入試動向分析

2018年 私立大入試 志願者動向分析
 【2018年5月】

中央大・立教大・関西大など、文系を中心に志願者大幅増!

2018年私立大入試について、難関私立大の一般入試を中心に、人気度を示す「志願者動向」と、難易変動の指標となる「実質倍率」について見ていく。また、2019年入試の最新情報も紹介する。

※この記事は『螢雪時代・2018年5月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

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国立の「文系縮小」、推薦・AOの難化、英語外部検定利用の増加などが影響。
“合格者絞り込み”に備え併願増か

2018年私立大一般入試(おもに2月入試)の志願者数は、前年比7%増加した。定員増に加え、国立大の「文系縮小」や一般入試枠縮小などが私立大に“追い風”となり、推薦・AO入試の難化で一般入試へ再チャレンジ組が押し寄せた模様だ。学部系統別では、経済・文・社会など、文系の全面的な志願者増が目立った。

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受験生数は前年並みだが、一般入試の志願者は7%増

旺文社では、学部学生の募集を行う全国の私立大学(583大学。通信制を除く)に対し、2018年(以下、18年。他年度も同様)の一般入試の志願者数を調査した。3月中旬現在で集計した確定志願者数のデータは「204大学:約316.5万人」にのぼる。この集計は2月に行われた各大学の独自入試(大学が独自の試験問題等で行う入試)とセンター試験(以下、セ試)利用入試を主な対象とし、2月下旬~3月の「後期募集(セ試利用含む)」も集計に一部加えた。
 その結果、私立大一般入試の志願者数は、17年の同時期に比べ約7%増加したことがわかった。今後発表される大学の志願者数を加えても、最終的に私立大の一般入試志願者数は「6%程度の増加」に落ち着きそうだ(グラフ1)。
 18年の4(6)年制大学の受験生数は、本誌の推定では17年とほぼ同数の見込み。それにも関わらず、私立大の志願者数は前年同時期(8%増)のような勢いで増えたことになる。
 ただし、複数の入試日程・方式等を合計した「延べ志願者数」なので、学内併願などの重複を除いた実質的な志願者数は、見かけほど増えていないものと見られる。

グラフ1.私立大一般入試志願者数と大学受験生数の推移


「定員管理の厳格化」と推薦・AOの難化が影響大

私立大一般入試の志願状況を方式別に見ると(グラフ2)、大学の独自入試が5%増、セ試利用入試も9%増と、いずれも増加。また、独自・セ試併用型(独自入試の指定科目と、セ試の高得点または指定科目を合計して判定)も13%増。セ試利用を軸に志願者が増えたことになる。前年に続き、志願者が大幅に増えた理由として、8つのポイントが挙げられる。

(1)国立大の「文系縮小・一般枠縮小」
 ここ3年続く国立大の「文系・教員養成系学部の縮小」は、国立大文系志望者の出願に影響を及ぼした。好調な就職事情に伴う文系人気の高まりに対し、文系志望者の受け皿が不足し、国立大文系志望者が私立大文系学部への併願を増やしたものと見られる。また、国立大の推薦・AO入試拡大に伴う一般枠縮小(主に後期)も、私立大への併願増につながった模様だ。

(2)セ試受験者の中で私立型が増加
 セ試の受験者の構成をみると、国公立型の「7~8科目」受験者が0.2%減少したのに対し、私立型の「3~4科目」受験者が3.8%増えた。これが、私立大セ試利用入試の大幅増のベースとなった。

(3)セ試の2年連続の難化
 18年のセ試では、英語リスニング、生物の平均点がダウン(=難化)し、国語の平均点も小幅ながら2年連続でダウン。文系・理系ともに、国公立大志望者の得点が伸び悩み、私立大への併願を増やした模様だ。そして、国公立大志望者は私立難関~中堅上位校を主な併願先とするため、私立大専願者は押し出されて中堅校の併願を増やしたと見られる。

(4)定員管理の厳格化
 大都市圏の、定員規模の大きな大学に対し、16年から「定員管理の厳格化」が始まった。18年は定員超過率が16・17年以上に抑制され、補助金が交付されなくなるラインは、大規模校(収容定員8千人以上)で「17年1.14倍→18年1.10倍」、中規模校(同4千人~8千人)で「17年1.24倍→18年1.20倍」となった。受験生が合格者絞り込みによる難化を警戒し、併願校を増やす傾向が強まったものと見られる。

(5)推薦・AO入試の難化
 秋の公募推薦・AO入試の段階から私立大人気が高まり、しかも合格者を絞り込む傾向が強まったため(後述)、関西地区を中心に、推薦不合格の“再挑戦組”が2月の一般入試に大量流入した模様だ。
 一方、セ試利用も含めた3月入試の志願者は2%増と、前年同時期(11%増)より小幅だった。募集が少なく高倍率になりがちな3月入試を考えず、レベルを落とした併願増で現役合格確保を狙う受験生が多かったと見られる。

(6)定員の大幅増
 「定員管理の厳格化」への対応として、私立70大学で7千人超の定員増を行った。前年(9千人増)に続く大規模な定員増は、あらかじめ前年と同程度の入学者を確保することで、定員超過率を抑え、倍率の大幅アップも防ぐのが目的であり、大学によっては志願者増の要因となった。しかし、定員増を行った大学でも、合格者を絞り込むケースが17年入試で多く見られたため、受験生が警戒。定員の増加率ほど志願者が増えないケースが多く、前年並みに留まったり、かえって減少したりした大学(東北学院大・日本女子大・福岡大など)もあった。

(7)既卒者(浪人)の増加
 センター試験の志願者は1.2%増加したが、既卒者(浪人)が4.9%増と、2年連続で増加した。16年からの「合格者絞り込み」の影響で、既卒者がかなり増えた模様。現役生より多く併願するため、志願者増の一因といえる。

(8)英語外部検定利用の導入
 一般入試で独自試験やセ試の英語の代わりに、「英語外部検定」を利用できる入試方式を行う大学・学部が増えた。2021年からセ試の後継として実施される予定の「大学入学共通テスト」でも、英語外部検定が利用されることから関心が高まり、中央大・法政大・立教大などで、検定利用する入試方式は志願者大幅増となった。

グラフ2.2016年私立大一般入試 方式別志願状況(201大学:旺文社集計)


経済・文・社会など文系は全面増加。理系は理工が増、医・薬・農が減少

全国6地区ごとの志願動向を見ると(グラフ3)、関東・甲信越、関西と、大都市圏を含む地区の増加が目立った。一方、北海道・東北、中国・四国はわずかながら減少した。大都市圏の大学で相次いだ定員増と、就職事情を考え、地方受験生の大都市圏志向がやや強まり、主にセ試利用入試で併願を増やしたものと見られる。
 次に学部系統別の志願状況を見てみよう(グラフ4)。良好な就職状況を反映し、経済・経営・商、文・教育・教養、社会・社会福祉の大幅増など、文系学部の志願者は軒並み増加した。一方、理系学部は理・工、家政・生活科学、新増設の相次いだ医療・看護に限り増加したが、農・水畜産・獣医、医、薬は減少するなど、文系ほどの勢いはなかった。
 文系分野の全面的な増加は、前述の国立大「文系縮小」も“追い風”になった。特に、募集人員の多い経済系の大幅増が、私立大全体の志願者数を押し上げた。一方、医は連年の難化でやや敬遠され、農・水畜産・獣医と薬は、セ試の生物の難化も影響した模様だ。 

グラフ3.2016年私立大一般入試 地区別志願状況(201大学:旺文社集計)

学部系統別の志願状況


「MARCH」「日東駒専」「産近甲龍」がそろって増加

ここから、大学ごとの志願状況を見ていこう。表1では、志願者数(大学合計:3月中旬現在)の多い順に、上位20大学を示した。
 15万人台に乗った近畿大をはじめ、昨年に続き、6大学で志願者数が10万人を超えた。20位までの志願者の合計は、全体(204大学:約316.5万人)の約52%と過半数を占める。
 表1以外の大学も含め、首都圏や京阪神の難関~中堅上位校の増加ぶりが顕著だ。
 首都圏では、中央大(19%増)・東洋大(14%増)・立教大(15%増)の大幅増をはじめ、駒澤大(8%増)・東京理科大(6%増)・日本大(2%増)・法政大(3%増)・明治大(6%増)・早稲田大(2%増)など軒並み志願者増。いわゆる「MARCH」「日東駒専」がそろって増加した。
 中央大は、前年に定員増(全学で約8%増)を行いながら、志願者減で倍率ダウン(4.4倍→4.3倍)したため、反動で狙われた模様。また、一橋大‐法・社会が後期を募集停止した影響で、難関国立大志望者が併願を増やしたものと見られる。一方、慶應義塾大は3%減、難化したままの高止まりが敬遠された模様だ。
 京阪神では、京都産業大(17%増)の大幅増をはじめ、龍谷大(6%増)・近畿大(6%増)・甲南大(6%増)と、いわゆる「産近甲龍」がそろって増加。また、いわゆる「関関同立」では、関西大(9%増)が大幅増、定員増(全学で約5%増)を行った同志社大(4%増)、食マネジメント学部を増設した立命館大(2%増)も増える一方、関西学院大(2%減)のみ減少した。関西大は政策創造など5学部の入試変更(新方式実施や科目軽減)が要因となり、関西学院大は前年の大幅な合格者絞り込み(志願者14%増・合格者10%減)が敬遠されたものと見られる。
 表2では、志願者1,000人以上の大学について、増加率が高い順に上位20大学を示した。1位の大谷大(127%増)、10位の日本工業大(42%増)は、1学部体制から3学部に分割する、全学規模の改組が要因となった。
 諏訪東京理科大(49%増)は、4月から「私立→公立」に移行したが、昨年の長野大ほど爆発的な増加(約7倍増)とはならなかった。すでに昨年、公立化の期待から志願者が倍近くに増加していたのと、学部の統合(工・経営情報→工)、入試科目増を行ったためと見られる。
 聖心女子大(47%増)の大幅増も特筆される。定員増に加え、3教科方式を配点の異なる2タイプに分け、併願割引制度も導入。総合小論文方式で英語外部検定利用を可能にするといった入試改革が要因となった。
 なお、東京都市大・京都外国語大・大阪経済法科大も、英語外部検定利用が増加要因の一つになった模様だ。


学部系統別の志願状況


学部系統別の志願状況


上智大・学習院大などが増加、慶應義塾大・南山大などが減少

ここまで紹介した以外の大学を中心に、各地区の志願状況(おもに2月入試)を見てみよう。

①首都圏地区
 上智大(7%増)は、全学部統一日程の「TEAP利用型入試」(英語検定試験「TEAP」の受験が必須、各学科が設定した基準点を出願資格とし、英語以外の2教科で合否判定)が47%増と人気を集め、従来型の一般入試の微減(1%減)をカバーした。昨年から全学部・学科で「4技能」利用に移行したが、英語外部検定で4技能判定が標準化したことが追い風になった模様。また、学習院大(11%増)は、全学部(一部学科を除く)で「コア試験日・プラス試験日」を設定、一般入試の募集を「1→2回」に増やしたことが大幅増の要因となった。
 この他、準難関~中堅上位校では、芝浦工業大(8%増)・成城大(27%増)・津田塾大(24%増)・東京女子大(19%増)・武蔵大(8%増)・明治学院大(13%増)など軒並み志願者増。一方、志願者減は國學院大(1%減)・成蹊大(10%減)・日本女子大(7%減)など少数に留まる。
 また、中堅グループでも、獨協大(23%増)・国士舘大(12%増)・大東文化大(22%増)・東海大(6%増)・東京都市大(52%増)など、安全志向による志願者増が目立つ。一方、志願者減は、工学院大(9%減)・東京電機大(2%減)・東京農業大(7%減)など、やはり少数に留まる。


●TEAPとは?
TEAP(Test of English for Academic Purposes:4技能型アカデミック英語能力判定試験)とは、上智大と日本英語検定協会が共同開発した、大学で学習・研究を行う際に必要とされる総合的な英語運用力(英語で資料や文献を読む、講義を受ける、意見を述べる、文章を書く、など)を測定するテスト。「読む、聞く、話す、書く」の4技能で構成され、レベルは英検準2級~準1級程度とされる。2018年は、年3回(7・9・11月)、20都道府県で実施し、複数回受験が可能。他にCBT(コンピュータを利用したテスト)も実施する(6・9・10月。11都道府県で実施)。


②京阪神地区
 女子大では、甲南女子大(10%増)・神戸女学院大(17%増)の志願者増に対し、京都女子大(7減)・同志社女子大(9%減)・武庫川女子大(7%減)が減少した。
 中堅グループでは、京都外国語大(35%増)・京都橘大(26%増)・追手門学院大(36%増)・大阪経済大(11%増)・大阪工業大(14%増)・関西外国語大(21%増)・摂南大(23%増)・桃山学院大(25%増)・神戸学院大(17%増)など、大幅増の大学が珍しくない状況。推薦・AOからの再挑戦組の大量流入に加え、難関~中堅上位校の合格者絞り込みを警戒し、中堅グループへの併願が増えた模様だ。


③その他の地区
 国公立大との併願が多い各地域の拠点大学をみると、大都市圏ほどの勢いは感じられない。東北学院大は定員増(全学で約6%増)にもかかわらず3%減。前年の難化(志願者13%増・合格者6%減)の反動と見られる。また、名城大が微減(1%減)、南山大(3%減)・広島修道大(8%減)が減少。西南学院大や、定員増(全学で約8%増)を行った福岡大もほぼ前年並み、獣医学部を増設した岡山理科大(3%増)も小幅な増加に留まった。なお、同‐獣医は募集93人に対し1,778人の志願者を集めた(2月入試)。
 一方、増加したのは愛知大(4%増)・中京大(8%増)など少数派。むしろ、大規模な学部改編を行った九州産業大(12%増)をはじめ、中堅クラスで志願者増が目立った。

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「定員管理の厳格化」で合格者減。上智大・早稲田大・同志社大や「産近甲龍」が倍率アップで難化か!?

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受験生が注目すべきは、見かけの「志願倍率」よりも「実質倍率」だ。2月入試を中心に、一般入試の受験・合格状況を集計したところ、「受験者6%増、合格者5%減」のため、実質倍率は17年3.8倍→18年4.2倍にアップした。17年と同様、全体に合格者を抑え目に出して倍率アップする大学が目立った。


「志願倍率」に惑わされず、「実質倍率」に注目しよう

次に、私立大一般入試の合格状況を見よう。中でも倍率の変化は、「難化・易化」を計る物差しとなる重要データだが、一般的に使われる「倍率」には次の2通りあることに注意したい。

*志願倍率=志願者数÷募集人員=見かけの倍率
*実質倍率=受験者数÷合格者数=実際の倍率


私立大では合格者の入学手続率を考え、一般入試で募集人員の3~5倍程度、セ試利用入試では10倍程度の合格者を出すのが普通だ。
 グラフ5で関西学院大‐理工の例を見てみよう。一般入試(学部個別日程)の志願倍率は9.9倍だが、合格者(補欠合格を除く)を募集人員の4.3倍出しているので、実質倍率は2.2倍となる。また、セ試利用入試(1月出願)の志願倍率は36.2倍もの超高倍率だが、合格者を募集人員の14.3倍も出しているので、実質倍率は2.5倍におさまった。これなら「とても手が出ない」という倍率ではないだろう。
 見かけの倍率に惑わされることなく、実際の倍率を志望校選びのデータとして活用しよう。


学部系統別の志願状況


受験者6%増、合格者5%減。全体で3.8→4.2に倍率アップ

旺文社が、私立大一般入試(主に2月入試)の受験・合格状況について調査したところ、正規合格者まで発表した96大学の集計(3月中旬現在)では、受験者数(未公表の場合は志願者で代替)の6%増に対し、合格者数は5%減少したため(グラフ6)、実質倍率(以下、倍率)は17年3.8倍→18年4.2倍にアップした。
 地区別の集計では、首都圏(5.0倍→5.4倍)、京阪神(4.0倍→4.8倍)が「受験者増、合格者減」で倍率アップしたが、特に京阪神で合格者絞り込みが顕著だった。一方、東海などその他の地区では、絞り込みはやや緩めだった。


学部系統別の志願状況

前述のように、16年度から定員規模の大きな大学で、入学定員の超過率の抑制(定員管理の厳格化)が続き、今年はさらに厳しくなったため、定員増の大学も含め、正規合格者を抑え気味に出すケースが目立った。しかも、推薦・AO入試の段階から合格者を絞った(後述)ことで、2月入試へ再挑戦組が大量流入し、倍率アップにつながったとみられる。ただし、最終的には追加合格の増加で、倍率はやや緩和されそうだ。
 以下、おもな大学で倍率が目立って変動したケースを紹介する(*は「志願者÷合格者」、その他は実質倍率。おもに2月入試の集計)。


①倍率アップ 北里大4.0倍→4.3倍、上智大6.0倍→7.1倍*、早稲田大6.7倍→7.8倍、中京大3.8倍→4.7倍*、南山大2.8倍→3.6倍、京都産業大4.7倍→7.9倍、同志社大3.2倍→3.5倍、佛教大4.3倍→5.4倍、龍谷大4.3倍→4.7倍、関西大4.7倍→5.8倍*、近畿大4.6倍→5.2倍、摂南大4.1倍→5.2倍、関西学院大3.5倍→4.4倍、甲南大3.7倍→4.4倍


②倍率ダウン 東北医科薬科大5.1倍→4.3倍、慶應義塾大5.6倍→5.3倍*、愛知淑徳大2.7倍→2.3倍、広島修道大3.0倍→2.5倍


このうち、早稲田大は「受験者2%増、合格者12%減」、同志社大は「受験者6%増、合格者3%減」、近畿大は「受験者9%増、合格者3%減」、甲南大は「受験者6%増、合格者10%減」と正規合格者を絞り込み、学部・方式等によっては難化したとみられる。


ボーダーライン付近は激戦、明暗を分ける1点の重み

受験生の中には、ふだん「1点の差」を気にも留めない人がいるだろう。しかし、入試本番では、その「1点」が大切なのだ。
 グラフ7に、関西大学商学部の2月一般入試(学部個別日程と全学部日程の合計)の18年入試結果から、合格ライン付近の上下10点幅の人数分布を示した。受験者7,057人、合格者1,074人で倍率は6.6倍。合格最低点は450点満点で283点(得点率62.9%)だった。
 注目すべきは、最低点を含めた「上10点幅」の部分で、ここに合格者全体の約27%が集中する。最低点ぴったりのボーダーライン上にいるのは41人。高校の1クラス分にあたる人数だ。わずか1点差での不合格者も37人(やはり1クラス分)、10点差以内の不合格者は406人もいる。合格ライン付近は、同じ得点帯の中に、多くの受験生がひしめき合っているのだ。
 たった1つのケアレスミスが命取りになり、合否が入れ替わるのが「入試本番」。ふだんの勉強から解答の見直しを習慣づけよう。

学部系統別の志願状況

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公募制推薦は、京阪神で志願者増・合格者減が顕著。京都産業大・龍谷大・近畿大が倍率アップ!

一般入試に先立って行われた「公募制推薦」とAO入試。旺文社の集計では、公募制推薦は「志願者6%増、合格者2%減」、AO入試は「志願者7%増、合格者1%減」で、いずれも合格者を絞り込み、倍率はアップした。公募制推薦では、京都産業大・龍谷大・近畿大など、京阪神で倍率アップが目立った。

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公募制推薦では文系全般に難化、農・薬が易化か

私立大の公募制推薦について、18年入試結果の調査を行ったところ、昨年12月末現在の集計データ(140校:志願者数=約21万7千人)では、前年度に比べ志願者数は6%増えた(グラフ8)。また、指定校推薦の志願者(54校:約1万1千人)も前年比6%増えた。その要因は、①一般入試の合格者絞り込みを警戒した、私立大専願者の「より早く確実に」合格を決めたい傾向、②国立大の「文系・教員養成系縮小」と、好調な就職状況による受験生の「文系人気」が私立文系の“追い風”に、③ネット出願の普及で出願が手軽に、④大規模大学で定員増が相次いだ影響、の4点があげられる。地区別に見ると、推薦志願者全体の8割近くを占める京阪神地区が大幅に増加したが、首都圏もその他の地区(東海地区など)も志願者は増加した。
 一方、合格者数が全体で2%減少し、私立大の公募推薦全体の倍率(ここでは志願者数÷合格者数。AO入試も同じ)は、17年3.0倍→18年3.3倍とアップした。16年から始まった定員超過率の制限が、さらに厳しくなったのに加え、指定校推薦の合格者(志願者とほぼ同じ)が増えた分、公募制推薦では合格者の絞り込みを、前年より厳しくせざるを得なかったようだ。
 地区別にみると、首都圏(1.9倍→2.0倍)に対し、京阪神(3.6倍→4.0倍)の倍率アップが目立つ。特に「志願者大幅増、合格者大幅減」の京都産業大(3.8倍→5.1倍)・龍谷大 (4.6倍→5.7倍)は難化した模様。その他、主な実施大学の倍率の変動を見ると、立教大(2.5倍→3.9倍)・佛教大(4.7倍→6.8倍)・大阪経済大(5.9倍→7.7倍)・大阪工業大(3.0倍→4.2倍)・近畿大(5.8倍→6.5倍)・武庫川女子大(5.4倍→6.2倍)などで倍率アップ、愛知大(2.6倍→2.2倍)・京都女子大(3.4倍→3.1倍)・福岡大(2.8倍→2.6倍)などでやや倍率ダウンした。
 学部系統別にみると(グラフ9)、好調な就職事情から、文系学部は軒並み志願者増。一方、理系も理工・看護などで増加したが、医・薬は減少。また、文系全般に合格者絞り込みで倍率アップする一方、理系は農・薬・看護で合格者増、倍率面も含め「文高理低」状態となった。

学部系統別の志願状況
学部系統別の志願状況


AO入試も志願者7%増、合格者1%減で倍率アップ

一方、AO入試についても調査を行ったところ、昨年12月末現在の集計(110大学:志願者数=約2万6千人)によると、前年比で「志願者7%増、合格者1%減」と、公募制推薦と同様、志願者が増加する一方、合格者は絞り込まれた。このため、AO入試全体の倍率は17年1.9倍→18年2.1倍とややアップした。
 20年度以降の「入試改革」(論理的思考力・表現力、主体性、多面的・総合的な評価などを重視した選抜)を先取りする形で、AO入試を導入・拡大する動きが活発化し、志願者大幅増につながった模様だ。
 おもな実施大学(原則として志願者300人以上)を見ると、早稲田大(3.3倍→4.2倍)・京都産業大(3.0倍→3.3倍)・立命館大(2.6倍→3.0倍)・関西学院大(2.1倍→2.4倍)などで倍率がアップ、金沢医科大(17.4倍→16.9倍)・中部大(3.0倍→2.1倍)・川崎医療福祉大(3.1倍→2.1倍)などで倍率がダウンした。

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19年の私立大入試はここに注目! 看護・教育・国際系の増設が目立つ。早稲田大‐教育で指定校推薦を導入!

ここからは、19年私立大入試における、3月中旬現在で判明した主な変更点を紹介する。4大学と13専門職大学が新設予定、京都産業大・立命館大が国際系の学部増設を予定。明治大の英語外部検定利用の拡大、兵庫医科大のセ試利用入試の廃止、早稲田大‐教育の「自己推薦廃止、指定校推薦導入」などが注目される。

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4大学と13専門職大学が新設予定。名称変更で「藤田医科大」が誕生

ここからは、私立大の19年入試について、変更点の一部を紹介する。くわしくは、5月以降に各大学から発表される入試ガイドや案内パンフレットなどで、必ず確認してほしい。


(1)大学・学部等の新増設など

【新設予定大学】長岡崇徳大(看護学部)、岐阜保健大(看護学部)、和歌山信愛大(教育学部)、福岡国際医療福祉大(医療学部)の4大学の新設が予定されている(いずれも仮称)。
【専門職大学】19年から新しい大学の種類「専門職大学」が誕生する。看護・医療系を中心に13校が開設を申請中。同系統の志望者の併願先となりそうだ。
【大学名の変更】藤田保健衛生大が、今年10月から「藤田医科大学」に名称変更する予定。広島文教女子大は、教育学部の増設に伴い共学化し、19年4月から「広島文教大学」に名称変更する予定。さらに、岐阜経済大も看護学部の増設に伴い、名称変更を予定している。
【学部の増設・改組】学部等の増設予定では、順天堂大‐保健医療、日本赤十字看護大‐さいたま看護、名古屋女子大‐健康科学、四天王寺大‐看護など、看護・医療系の増設が多い。また、国際系(京都産業大‐国際関係、立命館大‐グローバル教養など)や、教員養成系(花園大‐発達教育、帝塚山大‐教育など)の増設も目立つ。これら3分野の新増設が、近年のトレンドとして定着している。
 この他、高崎健康福祉大‐農、岐阜医療科学大‐薬、大和大‐理工といった理系学部の増設や、聖心女子大の学部名称変更(文→現代教養)、津田塾大‐学芸(多文化・国際協力)、京都女子大‐発達教育(心理)といった女子大の学科増設なども、志願者増の要因として注目される。


立教大のセ試利用入試で6科目型を新規実施

一般入試で英語外部検定を利用できる大学・学部が、急速に増えつつある。利用方法は大きく「出願資格」「得点換算」「加点」の3パターンある。


(2)推薦・AO入試の変更

 獨協医科大‐看護で指定校推薦を新規実施し、公募推薦の出願資格を「1浪まで可→現役のみ」に変更/早稲田大‐教育で自己推薦を廃止し、指定校推薦を新規実施。募集枠を50人→190人に拡大し、一般入試を募集人員減(700人→560人)/同志社大‐経済の公募推薦で「学校長推薦書」の提出を廃止し、実施時期を2ヶ月繰り上げる(出願期間=11月上旬→9月上旬、合格発表=12月中旬→10月中旬、など)。


(3)一般入試の変更
【英語外部検定利用】北海道科学大は全学部のセ試利用入試で、英語外部検定利用が可能に(加点)/明治大‐経営・国際日本・農・総合数理の全学部統一入試で、英語外部検定利用が可能に(得点換算。総合数理は4科目方式)。
【その他】獨協医科大‐看護のA日程で「小論文→国語」に変更し、数学・理科を「各必須→1科目選択」に軽減。またB日程も「小論文→面接」に変更/東京理科大‐理2部で、セ試A方式を3学科共通の2教科2科目から「数学科=2教科3科目、物理学科・化学科=3教科4科目」に負担増。一般B方式も、物理学科・化学科は「2教科2科目→3教科3科目」に負担増/日本医科大‐医の一般後期で「セ試(国語)併用型」を新規実施し、一般前期を募集人員減(100人→90人)/立教大は、全学部(文‐ドイツ文学を除く)のセ試利用入試で6科目型を新規実施し、4科目型を廃止/兵庫医科大‐医でセ試利用前・後期を廃止し、英語外部検定利用の一般B(高大接続型)を新規実施する。


19年入試は“超安全志向”に?! 東京都内の難関校が難化か

19年入試を受ける今年の受験生は、2年後に「入試改革」を控える。センター試験が廃止され、その代わりに記述式問題を含む「大学入学共通テスト」が導入され、その他の入試のあり方も大きく変わる。そのため、「2浪」しない限り影響はないにも関わらず、現行の入試での確実な合格を目指し、18年入試以上の“超安全志向”となりそうだ。
 一方で、大~中規模の私立大の入学定員超過率は厳しく抑制されたまま固定され、推薦・AO入試も一般入試も、合格者の絞り込み(=難化)が続くものと見られる。
 さらに19年度から、東京23区内では定員増や学部等の増設が不可とされたため、都心にある難関校は軒並み難化しそう。また、この機に乗じ、その他の地区(首都圏も含む)では学部増設や定員増を行う大学が続出しそうだ。

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2018年5月号)」より転載いたしました。

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