(約1%増)が予想され、一般入試の志願者数は国公立大が約1%増、私立大が約3%増と予測される。センター試験は新課程初年度でやや易化する見込みだが、実施方法が変わる理科の影響で安全志向が継続、私立大志向が強まりそうだ。学部系統別では理・工・農・医の志願者増は小幅、国際系は大幅増の一方で、文・法・経済・教員養成・歯・薬の志願者減が予想される。

 
 

センターの志願者数は14年より微増、56万6千人程度か

図1 大学受験生数とセンター試験出願者数、現役志願率の推移

 文部科学省発表の『平成26年度学校基本調査速報』によると、14年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が66万2千人と、前年比で2.6%減少した。15年は、大学・短大への現役志願率はほぼ14年並みとみられるが、18歳人口の増加(1.6%増)が見込まれることから、大学受験生数は本誌推定で66万8千人と、前年比で約6千人(0.9%)増加するとみられる。
 センター試験(以下、セ試)の出願者数はどうなるか。国公立大志向は根強く、セ試の参加大学数は公立で2大学、私立で2大学増えるうえ、14年私立大入試において、セ試利用入試は大学の独自入試に比べ志願者増加率が高かったこともあり、志願者が増える素地はある。
 アンケートにおける先生方の予測を平均すると、セ試の出願者数は「56万2千人」となる。これに前述の要素も考慮すると、最終的には大学受験生数の増え方に比例した変動が予想される。15年のセ試の出願者数は、14年より約1%増の56万6千人程度と予測する。

 

【国公立大】新課程理科の科目指定を意識し、安全志向の強さは14年並み!?

 15年度のセ試は、旧課程からの切り替わりで、新課程科目として先行実施される数学・理科、特に理科の「基礎科目」が、初年度のため比較的取り組みやすい出題レベルになるとみられる。また、国語は13・14年と2年連続で難化した反動で、やや易化する可能性が高い。このため、全体としては平均点アップが見込まれ、国公立大への出願を促す要因となりそうだ。しかし、本誌アンケートにおける先生方の回答を見ると、国公立大志向が「前年並み」「やや弱まる」との回答が増え、「強まる」「やや強まる」が減った(後述)。これは、やはりセ試の理科の影響が大きい。

 

●「新課程理科」の影響

 「基礎」を付した科目(以下、基礎科目)と付さない科目(以下、発展科目)の2種類の存在、4つの選択パターン(A~D)と出願時の事前申請など、実施方法が複雑化。これに、発展科目は「第1・第2解答科目」の優先順位が絡む。さらに、各大学の科目指定の多様さ(系統別に最も一般的なパターンを図2で示した)もあり、文系受験者(おもに中堅校志望者)は「基礎」とはいえ2科目受験の負担感から国公立大をあきらめ、私立大へ流出することも想定される。また、旧課程の理科Ⅰ・Ⅱを合わせたボリュームの「発展科目」の2科目受験は、理系であってもやはり負担感がある。このため、国公立大全体の志願者数は前年比1%程度の増加に留まりそうだ。
 各大学の科目指定のパターンが多様なので、選択科目次第で併願先や志望変更先が制限される恐れがある。このため、標準的で他と併願しやすい科目指定の大学・学部に志願者が集まり、逆に併願しにくく負担も大きければ志願者減が予想される。また、文系ではセ試で理科を課さないか、選択不要な学部・学科が人気アップしそうだ。既卒者(いわゆる浪人)は、旧課程履修者への経過措置(セ試では旧課程科目を別途出題)が15年限りなので、「後がない」意識は14年以上に強く、もともと安全志向が強い現役生とあわせ、“慎重出願”に走るものとみられる。また、地元志向も強く、地区ブロックの中で、ランクダウンなど堅実な出願や、前年の倍率変動や難易変動を強く意識した出願が予想される。

 
図2 新課程理科の科目指定 最も一般的なパターン(国公立・私立および学部系統別
 

●その他の変動要因も多数

 国公立大の選抜方法の変化(14年→15年:文部科学省集計)を表1に示した。15年新課程入試では、数学・理科の科目指定や項目指定以外にも、入試科目や募集人員に関する変更が多い。
 一般入試では、新課程への移行を契機に、セ試や個別試験(以下、2次)の負担増を行う大学が目立つ。表1では、セ試で4教科以上を課す学部数が増加している。筑波大‐人文・文化学群、信州大‐経済の前・後期や、静岡大‐人文社会科学[昼]・情報、京都大‐総合人間(文系)・文・法の前期などでセ試の科目数を増やす。また、表1から変化は読み取れないが、群馬大‐理工、岡山大‐理・農、熊本大‐理の前期など、理系学部の2次で英語を追加するケースが目立つ。
 募集人員の変動をみると、広島大‐薬、山口大‐教育などで後期を廃止し、千葉大‐法政経、信州大‐医(医)などでも後期を削減し、前期を増加。一方、兵庫県立大‐工で募集人員の配分を「前期重視→後期重視」に逆転、静岡大‐工、鹿児島大‐水産などでも前期を削減し、後期を増加。いずれも志望動向に影響しそうだ。
 推薦・AO入試では、推薦の募集人員がほぼ前年並みに対し、AOは約5%増。東京工業大‐第7類でAOを新規実施、群馬大‐理工、九州大‐法で復活するなど、ここ数年の“AO離れ”にやや歯止めがかかった。また、セ試を課す推薦(174→183)の実施学部数が増加、セ試を課さない推薦(354→348)の実施学部数が減少した。
 2段階選抜では、千葉大‐法政経、信州大‐医(医)の前期、鹿児島大‐医(医)の前・後期、名古屋市立大‐薬の中期などで新規実施。一方、筑波大では「前期=5学類1専門学群、後期=4学類1専門学群」で廃止、医など5学類の前期で予告倍率を緩和するのが注目される。
 学部改組が多いのも特徴だ。山口大の「国際総合科学部」増設、高知大の「地域協働学部」増設、東京学芸大・滋賀大・山口大・香川大・高知大の各教育学部における教員養成課程の拡大とそれ以外の課程の廃止・縮小などが注目される。

 
表1 国公立大 入試方法等の推移(2014年→2015年)
 

【私立大】難関~中堅上位校で併願増か。「ネット出願」増加の影響大

表2おもな私立大一般入試の合格者増減と倍率変動の例(2014年)

 一方、私立大の志望動向はどうか。先生方の回答では、14年に比べ、私立大志向が「やや強まる」との見方が急増した。
 14年入試において、大都市圏の総合大学では、合格者増による倍率ダウンが目立った(表2)。その反動に加え、国公立大志望者が安全志向から、私立難関~中堅上位校の併願を増やす、または志望変更するものとみられ、やや志願者増が見込まれる。さらに私立専願者が押し出される形で、やはり安全志向から中堅クラスへの併願を増やすものとみられ、私立大全体ののべ志願者数は、前年比3%程度増加する見込みだ。私立大文系の一般入試(独自入試)では理科を課さず、私立大理系も一般入試・セ試利用ともに理科1科目(一般入試では「基礎+発展」)が多いことも、国公立大から併願増、または志望変更が行われそうな理由だ。
 理科の科目指定(図2)で注意すべきは、国公立大と同様、医療・看護・栄養系だ。一般入試の科目指定が、大学により「基礎1科目」「基礎2科目」「基礎+発展1科目」など多様で、「基礎1科目」の場合も、セ試利用入試を併願するときは基礎2科目が必要。こうした、志望校と併願先の科目指定の違いが、志望動向に影響しそうだ。

 

●注目すべき変動要因

表3 2015年の看護系学部・学科の新増設と定員増の予定

 15年私立大入試では、新課程の数学・理科に関する変更以外にも、志望動向に影響しそうな変動要因はけっこう多い。上智大・成城大などの全学部統一入試の導入、青山学院大・共立女子大などの学外試験場新設、立命館大の交通至便な地へのキャンパス新設、看護系学部・学科の“新増設ラッシュ”(表3)などがあげられる。

 

●「ネット出願」実施校は約7割増

 中でも、最も注目されるのは、私立大全体の約3分の1が導入するに至った「インターネット出願」(以下、ネット出願)の新規実施と、それに伴う受験料割引(以下、ネット割)の導入だ。
 15年入試では、私立148大学(9月現在)が一般入試でネット出願を実施、14年より約7割増加する。このうち、26大学が紙の願書を廃止し、71大学がネット割も実施する。上智大・法政大・西南学院大など63大学がネット出願を新規実施(表4に一部を掲載)。既実施校でも、東海大・金城学院大など8大学でネット割を新規導入する(対象となる入試は各大学で異なる)。ネット割の割引額は各大学や入試方式で異なるが、だいたい「3千円~5千円」の範囲だ。
 14年入試で近畿大が志願者数トップに躍り出る要因となるなど、「ネット出願」「ネット割」の導入は、学内併願の増加につながるため、志願者増の起爆剤になる。15年も新規実施校の多くで志願者増が見込まれ、新課程理科の影響とともに、私立大入試で最大の変動要因となりそうだ。

 
表4 2015年から一般入試で「ネット出願」を新規実施するおもな大学
 

【系統別】“文低理高”傾向は続くが、“理系人気”はやや沈静化!?

 「理系志向」は構造的な現象となっているため、学部系統別の志望動向は、15年も「文低理高」が基調であることは変わらないが、14年入試ほど顕著ではなさそうだ。
 理系では、ここ数年の反動から、理工・農・医の志願者増は小幅に留まり、歯・薬は国家試験の合格率ダウン(薬剤師79.1%→60.8%、歯科医師71.2%→63.3%:13年→14年の比較)の影響もあり、志願者減に転じそう。また、看護系は学部・学科の新増設や定員増が目立ち(表3)、受け皿は拡大するが、志願者はすでに飽和状態とみられ、既設の学部・学科を中心に易化しそうだ。
 一方、文系では文・法・経済などで志願者減が見込まれる。特に、法は司法試験の合格率ダウン(13年26.8%→14年22.6%)、相次ぐ法科大学院の募集停止など敬遠材料が多い。その中で、国際・外国語の人気が高く、志願者大幅増が見込まれる。この他、将来的な教員採用率の低下を懸念し、教員養成系の志願者減が続きそうだ。

 
 

進路指導の先生方は15年新課程入試をどう見ているか

 進路指導のプロである先生方は、15年新課程入試をどのように見据えているのか。アンケート結果と先生方のコメントをもとに、基本的な考え方や対応策を示していこう。

 

A.国公立大志向はどうなりますか?
①強まる…0%
②やや強まる…22%
③変わらない…61%
④やや弱まる…17%
⑤弱まる…0%

 

B.私立大志向はどうなりますか?
①強まる…0%
②やや強まる…56%
③変わらない…39%
④やや弱まる…5%
⑤弱まる…0%

 

 前年の調査と比べ、Aは③④が増加し①②が大幅に減少、Bは②が増加し③④が減少。特に、Aは②が大幅減、Bは②が大幅増と対照的な結果になった。根強い国公立大志向は変わらないが、私立大志向がやや強まりそう。前述の通り、新課程理科の負担感や科目指定の複雑さが影響し、学力中堅層や既卒者が、安全志向から私立大に併願増、または志望変更するものとみられる。

 

C.15年入試での併願校数はどうなりますか?
①14年とほぼ同数…88%
②14年よりやや増える…6%
③14年よりやや減る…6%

 

 前年より②③が減り、①がほとんどを占める。現役生に14年のような「後がない」意識はないことから、「私立大志向がやや強まる」とはいえ、併願校数が大幅に増えるとは見ていない。ただし、既卒者の場合は、前述のように16年から旧課程履修者への経過措置がなくなり、15年は本当に「後がない」入試となるため、私立大の併願校数を増やさざるをえない状況にある。
 
 この他の質問に対する回答を集約すると、次のような実態が浮かび上がる。

 

●セ試の理科への対応

 文系は「基礎2科目」、理系は「発展2科目」で受験させる、との回答が多い。看護系、農学系の志望者や、理系から「文転」する場合は、志望校により「基礎2科目+発展1科目」も含め個別対応する。「発展1科目」の受験は私立大理系が中心となり、看護系では「発展2科目」を敬遠し、「基礎2科目」「発展1科目」の大学へ流出しそうだ。文系の「基礎2科目」は、「化学・生物」または「生物・地学」と、生物基礎を軸とした選択が大多数となる見込み。生物基礎の攻略が、高得点を取るカギを握るといっていい。
 既卒者の場合は、文理ともに旧課程科目(理科Ⅰ科目)での受験が大多数を占める模様。課程の改訂初年度のセ試では、旧課程科目の方が新課程科目に比べ難度が高くなるという。それでも、現役時に慣れ親しんだ科目を、しかも文系は1科目選択で受けられる安心感を選ぶものとみられる。

 

●国公立大の推薦・AO入試

 国公立大の後期の選択肢が狭まり、併願先を探すのが難しくなる中、進路指導の先生方も、志望動機が明確な受験生については、セ試を課す、課さないにかかわらず、推薦・AO入試を積極的に活用させているようだ。特に、医学部の「地域枠」は一般入試から推薦・AOへ移行しており、地元志向に加え、県外生との競合を回避できることから重要度は増している。

 

(文責/小林)

 
 

■地区別に志望動向・難易変動を予測する!■

 

【北海道・東北】岩手大・東北大・福島大・札幌医科大が志願者増、山形大・岩手県立大が志願者減か!?

 

 以下、各地区のおもな大学について、15年一般入試の変動要因と難易動向を見ていこう。文中、変更点は14年→15年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼][夜]、センター試験=セ試、個別学力検査等(2次試験)=2次、セ試を課さない推薦=セ試免除推薦、セ試を課す推薦=セ試課す推薦、AO入試=AO、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。

 

<国公立大>

●北海道大
 前期の総合入試(学部別入試とは別に、文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施。入学後、2年次進級時に所属学部・学科を決定)は、前年(14年。以下同じ)の志願者減の反動から、文系で志願者増が予想される。
 一方、前期の学部別入試や後期では、やはり前年の反動(志願者増減や倍率変動による。以下同じ)から、文【前】【後】・教育【前】【後】・経済【前】【後】・歯【前】【後】で志願者増、法【前】【後】・医(保健)【後】・農【後】・獣医【前】【後】・水産【前】で志願者減が見込まれる。
 医(医)【前】は、セ試で理科の選択制限(2次で受験しない科目を含める)を廃止し、セ試・2次合計の理科の科目数を「3→2」に軽減(セ試で物理選択の場合)したことが、志願者増の要因になりそう。また、理【後】も化学科の募集人員増(15人→23人:AO廃止)が志願者増の要因となりそうだ。
●旭川医科大
 医(医)【前】【後】は、前年の志願者大幅増の反動で、減少が見込まれる。医(医)【前】からは札幌医科大‐医【前】へ流出しそうだ。
●北海道教育大
 前年は大規模な改編(函館校・岩見沢校を「課程→学科」に改編、函館校を330人→285人に定員減、教員養成課程の札幌校を250人→270人に定員増)を実施した。15年は、札幌校で5→7専攻に改編、募集人員の配分を変更(前期163人→183人、後期57人→43人)するため、札幌校【前】で志願者増、同【後】で志願者減の見込み。
 この他、前年の反動で、函館校【後】、岩見沢校【後】の志願者増、旭川校【後】・釧路校【後】・函館校【前】の志願者減が見込まれる。
●室蘭工業大
 工[昼]【前】で、機械航空創造系学科が2次から理科を除外、志願者増の要因となりそう。一方、工[昼]【後】は前年の反動から志願者減が見込まれ、北見工業大‐工【後】に流出しそうだ。
●弘前大
 医(医)【前】は募集人員減(70人→65人:AO枠を拡大)が志願者減の要因となりそう。また、前年の反動から、教育【後】・理工【前】・農学生命科学【前】【後】で志願者増、医(保健)【前】で志願者減が見込まれる。医(保健)【前】の場合、セ試の理科(発展2科目)の負担感も要因となりそうだ。
●岩手大
 前年の志願者大幅減(全学で18%減)の反動から、人文社会科学【後】・教育【前】【後】・工【後】で志願者増が見込まれる。工【後】は2学科の募集人員増(応用化学・生命工11人→13人、電気電子・情報システム工15人→20人)も要因となりそう。一方、やはり前年の反動から農【後】は志願者減が見込まれ、弘前大‐農学生命科学【後】へ志望者が流出しそうだ。
●東北大
 難関大志望者にも地元志向が強まり、前年の反動もあり、法【前】・経済【前】・理【後】・医(保健)【前】・薬【前】が志願者増の見込み。医(保健)【前】で2段階選抜の予告倍率を引き締める(募集人員の約4倍→約3倍。以下、募集人員を略)が、影響は小さそう。一方、やはり前年の反動から、教育【前】・歯【前】で志願者減が見込まれる。
●秋田大
 開設2年目の国際資源は、14年に倍率が比較的低かったことから、近年の“国際系人気”や“理系人気”もあり、前・後期とも志願者増が見込まれる。この他、前年の反動から、教育文化【前】【後】・医(保健)【後】で志願者増、医(医)【前】【後】・理工【前】で志願者減が見込まれる。
●山形大
 前年の反動から、人文【前】・理【前】【後】・工[昼]【後】・工[フレックス]【前】・農【前】【後】の志願者増、人文【後】・地域教育文化【前】【後】・医(医)【前】【後】・医(看護)【前】・工[昼]【前】の志願者減が予想される。理【前】【後】は、数理科学科のセ試の軽減(7→6科目)も志願者増の要因となりそう。
一方、医(医)【前】は2段階選抜の予告倍率引き締め(約5倍→4.5倍)、医(看護)【前】はセ試の理科(発展2科目、または基礎2科目+発展1科目)の負担感、工[昼]【前】は札幌会場の廃止も志願者減の要因となりそうだ。
●福島大
 前年の反動から、人間発達文化【後】・行政政策【前】・経済経営【前】【後】・理工【前】で志願者増、人間発達文化【前】で志願者減が見込まれる。行政政策【前】は、セ試の配点アップと変更(500点→600点。地歴・公民を「地歴100点→75点、公民50点→75点」と均等配点に。2次は200点で変更なし)も志願者増の要因となりそう。また、行政政策【後】は募集人員減(50人→45人:推薦枠拡大)が志願者減に結びつきそうだ。
●札幌医科大
 医(医)【前】で、セ試の配点比率アップ(450点→700点。2次は700点で変更なし)が志願者増の要因となりそう。また、前年の反動から、保健医療【前】も志願者増の見込み。
●岩手県立大
 隔年で志願者増減を繰り返し(11年33%減→12年23%増→13年21%減→14年31%増)、その反動から、看護【前】【後】・社会福祉【前】【後】・ソフトウェア情報【前】【後】で志願者減の見込み。ソフトウェア情報は、セ試免除の前期Aの廃止と、後期の2次負担増(数学に数Ⅲを追加)も、志願者減の要因となりそうだ。一方、やはり前年の反動から、総合政策【前】で志願者増が見込まれる。
●宮城大
 食産業【前】は、2次の軽減(「数学・理科から1」を除外)が志願者増の要因となりそう。また、前年の反動から、事業構想【後】の志願者増、看護【後】の志願者減が見込まれる。
 
 この他、前年の反動から、小樽商科大‐商[昼・夜]【前】、宮城教育大【前】、釧路公立大‐経済【中】、青森県立保健大【前】【後】、秋田県立大‐システム科学技術【前】、国際教養大A・B、福島県立医科大‐看護【前】で志願者増が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、小樽商科大‐商[昼]【後】、秋田県立大‐生物資源科学【前】、山形県立保健医療大【前】、福島県立医科大‐医【前】【後】・看護【後】で志願者減が見込まれる。

 
 

<私立大>

 14年は地区全体で志願者13%増、合格者は10%増(旺文社集計。以下同じ)で、倍率は2.0倍→2.1倍とアップ。これは、北海道科学大の全学的な学部改組(医療工→保健医療、看護・理学療法・診療放射線の3学科を増設。創成工・空間創造→工に学部統合)の影響が大きく、15年は反動による志願者減が見込まれる。ただし、新課程理科の負担感から、国公立中堅校から、国公立大の併願先である北海学園大・東北学院大や医療系への流入が増えそうだ。この他、志望動向に影響しそうな変動要因は次の通り。
 北星学園大は文・経済・社会福祉が、一般入試で同一学部の複数学科が受験できるよう試験日を設定、併願時の受験料割引(3万円→1万5千円)を導入し、セ試利用Ⅱ期も新規実施。北海学園大は、経営1部のセ試利用Ⅰ期にB方式を追加。北海道薬科大は、小樽市から札幌市手稲区(北海道科学大のキャンパス内)に移転。東北福祉大では教育学部を増設、一般B日程に学部統一試験を追加し、一般入試をネット出願に完全移行する。

 
 

【関東・甲信越】東京外国語大・慶應義塾大・上智大が志願者増、筑波大・埼玉大・千葉大・信州大が志願者減か。

 

<国公立大>

●茨城大
 工[昼]【前】で新採点方法を導入、A方式(セ試のみ:1,100点)と、BまたはC方式(セ試700点・2次400点の合計)の2パターンを算出し、高得点の方を合否判定に利用。前年の反動もあり、志願者増が見込まれる。農は募集人員を変更(前期56人→75人、後期22人→17人)、前期は志願者増、後期は志願者減の見込み。理も募集人員を変更(前期130人→140人、後期45人→35人)するが、前年の反動が強く、前・後期とも志願者減が予想される。理【後】はセ試負担増(3→7または8科目)も敬遠材料となりそうだ。
●筑波大
 次の学類・日程でセ試を負担増、敬遠材料となりそうだ。人文【前】、生物資源【後】は「5→7(8)科目」、比較文化【前】【後】、国際総合【前】は「6→7(8)科目」、日本語・日本文化【前】は「5→6(7)科目」、社会【前】は「4→5(6)科目」、人文【後】は「3→7(8)科目」。さらに前年の反動もからみ、人文【前】・社会【前】・国際総合【前】・生物資源【後】で志願者減が見込まれる。一方、4学類(人文・比較文化・生物・地球)と芸術学群の前・後期と、日本語・日本文化【前】で2段階選抜を廃止、数学・物理・化学・医の前期で「約4倍→約5倍」に、社会【前】で「約5倍→約7倍」に予告倍率を緩和する。
 医【前】は募集人員減(72人→63人:地域枠推薦を拡大)が敬遠され、志願者減の見込み。この他、各学類の前期では、前年の反動で教育・生物資源・社会工・看護の志願者減と、物理・情報科学・医療科学の志願者増が予想される。
●宇都宮大
 志願者のゆれ戻し(13年28%増→14年14%減)が想定され、隔年現象で国際【前】・教育【後】・工【後】・農【前】の志願者増が見込まれる。
●群馬大
 理工[昼]【前】は2次負担増(英語を追加)が敬遠され、志願者減は必至。また、前年の反動から、医(医)【前】・医(保健)【後】・理工[昼]【後】で志願者減、社会情報【後】で志願者増が見込まれる。
●埼玉大
 教育で教員養成課程を定員減(480人→430人)、募集人員を「前期350人→316人、後期67人→56人」に減らすため、前・後期ともに志願者減が見込まれる。経済[昼・夜]を「3→1学科」に統合。経済[昼]は、もともと学部一括募集なので影響は少ないが、前年の反動で後期は志願者減か。やはり前年の反動から、教養【前】【後】・工【前】【後】の志願者減、理【前】の志願者増が予想される。
●千葉大
 14年に学部改組(3→1学科に統合)した法政経は、募集人員を「前期242人→272人、後期105人→75人」に変更。前期は2段階選抜を新規実施(予告倍率=4倍)するが志願者増の見込み。後期は募集枠縮小ながら、前年の反動から志願者は前年並みとみられ、難化しそう。園芸【前】では3学科(園芸・応用生命化学・緑地環境)の2次負担増(英語を追加)が敬遠されそうだ。この他、前年の反動から医【前】【後】・工【前】【後】で志願者減が見込まれる。医【前】【後】は、セ試の配点ダウン(900点→450点:2次は1,000点)も、平均点がアップした場合は敬遠材料となりそうだ。
●お茶の水女子大
 文教育(言語文化)、生活科学(人間生活)で後期を廃止、前期を募集人員増。前年の反動もあり、文教育【後】・生活科学【後】で志願者減、文教育【前】・理【後】で志願者増が見込まれる。理【前】は2学科の2次負担増(物理=英語を追加、生物=数学に数Ⅲを追加)が敬遠され、志願者減の見込み。なお、一般入試でネット出願を導入する。
●東京大
 東日本の難関大志望者の一部に「京大志向」がみられ、その影響から特に文科類が人気低下、文Ⅰ~Ⅲ【前】で志願者減が見込まれる。また、前年の反動から、理Ⅰ・Ⅱの前期もやや志願者減が予想される。一方、理Ⅲ【前】はやはり前年の反動で、後期(理Ⅲを除く全科類共通入試)は16年度に廃止される(推薦入試を導入)ことから、志願者増が見込まれる。特に後期はかなり難化しそうだ。
●東京外国語大
 “国際系人気”に加え、言語文化【前】・国際社会【前】の2次で「世界史(日本を含む近現代史中心)→世界史・日本史から1」に変更し、国際社会【後】ではセ試に理科を課さないことから、言語文化【前】・国際社会【前】【後】とも志願者増の見込み。
●東京学芸大
 教員養成課程を拡大(定員730人→825人)する一方、教員養成以外の5課程を「教育支援課程」に統合し、定員減(335人→185人)の予定。初等教育課程で募集人員増(前期346人→389人、後期90人→101人)、日本語教育選修を廃止、環境教育選修を新設。中等教育課程も募集人員を増やす(前期134人→162人、後期25人→33人)。首都圏ではいまだ教員需要が高いことから、大学全体としては定員減ながら、前・後期とも志願者増が見込まれる。
●東京工業大。
 前期はセ試で基準点(950点満点中600点以上)を超えれば、2次(数学・理科・英語)のみで合否が決まるため、私立理系型の志望者に人気が高い。前年の反動もあり、第1類【前】・第2類【前】・第4類【前】で志願者増が見込まれる。一方、第7類【前】は募集人員減(133人→113人:AO導入)のため志願者減が見込まれる。
●東京農工大
 工【前】で、2次の配点を下げ(1,000点→500点:セ試は900点)、配点比率を「2次重視→セ試重視」に逆転。セ試の平均点アップが予想される15年入試では、人気材料となりそうだ。工【後】も4学科(生命工・応用分子化学・有機材料化学・化学システム工)で2次から数学を除外。工【前】【後】とも志願者増が見込まれる。千葉大‐工【前】【後】、東京工業大‐第7類【前】から流入しそうだ。
●一橋大
 前年の反動から、経済【前】・社会【前】【後】で志願者減、商【前】・法【前】【後】で志願者増が見込まれ、特に「経済→商」のゆれ戻しが想定される。
●横浜国立大
 前年の反動から、経済【後】・理工【後】の志願者減、教育人間科学【後】の志願者増が見込まれる。
●新潟大
 前年の志願者10%減の反動で、人文【前】【後】・法【前】・経済【前】【後】・工【前】【後】の志願者増が予想される。一方、やはり前年の反動から、理【後】・医(医)【前】・歯【前】【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。
●山梨大
 「後期のみ実施」の医(医)で、一般入試を募集人員増(80人→90人)。前年の志願者27%減の反動もあり、大幅増が見込まれる。信州大‐医(医)【後】から流入しそうだ。
 この他、前年の反動から、教育人間科学【前】【後】・医(看護)【前】【後】の志願者増、工【後】・生命環境【前】【後】の志願者減が見込まれる。
●信州大
 医(医)で募集人員を変更(前期55人→85人、後期45人→15人)、前・後期とも2次に化学を追加し、前期で2段階選抜を新規実施(予告倍率=7倍)。2次負担増と前期の2段階選抜、後期の大幅縮小が敬遠され、前・後期とも志願者減は必至。前期はやや易化しそうだ。経済【前】【後】はセ試負担増(6→7または8科目)、医(保健)【前】【後】はセ試の理科が発展2科目のため敬遠されそう。
 この他、前年の反動により、教育【前】【後】・理【後】・工【前】【後】・農【前】・繊維【後】で志願者減、人文【後】・農【後】・繊維【前】で志願者増が見込まれる。
●首都大学東京
 健康福祉(理学療法、作業療法)で後期を新規実施、都市教養(法学系)【前】で募集人員増(168人→176人)。法学系【前】はセ試で理科を課さず、いずれも志願者増の要因となりそう。一方、前年の反動から、都市教養【後】・都市環境【後】・システムデザイン【後】で志願者減が見込まれる。
●長岡造形大
 14年4月から「私立→公立」に移行。セ試を課す前期・中期に新規参入するが、2段階選抜も新規実施(予告倍率:前期=3倍、中期=8倍)するため、低倍率に留まりそうだ。
 
 この他、前年の反動から、東京医科歯科大‐医(医)【後】・歯【前】【後】、上越教育大【前】、高崎経済大‐経済【前】、横浜市立大‐医(医)【前】などで志願者増が、茨城県立医療大【前】【後】、埼玉県立大‐保健医療福祉【前】、横浜市立大‐国際総合科学【前】、山梨県立大‐国際政策【前】【後】・人間福祉【前】【後】・看護【前】【後】などで志願者減が見込まれる。

 
 

<私立大>

 全国的に地元志向が強く、15年入試でも首都圏への流入は鈍ったままと見られるが、安全志向とセ試の理科の負担感から、国公立大志望者が難関~準難関校への併願増や志望変更を行うものとみられる。14年に倍率ダウンした青山学院大・慶應義塾大などで志願者が増加しそうだ。ネット出願を29大学が新規実施。特に、ネット割も同時に導入する國學院大、既実施校でネット割を導入する東海大は人気を集めそうだ。また、上智大・成城大・東京農業大・神奈川大の全面移行(紙の願書を廃止)も注目される。共立女子大・上智大・成城大の学部共通入試の導入は、首都圏の志望動向に大きく影響しそう。一方、14年に学部共通入試「N方式1期」を導入した日本大、全学部日程「T日程」で複数同時併願を可能にし、併願割引も導入した法政大では2年目の反動減が想定される。以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●青山学院大
 地球社会共生学部を新設。また、入学前予約型の「地の塩、世の光奨学金」を新設、首都圏(1都3県)以外を対象に350人を採用。全学部日程では、学外試験場(名古屋・福岡)を新設し、理工の募集人員を増加(60人→75人)、社会情報のB方式を負担増(数学1→2科目)。個別学部日程では、文(英米文)のA方式を募集人員減(140人→110人)、法で世界史・日本史の「出題範囲を17世紀以降とする」指定を廃止する。
●共立女子大
 一般入試で全学部日程の「統一入試」を新規実施(家政・文芸・国際の3学部)。学部・学科の同時併願可(受験料割引制度もあり)で、学外試験場も新設(水戸・静岡・宇都宮・高崎・甲府)。また、国際のセ試A日程に4科目型を追加、家政(児童)でセ試B日程を新規実施する。
●慶應義塾大
 商で募集人員を「A方式560人→480人、B方式140人→120人」に削減。8学部で一般入試の試験日程を2~4日繰り上げ、経済が立教大‐経済の2学科と新たに日程重複が生じた。
●国際基督教大
 一般入試で、新形式の入試科目「総合教養」を導入。講義(15分程度)を聴き、学際的な設問に解答。その後、講義内容に関する論述等(人文科学・社会科学・自然科学)を読み、各設問に解答する。また、B方式を追加、「1次=総合教養・英語(外部検定を利用)、2次=面接」で選抜する。
●上智大
 全学部統一日程「TEAP利用型入試」を新規実施。英語の試験を実施せず、アカデミック英語能力判定試験(TEAP:上智大と英検が共同開発した英語能力試験)の受験が必須。各学科で設定する基準点以上で出願可能だが、得点の高低は合否に影響しない。試験当日は共通問題で英語以外の2教科を受験し、理工は学科同時併願可、他7学部も指定の選択科目が同じなら複数学科に同時併願可(受験料割引制度もあり)。募集人員は全体で384人(一般入試の22%)。理工で理科2科目のA方式を、総合人間科学(社会福祉)で小論文・面接のB方式を廃止。ネット出願を導入し、紙の願書を廃止する。
●成城大
 全学部統一入試「S方式」を新規実施。国語・英語の2科目を課し、全学部・学科の同時併願可で、学外試験場も新設(柏・横浜・さいたま・長野)。また、一般入試・セ試利用入試でネット出願を導入し、紙の願書を廃止する。
●東海大
 ネット出願の対象を、一般A方式(医以外)・理系学部統一入試に拡大(紙の願書と併用)し、ネット割を導入する。また、健康科学(看護)の一般A方式で、理科1→2科目(化学基礎・生物基礎が各必須)に増加する。
●東京理科大
 工1部で定員増(450人→510人)を予定、5学科中3学科(建築・電気工・機械工)が各90人→110人となる。薬の一般B方式で理科の配点を150点→100点に下げ、3科目均等配点に。
●東洋大
 7学部で定員増を予定(文1部830人→916人、経済1部575人→616人、経営1部670人→682人、社会1部550人→750人、理工720人→811人、生命科学200人→226人、ライフデザイン500人→556人)、全体で計512人増(約8%増)。文・経済・法・国際地域の一般入試で、数学必須の4教科型を導入する。
●日本大
 生物資源科学で学科増設(くらしの生物)。歯のセ試利用入試で面接を廃止。理工A方式で大宮・千葉・横浜・広島、薬A方式で福岡の学外試験場を廃止。生産工のA方式3期で札幌・名古屋・大阪など10会場を増設し、千葉を廃止。
●法政大
 T日程(統一日程入試)で、法・社会を「3→2科目」に軽減(全学部とも2科目に統一)。入学前予約型の「チャレンジ法政奨学金」を新設、首都圏(1都3県)以外を対象に200人を採用。一般入試・セ試利用入試でネット出願を導入する(紙の願書と併用。ネット割は行わない)。
●明治大
 経営が「学科別→学部一括募集」に移行し、セ試利用入試に3科目方式を追加(従来は4科目方式)。文で全学部統一の募集枠を79人→88人に拡大し、セ試後期を廃止。政治経済で全学部統一の募集枠を55人→45人、セ試前期3科目方式を40人→30人に削減(指定校推薦を拡大)。
●明治学院大
 入学前予約型の「白金の丘奨学金」を新設、首都圏(1都3県)以外を対象に200人を採用。全学部日程で、学外試験場を札幌・福岡に増設。経済(経済)で全学部日程の募集枠を15人→25人に増員、セ試前期を50人→40人に削減。国際(国際)で全学部日程を15人→5人に削減。文(英文)でセ試前期を35人→25人に削減。文(フランス文・芸術)・国際でセ試後期を廃止する。
 
 亜細亜大が一般入試・セ試利用でネット出願を導入。工学院大では工2部・グローバルエンジニアリングと工1部の2学科を廃止し、先進工学部を新設。駒澤大は全学部統一日程の受験者対象の給付型奨学金を導入(合格者中、得点上位100人を採用)。専修大では経営のセ試前期に2科目理数得意型を追加。帝京大は薬の一般入試を負担増(2→3科目)。東京工科大で工学部を増設、5学部の一般A・B日程を負担増(2→3教科)。津田塾大は一般B方式で、武蔵大は個別学部併願3科目型で、複数学科同時併願の受験料割引を導入。武蔵野大は学部改組(環境→工)し、工で独自・セ試併用型を新規実施、S日程を2→3科目に増加。明治薬科大は、C方式(セ試併用)でセ試を2→3科目に負担増(数Ⅰ・Aを追加)。
 神奈川大はネット出願の対象を給費生・一般前期・セ試前期に拡大し、紙の願書を廃止。関東学院大は社会・教育・栄養の3学部を新設する。

 
 

【北陸・東海】富山大・金沢大・岐阜大・三重大・南山大が志願者増、福井大・静岡大・名古屋市立大が志願者減か。

 

<国公立大>

●富山大
 15年3月の北陸新幹線開通で、関東地区からの流入が増えるものとみられる。前年の反動もあり、人間発達科学【前】【後】・経済[夜]【前】【後】・理【前】【後】・医(看護)【後】・薬【前】【後】・工【前】【後】・芸術文化【前】で志願者増の見込み。工【前】は学外試験場の増設(さいたま市)も要因となりそう。また、経済[昼]【前】は、学外試験場の新設(名古屋)とセ試で理科を課さないことが志願者増に結びつきそうだ。
 一方、前年の反動から、人文【前】・医(医)【前】【後】で志願者減、人文【後】で大幅減が見込まれる。
●金沢大
 富山大と同様、北陸新幹線開通を控え、関東地区からの関心が高まりそう。前年の反動から、法学類(以下、学類を略)【後】・経済【前】【後】・学校教育【前】・地域創造【後】・国際【前】・数物科学【後】・物質化学【前】・機械工【前】【後】・環境デザイン【前】【後】で志願者増、人文【前】・国際【後】・物質化学【後】・電子情報【後】・医【前】・薬・創薬科学【前】で志願者減が見込まれる。医【前】は2段階選抜の予告倍率引き締め(4倍→3.5倍程度)も志願者減に結びつきそうだ。
●福井大
 前年の志願者10%増の反動で、教育地域科学【前】・医(医)【前】【後】・医(看護)【後】の志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、工【前】【後】は志願者増の見込み。特に、工【前】は学外試験場の増設(京都)も要因となりそうだ。
●岐阜大
 医(医)は、前年の志願者大幅減(前期56%減、後期42%減)の反動から、前期で志願者増が見込まれ、福井大‐医(医)【前】、浜松医科大‐医(医)【前】から流入しそうだが、後期は2段階選抜の実施状況(予告倍率通りに実施)から、さらに志願者減が見込まれる。この他、前年の反動で、教育【前】【後】・地域科学【前】【後】の志願者大幅増、医(看護)【後】・工【後】の志願者減が見込まれる。
●静岡大
 人文社会科学[昼]【前】・情報【前】・教育【前】で入試科目増が目立つ。人文社会科学[昼]【前】では、3学科でセ試負担増(言語文化=5→7または8科目、法=3→7または8科目、経済=6→7または8科目)、経済学科で2次に国語を追加。情報【前】では、2学科ともセ試負担増(情報科学=5→7科目、情報社会=5→7または8科目)。また、教育【前】では、学校教育(音楽・美術・保健体育以外)、生涯教育(国際理解教育)、総合科学教育の各課程(専修・専攻)で、2次を「国語・数学・外国語から1→2科目選択」に増やす。いずれも敬遠材料となるものとみられ、志願者減は必至だ。
 この他、前年の反動から、人文社会科学[昼]【後】・理【前】で志願者減、教育【後】・工【前】【後】・農【後】で志願者増が見込まれる。工の場合、後期の募集人員増(149人→164人)も要因となり、岐阜大‐工【後】、名古屋工業大‐工1部【前】から流入しそうだ。
●浜松医科大
 前年の反動から、医(医)【前】で志願者減、医(看護)【前】で志願者増の見込み。また、医(医)【後】は2段階選抜の実施状況(予告倍率の「15倍」通りに実施)から、さらに志願者減が予想される。
●愛知教育大
 教育(初等音楽)で募集人員を「前期15人→20人、後期8人→3人」に変更。前年の反動もあり、大学全体では後期がやや志願者減の見込み。
●名古屋大
 前年の反動に加え、セ試の理科で「発展1科目を基礎2科目と見なす」ことから、教育【前】・法【前】・経済【前】といった文系学部でやや志願者増が見込まれる。一方、やはり前年の反動で、情報文化【前】・農【前】は志願者減が見込まれる。ただし、医(医)【前】は前年に志願者12%増ながら、2段階選抜の予告倍率が緩和(約3倍→約3.5倍)されたため、前年並みの志願者を集めそうだ。
●三重大
 前年の志願者7%減の反動で、教育【前】【後】・医(医)【前】【後】・医(看護)【後】・工【後】・生物資源【前】の志願者増が見込まれる。医(看護)【後】には、募集人員減(25人→15人)の三重県立看護大【後】から流入しそうだ。一方、やはり前年の反動で人文【後】・生物資源【後】の志願者減が見込まれる。
●石川県立大
 生物資源環境で、募集人員を「前期66人→60人、後期30人→36人」に変更。前期はセ試負担増(4→7科目)も敬遠材料となり志願者減、後期は2次を「小論文→理科」に変更することもあり志願者増が見込まれる。
●敦賀市立看護大
 14年4月開設の同校は、セ試を課す前・後期に新規参入(14年は別日程で実施)。前年の反動で志願者減が見込まれる石川県立看護大【前】【後】、福井県立大‐看護福祉【後】から流入しそうだ。
●福井県立大
 前年の反動で、全学部(経済・生物資源・海洋生物資源・看護福祉)とも前期が志願者増、後期が志願者減か。看護福祉【後】は看護学科の募集人員減(20人→15人)でも敬遠されそうだ。
●静岡県立大
 看護【前】(14年に「35人→70人」に募集人員増)は、前年の倍率ダウンの反動で志願者大幅増が予想され、国際関係【前】・経営情報【後】も前年の反動から志願者増の見込み。国際関係【前】は、セ試で理科を課さないことも要因となりそうだ。
●愛知県立大
 前年の反動から、外国語【後】・日本文化【後】・教育福祉【後】・看護【前】【後】の志願者増、情報科学【後】の志願者減が見込まれる。外国語【後】は、セ試で理科を課さないことも要因となりそうだ。
●名古屋市立大
 看護は、募集人員を一般→推薦に移行(前期55人→40人、後期10人→5人、推薦15人→35人)し、前・後期とも志願者大幅減の見込み。募集人員増(40人→50人)の三重県立看護大【前】、愛知県立大‐看護【前】【後】へ流出しそうだ。
 この他、前年の反動から、薬【中】・人文社会【前】【後】が志願者減、経済【後】・芸術工【後】が志願者増の見込み。薬【中】は2段階選抜の新規実施(予告倍率=約23倍)も敬遠材料となりそうだ。

 
 

<私立大>

 14年は、地区全体で志願者6%増に対し合格者8%増で、倍率は2.7倍→2.6倍とややダウンした。15年も強い地元志向に加え、安全志向と新課程理科の負担感から、国公立大から愛知大・中京大・南山大・名城大への併願が増えそうだ。特に、南山大は前年の合格者大幅増による倍率ダウンが人気材料となりそうだ。
 愛知学院大では、文系7学部の一般前期Bを前期A利用型(前期Aの高得点2科目を合否判定に利用)と個別受験型(2科目型の前期Bを受験)の2方式に分割し、全9学部でセ試Ⅰ期に4科目型を追加。金城学院大では「ネット割」を導入、一般入試・セ試利用ともに5千円を割り引く。中京大は総合政策で、セ試前期3科目型の英語を「選択→必須」とし、セ試プラス(独自・セ試併用)の国語重視型を廃止。南山大は、理工(1年次)がキャンパスを移転(愛知県瀬戸市→名古屋市昭和区)。日本赤十字豊田看護大はセ試利用入試を3→4教科に増加。岐阜聖徳学園大・日本福祉大で看護学部を増設。藤田保健衛生大は、医の一般前期で2次から小論文を除外。皇學館大は、一般中期(2科目型)を新規実施する。

 
 

【関西】国公立は京都大をはじめ、滋賀大・和歌山大が志願者増、私立は立命館大・関西大・龍谷大が志願者増か。

 

<国公立大>

●滋賀大
 教育で教員養成課程を拡大(定員220人→240人)、初等教育コースに環境教育・初等英語・初等理科の3専攻を新設し、環境教育課程(定員20人)を廃止。前年の反動もあり、前期は志願者増が見込まれ、京都教育大の前期から流入しそうだ。
 また、経済[昼]【前】【後】・同[夜]【前】は、やはり前年の反動に加え、A方式でセ試に理科を課さないため志願者増が予想される。
●滋賀医科大
 前年の反動で、医(医)【前】・医(看護)【前】とも志願者増の見込み。医(看護)【前】には、京都府立医科大‐医(看護)【前】から流入しそうだ。
●京都大
 東日本の難関大志望者に京都大への志向が高まっている模様。また、ここ数年で比較的オーソドックスな選抜方式に変更したことが、安定した人気に結びつきそうだ。総合人間(文系)【前】・文【前】・法【前】で、セ試を6→8科目(地歴・公民1→2科目、理科1→基礎2科目)に増加するが、新課程入試における文系標準型であり、セ試で「倫理、政治・経済」が選択可になり、2次の地歴で「セ試の第1解答科目以外を選択」との制限が廃止されたため、志願者増が見込まれる。
 医(医)【前】では2次で、理科の選択制限(セ試で受験しなかった科目を含める)を廃止。14年までセ試・2次合計で理科3科目必須だったため、負担減として人気材料となりそうだ。また、医(人間健康科学)【前】では、看護学科で2次の生物を「必須→選択」としたことも、やはり志願者増の要因となりそう。
 この他、前年の反動から、教育【前】・理【前】で志願者増の見込み。また、経済【前】は、一般型・論文型でセ試の公民の選択から現代社会、倫理、政治・経済を除外したが、やはり前年の反動から、やや志願者増が見込まれる。
●京都教育大
 前年の反動から、教育【前】【後】とも志願者減の見込み。教育【後】は募集人員減(53人→48人:地域指定推薦を拡大)も要因となりそうだ。
●大阪大
 前年の反動から、文【前】【後】・人間科学【前】・法【前】・経済【後】・医(保健)【後】・歯【前】・工【前】で志願者増、人間科学【後】・理【前】・医(医)【前】・歯【後】・薬【後】・基礎工【前】で志願者減が見込まれ、特に「基礎工→工」のゆれ戻しが想定される。医(医)【前】から、大阪市立大‐医(医)【前】へ流出しそうだ。また、国際・外国語系統の人気アップに伴い、外国語【前】の志願者増と難化が予想される。
●神戸大
 前年の反動から、文【前】・法【前】・経営【前】・理【前】【後】・医(保健)【前】【後】で志願者増、国際文化【前】【後】・発達科学【前】・法【後】・経済【前】・海事科学【前】で志願者減が見込まれる。特に「経済→経営」のゆれ戻しが想定される。また、理【前】は大阪大‐理【前】から流入しそうだ。
●奈良女子大
 理(数物科学)【前】【後】でA型(数学型)・B型(物理型)の募集区分を廃止。また理【後】の2次で、数物科学科に物理を、化学生命環境学科に英語を追加。前年の反動もあり、理【後】・生活環境【後】で志願者減、文【前】・理【前】で志願者増が見込まれる。
●和歌山大
 システム工を「5→1学科(システム工学科)」に統合し、定員増(285人→305人)を行う予定。学部一括募集に移行するが、前期は募集人員増(150人→170人)もあり、志願者増が見込まれる。兵庫県立大‐工【前】から流入しそうだ。
 教育では総合教育課程で後期を廃止し、前期も募集人員減(22人→15人)。総合教育課程【前】から大阪府立大‐生命環境科学域【後】への併願が増えそうだ。また、前年の反動から、経済【前】の志願者増、同【後】の志願者減が見込まれる。
●滋賀県立大
 前年の反動から、環境科学【後】・工【前】【後】・人間文化【後】の志願者増、環境科学【前】・人間文化【前】・人間看護【後】の志願者減が見込まれる。
●京都府立大
 前年の反動から文【後】・公共政策【前】で志願者増、生命環境【後】で志願者減が見込まれる。
●大阪市立大
 前年の反動から、文【前】・理【後】・工【前】・医(医・看護)【前】・生活科学【前】の志願者増、商【前】・経済【前】【後】・理【前】・工【後】の志願者減が見込まれる。工【後】から、兵庫県立大‐工【後】へ流出しそうだ。
●大阪府立大
 前年の反動から、現代システム科学域【後】で志願者大幅減、生命環境科学域【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●神戸市外国語大
 外国語【後】・2部【後】は、セ試負担増(3→4または5科目)が敬遠され、やや志願者減の見込み。一方、前年の反動から、外国語【前】・2部【前】では志願者増が見込まれる。
●兵庫県立大
 工で募集人員を「前期216人→120人、後期44人→140人」と変更(比率を「前期重視→後期重視」に逆転)。また、前期で大阪会場を廃止し、後期で神戸会場(経済・経営のキャンパス)を新設(工の所在地は姫路市)。後期は神戸大‐工【前】、大阪市立大‐工【前】などの併願先として人気アップ、志願者大幅増が見込まれる。一方、前期は大幅減が見込まれ、和歌山大‐システム工【前】、岡山県立大‐情報工【前】へ流出しそうだ。
 看護【後】はセ試負担増(4→5または6科目)が敬遠され、志願者減は必至。この他、前年の反動から、経営【前】【後】・理【中】の志願者増、経済【前】【後】・環境人間【後】の志願者増が見込まれ、特に「経済→経営」のゆれ戻しが想定される。
 
 この他、前年の反動から、京都工芸繊維大‐工芸科学[昼]【前】【後】、兵庫教育大【前】【後】、奈良県立医科大‐医(医)【後】・同(看護)【前】【後】、奈良県立大【前】で志願者増が、奈良教育大【前】【後】、神戸市看護大【前】【後】で志願者減が見込まれる。 

 
 

<私立大>

 14年は、地区全体で志願者は5%増、合格者は7%増。ネット出願・ネット割の実施が学内併願の増加に結びつく一方で、歩留まりの読みにくさにもつながり、合格者を多めに出す大学が目立ち、倍率は3.7倍→3.6倍とややダウンした。とはいえ、15年もネット出願の導入校は増え続け、14年の近畿大のようにネット出願に完全移行(紙の願書を廃止)する大学も続出、地区で最大の変動要因となりそうだ。
 安全志向と、セ試の理科「基礎2科目」の負担感から、国公立大文系志望者が「関関同立」への併願増や志望変更を行うものとみられる。特に、京都・大阪間にキャンパスを新設する立命館大、前年に定員増などで合格者が大幅増、倍率ダウンした関西大で志願者増が予想される。また「産近甲龍」では、14年に志願者数トップとなった近畿大で「ネット出願効果」が続き、理系を中心に志願者数は高止まりとみられ、龍谷大は農学部増設と国際学部(国際文化を改組)のキャンパス移転(滋賀県→京都市内)で志願者増が見込まれる。一方、京都産業大は前年の倍率アップでやや敬遠されそう。この他、同志社女子大・神戸女子大・武庫川女子大の看護学部新設も、地区全体の志望動向に影響しそうだ。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●立命館大
 大阪府茨木市(京都・大阪間)にキャンパスを新設、政策科学が京都市から、経営が滋賀県草津市から移転する。交通アクセスが改善され、大阪・神戸からの志願者大幅増が見込まれる。また、薬に4年制の「創薬科学科」を増設する。
●龍谷大
 農学部を瀬田キャンパス(滋賀県大津市)に新設。西日本では希少な私立農学部だけに、国公立大の併願先として多くの志願者を集めそう。また、国際文化を「国際学部」に改組(グローバルスタディーズ学科を増設)、キャンパスを移転(滋賀県大津市→京都市伏見区)。
 一般入試では、C日程で「文系型高得点科目重視型」を導入(高得点科目を自動的に2倍)。従来のスタンダード方式(均等配点)との同時併願が可能。理工もC日程を新規実施する。
●大阪薬科大
 ネット出願を新規実施。公募推薦・一般入試・セ試利用入試が対象で、紙の願書を廃止する(ネット割は実施しない)。セ試利用入試で理科1→2科目に増やす(化学を選択→必須に)。
●関西大
 文の全学部日程で「3教科同一配点方式」を追加。また、社会安全で全学部日程に「英国方式」(2教科型)を追加し、セ試中期において数学型を廃止、英語型を新規実施する。
●関西学院大
 理工で3学科(先進エネルギーナノ工、生命医化学、環境・応用化学)を増設する。近年注目度の高い分野だけに、志願者を集めそうだ。
●甲南大
 法のセ試前・後期で、3教科型は国語が「選択→必須」になる一方、4教科型では国語・英語が「必須→選択」に。セ試併用型前・後期でも、セ試の国語が「必須→選択」となる。マネジメント創造の2コースのうち、マネジメントコースでセ試後期・セ試併用後期を廃止し、特別留学コースではセ試前期・セ試併用前期を廃止する。
●神戸学院大
 一般入試・セ試利用入試をネット出願に完全移行し、紙の願書を廃止(受験料の減額は継続)。グローバル・コミュニケーション学部を新設。法・経営の2学部(1・2年次)がキャンパス移転(神戸市西区→同中央区)。また、現代社会でセ試利用入試を新規実施(前期=3または4科目、後期=2または3科目)。いずれも志願者増の要因となりそうだが、キャンパス移転しない経済は、志願者減が見込まれる。
●神戸女学院大
 全学部の入学金を「40万円→20万円」に減額。一方で、文・人間科学の授業料を年額5万5千円増額する。また、文・人間科学の前期A日程に3科目型を追加(従来は2科目型)する。
●神戸薬科大
 一般入試の募集人員を「前期100人→110人、中期30人→20人」に変更。セ試利用入試で理科を2→1科目(化学が必須→選択)に軽減する。
 
 追手門学院大・大阪工業大・摂南大・桃山学院大では、一般入試・セ試利用入試をネット出願に完全移行し、紙の願書を廃止(受験料の減額は継続)。大阪経済大・大阪電気通信大・関西医科大ではネット出願を新規実施(紙の願書と併用。ネット割は実施しない)。また、大阪学院大・大阪産業大・大阪商業大ではネット出願(紙の願書と併用)とネット割を新規実施。京都橘大ではネット割を新規実施する。
 京都学園大は学部増設(健康医療)、学科増設(バイオ環境‐食農)、学部の統合(経済・経営・法・人間文化→経済経営・人文)を行う。京都産業大では、文化で「京都文化学科」を増設。大阪歯科大でセ試利用入試を新規実施(セ試3教科4科目と小論文・面接で選抜)。兵庫医科大はセ試利用入試で後期を新規実施する。

 
 

【中国・四国】島根大・徳島大・愛媛大・高知県立大が志願者増、岡山大・山口大・高知大・高知工科大が志願者減か。

 

<国公立大>

●鳥取大
 工は「8→4学科」に改組・統合し、募集人員を「前期291人→285人、後期115人→125人」に変更。前年の反動から、前・後期とも志願者増が見込まれ、工【前】は難化しそうだ。やはり前年の反動から、医(医)【後】・医(生命科学)【前】【後】で志願者増、地域【前】・医(医)【前】・農【前】【後】で志願者減の見込み。農【後】は、共同獣医学科の後期廃止の影響も大きい。
●島根大
 前年の反動から、法文【前】・教育【前】【後】・医(医)【前】・医(看護)【後】・総合理工【前】で志願者増、法文【後】・生物資源科学【前】【後】で志願者減の見込み。医(医)【前】は、鳥取大‐医(医)【前】から流入しそうだ。
●岡山大
 前期で2次負担増が目立つ。理【前】は英語を追加し、数学科が理科1→2科目に。農【前】も英語を追加。医(保健)【前】は、看護学専攻に理科1科目を追加。環境理工【前】では、環境数理学科に理科2科目を追加し、環境デザイン工学科で理科1→2科目に増やす。いずれも敬遠材料となるとみられ、志願者減が予想される。法[夜]は募集形態を「推薦→一般入試(前期12人・後期5人)」に移行。広島大‐法[夜]【前】【後】などから流入しそう。この他、前年の反動から文【前】・教育【前】・経済[昼]【前】・薬【後】・工【後】で志願者増、法[昼]【前】・理【後】・歯【前】【後】で志願者減の見込み。薬【後】は、広島大‐薬【前】からの併願増で難化は必至だ。
●広島大
 ネット出願を導入、遠隔地からの出願が増えそう。前年の反動から、総合科学【後】・文【前】【後】・教育【後】・法[昼]【前】・経済[昼]【前】・工【後】で志願者増、法[昼]【後】・法[夜]【前】・医(医)【前】・歯【前】【後】・薬【前】・生物生産【後】で志願者減が予想される。薬で後期を廃止、募集人員増(45人→48人)の前期はやや易化が見込まれる。
●山口大
 国際総合科学部を新設、経済を「5学科1課程→3学科」に改組し定員減(385人→345人)、教育で教員養成課程を拡大(定員130人→180人)、他の4課程(計110人)を廃止する予定。国際総合科学(前期90人・後期10人)は、英検など外国語検定の成績も利用でき(2次の得点に加算)、人気上昇中の学部系統だけに多くの志願者を集めそうだ。経済【前】は募集人員減(221人→181人)のため志願者大幅減は必至。教育も4課程廃止で前期を削減(189人→151人)、後期を廃止するが、教員養成課程の前期はセ試軽減(数学教育・情報教育で理科2→1科目、小学校教育で数学2→1科目)が人気材料となりそう。
 医(医)【前】【後】は前年の反動から志願者減が見込まれ、募集人員の変更(前期52人→60人、後期15人→10人)もあり、前期は易化しそう。やはり前年の反動から、人文【前】【後】が志願者減、医(保健)【前】【後】・工【後】・農【前】【後】が志願者増の見込み。人文【後】はセ試負担増(数学を追加)も敬遠されそうだ。
●徳島大
 前年の反動で、総合科学【前】・医(医・医科栄養)【前】・歯【前】・工[夜]【前】の志願者増、医(医科栄養)【後】・医(保健)【前】・歯【後】の志願者減が見込まれる。
●香川大
 教育で教員養成課程を拡大(前期68人→86人、後期28人→32人)、4→3コースに統合する一方、人間発達環境課程を縮小(前期35人→20人、後期19人→11人)。教員養成系の不人気から、前・後期ともやや志願者減か。前年の反動から、経済[昼]【前】【後】・医(看護)【後】・農【後】で志願者増、法[昼]【後】・医(医)【後】・工【前】・農【前】で志願者減の見込み。経済[昼]【前】は山口大‐経済【前】から流入、農【前】から高知大‐農【前】(セ試の理科が「基礎2科目または発展1科目」)へ流出しそうだ。
●愛媛大
 前年の反動から、法文[夜]【前】【後】・教育【前】・理【前】・医(医)【前】・医(看護)【前】で志願者増の見込み。一方、法文[昼]【後】・農【前】で志願者減が見込まれる。
●高知大
 教育で生涯教育課程(定員70人)を廃止し、教員養成課程を定員増(100人→130人)。人文(社会経済)も定員減(118人→98人)、地域協働学部(定員60人)を増設する予定。地域協働は県外の認知度不足と前期のみ募集(35人)のため、初年度は低倍率が予想される。人文【前】は社会経済学科の募集人員減(75人→60人)が影響、やや志願者減か。教育は学部全体で募集枠削減(前期90人→68人、後期28人→5人)ながら、前期は幼児教育コースの新設が人気材料となりそう。一方、教育【後】は2次負担増(課さない→面接)もあり大幅減は必至。また、前年の反動から、人文【後】・理【後】・農【前】で志願者増、理【前】・医(看護)【前】【後】で志願者減が予想される。
●島根県立大
 総合政策で一般入試の募集枠を拡大(前期80人→120人、後期20人→25人:県内推薦枠を削減、AO廃止)し、前期でセ試5教科型を新規実施(従来は3教科型)。前期は志願者大幅増が見込まれ、鳥取環境大‐経営【前】、福山市立大‐都市経営【前】などから流入しそうだ。また、前年の反動から、看護【前】も志願者増が見込まれる。
●岡山県立大
 前年の志願者14%減の反動から、保健福祉【前】・情報工【前】【中】・デザイン【前】で志願者増が見込まれる。デザイン【前】は造形デザイン学科のセ試軽減(4→3科目)も要因となりそう。香川大‐工【前】、兵庫県立大‐工【前】、広島市立大‐芸術【前】、香川県立保健医療大【前】から流入しそうだ。
●県立広島大
 前年の反動で、人間文化【前】【後】・経営情報【前】は志願者増の見込み。尾道市立大‐経済情報【前】から流入しそうだ。一方、保健福祉【前】は前年の志願者22%増の反動を看護学科のセ試軽減(数学2→1科目)が相殺、志願者減は小幅の見込み。
●高知県立大
 文化で定員増(80人→150人)、夜間主コースを新設。文化[昼]は募集人員増(前期45人→72人、後期5人→10人:AO廃止)のため、前期は志願者大幅増の見込みで、山口県立大‐国際文化【前】などから流入しそうだが、後期は2次負担増(面接を追加)で敬遠され、やや易化しそう。この他、前年の反動で、看護【前】【後】・社会福祉【前】の志願者増が見込まれ、愛媛県立保健技術大【前】【後】から流入しそうだ。
●高知工科大
 マネジメント学部を「経済・マネジメント学群」に改組し、定員増(100人→160人)。前期でC方式(セ試=5または6教科、2次=英語・数学から1)を導入、A方式も募集人員増(30人→40人)。A・B方式で2次の英語が「選択→必須」になるが、2~4年次のキャンパス移転(高知市郊外→中心部)もあり、前期の志願者大幅増は必至。一方、前年の反動からシステム工・環境理工・情報の後期で志願者減の見込み。

 
 

<私立大>

 強い地元・安全志向から、国公立との併願が多い広島修道大・松山大は安定して志願者を集めそう。岡山理科大・広島国際大・広島修道大におけるネット出願・ネット割の導入、 鳥取看護大(仮称)の新設予定、14年開設学部のセ試利用入試の新規実施(比治山大‐健康栄養、広島国際大‐医療栄養、安田女子大‐看護など)などが志望動向に影響しそうだ。

 
 

【九州】九州大・大分大・宮崎大・西南学院大が志願者増、長崎大・熊本大・鹿児島大・琉球大が志願者減か。

 

<国公立大>

●九州大
 前年の志願者8%減の反動で、志願者増に転じそうな学部・日程が目立つ。文【後】・教育【前】・法【前】【後】・理【前】・医(生命科学)【前】・医(保健)【前】・歯【後】・薬【前】・農【前】【後】で志願者増が見込まれる。特に、法【前】【後】は募集人員減(前期159人→154人、後期40人→35人。AOを新規実施)、歯【後】も募集人員減(10人→8人。前期は35人→37人に増加)のため、難化は必至だ。
 一方、やはり前年の反動から、理【後】・歯【前】・薬【後】で志願者減の見込み。理【後】は、地球惑星科学・生物の2学科のセ試負担増(理科1→2科目)も敬遠されそう。薬【後】からは、長崎大‐薬【後】へ流出しそうだ。また、文【前】は2次負担増(地歴1科目を追加)、医(医)【前】は医学系で唯一、理科3科目必須(セ試・2次合計)であることが敬遠材料となり、いずれも志願者減は必至だ。
●福岡教育大
 前年の反動から後期で志願者増の見込み。山口大‐教育【前】からの併願が増えそうだ。
●佐賀大
 理工ではセ試課す推薦を新規実施し、募集人員を「前期364人→342人、後期89人→94人」に変更。前期はやや志願者減が見込まれ、九州工業大‐工【前】へ流出しそう。一方、後期は前年の反動もあり、やや志願者増が見込まれる。
 文化教育【後】は国際文化・人間環境の2課程のセ試軽減(7→5または6科目)、経済【前】はセ試で理科を課さないことが志願者増の要因となりそう。一方、医(看護)【前】【後】は、セ試の理科(発展2科目)の負担感から、志願者減が見込まれ、長崎大‐医(保健)【後】、大分大‐医(看護)【前】【後】などへ流出しそうだ。この他、やはり前年の反動から、経済【後】で志願者増、医(医)【前】【後】・農【前】で志願者減が見込まれる。
●長崎大
 開設2年目の多文化社会は、セ試の負担が軽い(前期=4教科4または5科目、後期=3教科3科目)が、AOの導入に伴う募集人員減(前期85人→70人、後期15人→10人)が、志願者減の要因となりそう。山口大‐国際総合科学の新設もやや影響しそうだ。
 この他、前年の反動などから、医(医)【前】・歯【後】・工【前】【後】・水産【後】で志願者減、教育【前】・経済[昼]【前】・医(保健)【後】・薬【後】・環境科学【後】・水産【前】で志願者増が予想される。
●熊本大
 医(医)【前】では、2次の面接を得点化(200点)。セ試の理科が生物必須であることも敬遠材料となり、志願者減の見込み。また、理【前】は2次負担増(英語を追加)が敬遠材料となり、やはり志願者減が見込まれる。
 この他、前年の反動から、文【後】・法【前】・医(保健)【後】・工【前】の志願者減、教育【前】【後】・理【後】・医(医)【後】・薬【前】の志願者減が見込まれる。工【前】は、社会環境工・物質生命化学の2学科の2次負担増(英語を追加)も敬遠材料となりそうだ。
●大分大
 前年の反動から、経済【前】・医(看護)【後】・工【後】の志願者増、経済【後】・医(医)【前】の志願者減が予想される。また、医(看護)は前・後期ともにセ試を軽減(理科2→1科目)したため、同【前】も志願者増が見込まれる。医(看護)【前】【後】は、大分県立看護科学大【前】【後】からの流入が見込まれる。
●宮崎大
 前年の反動で、教育文化【前】【後】・医(医)【前】・医(看護)【前】【後】・農【前】【後】の志願者増が予想される。農【後】は、獣医学科のセ試軽減(6→5科目)も志願者増の要因となり、鹿児島大‐共同獣医【前】【後】から流入しそうだ。
 一方、やはり前年の反動から、医(医)【後】・工【前】は志願者減の見込み。工【前】は2次負担増(数学・理科から1→数学・理科必須)も敬遠材料となりそうだ。
●鹿児島大
 医(医)【前】【後】は、2段階選抜の新規実施(予告倍率:前期=約5倍、後期=約8倍)が敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。医(医)【前】からは、宮崎大‐医(医)【前】へ流出しそうだ。
 農・水産で「国際食料資源学特別コース」を新設し、農の「農学系サブコース」は前期のみ12人、水産の「水産学系サブコース」は前期のみ10人を募集。また、水産では水産教員養成課程を募集停止し、水産学科の募集人員を前・後期均等に変更(前期84人→60人、後期36人→60人)、募集単位を3領域(水圏科学・水産資源科学・水産食品科学)に分割する。このため、水産【前】は志願者減、水産【後】は志願者大幅増が見込まれ、長崎大‐水産【前】への流出、同‐水産【後】からの流入が予想される。
 この他、前年の反動から、法文【後】・歯【前】・工【前】で志願者増、教育【後】・理【後】・工【後】・医(保健)【後】・農【後】・共同獣医【前】【後】で志願者減が予想される。
●琉球大
 前年の反動から、法文[昼・夜]【前】・教育【前】【後】・医(医)【後】で志願者増、理【後】・医(医)【前】・医(保健)【後】・工[昼]【前】【後】で志願者減の見込み。
 農【前】【後】は、セ試の理科が「基礎2科目+発展1科目」必須で、しかも基礎・発展の同一科目不可であることが敬遠材料となり、志願者大幅減は必至。宮崎大‐農【前】【後】へ流出しそうだ。
●北九州市立大
 長崎大‐多文化社会の募集人員減の影響で、外国語【前】【後】の志願者増が予想される。また、前年の反動から、文【前】・国際環境工【前】【後】で志願者増、文【後】・経済【後】・地域創生【前】で志願者減が見込まれる。国際環境工【前】は2次軽減(英語を除外)も志願者大幅増の要因となりそうだ。
●九州歯科大
 歯(歯)【前】の2次で「理科→総合問題」に変更。また、同(口腔保健)【前】で、2次に総合問題を追加し、2段階選抜を新規実施(予告倍率=約5倍)する。いずれも敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。
●長崎県立大
 前年の反動から、経済【前】【後】・国際情報【前】【後】・看護栄養【後】で志願者増が見込まれる。経済【後】は募集人員増(72人→87人:AOを廃止)も要因となりそうだ。
●熊本県立大
 前年の反動から、文【前】【後】・環境共生【前】【後】・総合管理【後】で志願者増の見込み。文【前】【後】は、セ試で理科を選択しなくてよい点も人気材料となりそう。一方、総合管理【前】は2次負担増(小論文を追加)が敬遠され、志願者減が見込まれる。

 
 

<私立大>

 14年は地区全体で、志願者・合格者ともに前年並みだった。15年は、強い地元志向に加え、九州産業大・久留米大・西南学院大・福岡工業大の「ネット出願・ネット割」の新規実施、福岡大のセ試利用Ⅱ期の新規実施、福岡工業大の定員増(工340人→380人、情報工340人→375人、社会環境150人→160人。全学で10%増)が台風の目となり、いずれも志願者増が予想される。特に、九州産業大は導入初年度から、AO以外の全入試で紙の願書を廃止するのが注目される。また、国公立大との併願が多い西南学院大のネット割導入と、福岡大のセ試利用入試の募集回数増は、地区全体に影響を及ぼしそうだ。

 

この記事は「螢雪時代(2014年11月号)」より転載いたしました。

 

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