入試動向分析

2020年度 推薦・AO入試結果速報
 【2020年4月】


私立大は指定校推薦とAOが大幅増。公募制推薦は合格者大幅増で易化!?

2020(以下、20)年度の推薦入試(21年から学校推薦型選抜)とAO入試(同じく総合型選抜)の実施結果を『螢雪時代』編集部が調査・集計(19年12月現在)したところ、国公立大のセンター試験(21年から共通テスト)を課さない推薦は「志願者2%増、合格者:前年並み」、国公私立大のAO入試は「志願者11%増、合格者2%増」で倍率アップしたが、私立大公募制推薦は「志願者:前年並み、合格者11%増」で倍率はダウンした。

※この記事は『螢雪時代・2020年4月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)


推薦入試(国公立大:センター試験免除)
国立・公立ともに志願者増でやや難化か

『螢雪時代』編集部では、国公立大のセンター試験(以下、セ試)を課さない推薦(セ試免除推薦)について、20年入試結果の調査を行った。19年12月24日現在(調査締切日)の集計(88校:志願者数=約1万9千人)では、志願者数は前年比で2%増。内訳は「国立大3%増、公立大2%増」となった(グラフ1)。その要因として、①国公立大志望者の「より早く確実に」合格を決めたい意識の強まり、②私立大志望者が一般入試の難化を警戒し、国公立大のセ試免除推薦・AOにも活路を求めた、などが挙げられる。
 大学別では、茨城大(17%増)・群馬大(6%増)・山口大(8%増)・都留文科大(15%増)・下関市立大(22%増)・北九州市立大(9%増)の志願者増、長崎大(13%減)・高崎経済大(10%減)・高知工科大(40%減)の志願者減が目立つ。
 一方、合格者数は国立・公立ともに前年並みで、倍率(志願者数÷合格者数。以下、同じ)は、国立大2.4倍→2.5倍、公立大2.2倍→2.3倍と19年よりアップ、やや難化したと見られる。
 学部系統別にみると、文、理工、医療・看護で志願者増が目立った。工学系人気と資格系人気の復活がうかがえる。

表2 東京大学「推薦入試」の概要はこうなっている!


推薦入試(私立大:公募制推薦)
龍谷大・近畿大・摂南大が倍率ダウン!

『螢雪時代』編集部では、私立大の公募制推薦の入試結果についても調査した。19年12月24日現在(調査締切日)の集計(127校:志願者数=約25万3千人)では、志願者数はほぼ19年度並みとなった(グラフ2)。一方で、指定校推薦の志願者(約1万人:46校)は前年比11%も増加した。
 公募制推薦は、ここ数年難化が続いた一般入試と、21年「新入試」を回避するため、受験生が流れ込むと予想されていた。志願者が増えなかった理由は、①19年の志願者18%増(前年同時期)の反動、②19年は大都市圏で合格者絞り込みが厳しく、そこで難化した大学が敬遠された、③「より早く確実に」合格するため、指定校推薦や、募集枠拡大が顕著なAO入試へ流れた、などが挙げられる。指定校推薦は、全体に成績上位者の利用率が高まったといわれ、北海学園大(12%増)・青山学院大(4%増)・西南学院大(14%増)などで志願者が増加した。
 地区別にみると、推薦志願者全体の8割超を占める京阪神地区が1%減、首都圏も1%減に対し、その他の地区は7%増。大都市圏の微減と、地方の増加が対照的だ。おもな大学では、次の志願者増減が目立つ。

表2 東京大学「推薦入試」の概要はこうなっている!


【首都圏】志願者増=青山学院大13%増・北里大12%増・神奈川大32%増 志願者減=亜細亜大31%減・東京農業大17%減・早稲田大11%減
【京阪神】志願者増=京都産業大6%増・京都女子大15%増・同志社女子大6%増・大阪工業大7%増・摂南大12%増・桃山学院大24%増・武庫川女子大29%増 志願者減=追手門学院大7%減・大阪経済大28%減・近畿大26%減
【その他】志願者増=愛知学院大18%増・愛知淑徳大20%増・名城大13%増・九州産業大6%増 志願者減=岡山理科大18%減・松山大12%減

一方、合格者数は前年比11%増と大幅増のため、私立大の公募推薦全体の倍率は19年4.0倍→20年3.6倍とダウン。特に、京阪神の大幅ダウン(4.8倍→4.1倍)が注目される。前年に合格者を厳しく絞り込んだ反動といえる。
 中でも、「志願者減、合格者大幅増」の追手門学院大(7.5倍→4.5倍)・近畿大(8.8倍→5.1倍)・大阪経済大(9.0倍→5.8倍)の倍率急下降が目立ち、易化したものと見られる。この他、龍谷大(6.1倍→5.4倍)・摂南大(4.1倍→3.5倍)の倍率ダウン、佛教大(4.2倍→4.7倍)・大阪工業大(3.6倍→4.0倍)・神戸学院大(3.9倍→4.3倍)の倍率アップが目立った。
 学部系統別にみると、ここ数年の難化傾向が敬遠され、社会・社会福祉を除く文系学部が志願者減、「文系人気」は収まった模様。一方、理系学部は薬を除き志願者増、「文低理高」となった。全般に合格者増で倍率ダウン(=易化)し、特に文・人文・教養、経済・経済・商の倍率ダウンが注目される(グラフ3)。

 2017年 私立大公募制推薦入試おもな学部系統の志願者・合格者動向

【AO入試】
 募集枠拡大が影響、志願者11%増!

19年12月24日現在の集計(146大学。国公立はセ試を課さないAO。志願者数=約3万7千人)ではAO入試全体で「志願者11%増、合格者2%増」と人気が高まった(グラフ4)。
 AO入試を導入・拡大する動きが活発だったことが、国公立・私立ともAO入試の志願者増につながった模様だ。前年に比べ、国公立大における実施学部数は「推薦479→480、AO260→285」、募集人員は「推薦1%増、AO7%増」と、AOの増え方が顕著。また、私立大では東京農業大が実施学部を「1→6学部」に拡大、志願者が約9倍に急増したのが注目される。
 国公立大が「志願者14%増、合格者12%増」で、倍率は3.5倍と前年並み。また、私立大は「志願者11%増、合格者:前年並み」で、倍率は2.2倍→2.4倍とアップした。私立大では公募制推薦と異なり、大学によってはやや合格者を絞り込む傾向が見られた。
 大学別では、東京農業大の他、東北大(18%増)・山口大(20%増)・高知工科大(239%増)・立教大(33%増)・早稲田大(56%増)・愛知淑徳大(24%増)・京都産業大(17%増)・立命館大(12%増)・関西学院大(13%増)の志願者増、横浜市立大(38%減)・東北学院大(15%減)・九州産業大(10%減)の志願者減が目立った。

 2017年 私立大公募制推薦入試おもな学部系統の志願者・合格者動向


難関国立大 推薦・AO入試結果


“エリート選抜”の結果が判明!合格者を絞った厳しい選抜が続く

国公立大のセンター試験(21年から共通テスト)を課す推薦・AO入試の結果も、続々発表されている。その中から、東京大・京都大・大阪大の合格状況をお知らせする。

 難関国立大で導入・拡充が進む推薦入試(21年から学校推薦型選抜)とAO入試(同じく総合型選抜)。「高大接続」を重視しつつ、世界的な大学間の競争が激化する中、思考力・表現力に富み、能動的に学ぶ突出した才能の獲得を目指す、 “エリート選抜”ともいえる入試だ。中でも、特に注目されるのが、東京大「推薦入試」、京都大「特色入試」、大阪大「世界適塾入試」で、いずれも2月上旬に合格発表があった。
 出願要件は、「科学オリンピック上位入賞者」や高度な語学力など“超高水準”。セ試(7~8科目)の基準点も、一般入試合格者に準じるレベル(東京大では概ね8割以上、医学科のみ約87%)が求められた。出願の際に、受験者がアピールする成果等について、膨大な提出書類によって証明を求められたのも共通している。

●東京大学「推薦入試」
 選考(2020年。以下、他の2大学も同じ)の流れは「1次選考(書類審査)→2次選考(面接が中心)→セ試」。科類別(文科一~三類、理科一~三類)募集でなく、学部・学科単位で募集。各高校からの推薦人数は男女1人ずつ。1~2年次は教養学部で学ぶ(志望学部・学科に対応した科類に所属)が、3年進級の時、優先的に志望学部・学科に進める。
 募集100人に対し173人が出願。最終的な合格者は73人で昨年より7人増えたが(表1)、募集人員の約7割に留まった。合格者に占める女子の割合は約45%と、前年(約42%)を上回って過去最高となり、関東地区以外の出身校の割合も約58%と前年(約56%)を上回った。

 2017年 私立大公募制推薦入試おもな学部系統の志願者・合格者動向

●京都大学「特色入試」
 学部・学科により、セ試を課す推薦・AO、セ試免除推薦、後期日程とスタイルが異なる。書類審査に加え、総合問題や論文など学部・学科の特性に応じた筆記試験の重要度が高い。提出書類「学びの設計書」は、高校生活を踏まえ、入学後の学びと卒業後の展望を受験者自身に計画させる。後期日程の法学部を除くと、募集138人に対し563人が出願し、107人が合格した(表2)。志願者5%増に対し、合格者は8%減少し、募集人員の8割弱に留まった。


 2017年 私立大公募制推薦入試おもな学部系統の志願者・合格者動向

●大阪大学「世界適塾入試」
 セ試を課すAOを6学部で、同じく推薦を5学部で実施。募集枠は定員の約11%と、東京大(約3%)・京都大(約6%)より規模が大きい。学部・学科により順序は異なるが、選考方法は「書類審査、セ試、小論文・面接・口頭試問など」。募集360人に対し、770人が出願し、最終的に221人が合格。東京大と同じく合格者が増えたが、募集人員の約6割に留まった。

 3大学とも例年通り、欠員が出ても基準を緩めず、合格者を絞る「少数精鋭」入試となった。


(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2020年4月号)」より転載いたしました。

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