入試動向分析

2020年 国公立大入試 志願者動向分析
 【2020年4月】

「ラスト・センター」の難化と推薦・AO人気で、“国公立離れ”が顕著に

2020年国公立大入試について、各大学・学部や学部系統などの人気度を示す「志願者動向」を分析する。2021年“新入試”でも、受験生の行動原理は変わらないので、参考にしてほしい。

※この記事は『螢雪時代・2020年4月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・訂正を施した)

2021年“新入試”への不安感に加え、センター試験の平均点大幅ダウンで、文理ともに“超絶安全志向”の弱気出願

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国公立大の志願者数は6%減、志願倍率は4.7倍→4.4倍とダウンした。国立大が7%減、公立大も5%減。全日程で減少したが、特に後期で顕著だった。2021年「入試改革」への不安感から、国公立大志望者が推薦・AOへ流れ、センター試験の平均点大幅ダウンが“国公立離れ”を加速させたとみられる。


国立大は7%減、公立大も5%減。全日程で減少、特に後期が減少

文部科学省の発表によると、2020年(以下、20年。他の年度も同様)の国公立大一般選抜の確定志願者数は439,565人で、19年に比べ6.4%減少(独自日程で入試を行う国際教養大・新潟県立大は集計に含まれない)。全募集人員(100,146人)に対する倍率(志願倍率)は19年4.7倍→20年4.4倍とダウンした(グラフ1)。4(6)年制大学の受験生数は前年比2.4%減(本誌推定)、センター試験(以下、セ試)の志願者数は3.3%減で特に既卒者が減った(5.9%減)ことも、国公立大の志願者減の素地となった。
 入試日程別に志願状況(グラフ2)と志願倍率の変化(19年→20年)をみると、前期は「6.0%減:3.2倍→3.0倍」、後期は「8.1%減:10.0倍→9.3倍」、公立大中期は「0.8%減:13.7倍→13.3倍」となった。募集人員の増減(前期0.1%減、後期1.4%減、公立大中期1.9%増)と比べても、前期・後期ともに減少幅が大きく、中期も予想外に集まらず、全日程で人気低下したことになる。
 また、国立・公立を日程別に比べても、前期は「国立6.0%減、公立5.8%減」、後期は「国立8.3%減、公立7.5%減」と、ほぼ同様に減少。後述するが、セ試の平均点が大幅にダウン(=難化)した。後期はセ試の比重が高い大学・学部が多いため“2次逆転”は難しく、後期での合格は厳しいと判断し、最後まで粘る気力が失われた様子が見て取れる。

グラフ1.大学受験生数と国公立大志願者数・志願倍率等の推移、表1.大学入試センター試験(本試験)科目別平均点


成績上位者が推薦・AOへ流出。セ試の数学と英語の難化が影響大

20年国公立大入試に影響を与えた要素は、大きくは「21年“新入試”に対する不安」と「セ試の難化」の2つに絞られる。

(1)21年“新入試”に対する不安
 ここ数年続いた、合格者絞り込みによる私立大の難化と、ランクダウンが招いた「安全校なき入試」に苦しんだ先輩たちの姿を見て、20年の受験生マインドは、もともと“超安全志向”とも言うべき状態だった。それに加え、21年「入試改革」を直前に控えた入試というプレッシャーが、さらに“超絶安全志向”ともいうべき状態に、受験生を追い込んだと見られる。
 21年からセ試の後継として導入される「大学入学共通テスト」(以下、共テ)では、予定されていた国語・数学の記述式問題の導入が見送られた。また、大学の代わりに大学入試センターが一括して英語外部検定の成績を管理・提供する「大学入試英語成績提供システム」の導入も見送られた。
 しかし、同じマーク式とはいえ、共テは思考力・判断力・表現力を問う新しい出題形式(複数正解、複数資料の読解、連動型問題など)が多く盛り込まれる。英語でも、リスニングが「全て2回読み→2回読みと1回読みが混在」に変わるし、入試における設定は各大学にまかされるが、リーディングとリスニングの配点が「100点:100点」となる(セ試では200点:50点)。
 共テのプレテストの難度の高さや、度重なる方針転換で混迷する「入試改革」の状況に接し、受験生の不安感が募ったことは想像に難くない。
 このため、浪人すれば共テを受けなければならない国公立大志望者に“現役志向”が過度に強まった結果、“超絶安全志向”ともいうべき状態に至ったと見られる。「より早く確実に」合格するため、私立大の指定校推薦や、募集枠拡大が顕著なAO入試へ流れた模様だ。実際、国公立大でもAO入試の拡大が目立った(実施学部数は「260→285」に増加、募集人員は7%増)。指定校推薦は、成績上位者の利用率が高まったといわれ、進学校で「国公立大志望の一般入試組が少なくなった」ケースもあるという。

(2)センター試験の難化
 国公立大人気低下のもう一つの要因が、最後となるセ試の平均点ダウンだ。全体に、複数資料の読解や長い説明文の読解など、21年の共テを意識した「思考力問題」を盛り込む出題傾向が見られた。科目別に見ると(表1)、物理、地理B、倫理などで平均点がアップしたが、数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B、化学基礎、生物、英語筆記・リスニングなどでダウン。特に、数学Ⅰ・Aの大幅ダウンと、数学Ⅱ・B、英語筆記のダウンが、文系・理系ともに大きく影響した。従来のパターン学習によるセ試対策を立ててきた受験生は、見慣れない初出の出題形式に対応できず、時間不足で得点を伸ばせなかった模様だ。
 このため、国公立大受験のセ試科目の標準となる、文系・理系に共通の5教科6科目(地歴・公民合わせて1科目として100点、理科1科目として100点の800点満点)の加重平均点(科目別平均点と受験者数から算出。ただし、理科基礎は2科目受験者の加重平均点で、追試を含む)を算出すると456.5点(得点率57.1%)で、前年に比べ19.8点もダウンした。
 数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B、英語という、文系・理系ともに受ける基幹科目が難化したため、ただでさえ“超絶安全志向”となっている受験生に、さらに冷水を浴びせる結果となった。国公立大への出願をあきらめるか、1~2ランクダウンする弱気な出願となった模様だ。


2019年国公立大入試日程別志願状況他

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文理ともに減少、相対的な「工学系人気」。筑波大など、難関~準難関校が軒並み減少。前期で2段階選抜の不合格者が減少!

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全国6地区とも減少したが、特に北陸・東海、関西、九州の減少が目立った。ほぼ全ての学部系統で減少し、特に経済・医・教員養成で顕著だったが、工は微減。難関~準難関校は敬遠され軒並み減少、特に筑波大、東京工業大の減少が目立った。文理ともに“超絶安全志向”が影響し、極端な前年の反動が至るところで見られた。


北陸・東海、関西、九州が大幅減。東北から関東への進出が鈍る!?

全国6地区の志願動向(グラフ3)を見ていこう。全地区で減少しているが、北陸・東海(8%減)、関西(8%減)、九州(10%減)が大幅減、関東・甲信越も6%減に対し、北海道・東北(4%減)と中国・四国(2%減)の減少が相対的に小幅に留まったことが注目される。
 各地区とも地元志向が強いので、基本的に地区内で出願が完結するのだが、周囲の地区へ影響が及ぶケースもある。受験生の流出入の関係性が高い「北海道・東北と関東・甲信越」「関西と中国・四国」の動きを見てみよう。
 関東・甲信越では、特に北関東の大学で志願者減が目立った。筑波大(12%減)をはじめ、茨城大(14%減)・宇都宮大(15%減)・群馬大(24%減)と大幅減の大学が並ぶ。それに比べ東北地区は、難関の東北大を除くと、福島大(3%増)が増加、岩手大(2%減)・秋田大(5%減)・山形大(5%減)も比較的小幅な減少だ。セ試の難化が影響し、東北地区から北関東への進出を見合わせたものと見られる。
 中国・四国の場合も、最大の要因はセ試の難化と前年の反動だ。島根大(25%増)・徳島大(15%増)へ、関西地区から理系受験生を中心に志望変更があった模様。従来から、セ試の平均点が低下した年は中国・四国への志望変更が増える傾向があり(平均点が上がると逆の流れになる)、20年はそれに該当する動きとなった。
 各地区のおもな大学に関する分析は、『螢雪時代』4月号掲載の「螢雪ジャーナル」をご覧いただきたい。


芸術・体育を除き全系統で減少。「工学系人気」で工は微減

次に学部系統別の志願状況を見てみよう(グラフ4)。芸術・体育が前年並みの他は、文理を問わず減少。特に、ここ数年の「文系人気」を担ってきた経済・経営・商、国際・国際関係の減少が目立つ。一方、理系でも医の大幅減をはじめ、軒並み減少する中、工は減少幅が小さく、相対的に見れば「工学系人気」といえる。
 教員養成は、教員を取り巻く環境の改善が進まず、人気低下に歯止めがかからない。関西地区の教員養成系4大学が、そろって大幅に減少(京都教育大26%減、大阪教育大13%減、兵庫教育大16%減、奈良教育大15%減)したのが象徴的だ。さらに、20年は宇都宮大・群馬大の教育学部が連携して設置した「共同教育学部」をはじめ、課程の統合、専攻の廃止や定員減も目立つ。一般入試の募集人員を見ても、全体の減少(280人減:0.3%減)に対し、教員養成系の減少(167人:1.7%減)が際立っている。教員養成系の場合、セ試の配点比率が高いことも、志願者減の要因と言えそうだ。
 医も、臨時定員増の期限切れで、国立11大学の医学部医学科で定員減を申請。特に旭川医科大‐医(医)は「107人→95人」、東北大‐医(医)は「135人→116人」、山形大‐医(医)は「120人→105人」と規模が大きく、募集人員を削減した旭川医科大‐医(医)の後期が志願者52%減、東北大‐医(医)の前期が29%減と大幅減、山形大‐医(医)の前期も4%減とやや減少した。さらに、鳥取大‐医(医)、広島大‐医(医)、福島県立医科大‐医の後期募集停止も、医学部系統の大幅減に結び付いた。
 医療・看護系は、19年開設の富山県立大‐看護、やはり19年に中期を新規実施した公立小松大‐保健医療が2年目の反動で激減するなど、公立大における前年の極端な反動が、志願者減の要因となった。

大阪大の後期募集停止の影響 併願先をどこに求めたか?


「前年の反動」や入試科目・募集人員の変更は要注意

大学・学部別の20年の志願状況を見るためには、次の4つのポイントを押さえておこう。これは、21年“新入試”の志望動向を予測する時にも、ある程度変わらないポイントだ。

①前年度の倍率アップダウンの反動
 受験生は前年の倍率を気にする。高倍率や倍率アップなら敬遠、低倍率や倍率ダウンなら人気を集めるため、前年の反動、さらには1年おきに増減を繰り返す“隔年現象”が起きやすい。
②入試科目の変更、科目数の増減
 入試科目数の増減、新方式実施、2段階選抜の廃止(導入)や予告倍率緩和(引き締め)など、負担の変化が志願者増減に結びつく傾向がある。21年入試なら、共テ英語のリーディング・リスニングの配点比率や、調査書等の点数化、面接の追加などが影響しそうだ。
③学部・学科の増設・廃止、募集人員の変更
 後期から前期へ(その逆も)募集人員を移したり、学部全体の募集人員が増減したりした大学・学部では、募集人員が増えた(減った)日程は志願者も増える(減る)ことが多い。また、学部・学科の新設や、新たに前・後・中期で入試を実施、あるいは後期(または前期)を募集停止したりする場合、周囲の大学・学部に対する影響は大きく、最大級の変動要因となる。
④他大学への「玉突き」
 志願者が急激に増えた(減った)大学・学部や、後期日程の廃止・縮小、新設大学・学部などがあると、近隣の大学や学内の他学部で、玉突きのように変動が起きるケースがある。

 具体例として、群馬大‐理工[昼]、大阪大‐医(医)、県立広島大‐地域創生のケースを紹介する(以下、【前】=前期日程、【後】=後期日程の略)。


例1:群馬大‐理工[昼]【前】
 群馬大‐理工[昼]【前】は学部の定員増に伴い募集人員増(266人→282人。→③)。前年(24%減)の反動(→①)もあり、志願者は12%増。宇都宮大‐工【前】(6%減)、埼玉大‐工【前】(13%減)などの減少に影響した(→④)。

例2:大阪大‐医(医)【前】
 大阪大‐医(医)【前】は、2段階選抜の予告倍率・ラインを「セ試900点中720点→630点、募集人員の約2.6倍→約3倍」に緩和(→②)。また、セ試・2次の配点比率を「500点:600点→500点:1500点」と、さらに2次重視(55%→75%)に高めた(→②)ため、2次逆転を狙う受験生の人気を集め、志願者は21%増。京都大‐医(医)【前】(7%減)、神戸大‐医(医)【前】(10%減)などの減少に結びついた(→④)。また、併願先だった鳥取大‐医(医)【後】の募集停止(→③)で、奈良県立医科大‐医(医)【後】への併願が増えた模様(→④)。志願者22%増となった奈良県立医科大‐医(医)【後】は、前年の14%減の反動も影響したと見られる(→①)。

例3:県立広島大‐地域創生【前】【後】
 県立広島大では、人間文化・経営情報の2学部を「地域創生学部」に統合(→③)。一般入試の募集人員を「前期123人→85人、後期40人→32人」に削減(→③)したため、前年の2学部合計との比較では、志願者が「前期40%減、後期65%減」と激減。広島市立大‐国際【前】(24%増)・同【後】(90%増)、福山市立大‐都市経営【後】(34%増)などに影響した(→④)。


志願者数最多は5年連続で千葉大。中堅校で極端な反動が目立つ

表2では、志願者数の多い順に、上位10大学を一覧にした。国公立の難関~準難関校が連なるが、“超絶安全志向”で志願者減が目立つ。
【難関校】志願者数で第4位の東京大(2%減)は微減ながら、最難関の理科3類が微増(2%増)、文科1類も前年並みと、難関大志望者からの人気は安定していた。また、第9位の大阪大(1%減)は、前述の通り医(医)【前】が2割増。一方、第7位の京都大(4%減)は、前期は2%減だが、法【後】(特色入試)の隔年現象(18年24%減→19年38%増→20年32%減)の影響が大きかった。この他、表2以外の大学も含めると、東京医科歯科大(増減なし)を除き、北海道大(6%減)・東北大(8%減)・東京工業大(9%減)・一橋大(6%減)・名古屋大(7%減)・神戸大(6%減)・九州大(4%減)と軒並み減少した。
 東北大は、経済【前】【後】を文系・理系入試に複線化、募集人員も変更(前期185人→165人、後期30人→40人)し、経済【前】が17%減。また、医<医>【前】は定員減に伴う募集人員減(105人→75人)が大幅減(29%減)に影響した。
【準難関校】志願者数が最も多い国公立大は、5年連続で千葉大だが、前年比4%減となった。教育【前】の2次負担増(学科試験を数学重視の「2→3教科」に増加)や、海外留学の必修化、授業料値上げ(535,800円→642,960円)などが影響したものと見られる。
 「首都大学東京」から名称変更した東京都立大は前年比8%減。前年の志願者4%増の反動に加え、旧称に戻したインパクトは、それほど強くなかったといえそうだ。
 その他の準難関校も、筑波大(12%減)・お茶の水女子大(12%減)の大幅減をはじめ、埼玉大(6%減)、横浜国立大(5%減)、広島大(9%減)など、軒並み減少した。いずれも“超絶安全志向”で敬遠されたものと見られる。また、筑波大は隔年現象(17年9%増→18年13%減→19年9%増)の揺れ戻しと見られる。
【国公立中堅校】各地区の国公立大中堅校では、前年の志願者増の極端な反動が随所に見られた。難関~準難関校と異なり、増加した大学もあるが少数派に留まり、大幅減の大学が目立つ。国立大の場合、教員養成系などの定員減や、理工農系を中心とした学部改組(複数学科を1学科か、より少数の学科に統合)の影響もあった模様。特に変動が大きかった主な大学は次の通り(表3に掲載した大学は除く)。

[1] 国立大
【志願者増】新潟大12%増、島根大25%増、徳島大15%増
【志願者減】茨城大14%減、宇都宮大15%減、群馬大24%減、富山大13%減、山梨大20%減、信州大14%減、岐阜大12%減、愛知教育大11%減、滋賀大23%減、鳥取大24%減、山口大22%減、九州工業大20%減、大分大18%減、宮崎大24%減、鹿児島大14%減

[2] 公立大
【志願者増】下関市立大11%増、山口県立大13%増、山陽小野田市立山口東京理科大23%増、高知県立大20%増
【志願者減】岩手県立大23%減、横浜市立大19%減、富山県立大30%減、公立小松大26%減、都留文科大10%減、長野大28%減、静岡県立大17%減、愛知県立大11%減、神戸市外国語大22%減、兵庫県立大15%減、公立鳥取環境大27%減、県立広島大36%減、北九州市立大18%減、福岡県立大33%減、福岡女子大14%減

 表3では、志願者の増加率が高い順に上位10大学を示した。表2と異なり、公立が6大学を、単科大学が9大学を占める。
 1位の島根県立大は志願者が倍以上に増加。前年(22%減)の反動に加え、セ試の数学が1科目でダメージが少ない、などの要因から人気を集めた模様だ。
 この他、7大学で前年の志願者大幅減の反動が出ている(ちなみに、昨年は志願者69%増で1位の長野県立大は39%減)。また、室蘭工業大・長岡技術科学大・公立諏訪東京理科大は「工学系人気」の象徴ともいえる。石川県立看護大は、富山県立大‐看護の開設2年目の反動(前・後期合計で41%減)も影響したと見られる。

志願者の多い国公立大学、志願者の増加率が高い国公立大学


志願倍率トップの学部は、島根県立大‐人間文化の後期

次は、各入試日程で特に志願倍率(志願者数÷募集人員)が高い(低い)学部を各20学部紹介する(表4~6。同倍率が多数の場合は20を超えて掲載。医学部医学科や看護学科などは1学部として扱う)。なお、「受験者数÷合格者数」で割り出す、実際の倍率を「実質倍率(または競争率)」という。
 まず、表4・5の「高倍率の学部等」から見ていこう。前期では、医学部医学科が連なり、「医学部人気」が低下したとはいえ、難関ぶりは変わらない。また、半数を公立大が占め、ここにも“超絶安全志向”がうかがえる。
 後期・中期は募集人員が少なく、実施学部・学科も減っているので、最高倍率(46.7倍)の島根県立大‐人間文化【後】など、前期以上の「超高倍率」になるが、欠席率の高さ(例えば後期の場合、前期の入学手続者が欠席するので、志願者の約50%が欠席)を割り引いて考える必要がある。公立大は中期の実施校が増え、後期も国立大に比べ多く残っていることから、併願先たり得る私立大が限られる大都市圏以外の地域では、志願者が集中しがちだ。
 一方で、表6のように前期で志願倍率が1倍台のケースもある。理、工、農、医療・看護、教員養成系の学部・学科が多いことが特徴だ。また、金沢大‐経済学類【前】の場合は、隔年現象(17年24%増→18年25%減→19年10%増→20年40%減)によるもので、21年は再び揺れ戻す可能性があるので要注意だ。

前期日程で高倍率の学部など、後期日程・公立大子中期日程で高倍率の学部等


前期の第1段階選抜の不合格者は2,138人、前年より約4割減!

最後に、前期日程の2段階選抜の実施状況を紹介しよう。予告した学部(62大学154学部等)に対し、実際に行ったのは23大学39学部等と、前年より5大学9学部等も減り、第1段階選抜の不合格者も「19年3,660人→20年2,138人」と前年比42%も減少した。不合格者の内訳は、国立が24%減(535人減)に対し、公立が71%減(987人減)。2段階選抜の危険を冒さない姿勢は“超絶安全志向”の反映といえそうだ。
 中でも、前年に不合格者が倍増(129%増)した東京都立大(旧:首都大学東京)が、その反動からか不合格者数がほぼ3分の1(981人→326人)に激減した。東京大では全6科類で第1段階選抜を行ったが、不合格者が減少(813人→605人:26%減)。一方、大阪大では不合格者が急増(8人→186人)した。

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21年国公立大一般選抜の志願動向を現時点で予測

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21年度「新入試」では、共テの思考力問題に対する不安感から、「共テ回避」の意識が強まる可能性はある。また、21年国公立大入試で変わるのは、共テだけではない。「主体性の評価」を重視する方向から、個別試験(2次)で面接や小論文を課したり、調査書を新たに点数化したりする大学・学部等が増える。さらに、後期を募集停止し、総合型選抜(旧AO)を導入・拡充するケースも目立つ(『螢雪時代』4月号掲載の「国公立大・私立大 2021年入試変更点まとめ」を参照)。
 こうした要素は、受験生の“国公立大離れ”につながる可能性がある。私立大も含め推薦型・総合型選抜の人気が高まり、国公立大一般選抜は20年に続く志願者減が予想される。
 21年の大学受験生数は、20年以上の減少(20年2.4%減→21年3.6%減:旺文社予測)が見込まれる。競争の緩和が予想される21年は、国公立大を一般選抜で合格するチャンスととらえ、冷静に判断してほしい。

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2020年4月号)」より転載いたしました。

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