入試動向分析

2014年 私立大入試 志願者動向分析【2014年5月】

2014(平成26)年度

「後がない」意識と「ネット割効果」で併願が増加。理系の爆発的人気が続く!

 2014年私立大入試について、難関私立大の一般入試を中心に、人気度を示す「志願者動向」と、難易変動の指標となる「実質倍率」について見ていく。また、2015年新課程入試の最新情報も紹介する。

 

※この記事は「螢雪時代(2014年5月号)」の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

 

 


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近畿大が初めて志願者数トップに。日本大・法政大・立命館大などが増加、中央大・東洋大・立教大などが減少


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 2014年私立大一般入試(おもに2月入試)の志願者数は、前年比2%増加した。2015年新課程入試を控えた「後がない」意識とセンター試験の国語の難化から“安全志向”が強まり、中堅上位~中堅校の併願が増えた模様。インターネット出願の受験料割引の導入校で志願者増が目立ち、前年以上に「文低理高」の傾向が強まった。


関東地区では記録的大雪の影響で、試験開始の繰り下げや追試が続出

 2014年(以下、14年)の私立大一般入試は、関東地区を中心に、2月中旬の記録的な大雪の影響で、試験実施に混乱が生じた。交通機関の運転見合わせや遅延が続出したため、大学では試験開始時刻を大幅に遅らせたり、遅刻を余儀なくされた受験者に別室受験させたりするなど緊急対応に追われた。さらに、当日たどりつけなかった受験希望者を対象に、文部科学省が各大学に代替措置を要請。これを受け、青山学院大・慶應義塾大・中央大・日本大(文理学部)・法政大・早稲田大などが3月に追(再)試験を実施したり、千葉工業大・拓殖大・武蔵野大などが別の試験日程への振替を行ったりした。一方、日本大(生物資源学部)・明治大では受験料を返還する措置をとった。
 大学の独自入試は1月末~3月に行われる。今回の出来事は、こうした真冬ならではのアクシデントもありうることを再認識させたといえる。緊急時の的確な情報収集手段や、試験会場への複数交通手段の確保など、実際に受験する時期の直前には、最悪の事態を想定したシミュレーションを行っておく必要があるだろう。


受験生数の減少にかかわらず、一般入試の志願者は2%増

 旺文社では、学部募集を行う全国の私立大学(577大学。通信制を除く)に対し、14年の一般入試の志願者数を調査した。3月中旬現在で集計した確定志願者数のデータは「207大学:約256.4万人」にのぼる。この集計は2月に行われた各大学の独自入試(大学が独自の試験問題等で行う入試)とセンター試験(以下、セ試)利用入試を主な対象とし、2月下旬~3月の「後期募集(セ試利用含む)」を一部集計に加えた。
 その結果、私立大一般入試の志願者数は、13年の同時期に比べ約2%増加したことがわかった。今後発表される大学の志願者数を加えても、最終的に私立大の一般入試志願者数は「2%程度の増加」に落ち着きそうだ(グラフ1)。
 ちなみに、14年の4(6)年制大学の受験生数は、本誌の推定では13年より約2万5千人(約3.7%)減る見込み。基礎数が減っているにもかかわらず、私立大ではさまざまな入試日程・方式等を合計した「延べ志願者数」とはいえ、わずかながら増加したことになる。ただし、学内併願などの重複を除いた実質的な志願者数は、見かけほど増えていないものとみられる。

グラフ1.私立大一般入試志願者数と大学受験生数の推移

 

新課程入試を控えた「後がない」意識で、私立大の併願数を増やす?

 大学受験生数の減少にもかかわらず、私立大一般入試の志願者数が増えた要因としては、15年新課程入試を翌年に控え、旧課程最後の学年として「後がない意識」が強まったことがあげられる。また、14年のセ試は全体の平均点がややアップしたが、文理共通の基幹科目である国語は2年連続でダウン(=難化)したこともあげられる(特に古文の「源氏物語ショック」)。「無理せず現役で」という近年の受験生気質もあって“安全志向”が強まり、国公立大受験者を中心に、私立大の併願を増やした模様だ。
 入試方式別に見ると(グラフ2)、大学の独自入試が1%増、セ試利用入試が3%増。独自・セ試併用型(独自入試の指定科目と、セ試の高得点または指定科目を合計して判定)は大幅増だが、これは募集枠自体が小さいうえに、独自入試とセットで受験料減額の対象にされることが多いため。さらに、難易レベルでみると前年同様、「難関~準難関校」よりも「中堅上位~中堅校」が狙われた模様だ。
 なお、セ試利用も含めた3月入試(後期募集)は5%減。昨秋の公募制推薦から2月入試に至るまでに、受験生はほぼ合格を確保したものとみられ、独自入試を中心に“失速”した。
 全国6地区ごとの志願動向を見ると(グラフ3)、北陸・東海、関西が増加したのに対し、関東・甲信越は前年並み、中国・四国、九州は微減。北海道・東北の15%増は、北海道科学大で志願者が約8倍に膨れ上がった影響が大きく、同校を除く集計では、ほぼ前年並みとなる。
 入学後の生活費を考慮し、なおかつ生活環境の大きな変化を好まない“地元志向”から、首都圏の全国型総合大学を目指す動きは鈍ったまま。一方で、関西地区の志願者増は、インターネットを利用した出願(以下、ネット出願)と、その際の受験料割引(以下、ネット割)を導入する大学が増えた影響が大きい。同地区ではやはり「ネット割効果」で公募制推薦への出願が大幅に増えて激戦化し、一般入試への再チャレンジ組が多数流入した模様だ。

 

「ネット出願」の導入が本格化、「ネット割効果」が関西を席巻

 14年私立大入試で最大規模の変動要因として、従来の「紙の願書」による出願に加え、「ネット出願」を導入する大学の急増、さらに「ネット割」を導入する大学の増加があげられる。
 ネット出願は、インターネット環境さえ整っていれば、自宅(または学校)から、しかも締切日の深夜まで出願でき、記入ミスも未然に防げる(画面ごとに受験生本人が確認できる)利便性が持ち味。出願登録した後、顔写真や調査書、受験料払込の証明などを郵送する必要はあるが(大学によって異なる)、幼い頃からネット環境に慣れた現代の受験生にとって、むしろ気軽な方法ともいえる。ネット割は、ネット出願の利用促進策として登場。多くの場合、割引額はだいたい「3千円~5千円」の範囲だが、ネット出願の既実施大学では、確かに利用率の飛躍的なアップにつながったという。
 ネット出願、そしてネット割の導入による効果は、関西地区で最もはっきりと表れた。13年にネット割を導入し、志願者が増加した京都産業大・龍谷大・近畿大は、14年も京都産業大(6%増)・龍谷大(4%増)・近畿大(8%増)と「ネット割効果」が継続。また、14年から「ネット出願+ネット割」を新たに導入した大学は大阪工業大(13%増)・桃山学院大(18%増)・神戸学院大(31%増)など、「ネット割」を新規実施した大学も追手門学院大(9%増)・摂南大(59%増)など、軒並み志願者が増加した。他地区でもネット割を導入した工学院大(17%増)、「ネット出願+ネット割」を導入した福井工業大(172%増)といった事例はあるが、必ずしも志願者が増えなかったり、逆に割引のないネット出願で増えたりするなど、関西ほど「ネット割効果」は明確でない。経済面の改革に敏感に反応する、関西特有の受験文化が感じ取れる。
 東洋大・近畿大では「紙の願書」を廃止し、全面的に「ネット出願」に移行。中京大も一般入試のみ「ネット出願」に完全移行した。近畿大では環境への配慮をアピール(エコ出願)しつつ、受験料減額を継続したため、13年に続き志願者が大幅増、志願者数トップの原動力となった。一方、東洋大は「紙の願書」廃止に関する高校側への浸透度がいま一つだった模様で、受験料を減額しなかったこと、前年(10%増)の反動もあって志願者13%減。中京大も周囲のネット割実施校の増加などから3%減と、志願状況に関する限り、やや明暗が分かれた。
 15年入試でネット出願やネット割を導入する大学はさらに増えるものとみられ、新課程科目への移行に匹敵する変動要因となりそうだ。

 

理工・薬など理系は全般的に大幅増、文系は軒並み減少

 次に学部系統別の志願状況を見てみよう(グラフ4)。理系では大幅増の学部系統が目立ったが、文系は国際系を除いて減少。前年以上に「文低理高」傾向が顕著だった。
 就職事情が若干改善されたとはいえ、法、経済・経営・商、文・教育・教養など、文系は全般にやや志願者減。文系学部主体の主要大学で志願者減が目立った最大の要因といえる。その中で、グローバル教育のニーズの高まりに比例し、国際・国際関係・外国語の人気急上昇は特筆される。
 一方、理系学部は相変わらず「技術・資格を取得でき、文系より就職の可能性が高い」とみられ、保護者が強く勧める側面もあってか、高2進級時の文理分けの段階で、理系志望者が増えつつあるという、構造的な背景がある。
 理・工は8年連続で志願者増。初めて志願者数20位以内に躍り出た千葉工業大(20%増)をはじめ、東北工業大(57%増)・工学院大・金沢工業大(10%増)・愛知工業大(14%増)など“中堅理工系”の大幅増が目立つ。ネット割や学内併願割引の導入校が多いことも要因といえる。
 医では7年連続で臨時定員増が行われ(14年は私立大で4大学10人増)、門戸の広がりは確実に浸透し、国公立大医学部からの併願も増えた模様。また、農・水畜産・獣医、薬、歯といった“理系の資格系”がいずれも志願者大幅増。医療・看護は、新設が相次いだわりに増加が小幅だが、これは志願者分散で既存の学部が減少したためで、今後、新設学部・学科の志願者が判明した段階で大幅増となりそう。また、家政・生活科学のみ志願者が減少したが、近年の栄養系学科の難化が敬遠材料になったとみられる。

グラフ2.2014年私立大一般入試 方式別志願状況、グラフ3.2014年私立大一般入試 地区別志願状況、グラフ4.2014年私立大一般入試 学部系統別志願状況

 

安全志向で準難関校が志願者減、中堅クラスで高人気が続く

 ここから、大学ごとの志願状況を見ていこう。表1では、志願者数(大学合計:3月中旬現在)の多い順に、上位20大学を示した。その顔ぶれは前年とほぼ変わらず、20位までの志願者の合計は、全体(207大学:約256.4万人)の約52%と過半数を占める。
 特筆される変化は、近畿大が首都圏以外で初めて、志願者数トップに躍り出たことだ。「ネット割効果」に加え、理系の多い学部構成が大幅増につながった。また、日本大(5%増)は全学規模の統一入試「N方式1期」(学部・学科間の同時併願が可能で、受験料割引も実施)の導入、法政大(6%増)は全学共通のT日程で複数学部・学科の同時併願を可能にし、受験料割引も導入したこと、立命館大(5%増)は15年に京都・大阪間の交通至便なキャンパスを新設することへの期待感などが、増加の要因となった。
 一方で、2位の明治大(4%減)や、中央大(12%減)・立教大(10%減)といった、いわゆる「MARCH」の志願者減は、準難関校志望者の安全志向によるランクダウン、中でも国公立大受験者がセ試利用の目標得点の高さから敬遠したこと、首都圏への流入減などが複合的に作用したといえる。この他の難関~準難関校も、青山学院大(1%減)・慶應義塾大(1%減)・東京理科大(1%増)・早稲田大(1%減)と比較的堅調ながら、やはり平均(2%増)を下回っている。
 表2では、志願者1,000人以上の大学について、増加率が高い順に上位20大学を示した。“理系・資格志向”を反映し、国際・国際関係・外国語、理工、薬、医療・看護、教員養成といった分野を有する中堅校が目立つ。特に北海道科学大は、医療系3学科(看護・理学療法・診療放射線)を増設し、大学名も「北海道工業大」から変更するなど、全学的な改編が“爆発的”な志願者増に結びついたといえる。
 名古屋外国語大や摂南大など、ネット割の既実施校や新規導入校が目立ち、千葉工業大ではセ試利用入試の募集回数増も要因となった。さらに、セ試利用入試の国語から古文・漢文を除外した国士舘大の志願者25%増から、セ試の国語難化の影響がいかに大きかったかがわかる。
 そして何より注目すべきは、20大学中17大学で、実は前年も志願者が増加していたこと。これら中堅クラスへの、「後がない意識」に伴う受験生の傾斜ぶりを如実に物語っている。

 

表1 志願者の多い大学 TOP20
  大学名 2014年
志願者数
2013年
志願者数
志願指数 増減 前年順位 おもな変更点とTOPICS
1 近畿大 105,890 98,428 108 3 初めて志願者数1位に(首都圏以外で初)/ネット出願に完全移行(受験料の割引は継続)/「エコ出願」「近大マグロ」など巧みな広報戦略が功を奏した?
2 明治大 105,512 109,934 96 1 安全志向で敬遠か/中野キャンパスと総合数理学部が開設2年目/総合数理でセ試利用を新規実施/理工で一般入試・セ試利用の募集枠縮小(指定校推薦82人→143人)
3 早稲田大 105,424 106,768 99 2 学科増設(基幹理工‐情報通信)/基幹理工で募集形態を「学部一括→学系別(7学科を3学系に分類)」に移行/人間科学のセ試利用入試で「数学選抜方式」(セ試5教科6科目+数学記述)を追加
4 日本大 96,839 92,508 105 4 9学部で全学規模の統一入試「N方式1期」を新規実施(全国16会場で実施。ネット出願のみ可)/ネット出願(割引なし)を導入
5 法政大 94,808 89,047 106 5 T日程で複数学部・学科の同時併願が可能になり、受験料割引制度も導入/グローバル教養でセ試利用を新規実施/学科増設(生命科学‐応用植物科学)
6 立命館大 86,935 82,637 105 7 15年に、京都・大阪間にキャンパス新設(大阪府茨木市)の予定
7 関西大 84,251 86,753 97 6 前年の志願者8%増の反動、特にセ試利用前期で隔年現象(12年9%減→13年14%増→14年11%減)/理工系3学部の学部個別日程で理科設問選択方式(2科目型)を新規実施
8 中央大 72,725 82,219 88 8 安全志向に加え、郊外キャンパス(東京都八王子市)が敬遠材料か
9 立教大 63,934 71,096 90 10 安全志向で敬遠か/入学前予約型の「自由の学府奨学金」(250人程度)を導入
10 東洋大 62,357 71,273 87 9 ネット出願(受験料割引なし)に完全移行/前年の志願者10%増の反動か/法でD方式、社会(社会心理)でC方式を廃止/文・法・社会・国際地域のイブニングコースのセ試B方式で前期を、文(史学・教育)・経済(総合政策)・法(企業法)・社会(社会心理)・ライフデザイン(生活支援)のセ試B方式前期で4教科(科目)型を新規実施
11 青山学院大 55,893 56,563 99 11 キャンパス移転(7学部の1年次が、神奈川県相模原市→東京都渋谷区)して2年目/経済で個別学部日程のB方式(2科目型)を廃止/法で募集人員を「全学部日程40人→50人、A方式170人→160人、B方式40人→50人」に変更、セ試利用の4教科型を廃止
12 東京理科大 53,524 52,823 101 12 葛飾キャンパス(東京都葛飾区)が開設2年目
13 同志社大 52,944 51,346 103 13 13年に文・法・経済・商の1・2年次の履修キャンパスを「京都府南部→京都市中心部」に移転、全学年を集約/グローバル地域文化でセ試利用を新規実施/テレビドラマの効果も?
14 福岡大 47,039 46,266 102 14 系統別日程(全学部・学科を5つの学問系統に分類、各系統の中で同時複数併願が可能、受験料割引あり)で導入2年目の反動/ネット出願(割引あり)を導入/人文で一般前期の募集枠縮小(269人→236人:後期と推薦を拡大)/医(医)でセ試利用を新規実施
15 東海大 45,629 43,975 104 16 医で定員増、神奈川県地域枠入試(セ試利用)を増員(3人→5人)。また、一般A方式を増員(60人→70人)、1次選考から適性試験を除外
16 関西学院大 43,106 45,513 95 15 安全志向で敬遠か/法で数学併用型(独自・セ試併用)を新規実施
17 慶應義塾大 42,398 42,785 99 17 経済で募集人員を「A方式500人→480人、B方式250人→240人」に削減
18 千葉工業大 40,733 33,914 120 21 中堅理工系人気/セ試利用中期を新規実施(募集回数が2→3回に)
19 龍谷大 37,443 35,901 104 19 ネット割と、受験料返還制度(一般A日程の合格者が、同一学部・学科等のB日程・セ試利用中期に出願し受験しなかった場合)の人気が継続/セ試利用中期で隔年現象(12年24%増→13年21%減→14年11%増)/15年に国際文化がキャンパス移転の予定(滋賀県大津市→京都市伏見区)
20 芝浦工業大 37,328 36,647 102 18 中堅理工系人気/ネット出願(割引なし)を導入

(注1)「増減」欄の記号は、△=10%以上の増加、↑=5%以上の増加、↓=5%以上の減少、▼=10%以上の減少を示す。
(注2)3月中旬現在のデータによる。一部、大学によっては未集計の方式・日程がある。

 

表2 志願者の増加率が高い大学 TOP20
  大学名 2014年
志願者数
2013年
志願者数
志願者指数 おもな変更点とTOPICS
1 北海道科学大 6,970 858 812 「北海道工業大」から名称変更/学部改編(医療工→保健医療)し、看護・理学療法・診療放射線の3学科を増設/学部を統合(創生工・空間創造→工)
2 名古屋外国語大 17,816 6,218 287 国際系人気/ネット割(ネット出願すると、どれだけ受けても上限3万5千円)が人気集める
3 福井工業大 1,947 717 272 中堅理工系人気/ネット出願(割引あり)を新規実施
4 摂南大 19,294 12,099 159 ネット割を新規実施/前期B日程で試験日自由選択制を導入/前期A・B日程で文系学部併願制度(法・外国語・経済・経営のうち、異なる2学部を併願可)を新規実施
5 東北工業大 1,773 1,126 157 中堅理工系人気/一般A方式を「全学部・学科併願型」「学科指定型」に分割/一般A・B日程で学内併願の受験料割引を拡充(複数受験でも固定受験料)
6 大阪経済法科大 1,850 1,294 143 学科増設(経済‐経営)/セ試利用入試の募集回数を3→4回に(II期を新規実施)
7 大阪商業大 1,648 1,157 142 経済・総合経営の各学科に複数コースを新設(2年次からコースを選択)
8 阪南大 2,658 1,908 139 一般入試の募集枠を拡大(425人→485人)/一般前期で3教科型のB日程を新規実施。ベスト2教科型(3教科必須、高得点2教科で自動判定)と同時併願可/前期A日程の試験日を「2日→3日(自由選択制)」に延長/一般前期・セ試前期で「特待生制度」を新規実施
9 長浜バイオ大 2,070 1,511 137 一般前期で理科重視型を新規実施/前年の志願者9%減の反動も
10 神戸学院大 10,809 8,257 131 学部増設(現代社会)/ネット出願(割引あり)を新規実施/15年に法・経営の2学部(1・2年次)がキャンパス移転(神戸市西区→同中央区)の予定
11 実践女子大 5,396 4,185 129 東京都渋谷区にキャンパス新設、文・人間社会の2学部を郊外(同日野市)から移転/学科増設(生活科学‐現代生活)
12 国士舘大 15,950 12,801 125 セ試利用入試で、国語の出題範囲から古文・漢文を除外/政経のセ試Ⅰ・Ⅱ期で2教科型を追加
13 拓殖大 7,600 6,136 124 15年に商・政経の2学部(1・2年次)がキャンパス移転(東京都八王子市→東京都文京区)の予定/前年の志願者17%減の反動も
14 東北薬科大 1,593 1,303 122 薬学部人気/「東北薬科大学病院」が開設
14 大妻女子大 5,798 4,740 122 15年に文・家政の2学部(1年次)がキャンパス移転(埼玉県入間市→東京都千代田区)の予定
14 名古屋学院大 4,616 3,771 122 ネット割が人気集める/法でセ試利用入試を新規実施
14 熊本学園大 2,613 2,143 122 経済・外国語・社会福祉の一般前期で、センタープラス型(独自・セ試併用)を新規実施
18 愛知医科大 3,026 2,492 121 医学部人気
18 神戸親和女子大 1,403 1,159 121 教員養成系(発達教育学部)が人気集める/セ試利用中期を廃止
20 千葉工業大 40,733 33,914 120 中堅理工系人気/セ試利用中期を新規実施(募集回数が2→3回に)

(注)3月中旬現在のデータによる。志願者数1,000 人以上。一部、大学によっては未集計の方式・日程がある。

 

上智大・成蹊大・名城大・京都産業大が増加、國學院大・南山大が減少

 ここまで紹介した以外の大学を中心に、各地区の志願状況(おもに2月入試)を見てみよう。

(1)首都圏地区
   難関~中堅上位校では、上智大(7%増)をはじめ、学習院大(6%増)・成蹊大(5%増)・武蔵大(5%増)・明治学院大(7%増)が増加した。一方、セ試利用入試を廃止した国際基督教大(33%減)をはじめ、國學院大(5%減)・成城大(5%減)・津田塾大(13%減)・東京女子大(10%減)・日本女子大(6%減)が減少した。いわゆる「日東駒専」では、駒澤大(6%増)・日本大が増加、専修大(3%減)・東洋大が減少した。
 上智大は国際系の新設学部(総合グローバル)が人気を集めた。また、成蹊大・明治学院大など、準難関校と中堅上位校の中間に位置するグループの志願者増は、中央大・明治大・立教大などの減少と考え合わせると、14年入試の“安全志向”を象徴する現象といえる。
 中堅グループでは、前述の理工系大学に加え、国士舘大・東海大(4%増)は増加したが、亜細亜大(8%減)・東京経済大(7%減)は減少した。

(2)京阪神地区
   「関関同立」では、同志社大(3%増)・立命館大が増加したが、関西大(3%減)・関西学院大(5%減)はやや減少。「産近甲龍」は京都産業大・龍谷大・近畿大・甲南大(7%増)とそろって増加した。京都産業大は、外国語学部の改編(4専攻を新設)や一般中期の新規実施なども要因となった。中堅グループや女子大では、前述の通りネット割の導入校が大幅増、同志社女子大(3%増)・大阪経済大(7%増)なども増加。一方、京都女子大(7%減)・佛教大(7%減)など志願者減は少数派に留まる。

(3)その他の地区
   各地域の拠点大学では、愛知大(7%増)・名城大(10%増)の志願者増が目立った。このうち、愛知大はマーク式のM方式とセ試利用入試に志願者が集中。福岡大(2%増)は「ネット出願+ネット割」を導入したが、学問系統ごとの共通入試「系統別日程」が、導入2年目の反動で約2割減のため、志願者は微増に留まった。一方、北海学園大(4%減)・中京大・南山大(4%減)・西南学院大(6%減)で志願者が減少した。


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京阪神以外で実質倍率がダウン。慶應義塾大・京都産業大がやや難化、南山大・関西大がやや易化か!?


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 受験生が注目すべきは、見かけの「志願倍率」よりも「実質倍率」だ。2月入試を中心に、一般入試の受験・合格状況を集計したところ、受験者2%増に対し、合格者は3%増えたため、実質倍率は13年3.4倍→14年3.3倍とダウンした。その中で、慶應義塾大・愛知大・京都産業大などが合格者を絞り込み、倍率アップした。

グラフ5.志願倍率と実質倍率の違い、グラフ6.私立大一般入試 地区別/受験者・合格者動向(3月中旬現在)
「志願倍率」に惑わされず、「実質倍率」に注目しよう

 次に、私立大一般入試の合格状況を見よう。中でも倍率の変化は、「難化・易化」を計る物差しとなる重要データだが、一般的に使われる「倍率」には次の2通りあることに注意したい。
*志願倍率=志願者数÷募集人員=見かけの倍率*実質倍率=受験者数÷合格者数=実際の倍率

 私立大では合格者の入学手続率を考え、一般入試で募集人員の3~5倍程度、セ試利用入試では10倍程度の合格者を出すのが普通だ。
 グラフ5で関西学院大‐理工の例を見てみよう。一般入試(学部個別日程)の志願倍率は15.3倍だが、合格者を募集人員の5.4倍出しているので、実質倍率は2.7倍となる。
 また、セ試利用入試(1月出願)の志願倍率は57.3倍もの超高倍率だが、合格者を募集人員の26.7倍も出しているので、実質倍率は2.1倍におさまった。これなら「とても手が出ない」という倍率ではないだろう。
 見かけの倍率に惑わされることなく、実際の倍率を志望校選びのデータとして活用しよう。


受験者2%増に対し合格者3%増、全体の倍率は3.4→3.3とダウン

 旺文社が私立大一般入試(主に2月入試)の受験・合格状況について調査したところ、正規合格者まで発表した102大学の集計(3月中旬現在)では、受験者数(未公表の場合は志願者で代替)は2%増、合格者数も3%増(グラフ6)で、実質倍率(以下、倍率)は13年3.4倍→14年3.3倍とダウンした。
 「後がない」意識から、確実な合格を目指しつつ、その合格決定を大切にする傾向がみられた。しかし、基本的に国公立大志向が根強いことを見越し、合格者を大幅に増やす大学もみられ、その影響からか、入学手続率は全体的に13年よりも低下した模様だ。
 大都市圏(首都圏、京阪神)とその他の地区に分けて集計すると、京阪神地区は3.7倍で前年並みだったが、首都圏は4.0倍→3.9倍、東海などその他の地区も2.6倍→2.5倍に低下した。ただし前述の通り、首都圏では2月中旬の大雪の影響で大量の欠席者が出たため、3月に救済措置の追(再)試験を行う総合大学が続出。その結果次第で、さらに倍率が変動しそうだ。
 以下、おもな大学で倍率が比較的大きく変動したケースを紹介する(*は「志願者÷合格者」、その他は実質倍率。おもに2月入試の集計)。

[1]倍率アップ 北里大4.3倍→4.7倍、慶應義塾大4.9倍→5.1倍、明治学院大2.7倍→2.9倍、愛知大2.9倍→3.2倍、京都産業大3.9倍→4.9倍、近畿大4.7倍→4.9倍、摂南大3.5倍→4.7倍、神戸学院大2.2倍→3.0倍
 [2]倍率ダウン 亜細亜大3.6倍→3.1倍*、東京農業大4.9倍→4.2倍、日本女子大3.2倍→2.9倍、南山大2.6倍→2.1倍、佛教大4.1倍→3.5倍、関西大4.7倍→4.3倍

 このうち、慶應義塾大は「受験者1%減、合格者5%減」、愛知大は「受験者7%増、合格者3%減」、京都産業大は「受験者5%増、合格者15%減」と、昨年より少なめに合格者を出し、学部・方式等によってはやや難化した模様。一方、南山大では「受験者4%減、合格者19%増」、関西大は「受験者1%減、合格者9%増」と合格者を多めに出し、やはり学部・方式等によってはやや易化したものとみられる。

 

ボーダーライン付近は激戦。明暗を分ける1点の重み

 受験生の中には、ふだん「1点の差」を気にも留めない人がいるだろう。しかし、入試本番では、その「1点」が大切なのだ。
 グラフ7に、関西大学商学部の2月一般入試(学部個別日程と全学部日程の合計)の14年入試結果から、合格ライン付近の上下10点幅の人数分布を示した。受験者7,321人、合格者1,149人で倍率は6.4倍。合格最低点は450点満点で285点(得点率63.3%)だった。
 注目すべきは、最低点を含めた「上10点幅」の部分で、ここに合格者全体の約28%が集中する。最低点ぴったりのボーダーライン上にいるのは31人。高校の1クラス分に近い人数だ。わずか1点差での不合格者も44人、10点差以内の不合格者は400人もいる。合格ライン付近は、同じ得点帯の中に、多くの受験生がひしめき合っているのだ。
 たった1つのケアレスミスが命取りになり、合否が入れ替わるのが「入試本番」。ふだんの勉強から解答の見直しを習慣づけよう。

グラフ7.ボーダーライン付近の人数分布


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一般入試と同じく「ネット割効果」で、京阪神の公募制推薦が志願者大幅増。京都産業大・大阪工業大などが難化か


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 一般入試に先立って行われた「公募制推薦」とAO入試。旺文社の集計では、公募制推薦は「志願者7%増、合格者2%増」で倍率アップ、AO入試は「志願者・合格者、倍率とも前年並み」との結果が出た。公募制推薦では、京阪神地区で「ネット割効果」による志願者大幅増が目立った。


推薦では経済・国際など文系が志願者増、“理系人気”も継続

グラフ8.私立大公募制推薦入試 地区別/志願者・合格者動向、グラフ9.私立大公募制推薦入試 おもな学部系統の志願者・合格者動向 私立大の公募制推薦について、14年入試結果の調査を行ったところ、昨年12月末現在の集計データ(153校:志願者数=約17万2千人)では、前年度に比べ志願者数は7%増えたが、合格者数は2%増に留まったため(グラフ8)、全体の倍率(ここでは志願者数÷合格者数。AO入試も同じ)は、13年2.6倍→14年2.7倍とややアップした。
 地区別に見ると、「学科試験中心、併願可」で推薦志願者全体の7割超を占める京阪神地区で志願者が大幅に増加(10%増)したが、合格者は4%増とやや絞り込まれた。一方、「小論文・面接中心、専願」が主流の首都圏をはじめ、他地区はやや志願者が減少した。
 京阪神地区で志願者が増加したのは、15年新課程入試を翌年に控えた「後がない」意識から、「より早く確実に」合格を決めたい意向が強まったことが背景にあるのは確かだ。しかし、直接の起爆剤となったのは、一般入試と同様、やはり「ネット出願」、そして「ネット割」の相次ぐ導入であろう。
 同地区では、ネット割を新規実施した大阪工業大(2.5倍→3.1倍)・摂南大(2.3倍→2.9倍)・神戸学院大(2.0倍→2.6倍)や、すでにネット割を導入済みの京都産業大(3.6倍→4.1倍)などで、志願者増による倍率アップが目立った。この他にも、関西外国語大(2.9倍→3.4倍)・武庫川女子大(4.9倍→5.8倍)などで倍率がアップ。志願者減で倍率がダウンしたのは、京都女子大(3.8倍→2.9倍)・大阪産業大(1.8倍→1.4倍)など少数に留まり、同地区はネット割の実施校を中心にやや難化したといえる。
 この他、京阪神以外のおもな実施大学では、法政大(2.0倍→1.7倍)・立教大(2.9倍→2.5倍)・愛知淑徳大(2.1倍→1.5倍)などの倍率ダウンが目立つところ。
 学部系統別(グラフ9)にみると、理系人気、特に“理系の資格志向”が続き、理工、医、薬が大幅に増加、医療・看護も増加した。一方、就職事情の若干の好転を受け、推薦入試の段階では経済系など文系学部もやや増加したが、中でも国際関係・外国語の大幅増が目立った。


AO入試は、志願者・合格者ともに前年並みで倍率も安定

 AO入試は、学部募集を行った全私立大の約8割で実施された。ここ数年と同様、実施学部等の減少や募集枠縮小などの“AO離れ”(例:立命館大‐経済で廃止/帝京大で募集回数を3→2回に削減)も進んだが、昨年12月末現在の集計(110大学:志願者数=約2万2千人)によると、志願者・合格者のいずれもほぼ前年並みで、倍率も13年・14年ともに1.8倍となり、全体としては安定していた。
 おもな実施大学(原則として志願者300人以上)の倍率の変動を見ると、昭和女子大(1.7倍→2.5倍)の倍率アップ、成蹊大(4.2倍→2.6倍)、愛知淑徳大(2.2倍→1.8倍)、福岡大(4.4倍→3.8倍)の倍率ダウンが目立った。
 また学部別に見ると、獨協医科大‐医(7.3倍)、金沢医科大‐医(14.6倍)、愛知学院大‐心身科学(5.1倍)、名古屋学院大‐商(5.5倍)、同志社大‐商(5.6倍)、関西大‐社会(6.0倍)・人間健康(7.5倍)、近畿大‐文芸(5.3倍)、四天王寺大-教育(13.6倍)、畿央大‐健康科学(7.9倍)・教育(7.0倍)で高倍率の激戦となった。


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15年の私立大入試はここに注目!
理科を基礎科目で受けられる理系も。看護学部・学科が新設ラッシュ!


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 いよいよ「新課程入試」がスタート、特にセ試利用入試の理科は、科目・方式とも大きく変わる。文系は「基礎2科目または発展1科目」、理系は「発展1~2科目」選択が主流だが、理系でも医療・看護は基礎2科目で受験できるケースが多い。
 この他、大都市中心部へのキャンパス移転や、看護系の新設ラッシュが注目される。

 

独自入試の理科の科目指定は、理工など「基礎+発展」が主流

 ここからは、私立大の15年新課程入試について、変更点の一部を紹介する。まず、科目や実施方法が大きく変わる理科について、3月中旬までに公表された科目指定状況から、学部系統ごとの特徴を見ていこう。なお文中、理科で基礎を付した科目を「基礎科目」、付していない科目を「発展科目」と表示した。
【独自入試】独自入試で理科を課す(または選択可能な)、理系の各学部系統の特徴をみると、理工、農、歯、薬は「基礎+発展」から1科目選択(薬では半数の大学が「化学基礎+化学」を指定)、医は同じく2科目選択が一般的だ。
 医療・看護や栄養系は、大学によって「基礎1科目」「基礎2科目」「基礎+発展1科目」「基礎2科目、または基礎+発展1科目」と選択パターンが分散するが、半数近くが「基礎から1科目」としている。ただし、そうした大学でもセ試利用入試は「基礎2科目選択」としているので、学内併願を考える時は注意したい。
 発展科目の出題範囲まで指定する大学では、物理から「原子」、化学から「高分子化合物の性質と利用」を除外するケースが比較的多い。
【セ試利用入試】私立大文系学部で理科を課すか、または選択可能な場合、科目指定は「基礎から2科目、または発展から1科目選択」が一般的。ただし、青山学院大‐法、明治大‐文・商など基礎科目を選択できないケースもある。
 理系学部の場合、理工、農、歯、薬は「発展から1~2科目選択」、医は「発展から2科目選択」が一般的。また、医療・看護や栄養系は「基礎から2科目、または発展から1科目選択」が多く、特に看護志望者にとって「化学基礎+生物基礎」は有効なセットになりそうだ。その他、理工・農・薬にも基礎2科目で受験できる大学があり、中には麻布大‐獣医のように「化学基礎、生物基礎」と指定するケースもある。

 

上智大で全学部統一日程の「TEAP利用型入試」を導入
 新課程への移行に伴う変更以外の、注目すべき変更点も紹介する。詳細は、5月以降に各大学から発表される「入試ガイド」や案内パンフレットを取り寄せ、必ず確認してほしい。
(1)大学・学部等の新設・改編
 「幸福の科学大学」が千葉県に、「湘南医療大学」が神奈川県に、「鳥取看護大学」が鳥取県に新設される予定(いずれも仮称)。
 学部・学科の新設は医療・看護系で目立つ。特に看護の新設予定は、上記の湘南医療大・鳥取看護大をはじめ、東京純心女子大(東京純心大に名称変更予定)・神奈川工科大・日本福祉大・同志社女子大・武庫川女子大など10大学以上に及び、「看護ラッシュ」の様相を呈している。また、教員養成系、国際系の増設予定も目立つ。
 この他には、龍谷大の農学部新設、関西学院大‐理工の3学科増設(先進エネルギーナノ工、生命医化学、環境・応用化学)も注目される。
(2)キャンパスの新設・移転
 立命館大は京都・大阪間(大阪府茨木市)にキャンパスを新設、政策科学部が京都市から、経営学部が滋賀県草津市から移転する。
 また、北海道薬科大‐薬(小樽市→札幌市)、大妻女子大‐家政・文(1年次:埼玉県入間市→東京都千代田区)、南山大‐理工(1年次:愛知県瀬戸市→名古屋市)、龍谷大‐国際(国際文化を改編する予定。滋賀県大津市→京都市)など、大都市の郊外から中心部へのキャンパス移転を予定するケースが目立つ。
(3)推薦・AO入試の変更
 亜細亜大で「グローバル人材育成入試」を、経済・経営・国際関係の3学部で新規実施。入学後に海外インターンシップへの参加が必須となる。一方、中央大‐総合政策、関西学院大‐理工(生命科学)などで公募推薦を廃止。東京薬科大‐生命科学、日本大‐文理(地球システム)、南山大‐人文などでAO入試を廃止する。
(4)一般入試の変更
 上智大では、全学部統一日程「TEAP利用型入試」を新規実施する。英語の試験を実施せず、アカデミック英語能力判定試験(TEAP:下記の説明を参照)の受験が必須。各学科で設定する基準点以上で出願可能だが、得点の高低は合否に影響しない。試験当日は共通問題で英語以外の2教科を受験し、理工は学科同時併願でき、他7学部も指定の選択科目が同じ場合、複数学科に同時併願できる。募集人員は、各学部・学科の定員の1~2割程度の予定。
 国際基督教大ではB方式を新規実施(従来型はA方式に)。「1次=総合教養・英語、2次=面接」で選抜するが、英語は外部検定を利用する。また、明治大‐経営が「学科別募集→学部一括募集」に移行し、セ試利用入試に3科目方式を追加(従来は4科目方式のみ)する。

 

●TEAPとは?
 TEAP(Test of English for Academic Purposes)とは、上智大と日本英語検定協会が共同開発した、大学で学習・研究を行う際に必要とされる総合的な英語運用力(英語で資料や文献を読む、講義を受ける、意見を述べる、文章を書く、など)を測定するテスト。「読む、聞く、話す、書く」の4技能で構成され、レベルは英検準2級~準1級程度とされる。14年は、年3回(7・9・12月)、全国7都市(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡)で実施し、複数回受験が可能。14年のみ、7月が「リーディング、リスニング」で実施、9月から「ライティング」、12月から「スピーキング」も実施(後の2技能は東京・名古屋のみ実施)。上智大のTEAP利用型入試では、14年は「リーディング、リスニング」のみ利用する。

 

(文責/小林)

この記事は「螢雪時代(2014年5月号)」より転載いたしました。


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