入試動向分析

2007年 私立大入試 志願者動向分析
 【2007年5月】

センター試験の平均点ダウンと国公立大の前期集中で“ブランド校”に人気集中!?
早稲田大・明治大・関西大が志願者10万人超!

前回の特集では、19年国公立大入試の志願状況を通じて、“大学入試”のメカニズムを大筋でご紹介をした。今回では、国公立大を目指す人にとって大切な併願校、私立大が第1志望の人にとっては目標校となる、私立大難関校を中心に、人気のバロメーター「志願者動向」と、難易のバロメーター「実質倍率」を見ていこう。さらに、キミたちが受験する20年入試の最新情報もお届けする。

※この記事は『螢雪時代・2007年5月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

このページの先頭へ

<今年の私立大志願状況を総まとめ!>
一般入試の志願者は前年比5%増。
センター試験の平均点大幅ダウンで、国公立大受験者が併願増やす!?

このページの先頭へ

大学受験生数が約3%減少したにもかかわらず、私立大一般入試の志願者数は、18年に比べ約5%増加した。大きくは「センター試験の難化」「国公立大の前期集中化」の影響で、受験生が私立大難関校の併願を増やしたようだ。


4年ぶりに志願者増、最終的に4~5%の増加か

選抜方式による私立大入学者の割合旺文社「螢雪時代」では全国の私立大学(564大学)に対して、平成19年一般入試の志願者数を調査した。3月中旬現在で集計した確定志願者数のデータは、全国232大学:約226万人にのぼる。この集計は2月に行われた一般入試とセンター試験(以下、セ試)利用入試を主な対象とし、2月末~3月に行われた「後期募集」を一部集計に加えている。
 その結果、私立大一般入試の志願者数は、18年の同時期に比べ、約5%増加したことがわかった。今後発表される大学の志願者数を加えても、最終的には「4~5%増」に落ち着くと見られ、平成15年以来、4年ぶりの増加となるのは確実だ(グラフ2)。
 4(6)年制大学の受験生数は、「螢雪時代」の推定では18年より約1万9千人(約3%)減っている。また、国公立大の志願者数も約3%減少したにもかかわらず、私立大の志願者はなぜ増えたのだろうか?

私立大一般入試志願者数と大学受験生数の推移


一般入試・セ試利用ともに2月の3教科入試が中心

私立大の一般入試は国公立大と異なり、日程さえ重複しなければ何校でも受験できる。一般入試の大半は2月に行われるが、「後期募集」を行う大学も数多い。基本は3教科入試で、文系は「国語、地歴・公民・数学から1、外国語」を、理系では「数学、理科、外国語」を課すのが主流だが、1~2教科型の入試も増えている。
 同じ学部・学科で複数の入試方式を行う「複線入試」や、自校キャンパス以外に試験会場を設ける「地方試験会場」、同一学部で複数の試験日を設け、その中から選べる「試験日自由選択制」も、ごく普通の入試システムだ。
 複線入試で代表的なのは「セ試利用入試」で、全私立大の約8割で行っている。試験科目は「セ試2~3教科、個別試験なし」とセ試の得点のみで合否判定するケースがほとんど。2月募集が大部分だが、3月にも募集する大学もある。
 一般入試とは別に、早ければ6月頃から行われるAO入試や、11月頃から行われる推薦入試がある。推薦入試には、大きくは指定校推薦、公募制推薦、自己推薦の3種類ある。
 私立大全体の入学者の内訳(グラフ1)を見ると、一般入試は半数をわずかに超える程度で、推薦・AO入試で入る人が、全体の半数近くを占める。とはいえ、キミたちが狙う難関校は、あくまでも一般入試が主力であることを、肝に銘じておこう。


国公立大入試は実質“1回化” 併願先を求め私立大難関校へ

19年の私立大一般入試に大きな影響を与え、志願者増の原因になった要素が3つあげられる。
(1)国公立大の「前期集中化」
 19年の国公立大入試では、京都大(医‐保健を除く全学)、東北大‐医(医)・歯・工・農、名古屋大‐教育・法・経済・情報文化・工といった難関大や、医学部を中心に一般入試で後期を廃止した。この「前期集中化」で、後期の募集枠自体が減り(18年23,178人→19年21,743人:6%減)、受験機会が実質「1回化」した上、従来通り後期を実施する大学・学部は志願者集中による難化が予想された。このため、関西地区を中心に、私立大難関校の併願を増やしたものとみられる。
(2)セ試の平均点ダウン
 19年のセ試は、18年に比べ平均点が大幅ダウンした。特に、国語、数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bといった、文系・理系に共通する基幹科目が難化した結果、国公立大志願者層が慎重な出願に走り、私立大難関校の併願を急遽増やした模様。特に経済・法・文などの文系学部で目立ったようだ。また、国公立大の教員養成系学部が人気ダウンし、文系女子を中心に私立大へ流れた模様だ。
 早稲田大入学センターの岡本俊郎主任は「セ試終了後に、問い合わせや出願が急に増えました。すでにセ試前に出願した人がさらに併願を1学部増やしたり、締切日間際に出願が集中したりしました」と、例年と違った動きを語る。
(3)セ試の3教科以下受験者が増えた
 19年セ試の受験者数は18年に比べ約1%増えたが、中でも「3科目以下」の受験者は約6%増えている。私立大専願型の受験生が、セ試利用入試の出願を目的に、セ試を積極的に受験しているのだ。

このページの先頭へ

<私立大志願者はこう動いた!>
法政・立教・近畿・関西学院も大幅増。法、経済、文が志願者増、理工も人気回復
医療・看護、農が人気ダウン!

このページの先頭へ

首都圏では法政大・明治大・立教大・早稲田大など、京阪神では“関関同立”や近畿大・甲南大など、大都市圏の“ブランド校”は軒並み志願者増。特に法・経済など文系学部が人気アップした。一方、中堅校グループでは志願者減が目立った。


大都市圏のブランド校に人気集中。3月の後期募集にも波及

19年私立大一般入試の最大の特徴は、大都市圏の知名度の高い難関総合大学、いわゆる“ブランド校”に人気が集中したことだ。
 全国6地区ごとの全体的な志願動向を見ると(グラフ3)、関東・甲信越の5%増、関西の9%増が目立つ。いずれも“ブランド校”が集中する地区だ。
 さらに、このページ下のグラフ5を見てみよう。駿台予備学校の集計(3月末現在)による文理別・難易ランク別の志願者動向である。ここでいう難易ランクは大学・学部によって異なるが、首都圏に限って大ざっぱに言えば、Aランクは早慶・上智大・東京理科大や医学部など、Bランクはいわゆる“MARCH”(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)、Cランクは“日東駒専”(日本大・東洋大・駒澤大・専修大)などを指す。Eランク以外はいずれも志願者が増えているが、中でも文系ではA~Cランク、理系ではBランクの志願者増が目立つ。
 “大学全入時代”を直前に控え、「私立大は易しい」とのイメージが強いことも、“ブランド校”に対してチャレンジ志向が強まった原因の一つだろう。
 ちなみに、一般入試やセ試利用入試の「後期募集」でも、志願者が15%増加した。難関校の2月入試が志願者大幅増と合格者絞り込みで難化したため、不合格者が「再チャレンジ組」として、難関校だけでなく中堅校の後期募集にまで、大量に流れ込んだものと見られる。

19年私立大一般入試 地区別志願状況


全学部共通日程や学部改編など“ブランド校”が積極的な改革

私立大全体の志願状況を入試種別に見ると、一般入試(大学の個別試験)4%増に対し、セ試利用入試は9%増。これは、国公立大受験者が私立大の併願を検討する時に、難関校のセ試利用入試に出願するケースが多かったことを物語る。
 さらに、“ブランド校”に人気が集中した要因として注目されるのは、次の3ポイントである。
(1)「全学部日程入試」の導入
 学部・学科ごとに異なる試験日で行う従来の一般入試に加え、全学部・学科の共通問題により同一日に試験を行うのが「全学部日程入試」。学内併願(同じ大学の複数の学部・学科に出願すること)のチャンスが増え、同じ学部を2回受けることも可能になる。また、他大学との日程重複の心配もなくなる。
 19年は明治大・法政大・専修大・明治学院大で導入し、いずれも志願者大幅増につながった。明治大の「全学部統一試験」では、同校初の地方試験場を札幌・仙台・名古屋・福岡の4都市に設置し、受験科目によって複数学部を併願可としたこともあり、募集人員444人に対し18,092人もの志願者を集め、大学全体の志願者は21%増。また、法政大ではB方式を廃止し、全学部日程入試のT日程を導入し、地方試験場を「6→9会場」に増設した。このため、志願者数は「B方式5,111人→T日程13,023人」と急増、大学全体の志願者25%増の原動力となった。実は、両校の試験日は重複していたのだが、その影響を感じさせない人気ぶりだった。なお、明治大は20年入試で大阪・広島に会場を増設する予定。
(2)「一般・セ試併用型」の増加
 近年、セ試利用入試の新方式として、「一般・セ試併用型」の増加が目につく。これは、セ試のみの判定ではなく、大学独自に実施する一般入試の指定科目の得点と、セ試の高得点科目または指定科目の得点を合計し、合否を判定する方式だ。(1)セ試のできや自分の得意科目を考慮して、高得点科目や得意科目を効果的に組み合わせることができる、(2)一般入試とセ試利用を両方受ければ、自動的にもう1回のチャンスが生まれる、といったメリットがある。
 この方式だけを集計すると、志願者は前年比で28%も増加している。19年入試から導入した大学の場合、大阪経済大・関西学院大・甲南大・西南学院大などで、志願者増の要因となった。
(3)大規模な学部改編
 19年は数多くの新設学部が生まれたが、中でも大規模だったのが、ここ数年志願者が減り続ける傾向に危機感を抱いた理工系学部の改編だ。
 早稲田大では理工学部を「基幹理工・創造理工・先進理工」の3学部に分割。同一日に試験を行ったため併願はできなかったが、3学部合計の志願者は「13,531人→15,014人」と前年より11%増加した。
 関西大でも工学部を「システム理工・環境都市工・化学生命工」の3学部に分割。理工系学部のみに導入されたE日程(1回の受験で2学部併願可能)など、全部で6回の受験機会があることもあり、3学部合計の志願者は「14,973人→19,716人」と前年より32%も増加した。
 さらに、理工系だけでなく、早稲田大では第一文学部と夜間の第二文学部を、新たに「文学部」と昼夜開講制の「文化構想学部」に改編した。両学部の併願が多かったため、2学部合計の志願者は「15,674人→22,672人」と前年より45%も増加した。

グラフ4 19年私立大一般入試 学部系統別志願状況

グラフ5 19年私立大一般入試 難易ランク別 志願者増減率


文系学部は軒並み人気アップ。薬は新設相次ぎ志願者が分散

次に、学部系統別の志願状況を見てみよう(グラフ4)。文系は法、経済・経営・商、文・教育・教養、社会・社会福祉など、各系統とも人気アップ。特に、就職状況の好転により、法、経済・経営・商という、私立大の主力とも言える学部系統の人気が高まったことが、私立大全体の志願者増につながったといえる。理系では、ここ数年志願者減の傾向が続いていた理・工が人気復活。また、医学部人気も根強い。理・工の場合、“ブランド校”で理工系学部の大規模な改編が行われた影響が大きかった。
 一方で、農・水畜産・獣医、歯、医療・看護が人気ダウン。医療・看護は、ここ数年の高倍率による難化(特に理学療法)が敬遠された模様。
 薬は、18年から薬剤師養成課程が6年制化され、昨年は志願者が3割以上減少したが、19年の志願者数はほぼ前年並み。ただし、5大学で増設されたため志願者が分散し、例えば兵庫医療大‐薬、姫路獨協大‐薬が新設された兵庫県では、神戸学院大‐薬(15%減)、神戸薬科大(15%減)、武庫川女子大‐薬(23%減)と、県内の既設校で大幅減が目立った。


志願者数トップは早稲田大。共立薬科大は志願者倍増

ここからは、大学ごとの志願状況を見ていこう。表1では、志願者数(大学合計:3月中旬現在)の多い順に、上位20大学を示した。首都圏や京阪神の“ブランド校”がほとんどを占めている。
 1位は早稲田大。大規模な学部改編に加え、(1)政治経済がセ試利用を新規実施、(2)法のセ試利用で、募集枠拡大(150人→200人)し、2次を小論文から「同学部の一般入試3科目」に変更、(3)商のセ試利用で2次(小論文)を廃止、(4)法・文・文化構想・国際教養の4学部で、一般入試とセ試利用を併願した場合の受験料減額制度を導入、など多彩な入試改革が、志願者が12万人を超える要因となった。
 2位は明治大で、前述の「全学部統一試験」導入の影響が大きい。3位は関西大で、工学部の改編(工→3学部に分割)、学部増設(政策創造)に加え、一般S日程を2日間実施(S2日程)としたことも、初めて志願者が10万人を突破する要因となった。
 ちなみに、20位までの志願者の合計は、全体(232大学:約226万人)の約55%と半数以上を占める。さらに、10位までの合計だけでも、全体の約38%に達する。いかに私立大入試で“ブランド校”に人気が集中し、寡占化しているかがわかる。
 表2では、志願者1,000人以上の大学について、増加率が高い順に、やはり上位20大学を示した。表1と異なり、単科大や女子大も名を連ねている。
 1位の共立薬科大は、なんと志願者が倍増している。同大学は、20年度から慶應義塾大と統合し、新たに「慶應義塾大‐薬」となる予定で、その好印象が志願者大幅増に結びついた模様。その他、法政大・明治大・関西大をはじめとして、やはり学部増設や新方式実施、受験料割引制度などの入試改革が、人気アップの起爆剤になったことは確かだ。


表1 志願者の多い大学 TOP20
  大学名
19年志願者数
18年志願者
志願指数
増減
主な変更点とTOPICS
1 早稲田大
125,647
110,996
113
学部改組(一文・二文→文・文化構想、理工→3学部に分割)。政治経済でセ試利用を新規実施。商セ試利用で2次(小論文)を廃止、など
2 明治大
102,451
84,526
121
全学部日程入試を導入(複数学部出願可で受験料割引制度を採用)し、地方試験場(4会場)を新設
3 関西大
101,451
83,000
122
学部増設(政策創造)。学部改組(理工→3学部に分割)。S日程が2日間実施に(S2日程を導入)。理工系3学部でE日程を導入
4 立命館大
98,761
93,546
106
学部増設(映像)。理工・情報理工のA方式で2学科併願制(1回の受験で2学科・コースの併願可)を導入
5 法政大
90,216
72,051
125
全学部日程入試のT方式を導入、地方試験場を9会場設置。A方式でも地方試験場を新設(4会場)。都心キャンパスに学部増設(デザイン工)
6 日本大
71,486
74,450
96
文理でセ試利用を新規実施
7 立教大
67,505
58,714
115
経済が学科分離入試に(2学科併願可に)。経済・法・理のセ試利用で3教型を追加。
8 中央大
66,396
61,723
108
経済・理工の一入試で地方会場(6会場)を新設。文系学部の東京会場に、都心の理工キャンパスを追加。
9 近畿大
63,416
53,120
119
一般前期で得意科目重視方式を導入。法・経済・経営で他学部併願制度(2回の受験で2種類の方式や異なる2学部に同時出願可)
10 東洋大
60,361
53,815
112
国際経済・社会経済システム・企業法・人間環境デザインの4学科でセ試利用を新規実施
11 関西学院大
49,108
45,204
109
一般F日程で試験場増設(京都・和歌山)。理工で一般・セ試併用型を導入
12 慶応義塾大
47,697
46,328
103
法のA方式(セ試利用)は39%減、早稲田大・政治経済のセ試利用新規実施が影響?
13 同志社大
46,315
43,011
108
一般入試で神戸会場を増設。文で夜間主コースを廃止
14 青山学院大
45,550
47,829
95
経済・経営でセ試利用2年目の反動。経営のセ試利用で4教科型を導入
15 東京理科大
45,286
44,530
102
 
16 龍谷大
41,112
39,041
105
3月募集のC日程を新規実施
17 福岡大
37,184
35,091
106
学科増設(医・看護、人文-教育・臨床心理)。スポーツ科学でセ試利用と一般後期を新規実施
18 専修大
31,688
27,054
117
文を除く全学で「全学部試験」を導入
19 明治学院大
31,070
27,292
114
全学部日程を導入。セ試利用の後期を新規実施
20 駒沢大
29,565
29,767
99
グローバル・メディア・スタディーズでセ試利用を新規実施
※1 「増減」欄の記号は、▲=20%以上の増加、↑=10%以上の増加、↓=10%以上の減少を示す。
※2 3月中旬現在のデータによる。一部、大学によっては未集計の方式・日程がある。


表2 志願者の増加率が高い大学 TOP20
  大学名
19年志願者数
18年志願者
志願指数
主な変更点とTOPICS
1 共立薬科大
5,869
2,817
208
20年度に慶応義塾大と統合、「慶応義塾大-薬」となる予定
2 大阪商業大
1,370
768
178
前期A日程を2→3日間(試験日自由選択制)に延長。受験料減免制度(前期A日程の2出願目以降、一般・セ試利用の併願時)を導入
3 恵泉女学園大
3,602
2,336
154
セ試利用の募集回数増(2→3回、中期を導入)。前年の志願者22%減の反動。受験料割引制度(セット出願、再出願)を導入
4 聖マリアンナ医科大
2,380
1,679
142
1次試験(学力検査)の会場を、自校キャンパス(神奈川県川崎市)から東京に変更
5 大阪経済大
10,927
8,438
129
一般・セ試併用型のBC方式を導入。地下鉄の新駅が直近(徒歩2分)に開設。C方式(セ試利用)でベスト2教科型(高得点の2教科で判定)を追加
6 大阪産業大
3,011
2,375
127
セ試利用の募集回数増(2→3回、中期を導入)
7 成城大
20,052
16,083
125
B方式(セ試利用)が志願者41%増(前年の14%減の反動も)。経済B方式で4教科型うぃ廃止し、後期(3教科型)を新規実施
7 法政大
90,216
72,051
125
全学部日程入試を導入。(複数学部出願可で受験料割引制度を採用)し、地方試験会場を新設
7 椙山女学園大
4,419
3,532
125
学部増設(教育)
10 亜細亜大
10,668
8,739
122
B方式(セ試利用)が志願者44%増(前年の22%減の反動も)
10 関西大
101,451
83,000
122
学部増設(政策創造)。学部改組(理工→3学部に分割)。S日程が2日間実施に(S2日程を導入)
12 明治大
102,451
84,526
121
全学部日程入試を導入(複数学部出願可で受験料割引制度を採用)し、地方試験会場(4会場)を新設
12 姫路獨協大
1,601
1,323
121
薬学部を増設。医療保健でセ試利用を新規実施
14 日本歯科大
1,682
1,418
119
一般前期の試験日を2→1日に短縮(学科試験と面接を同日実施に)
14 京都橘大
4,523
4,523
119
学科増設(文・児童教育)
14 近畿大
63,416
53,120
119
一般前期で得意科目重視方式を導入。法・経済・経営で他学部併願制度(1回の受験で2種類の方式や異なる2学部に同時出願可)
17 共立女子大
3,984
3,365
118
学科増設(文・児童教育)
18 専修大
31,688
27,054
117
文を除く全学で「全学部試験」を導入
19 愛知大
13,673
11,873
115
一般M方式で地方試験場を増設(5会場)。セ試利用前期で5教科型を導入
19 北海学園大
7,845
6,815
115
一般入試の試験場を道内に増設(3→5会場)。工のセ試利用で募集回数増(1→2回)
※ 3月中旬現在のデータによる。志願者数1,000人以上。一部、大学によっては未集計の方式・日程がある。


青山学院大・日本大が志願者減。愛知大・南山大・福岡大は志願者増

最後に、ここまでに紹介した以外の、各地区のおもな大学の志願状況を見てみよう。
【首都圏】
 早稲田大・明治大・法政大をはじめ、学習院大(13%増)・中央大(8%増)・立教大(15%増)、國學院大(15%増)・成城大(25%増)・専修大(17%増)・東洋大(12%増)・明治学院大(14%増)など、“ブランド校”が軒並み志願者大幅増。慶應義塾大(3%増)・上智大(1%増)・東京理科大(2%増)も安定した人気を保った。
 その中で、青山学院大(5%減)、国際基督教大(19%減)、日本大(4%減)などが志願者減。国際基督教大はセ試利用入試の導入2年目の反動が大きく、青山学院大も前年の大幅増(16%増:経済・経営でセ試利用を導入)の反動と見られる。
 一方、中堅校では、亜細亜大(22%増)・桜美林大(12%増)に対し、千葉工業大(30%減)・国士舘大(12%減)・大東文化大(9%減)・東海大(6%減)・立正大(21%減)など、志願者減が多数派となっている。
【京阪神】
 関西大をはじめ、同志社大(8%増)・立命館大(6%増)・関西学院大(9%増)、京都産業大(9%増)・龍谷大(5%増)・近畿大(19%増)・甲南大(9%増)と、いわゆる「関関同立・産近甲龍」がそろって志願者が増加した。
 近畿大は一般前期で「得意科目重視方式」、さらに法・経済・経営で他学部併願制度(1回の受験で2種類の方式や異なる2学部に同時出願可)の導入、立命館大は学部増設(映像)、関西学院大は理工の一般・セ試併用型導入、龍谷大は3月実施のC日程の導入も志願者増の要因とみられる。
 中堅校でも、大阪経済大(29%増)・大阪商業大(78%増)などが大幅増。また、関西外国語大(5%増)・桃山学院大(1%増)など、後期募集に志願者が流れ込んだケースもある。
【その他の地区】
 志願者が増えたのは、北海学園大(15%増)、愛知大(15%増)、南山大(10%増)、名城大(14%増)、西南学院大(4%増)、福岡大(6%増)など。愛知大はM方式の試験場増設(5会場)とセ試利用前期での5教科型導入、南山大はセ試利用入試の募集回数増(2月出願に加え、1月出願を新規実施)、西南学院大は一般・セ試併用型の導入と経済のセ試利用新規実施、福岡大は学科増設(医‐看護、人文‐教育・臨床心理)も志願者増の要因となった。一方、志願者が減ったのは、東北学院大(2%減)、金沢工業大(22%減)、愛知学院大(3%減)、中京大(7%減)など。

このページの先頭へ

<競争率の変化から私立大入試を読み解く!>
実質倍率が3.3倍→3.5倍にアップ。
難関大では合格者を絞り込み、やや難化!?

このページの先頭へ

早めに合格発表を行った京阪神地区を中心に、一般入試の受験者・合格者状況を旺文社「螢雪時代」が集計したところ、受験者7%増に対し、合格者1%増で、倍率は3.3倍→3.5倍にアップ。特に難関校で合格者を絞り込み、難化するケースがみられた。


「志願倍率」に惑わされず、「実質倍率」に注目しよう

志願倍率と実質倍率の違い それでは、私立大一般入試の合格状況を見ていこう。中でも倍率の変化は、「難化・易化」を計る物差しとなるため、受験生にとっては最も気になるところ。ここで注意したいのは、一般的に使われる「倍率」には、次の2通りあることだ。
*志願倍率=志願者数÷募集人員=見かけの倍率
*実質倍率=受験者数÷合格者数=実際の倍率
 私立大入試の場合、合格者の入学手続率を考えて、一般入試では募集人員の3~5倍程度、セ試利用入試では5~10倍程度の合格者を出すのが普通だ。
 グラフ6で青山学院大‐理工の例を見てみよう。一般入試の志願倍率(14.5倍)に対し、合格者を募集人員の約4倍出しているため、実質倍率は3.4倍となる。また、セ試利用入試の志願倍率は何と64.4倍という超高倍率だが、合格者を募集人員の約15倍も出しているため、実質倍率は4.4倍におさまっている。これなら「とても手が出ない」という倍率ではないだろう。
 見かけの倍率に惑わされることなく、実際の倍率を志望校選びのデータとして活用してほしい。


受験者7%増に対し、合格者1%増。早稲田大・関西大が倍率大幅アップ

19年私立大一般入試 地区別受験者・合格者動向「螢雪時代」が私立大一般入試の受験者数・合格者数について調査したところ、正規合格者まで発表した112大学の集計(3月中旬現在)では、受験者数は7%増えたが、合格者数は1%増に留まった(グラフ7)。そのため、実質倍率(以下、倍率)は全体で18年3.3倍→19年3.5倍にアップした。
 私立大が集中する大都市圏の集計をみると、京阪神地区で受験者増に対し、合格者を減らしているのが注目される。そして、倍率は首都圏で4.1倍→4.3倍、京阪神も3.3倍→3.7倍にアップした。この集計は2月入試の結果が大部分を占め、大学数は全体の約2割なので一概には言えないが、倍率面からは私立大入試は「やや難化」したとみていい。
 以下、おもな大学で倍率がアップしたケースをあげてみる(いずれも2月入試中心の大学合計)。

首都圏…慶應義塾大4.5倍→4.9倍、明治大4.6倍→5.3倍、早稲田大5.5倍→6.8倍 
京阪神…京都産業大3.4倍→3.9倍、同志社大3.1倍→3.3倍、龍谷大3.4倍→4.4倍、関西大4.5倍→5.5倍、関西学院大3.2倍→3.5倍、甲南大3.8倍→4.3倍

 難関校ではここ数年、合格者の定着率(入学手続率)が良好であるという。このため、入学者の学力レベルを維持する目的もあって、志願者が増えても合格者を絞り込んでいるようだ。例えば、早稲田大では志願者13%増に対し、合格者数は前年比10%も減らしている。慶應義塾大でも、志願者3%増に対し合格者数は7%減。京阪神では、関西大が一般入試全体の志願者22%増に対し、合格者数を1%増に抑え、龍谷大では志願者5%増に対し、合格者数を前年比17%も減らしている。
 多摩大附属聖ヶ丘高の石飛一吉先生は「今年は早慶や上智大・法政大・明治学院大が難化したようです。また、國學院大・駒澤大の受験者も意外に苦戦しました」と語る。また、兵庫県立夢野台高の宮城達夫先生も「立命館大と関西大の文系学部は難化したようです。しっかりした学力が必要で、ラッキーパンチはなかったといっていいでしょう」と語る。 
(なお、学部や日程・方式ごとの入試結果については、「螢雪時代・5月号」にてご覧いただきたい。また、webサイト「パスナビ」でも、近日掲載予定。)


ボーダーライン付近は激戦。明暗を分ける1点の重み

ボーダーライン付近の人数分布:関西大・法<A日程>の例(19年入試)高校生の中には、ふだんの定期テストで「1点ぐらい…」と考える人もいることだろう。しかし、入試本番では、その「1点」が重要な役割を果たす。
 グラフ8に、関西大学法学部(A日程)の19年入試結果から、ボーダーライン付近の人数分布を示した。同学部には法律・政治の2学科あるが、出願時に第2志望学科まで出すことができる。19年の場合、合格最低点は450点満点で法律学科が273点(得点率60.7%)、政治学科が268点(得点率59.6%)だった。政治学科の場合、最低点ぴったりのボーダーライン上にいるのは23人。わずか1点差で不合格になった人は27人もいる。合格ライン付近には、同じ得点帯の中に、多くの受験生がひしめき合っているのだ。
 高校生は、単語のスペルミスや、簡単な計算間違いなどのケアレスミスが命取りになる、という現実を知った上で、日常の学習を進める必要がある。


このページの先頭へ

<推薦入試・AO入試の志願・合格状況>
公募制推薦は倍率ダウンでやや易化、AO入試の倍率はほぼ前年並みと安定

このページの先頭へ

一般入試に先立って行われた「公募制推薦」とAO入試。「螢雪時代」の集計では、公募制推薦は「志願者1%減、合格者7%増」で、やや易化した模様。一方、AO入試は「志願者18%増、合格者21%増」となり、倍率はほぼ18年並みと安定していた。


推薦は経済・法・医療系が志願者増。AOは志願者18%増,合格者21%増


19年私立大公募制推薦入試 地区別志願者合格動向【公募制推薦】「螢雪時代」では、私立大の公募制推薦について、19年入試結果の調査を行ったところ、昨年12月末現在の集計データ(178校:志願者数=約15万6千人)では、志願者数は1%減と、ほぼ18年並みを保った。
 ちなみに指定校推薦(集計数:約1万人)の志願者は前年比2%増。AO入試も含め、より競争率の低い方法で「実力相応」と思う大学に合格を決めたい層と、あくまで一般入試で難関校を狙う層に、受験生の二極化が進んでいるようだ。
 学部系統別では、経済・法・医療系が人気アップし、福祉系と薬が人気ダウン。地区・大学ごとの志願状況をみると、首都圏・京阪神ともに微増で、駒澤大(16%増)・早稲田大(17%増)・近畿大(22%増)の志願者増、東海大(25%減)・東京農業大(17%減)・神戸学院大(15%減)の志願者減が目立つ。
 一方で、合格者数は私立大全体で7%増えたため、倍率(ここでは志願者数÷合格者数)は18年2.6倍→19年2.4倍とダウン。特に京阪神では合格者を多めに出す傾向が強く、倍率は18年3.3倍→19年3.0倍とダウン。倍率面を見る限り、関西を中心にやや易化したといえる。

【AO入試】AO入試は私立大の70%(395大学)で実施。19年は東京薬科大、神奈川大など16大学で導入した。さらに、実施学部の追加(日本大-生物資源科学、関西学院大-文など)や募集枠拡大も目立った。
 そのため、私立大のAO入試の志願者数は、昨年12月末現在の集計(113大学:志願者数=約2万4千人)では、前年度より18%も増加した。一方、合格者数も21%増えたため、倍率は2.1倍で前年とほぼ変わらず、全体的に安定した入試だった。新規実施学部では、立命館大‐映像(8.4倍)、関西学院大‐文(9.0倍)が高倍率の激戦となった。


このページの先頭へ

<20年の私立大入試情報を速報!>
慶応義塾大と共立薬科大が統合。
明治大・同志社大など、難関大で新学部が続々登場!

このページの先頭へ

ここまで、19年入試の志願状況や合格状況について、どんな要素が入試に影響したかを見てきた。現在の高校3年生が受験する20年入試では、大学同士の統合や、“ブランド大学”で相次ぐ学部増設など、私立大はますます変貌を遂げていく。


推薦は経済・法・医療系が志願者増。AOは志願者18%増,合格者21%増

20年度:大学統合の例(慶應義塾大と共立薬科大)ここからは20年入試について、現時点(3月下旬)で公表されている大学・学部の新設や、セ試利用入試の新規実施といった注目ポイントを紹介する。
 志願者が大幅に増えた翌年は、反動で志願者が減少することが多い。20年私立大一般入試では、セ試の難化・易化にもよるが、19年ほどの志願者増は考えにくい。ただし、難関大には引き続き人気アップの要因がある。それは国公立大の「前期集中化」だ。
 東京大で後期の募集枠を3分の1に削減、名古屋大で後期を全廃、東北大でも4学部で後期を廃止するなど、20年入試でも後期日程の廃止や募集枠縮小を行う国公立大が続出。受験機会の「1回化」が進み、一方で後期を行う大学・学部の難化が予想され、私立大難関校の併願を増やす傾向が強まろう。


首都圏は国際関係、京阪神は理工系の学部増設が目立つ

【大学の統合】慶應義塾大と共立薬科大の統合が注目される。後者は「慶應義塾大-薬」となる(上の図を参照)。東海大では系列の北海道東海大(3学部)と九州東海大(3学部)、さらに短大部の一部を統合。「新:東海大」は20学部87学科を擁し、学部数では日本で最多となる。また、武蔵工業大では東横学園女子短大を統合し、都市生活・人間科学の文系2学部を新設し、総合大学となる予定。

【大学の新設】桐生大・東都医療大・信州佐久大・北陸学院大・神戸常盤大・福岡女学院看護大(いずれも仮称)などの開設が予定されている。北陸学院大を除く5大学は、いずれも医療・看護系統だ。

【学部の増設】19年に続き、大都市圏の総合大学で学部増設が相次ぐ。首都圏では、法政大がグローバル教養・スポーツ健康の新設と、工学部の改編(理工・生命理工の2学部に分割)を予定。明治大は国際日本学部、立教大も異文化コミュニケーション学部の新設を予定している。京阪神では、同志社大が生命医科学・スポーツ健康科学、立命館大が生命科学・薬の、いずれも医療に関わる2学部を新設予定。特に生命科学は受験生の関心が高い分野だけに、多くの志願者を集めそうだ。また、京都産業大がコンピュータ理工学部、甲南大が知能情報学部、関西学院大で人間福祉学部を増設予定。こうした“ブランド大学”の積極的な規模拡大は、さらにブランド力を高める効果を生み、人気アップを加速しよう。

【その他の変更】関西学院大では、一般F・A日程(3教科)以外に、別日程で「関学独自入試」を新たに実施。法・経済・商で「英数型」、神・総合政策で「英語・小論文型」、そして、神を除く全学部で一般・セ試併用型入試を実施する予定だ。


青山学院大-文、日本大-生物資源科学などがセンター利用を新規実施

20年入試からセ試を初めて利用する大学は、昨年12月の文部科学省の発表では、武蔵野美術大など6大学(6学部)。すでにセ試を利用している大学でも、青山学院大-文、日本大-生物資源科学、立命館大-映像など5大学5学部が、新たにセ試利用入試を行う。これで、セ試を利用する私立大は456大学1,254学部(19年1月現在)となり、大学数では全私立大の8割超(81%)を占める。
 私立大では「セ試2~3科目、個別試験なし」が一般的で、20年度の新規利用大学・学部でもそのパターンが多いが、立命館大‐映像では3教科型とともに「4教科型」を実施する。
 なお、セ試の新規利用大学・学部については、年2回発表される。4月中にも2回目が発表される予定で、セ試を利用する大学・学部はさらに増加する。


難関校合格への早道は3教科対策とセ試の活用にあり!

私立大入試は選抜方法が多様かつ複雑なので、志望校選びの際に迷うこともあろう。受験生は正確な情報をすばやく手に入れた上で、私立大、中でも難関大は「3教科入試」が基本であることを肝に銘じておきたい。
 科目数の少ない方式は一見魅力的だが、得意科目を生かして試験に臨む受験生が集中するので、それだけ激戦化し、合格ラインも高めになる。早いうちから1~2教科に絞らず、まずは不得意科目を克服し、得意科目で失敗してもカバーできる体制を整えるのが、 私立大難関校合格への早道だ。さらに、国公立大志望でなくとも、セ試を受験しておくこと。セ試利用入試を上手に活用して、“あこがれ校”をぐっと手元に引き寄せたい。


(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2007年5月号)」より転載いたしました。

このページの先頭へ