私立大の 2023 年入試ガイドがほぼ出そろった。「コロナ禍」が続く中、私立大一般選抜の何が変わるのか、どのような大学・学部・学科が新設されるかを紹介する。
※この記事は「螢雪時代(2022年9月号)」の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)
人気校の変更点を総まとめ!
共テ利用方式の複線化と英語外部試験の新規利用、情報・教育の新設が目立つ
共通テストのさらなる難化が
私立大の志願動向にも影響か
『螢雪時代』編集部では、全国の私立大から2023年(以下、23
年。他年度も同様)入試の概要(科目・配点、募集人員、日程など)を掲載した「入試ガイド」を集めた。ここでは、主に全国各地区で志願者数の比較的多い大学の入試ガイドをもとに、22年から変更され、志望動向に影響しそうなポイントを、一般選抜、つまり独自入試と共通テスト(以下、共テ)利用方式を中心に紹介する。
『螢雪時代』付録『2023年 全国私立大学
入試科目・配点一覧』、その見方をわかりやすく解説した記事とあわせて活用し、志望校の入試情報をつかみ、得意科目を生かせる効率的な受験対策や併願作戦を立てよう。なお、詳細は各大学の入試ガイドや募集要項を必ず入手し、確認してほしい。
また、新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)が収束せず、入試本番の時期まで影響が及ぶ可能性がある。各大学のコロナ禍対応(追試験など実施方法・日程等の変更)については、各大学のホームページで随時発表される情報を必ず確認してほしい。
* * *
23年入試は、21年の「入試改革」と、25年の新課程入試(現在の高校1年生が学ぶ新カリキュラムに基づく入試)のちょうど中間年度で、大規模な変更のない「無風期」といえる。こうした時は、共テの平均点のアップ・ダウンや、前年の入試結果(志願者増減や倍率アップ・ダウン)の反動が最大の変動要因となりそうだ。
かつての共通1次試験やセンター試験のように、導入3年目の共テはさらに平均点ダウン(=難化)が予想される。一方、私立大の22年入試では、学校推薦型・総合型選抜も一般選抜(特に大学の独自入試)も、合格者増で易化したため、難関校への「チャレンジ志向」が続く一方、中堅校については学校推薦型・総合型選抜で「早く確実に」決める傾向が強まるものと見られる。
このため、23年私立大一般選抜は、共テ利用方式が敬遠され、独自入試に志願者が流れそう。また、大都市圏のブランド校とそれ以外の大学で、志願状況の二極化が見られそうだ。
早稲田大‒ 教育の共テ新規利用、
上智大・甲南大の変更が影響大!?
①共テ利用方式の複線化
一般選抜の変更を俯瞰すると、共テ利用方式に関する変更が目立つ。最注目は早稲田大‒教育の共テ利用方式の新規実施。主たる実施方式(C方式)は共テ科目数の多さ(7~8科目)、個別試験との併用、2段階選抜など、国立大志望者向きの重量級入試で、共テ受験後も出願できるため、低倍率で「穴場」になる可能性がある。
【科目数による新方式】既存の実施学部では、従来と異なる科目数の方式を導入するケースが目立つ。青山学院大‒ 法の5科目型、同‒総合政策・社会情報・コミュニティ人間科学の4・5科目型や、関西外国語大(共テ利用前期)の5科目型、近畿大‒経済(同)の5教科7科目型など、多科目型の導入が多い中で、上智大は3教科型を追加(従来は4教科型のみ)。私立大専願者向きのタイプとして人気を集めそうだ。
【共テ併用型】各大学の独自入試と共テの成績を組み合わせて合否判定する「独自・共テ併用」方式の導入は、東京都市大の一般前期「理工系探求型」、関西外国語大の一般前期「共テプラス方式」が目立つ程度。一方、東京薬科大では併用型のS方式を廃止し、独自入試のB方式Ⅱ期を新規実施。日本大‒理工でもCA共テ併用方式を廃止する。
【その他】大東文化大が共テ利用前期で基準点型(各学科指定の基準点を超えれば合格)を導入、亜細亜大(後期)、清泉女子大(中期・後期)などで募集回数を増やす一方で、杏林大‒医・保健では共テ利用後期を廃止する。他には、京都産業大が共テ利用方式の英語で、リーディング・リスニングの配点比率を「1:1→4:1」に変更、前者の比率を高めたのが注目される。
②独自入試の募集回数増
各大学の独自入試では、試験日や募集回数の増加が目立つ。学習院大‒法でプラス試験(他学部のメイン試験日に共通問題で実施)を追加、成城大の学部別選抜(A方式)で全学部・学科の試験日を複数化、甲南大が一般中期を新規実施。また、日本大‒ 芸術・理工・工・薬・生物資源科学(獣医)がN全学統一方式2期に新規参加。いずれも志願者増の要因となりそうだ。
③英語外部検定利用の拡大
独自試験や共テの英語の代わりに(または併用し)、英語外部検定を利用する方式の導入も目立つ。主な新規利用例としては、東京経済大・東京電機大の一般後期、日本大‒ 商のA方式1・2期、法政大‒経営の「英語外部試験利用入試」、甲南大の一般前・中期の「外部英語試験活用型」が挙げられる。また、芝浦工業大の一般後期で個別試験の英語を廃止し、共テ利用または英語外部検定利用で代替。一方、北海学園大の一般選抜で英語外部検定利用を廃止する。
④キャンパス新設&移転
中央大では東京都心(文京区)に「茗荷谷キャンパス」を新設、法学部を東京都八王子市のキャンパスから移転する。利便性向上で志願者増は必至。首都圏の「台風の目」となりそうだ。
また、東北学院大では仙台市中心部に、従来のキャンパスに加え「五橋キャンパス」を新設。2学部を郊外キャンパスから移転し、全学部・学年を集約する。教養学部の改組(4学部に分割)もあり、志願者増が見込まれる。
⑤学費や受験料の減免
関西医科大では23年度入学者から、医学部の初年度学費を「570万円→290万円」に減額。医学部志望者には朗報といえる値下げだ。
コロナ禍対応で受験生の経済面を支援する施策を、23年入試でも引き続き行うケースが見られる。吉備国際大・九州保健福祉大の全学部・学科、全入試で受験料免除を継続。千葉工業大でも共テ利用方式の受験料免除を継続する。
ここポイント!
大きな変更点が少ない「無風期」
中央大‐法や、東北学院大、上智大、
成城大、甲南大が「台風の目」に!?
主な変更点は何か?
●変更点一覧の見方
文中、共通テストは「共テ」と略。「独自・共テ併用」は、共テの成績と大学の独自試験を組み合わせた方式。学部・学科名は原則として略称とし、例えば「医(看護)」のように記載。入試方式・日程等も略称とし(例:一般選抜前期日程→一般前期、共テ利用入試前期→共テ利用前期)、変更点は「22年→23年」で表記した。また、誌面の都合上、学科単位の変更や、ほぼ変更のない大学は、原則として割愛した。
◎英語外部検定利用の表記について
出願資格=大学(学部・学科)が指定する基準(スコア・級)をクリアすれば出願でき、あとは英語以外の科目を受験し、その得点で合否が決まる(単に出願資格の場合もある)。
得点換算=大学(学部・学科)が指定する基準(スコア・級)をクリアすれば、英語を満点(または一定の得点)と見なして換算する。その他の入試科目の得点と合算し、合否を判定。
加点=スコアや級ごとに設定された得点に換算し、満点を超えない範囲で合計点に加える。共テや大学独自で実施する英語の受験が必要。
北海道・東北~関東・甲信越
上智大の共テ利用方式で
新たに3 教科型を追加!
●北海学園大
人文1・2部、経営1・2部の一般選抜で英語外部検定利用を廃止。
●東北学院大
①仙台市中心部に、従来の土樋キャンパスに加え、五橋キャンパスを新設し、文・法・経済・経営の1・2年次、教養(4学部に分割予定)の全学年を泉キャンパスから、工の全学年を多賀城キャンパスから移転する予定。/②教養学部を改組し、地域総合・情報・人間科学・国際の4学部を開設予定(下図も参照)。
●千葉工業大
①SB日程を新規実施。B日程と同日・別時間で実施し、同時併願可。総合問題(数学・国語)で判定。/②共テ利用後期を3方式に複線化(タイプⅠ=2教科方式、Ⅱ=数理3科目方式、Ⅲ=4教科方式)。/③21・22年に続き、共テ利用の受験料免除を継続(コロナ禍対応)。
●青山学院大
①共テ利用入試で、文(史学)が6科目型、法が5科目型、総合文化政策・社会情報・コミュニティ人間科学が4科目型・5科目型を追加。/②理工の個別学部日程B方式(共テ併用)で共テを4→1科目に軽減(数学・理科を除外)。/③地球社会共生の個別学部日程(共テ併用)で共テを3→2科目に軽減(国語が必須→選択)。
●亜細亜大
全学部で共テ利用後期を新規実施。
●大妻女子大
家政(被服、児童)・文(日本文、英語英文)の共テ利用B方式Ⅰ期で3科目型を追加。
●学習院大
法の一般選抜でプラス試験(他学部のメイン 試験日に共通問題で選抜を実施)を新規実施。
●共立女子大
家政(食物栄養=管理栄養士)、看護以外の全学で、一般2月日程の試験日を1→2日間に増加し、試験日自由選択制を導入。
●杏林大
医・保健で共テ利用後期を廃止。
●駒澤大
医療健康科学で一般3月T方式を廃止。
●実践女子大
共テ利用Ⅰ期3科目型で外部試験利用方式を新規実施(英語外部検定利用。得点換算)。
●芝浦工業大
一般後期で個別試験の英語を廃止し、共テ利用または英語外部検定利用に移行。
●上智大
共テ利用方式で3教科型を新規実施。
●昭和大
医の一般Ⅰ期で歯学部併願入試を廃止。
●成城大
学部別選抜(A方式)の全学部・学科で、試験日を複数化(1日→2〜3日)。同一学部・学科も受験可。
●聖心女子大
一般選抜で総合小論文方式3月期を新規実施。
●清泉女子大
①一般A日程(全学統一方式)を新規実施(1/29)。/②共テ利用中期・後期を新規実施。
●専修大
①経済(現代経済、生活環境経済)の一般前期(学部個別)でB方式(選択科目重視)を新規実施。/②商(マーケティング、会計)の一般前期で、従来のB方式(得意科目重視)を、B方式(選択科目重視)・C方式(英語重視)・D方式(国語重視)に分割実施。
●大東文化大
共テ利用前期で「基準点型」を新規実施(各学科指定の基準点を超えれば合格)。
●拓殖大
共テ利用で英語外部検定を新規利用(得点換算)。
●玉川大
①全学統一入試前期の試験日を「1→4日間」に増加し、試験日自由選択制を導入。一方、学部別入試を廃止。/②英語外部試験スコア利用入試を新規実施(得点換算)。
●中央大
①法学部を「東京都八王子市→同文京区」にキャンパス移転する予定(茗荷谷キャンパスを新設)。/②総合政策の一般方式で、国語の出題範囲から古文を除外。
●津田塾大
学芸(数学)のB方式で共テを4→3科目に、C方式で共テを5→4科目に軽減。
●帝京大
①一般Ⅲ期の試験日を「3/5・6→3/11・12」に変更。/②理工の一般選抜で数学Ⅲを除外。
●東海大
①医・体育・教養(芸術=専門試験型)を除く全学の一般選抜で、試験日を3→4日間に増加。/②体育・医(看護)で共テ利用後期を新規実施。
●東京経済大
①一般前期で2教科型の実施方法を、配点による「得意科目2倍方式」に変更。/②一般後期で英語外部検定を新規利用(得点換算)。
●東京工科大
医療保健の共テ利用前期と応用生物・デザインの共テ利用前・後期で2科目型を追加。
●東京電機大
①一般前期(英語外部試験利用を含む)で試験日1日あたり、最大4学科・学系まで併願可に(従来は1学科・学系のみ)。/②一般後期で英語外部検定利用枠を新設。
●東京都市大
理工(自然科学以外)の一般前期で、独自・共テ併用の理工系探究型を導入。共テ2教科と探究総合問題を課し、入学手続時に所属学科を選択。
●東京薬科大
薬で共テ・独自併用のS方式(3科目)を廃止し、B方式Ⅱ期(独自2科目)を新規実施。
●東京理科大
創域理工(数理科学、電気電子情報工)でS方式を新規実施する(数理科学=数学・英語、電気電子情報工=数学・物理・英語)。
●東洋大
①福祉社会デザイン・健康スポーツ科学の2学部を赤羽台キャンパス(東京都北区)に開設予定(ライフデザイン学部を募集停止予定)。/②文[イブニング](教育、日本文学文化)の一般前期で3教科均等配点型を新規実施。/③経済[イブニング]の一般後期で2教科均等配点(英・数)型を新規実施。/④国際(グローバル・イノベーション)の共テ前期で3教科英語重視型を新規実施。/⑤理工(機械工)の共テ前期で5教科均等配点型を新規実施。
●日本大
①芸術・理工・工・薬・生物資源科学(獣医)でN全学統一方式2期を新規実施。/②商のA方式1・2期で英語外部検定を新規利用。/③芸術でA方式2期を廃止。/④芸術(文芸)のA方式で「小論文または作文」を除外。/⑤国際関係でA方式3期を新規実施。/⑥生物資源科学のA方式で学外試験場を削減。1期で2会場(盛岡・岡山)、2期で11会場(札幌・盛岡・水戸・宇都宮・高崎・千葉・八王子・新潟・長野・静岡・岡山)を廃止。/⑦文理(地球科学)のC共テ利用方式1期で4→3科目に軽減。/⑧文理(中国語中国文化)でC共テ利用方式2期を廃止。/⑨理工でCA共テ併用方式を廃止。
●法政大
①経営で英語外部試験利用入試を新規実施(出願資格)。/②スポーツ健康の共テ利用でC方式(5教科型)を新規実施。
●立教大
スポーツウエルネス学部を開設予定。
●立正大
全学部一般選抜のR方式を対象とした給付奨学金制度「立正大学チャレンジ奨学生」を新設。希望者には試験当日に小論文を課す。
●早稲田大
①教育で共テ併用のC方式とD方式(D方式は生物学専修のみ)を新規実施、初等教育学専攻と生物学専修で独自入試のB方式を廃止(生物学専修は共テ併用のみに)。募集人員は学部合計でC方式120人・D方式10人、独自入試A・B方式を560人→520人に削減。C方式は共テが学科により7〜8科目、個別試験(1科目)は学科により「教育・社会・複合文化=総合問題、国語国文=国語、英語英文=英語、理=理科、数学=数学」。共テによる2段階選抜を実施(予告倍率=募集人員の約8.0倍)。D方式は共テ5科目、個別試験は理科、2段階選抜は行わない。/②教育のA・B方式で外国語のドイツ語・フランス語を共テ利用とし、政治・経済、生物、地学を選択から除外。
●麻布大
①獣医(獣医)の一般Ⅰ期で試験日を「1→2日」に増加。A日程(1/28実施。3科目選択)を新規実施。/②獣医(獣医)の一般Ⅰ・Ⅱ期で、同(動物応用科学)への第2志望制を廃止。/③生命・環境科学の一般Ⅰ期で125人→95人に募集人員減(総合型を新規実施)。
●神奈川大
理学部を「神奈川県平塚市→横浜市神奈川区」にキャンパス移転する予定。
北陸・東海~九州
関西医科大– 医で学費を減額
甲南大で一般中期を新規実施
●愛知学院大
①健康科学部を開設予定。/②歯の一般前期A・中期・後期で小論文を除外。
●金城学院大
薬の一般前期で「複数日評価型」を新規実施。
●椙山女学園大
看護の一般入試Aで2教科型を新規実施(従来はプラス共通テスト型のみ)。
●中京大
後期F方式の学外試験場で富山・岡山を廃止。
●中部大
理工学部を開設予定。
●藤田医科大
医の一般入試の募集人員を「前期一般枠73人→78人、後期一般枠10人→5人」に変更し、成績優秀者奨学金対象枠を「一般後期・共テ利用後期→一般前期」へ移行。
●鈴鹿医療科学大
①薬の一般A日程で2科目受験型を新規実施。/②共テ利用前期の2科目判定型で傾斜配点(最高得点科目を1.5倍)を導入、同中期を廃止、同後期で調査書点数化を追加。
●京都産業大
共テ利用で、英語のリーディング・リスニングの配点比率を「1:1→4:1」に変更。
●京都女子大
一般前期の学外試験場で大阪(難波)に増設。
●京都橘大
①総合心理学部を開設予定。/②一般前期A〜C日程と後期で英語外部検定を新規利用(得点換算。高得点利用)。
●立命館大
①総合心理で学部個別配点方式(理科1科目型)を廃止し、理系型3教科方式を導入。また共テ方式(2・3月選考)で3教科型を追加。/②産業社会の共テ併用方式(3教科型)と共テ方式(3教科型)で、共テの国語を必須科目として追加。
●追手門学院大
一般前期で地歴公民重視型・英語重視型を廃止する。
●大阪医科薬科大
薬で共テ利用後期を新規実施。
●大阪経済大
①経済学部で地域政策学科を募集停止する予定。/②次の4学部で定員増を予定(経済600人→680人、経営1部510人→630人、情報社会250人→300人、人間科学175人→200人)。/③経営2部で110人→50人に定員減の予定。
●大阪工業大
知的財産では、合否判定の科目数を前期A日程で3→2科目、AC日程で共テ・独自各3→2科目に変更。
●関西大
①総合情報の全学日程1で、2/1は2教科選択型を2教科型(英国方式・英数方式・国数方式)に分割、2/3に英数方式を新規実施。/②システム理工・環境都市工・化学生命工の全学日程2で、3教科型(理科設問選択方式=理数重視)を新規実施。/③経済の共テ併用で、2科目型(小論文<公民>)を新規実施。/④人間健康の共テ併用で、2科目型(英語)を2/4に新規実施。/⑤環境都市工・化学生命工の共テ併用(数学力重視方式、理科力重視方式)で、共テの理科を2→1科目に軽減。/⑥化学生命工の共テ利用後期で理科2→1科目に軽減。
●関西医科大
①23年度入学者から、医学部の6年間の学費総額を「2,770万円→2,100万円」に、初年度学費を「570万円→290万円」に減額。/②医・看護・リハビリテーションの一般選抜で小論文を除外。
●関西外国語大
①共テ利用前期で5科目型を追加。/②一般前期で共テプラス方式(独自・共テ併用)を新規実施する。
●近畿大
①経済の共テ利用前期で5教科7科目型を追加。/②理工の共テ利用中期で4→3科目に軽減。/③生物理工の一般前期B日程で学部独自方式(3科目受験、数理2科目判定)を導入。スタンダード方式との併願時のみ出願可。
●関西学院大
①神・文・社会・法・商・人間福祉・国際・教育・総合政策の「共テ併用型・英語」で、共テの選択に英語を追加し、「いずれか高得点の2科目」に統一(国語を必須→選択に)。/②社会・法・商・総合政策の「共テ併用型・数学」で、英語を必須→選択に。/③社会で共テ併用の英語・数学型を廃止。/④共テ利用1月出願(英語資格・検定試験利用)で、英語を「免除→課す」に変更し、出願資格を「CEFRB2→B1」に緩和。/⑤教育(初等教育学)の全学部日程で主体性評価方式(理系型)、学部個別日程で主体性評価方式を廃止する。
●甲南大
①一般選抜で中期を新規実施(2/9)。文系学部の国語は現代文のみ。/②一般前期3教科・2教科、一般中期で「外部英語試験活用型」を導入(得点換算)。/③フロンティアサイエンスの一般中期で2教科判定方式(3教科受験、学部・学科指定2教科で合否判定)を新規実施。
●神戸女学院大
文・人間科学の一般後期で「小論文→国語」に変更。
●兵庫医科大
薬・看護・リハビリテーションの一般前期で特定科目重視型を廃止。
●武庫川女子大
①一般B(中期)で3科目型を廃止し、2科目傾斜配点型を追加。/②看護の一般A(前期)で2科目型を追加。/③音楽の一般C(後期)で口頭試問を廃止。
●広島工業大
①一般A・B日程で文系科目受験型を廃止。/②一般C日程で「数学・英語→記述式総合問題」に変更。
●西南学院大
①国際文化で英語4技能利用型一般入試を新規実施。/②一般F日程で大阪会場を増設。
●第一薬科大
薬(薬)の共テ利用前・中・後期で面接を廃止。
●福岡歯科大
①一般A日程・共テ利用1期で学外試験場を新設(東京・大阪)。/②一般A日程で募集人員増(30人→35人)。
新増設の大学・学部等は? 京都女子大など12大学で 情報科学系を新増設予定
ここからは、全国の私立大(専門職大学を含む)について、23年度に新設予定の大学・学部・学科等(既存の学部・学科の組織改編を含む)を紹介する。
専門職大学の新設予定、大学の学部・学科の増設予定(認可申請分)、さらに学部・学科の改組・再編等に伴う増設で、4月末までに文部科学省に「設置届出」があったもの(6月末発表)を、下の添付ファイルに掲載した。
学問分野や教員組織等を大きく変えないなど、一定の条件を満たす場合に限り、文部科学大臣に届け出れば学部・学科等を増設できる(設置届出)。その他の学部・学科増設や、大学の新設には「認可申請」が必要で、最終的には8月末に正式認可される予定だ。
●専門職大学の新設
大学の新設予定はなく、専門職大学5校が開設を申請中(再申請を含む)。このうちハリウッド専門職大は、ハリウッド大学院大学の学部(学士課程)増設として申請されている。
●大学の統合
天理医療大学医療学部の設置者を天理大学に変更。天理大‒ 医療となり、天理医療大は廃止される予定だ。
●学部・学科増設(設置届出)
4月末までの届出分は、学部等の増設(既設学部の改組を含む)が日本女子大‒ 国際文化、神奈川大‒ 情報、同‒ 化学生命、関西外国語大‒国際共生など16大学19学部等、学科増設が20大学22学部31学科となった。
届出は12月まで随時受け付けられ、今回の掲載分は23年度の一部に過ぎない(5月以降の届出分の一部を前の「変更点一覧」に掲載)。
●学部・学科増設(認可申請)
認可申請したのは、学部増設が京都女子大‒データサイエンスなど12大学14学部、学科増設が3大学3学部3学科。今回の申請で、私立大の定員は1,140 人増える。
さらに、別途申請された定員増(約2,100 人)を加えると、私立大全体の定員は約3,200人増える(以上、専門職大学、通信教育課程と編入学定員を除く)。
この他、学部・学科とは別に「学部等連係課程実施基本組織」の申請も2大学であった。これは、学内の既存の学部等が連係し、学問分野横断型の教育プログラムを行うための組織だ。
●新設大学・学部・学科の特徴
分野別に見ると、順天堂大‒ 健康データサイエンス、東京都市大‒ デザイン・データ科学など、情報科学系の学部・学科の新増設が目立つ。申請・届出を合わせ12大学と多く、社会的ニーズが高まる一方の、同分野の勢いを感じさせる。また、看護・医療系も12大学と多いが、学科の統合も3大学含まれる。
この他、教育系(桜美林大・東京家政大・聖隷クリストファー大・千里金蘭大・尚絅大)や、共立女子大‒ 建築・デザイン、日本女子大‒ 国際文化、龍谷大‒ 心理、摂南大‒ 現代社会などの学部増設・改組、東京理科大‒理工の「創域理工学部」への名称変更などが注目される。
新設大学・学部・学科等の詳細は、案内パンフレットや募集要項などで必ずチェックし、不明の点は入試担当者に問い合わせてほしい。特に、申請時とは名称や定員が変更されている場合があるので、注意してほしい。
ここポイント!
情報科学系の新増設が目立つ
看護・医療系、教育系も多い
専門職大学5校が新設予定
2023年度私立大学の新設予定大学・学部・学科一覧(認可申請分+設置届出<4月分>)
(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2022年9月号)」より一部改変のうえ、転載いたしました。