※この記事は『螢雪時代・2021年8月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)
全体解説:一般選抜の結果を見ると、公立大後期はやや難化、私立大は軒並み倍率低下。理系の資格志向が復活。
国公立大:
東北大・千葉大が難化、横浜国立大が易化か
国公立大の21年一般選抜の実施結果を螢雪時代編集部で調査したところ、全体の集計では20年に比べ、国立大が「志願者4%減、合格者:前年並み」で、倍率(志願者÷合格者。以下、特に注記のない場合は同じ)は20年4.0倍→21年3.8倍(以下、年度を略)とややダウン。また、公立大(別日程実施の2大学と新設2大学を除く)も「志願者2%減、合格者1%増」で、倍率は4.6倍→4.4倍とややダウンした。
日程別に見ると(グラフ2)、公立大後期の倍率アップ、同中期のダウンが注目される。後期の場合、新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)に伴う「超地元志向」から、通学圏内の公立大が狙われた模様。
しかも、初めての大学入学共通テスト(以下、共テ)の平均点が、当初の予想とは異なり、20年センター試験(以下、セ試)より平均点がアップ(グラフ1)し、特に数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bの易化が文理ともに影響を及ぼし、共テの配点比率が高い後期まで粘ろうとする要因ともなった。
一方、公立大中期は合格者が9%増と緩和され、倍率がかなりダウンした。出願前に急遽、コロナ禍対応で2次の実施を取りやめ、共テの成績で合否判定を行った山陽小野田市立山口東京理科大― 工・理の中期をはじめ、入学手続率が読みにくく、合格者を多めに出したものと見られる。
各大学の実質倍率(全学の合計。受験者数÷合格者数 。一部、「志願者数÷合格者数」を含む)の変動を見てみよう。難関校では、東北大(2.4倍→2.9倍)・神戸大(2.7倍→3.0倍)の倍率アップ、北海道大(3.6倍→ 2.4 倍)・東京工業大(4.2倍→3.6倍)の倍率ダウンが目立つ。一橋大(3.7倍→3.8倍)・九州大(2.3倍→2.4倍)はややアップ、東京大(3.1倍→3.0倍)・大阪大(2.3倍→ 2.2 倍)はややダウンした。
準難関校では、志願者数トップの千葉大が3.3倍→3.9倍にアップする一方、コロナ禍対応で2次を中止した横浜国立大(2.7倍→2.1倍)や、東京外国語大(2.9倍→2.4倍)のダウンが目立った。入学後に専門を決める大括り募集の「総合選抜」を前期の一部で導入した筑波大は、3.1 倍で前年並みを保った。
各地区の中堅校では、「超地元志向」とともに安全志向から、前年の極端な反動が見られた。倍率の変動が目立った主な大学は次の通り。
【倍率アップ】三重大2.6倍→3.3倍、京都工芸繊維大2.9倍→3.3倍、山口大2.2倍→2.6倍、宮崎大2.6倍→2.9倍、鹿児島大2.1倍→2.4倍、静岡県立大2.3倍→2.8倍、名古屋市立大2.9倍→3.3倍、岡山県立大2.7倍→3.7倍、県立広島大2.0倍→ 3.1 倍 【倍率ダウン】北海道教育大3.0倍→2.2倍、弘前大2.3倍→1.8倍、秋田大3.4倍→2.9倍、福島大2.8倍→2.4倍、新潟大2.4倍→2.0倍、山梨大3.3倍→3.0倍、福井大2.6倍→2.1倍、愛知教育大2.1倍→1.8倍、島根大2.8倍→2.5倍、徳島大2.8倍→2.4倍、高知大3.1倍→2.2倍、大分大3.0倍→ 2.1倍、佐賀大3.0倍→2.7倍、福井県立大3.3倍→2.7倍、京都府立大3.4倍→3.0倍、北九州市立大2.8倍→2.5倍 |
学部系統別にみると(グラフ3)、文系では経済・経営・商、国際・国際関係、外国語の倍率ダウンが目立つ。コロナ不況による就職内定率の低下が影響した模様で、中でも国際・国際関係、外国語は、観光業など主な就職先がコロナ禍で打撃を受けたことや、海外留学が困難になったことが要因といえる。
一方で、志願者増の社会・社会福祉、医療・看護、家政・生活科学が倍率アップ。薬の倍率も前年並みを保ち、資格志向の復活が見て取れる。医療・看護、薬の場合は、医療現場への関心の高まりやメディアの露出度が高いことも要因であろう。
私立大:
志願者14%減、合格者6%増。全面的に易化
螢雪時代編集部の私立大一般選抜結果調査(547大学集計:志願者320.5 万人)によると、20年に比べ、全体で「志願者14%減、合格者6%増」、倍率は3.8倍→3.1倍とダウンした。
入試方式別では、各大学の独自入試は「志願者18%減、合格者5%増」で、倍率は4.2倍→3.3倍にダウン。また、共テ利用方式(独自入試との併用を含む)は「志願者6%減、合格者10%増」で、倍率は3.2倍→2.8倍とダウンした。独自方式の志願者大幅減と、共テ利用方式の合格者大幅増が注目される。これは、青山学院大、上智大、早稲田大など、学部・方式によって独自入試を「独自・共テ併用方式」に移行した大学の影響もあった。
私立大一般選抜のまれに見る志願者減に対し、合格者は増加と対照的。難関校から中堅校、さらには低倍率校まで、軒並み志願者減で倍率がダウンした。コロナ禍に翻弄された21年入試が、いかに「非常事態」であったかを物語る。
コロナ禍の影響による「超地元志向」から、大都市圏に偏在する私立大が敬遠されたうえ、既卒者の大幅減(共テの志願者のうち、既卒者は19%減)や「コロナ不況」による家計不安から、併願校数の絞り込みが顕著に見られた。特に、20年に「超絶安全志向」からランクダウンで志願者を集めた従来の低倍率校が、その反動で敬遠された。さらに、学校推薦型・総合型選抜(以下、推薦型・総合型)が合格者増で易化したこともあり、一般選抜志望者自体が減少したものと見られる。
入学手続率の読みにくさから、難関校から順次、正規合格者を増やし、さらに追加・補欠合格を多めに出したことから、中堅校に至るまで、玉突きで同じ措置を取らざるを得ず、倍率ダウンする大学が続出、全面的に易化したといえる。
志願者数の上位10大学(表1)を見ても、志願者増は千葉工業大のみで、8大学が「志願者減・合格者増」、全大学で実質倍率(受験者数÷合格者数。ただし、*を付した4大学は志願者数÷合格者数)がダウンした。
この他、主な大学のうち、実質倍率が比較的大きくダウンした大学は次の通り。
青山学院大6.4倍→3.8倍、國學院大5.7倍→3.8倍、上智大4.6倍→3.8倍、成蹊大4.4倍→3.3倍、専修大4.2倍→3.3倍、武蔵大5.7倍→3.7倍、京都産業大5.4倍→3.3倍、龍谷大3.8倍→2.9倍、甲南大4.1倍→2.8倍、西南学院大4.1倍→2.8倍、福岡大3.7倍→2.9倍 |
主な大学で倍率アップしたのは、国際基督教大(3.0倍→3.3倍)、東京電機大(4.9倍→5.1倍)など、少数に留まる。
地区別の集計をみると(グラフ4)、全地区で志願者大幅減、北海道・東北を除いて合格者が増加し、全地区で倍率ダウン。特に、首都圏を擁する関東・甲信越、京阪神を擁する関西の倍率ダウンが顕著で、ここにも「超地元志向」が見て取れる。
グラフ6で文理別・難易ランク別の志願者・合格者動向(5月25日現在:駿台予備学校の集計)を見てみよう。ここでいう難易ランク(第3回駿台・ベネッセマーク模試での合格可能性60%ラインによるグループ分け)は、同じ大学内でも学部によって異なるが、おおむね、Aランクは難関校や難関医科大、Bランクは準難関校、Cランクは中堅上位校、D~Eランクは中堅クラスを指す。
文系はA~Dランクが「志願者大幅減・合格者増」だが、Eランクのみ志願者・合格者ともに減少している。また、理系もA~Dランクが「志願者大幅減・合格者増」だが、Dランクの合格者は微増に留まり、Eランクは志願者・合格者ともに激減している。合格確保校として次のランクの併願を増やしたり、志望校をランクダウンしたりせず、実力相応校に出願を絞りこんだ結果、難関校から中堅校に至るまで、まんべんなく倍率ダウンした様子が見て取れる。Eランクは、20年に難化した反動に加え、もともと推薦型・総合型で入学者の多数が決まる大学が多いこともあり、一般選抜の合格者を増やしようがなかったものと見られる。
また、全国の私立大を、大学単位の競争率(実質倍率)グループ別に分類すると(グラフ7)、3倍台以上の大学が大幅に減る一方で、1倍台の大学が激増している。従来の高倍率校が「志願者減・合格者増」で倍率ダウンする一方、従来の低倍率校もやはり20年に志願者急増で倍率アップした結果、「安全校なき入試」となったため警戒され、志願者が集まらず、1倍台のみ膨れ上がったことを示している。
学部系統別に見ると(グラフ5)、全系統で倍率ダウンしたが、私立大の主力といえる、法、経済・経営・商、国際関係をはじめとした文系学部で倍率ダウンが著しかった。一方、理系学部では薬、看護・医療・栄養といった医療系の倍率ダウンが比較的小幅に留まり、「理系の資格志向」復活がうかがえる。
合格者成績の実例を見ると?
国公立大:
共テ・2次の配点比率で合格者の分布も変わる
「倍率」とともに気になるのが、合格者の最低点や平均点といった「合格者データ」だろう。
合格最低点は合否の分かれ目になる、いわゆる「ボーダーライン」。合格平均点は、総じて最低点より得点率(%)にして5~10p(ポイント)程度高い。合格最低点は「最低目標」として重要なデータなのだが、確実に合格を目指すには、「合格者平均点」のレベルまで学力アップしておくことが望まれる。
21年入試の例として、岡山大の前期日程の合格者データを見てみよう(表2)。
総合点を得点率(%)に換算し、各学部・学科等を分野別にまとめて平均すると、文系・教員養成系で「最低66%・平均71%」、理工農系で「最低61%・平均66%」、医療系で「最低70%・平均74%」となる。合格するには、文系・教員養成系で7 割前後、理工系で6 割程度、医療系で7 割以上(医は8 割以上)の得点が必要だったのだ。
また、合格者平均点を共テ・2 次(個別試験)ごとに平均すると「文系・教員養成系=共テ74%・2 次66%、理工系=共テ73%・2 次66%、医療系=共テ79%・2 次68%」となる。マーク式の共テに比べ、記述式の2 次の方が得点しにくかったことがわかる。
このうち、配点が共テ重視の文学部と、2 次重視の理学部物理学科を比較してみよう。
文学部の配点は「共テ750 点、2 次400 点、総計1,150 点」。合格者は、共テでは得点率73%~87%(平均79%)に分布し、最高・最低の差は14p。2 次では得点率52~76%(平均65%)に分布し、最高・最低の差は24p。配点の少ない2 次の方が最高・最低の差が大きく、共テの得点である程度合否が決まったといえる。
一方、理学部物理学科の配点は「共テ900 点、2 次1,400 点、総計2,300 点」。合格者は、共テでは得点率57%~81%(平均71%)に分布、最高・最低の差は24p。2 次では得点率56~75%(平均63%)に分布し、最高・最低の差は19p。文学部とは逆に、配点の少ない共テの方が最高・最低の差が大きく、2次の得点力が合否に強く影響したことがうかがえる。
私立大:
合格ライン周辺から入試の実態を把握しよう
次に、私立大一般選抜の「合格ライン」付近の状況を見てみよう。国公立大と同様、合格への道標となる大切なデータだ。
グラフ8 に、龍谷大-経営(前期日程:文系型スタンダード方式)の21 年入試で、合格ライン付近の人数分布を示した。同方式の科目・配点は「英語」「国語」「世界史、日本史、政治・経済、数学から1」の3 科目で各100 点、計300 点。受験者数2,257 人に対し合格者数449 人で、実質倍率は5.0 倍。合格最低点は211 点(得点率70.3%)だった。その分布状況を見ると、
①合格最低点を含め、上10 点幅のゾーンに197 人と、全合格者の約44%が集中している。 ②不合格者の最高点(210 点)を含め、下10 点幅のゾーンに243 人もいる。 ③合格最低点で合格したのは25 人、1 点差での不合格者も25 人いる。 |
合格ライン付近では、総合的にほぼ同じ学力の受験生がひしめき合い、わずか1 点差で合否が決まる。では、“1 点差”を争う合格ラインを、どうやって突破するのか?
グラフ8 の右側に、合格最低点とその1 点下の受験者から、特徴のある得点パターンをピックアップした(科目ごとの得点は、中央値補正法を行った得点調整後の点数で小数第2 位まで表示)。ここからわかるのは、「得意科目」の大切さと、「苦手科目」克服の必要性だ。
3 科目入試では、1 科目で得点が伸びなくても、他の科目でカバーできることが多い。Aさんのように得意科目があれば、他が普通、またはやや苦手であっても心強い。ただし、Cさんのように苦手科目の失点が大きすぎると、カバーしきれず、1 点差に泣くことになる。
得意科目の優位を生かすには、苦手科目を「やや苦手~普通」までにレベルアップし、6 割以上の得点がほしい。私立大一般選抜で合格ライン(7 割台)をクリアするためには、得意科目(8 割台)を持ち、残り2 科目は7 割台と6 割台をキープしよう。
ここポイント!
国公立中堅校で前年の極端な反動も
私立大は合格者増の玉突きで易化
でも人気校の合格ライン際は激戦!
22年変更点は何か?
共通テストの日程は本来の形に
追・再試験は2週間後に実施
ここからは、国公立大および私立大の22年入試について、5・6月号に続き、6月下旬までに判明した主な変更点を紹介する(以下、新増設大学・学部等については、全て予定)。
21年入試では、コロナ禍のもと入試を実施するための対策や、休校措置による「学業の遅れ」、推薦型・総合型の出願資格となる各大会等の中止や検定・資格試験の延期などへの配慮として、さまざまな施策が行われたが、22年はある程度、本来に近い形に戻される。
6月4日に文部科学省は、共通テストについて、22年は「第1日程」「第2日程」と特例追試を設定せず、1月15日・16日に本試験、同29日・30日に追・再試験を行うことを発表した。追・再試験を本試験から2週間空けたのは、21年と同じく罹患者の回復期間を踏まえての措置。そのため、国公立大一般選抜の出願締切日は「2月2日→4日」に繰り下がった。また、大学入試センターからの各大学への成績提供は、20年までより遅い「2月7日から」となったため、共テ利用方式の合格発表日を2月7日以前としていた私立大で変更が続出、21年とほぼ同時期になりそうだ。
各大学の選抜方法も、コロナ禍の影響で再変更
各大学でも、21年のコロナ禍対応による変更を、22年入試では本来予定していた実施方法に戻す傾向が見られる。ただし、調査書や志望理由書の点数化などについては、現3年生もコロナ禍の影響を強く受けていることに配慮し、引き続き取りやめるケースもある。
国立では、筑波大が一般選抜で調査書の点数化を導入する予定だったが、2年連続で中止することを発表。また、弘前大- 人文社会科学・医(保健)・理工・農学生命科学でも、一般選抜における志望理由書の点数化を22年に限り中止する。一方、横浜国立大の一般選抜では、21年に中止した2次を復活。また、埼玉大-経済でも総合型を復活する。
私立では、立命館大の共テ方式後期で、21年は特例措置として導入した5教科型・3教科型を取りやめる。
以下、6月下旬の時点で判明した、各大学の変更点の一部を紹介する。詳細は国公立大の選抜要項、私立大の入試ガイドなどで必ず確認してほしい。なお、推薦型・総合型と一般選抜の変更、国公立大の新増設・改組については、5・6月号に掲載したものを除いた。
国公立大:
金沢大では学類を増設
熊本大- 教育で課程統合
●国公立大の改組と新増設
工学系と教員養成系で、学部内の複数の学科等を、1つか、より少数に統合・再編するケースが目立つ。以下、主な学部改組や新増設の予定をまとめた(新設学部等の名称は仮称)。
【国立大】 金沢大で融合学域に「観光デザイン学類」を増設。また、学校教育学類に富山大-人間発達科学との「共同教員養成課程」を設置。
名古屋工業大では工2部(夜間学部:4学科)を廃止し、工学部に夜間主コースの「基幹工学教育課程」を設置予定。電気・機械工学、環境都市工学の2コースで構成される。
熊本大- 教育では教員養成課程を「4→1」に統合し、定員も230 人→ 220 人に削減する。
【公立大】 前橋工科大- 工では「6学科→2学群(建築・都市・環境工、情報・生命工)」に統合、夜間主開講を廃止し、昼間開講に統一する。
●推薦型・総合型
【新規実施】 富山大- 薬(薬)で共テ免除総合型を新規実施/名古屋工業大- 工[夜] で推薦型・総合型を新規実施/九州大- 歯で共テを課す推薦型を新規実施/大分大- 教育(初等中等教育)で共テを課す総合型を新規実施する。
【実施方法の変更】 東京医科歯科大- 歯(歯)で推薦型を「共テ免除→課す」に変更/佐賀大- 経済の共テ免除推薦型で、基礎学力・学習力テストを追加/静岡県立大- 看護の共テ免除推薦型で集団討論・口頭試問を追加/愛知県立大- 情報科学の共テ課す推薦型で、普通科・理数科等枠を「県内対象→全国対象」に変更/名桜大- 国際学群の総合型で小論文を追加する。
●一般選抜の日程変更等
名古屋工業大- 工[夜]では、一般選抜(前期)を廃止。一方、前橋工科大- 工では後期を廃止し、中期を新規実施する。
●一般選抜の科目等の変更
宮城教育大- 教育の前期で、2次に教育小論文を追加/京都大- 医(医)の前期で、2段階選抜の予告倍率(募集人員の約3倍)に、得点基準(共テ900点中630点以上)を追加/広島大- 情報科学で、前期の2次の配点を「A型=数学600点→800点、外国語600点→400点」に、後期の共テの配点を「数学600 点→ 800 点、外国語600 点→ 400 点」に変更する。
私立大:
関西学院大が共テ利用で英語の配点比率を変更
●共通テストの英語の配点
共通テストの英語の配点は、リーディング(R)100点、リスニング(L)100点で、配点比率は「1:1」。ただし、各技能の点数の入試での比重は、各大学が決定する。
22年入試では、関西学院大が共テ利用方式の英語の配点比率を、「1:1」から「4:1」に変更。リーディングの配点比率を高め、セ試利用時代に戻したのが注目される。
●新増設・改組等
21年度の私立大学の新設予定、学部・学科等の増設予定が文部科学省から発表されている(大学は前年10月末認可申請。学部・学科等は3月末認可申請分。表3を参照)。大学の新設予定は2大学。また、8大学で学部・学科の増設を認可申請中。さらに、専門職大学は電動モビリティシステム専門職大・アール医療専門職大の2校が設置認可申請中だ。
その他に設置届出として、①東海大- 建築都市・経営・国際・人文、武蔵大- 国際教養、神奈川大- 建築、名城大- 情報工、近畿大-情報、岡山理科大- 生命科学などの学部増設、②東海大(経営・基盤工→文理融合)、追手門学院大(国際教養→国際・文)などの学部改組が予定されている。全体として、情報、建築、国際といった分野の増設・改組が多い。
●推薦型・総合型
【新規実施】 芝浦工業大- 工(材料工、応用化学、情報通信工、情報工、土木工)で公募制推薦(女子)を新規実施/中京大- 経営・工で高大接続入試(事前体験型、事前体験共テ利用型)を新規実施/南山大- 総合政策で総合型(プレゼンテーション型)を新規実施/大阪電気通信大の公募推薦で後期を新規実施する。
【実施方法の変更】 慶應義塾大- 法のFIT入試A方式の2次を「グループ討論→口頭試問」に変更/日本医科大- 医で総合型を推薦型に移行/愛知学院大- 薬の公募制推薦A・Bで「小論文→化学」に変更/福岡歯科大の総合型1期で基礎学力テストを追加する。
●一般選抜(独自入試)の変更
【首都圏】 獨協大- 外国語・国際教養・経済の一般A方式で英語外部検定利用の「外検+(プラス)」を新規実施/駒澤大の全学部統一日程で学外試験場を変更(水戸・立川・横浜を廃止、札幌・つくば・大阪・福岡を追加)/工学院大- 建築の一般B日程が2→3科目に負担増/中央大-理工の学部別選抜で英語外部試験利用方式を新規実施/法政大- 社会・国際文化で英語外部試験利用入試(出願資格型)を新規実施する。
【京阪神】 佛教大の一般A日程に2科目型を追加/立命館大- 薬の全学統一方式(理系)と薬学方式で、薬(6年制)・創薬科学(4年制)の2学科併願制を導入(同方式で2学科同時併願が可能に)/大阪電気通信大で一般中期を新規実施する。
【その他の地区】 東北学院大の一般前期で受験料の併願割引を導入/獨協医科大- 医で一般選抜と共テ利用選抜の2次を「別日程→同一日程」に共通化/南山大- 外国語の一般入試を「専攻別募集→学科別募集」に変更し、専攻決定を「入学時→2年次」に変更/名城大- 外国語・情報工・理工で傾斜配点型K方式を新規実施(A方式の受験必須。各学部・学科の指定配点で再判定)/福岡歯科大の一般A・B日程で小論文を除外する。
●一般選抜(共テ利用)の変更
文中、「共テ併用」とは大学の独自入試と共テ利用入試の成績を組み合わせて合否判定する「独自・共テ併用型」を示す。
【首都圏】 千葉工業大で共テ併用のSA日程を新規実施(共テ=数学2科目、独自=A日程の数学)/工学院大の共テ利用前期で4教科型を追加/昭和薬科大で独自・共テ併用のD方式を新規実施/成城大- 経済の共テ利用B方式の前期(3・4教科型)で英語にリスニングを追加し、文芸で後期を新規実施/専修大- 経済・法・経営・商・人間科学・文の共テ利用前期で4科目型(文- 英語英米文は5科目型)を新規実施/大東文化大の共テ利用入試で前期後出願を中期に統合/東京経済大で共テ利用中期を新規実施/東京農業大の共テ利用前期に2科目型を追加する。
【京阪神】 立命館大- 情報理工の「共テ+面接」グローバルコース方式で、面接をオンライン実施に変更/龍谷大の共テ利用中・後期で英語外部試験を新規利用/近畿大- 工で共テ併用方式後期を新規実施/関西学院大は文系10学部の共テ利用1月出願で7科目型を新規実施。
【その他の地区】 東北医科薬科大- 医で共テ利用選抜を新規実施/中京大で後期F方式を全マーク式に変更/名城大- 理工の共テC方式前期で5教科6科目型を追加する。
ここポイント!
コロナ禍対応を継続する大学もある
国公立大では学科・課程の統合が目立つ
私立大で独自・共テ併用型の導入が続く
* * *
以上、詳細は国公立大の選抜要項、私立大の入試ガイドなどで必ず確認してほしい。
(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2021年8月号)」より転載いたしました。