入試動向分析

2026年 国公私立大入試 一般選抜結果まとめ【2026年8月】

2026(令和8)年度

各大学の2026年(以下、26年。他年度も同様)入試結果データがほぼ出そろった。
ここでは、国公立大、私立大それぞれの一般選抜の結果を最終チェック。
共通テストの難化と「年内入試」人気に揺れた26年入試を振り返る。

 

全体解説:共テ難化で国公立は志願者・合格者とも微減
私立は志願者大幅増、合格者絞り込みが顕著

 

国公立大:
理工学系で予告倍率厳格化の東京科学大が倍率ダウン

国公立大の26年一般選抜の実施結果を螢雪時代で調査したところ、全体の集計では25年に比べ、国立大が「志願者2%減、合格者1%減」で、倍率(実質倍率。受験者数÷合格者数)は2.4倍→2.4倍(25年→26年。以下同じ)と変動がなかったのに対し、公立大(別日程実施の大学を除く)は「志願者3%減、合格者:前年並み」で、倍率は2.9倍→2.8倍とダウンした。日程別に見ると(グラフ2)、公立大中期のダウンが目立つ。

 

大学入学共通テスト(以下、共テ)の平均点が4年ぶりにダウン(グラフ1)。特に国語、物理、情報Ⅰの難化が影響を及ぼし、公立大志望者層の私立大への流出につながった。

 

 

 

 

新課程2年目の26年入試では、過去の傾向から共テの難化が予測されていた。そして実際に難化したことで、準難関校~中堅校を目指す学力層に大きく影響。志望校のランクダウンや私立大への志望変更、併願増などに走るケースが見られた。

 

各大学の実質倍率(全学の合計。受験者数÷合格者数。ただし、合計の倍率算出に際し、2段階選抜を実施した学部等については志願者数で代替)の変動を見てみよう。

 

難関校では、理工学系の全6学院で2段階選抜の予告倍率を厳格化した東京科学大(4.1倍→3.6倍)の倍率ダウンが目立つ。東北大(3.0倍→2.9倍)・一橋大(4.8倍→4.6倍)・名古屋大(2.3倍→2.2倍)・神戸大(3.0倍→2.9倍)もややダウン。一方、北海道大(2.6倍→2.7倍)・大阪大(2.2倍→2.3倍)はややアップした。

 

準難関校では、大阪公立大(4.3倍→4.7倍)が倍率アップ。埼玉大(2.7倍→2.9倍)・東京農工大(2.5倍→2.7倍)・岡山大(2.2倍→2.4倍)もややアップした。一方、お茶の水女子大(2.8倍→2.5倍)・横浜国立大(3.6倍→3.1倍)・東京都立大(5.0倍→4.6倍)・広島大(2.2倍→1.9倍)が倍率ダウン。東京外国語大(2.3倍→2.1倍)・熊本大(2.4倍→2.2倍)もややダウンした。

 

各地区の中堅校では、強い安全志向から前年の極端な反動が見られた。倍率の変動が目立った主な大学は以下の通り。

 

【倍率アップ】国立大=岩手大1.8倍→2.1倍、秋田大1.9倍→2.3倍、電気通信大3.4倍→3.8倍、京都工芸繊維大2.7倍→3.4倍、鳥取大1.9倍→2.5倍、徳島大2.0倍→2.5倍、高知大2.1倍→2.4倍、佐賀大2.1倍→2.7倍、大分大1.7倍→2.5倍
公立大=福井県立大2.6倍→3.5倍、静岡県立大2.5倍→2.8倍、神戸市外国語大4.2倍→4.5倍、長崎県立大2.2倍→3.0倍、名桜大1.9倍→2.2倍

 

【倍率ダウン】国立大=弘前大2.1倍→1.8倍、群馬大2.2倍→1.9倍、富山大2.5倍→2.2倍、愛知教育大2.3倍→1.9倍、滋賀大3.1倍→2.5倍、大阪教育大1.9倍→1.6倍、奈良教育大3.3倍→2.4倍、奈良女子大2.7倍→2.3倍
公立大=都留文科大5.1倍→4.0倍、愛知県立大3.1倍→2.6倍、名古屋市立大3.5倍→3.1倍、京都府立大4.0倍→3.7倍、岡山県立大2.8倍→2.1倍、山陽小野田市立山口東京理科大5.1倍→4.0倍、高知工科大3.9倍→2.8倍、熊本県立大3.0倍→2.7倍

 

学部系統別に見ると(グラフ3)、文理ともに倍率の変動は小さく、横ばいの学部系統も多く見られた。その中で、工、農・獣医畜産・水産がややアップ。他方、社会・社会福祉、国際関係などの倍率ダウンが目立ち、医療系も医、看護・医療・栄養がやや倍率ダウン。全体的に「文理均衡」状態といえる。

 

 

私立大:
志願者10%増、合格者5%減
幅広いレベルで倍率アップ

螢雪時代の私立大一般選抜結果調査(513大学集計:志願者357.5万人)によると、25年に比べ全体で「志願者10%増、合格者5%減」、倍率は3.1倍→3.6倍(ここでは志願者数÷合格者数。以下、特に注記のない場合は同じ)とアップした。入試方式別に見ると、各大学の独自入試は「志願者9%増、合格者5%減」で3.5倍→4.1倍、共テ利用方式(独自入試との併用を含む)は「志願者9%増、合格者4%減」で2.6倍→2.9倍といずれもアップした。

 

全体に、志願者大幅増の一方で合格者を絞った要因として、次の4点が挙げられる。

 

(1)共テが難化した結果、国公立大志願者が私立大に志望変更、または併願増を行う動きが見られた。また、事前の難化予測も私立大への併願増につながったと見られる。

 

(2)学校推薦型・総合型選抜(以下、推薦型・総合型)の志願者増も一般選抜にも影響した。推薦型・総合型合計で志願者12%増(116大学:小誌集計)の一方、合格者は3%増と抑え気味で倍率アップ。入学手続率も良好だった模様で不合格者が例年より多く発生し、再挑戦組として2月の一般選抜に流入。また、首都圏で併願可の「学力試験型」の導入が相次ぎ、ここで合格を確保し、1ランク上の一般選抜合格を目指す併願パターンが増加した。

 

(3)国公立大からの併願が増えた難関~準難関校も、年内の入学手続者が増えた中堅上位~中堅校も、定員超過を避けるべく、2月の一般選抜の合格者を絞り込む必要が生じた。そのため、例年より追加合格も少なめだった。

 

(4)複数の学部・方式等を学内併願する際に受験料を割り引く併願割や定額制などを導入する大学の増加も、見かけ上の志願者増と倍率アップにつながった。

 

志願者数の上位10大学(表1)の入試結果を見ると、7大学で実質倍率(受験者数÷合格者数。ただし*を付した大学は志願者数÷合格者数)がアップした。特に、日本大・法政大の強めの合格者絞り込みによる倍率急上昇と、中央大の倍率ダウンが目立つ。

 

この他、主な大学のうち、実質倍率のアップが比較的大きかったケースは次の通り。なお、倍率ダウンの大学は、武蔵大(4.8倍→3.8倍)など少数に留まる。

 

青山学院大4.2倍→4.6倍、学習院大4.5倍→5.3倍*、工学院大3.8倍→5.1倍、駒澤大3.2倍→3.8倍、芝浦工業大3.5倍→5.3倍、上智大3.3倍→3.7倍、成蹊大3.9倍→5.3倍、成城大3.1倍→4.5倍、専修大3.3倍→4.4倍、東京電機大5.3倍→6.3倍、東京都市大4.0倍→4.6倍、立教大4.0倍→4.6倍*、愛知大2.8倍→3.6倍、中京大2.9倍→4.5倍*、南山大2.4倍→3.3倍*、名城大2.8倍→3.2倍、京都産業大2.7倍→3.8倍、龍谷大3.0倍→3.5倍、福岡大2.8倍→3.4倍
*は志願者数÷合格者数

 

 

地区別の集計を見ると(グラフ4)、全地区でまんべんなく志願者増、倍率アップしたことがわかる。特に、関東・甲信越で合格者絞り込みと倍率アップが顕著で、学習院大・上智大・法政大・立教大や、準難関校に次ぐ目標校として人気を集めた芝浦工業大・成蹊大・成城大などが難化した模様だ。

 

学部系統別に見ると(グラフ5)、25年に続き文系学部が軒並み「志願者大幅増、合格者減」で倍率アップ。好調な就職事情などが背景にあると見られる。一方、理系学部も概ね倍率アップしたが、文系に比べ小幅で、全体的に「やや文高理低」となった。

 

グラフ6で文理別・難易ランク別の志願者・合格者動向(7月3日現在:駿台予備学校の集計)を見てみよう。ここでいう難易ランク(第3回駿台・ベネッセ共通テスト模試での合格可能性60%ラインによるグループ分け)は、同じ大学内でも学部によって異なるが、おおむね、Aランクは難関校や難関医科大、Bランクは準難関校、Cランクは中堅上位校、D~Eランクは中堅クラスを指す。

 

志願状況を見ると、文系は全ランクで、理系もAランク以外は増加し、特に文系のB~Eランクの増加が顕著。また、B・Cランクは文理ともにほぼ同程度の志願者増で、難関校からの併願増を物語る。

 

一方、合格状況を見ると文系のB~Dランクの合格者減が顕著で、しかも志願状況との差が極端に大きく、倍率アップによる難化を物語る。理系の方が穏やかな合格状況で、ここにも「やや文高理低」傾向が示されている。

 

また、全国の私立大を、大学単位の競争率(実質倍率)グループ別に分類し、25・26年で比較すると(グラフ7)、3倍台以上の増加と、一方で2倍台以下の減少が目立った。前述のような併願増や合格者絞り込みが、全体的に倍率を押し上げた模様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

合格者成績の実例を見ると?

 

国公立大:
共テ・2次の配点比率で合格者の成績分布も変わる

「倍率」とともに気になるのが、合格者の最低点や平均点といった「合格者データ」だろう。

 

合格者最低点は合否の分かれ目になる、いわゆる「ボーダーライン」。合格者平均点は、総じて最低点より得点率(%)にして5~10p(ポイント)程度高い。合格者最低点は「最低目標」として重要なデータなのだが、確実に合格を目指すには、「合格者平均点」のレベルまで学力アップしておくことが望まれる。

 

26年入試の例として、岡山大の前期日程の合格者データを見てみよう(表2)。

 

総合点を得点率(%)に換算し、各学部・学科等を分野別にまとめて平均すると、文系・教員養成系で「最低67%・平均70%」、理工農系で「最低60%・平均64%」、医療系で「最低67%・平均71%」となる。合格するには、文系・教員養成系、医療系で70%前後(医は80%前後)、理工農系で60%前後の得点が必要だったのだ。

 

また、合格者平均点を共テ・2次(個別試験)ごとに平均すると「文系・教員養成系=共テ71%・2次68%、理工農系=共テ70%・2次60%、医療系=共テ74%・2次68%」となる。マーク式の共テに比べ、記述式の2次の方が得点しにくかったことがわかる。

 

このうち、配点が共テ重視の文学部と、2次重視の理学部物理学科を比較してみよう。

 

文学部の配点は「共テ775点、2次400点、総計1,175点」。合格者は、共テでは得点率71%~86%(平均77%)に分布し、最高・最低の差は15p。2次では得点率57~79%(平均68%)に分布し、最高・最低の差は22p。配点の少ない2次の方が最高・最低の差が大きく、共テの得点である程度合否が決まったといえる。

 

一方、理学部物理学科の配点は「共テ950点、2次1,400点、総計2,350点」。合格者は、共テでは得点率61~83%(平均70%)に分布、最高・最低の差は22p。2次では得点率55~74%(平均62%)に分布し、最高・最低の差は19p。配点の少ない共テの方が最高・最低の差がやや大きく、2次の得点力が合否に強く影響したことがうかがえる。

 

 

私立大:
合格ライン周辺から入試の実態を把握しよう

次に、私立大一般選抜の「合格ライン」付近の状況を見てみよう。国公立大と同様、合格への道標となる大切なデータだ。

 

グラフ8に、龍谷大-経済(前期日程:文系型スタンダード方式)の26年入試で、合格ライン付近の人数分布を示した。同方式の科目・配点は「英語」「国語」「世界史、日本史、政治・経済、数学から1」の3科目で各100点、計300点。受験者数2,402人に対し合格者数419人で、実質倍率は5.7倍。合格最低点は184点(得点率61.3%)だった。その分布状況を見ると、

 

(1)合格最低点を含め、上10点幅のゾーンに172人と、全合格者の約41%が集中している。

 

(2)不合格者の最高点(183点)を含め、下10点幅のゾーンに252人もいる。

 

(3)合格最低点で合格したのは18人、1点差での不合格者が20人いる。

 

合格ライン付近では、総合的にほぼ同じ学力の受験生がひしめき合い、わずか1点差で合否が決まる。では、“1点差”を争う合格ラインを、どうやって突破するのか?

 

グラフ8の右側に、合格最低点とその1点下の受験者から、特徴のある得点パターンをピックアップした(科目ごとの得点は、中央値補正法を行った得点調整後の点数で小数第2位まで表示)。ここからわかるのは、「得意科目」の大切さと、「苦手科目」克服の必要性だ。

 

3科目入試では、1科目で得点が伸びなくても、他の科目でカバーできることが多い。Aさんのように得意科目があれば、他にやや苦手な科目があっても心強い。ただし、Cさん、Dさんのように苦手科目の失点が大きすぎると、カバーしきれず1点差に泣くことになる。

 

得意科目の優位を生かすには、苦手科目を「やや苦手~普通」までにレベルアップし、最低でも5割前後の得点はほしい。私立大一般選抜で合格確実なライン(7割台)をクリアするためには、得意科目(7~8割台)を持ち、残り2科目で6~7割台をキープしよう。

 

この記事は「螢雪時代(2026年9月号)」より転載いたしました。
 

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