入試動向分析

国公立大&私立大 一般入試“合格ライン”突破対策!
 【2018年1月】

得意科目を生かした効率的な得点プランで合格ラインを超える!


大学入試に満点はいらない。合格ラインをクリアすればよい。最難関の医学系で得点率80%以上、その他の学部系統で60~70%台とされる合格ラインを上回るには、得意科目で高得点をかせぎ、不得意科目の失点を防ぐ、自分の強みを最大限に生かした戦略が必要だ。ここでは、センター試験、国公立大2次試験、難関私立大入試それぞれについて、合格ラインを突破するためのプランを紹介する。

※この記事は『螢雪時代・2018年1月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)


センター試験で70%、
国公立大2次試験は50~60%、
難関私立大では60~70%を確保!



総合点の「合格ライン」のクリアを目標にしよう

センター試験、そして一般入試の本番を直前に控え、「どれくらい点を取れば合格できるのか」と不安なことだろう。そこで目安となるのが、各大学が案内パンフレットやホームページで発表している「合格最低点」だ。
 入試の合否は、たいてい「総合得点」で決まる(例外的に、受験科目中の特定科目の成績順位で決まるケースもある)。総合得点とは、受験した全ての教科・科目の合計得点だ。国公立大ならばセンター試験(5または6教科が主)と2次の個別試験(2~3教科が主)の合計得点、私立大ならば2~3教科の合計得点ということになる。
 合格最低点は、合格者のうち順位が最下位の人の得点だ。発表方法は、大学・学部によって素点(選択科目は得点調整後の場合も)だったり、得点率(合格最低点÷満点)だったりするので、「合格ライン」「ボーダーライン」とも呼ばれる。合格するには、とにかくこのラインを上回ればいい。特待生を狙わない限り、満点でも合格最低点でも、合格に変わりはない。
 もちろん、年ごとの入試問題の難易や倍率の変動、科目数や配点の変更などによって、合格最低点も上下する。それでも、具体的な合格者像をイメージできる、最も現実的な目安であることは確かだ。ふだんの過去問演習では、年ごとの合格ラインと自分の実力との距離を常に意識し、まずはその距離を克服していこう。


私立大一般入試は「8・7・6」パターンで60~70%台を確保

合格ラインについて、まず私立大一般入試(各大学の独自入試)のケースを見てみよう。難関私立大の2017年(以下、17年。他の年度も同じ)入試結果をみると、規模の大きい大学に対し、定員超過率が16年以上に厳しく抑制されたことから、その対策として定員を増やした大学も含めて、合格者絞り込みによる倍率アップが目立ち、競争は厳しさを増している。
 図1に、龍谷大‐経営(A日程:文系型スタンダード方式)の17年入試で、合格ライン付近の人数分布を示した。同方式の科目・配点は「英語」「国語」「世界史、日本史、政治・経済、数学から1」の3科目で各100点、計300点。受験者数2,276人に対し合格者数398人で、実質倍率は5.7倍。合格最低点は206点(得点率68.7%)だった。その分布状況を見ると、

①合格最低点を含め、上10点幅のゾーンに171人と、全合格者の約43%が集中している。
②不合格者の最高点(205点)を含め、下10点幅のゾーンに228人もいる。
③合格最低点で合格したのは15人、1点差での不合格者も23 人いる。

 合格ライン付近では、総合的にほぼ同じ学力の受験生がひしめきあい、わずか1点差で合否が決まる。では、“1点差”を争う合格ラインを、どうやって突破するのか?
 図1の右側に、合格最低点とその1点下の受験者から、特徴のある得点パターンをピックアップした。ここからわかるのは、「得意科目」の大切さと、「苦手科目」克服の必要性だ。
 3科目入試では、1科目で得点が伸びなくても他の科目でカバーできることが多い。AさんやBさんのように絶対的な得意科目があれば、他の2科目が普通、または1科目だけやや苦手であっても心強い。ただし、CさんやDさんのように苦手科目の失点が大きすぎると、カバーしきれず1点差に泣くことになる。
 得意科目での優位を生かすには、苦手科目を「やや苦手~普通」までにグレードアップし、6割以上の得点はほしいところだ。私立大一般入試で、合格ライン(7割台)をクリアするためには、得意科目(8割台)、準得意科目(7割台)を持ち、残り1科目で普通(6割台)をキープする、「8・7・6」パターンを目標にしよう(図2)。

図1 龍谷大-経営(A日程)スタンダード方式文系型 合格ライン付近の合否状況

図2私立大一般入試(3科目型)パターンのイメージ


難関私立大のセンター利用は80%台の確保が必要

総合点でどれくらい取れば合格できるのか、難関私立大の17年一般入試(センター利用を除く独自入試)の合格ライン(得点率)を、もう少し見てみよう。
 表1の関西学院大(全学日程)を見ると、文系がほぼ60%~70%、理系がほぼ55%~65%に合格ラインが分布している。他大学の合格ラインを見ても、ほぼ「文系=60%~70%、理系=50%~70%」に分布していることが多い。ただし、近年は文系・理系の差は縮まっている。
 関西学院大では、科目別の合格最低点も公表している。例えば、経済学部の全学日程を見ると、国語は118点(得点率59.0%)だが、総合点では380.8点(同69.2%)なので、残り2科目の英語と選択科目(数学・地歴)の合計で262.8点(同75.1%)が必要となる計算で、まさに「8・7・6」パターンがあてはまる。
 一方、難関私立大のセンター試験利用入試では、標準的な3教科型の場合、合格ラインは文系・理系とも70%台後半~80%台と、一般入試に比べかなり高い。表2の青山学院大(センター利用)では軒並み80%以上で、90%を超える学科もある。合格者を募集人員の10倍程度出すことも珍しくないセンター利用入試だが、それでも相当な高得点が必要なのだ。

表1 2014年入試/早稲田大(一般入試)の合格ライン、表2 2014年入試/関西学院大(学部個別日程)の合格最低点


●特定科目に“基準点”を設ける大学に注意

一般入試(独自入試)で7割台をとるなら「“9・8・4”や“9・9・3”でもよいのでは?」と考える人もいるだろう。ところが、特定科目の得点が一定点に達しない場合、他の科目も含め選考の対象にしない“基準点”を設ける大学・学部がある。
 慶應義塾大‐法では、外国語と地歴の合計点、および地歴の得点が一定の点数に達した受験生だけ「論述力試験」を採点し、その結果を加えて合否を決定する。早稲田大‐教育では、国語国文学科が「国語」、英語英文学科が「英語」、数学科は「数学」について、それぞれの全受験者の平均点を合格基準点としている。また、同志社大‐法・経済で英語(200点満点)に「80点」、関西大‐法も各科目に「配点(素点)の20%」の基準点を設けている。
 基準点は、「特定科目の全受験者の平均点」か「配点の4割」とするのが一般的だ。募集要項で必ず確認しておくとともに、苦手科目でもそれ以上を得点できるようにしておこう。


●得点調整で選択科目間の有利・不利を解消

受験生にとって不安なのは「選択科目」の扱いだ。文系は「地歴・公民・数学から1科目」、理系は理科で「物理・化学・生物から1科目」選択することが多いため、科目の難易で有利・不利が生じ、得点に較差が出てくるからだ。
 ただし、多くの大学・学部では、偏差値(得点を「平均が50、標準偏差10の正規分布での値」に換算したもの)や中央値補正法(成績順で中央に位置する人の得点を、その科目の満点の5割となるように全体を補正)などを用いて調整する。偏差値を用いれば満点が異なっても、ほぼ「30~70の値」に換算できる。
 17年一般入試(独自入試)の例を見ると、関西学院大では選択科目(学部により全科目)で中央値補正法によって得点調整を行った。慶應義塾大‐法・商は「地理歴史」間で、看護医療・総合政策・環境情報も選択科目の間で得点を補正。この他、青山学院大や同志社大が全学部で、早稲田大も理工系3学部以外の10学部で、選択科目間の得点調整を実施した。


「6・6・6・8・9」パターンで、センター試験は70%台を確保


次は国公立大について説明する。まず、センター試験でどの程度得点すればいいのか?
 センター試験の受験者全体の平均点は、例年ほぼ60%前後。これは、問題レベルが「学習の達成度を見る」ため、教科書(章の練習問題など)の範囲で、受験者平均が60%程度となるように作られるからだ。
 ちなみに、17年センター試験の受験者平均点(各科目の平均点と受験者数から全体の平均点を算出)は、5教科6科目(地歴・公民あわせて1教科1科目として100点、理科1科目として100点)の800点満点で463.1点(得点率57.9%)。16年よりややダウンしたが、得点率としては60%に近い。
 次に、国公立大の17年入試データで、センター試験の合格最低点の得点率を見てみよう。
 表3の金沢大(前期)では、文系が60%台後半~70%台前半、理工系は60%台前半~後半、医学類を含む医療系は医が80%超、他が60%~70%台前半。表4の岡山大(前期)では、夜間主コースを除くと、文系は60%台後半~70%台前半、理工農系は60%台前半~後半、医療系は60%台後半~70%台半ばに分布し、医学部医学科の82.4%、薬学部薬学科の82.3%が飛びぬけて高い。他大学を見ても、センター試験の合格ラインは、医・薬や超難関校の80%台を除くと、全体的に60~70%台が多い。
 センター試験の得点目標を7割とすると、5(6)教科とも均一に70%台を取れればいいが、科目数が多い上に、得意・不得意があるから、そうはいかないのが普通だ。そこで、5教科(ここでは地歴・公民をあわせて1教科)の得点割合を「6・6・6・8・9」と設定し、「3教科は受験者平均並みの60%台、準得意教科は80%台、得意教科は90%台」で平均70%台を確保しよう。私立大と同じく、得意教科の上積みで失点をカバーするのだ(図3)。志望校が傾斜配点(特定教科の比率を高める)で、得意教科の配点が他教科より高ければ、さらに有効だ。

表3 2017年入試/金沢大(前期日程)の合格ライン

表4 2017年入試/岡山大(前期日程)の合格ライン

図3 国公立大センター試験パターンのイメージ


国公立大の2次試験は50~60%台を確保しよう

 国公立大2次試験(個別試験)は記述式の2~3教科が主流なので、基本的には私立大一般入試(独自入試)と同様に考えよう。
 まず、総合点(センター・2次合計)の合格ラインを見ていこう。表3の金沢大(前期)をみると、文系は60%台後半~70%、理工系は60%台前半、医療系は60%台後半~70%台前半の範囲に分布し、医学科は80%に迫る。
 さらに、表4の岡山大(前期)や、神戸大・九州大・熊本大などの前期の合格ラインをみると、「文系・理工農系・医療系50%~70%程度、医は80%程度」と、ほぼ共通した傾向を示し、文系・理系の差はあまりなくなっている。
 次に、2次の合格最低点を見てみよう。金沢大・岡山大とも、意外と低い学部・学科もあるが、その場合はセンター試験でかなり高得点を取らないと、総合点の合格ラインに届かない。
 例えば、金沢大‐人文学類(前期)の2次の合格最低点は324.0点(54.0%)だが、総合では1104.1点(69.0%)なので、センターでは780.1点(78.0%)と、合格者平均(76.9%)を超える得点が必要だ。
 また、岡山大‐農(前期)の2次の合格最低点は200.0点(40.0%)だが、総合では911.8点(65.1%)なので、やはりセンターで711.8点(79.1%)と、合格者平均(75.9%)を上回らなければならない。
 受験生、とりわけ現役生の学力は入試直前で大きく伸びる。配点にもよるが、なるべく医学部志望者は「センター9割+2次7割」で総合点8割台を、それ以外は「センター7~8割+2次5~6割」で総合点7割台を確実に得点し、無理なく合格ラインをクリアしたいところだ。
 東北大の前期における各学部(学科・専攻)の、センター・2次それぞれの合格者平均得点率を見ると(図4)、医(医)のみ「センター86.5%、2次70.5%」と突出しているが、その他はセンター試験がほぼ75%~85%の範囲、2次はほぼ50%~60%の範囲におさまる。
 センター試験の8割はともかく、2次で5~6割を得点するのは、けっして容易ではない。センターより難度が高いことが多く、特に数学・理科は記述式で計算量も多いので得点しにくい。しかも各大学の個別試験だから、それぞれの個性が強く出る。過去問を徹底研究し、出題傾向を把握しておくことが、合格ライン突破のカギを握っていることに変わりはない。

図4 2017年入試/東北大(前期)センター試験・二次試験合格者平均得点率の比較


入試本番では「捨てて勝つ」戦術でリズムに乗ろう

合格ラインを突破する得点パターンが決まったら、入試本番ではその方針に沿って問題を解いていこう。
 問題用紙が配られたら、まず全問を見渡す。第1問から順番に解くのではなく、解けそうな問題から着手し、リズムに乗ろう。この方法は全教科に共通するが、特に数学や、物理・化学など理科系科目では重要だ。その際、次の手順を忘れないこと。

①全問に目を通す(読むのではない)。
②問題ごとに、「解けそうだ」=○、「いけるかな」=△、「無理かも」=×、と印をつける。
③○から先に解く(問題番号順とは限らない)。


 ×には手を付けず、まず○から始め、次は△へ……という順に、集中的に解く。1題解けると落ち着き、次の○や△もふだん通りに解けることが多い。何よりも大切なのは「時間配分」。難問のために貴重な解答時間を費やすより、○や△を優先して時間をかけよう。
 数学で、○や△が完全に解けない場合は、とにかく小問(1)だけを解こう。例えば、大問が小問2つで構成されていれば、(1)は教科書にある基本的な問題解法で解けるように作成してあり、(2)は(1)の結果を利用すれば解けるようになっているケースが多い。また、×の問題にも比較的易しい小問が用意されていることがあり、各大問のうち小問(1)だけを解くだけで、全体の得点の3~4割近くを取れる。
 とにかく、粘り強く部分点をかせぐこと。この小さな貯金の積み重ねが、最後に「合格」というハイリターンとなって戻ってくるのだ。
 以上の「捨てて勝つ」戦術は、ふだんの過去問演習の時に、指定時間内に解くことを強く意識し、手順をしっかり身に付けよう。時間内で、各年度の合格ラインを常に超えられるようになれば、本番でも冷静に対処できるはずだ。

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2018年1月号)」より転載いたしました。

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