入試動向分析

2022年 国公立大入試 変更点速報
 【2021年4月】


2022年国公立大入試の志願動向に影響しそうな変更点を速報する。
入試改革2年目のため変更が少なく、波静かな入試となりそう。
最大の変更は大阪市立大と大阪府立大の統合による「大阪公立大」開設だ。

※この記事は『螢雪時代・2021年5月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・訂正を施した)

大阪市立大・府立大が統合、「メガ公立大」が誕生!?
前橋工科大・三条市立大で中期日程を新規実施!

このページの先頭へ


北海道大で総合型選抜を拡大
奈良女子大で工学部を増設

2022 年(以下、22 年)国公立大入試の特徴と、志願動向に影響しそうな変更点を見ていこう。
 「入試改革」初年度となる21年入試では、一般選抜も学校推薦型・総合型選抜も変更点が数多く、しかもコロナ禍の影響で、選抜要項発表後もたびたび変更され、中には取りやめる方式もあるなど、受験生は翻弄された。
 その反動もあり、22年入試では募集人員の増減、科目の変更などは少ない。その点は、落ち着いて対策に取り組める環境といえる。



①学校推薦型・総合型選抜の導入・廃止
【学校推薦型】群馬大-医(医)では「共通テスト(以下、共テ)を課さない→課す」に移行する。
【総合型】北海道大で、従来の総合型を「フロンティア入試」としてリニューアル、共テを課す「TypeⅠ」、課さない「TypeⅡ」の2種類あり、募集枠の合計は「54人→144人」と前年より大幅に増えた。また、富山大-医(医)、長崎大-歯で共テを課す総合型を、福島県立医科大-医、島根県立大-看護栄養で共通を課さない総合型を新規実施。この他、埼玉大-経済で総合型を復活(21 年度は実施取りやめ)する。



②新増設・改組
 新増設や改組で注目すべき事例は、何といっても、大阪市立大と大阪府立大が統合・改組して開設される「大阪公立大」だ(下の図を参照。以下、新設大学・学部等の名称は仮称)。
 大阪市立大の8学部と大阪府立大の4学域を統合し、11学部1学域を設置する。キャンパスは大阪府内に計5か所。全国最大規模の「メガ公立大」の誕生は、中~西日本全体の志望動向を揺るがすのは必至で、22年入試の「台風の目」と言っても過言ではない。
 この他、川崎市立看護短大を母体に、川崎市立看護大が開設予定。前橋工科大-工では、従来の6学科を2学群(6プログラムで構成)に統合・改組し、夜間主開講を廃止する予定だ。
 国立大では、奈良女子大で工学部を増設予定。女子大初の工学部として注目される。また、宮城教育大-教育では、教員養成課程を「3→1」に統合し、4専攻を設置する。

大阪市立大学と大阪府立大学の統合・名称変更


③日程・募集人員の変更
 一般選抜の日程変更では、北海道大-医(保健)、富山大-医(医)、長崎大-医(保健)・薬、島根県立大-人間文化の後期募集停止、前橋工科大-工の「後期→中期」への移行、21年新設の三条市立大(21 年入試は共テを課さない別日程実施)の前期・中期の新規実施が注目される。
 募集人員の変更では、上記の後期募集停止もあわせ、北海道大・千葉大・宮崎大など、医学科で定員減や募集人員減の予告が続出している。深刻な医師不足の対策として実施された「臨時定員増」が期限を迎えたためで、最終的には再申請すると見られるが、人数を減らして申請する可能性もあるので要注意だ。



④入試科目の増減など
 学部単位の大規模な変更は少ない。その中で注目されるのは長崎大-工の前期の変更。共テ・2次の配点により、a方式(共テ重視)・b方式(2次重視)に複線化する。
 この他、一橋大が全4学部で2次の地歴等の選択から「倫理、政治・経済」を除外。信州大-教育の前期で2次に面接を追加。名古屋大-農の前期で2次に国語を追加。大阪大-基礎工の前期で、2段階選抜の予告倍率を「募集人員の約3.0 倍→約2.9 倍」に引き締める。
 金沢大-理工学域の前期では、全7学類の共テの英語で、英語外部検定が利用可能になる。


以下から、2月末までに判明した「2022年国公立大入試の主な変更点」を掲載した。さらに今後、各大学が6~7月に発表する「選抜要項」(入試の概略を紹介した冊子)、10~12月に発表する「募集要項(出願書類を備えた正式な入試要項)」などで必ず確認してほしい。



【ここポイント!】
変更少なめ。落ち着いて準備を!
後期縮小、総合型の拡大が続く
選抜要項などで必ず確認!


このページの先頭へ

2022年国公立大入試の主な変更点(速報)

このページの先頭へ


[変更点の見方] 2月末までに判明した変更点のうち、一部を掲載した。以下の一覧で、新設・改組以外の学部(学科等)名は略称で、【前】=前期日程、【後】=後期日程、 【中】=公立大中期日程、[昼]=昼間コース、[夜]=夜間主コース、共テ=大学入学共通テスト、個別=個別試験(2次試験)、共テ免除=共テを課さない、推薦型=学校推薦型選抜、総合型=総合型選抜、の略。新設大学および増設学部・学科等の名称は仮称で、設置構想中を含む。国公立大の「一般選抜の科目等の変更」は、共テについては原則として、科目数の変更を掲載した。共テの科目数は、理科が基礎(2科目)・発展いずれも選択可の場合など、例えば「6または7科目」と表示した。
 なお、医学部(医学科)の定員減や募集人員減は、今後の定員増の再申請によって変更の可能性がある。


●新増設・改組
(設置構想中を含む)

《公立大学の新設》
川崎市立看護大  看護学部の1学部1学科で開学予定(所在地:神奈川県川崎市)

《公立大学の統合・名称変更》
大阪公立大  大阪市立大(8学部)と大阪府立大(4学域)を統合し、「大阪公立大学」を開学予定(上の図も参照)。文・法・経済・商・理・工・農・獣医・医・看護・生活科学の11学部と現代システム科学域を設置する(看護学部と心理学類を新設)。キャンパスは大阪府大阪市(2か所)・堺市・泉佐野市・羽曳野市の計5か所。

《学部等の増設・改組》
宮城教育大  教育学部で初等教育・中等教育・特別支援教育の各教員養成課程を統合し、「学校教育教員養成課程」に改組。初等教育、中等教育、芸術体育・生活系教育、特別支援教育の4専攻を設置する予定
奈良女子大  工学部を開設予定(生活環境学部生活文化学科・情報衣環境学科を募集停止予定)
宮城大  食資源開発学類を「生物生産学類」に改組予定
前橋工科大  工学部を「6学科→2学群(建築・都市・環境工学群、情報・生命工学群)6プログラム」に改組予定。夜間主開講を廃止し、昼間開講に統一
福井県立大  海洋生物資源学部に「水産増養殖学科」を増設予定
愛知県立芸術大  美術学部デザイン・工芸学科に「メディア映像専攻」を増設予定

●一般選抜の日程変更
《「後期日程募集停止」の大学・学部等》
北海道大  医(保健)
宮城教育大  教育(学校教育=中等教育)
千葉大  医(医=地域枠)
富山大  医(医)
長崎大  医(保健)・歯
熊本大  文(コミュニケーション情報)
宮崎大  教育(小中一貫教育=中学校主免)
島根県立大  人間文化
名桜大  人間健康(看護)

《「中期日程新規実施」の大学・学部等》
前橋工科大  工(←後期から移行)
三条市立大  工

●募集人員の変更
北海道大  総合理系=前期1,112人→1,079人/理=後期66人→50人、総合型5人→46人/医(医)=前期97人→92人/医(保健)=前期142人→136人、後期18人→募集停止、総合型11人→35人/工=後期151人→139人、総合型8人→33人
千葉大  医=前期一般枠82人→80人・地域枠15人→5人、後期一般枠15人、後期地域枠5人→募集停止
東京農工大  工=前期279人→272人、総合型22人→29人
富山大  人間発達科学(発達教育)=前期52人→62人、後期20人→10人/ 医( 医)= 前期60人→70人、後期20人→募集停止、総合型10人(新規)
山口大  教育=前期141人→126人、推薦型19人→44人、総合型20人→10人
愛媛大  医(医)=地域特別枠推薦20人→5人
香川大  創造工=前期184人→183人、後期49人→55人、推薦型46人→47人、総合型51人→45人
長崎大  工=前期224人→210人(a方式160人・b方式50人)、後期50人→53人、総合型33人→37人、推薦型23人→30人
熊本大  医(医)=前期90人→87人、推薦型20人→23人(一般枠15人→5人、熊本みらい医療枠10人<新規>、地域枠5人→8人)
宮崎大  医(医)=前期50人→ 45人、後期20人→15人
琉球大  医(医)=共テを課す推薦型17人→5人
福島県立医科大  医= 前期80人→75人、総合型5人(新規)

●一般選抜の科目等の変更
北海道大  [個別]文【後】=総合問題→小論文
山形大  [個別]地域教育文化(児童教育)【前】【後】=小論文→総合問題/理【前】=選択に総合問題を追加
宇都宮大  [共テ]共同教育(教育人間科学系、人文社会系)【前】=8科目→6または7科目/同(自然科学系)【前】=7または8科目→7科目/同(芸術表現・生活・健康系)【前】=6科目→5または6科目
群馬大  [共テ]共同教育(自然科学系=数学・技術)【前】=6→7科目/同(自然科学系=理科)【前】=7または8科目→7科目/同(芸術表現・生活・健康系=家政・保健体育)【前】=6または7科目→5または6科目
埼玉大  [個別]教育(小学校=音楽・体育、中学校=国語・音楽・保健体育)【前】=面接(口頭試問を含む)を追加
一橋大  [個別]商【前】・経済【前】・法【前】・社会【前】=地歴等の選択から「倫理、政治・経済」、ビジネス基礎を除外
富山大  [共テ]人間発達科学(発達教育)【後】=6または7科目→4科目。[個別]同(発達教育)【前】=小論文→「国語・数学・英語から1」/同(発達教育)【後】=小論文→面接
金沢大  [共テ]理工学域【前】=全7学類の英語で、英語外部検定が利用可能に
信州大  [個別]教育【前】=面接(口頭試問を含む)を追加/理(生物学)【前】=面接→生物、調査書を新たに点数化(50点)
静岡大  [共テ]工【前】【後】=理科の選択から生物・地学を除外
名古屋大  [個別]農【前】=国語を追加
三重大  [個別]教育【前】【後】=教員志望確認書を総合評価
大阪大  [2段階選抜]基礎工【前】で予告倍率を「募集人員の約3.0倍→約2.9倍」に引き締める
大阪教育大  [個別]教育(学校教育=特別支援教育)【後】=面接を追加
鳥取大  [個別]工(化学バイオ系)【前】=理科の選択に物理を追加
岡山大  [個別]教育(養護教諭)【前】=ペーパーインタビュー(面接に代わる筆記試験)を追加
広島大  [共テ]歯(口腔健康科学=口腔工学)【前】【後】=6→7科目(数学・理科から3科目→数学・理科各2科目)
徳島大  [個別]生物資源産業【前】=総合問題→化学
高知大  [個別]農林海洋科学(海洋資源科学=海底資源環境学)【前】=理科→面接/理工(生物科学)【後】=小論文→面接
九州大  [個別]芸術工(未来構想デザイン)【前】=理科(2科目)で、物理が「必須→選択」に
長崎大  [実施方法]工【前】=共テ・2次の配点により、a方式(共テ重視)・b方式(2次重視)に複線化(募集人員=a方式160人・b方式50人)。配点は「a方式=共テ600点・2次420点、b方式=共テ300点・2次720点」。 [個別]教育(中学校=数学・理科)【前】=英語を追加
宮崎大  [共テ]教育(小中一貫教育=理系型)【前】=7または8科目→7科目/農(森林緑地環境科学)【前】【後】、同(海洋生物環境)【後】=6科目→7または8科目。 [個別]教育(小中一貫教育=理系型)【前】=理科→「国語・英語から1」/医(医)【前】=理科2科目を追加/医(医)【後】=理科を除外
川崎市立看護大  [個別]教育(中等教育=美術)【前】=美術(筆記)を除外
鹿児島大  [実施方法]看護=22年新設予定。共テを課す前期・後期で実施予定
三条市立大  [新規]理工【前】 【中】=共テ4教科6科目(数学・理科各2科目)、個別は数学・物理・英語
滋賀県立大  [共テ]環境科学(生物資源管理)【後】=5→4科目。[個別]同(生物資源管理)【前】【後】=数学を除外、理科1→2科目
京都市立芸術大  [個別]音楽(音楽学)【後】=実技を除外
島根県立大  [実施方法]看護栄養(看護)【前】=「島根県地域枠」を新設(募集20人)
岡山県立大  [共テ]デザイン(ビジュアルデザイン)【前】=4または5科目→4科目/同(建築)【前】=5または6科目→5科目
名桜大  [個別]国際学群【前】【後】=英語を追加/人間健康(看護)【前】、同(スポーツ健康)【後】=総合問題を追加/同(スポーツ健康)【前】=グループワークを追加

●推薦型・総合型選抜の変更
北海道大  従来の総合型を「フロンティア入試」としてリニューアルする。フロンティア入試はTypeⅠ(共テを課し、高校等に行ける多様な活動を、各募集単位の定める評価軸にそって高校の先生が評価する「コンピテンシー評価」を導入)と、TypeⅡ(共テ免除、適性試験を課す)がある。TypeⅠは理(地球惑星科学)・医(医、保健)・歯・工(応用理工系=応用マテリアル工学、環境社会工=社会基盤学)・水産で実施(計78人)、TypeⅡは理(数学、物理、化学、生物科学=高分子機能学)・工(応用理工系=応用物理工学、機械知能工、環境社会工=環境工学)で実施(計66人)。このうち、理(数学、物理、化学、生物科学=高分子機能学)、医(保健=放射線技術科学、検査技術科学、理学療法学)、工(機械知能工)は総合型自体が新規実施
宮城教育大  教育(芸術体育・生活系)で総合型を新規実施(一般枠は共テを課す、地域定着枠は免除)/教育(初等教育)の推薦型で「宮城県内定着枠」を新規実施
群馬大  医(医)で推薦型を「共テ免除→課す」に変更
埼玉大  経済で総合型を復活(21年度は中止)
東京海洋大  海洋生命科学(海洋生物資源)で、専門・総合学科対象の総合型を推薦型に変更
東京農工大  工(機械システム工)で共テ免除総合型を新規実施
富山大  医(医)で共テを課す総合型を新規実施
福井大  教育の共テ免除推薦型で、福井県南部を対象とする「嶺南地域枠」を新設(入学後は「福井県嶺南地域枠教育プログラム」を受講)
京都工芸繊維大  地域創生techProgramで共テを課す推薦型を新規実施
岡山大  理で総合型(物理チャレンジ)を廃止
山口大  教育(小学校教育、情報教育、教科教育=数学以外)で共テを課す推薦、同(教科教育=数学)で共テ免除推薦を新規実施
福岡教育大  教育(特別支援教育=初等教育)で推薦型を「共テ免除→課す」に変更
長崎大  歯で共テを課す総合型を新規実施
熊本大  医(医)の共テを課す推薦型で、「熊本みらい医療枠」を新設
宮崎大  医(医)の推薦型で一般枠(募集15人)を廃止し「全国地域枠」を導入(募集15人)/教育(小中一貫教育=小学主免)で共テを課す推薦型を廃止し、同(宮崎県教員希望枠)を新規実施。また、同(中学主免)で共テ免除推薦(専門学科枠)と共テを課す総合型を廃止し、共テを課す推薦型を新規実施
福島県立医科大  人間文化(地域文化)で共テ免除推薦型(県内推薦)を新規実施/看護栄養で、総合型と県内高校対象の「連携校推薦」(いずれも共テ免除)を新規実施し、専門高校等推薦を廃止
北九州市立大  外国語(国際関係)の推薦型で、特別推薦(語学重視推薦)を廃止

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2021年5月号)」より転載いたしました。

このページの先頭へ