入試動向分析

国公立大&私立大 推薦・AO入試情報
 【2007年7月】

20年度 推薦・AO入試はこう行われる!
国立大でAO入試の導入相次ぐ。
熱烈アピールこそが難関校合格GETへのポイント!

夏休みを前に、早くも大学入試戦線は動き出す。それは、推薦入試とAO入試。いまや、両方合わせて大学入学者の4割以上を占める、もうひとつの「メイン入試」だ。今回では、そのしくみを解説するとともに、20年度はどう行われれるか、変更点を含めて展望する。受験生は“熱烈アピール”こそが合格GETへのポイントと知るべし!

※この記事は『螢雪時代・2007年7月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

<推薦・AO入試の流れをつかむ!>
推薦では学業成績や実績を、AOでは熱意や適性を重視。
早期対策が合格の決め手!

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推薦入試とAO入試。いずれも学科試験で測れない、多様な能力や個性を評価する入試だが、異なる特徴を持つ。ここでは、推薦入試・AO入試それぞれの、選考のしくみについて解説する。


推薦入試は短期集中、AO入試は長期戦

表2推薦入試は、受験生にとって一般入試と並ぶもう一つの“メイン入試”だ。文部科学省の集計による、大学全体の入学者(18年度)の入試別比率では、一般入試(57.7%)に続き、推薦入試が35.6%を占める。AO入試は、時間をかけた選抜を行うため募集枠が小さく、全体の6.0%に過ぎないが、その比率は毎年アップしている。また、19年度の実施校数をみると、推薦入試は国公立大の9割超、私立大のほぼ全部が実施し、AO入試も国公立大の3割超、私立大の7割で実施した。
 推薦入試・AO入試は、いずれも一般入試に先立って行われ、学科試験で測れない、多様な能力や個性を評価する入試だが、その特徴は異なる。
 表1に、出願条件と選考方法から見た推薦入試とAO入試の違いを示した。実施時期については、推薦入試は10~12月が最盛期だが、AO入試は7月頃から募集が開始され、年間を通して随時受付する大学もある。また、推薦入試の選考はおおむね1日で終了するが、AO入試の選考は長期間にわたることが多い。そして、推薦入試が、どちらかというと学業成績や高校時代の実績(部活動や取得資格など)を重視するのに対し、AO入試では、受験生の志望動機や熱意、適性を重視している。


推薦入試には「公募制」と「指定校制」がある

推薦入試は大きく分けて、大学が指定した高校からのみ出願を受け付け、事前の校内選考を経てほぼ全員が合格する「指定校制」と、大学が定めた出願条件を満たし学校長の推薦を得られれば、どこの高校からも出願できる「公募制」の2種類ある(学校長の推薦が不要の「自己推薦」もある)。
 公募制推薦の出願条件には、学業成績(評定平均値など)や卒業年度(現役・浪人)、併願の可否(専願・併願可)などがある。
 ただし、最近は成績基準を廃止、または下げたり、「現役のみ→浪人可」としたりするなど、出願条件を緩和するケースが多い。
 国公立大はほぼ全てが公募制で、私立大に比べて募集人員が少なく、特に国立大では出願条件がかなり厳しくなっている。最近は国立大の医学部や教員養成学部で、過疎地を中心とした医師不足や教員不足の解消を目的として、「地元枠」を設けるところが増えてきた。
 指定校推薦では、ほとんどの大学が指定校を公表しない。希望者は、高校の先生にどの大学から指定されているか、問い合わせてみよう。


公募制推薦の選考で多い 書類審査・面接・小論文

公募制推薦入試の選考方法は、およそ次の6つのパターンに分けられる。
(1)書類審査のみ
(2)書類審査+面接
(3)書類審査+面接+小論文
(4)書類審査+面接+学力試験
(5)書類審査+面接+小論文+学力試験
(6)書類審査+面接+実技試験(適性検査)
 
 この中で、最も多いのが(3)で、調査書・推薦書・提出作文等の書類審査と、面接や小論文(または作文)を組み合わせて総合判定する。
 入試日程(図1)は、出願から入学手続きまで1ヶ月ぐらいが一般的だ。入試の流れは「出願→選考→合格」とシンプルだが、書類審査の段階で受験者が絞られるケースも多い。
 国公立大が私立大と異なる点は、「センター試験(以下、セ試)を課さない」推薦と、「セ試を課す」推薦に分かれることだ。セ試を課さない推薦は、私立大の推薦入試とほぼ同じ11~12月に実施される。一方、セ試を課す推薦は、調査書とセ試の成績の他、1月末~2月上旬に実施される小論文や面接で合否が決定される。


推薦入試の主な日程


●書類審査
 どの選考パターンでも、合否判定では調査書の存在が大きい。最も重要なのは成績欄だ。各教科、または全体の評定平均値や、学習成績概評(例:A=評定平均値5.0~4.3、B=4.2~3.5に対応)など、各大学・学部が最低基準を設定して、大学の授業に堪えられる基礎学力があるかどうかをチェックする。入試概要や募集要項の「出願資格」に明記してあるので、早いうちに確認しておこう。ちなみに、全体の評定平均値は「私立大:3.2以上、国公立大:4.0以上」が一般的だ。
 気をつけたいのは、調査書には3年の1学期までの成績が記入されるということである。推薦入試を目指す受験生にとって、3年1学期末のテストの成績が、合否に大きく影響してくるのだ。

●面接・小論文
 面接で多いパターンは、複数の面接者(大学の教授など)に1人の受験生が机をはさんで対面する「個人面接」で、面接時間は5分から30分。また、複数の面接者が数人の受験生と対面したり、数人の受験生が討論するのを複数の面接者が見守ったりする「グループ面接」も増える傾向にあり、こちらの面接時間は20分から60分ほど。
 個人面接の場合は、提出書類の内容をベースに、志望動機、将来の進路、高校生活、趣味・特技といった内容が質問される。その中でも重要なのが「志望動機」。将来のために大学で何をしたいのかを、明確に、熱意を持って答えたい。
 小論文については、志望大学の過去問や、合格体験記などで出題テーマを把握した上で、夏休みなどを利用して早めの対策に取り組もう。出題されるテーマは、新聞記事や論説を素材とすることが多いが、とりわけ6~8月頃のものが多いといわれる。受験生は、夏休みが終わるまで、新聞記事やニュースはよくチェックしておく必要がある。

 一般入試に近い「基礎学力試験」を課す大学もある((4)のパターン)。中京大・京都産業大・龍谷大・近畿大・神戸学院大など、関西地区や東海地区に多い。科目数は1~2科目と、一般入試より軽めの場合が多いので、小論文が苦手な受験生は、2月の一般入試本番の準備を兼ねて受験してみることも考えるべきだろう。

 推薦入試の競争率はどの程度なのだろうか。文部科学省の調査では、大学全体の推薦入試の倍率(志願者÷合格者。以下同じ)は、18年度までの5年間でほぼ1.7倍と安定している(グラフ1)。このうち、国公立大は平均して2.5倍程度、私立大は1.5倍程度を推移している。

表2 AO入試実施大学数 10年間の推移、グラフ1 国公私立大学 推薦入試結果の推移


◆“受験生と大学のお見合い”で志望動機をアピール

AO入試は、大学がぜひ入学してほしいと考えている学生像をもとに、学力面に偏らず、受験生の意欲や適性など、総合的な人物評価を行うため、幅広い試験内容で行われる。原則として高校長の推薦が必要ない自己推薦制で、出願条件(成績基準や卒業年度など)の指定もないケースが多い。
 入試のタイプで代表的なものに、私立大で最も多い「対話型」と、国公立大や私立大難関校に多い「選抜型」がある(図2を参照)。
 対話型では、エントリーの際に、大学指定のシートに志望理由や自己アピールなどを記入し、提出する。その後、エントリーシートや提出書類をもとに面談を行い、大学側と受験生が合意に達すれば「内定」し、正式な出願の前に、原則として全員合格する。「受験生と大学のお見合い」とも言われ、受験生の入学意思が重視される。面談は30分程度を2回行うところが多い。エントリーシートは、大学主催の説明会やオープンキャンパスなどで配布されることが多いので、絶対に参加すべきだ。
 選抜型は、入試の流れは公募制推薦に近い。志望理由書や自己アピールなど、膨大な出願書類の提出を求め、面接はその内容をもとに行われる。最近は「模擬講義・レポート提出」、「プレゼンテーション(発表)」、「グループ討論」といった方法を選考に採り入れる大学が増えている。
 いずれにせよ、合格するには、なぜその大学を希望するのか、入学後はどんな勉強がしたいか、といった志望動機を、熱意を持って明確にアピールできるかどうかがポイントとなる。
 大学全体のAO入試の倍率(文部科学省調査)は、18年度までの5年間で1.8倍から2.0倍へ、徐々にアップしている(グラフ2)。このうち、国公立大は平均して4倍近く、私立大は2倍近くを推移し、20年度もほぼ同程度となろう。

図2 AO入試 おもなタイプ別の代表パターン、グラフ2 国公私大学 AO入試結果の推移

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<20年度の推薦・AO入試はこう変わる>
国公立大ではお茶の水女子大・金沢大など、
私立大では南山大などでAO入試を導入!

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ここからは、5月下旬の時点で各大学から発表された、20年度推薦・AO入試のおもな変更点を紹介する。国公立大6校、私立大24校でAO入試を新たに導入。国公立大の4割近く、私立大の4分の3でAO入試を実施することになる。


推薦入試:鳥取大-医の看護学専攻で「地域枠」を新設!

20年度推薦入試に関するおもな大学の変更(5月下旬判明分)は次の通り。ただし、詳細は推薦入試募集要項などで、必ず確認していただきたい。
弘前大 (1)医学部保健学科を「セ試を課す推薦入試」に統一(放射線技術科学専攻を「課さない→課す」に変更)。(2)農学生命科学部を「セ試を課さない推薦入試」に統一(生物機能科学・地域環境科学の2学科を「課す→課さない」に変更)。
鳥取大 医学部保健学科看護学専攻で、セ試を課す推薦のうち、鳥取県内の高校出身者(1浪まで可)が対象の地域枠(25人中10人)を新設。
獨協大 経済学部で公募制推薦の募集人員を30人→40人に増やす。
学習院大 法学部政治学科で「自己推薦特別入試」を導入。書類審査・小論文・面接で選考。
工学院大 工1部・情報・グローバルエンジニアリングの各学部で公募制推薦を新規実施する。
中央大 経済学部で自己推薦入試を新規実施。一方、総合政策学部では自己推薦入試を廃止。
立教大 スポーツ推薦の「アスリート選抜入試」を導入。募集人員は若干名で、現役が対象。1次(書類審査)・2次(小論文・面接)の2段階で選考。
金沢工業大 「女子特別選抜」を新規実施。学部別の募集人員は「工14人、環境・建築8人、情報10人、バイオ・化学8人」で、現役女子のみ出願可。選考方法は「書類審査・小論文・面接」。
関西外国語大 (1)公募推薦で、英語にリスニングテスト(10分程度)を追加。(2)外国語学部英米語学科で「英語特技入試」を新規実施。前・後期の2回募集し、選考方法は「書類選考、面接(英語・日本語)」。
神戸学院大 公募制推薦で、試験日を約2週間繰り上げ(19年度:11/25・26→20年度:11/10・11)、試験場を変更(徳島に増設、東京を廃止)。


20年度にAO入試を新たに導入する大学(19年5月現在)

国公立大学(計6大学)
岩手大─人文社会科学、山形大─工、お茶の水女子大金沢大─理工学域、琉球大─法文・工、山口県立大─国際文化・社会福祉・看護栄養

私立大学(計24大学)
札幌学院大─人文・法・商・社会情報、尚絅学院大─総合人間科学、日本医療科学大─保健医療、昭和女子大─人間文化・人間社会・生活科学、女子美術大─芸術、東京富士大─経営、東京未来大─こども心理、日本体育大─体育、愛知大─現代中国、愛知工業大─経営情報科学、南山大─人文、鈴鹿医療科学大─保健衛生・鍼灸、成安造形大─造形、長浜バイオ大─バイオサイエンス、大阪産業大─人間環境・経営・経済・工、大阪女学院大─国際・英語、大阪人間科学大─人間科学、摂南大─法・外国語・工、姫路獨協大─外国語・法・経済情報・医療保健・薬、川崎医療福祉大─医療福祉マネジメント、広島経済大─経済、聖カタリナ大福岡歯科大─歯、尚絅大─文化言語


AO入試:国公立6大学、私立24大学で新規実施。国公立大で募集枠拡大続く

国公立大ではお茶の水女子大・金沢大・山口県立大など6大学、私立大では愛知大・南山大など24大学で、20年度から新たにAO入試を実施することがわかった(5月下旬現在)。
 20年度のAO入試実施校は480大学(旺文社調査)となり、全大学(721校)の67%でAO入試を行うことになる。国公立大に限れば、実施校(59校)は全体(157校)の38%とまだ少数派だが、私立大の実施校(421校)は全体(564校)の75%を占める。
 また、すでにAO入試を行っている大学で、実施学部を増やすのは、国公立大が東北大‐教育・医(保健)・薬、富山大‐理、愛媛大‐農など、私立大は東京薬科大‐生命科学、日本大‐文理、武蔵大‐経済、金城学院大‐現代文化など。
 さらに、国公立大では三重大‐工(実施学科を1→5に)、神戸大‐医〈医〉(15人→25人)、長崎大(教育16人→26人、環境科学4人→8人、工29人→33人、医〈医〉10人→15人)、九州大‐芸術工(実施学科を2→5に)、群馬県立女子大‐文(13人→18人)などで、私立大でも国際基督教大(20人→40人)、東京薬科大‐薬(10人→20人)、関西大‐総合情報(10人→20人)などで、募集枠を拡大する。
 AO入試の選考方法は、最近では、(1)模擬講義受講・レポート提出、(2)プレゼンテーション(提出レポート・作品等を、面接者に対して発表)、(3)グループ討論、を行う大学・学部が増えている。
 新規実施大学・学部では、金沢大‐理工学域、日本大‐文理、愛知大‐現代中国が(1)を、岩手大‐人文社会科学、琉球大‐工、南山大‐文が(2)を、山口県立大、女子美術大が(2)・(3)を実施する。

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2007年7月号)」より転載いたしました。

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