入試動向分析

2012年一般入試の難易変動はこうなる!【2011年11月】

2011(平成23)年度

《国公立大》京都大・大阪大が志願者増、東京工業大が“台風の目”に!?
《私立大》“関関同立”が志願者増、首都圏難関校は志願者減!?

 

 一般入試の本番へ向け、いよいよ受験勉強が本格化する時期に入った。2012年は東日本大震災による経済的・社会的な影響、センター試験の実施・成績判定方法の大幅な変更を受け、「大学受験生数は減少、センター試験の平均点は低下」と予想される中で、国公私立大の難易や人気度がどう変わるのか。ここでは、高校・予備校の進路指導の先生方へのアンケートを中心に、さまざまな変動要因を総合し、2012年一般入試の動向を予測する。

 

※この記事は『蛍雪時代・2011年11月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

 

 

志願者数は国公立大2%増、私立大1%減か。東日本大震災の影響で“京阪神志向”強まる!?

 

 2012年(以下、12年)の大学受験生数は、東日本大震災の影響で、進学率の低下から減少(1.5%減)が予想され、一般入試の志願者数は国公立大が約2%増、私立大は約1%減とみられる。センター試験(以下、セ試)はやや難化する見込みだが、経済状況の悪化から、国公立大志向が強まりそうだ。学部系統別では、国際関係・教員養成・理工・農・医・医療看護の人気アップ、法・経済の人気ダウンが予想される。

 
 

センターの志願者数は11年より微減の55万5千人程度か

 文部科学省(以下、文科省)発表の『平成23年度学校基本調査速報』をもとにした旺文社の推定(東日本大震災の影響で岩手・宮城・福島3県の高校等関係のデータが未集計のため)では、11年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が67万6千人と、10年に比べ0.7%減少した。12年は、東日本大震災(以下、震災)の影響で大学・短大への現役志願率が低下する見込みで、大学受験生数は旺文社推定で66万6千人と、前年比で約1万人(1.5%)減少するとみられる(下のグラフを参照)。
 セ試の出願者数はどうなるか。震災に伴う経済的環境の悪化で、国公立大志向がさらに強まるとみられる。大学入試センターでは、震災の被災者に対し受験料の免除を決定した。一方、私立大のセ試利用入試は、参加大学・学部数の増え方(9大学21学部増)が11年をやや下回る。『螢雪時代』のアンケートにおける先生方の予測を平均すると、セ試受験生数は「55万8千人」となった。こうした要素を考慮すると、最終的には大学受験生数の減り方より、やや強含みの変動が予想される。12年のセ試の出願者数は、11年より微減となる55万5千人程度と予測する。

 
大学受験生数とセンター試験志願者数、現役志願率推移
 

【国公立大】国公立大志向は強まり、センターの難化で安全志向が顕著に!?

 『螢雪時代』のアンケートにおける先生方の回答でも、国公立大志向が「強まる」「やや強まる」との回答が多い。そのため、国公立大全体の志願者数は、前年比2%程度の増加が見込まれる。とはいえ、12年度のセ試は、11年の平均点大幅アップの反動で、国語、数学Ⅰ・A、物理Ⅰ、化学Ⅰなどが難化する可能性が高く、さらに地歴・公民、理科の実施・成績利用方法の変更(後述)に伴う混乱も予想され、全体として平均点は低下する見込み。そのため、受験生が11年と異なり、慎重出願に走ることが考えられる。
 震災後の経済的・社会的環境の悪化により、“地元志向・資格志向・安全志向”はさらに強まりそう。このため、“実力相応校”への堅実な出願や、前年の難易変動を意識した出願が予想される。また、中~西日本の受験生に「東北~関東」を敬遠する傾向が見られ、難関校志望者に“京阪神志向”が強まり、京都大・大阪大などの人気が高まろう。
 国公立大の選抜方法の変化(11年→12年:文科省集計)を表1に示した。一般入試では、セ試はさほど変化が見られないが、個別試験(以下、2次)では「課さない」大学・学部が前年比で9大学15学部減少するなど、「課さない→課す」「小論文・総合問題→学科試験」への転換が目立つ。募集人員の変動をみると(文科省集計)、東京外国語大‐言語文化、東京工業大‐第2~6類、大阪大‐工、神戸大‐経営などの「後期廃止・前期拡大」の影響で、前期・後期の比率は「前期80.1%(11年79.7%)、後期19.9%(同20.3%)」と、わずかに前期が高まった。特に、東京工業大の場合、国公立・私立を問わず、首都圏全体の理工系の志望動向に影響しそうだ。
 推薦・AO入試では、募集人員はともにほぼ前年と同様だが、セ試を課すAO(61→64)・推薦(150→156)の実施学部数が増加した。
 この他、東京外国語大・山梨大・大阪府立大の全学規模の改編、滋賀大‐教育、奈良教育大の教員養成課程拡大が注目される。

 
大学受験生数とセンター試験志願者数、現役志願率推移
 

【私立大】首都圏の総合大が人気ダウンか。経済面の受験生支援策が目立つ

 一方、私立大の志望動向はどうか。やはり震災に伴う経済的・社会的環境の悪化で、被災地を中心に、進学先を専門学校に切り替えたり、受験しても併願校数を抑えたりするケースが増えそうだ。このため、私立大全体の志願者数は前年比1%程度の減少が見込まれる。
 国公立大と同様、確実に合格を決めたい“安全志向”から、11年と同様、「難関~準難関校→中堅校」とランクダウンする出願傾向が予想される。また、国公立大と同様、中~西日本の受験生に“首都圏敬遠”の傾向がみられ、比較的全国型の総合大学(中央大・法政大・明治大・早稲田大など)は志願者減が予想される。一方、難関校志望者に“京阪神志向”が強まっている模様で、いわゆる“関関同立”の人気アップが予想される。
 なお、大都市圏(特に首都圏)の総合大学では、10年までの「合格者絞り込み」から一転、11年は志願者減でも合格者を増やす傾向が目立った。こうした大学では、当初は志願者減が予想されても、11年の倍率ダウンをチャンスと見て、12年はゆれ戻しが起きる可能性もあるので、要注意だ。
 新設予定は7大学。学部・学科の増設は、認可申請が「学部=8大学8学部、学科=2大学2学部2学科」、設置届出(4~7月分)が「学部=19大学21学部、学科=33大学37学部49学科」にのぼり、医療・看護、教員養成系が目立つ(通信教育課程を除く)。その他の定員増を含めると、全体で約4千200人の定員増となる。一方、歯・薬で定員減(7大学9学部で223人減)を行う。
 震災の被災者を対象とした学費や受験料の減免措置を、12年度も継続する大学が多い。また、受験料や学費の減額、奨学金制度の導入・拡充、学内併願の受験料割引制度の導入といった、受験生を経済面でサポートする改革が目立つ。

 

【系統別】教育・理工・農・医・医療が志願者増、法・経済・薬が志願者減か

 学部系統別では、国公立・私立ともに「資格・技術志向」「文低理高」の志願動向が、11年よりも鮮明になりそう。「少しでも就職に有利な分野を」との考えに加え、震災を境に「どのように社会貢献するか」を真剣に考える受験生が増え、志望動機が明確化している模様で、実学的志向から「資格・技術志向」はさらに強まりそうだ。このため、国際関係、教員養成、理工、農、医、医療・看護など、理系学部や資格・技術系が底堅い人気で志願者を集めそう。医は定員増で間口が広がったことや、私立でも学費減額の動きがあること、医療・看護は新増設が多いことも要因となろう。
 一方、法・経済は志願者減が見込まれる。大学生の就職率悪化に加え、法科大学院の司法試験合格率の低迷(07年40.2%→11年23.5%)なども、人気ダウンの要因となろう。この他、学費を考え「歯・薬学部に行くなら国公立」との意識が強く働き、国公立の歯・薬が増加、私立の薬で減少が予想される

 

セ試の地歴・公民、理科の成績利用は、国公立大と私立大で対照的

 震災の影響と並び、12年で最大の変動要因は、セ試の実施方法と成績利用方法の変更だろう。地歴と公民の試験枠が統合され、「地歴・公民から2科目選択可」となり、公民に新科目「倫理、政治・経済(以下、倫政経)」が加わった。理科も試験枠が「3→1」に統合され、「6科目から2科目選択可」となった。また出願時に、受験する全ての教科名、地歴・公民、理科は科目数(科目名は不要)の登録が必要になった。
 国公立大の地歴・公民については、選択科目に倫政経を追加するだけの大学が多いが、難関校や医学科など、公民を「倫政経のみ選択可」と指定する大学もある。難関校以外の国公立大志望者は、倫理、政治・経済両方の準備が必要で負担の大きい倫政経を敬遠し、従来の現代社会などで受験、というのが実情だろう。このため、難関校以外で公民を「倫政経」指定した大学・学部は人気が低下しそうだ。一方、私立大のセ試利用入試でも、地歴・公民は従来の選択科目に倫政経を加えるだけの大学がほとんどだが、明治大‐文は「倫政経」指定となるので要注意だ。
 理科3科目選択が不可となったため、国公立6大学の医学科でセ試の理科が3→2科目となるが、京都大・九州大・佐賀大の前期では、2次を含めて実質的に理科3科目(物理・化学・生物)を維持する。
 セ試で地歴・公民、理科をそれぞれ2科目受験する場合、最初に解答する科目が「第1解答科目」、次が「第2解答科目」とされた。試験時間は各科目60分で解答し、その間に10分間、答案回収等の時間(休憩時間ではない)が設けられた。2科目受験者が1科目判定の学部等に出願する場合、2つの試験時間を使って実質的に1科目を解答する可能性もある。こうした「不公平」を防ぐ措置として、従来の「高得点科目」ではなく、基本的に「第1解答科目を判定に利用」する大学が続出。9月末の段階で、福島大以外の全国立大と、公立大の5割超が「第1解答科目を判定に利用」することが判明した。
 第1解答科目が学部等の指定した科目でない場合は、第2解答科目が指定科目であっても利用されず、「0点」とされたり「無資格」とされたりするので、要注意だ。第1志望校では問題なくても、志望変更や後期・公立大中期との併願にあたって、受験可能大学が限られてしまう可能性もある。このため、「高得点科目で判定」の大学は、いざという時に受験生に重宝されそうだ。
 一方、私立大では国公立大とは対照的に、「高得点科目で判定」とする大学が約9割を占めるが、早稲田大・同志社大など「第1解答科目で判定」とする大学もある。特に、工学院大・芝浦工業大・東京電機大・東京都市大・東京理科大といった首都圏の理工系中心の大学が「第1解答科目で判定」に足並みをそろえたのが注目される。
 表2に、9月末現在で判明した、おもな私立大のセ試利用入試の成績利用方法について一覧表にした。ただし、今後も変更の可能性があるので、必ず募集要項で確認するか、ホームページをこまめにチェックしてほしい。
 では、第1解答科目をどのように決めたらいいのか? 進路指導の先生方は次のようにアドバイスする。しっかりと肝に銘じておきたい。
(1)セ試本番で問題を見てから決めるのではなく、志望校が課す科目を確認し、なおかつ高得点可能な得意科目を第1解答科目にするよう、模試の成績等をもとにあらかじめ決めておこう。
(2)第1志望校だけでなく、後期・公立大中期の併願校や、セ試の結果で志望変更する可能性のある大学・学部も視野に入れて、きちんとシミュレーションしておこう。

 
大学受験生数とセンター試験志願者数、現役志願率推移
 

進路指導の先生方は12年入試をどう見ているか

進路指導のプロである先生方は、12年入試をどのように捉えているのか。アンケート結果をもとに、基本的な考え方や対応策を示していこう。

 

A.国公立大志向はどうなりますか?

(1)強まる…25%
(2)やや強まる…65%
(3)変わらない…10%
(4)やや弱まる…0%
(5)弱まる…0%

 

B.私立大志向はどうなりますか?

(1)強まる…0%
(2)やや強まる…5%
(3)変わらない…65%
(4)やや弱まる…20%
(5)弱まる…10%
 
 前年の調査と比べ、Aは(2)が増え、(3)が減少。一方、Bは(2)(4)が減り、(5)が増加。震災と経済不安の影響から、国公立大志向が11年以上に強まることを、鮮明に映し出す結果となった。

 

C.12年入試での併願校数はどうなりますか?

(1)11年とほぼ同数…75%
(2)11年よりやや増える…15%
(3)11年よりやや減る…10%
 
 前年とほぼ同じ割合で(1)が多いが、前年より(2)が増え、(3)が減ったのが注目される。経済状況のさらなる悪化から、現役合格が前提となっている様子がみて取れる。とはいえ、併願校数はほぼ前年並みで、増やすとしても受験料減額制度やセ試利用を活用した学内併願とみられる。

 

D.推薦入試への取り組みについては?

(1)11年とほぼ同様…75%
(2)11年よりやや重視…15%
(3)11年よりやや軽視…10%

 

E.AO入試にはどう対応されますか?

(1)積極的にチャンスを生かす…20%
(2)徐々にチャンスを生かす…45%
(3)ほとんど関心がない…35%
(4)全く関心がない…0%
 
 Dは前年より(1)が減り、(2)が増加。Eも(1)(2)が増え、(3)(4)が減少した。推薦・AO入試については、11年から文科省が「学力検査免除→学力把握措置の重視」へ方針転換したため、国公立・私立ともに、12年度も基礎学力重視の変更(セ試など学科試験の導入、出願要件に評定平均値を明記、評定平均値を得点化、など)が目立つ。特に、医学部で地域枠推薦の導入、国公立大でセ試を課す推薦・AOの導入・拡充が進んでいるため、一般入試を重視しつつも、進路指導の先生方の対応に変化が見られる。

 

(文責/小林)

 
 

■地区別に志望動向・難易変動を予測する!■

 

【北海道・東北】大震災の影響で他地区から流入減の見込み。東北大・福島大が志願者減、北海道大・岩手県立大が志願者増か!?

 

以下、各地区のおもな大学について、12年一般入試の変動要因と難易動向をみていこう。文中、変更点は11年→12年で表記。学部・学科名は略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼][夜] 、センター試験=セ試、個別学力検査等(2次試験)=2次、セ試を課さない推薦=セ試免除推薦、セ試を課す推薦=セ試課す推薦、AO入試=AOと略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。

 
 

<国公立大>

●旭川医科大
 医(医)【前】【後】はセンター試験(以下、セ試)を8→7科目(理科3→2科目)に軽減し、同【後】の2次を総合問題→理科2科目に変更。他大学の医学科との併願がスムーズになり、前・後期とも志願者増に結びつきそうだ。
●帯広畜産大
 獣医学課程を、北海道大‐獣医と共同して教育を行う「共同獣医学課程」に改組する予定。入試方式や募集人員の変更はない予定で、しかも卒業時に北海道大と連名の学位を取得できるため、志願者増の要因となろう。
●北海道大
 学部別入試に加え、11年から前期で導入した総合入試(入学時に所属学部を決めず、文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施。合格者は2年進級時に所属学部・学科を決定)の認知度が高まった。さらに、東日本大震災(以下、震災)の影響で、東北地区の難関大志望者からの人気が高まるものとみられ、全体的に志願者増が予測される。
 前期の学部別入試や後期では、前年の反動で文【後】・教育【後】・医(医)【前】・獣医【前】【後】が志願者増、歯【後】・水産【前】が志願者減の見込み。ただし、文【後】は配点を「セ試280点→300点、2次280点→200点」と均等からセ試重視に変更、セ試が難化した時に、やや敬遠材料となる可能性がある。
●室蘭工業大
 11年の志願者大幅増の反動で、工[昼・夜]【前】【後】ともに志願者減が見込まれる。前年に志願者大幅減の北見工業大【前】【後】、公立はこだて未来大【前】【後】に、志望者が流出しそうだ。
●弘前大
 11年の志願者大幅増(14%増)の反動から、人文【後】・教育【前】・医(医)【前】・医(保健)【前】【後】で志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動で、農学生命科学【前】は志願者増か。
●岩手大
 前年の反動から、工【前】・農【前】【後】の志願者減が見込まれる。農では獣医学課程を、東京農工大との共同教育課程である「共同獣医学科」に改組する予定だが、入試方法・募集人員に変更はなく、志望動向への影響は小さい模様。農【前】は弘前大‐農学生命科学【前】、工【前】は岩手県立大‐ソフトウェア情報【前】などへ流出するとみられる。また、教育【後】は学校教育コースの募集人員減(40人→30人:セ試免除推薦を増加)でやや志願者減か。一方、人文社会科学【後】は前年の志願者半減の反動、工【後】は2次の変更(面接→数学・理科)と学外試験場の増設(名古屋)で志願者増が見込まれる。
●東北大
 震災の影響で、他地区からの難関大志望者の流入減が予測される。ただし、経済的要因に加え、東北復興の象徴として、地区内の難関大志望者からの人気は高まり、大学全体の志願者減は小幅に留まりそうだ。前年の反動もあり、経済【後】・理【後】・医(医)【前】・歯【前】が志願者増、教育【前】・理【前】・工【前】が志願者減の見込み。
●宮城教育大
 教育(特別支援教育)で後期を廃止し、前期を24人→40人(文系型・理系型各12人→20人)に増員。教育【前】で志願者増の見込み。
●秋田大
 前年の反動で、教育文化【前】・医(医)【前】が志願者増、教育文化【後】・工学資源【後】・医(医)【後】・医(保健)【後】は志願者減の見込み。教育文化【前】は、学外試験場(東京)の新設も志願者増の要因となりそう。医(医)【前】は山形大‐医(医)からの志望者流入が見込まれ、2次の配点比率アップ(31%→42%)も、セ試が難化した時に2次逆転狙いの志願者を集めそうだ。
●山形大
 工では前年の反動から、工[昼・フレックス]【前】で志願者増が見込まれる。工[フレックス]【前】は募集人員減(35人→30人:AO枠を拡大)のため、やや難化か。この他、やはり前年の反動で、人文【前】【後】の志願者増、医(医)【前】【後】・理【後】・農【前】の志願者減が予想される。
●福島大
 震災と原子力発電所(以下、原発)事故の影響は大きく、県外からの志願者減、県内受験生の流出増が予測され、大学全体の志願者大幅減は必至。ただし、12年度は全入試・全受験生を対象に受験料を免除する。また、国立大で唯一、セ試の地歴・公民、理科の成績利用方法が「高得点科目を利用」というプラス材料もある。このため、経済経営【前】【後】・行政政策【後】・共生システム理工【前】では、前年の反動もあり、志願者減は小幅に留まりそうだ。
●岩手県立大
 11年の志願者大幅減(33%減)の反動から、看護【前】【後】・ソフトウェア情報【前】【後】・総合政策【前】【後】の志願者増が見込まれる。ソフトウェア情報では一般入試の前期A(セ試免除)を40人→20人に削減、前期B(セ試課す)を40人→50人、後期を10人→20人に増員し、前期Aの2次に数学を追加、前期Bの2次を「総合思考力試験→数学」に変更。これらの変更も、志願者増の要因となりそうだ。
 一方、やはり前年の反動から、社会福祉【前】【後】は志願者減が見込まれる。同【後】は、セ試を7→3科目に軽減、2次を総合問題→小論文に変更し、合否判定方式を「セ試の基準点以上の者を対象に2次のみで判定」から「セ試・2次の総合点」に変更するが、募集枠縮小(14人→10人)も敬遠材料となりそうだ。
●福島県立医科大
 福島大と同様、震災と原発事故の影響で首都圏や地区内他県からの流入減が予測され、前年の反動もあり、医【前】【後】・看護【前】の志願者大幅減が見込まれる。看護【前】は募集人員減(45人→40人:推薦枠を拡大)も要因となりそうだ。
 
 北海道教育大は、前年の反動で札幌校【後】・釧路校【前】【後】・函館校【後】が志願者減か。札幌医科大‐医【前】は、旭川医科大‐医(医)【前】へ志望者が流出、やや減少の見込み。公立はこだて未来大では、国公立大で唯一、セ試の理科(1科目)の利用科目を出願時に自己選択する。宮城大は、前年の反動から事業構想【前】【後】が志願者増、看護【前】【後】が志願者減か。秋田県立大は、やはり前年の反動でシステム科学技術【前】【後】が志願者減の見込み。国際教養大は、好調な就職状況のため高人気を保つものの、授業料増額(年間535,800円→696,000円)が敬遠材料となりそうだ。

 
 

<私立大>

 11年は、地区全体で志願者1%増、合格者は4%増(旺文社集計。以下同じ)で、倍率は2.1倍→2.0倍とダウン。12年は震災・原発事故の影響で、被災地を中心に受験生の経済的・社会的環境が悪化(遠隔地への避難や分散授業なども含め)したことから、大学進学をあきらめ専門学校に切り替えたり、国公立大志望者が北海学園大・東北学院大などに併願先を絞ったり、といった変化が予想され、本地区の私立大は全体では志願者減の見込み。
 北海学園大では工で学科増設(生命工)を予定、経済1・2部と経営1部の一般入試で募集枠拡大(経済1部152人→160人、同2部34人→42人、経営1部132人→150人)。北海道工業大は一般前期を3→2教科に軽減。東北福祉大では全4学部でセ試利用後期を新規実施し、一般C日程で試験日を統合(学部分割を廃止し、学部統一に一本化)する。また、東北学院大でも経済(経済)でセ試利用後期を新規実施する。

 
 

【関東・甲信越】東京外国語大・東京工業大が“台風の目”に。青山学院大が増加、中央大・法政大・明治大などが減少か。

 

<国公立大>

●茨城大
 東日本大震災の影響で、東北方面や首都圏からの流入減が見込まれ、前年の反動もあり、人文【前】【後】・農【前】【後】など全学的に志願者減か。
 ただし、農【前】は2次で、生物生産科学・地域環境科学の2学科が面接を、資源生物科学科が小論文を、それぞれ理科に変更。また、農【後】は2次で調査書点数化を廃止したため、小幅な減少に留まりそうだ。
●筑波大
 募集人員の多い前期では、前年の反動により、人文・比較文化・社会・教育・心理・地球・応用理工・情報科学・情報メディア創成・知識情報・図書館の各学類の志願者減と、国際総合・化学の各学類および芸術専門学群の志願者増が予想される。国際総合は募集人員の移動(前期40人→48人、後期16人→8人)が志願者の増減に、日本語・日本文化【前】は2段階選抜の予告倍率緩和(募集人員の約4倍→約7倍。以下、募集人員を略)が志願者増に結びつきそうだ。
●宇都宮大
 東北地区からの流入減が予想され、全学的に志願者減か。特に、前年の反動から教育【後】・工【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。
●群馬大
 前年の志願者9%増の反動から、教育【後】・社会情報【後】・医(医)【後】・医(保健)【前】【後】・工[昼]【前】【後】で志願者減が見込まれる。一方、医(医)【前】は前年(地域医療枠を7人→13人に増やしたが、学科全体では志願者24%減)の反動から、志願者大幅増が見込まれる。
●埼玉大
 東北地区からの流入減と前年の反動から、教育【前】【後】・経済【後】・理【前】【後】・工【前】で志願者減が予想される。工【前】は募集人員増(186人→194人:環境共生学科でセ試免除推薦を廃止)もあり、やや易化しそう。
 一方、経済[昼]【前】は、前年の志願者28%減の反動に加え、「一般枠」で2次を「国語・数学・外国語必須→2科目選択」に軽減したため、志願者増は必至だ。ただし、「セ試枠」は軽負担(セ試3教科のみで判定)だが、公民が「倫理、政治・経済」(以下、倫政経)指定で、2単位科目(倫理、政治・経済、現代社会)が選択不可となったことが敬遠材料となりそうだ。
●千葉大
 医【前】・工【前】は2次負担増(理科1→2科目:工‐デザインは「物理・造形から1→理科・専門適性検査」)が志願者減の要因となりそう。また、文【前】【後】はセ試の公民が倫政経指定で、倫理、政治・経済、現代社会が選択不可となったことが敬遠材料となりそうだ。この他、前年の反動から理【後】・医【後】・看護【前】・園芸【前】で志願者減、薬【後】で志願者増が見込まれる。なお、工【後】は後期大幅縮小の東京工業大や東京大‐理Ⅰ・Ⅱからの併願増が見込まれる。
●東京大
 難関大志望者に地元志向と“京阪神志向”が強まっている模様。さらに、東京工業大の前期募集枠拡大と2段階選抜廃止、セ試を課す推薦・AOの導入が影響し、前年の反動もあって、前期は文Ⅰと理科類全体で志願者減が見込まれる。また、後期(理Ⅲを除く全科類共通入試)は、東京工業大の後期縮小にも関わらず、超ハイレベルの激戦が敬遠され、学内併願はやや減少か。横浜国立大‐理工【後】、千葉大‐工【後】、東京農工大‐工【後】への併願が増加しそうだ。
●東京外国語大
 外国語を「言語文化・国際社会」2学部へ改編予定。言語文化では後期を廃止、セ試課す推薦を導入。国際社会は従来どおり前・後期で実施する。前期は募集人員増(2学部合計で前期522人→599人、後期193人→104人)と国際関係人気のため、志願者増が見込まれる。一方、国際社会【後】に学内併願が集中、激戦化しそうだ。
●東京工業大
 第2~6類で後期を廃止、セ試課すAOを導入し、第1類でセ試課す推薦を導入(セ試免除AOを廃止)。全学で前期の募集枠を拡大(862人→923人)し、後期を146人→20人(第7類のみ実施)と大幅に削減した。
 また、第1~7類【前】でセ試の点数化を廃止(合否判定に利用しない)し、2段階選抜も廃止。基準点(950点満点の場合600点以上)を設けたが、2次が極めて高成績の場合は、基準点に満たなくても特例として合格の可能性がある。
 東京外国語大の改組と並び、本地区で最大の変動要因といえ、理工系人気もあって、前期は東京大‐理Ⅰ【前】・理Ⅱ【前】、東北大‐工【前】などから流入、志願者大幅増が見込まれる。一方、第7類【後】は学内併願が集中、募集人員減(35人→20人)などもあり、高倍率の激戦となりそう。この他、前期から横浜国立大‐理工【後】、千葉大‐工【後】などへの併願が増加しそうだ。
●東京農工大
 東京工業大の「前期拡大・後期縮小」の影響を受け、工【前】が志願者減、工【後】は東京工業大からの併願増で志願者増が見込まれる。また、農【前】は前年の反動から志願者減の見込み。なお、農(獣医)を、岩手大との共同教育課程である「共同獣医学科」に改組する予定。
●一橋大
 難関大志望者に地元志向と“京阪神志向”が強まっている模様で、全体的にやや人気ダウンか。ただし、商【前】・経済【前】は前年の大幅減の反動、法【前】は法科大学院の司法試験合格率(11年は57.7%)の高さから、志願者数はほぼ前年並みか。
●横浜国立大
 理工は11年に大規模な改編(5学科→4学科12教育プログラム)を行い、募集人員を「前期220人→303人、後期374人→388人」に増加したため、前・後期とも志願者大幅増。12年入試では、東京工業大の「前期拡大・後期縮小」の影響を受け、工【前】が志願者減でやや易化、工【後】は東京工業大【前】、東京大‐理Ⅰ【前】・理Ⅱ【前】からの併願が増え、志願者増が見込まれる。
 教育人間科学は、11年に定員の一部を理工へ移行したが、教員養成課程は縮小されていないので、前・後期ともに志願者はほぼ前年並みか。経済【前】は、セ試の公民が「倫政経」指定であることが敬遠材料となりそうで、経営[昼]【前】へ志望者が移行する一方、前期は東北大‐経済【前】からの流入も見込まれる。
●新潟大
 前年の反動から、人文【後】・教育【後】・法【前】・経済【前】【後】・理【前】・医(医)【前】の志願者増、人文【前】・理【後】・医(保健)【前】【後】・歯【前】【後】・工【前】【後】の志願者減が予想される。経済【前】【後】では、セ試で「地歴・公民2科目、理科1科目」「地歴・公民1科目、理科2科目」の2パターンによる判定方式を導入、理系受験生の流入に結びつきそうだ。
●山梨大
 生命環境学部を新設予定(前期110人・後期20人)。生命科学やワイン科学など、理系女子に人気が高い分野だけに、多くの志願者を集めそうだ。これに伴い、工(440人→365人)、教育人間科学(200人→145人)で定員を削減。工【前】・教育人間科学【前】【後】では、募集枠縮小に見合った志願者減が予想されるが、教育人間科学の教員養成課程の拡充(前期57人→78人、後期25人→28人)もあり、工【前】・教育人間科学【前】【後】とも倍率面の大きな変動はなさそう。
 医(医)は「後期のみ実施」となって2年目だが、医学部志望者の貴重な併願先としてやや志願者増か。一方、医(看護)は前・後期とも志願者減が見込まれる。
●信州大
 繊維では学部改組(3→4学系。機械・ロボット学系を新設)、前期で2次を「面接→理科」に変更、学外試験場を名古屋に新設。繊維【前】は東海地区からの流入が増え、志願者大幅増が見込まれる。教育でも学部改組(募集単位を「専攻→課程・コース」に変更)を行い、教員養成課程を定員増(210人→220人)し、教育【前】【後】ともやや志願者増か。この他、前年の反動で、人文【後】・経済【後】・理【後】・医(医)【後】・農【前】・繊維【後】の志願者増、人文【前】・経済【前】・医(保健)【後】・工【後】の志願者減が予想される。ただし山梨大の学部増設(生命環境)が、農・理(生物科学)の志願動向にやや影響を与えそうだ。
 
 首都大学東京は、前年の反動で都市環境【前】【後】・健康福祉【前】【後】が志願者減、都市教養【後】が志願者増の見込み。やはり前年の反動から、電気通信大【前】、茨城県立医療大【後】、千葉県立保健医療大【前】、都留文科大【中】、山梨県立大【前】【後】は志願者増が見込まれ、一方で埼玉県立大【前】【後】、新潟県立看護大【前】【後】は志願者減が見込まれる。長岡技術科学大【前】はセ試の公民が「倫政経」指定であり、敬遠されそうだ。

 
 

<私立大>

 11年は、地区全体で志願者1%増、合格者は3%増で、倍率は4.1倍で10年と変わらず。10年までの“合格者絞り込み”から一転、難関校~中堅上位校で合格者増による倍率ダウンが目立ち、12年もこの傾向は続くとみられる。
 12年は、東日本大震災の影響で中~西日本の受験生に“首都圏敬遠”の傾向がみられ、志願者の分布が比較的全国型で、セ試利用入試の募集枠も大きい中央大・法政大・明治大・早稲田大や“日東駒専”などで志願者減が見込まれ、倍率面でやや易化が予想される。慶應義塾大はセ試利用入試の廃止で志願者減も、難易レベルは高嶺安定、厳しい入試が続きそう。一方、多彩な入試改革を行い、文系学部の全面的な“都心回帰”を13年に控えた青山学院大が志願者増、定員増を行う上智大も微増か。理工系人気がすっかり定着し、東京理科大・芝浦工業大・東京電機大など理工系を中心とした大学は、難易レベルにかかわらず、いずれも引き続き志願者増が見込まれる。また、東京大‐理科類、東京工業大の前期から、早稲田大の理工系3学部、慶應義塾大-理工などへの併願増が見込まれる。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●青山学院大
 文で学科増設(比較芸術)を予定。全学部日程の募集枠を「教育人間科学20人→35人、総合文化政策20人→30人」に増員。法の個別学部日程でB方式(全マーク式。A方式と別日程。募集人員25人)を導入し、A方式の募集枠を70人→190人に増員。経営の個別学部日程で、A・B方式を「同日→別日実施」に変更し、募集枠をA方式240人→280人、B方式50人→15人に変更。経営・総合政策文化のセ試利用で4教科型を導入する。一方、法・経営・国際政治経済・社会情報の4学部でセ試後期を廃止。法・理工で独自・セ試併用方式を廃止。教育人間科学の個別学部日程でB方式を廃止する。
●慶應義塾大
 法・薬でセ試利用入試を廃止。同系統の難関国立大の代表的な併願先だっただけに影響は大きく、中央大-法、早稲田大-政治経済、東京理科大-薬のセ試利用入試の志願者増につながりそうだ。
 一般入試前に申請を受け付け、候補者を決定、合格後に奨学生として採用する「学問のすゝめ奨学金」を導入。評定平均値4.1以上の国内(東京・神奈川・埼玉・千葉以外)の高校等出身者が対象で、全国を6ブロックに分け、地域ブロックごとに給付人数(計107人を予定)を設定した。
●上智大
 神以外の7学部で定員増を予定、全学で2,245人→2,581人と前年比336人(約15%)増加する。そして、各学部の一般入試の募集人員は「文303人→393人、総合人間科学193人→228人、法200人→245人、経済210人→260人、外国語259人→329人、理工180人→210人、国際教養130人→146人(うち秋入学70人→82人)」に増える。
 一般入試の実施方法を、総合人間科学の3学科で変更。教育学科でB方式を、社会学科で小論文を廃止。一方、社会福祉学科でA・Bの2方式に分割する(募集人員はA31人・B7人)。A方式では2次(小論文・面接)を廃止し、学科試験(3科目)で選抜。一方、B方式は「小論文・面接・志望理由書」で選抜する。
●中央大
 学部共通入試の統一入試で、法・経済・商・総合政策に加え、文が新規参加。募集人員は13専攻合計で30人、入試科目は3教科型。また、文ではセ試単独方式で後期を導入する。統一入試・一般入試・セ試併用方式で新潟会場を増設。法でセ試利用の出願締切日を、セ試本試験日の「後→前」に繰り上げる(1/25→1/13)。
●東海大
 医の一般A方式に小論文・面接を追加し、入試を2段階選抜に変更。1次選考(学力試験、適性試験)の試験日は2/2・3(自由選択制)、2次選考(小論文・面接)は2/11・12(大学が日時指定)。国際文化・生物・総合経営・産業工・農でセ試前期の出願締切日を「1/14→1/27」とセ試本試験日の「前→後」に繰り下げる。また、北海道にキャンパスのある学部の改組(生物理工→生物)と募集停止(芸術工)を行う。
●東京経済大
 一般入試・セ試利用入試の「特待生合格枠」を279人→300人に拡大。一般前期の募集人員を、経営190人→200人、現代法90人→100人に増加。セ試利用入試で、国語の範囲指定を「現代文・古文」から、「現代文・古文・漢文」「現代文」の2パターンを各250点満点に換算し、高得点の方を利用するように変更した。
●東京都市大
 工・知識工のセ試利用で5教科型(900点中630点以上で合格)を導入。環境情報・都市生活で全学統一入試を「3教科受験、英語と高得点1教科で判定→3教科で合否判定」に変更。
●東京薬科大
 薬で募集人員を変更。セ試利用A方式を男子部・女子部(以下、男・女)各20人→各15人に、一般B方式後期(試験日2/6)を男・女各60人→各25人に削減し、B方式前期(試験日1/30)を男・女各35人→各60人に増員する。
●東京理科大
 経営の一般B方式で、甲(国語必須)と乙(数学必須)を統合し、募集枠を削減(134人→119人)する一方、C方式(独自・セ試併用)の募集枠を10人→25人に拡大する。
●日本大
 歯・松戸歯の2学部で、定員を削減(各160人→130人)し、入学初年度(1年次)の学費を、歯830万円→690万円、松戸歯810万円→690万円に減額する。また、松戸歯ではセ試利用入試を導入、一般A方式を3→2科目に軽減し3期を新規実施、2期で学外試験場を新設(仙台・広島・福岡)と多彩な入試改革を行う。
 文系学部では、法1部・経済・商の学部共通入試「N方式」に受験料割引制度(同時併願の場合、2学部目から3万5千円→1万5千円に減額)を導入。商のC方式セ試で国語から漢文を除外し、1期4教科型を新たに奨学生対象とする。
●法政大
 情報科学のセ試B方式を5→4科目に軽減(国語を除外)。キャリアデザインのA方式で英語の配点を100点→150点に引き上げる。
●明治大
 政治経済のセ試前期で4教科方式を廃止し、2学科で7科目方式の募集枠拡大(経済35人→50人、地域行政10人→15人)。文のセ試利用入試は3・5教科型ともに、公民が「倫政経」のみ選択可となるので、やや敬遠されそう。
●明治学院大
 全学部日程の試験日を「2/9→2/1」に繰り上げる。中央大の「統一入試」や、学習院大‐文、法政大‐経済・社会などとの日程重複が解消され、志願者増が見込まれる。
 
 駒澤大では学外試験場を岡山に増設。国士舘大は経営で一般入試を85人→120人、セ試利用入試を16人→30人に増員(公募推薦・AOを削減)。順天堂大では、医の入学初年度(1年次)の学費を360万円→290万円に減額。成蹊大は経済・法・文でS方式(セ試5科目型:奨学生入試)を廃止。専修大では、法1部で全学年の授業を都心キャンパスに集約(従来は1年次のみ郊外キャンパス)。帝京大では文(教育)を改組し、「教育学部」を増設予定。東洋大では法のセ試B方式で、英語にリスニングを追加。日本女子大で、一般入試の出願締切日を「1/14→1/17」と、セ試本試験日の「前→後」に繰り下げた。武蔵大はセ試利用後期で、社会・人文に7科目型を導入する一方、経済を3→2科目に軽減。神奈川大では、工に学科横断型の教育組織「総合工学プログラム」を新設予定だ。

 
 

【北陸・東海】金沢大・名古屋大・三重大・愛知大・南山大が志願者増、福井大・静岡大・名古屋工業大が志願者減か。

 

<国公立大>

●富山大
 前年の反動から、人文【前】【後】・人間発達科学【後】・理【前】・医(看護)【前】【後】・芸術文化【後】で志願者増、理【後】・工【前】【後】・医(医)【前】で志願者減が見込まれる。理【前】の場合、生物学科で2次から数学を除外したのも志願者増の要因となりそう。一方、薬【前】【後】はセ試の公民が「倫政経」指定であることが、敬遠材料となりそうだ。
●金沢大
 東日本大震災の影響と堅実志向から、北関東~甲信越の志望者が増えている模様。前年の反動もあり、人文【前】・学校教育【前】・地域創造【後】・数物科学【前】【後】・機械工【後】・保健【後】で志願者増の見込み。一方、法【前】・地域創造【前】・国際【前】・物質化学【前】・自然システム【前】は志願者減が見込まれる。
 経済は一般枠を拡大(前期145人→150人、後期20人→25人:推薦枠を縮小)するが、前期は2次負担増(2→3教科)が敬遠材料となり、志願者は前年並みか。薬・創薬科学は2学類合計で前期を60人→70人に増加(AOを縮小)、富山大‐薬【前】から志望者が流入しそう。数物科学・物質化学・電子情報・環境デザインで推薦入試を廃止し、一般入試を増員。このうち、電子情報【前】【後】(前期80人→84人、後期15人→20人)は志願者増が見込まれる。
●福井大
 前年の反動で、教育地域科学【後】・医(看護)【後】の志願者増、医(医)【前】【後】・工【後】の志願者減が予想される。医(医)【前】では募集枠縮小(65人→60人)も要因となり、浜松医科大‐医(医)【前】へ志望者が流出しそうだ。
●岐阜大
 前年の反動から、教育【前】【後】・工【前】・応用生物科学【後】で志願者増の見込み。教育【前】【後】は愛知教育大【前】【後】から、工【前】は静岡大‐工【前】から、応用生物科学【後】は三重大‐生物資源【後】から流入しそうだ。
 一方、工【後】は2学科のセ試負担増(5→6科目)が、11年に志願倍率が100倍に近かった医(医)【後】も2段階選抜の新規実施(予告倍率=40倍)が敬遠され、志願者減が見込まれる。この他、前年の反動から、地域科学【後】・医(看護)【前】【後】・応用生物科学【前】で志願者減が見込まれる。
●静岡大
 前年の反動により、人文[昼]【前】・教育【前】【後】・理【前】【後】・工【前】・農【前】【後】の志願者減、人文[昼]【後】・情報【後】の志願者増が見込まれる。工は推薦・AOの募集枠を縮小、一般枠を拡大(前期261人→272人、後期115人→121人)するため、前期はやや易化しそうだ。
 なお、人文[昼・夜]で学部名称の変更(人文社会科学)を予定、同[昼](法・経済)・同[夜](経済)では募集人員の変更も予定しており、志願動向に微妙に影響しそうだ。
●名古屋大
 東日本大震災の影響で、関東・甲信越の難関大志望者に「東北大→名古屋大」への移行がみられ、東海地区における地元志向の強まりもあり、11年に続き全体的に志願者増で、難易レベルは“高嶺安定”か。ただし、前年の大幅増の反動により、文【前】・医(医)【前】は志願者減が見込まれる。
●名古屋工業大
 工1部(電気電子工)で、募集人員を前期104人→84人に削減し、後期25人→45人に増員。前年の反動もあり、工1部【前】は志願者減の見込み。
●三重大
 医(看護)【前】【後】でセ試を7→6科目に軽減、前年の反動もあり志願者増は必至。この他、前年の反動により、人文【後】・教育【前】・医(医)【後】の志願者増、人文【前】・教育【後】・工【後】・生物資源【前】【後】の志願者減が予想される。医(看護)【前】【後】には、岐阜県立看護大【前】【後】・三重県立看護大【前】【後】からの流入が、工【後】・生物資源【後】からは岐阜大‐工【後】・応用生物科学【後】への流出が見込まれる。
●福井県立大
 前年の志願者27%減の反動で、経済【後】・生物資源【前】・海洋生物資源【前】【後】・看護福祉【前】【後】の志願者増が見込まれる。
●静岡県立大
 前年の反動で、国際関係【前】【後】・経営情報【前】【後】・看護【後】の志願者減、食品栄養科学【後】の志願者減が見込まれる。経営情報【前】【後】は、静岡文化芸術大‐文化政策【前】【後】から流入しそうだ。
●静岡文化芸術大
 10年から「私立→公立」に移行、11年から一般入試をセ試利用の分離分割方式(前・後期)で実施し、多くの志願者を集めた。その反動から、文化政策【前】【後】・デザイン【前】【後】は志願者減が見込まれる。文化政策【前】は募集人員増(113人→121人)もあり、易化しそうだ。
●愛知県立大
 前年の反動から、外国語【前】・日本文化【前】・教育福祉【前】【後】・情報科学【後】の志願者増、外国語【後】・日本文化【後】・看護【前】【後】・情報科学【前】の志願者減が見込まれる。
●名古屋市立大
 看護【前】で2次に英語を追加、募集人員減(55人→50人)でやや志願者減か。一方、同【後】で2次から小論文を除外、やや志願者増が見込まれる。芸術工は学科を再編(2→3学科)、一般入試を「前期46人→50人、後期26人→38人」に増加。後期で志願者増が見込まれる。静岡文化芸術大‐デザイン【後】から流入しそうだ。
 経済【前】【後】・薬【中】で2段階選抜を廃止、いずれもやや志願者増か。薬【中】は、前年に志願者大幅増の岐阜薬科大【中】から流入しそうだ。この他、前年の反動から、医【後】の志願者増、医【前】・人文社会【前】の志願者減が予想される。

 
 

<私立大>

 11年は地区全体で志願者9%増、合格者7%増で、倍率は2.7倍で10年と同様だった。地元志向の強まりから、愛知大・中京大・南山大などで志願者増が予想される。
 
●愛知大
 名古屋市の都心(名古屋駅付近)に「新名古屋キャンパス」を新設、3キャンパスに分かれている法・経済・経営・現代中国・国際コミュニケーションを移転・集結する。交通アクセスが向上するため、これら5学部の志願者大幅増が見込まれる。
●愛知淑徳大
 セ試利用Ⅰ期で2教科型を廃止、3教科型を導入。独自・セ試併用方式で個別試験を廃止し、一般A・B方式の高得点科目の利用に変更。独自・セ試併用方式の単独出願が不可となり、A・B方式の受験が必須となった。
●中京大
 文以外の9学部で、前期A方式における同一日程の他学部他学科併願が可能になった(文学部内の他学科併願は可)。また、法のセンタープラス方式(独自・セ試併用)で英語重視型を導入する。
●南山大
 セ試前期で5教科型(前期B)を導入、従来の方式(3教科型。法のみ4教科型)を「前期A」に改称する。名古屋大をはじめ、国公立大受験者層の併願増が予想される。
●日本福祉大
 セ試後期を3→2科目に軽減(高得点科目を2倍して合否判定)。また、学外試験場のうち、名古屋を廃止し、松本・岡山に増設する。
 愛知医科大は、医の一般入試の募集枠を拡大(60人→65人:推薦依頼校制を削減)。名古屋女子大はセ試利用入試で前年(11年)のセ試成績も利用可能となった。名城大は、都市情報で募集人員を「A方式後期20人→15人、C方式前期20人→25人」に変更する。

 
 

【関西】京都大・大阪大・同志社大・関西大が志願者増、滋賀大・大阪府立大・関西学院大が志願者減か。

 

<国公立大>

●滋賀大
 教育で情報教育課程を廃止、環境教育課程を縮小、教員養成課程を拡大する(前期97人→122人、後期26人→30人)。教員養成系人気から、前・後期とも志願者増が見込まれる。また、前年の反動から、経済【前】の志願者増も予想される。
●滋賀医科大
 前年の反動で、医(医・看護)【前】ともに志願者減か。医(医)【前】は募集人員減(80人→75人:県内枠推薦を拡大)も敬遠材料となりそう。
●京都大
 大震災の影響で、北陸・東海以西の難関大志望者に“京阪神志向”が強まっている模様で、全体にやや志願者増、難易レベルは“高嶺安定”が予測される。医(医)【前】でセ試を軽減(理科3→2科目)も、2次の理科はセ試で未受験の科目を含む必要があり、実質的に「理科3科目」が継続。ただし、2次の負担減(英語リスニングを除外)は志願者増の要因となりそうだ。一方、総合人間【前】は2段階選抜の予告倍率引き締め(約4倍→約3.5倍)が志願者減の要因となりそう。
 入試方式の変更としては、工【前】の2次(理科を物理・化学必須に統一し、数学・理科重視の配点B方式を廃止)、経済【前】のセ試(一般・論文型で6→7科目に増加、理系型で7→6科目に軽減)もあるが、志願動向への影響はなさそうだ。
●大阪大
 京都大と同様、北陸・東海以西の難関大志望者に“京阪神志向”が強まっている模様で、全体的に志願者増が見込まれる。
 前年の反動もあり、文【前】・外国語【前】【後】・理【前】【後】・医(保健)【後】で志願者増、法【前】【後】・経済【前】【後】・医(医)【前】【後】・医(保健)【後】・歯【前】・薬【前】【後】の志願者減が見込まれる。
 外国語【前】は、2次の選択科目の地歴が世界史に限定(日本史・地理が選択不可に)される。また、文【前】はセ試の配点変更(地歴・公民50点→60点、理科50点→40点)が志願者増の要因となりそうだ。
 工で後期を廃止、前期の募集枠を拡大(654人→820人)し、3パターンの配点による合否判定方式を導入。まず配点A(セ試350点・2次650点の合計)で高得点順に各学科募集人員の70%を合格とし、次に配点B(2次1,000点。うち「数学450点・理科300点」「数学300点・理科450点」の2パターンで高得点の方)の高得点順に残り30%を合格とする(セ試の素点合計点が、配点Aによる合格者の素点合計最低点の70%以上必要)。募集人員の増加率ほど志願者が増えない見込みで、やや易化しそうだ。
 基礎工【前】も工【前】と志望者が分散、やや志願者減か。一方、基礎工【後】は工【前】、または京都大‐工【前】からの併願増で志願者大幅増、かなり難化しそうだ。
●大阪教育大
 前年の反動で、教育1・2部とも後期の志願者増が見込まれる。同(保健体育)【前】【後】のセ試軽減(7→5科目)も志願者増に結びつきそうだ。
●神戸大
 前年の志願者11%増の反動から、文【前】【後】・国際文化【前】・発達科学【前】【後】・理【前】【後】・医(保健)【前】【後】・農【前】【後】・海事科学【前】【後】は志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、法【前】・経済【後】で志願者増が見込まれる。経営で後期を廃止し、セ試課す推薦を導入。前期は募集人員増(210人→220人)でやや志願者増、経済【後】や大阪市立大‐商【後】への併願増が見込まれる。また、工【後】は大阪大‐工【前】から併願が増加、志願者増でかなり難化しそうだ。
●兵庫教育大
 学校教育【前】【後】は前年の反動から志願者増、鳴門教育大【前】【後】からの流入が見込まれる。
●奈良教育大
 「総合教育課程」を廃止し、教員養成課程を定員増(180人→255人)。同課程の一般入試の募集枠を前期118人→163人、後期20人→50人に拡大、前期は和歌山大‐教育【前】からの流入が見込まれ、やや志願者増か。一方、後期は前年の大幅増の反動もあり、志願者はほぼ前年並みか。
●奈良女子大
 文【前】【後】・生活環境(食物栄養)【前】【後】は、セ試の公民が「倫政経」指定であることが敬遠材料となり、志願者減の見込み。一方、前年の反動から理【前】で志願者増が見込まれる。
●和歌山大
 前年の反動で、教育【前】・経済【後】・システム工【前】は志願者減、観光【前】【後】は志願者増の見込み。
●滋賀県立大
 人間文化は「国際コミュニケーション学科」を増設、人気系統だけに多くの志願者を集めそう。人間看護【前】【後】はセ試負担増(5→6科目)も、2次で小論文を「前期=英語に変更、後期=廃止」するため志願者増が見込まれる。一方、環境科学【前】は前年の志願者増、工【前】【後】は、セ試の公民が「倫政経」指定であることが敬遠材料となり、いずれも志願者減が予想される。
●京都府立大
 前年の反動で、生命環境【前】の志願者減、同【後】の志願者増が見込まれる。また、公共政策【前】も、2年連続で志願者増が予測される。
●京都府立医科大
 前年の反動で、医(医)【前】の志願者減、医(看護)【後】の志願者増が見込まれる。
●大阪市立大
 医(医)【前】は、前年の大幅増(セ試の理科3→2科目に軽減)の反動で、志願者減は必至。やはり前年の反動から、経済【前】・法【後】・理【前】・医(看護)【前】の志願者減、商【前】・生活科学【前】の志願者増が見込まれる。また、商【後】・経済【後】は神戸大‐経営【前】から、工【後】は大阪大‐工【前】からの併願増が見込まれる。
●大阪府立大
 7学部28学科を「4学域13学類」に改編するが、全体としては理系主導の改編のため、おもに文系学類が敬遠されそう。前年の反動もあり、現代システム科学域【前】・生命環境科学域【前】【後】・看護学類【前】・総合リハビリテーション学類【前】の志願者減が見込まれる。一方、総合リハビリテーション学類で後期(6人)を新規実施、激戦化は必至。また、工【中】は大阪大‐工の後期廃止を受け、難関大工学系の併願先として重要性が高まり、やはり志願者増が見込まれる。
●神戸市看護大
 看護【前】は募集枠拡大(50人→60人:3年次編入学を削減)、志願者増の要因となりそう。一方、看護【後】は前年の反動で志願者減の見込み。
●兵庫県立大
 前年の反動から、経済【前】【後】・経営【前】・看護【前】で志願者増、経営【後】・看護【後】で志願者減が見込まれる。環境人間【前】【後】は、セ試の公民が「倫政経」指定であることが敬遠材料となりそうだ。
●奈良県立医科大
 医(医)【前】【後】でセ試を軽減(理科3→2科目)。前期は大阪市立大‐医(医)【前】からの流入が見込まれ、後期は他大学の医学科から併願しやすくなったことから、前・後期ともに志願者増は必至。また、医(看護)【前】も前年の反動から志願者増が見込まれる。
●和歌山県立医科大
 前年の反動で、医【前】・保健看護【前】【後】が志願者増の見込み。医【前】には、滋賀医科大‐医(医)【前】、大阪市立大‐医(医)【前】から流入しそうだ。

 
 

<私立大>

 11年は、地区全体で志願者は10年なみ、合格者は6%増で、倍率は3.7倍→3.5倍とダウン。合格者を多めに出す大学が目立った。12年は東日本大震災の影響から、本地区で地元志向が強まるとともに、中~西日本の私立難関大志望者に“京阪神志向”が強まっている模様だ。
 「関関同立」は、京都市内への“都心回帰”を進める同志社大、学外試験場が多く、受験前予約型の奨学金制度を導入する立命館大、大幅な定員増を行う関西大、11年の志願者10%減の反動が見込まれる関西学院大で、いずれも志願者増が予想される。ただし同志社大の場合、セ試利用入試で地歴・公民、理科が「第1解答科目」指定のため(他校は「高得点利用」)、私立大専願者にはやや敬遠材料となりそうだ。
 一方、「産近甲龍」では、京都産業大・龍谷大・甲南大は前年並み、近畿大はやや志願者減か。さらに中堅クラスでは、“安全・資格・地元志向”の強まりから、佛教大・摂南大・武庫川女子大などの志願者増が予想される。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●同志社大
 開設2年目のグローバルコミュニケーションが高人気を保ち、難化しそう。11学部の全学部日程(文系)で公民の選択から現代社会を除外。スポーツ健康科学のセ試利用入試に「スポーツ競技力加点」「5科目」の2方式を追加。
●立命館大
 文を「10専攻4プログラム→8学域18専攻」に再編。入学時は学域に所属、2年次以降に専攻を選択する。また、理工も「11学科→4学系9学科」に再編する。
 「入学試験受験前予約採用型奨学金」を導入、「評定平均値3.5以上、1浪まで」の一般入試(セ試利用含む)受験者が対象で、受験前に申請を受け付け、採用候補者(全学で約400人程度)を決定し、合格後に奨学生として採用する。
●龍谷大
 文で学科増設(臨床心理)、人気分野だけに注目度は高い。文以外の文系6学部のA・B日程で、配点セレクト方式(出願時に得点を2倍する科目を選択)を廃止し、高得点科目重視方式(受験科目から最高得点科目の点数を自動的に2倍)を導入。また、文・政策以外の6学部で、セ試前期に4科目型を追加する。
●大阪経済大
 経営情報を「情報社会学部」に改組、経営1部(経営)で定員増(215人→300人)を予定。また、セ試C方式に4教科型を追加し、3教科型の国語を「必須→選択」に変更する。
●関西大
 13学部中9学部で定員増を予定、全学で5,935人→6,452人と前年比517人(約9%)増加する。一般入試の募集人員増では、学部個別・全学部日程合計で「商266人→300人、社会300人→344人」、全学部日程で「システム理工31人→47人、環境都市工15人→29人」、個別日程で「化学生命工106人→117人」が目立つ。
●桃山学院大
 セ試C方式の前・後期で5教科型を廃止し、2教科型を導入。一般前期の学外試験場のうち、A日程で京都・徳島・北九州を廃止し福岡に増設、B日程では京都・松山・高知を廃止。
●関西学院大
 法・経済・商・人間福祉で、セ試利用(3月)に3科目型を追加(従来は4科目型)。総合政策で学部個別日程「理系型」(英語・数学・理科)と「関学数学併用型」(セ試2科目+個別:数学)を導入し、「英語・小論文型」を廃止する。
●甲南大
 経済で、独自・セ試併用のE・B日程C方式と、セ試C日程の前期(数学重視3科目型)・中期・後期(3科目型)を廃止する一方、独自・セ試併用のA日程C方式を新規実施する。
●神戸学院大
 A日程とAC日程の試験日を「2/7・8→1/30・31」に繰り上げ、薬のS日程・SC日程とセ試中期を廃止する。人文のA日程で3科目型を導入(従来の2科目型との同時併願可)。
●兵庫医科大
 一般入試で小論文を「2次試験→1次試験」に移行し、得点化を廃止。12年度の入学者から授業料を「年間250万円→220万円」に減額。
●武庫川女子大
 一般A・Bの3科目型・2科目型の実施方法を変更。両方を併願する時、11年までは出願時にそれぞれ科目申請が必要だったが、12年からは、3科目型の受験科目から高得点2科目を「2科目型」の合否判定に採用する。

 
 

【中国・四国】鳥取大・岡山大・高知大・高知工科大が志願者増、島根大・広島大・香川大・福山市立大が志願者減か。

 

<国公立大>

●鳥取大
 11年は全学で志願者19%減。その反動から、地域【前】【後】・医(医)【前】【後】・医(保健)【前】・農【後】で志願者増が見込まれる。一方、医(生命科学)【前】は後期の新規実施に伴う募集人員減と2次負担増(数学・外国語を追加)で、志願者減は必至だ。
●島根大
 11年は全学で志願者23%増。その反動で、法文【後】・教育【前】【後】・医(医)【前】・医(看護)【前】【後】・総合理工【前】・生物資源科学【前】【後】が志願者減の見込み。教育では心理・臨床専攻の廃止も影響しそうだ。
●岡山大
 前年の反動から、文【前】・法[昼]【前】・医(医)【前】【後】・環境理工【後】が志願者増、経済[昼]【前】【後】・理【前】・医(保健)【後】・薬【前】【後】・工【後】が志願者減の見込み。
●広島大
 2年連続の志願者増(10年9%増→11年10%増)の反動で、総合科学【後】・文【前】・教育【前】・法[昼]【前】・歯【前】【後】・薬【前】【後】・工【前】【後】・生物生産【前】【後】が志願者減の見込み。医(医)【前】は募集人員増(70人→75人)も、2段階選抜の新規実施(予告倍率=10倍)で敬遠され、同【後】も募集人員減(27人→22人)でいずれもやや志願者減か。一方、やはり前年の反動から、総合科学【前】・文【後】・教育【後】・経済[昼]【後】の志願者増が見込まれる。
●山口大
 前年の反動で、人文【前】【後】・教育【前】・理【前】・医(保健)【前】・農【前】【後】で志願者減、教育【後】・医(医)【前】【後】で志願者増が見込まれる。経済【前】【後】・理【前】(4学科中3学科)・農【前】【後】は、セ試の公民が「倫政経のみ選択可」であることが敬遠材料となりそう。医(医)【前】は募集人員減(54人→52人:地域医療枠を推薦入試に移行)で難化しそうだ。また、工【後】は推薦枠縮小に伴う募集人員増(96人→105人)が志願者増の要因となりそう。なお、農(獣医)を改組し、鹿児島大と共同で教育課程を実施する「共同獣医学部」を新設予定。
●徳島大
 前年の反動で、総合科学【前】【後】・医(医)【前】・工[昼]【後】の志願者増、医(栄養)【後】・薬【前】・歯【前】【後】・工[昼]【前】の志願者減が予想される。
●香川大
 前年の反動で、教育【後】・医(医)【前】【後】・工【前】【後】・農【前】【後】の志願者減、経済【前】【後】・医(看護)【前】【後】の志願者増が見込まれる。医(医)【前】は2段階選抜の予告倍率引き締め(6倍→約5倍)、農【後】は2次負担増(面接を追加)も敬遠材料となりそう。
●愛媛大
 法文[昼・夜](人文)【前】【後】は、セ試の公民が「倫政経のみ選択可」であることが敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。また、医(医)【前】は、11年の募集人員減(47人→40人)による難化の反動で、志願者減は必至。高知大‐医(医)【前】へ流出しそうだ。やはり前年の反動から、教育【前】・医(医)【後】・工【後】・農【後】の志願者減、教育【後】・医(看護)【前】・農【前】の志願者増が見込まれる。
●高知大
 前年の反動から、教育【後】・理【前】【後】・医(看護)【前】【後】・農【前】【後】で志願者増、教育【前】で志願者減の見込み。医(看護)【後】は2次軽減(総合問題を除外)も要因となりそう。医(医)【前】は、2段階選抜の予告倍率を「6倍→5倍」に引き締めたが、2次を「問題解決能力試験→数学・理科」に変更、対策が立てやすくなり、志願者増が予想される。
●島根県立大
 看護学部を増設予定。募集人員は前期35人、推薦40人。セ試4教科4科目と軽負担のため、島根大‐医(看護)【前】などに影響を与えそうだ。
●岡山県立大
 前年の反動から、保健福祉【前】・情報工【中】は志願者増、情報工【前】は志願者減が予想される。
●県立広島大
 前年の反動で、経営情報【後】・生命環境【前】【後】・保健福祉【前】【後】が志願者減か。新見公立大‐看護【前】(セ試を6→5科目に軽減)へ流出しそうだ。
●福山市立大
 11年の開学初年度から、一般入試をセ試利用の分離分割方式(前期・後期)で実施し、多くの志願者を集めた。その反動から、教育・都市経営ともに志願者減は必至。広島大‐教育【後】、香川大‐経済【前】【後】、愛媛大‐教育【後】、尾道市立大‐経済情報【前】などへの流出が見込まれる。
●高知県立大
 共学化して2年目、認知度が高まった。前年の反動から、看護【前】【後】で志願者大幅増が予想される。一方、文化【後】・社会福祉【前】は、前年に募集人員減(文化【後】10人→5人、社会福祉【前】45人→35人)で難化した反動で、志願者減の見込み。
●高知工科大
 11年の志願者25%減の反動に加え、前期B方式と後期がセ試3教科と軽負担のため、システム工【前】【後】・情報【後】・マネジメント【前】【後】が志願者増の見込み。香川大‐工【前】【後】、愛媛大‐工【後】、岡山県立大‐情報工【前】から志望者が流入しそう。

 
 

<私立大>

 11年は、地区全体で志願者3%増、合格者6%増。12年も地元志向が強まり、国公立との併願が多い広島修道大・松山大の志願者増が見込まれる。鳥取環境大が12年4月から「私立→公立」に移行し、学部改編(環境情報→環境・経営)する予定。安田女子大‐薬(10人減)、徳島文理大‐薬(20人減)・香川薬(30人減)、松山大‐薬(60人減)と、薬学系統の定員減が目立つ。

 
 

【九州】長崎大・熊本県立大・西南学院大が志願者増、九州工業大・佐賀大・宮崎大・鹿児島大が志願者減か。

 

<国公立大>

●九州大
 法【前】【後】はセ試で「地歴から2科目選択(公民の選択不可)」であるため敬遠され、志願者大幅減は必至。経済(経済工)【前】【後】も「前期=2次に国語を追加、後期=セ試4→6科目」で志願者減の見込み。
 医(医)【前】【後】でセ試を軽減(理科3→2科目)、ただし前期はセ試が生物必須、2次が物理・化学必須で実質的に理科3科目を継続。後期は2次に数学を追加するため、前・後期とも志願者の変動はなさそう。医(生命科学)【前】は募集枠拡大(8人→12人:後期を廃止)、やや志願者増か。
 この他、文【後】・工【後】・農【後】の志願者増、教育【前】・歯【後】の志願者減が見込まれる。
●九州工業大
 前年の反動で、工【前】【後】・情報工【前】の志願者減が見込まれる。工【前】・情報工【前】の場合、セ試の公民が「倫政経のみ選択可」であることも敬遠材料となりそうだ。
●佐賀大
 医(医)【前】【後】でセ試を軽減(理科3→2科目)。ただし前期は、セ試が物理・化学必須で、2次の総合問題に生物を含み、実質的に理科3科目を継続する。さらに、公民で国立大医学科の多くが指定している「倫政経」が選択できないため、前年の反動もあり、【前】【後】とも志願者減が見込まれる。また、理工【前】【後】はセ試の公民が「倫政経のみ選択可」であり、敬遠されそうだ。この他、前年の反動で、経済【後】・医(看護)【前】【後】・農【前】【後】が志願者増、経済【前】が志願者減の見込み。
●長崎大
 工は前年に改編(7学科→6コース。学部一括募集し、出願時の希望により合格発表時にコース決定)で人気アップ、12年も引き続き志願者を集めそうだ。医(医)【前】でセ試を軽減(理科3→2科目)、2段階選抜の予告倍率を引き締める(約6倍→約5倍)ものの、志願者増は必至。また、医(保健)【前】【後】でセ試を軽減(7→6科目)、同【前】の2次軽減(理科を除外)もあり、【前】【後】とも志願者増か。経済[昼]【後】は11年に募集人員増(55人→70人)で倍率ダウンした反動で、志願者増の見込み。この他、教育【前】の志願者増、歯【前】【後】・薬【前】・水産【前】【後】の志願者減が予想される。
●熊本大
 前年の反動で、文【前】・理【後】・医(医)【後】・薬【前】の志願者増、文【後】・教育【前】【後】・医(医)【前】・医(保健)【前】の志願者減が見込まれる。また、法【前】【後】はセ試の公民が「倫政経のみ選択可」であることが敬遠材料となりそうだ。
●大分大
 前年の反動で、教育福祉科学【前】【後】・経済【前】・医(医)【前】・工【前】の志願者増、経済【後】・医(看護)【前】【後】の志願者減が予想される。ただし、工【前】はセ試の公民が「倫政経のみ選択可」であることが敬遠材料となりそうだ。
●宮崎大
 工は12年に学部改編(6→7学科)し、募集人員を変更(前期185人→222人、後期89人→74人)するが、前年大幅増の反動が強く、前・後期ともやや志願者減が見込まれる。この他、前年の反動で、医(医)【前】【後】・医(看護)【後】・農【前】の志願者減、教育文化【後】・医(看護)【前】の志願者増が予想される。
●鹿児島大
 法文【前】【後】・理【前】【後】・工【前】・歯【前】【後】は、セ試の公民が「倫政経のみ選択可」であることが敬遠材料となりそう。前年の反動で、法文【後】・理【前】・工【後】・医(医)【後】・医(保健)【前】【後】・歯【前】・農【後】が志願者減、水産【前】【後】が志願者増の見込み。理【後】も2次負担増(面接を追加)で志願者減か。なお、農(獣医)を改組し、山口大と共同で教育課程を実施する「共同獣医学部」を新設予定。
●琉球大
 前年の反動から、法文[昼]【後】・教育【前】【後】・農【前】【後】で志願者増、観光産業科学[昼]【後】・理【前】【後】・工[昼]【後】・医(医)【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●北九州市立大
 前年の反動で、文【前】【後】・外国語【前】【後】・経済【前】・地域創生【前】・国際環境工【後】が志願者増、経済【後】・法【後】が志願者減の見込み。
●熊本県立大
 環境共生【前】は、2次で英語リスニングを除外し、環境資源・居住環境2学科で選択科目を2→1科目に軽減し、志願者増は必至。また、前年の反動で文【後】・総合管理【前】【後】も志願者増が見込まれる。
●名桜大
 10年から「私立→公立」化、11年の一般入試をセ試利用の前・後期で実施し、多くの志願者を集めたが、その反動が見込まれる。人間健康(看護)【前】【後】はセ試負担増(3→5科目)、同(スポーツ健康)【前】は2次負担増(課さない→「小論文・面接」か「実技・面接」)でも敬遠されそう。

 
 

<私立大>

 11年は地区全体で志願者1%減、合格者2%増、倍率は2.6倍→2.5倍にダウン。12年は地元志向の強まりから、国公立大との併願先として西南学院大・福岡大は志願者増が見込まれるが、その他は全体的に志願者減が予想される。
 産業医科大では、医の一般入試でセ試の配点を500点→300点に引き下げ、2次の大阪会場を廃止。産業保健(看護)A方式で2次を小論文→国語・英語に変更。西南学院大では、一般A日程(法を除く)で同一試験日内での複数学科併願が可能になり、2併願目以降の受験料が3万2千円→1万円に減額される。また、法のセ試前期を6→5教科に軽減。福岡大では、人文(文化)で後期を新規実施。また、商で一般入試の募集人員を「商=前期325人→340人、商2部=前期110人→100人・後期40人→15人」に変更、2部を縮小する。

 
 

『螢雪時代11月号』の記事「2012年一般入試の難易変動はこうなる!?」のお詫びと訂正

●お詫びと訂正(1)『螢雪時代11月号』の記事「2012年一般入試の難易変動はこうなる!?」の中で、92ページの左段上から10~11行目が「首都大学東京は、前年の反動で都市教養【前】【後】・健康福祉【前】【後】が志願者減……」となっていましたが、「都市教養」は誤りで、正しくは「都市環境」となります。読者ならびに大学関係各位にお詫びして訂正いたします。
●お詫びと訂正(2)『螢雪時代11月号』の記事「2012年一般入試の難易変動はこうなる!?」の中で、103ページの左段上から6~8行目(宮崎大学に関する記述)が「工は11年に募集人員を変更(【前】185人→222人、【後】89人→74人)したが、前・後期とも倍率アップ。その反動で、……」となっていましたが、正しくは「工は12年に学部改編(6→7学科)し、募集人員を変更(【前】185人→222人、【後】89人→74人)するが、前年大幅増の反動が強く、……」となります。読者ならびに大学関係各位にお詫びして訂正いたします。

 

この記事は「螢雪時代(2011年11月号)」より転載いたしました。

 

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