入試動向分析

2016年一般入試の難易変動はこうなる!?【2015年11月】

2015(平成27)年度

《国公立大》東京大・京都大の推薦・AO導入で、一橋大・大阪大などが難化か!?
《私立大》国立大で相次ぐ学部改組が影響大、難関~準難関の文系が志願者増!?

 

 いよいよ受験勉強が本格化する時期に入った。2016年は「新課程入試」に全面移行するが、数学・理科の対策をしっかり立てられるので、精神的には安定して準備を進めていることだろう。「大学受験生数は微減、センター試験の平均点はややアップ」と予想される中で、国公私立大の難易や人気度がどう変わるのか。ここでは、高校・予備校の進路指導の先生方へのアンケートを中心に、さまざまな変動要因を総合し、2016年一般入試の動向を予測する。

 

※この記事は『螢雪時代・2015年11月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)。

 

 

志願者数は国公立大が2%減、私立大は文系を中心に2%増か。国立大の改組が最大の変動要因に!?

 

 2016(以下、16年)の大学受験生数は微減(約1%減)が予想され、一般入試の志願者数は国公立大が約2%減、私立大が約2%増と予測される。センター試験の平均点はややアップする見込みだが、国立大の「文系縮小・理系拡大」の学部改組が、私立大の併願増に結びつきそう。学部系統別では、法・経済・国際系など文系の志願者増、理・工・農・医・薬など理系の志願者減が予想され、「弱めの文高理低」となりそうだ。

 
 

センターの志願者数は15年より微減、55万8千人程度か

図1 大学受験生数とセンター試験出願者数、現役志願率の推移

 文部科学省発表の『平成27年度学校基本調査速報』によると、15年は4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)が66万6千人と、前年比で0.6%増加した。16年は、大学・短大への現役志願率はほぼ15年並みとみられるが、18歳人口の減少(0.8%減)が見込まれることから、大学受験生数は旺文社推定で66万2千人と、前年比で約4千人(0.6%)減少するものとみられる。
 センター試験(以下、セ試)の出願者数はどうなるか。16年から新課程に全面移行するが、国語や英語は、内容が特に変わるわけではない。また、15年と異なり、セ試の数学・理科に対し十分に準備ができる。文系受験生にも、理科基礎2科目受験が必ずしも負担にならないことがわかり、「セ試敬遠」傾向は薄れるものと見られる。
 アンケートにおける先生方の予測を平均すると、セ試の出願者数は「55万7千人」となる。これに前述の要素も考慮すると、16年のセ試の出願者数は、15年とほぼ同じか微減の55万8千人程度と予測する。

 

【国公立大】国立の文系縮小・理系拡大と推薦・AOの拡大が変動要因に

 16年度のセ試は、15年に平均点が大幅ダウンした数学Ⅱ・B、地理Bなどが反動で易化するとみられる。また、平均点大幅アップの国語も、13年・14年と2年連続でダウンしていたため、反動による難化は考えにくい。さらに、数学・理科で充実した対策がとれるため、全体として平均点アップが見込まれ、国公立大への出願を促す要因となる。しかし、アンケートにおける先生方の回答を見ると、必ずしも国公立大志向が強まるわけではないようだ。これは、国立大の全学規模の改組が影響している。

 

●国立大の学部改組の影響

 16年度は、国立大で大規模な学部改組が相次ぐ。全体として、①教員養成系学部を教員養成機能に特化し、教員免許を卒業要件としない課程を廃止、②人文・社会科学系学部を縮小、③理工・農学系学部を拡大、④上記の①②による定員削減分で、文理融合・地域貢献型や国際系の学部を増設、という方向性が見て取れる。
 国立8大学で学部を増設し(表1)、公立でも長崎県立大が「2→4学部」に分割する。一方、教員養成系学部では、15大学で教員養成以外の課程を募集停止する。また、文系学部では、弘前大‐人文社会科学、和歌山大‐経済、愛媛大‐法文などの大幅定員減が目立つ。
 「教員養成以外の課程」は文系志望者の“受け皿”になっていたケースが多い。これが廃止される影響は大きく、新設学部があるとはいえ、教育内容や卒業後の進路が見通しにくいため、文系学部の縮小とあいまって、受け皿不足が懸念される。後述のように、理系人気が落ち着き、文系人気が復活しているにもかかわらず、文系の募集枠が縮小される「ねじれ現象」のため、国立大文系志望者は、公立大への志望変更、または私立大文系学部への併願増や志望変更が想定される。このため、国公立大の志願者は2%程度減少しそうだ。

 
表1 2016年度 国立大の学部増設の予定
 

●英語重視の入試改革も要注意

 国公立大の選抜方法の変化(15年→16年:文部科学省集計)を表2に示した。
 特に注目すべきは、推薦・AO入試の拡大だ。国公立大全体で、実施学部数は「AO入試=172→190、推薦入試=433→448」と増え、中でもセ試を課す方式(AO=70→84、推薦入試=183→201)の増加が目立つ。さらに、募集人員も「AO=約4%増、推薦=約1%増」と増加した。東京大でセ試を課す推薦入試を導入し、後期を募集停止。京都大が推薦・AOなど多様な入試形態の「特色入試」を導入し、前期の募集人員を削減。東北大でもAOの募集枠を拡大し、前期の募集人員を削減するなど、難関校で募集人員を一般入試から推薦・AOへ移行するケースが目立つ。
 一般入試の募集人員の変動を見ると、東京大をはじめ、埼玉大‐教育、信州大‐医(医)、熊本大-医(医)などで後期を募集停止し、信州大‐農、福岡女子大‐国際文理などでも後期を削減、前期を増加。一方、京都大‐法が後期を復活、北海道教育大‐釧路校、電気通信大、東京工業大‐第7類などで、前期を削減、後期を増加する。いずれも志望動向に影響しそうだ。
 一般入試では、セ試や個別試験(以下、2次)の負担増を行う大学が目立つ。表1では、セ試で5教科以上を課す学部数が増加。また、小論文・面接・実技を課す学部数も増加している。
 理系学部や教員養成系学部で、2次に英語を追加、または「選択→必須」にするケースも目立つ。茨城大‐農、佐賀大‐理工、長崎大‐工、鹿児島大‐工・農・水産の前期で2次に英語を追加。北海道教育大‐教員養成課程、千葉大‐教育、長崎大‐教育の前期でも、英語を追加、または「小論文→英語を含む学科試験」へ変更する専攻・選修が多数ある。さらに、東京海洋大‐海洋科学では、全入試の出願資格として、新たに学部指定の英語外部検定のスコア提出を課すのが注目される。

 
表2 国公立大 入試方法等の推移(2015年→2016年)
 

【私立大】難関~中堅上位校で併願増、合格者絞り込みで難化か!?

表3 おもな私立大一般入試の合格者増減と倍率変動の例(2015年)

 一方、私立大の志望動向はどうか。先生方の回答では、私立大志向が「やや強まる」が半数を占める。
 15年入試では、大都市圏の総合大学で、合格者増による実質倍率(受験者数÷合格者数。以下、倍率)の低下が目立った(表3)。その反動に加え、国公立大文系志望者が私立難関~中堅上位校の併願を、主にセ試利用入試で増やすものとみられる。さらに、私立大専願者が押し出される形で、中堅校への併願を増やすものとみられ、私立大全体ののべ志願者数は、2%程度増加する見込み。ただし、大都市圏の定員規模の大きな大学では、16年から定員超過率が厳しく抑制される。このため、規模の大きな難関~中堅上位校ほど、合格者を絞り込むとみられ、倍率アップによる難化が予測されるので、要注意だ。

 

●英語外部試験利用が増加

 “グローバル人材”育成が重視される中、実践的な英語運用能力を持つ入学者の確保へ向け、従来の入試方式の中で、独自試験やセ試の英語の代わりに、4技能(読む、聴く、書く、話す)を測定できる「英語外部試験」を利用する方式の導入が目立つ。
 15年では、上智大の全学部統一日程「TEAP(アカデミック英語能力判定試験)利用型入試」が多くの志願者を集めて注目された。16年は、青山学院大・法政大・立教大・関西学院大などで「指定の基準以上で出願可。あとは英語以外の科目で合否判定」する方式を新規実施。また、中京大・南山大・立命館大などで「指定基準に達すれば、英語を満点、またはレベルに応じた得点に換算し、他科目と合算」する方式を導入する。いずれも志願者増の要因となりそうだ。
 この他、志望動向に影響しそうな要因としては、セ試利用入試の新方式実施(成蹊大‐文・経済、中央大‐法、法政大‐社会、早稲田大‐文・文化構想)や、学習院大・名城大・近畿大の“国際系”学部増設などがあげられる。

 

●ネット出願実施校は約4割増

 私立大全体の半数近くが導入するに至ったインターネット出願(以下、ネット出願)の新規実施と、それに伴う受験料割引(以下、ネット割)の導入も、変動要因として注目される。
 16年入試では、私立222大学(9月末現在)が一般入試でネット出願を実施、15年より約4割増加する。このうち、69大学が紙の願書を廃止し、98大学がネット割も実施する。青山学院大・国際基督教大・学習院大・専修大・東京理科大・明治大・南山大など67大学がネット出願を新規実施(表4に一部を掲載)するが、導入初年度から全面実施(紙の願書を廃止)する大学が多いのが16年の特徴だ。既にネット出願を実施している大学でも、京都産業大・龍谷大などがネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止(受験料割引は継続)する。
 ネット出願・ネット割の導入は、学内併願の増加につながるため、志願者増に結びつきやすいが、急速な普及で希少性が薄れた(特に関西地区)ため、その効果は限定的なものとなりそう。ただし、関西地区に遅れて普及が本格化した首都圏では、獨協大・専修大などのネット割導入が人気を集めそうだ。

 
表4 2016年から一般入試で「ネット出願」を新規実施するおもな大学
 

【系統別】「文理均衡」または「弱めの文高理低」傾向が続きそう

 15年入試では、14年までの「文低理高」傾向から一転、「文理均衡」あるいは「弱めの文高理低」となった。16年もこの傾向は続きそうだ。
 就職状況の好転を受け、法・経済や国際・外国語など、文系人気が復活しつつある。法は公務員志望者の人気を集め、国際・外国語は相次ぐ学部増設も要因となりそうだ。一方、ここ数年の反動から、理工・農・医・薬などの志願者減が予想される。医療・看護系は学部・学科の新増設が多く、受け皿が拡大するため、既設学部・学科を中心に易化しそうだ。この他、教員養成以外の課程の廃止・縮小に加え、将来的な教員採用率の低下を懸念し、教員養成系の志願者減が続きそうだ。

 

進路指導の先生方は16年入試の志望動向をどう見ているか

 最後に、進路指導のプロである先生方が、16年入試の志望動向をどのように見据えているのか、アンケート結果と先生方のコメントをもとに、基本的な考え方を示しておこう。

 

A.国公立大志向はどうなりますか?
①強まる…0%
②やや強まる…25%
③変わらない…56%
④やや弱まる…19%
⑤弱まる…0%
 
B.私立大志向はどうなりますか?
①強まる…0%
②やや強まる…50%
③変わらない…50%
④やや弱まる…0%
⑤弱まる…0%
 
C.16年入試での併願校数はどうなりますか?
①15年とほぼ同数…88%
②15年よりやや増える…12%
③15年よりやや減る…0%

 

 前年の調査と比べ、A~Cのいずれもほぼ同じ回答傾向となった。注目すべきは、Bで②③がほぼ同程度で、④という回答がなくなり、Cでも③という回答がなくなったことだ。
 新課程初年度のような「セ試回避、国公立敬遠」の傾向は解消されたものの、就職事情が比較的好調な大都市圏の私立大への志向も強まり、現役志向・安全志向や、国立大の「文系縮小・理系拡大」や推薦・AO拡大に伴う一般枠縮小とあいまって、国公立文系志望者が私立大の併願を増やそうとしている様子が見て取れる。
 一方、国公立大の推薦・AOの拡大傾向については、進路指導の先生方も、志望動機が明確な受験生であれば、特にセ試を課す方式を積極的に活用させるようだ。

 

(文責/小林)

 
 

■地区別に志望動向・難易変動を予測する!■

 

【北海道・東北】北海道大・岩手大・山形大・福島大が志願者増、弘前大が志願者減、東北大は少数激戦化!?

 

 以下、各地区のおもな大学について、16年一般入試の変動要因と難易動向を見ていこう。
 文中、変更点は15年→16年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼] [夜]、センター試験=セ試、個別学力検査等(2次試験)=2次、セ試を課さない推薦=セ試免除推薦、セ試を課す推薦=セ試課す推薦、AO入試=AO、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。

 
 

<国公立大>

●北海道大
 前期の総合入試(学部別入試とは別に、文系・理系の大括りで募集。理・薬・工・農は同入試のみで実施。入学後、2年次進級時に所属学部・学科を決定)は、前年(15年。以下同じ)の志願者減の反動から、文系で志願者増が予想される。
 前期の学部別入試や後期では、東京大の後期募集停止の影響と、前年の反動(志願者増減や倍率の変動による。以下同じ)から、法【前】【後】・理【後】・工【後】・医(医)【前】・医(保健)【後】・農【後】・獣医【前】で志願者増、文【前】・教育【前】・経済【前】・歯【前】【後】・水産【後】で志願者減が見込まれる。
●北海道教育大
 教員養成課程(札幌校・旭川校・釧路校)の前期で、2次を小論文から、英語を含む学科試験や専攻等に応じた科目(面接や実技なども)に変更。小論文から、対策の立てやすい学科試験への変更は、志願者増の要因となりそう。ただし「志望する修学校以外のキャンパスでも受験可」から「志望する修学校」指定に変更されたので、利便性はやや低下した。また、釧路校では募集人員の比率を「前期→後期重視」に逆転(【前】90人→54人、【後】36人→72人)。さらに前年の反動もあり、札幌校【前】・旭川校【前】【後】・釧路校【後】・岩見沢校【後】で志願者増、釧路校【前】・函館校【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●北見工業大
 工【後】で学外試験場を増設(東京)。前年の反動もあり、前・後期とも志願者増が見込まれる。
●弘前大
 人文を「人文社会科学部」に改組、3→2課程に再編し定員減(345人→265人)。また、教育では生涯教育課程(定員70人)を廃止し、教員養成課程に特化する。一方、理工で定員増(300人→360人)、農学生命科学でも定員増(185人→215人)と、全学的な改組を行う。
 人文社会科学【前】【後】は、募集人員減(【前】220人→170人、【後】80人→60人)のため志願者減は必至。青森公立大‐経営経済【前】【後】などに流出しそうだ。教育では、生涯教育課程から秋田公立美術大【前】などへの移行が想定され、教員養成課程自体はやや志願者増か。一方、理工・農学生命科学は募集人員増(理工=【前】197人→223人・【後】58人→80人/農学生命科学=【前】117人→131人・【後】42人→53人)で前・後期とも志願者増の見込み。農学生命科学【前】は、2次負担減(生物学科で数学を除外、分子生命科学科で理科2→1科目)も要因となりそうだ。この他、医(保健)【前】は前年の反動から志願者減が見込まれる。
●岩手大
 人文社会科学を4→2課程に再編し、定員減(215人→200人)。教育では生涯教育・芸術文化の2課程(定員:計90人)を廃止し、教員養成課程に特化。工を「理工学部」に改組、5→3学科に再編し定員増(400人→440人)。農も4課程1学科→6学科に再編し定員増(210人→230人)と、全学的な改組を行う。
 教育【前】【後】は前年の反動もあり、志願者大幅減は必至。一方、人文社会科学【前】【後】は募集人員減(【前】115人→103人、【後】50人→34人)に加え、前年の志願者大幅増の反動が強く出そうだが、教育で廃止される2課程から志望者層の一部が移行するのと、前期でセ試を7または8科目→6または7科目に、後期も7または8科目→3または4科目に軽減することから、志願者減は小幅に留まりそうだ。
 理工・農は募集人員増(理工=【前】250人→282人・【後】69人→77人/農=【前】148人→161人・【後】31人→35人)により、前・後期とも志願者増が見込まれる。農は「水産システム学コース」の設置も志願者層の幅を広げそうだ。
●東北大
 AO入試の募集枠を拡大し、一般入試を削減(経済【後】35人→30人、医‐保健【前】119人→112人、薬【前】65人→60人、工【前】591人→567人)。さらに前年の反動もあり、医(医・保健)【前】・薬【前】・工【前】でやや志願者減が見込まれるが、高学力層は残り、少数激戦化しそう。
 一方、やはり前年の反動から、教育【前】・歯【前】・農【前】で志願者増の見込み。農【前】で2段階選抜の予告倍率を引き締める(募集人員の約4.1倍→約4倍。以下、募集人員を略)が、影響は小さそう。また、経済【後】・理【後】は、東京大の後期募集停止の影響で、併願増が見込まれる。
●秋田大
 前年の反動から、医(保健)【後】で志願者減、医(医)【前】・理工【後】で志願者増が見込まれる。教育文化【前】は、弘前大‐教育から地域文化学科へ志願者流入が見込まれ、やや志願者増か。
●山形大
 前年の反動から、地域教育文化【前】【後】・理【前】【後】・医(医)【前】【後】・医(看護)【前】・工[昼]【後】で志願者増が見込まれ、岩手大‐教育【前】【後】、東北大‐医(医)【前】などから流入しそうだ。一方、やはり前年の反動から、人文【前】・工[昼・フレックス]【前】・農【前】【後】の志願者減が予想される。
●福島大
 15年は全学で志願者大幅減(12%減)。その反動から、人間発達文化【前】・行政政策【後】・経済経営【前】【後】・理工【前】【後】で志願者増が見込まれる。
●名寄市立大
 学科増設(社会保育)のため、前期はやや志願者増か。一方、後期は前年の反動から、志願者減が見込まれる。
●岩手県立大
 総合政策【前】【後】は前年の志願者増の反動を、弘前大・岩手大の文系志望者の流入が相殺、志願者数はほぼ前年並みとなりそう。
 ソフトウェア情報は、前期でセ試の数学・英語を「選択→必須」として、英語にリスニングを追加し、国語の現代文と古典を「別科目→同一科目」に統合。また、後期でもセ試の英語にリスニングを追加し、国語に古文・漢文を追加するため、岩手大‐理工の定員増も影響し、前・後期とも志願者減が見込まれる。
 さらに、前年の反動から看護【前】で志願者減、看護【後】・社会福祉【前】【後】で志願者増が見込まれる。
 
 この他、前年の反動から、旭川医科大‐医(医)【前】、小樽商科大‐商[昼]【後】、室蘭工業大‐工[昼]【前】【後】、札幌医科大‐保健医療【前】、宮城大‐看護【後】・事業構想【前】【後】・食産業【前】、秋田県立大‐生物資源科学【前】【後】、山形県立保健医療大【前】、国際教養大A・C、福島県立医科大‐看護【後】で志願者増が見込まれ、公立はこだて未来大【前】、青森県立保健大【後】で志願者減が見込まれる。

 
 

<私立大>

 15年は地区全体で志願者5%減、合格者は1%増(旺文社集計。以下同じ)で、倍率は2.1倍→1.9倍にダウンした。16年は、弘前大・岩手大の文系縮小の影響で、国立大志望者の東北学院大への併願が増える見込み。また、37年ぶりの医学部増設となる東北薬科大(東北医科薬科大に名称変更予定)‐医は、私立大医学系統全体の志望動向に影響しそうだ。
 この他、志望動向に影響しそうな変動要因は次の通り。北海学園大では、経営1部の一般入試で英語からリスニングを除外し、人文2部でセ試利用入試を新規実施。岩手医科大では医の一般入試で名古屋会場を増設し、歯・薬で一般中期を廃止。東北学院大では一般後期・セ試後期で、ネット出願とその際の受験料割引(ネット割)を導入。宮城学院女子大で全学的な改編(1→4学部に分割)を行う。

 
 

【関東・甲信越】埼玉大・千葉大・一橋大・明治大が志願者増、茨城大・東京大・信州大・上智大が志願者減か。

 

<国公立大>

●茨城大
 前年の反動から、人文【前】【後】・教育【後】・工[昼]【前】・農【後】で志願者減、理【後】・工[昼]【後】で志願者増の見込み。また、農【前】は2次負担増(英語を追加)のため、志願者減が見込まれる。
●筑波大
 情報学群【前】【後】で2段階選抜を廃止するが、影響は小さそう。前年の反動から、各学群・学類の前期では、人文・生物・生物資源・地球・数学・物理・化学・医で志願者増が、比較文化・教育・心理・障害科学・情報科学・情報メディア創成・体育学群・芸術学群で志願者減が見込まれる。
●宇都宮大
 地域デザイン科学部を新設。教育で教員養成課程を拡大(150人→170人)し、総合人間形成課程(定員60人)を廃止。工で建設学科を廃止し、定員減。農・国際でも定員減を行う。
 地域デザイン科学(【前】93人・【後】31人)は、3学科中2学科が旧建設学科からの移行で、教育内容が把握しやすいため、安定して志願者を集めそう。教育【前】【後】は、定員増もあって、志願者はほぼ前年並みか。工【前】【後】は募集人員減(【前】265人→211人、【後】62人→54人)のため志願者減が予想されるが、倍率は前年並みの見込み。一方、農は募集人員減(【前】146人→138人、【後】24人→18人)の影響で、前期で志願者減が見込まれる。国際【前】はセ試負担減(数学2→1科目)で志願者増、難化が予想される。
●群馬大
 社会情報を「2→1学科」に統合するが、志望動向への影響はなさそう。前年の反動から、教育【前】【後】で志願者減、理工[昼]【前】【後】で志願者増の見込み。医(医)【前】は、信州大‐医(医)【前】の募集枠拡大の影響で志願者減が見込まれる。
●埼玉大
 教育で後期を募集停止、前期の募集人員増(316人→324人)は小幅で、志願者はほぼ前年並みか。経済[昼]で募集人員を「前期一般枠200人→220人、後期60人→40人」に変更。後期の2次負担増(課さない→小論文)もあり、志願者は前期で増加、後期で減少しそうだ。前年の反動で、教養【前】【後】、工【前】【後】は志願者増が見込まれるが、教養【後】は2次負担増(課さない→小論文)のため、小幅な増加に留まりそうだ。
●千葉大
 国際教養学部を新設。教育は、教員養成以外の2課程(定員:計35人)と、中学校教員養成課程のうち3分野(定員:計15人)を廃止。文を4→1学科に統合し、定員減(180人→170人)。理・工・園芸でも定員を削減する。
 国際教養は前期のみ募集で、通常型(80人:2次が3教科)と特色型(10人:2次が小論文・英語面接)に複線化。人気の高い学部系統だけに多くの志願者を集めそう。東京外国語大【前】から流入しそうだ。一方、教育【前】では、大部分の課程・選修で、2次を「英語必須、国語・数学から1」にそろえ、実技系の選修でも英語を課すなど、英語中心の負担増と学科試験化を行った。また、小学校教員養成課程で募集単位を「12選修ごとに募集」→「音楽・図画工作・体育の3選修、他の9選修をそれぞれまとめて募集。音楽・図画工作・体育は選択実技により、他の9選修は第1~9志望を申請、試験の成績と希望を勘案して所属決定」に変更。こうした入試改革が敬遠材料となりそうだ。
 この他、法政経【前】は募集人員増(272人→295人)、看護【前】も募集人員増(41人→49人)、法政経【後】・工【後】は東京大からの併願増が、志願者増の要因となりそうだ。
●電気通信大
 情報理工学部を「情報理工学域」に改組、4学科→3類に再編。夜間主課程を社会人対象に限定して定員減。情報理工学域[昼]では、募集人員を変更(【前】414人→370人、【後】207人→250人)し、募集単位を「前期=学域一括募集、後期=類別募集」に変更。さらに、前期は2次をA・B方式に分割(数学・理科の配点が異なる)し、理科を1→2科目に増加。このため、前期では志願者減、後期は志願者増が見込まれる。
●東京大
 全10学部でセ試を課す「推薦入試」を新規実施。一方で、理Ⅲ【前】で募集人員を削減(100人→97人)し、後期(理Ⅲを除く全科類共通入試)を募集停止。併願先としては、一橋大‐法・経済・社会、東京工業大‐第7類、東北大‐経済・理の各後期の増加が想定される。
 前年の反動に加え、東日本の難関大志望者の一部に「京大志向」がみられるため、文Ⅰ【前】で志願者減が見込まれる。一方、文Ⅲ【前】・理Ⅲ【前】はやや志願者増が見込まれ、募集人員減の理Ⅲは難化しそうだ。
●東京海洋大
 海洋科学で全入試の出願資格として、指定の英語資格(英検準2級以上など)のスコア提出を新たに課す。一般入試は、セ試の英語が基準点以上(得点順位で決める学科も)なら出願できるが、敬遠材料となるのは確実で、志願者大幅減は必至。海洋工【前】【後】に志望変更しそうだ。
●東京学芸大
 15年に教員養成課程を拡大し、教員養成以外は5→1課程に統合・縮小。前年の反動もあり、前期は千葉大‐教育【前】から、後期は募集停止の埼玉大‐教育【後】などから流入しそうだ。
●東京工業大
 「3学部23学科→6学院17系」に再編するが、入試時の募集単位は「第1~7類」で変わらない。第7類では募集人員を変更(【前】113人→95人、【後】20人→35人)。前期はやや志願者減が見込まれるが、後期は東京大‐理Ⅰ・Ⅱ【前】からの併願増が想定され、志願者大幅増は必至だ。
●東京農工大
 工で一般入試の募集枠拡大(【前】320人→326人・【後】150人→160人)。一方、農【前】・工【前】で2次負担増(理科1→2科目)、工【後】も化学系4学科で、2次に数学を追加。前年の反動もあり、工【前】は志願者増の見込みだが、農【前】・工【後】では2次負担増が敬遠され、志願者減が見込まれる。
●一橋大
 前年の反動に加え、東京大の後期募集停止の影響から、経済【後】・法【後】・社会【前】【後】で志願者増、法【前】で志願者減が見込まれる。特に、法【後】はかなり難化しそうだ。
●横浜国立大
 前年の反動と、東京大、埼玉大‐教育の後期募集停止の影響から、経済【前】【後】・理工【後】・教育人間科学【後】の志願者増が見込まれる。
●新潟大
 教育では、学校教員養成課程が前・後期ともにコース(学校教育、教科教育)別の一括募集から、専修別募集に変更。また、後期でコース・専修により「課さない→小論文、あるいは面接」といった2次負担増が目立つ。前年の反動もあり、後期で志願者減が見込まれる。この他、前年の反動から、前期は法の志願者減、医(医・保健)・歯の志願者増が見込まれる。
●山梨大
 教育人間科学を「教育学部」に改組し、生涯学習課程(定員20人)を廃止。また、後期の2次では4コースで「小論文→面接」に変更、芸術身体教育コースに面接を追加。前年の反動もあり、前・後期ともに志願者減の見込み。
 医(医)は「後期のみ実施」のため、後期を募集停止した信州大‐医(医)【前】からの併願増で、志願者大幅増が予想される。
●信州大
 教育で、教員養成以外の2課程(定員:計40人)を廃止。経済を「経法学部」に改組。工を7→5学科に再編し、定員増。繊維を4学系→4学科に再編。教育【前】【後】は、廃止2課程の志願者層が教員養成課程に流入するとみられ、志願者は前年並みの見込み。経法は学科構成・定員ともほぼ従来と変わらず、前年の反動で前期が志願者増、後期が志願者減か。工【前】【後】は募集人員増(【前】288人→299人、【後】41人→70人)による志願者増が見込まれる。
 医(医)で後期を募集停止し、前期を募集人員増(85人→100人)。2段階選抜の予告倍率を引き締め(7倍→5倍)、2次は理科1→2科目に増やし、小論文を廃止。前期は志願者増が見込まれ、山梨大・富山大の医(医)【後】との併願が増えそうだ。理は募集人員を増やす(【前】94人→102人、【後】89人→99人:推薦を全廃)が、後期は各コースの2次負担増(物理で「課さない→数学・理科」、化学・地球・生物・物質循環学で数学Ⅲを追加)で敬遠されそう。農も募集人員を変更(【前】95人→117人、【後】34人→16人)、後期は「コース別募集→一括募集」になるため、志願者大幅減は必至だ。
●首都大学東京
 前年の反動から、都市教養【後】・都市環境【前】【後】・健康福祉【前】で志願者増、システムデザイン【前】【後】・健康福祉【後】で志願者減が見込まれる。
●都留文科大
 文【中】で学外試験場を増設(静岡)。また、文(初等教育)【中】でセ試5教科5科目型を新規実施(募集枠は「5科目型30人、従来の3科目型40人」)。いずれも志願者増の要因となりそう。教員養成系の併願先として人気を集めそうだ。

 
 

<私立大>

 15年は、地区全体で志願者1%増に対し合格者4%増。16年は、就職が好調な首都圏の難関~準難関校の人気が復活している模様。また、国立大の「文系縮小、理系拡大」の学部改編により、受け皿を求める国公立大文系志望者が併願を増やすものとみられる。15年に倍率ダウンした学習院大・専修大・日本大・明治大・早稲田大などで志願者増、倍率アップした慶應義塾大・上智大・東洋大・法政大などでやや志願者減が見込まれる。いずれにせよ、定員規模の大きな大学では、16年から定員超過率が厳しく抑制され、合格者絞り込みが予測されるため、やや難化が想定される。
 一般入試でネット出願を22大学が新規実施。このうち、青山学院大・東洋理科大・明治大などが紙の願書を廃止し、学習院大・専修大などが紙の願書も併用。ネット割も導入する獨協大・専修大は人気を集めそう。また、青山学院大・法政大・立教大などの英語外部試験利用も、志望動向に影響しそうだ。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。なお、ネット出願・ネット割に関する変更は、原則として割愛した(新規実施は、表4を参照)。
 
●獨協大
 一般A方式で、英語の「外部検定試験活用型」を新規実施(学科指定の基準以上なら、英語以外の2科目で合否判定)。全学部でセ試中期を新規実施し、経済のセ試後期に5科目型を追加。
●青山学院大
 15年開設の地球社会共生でセ試利用入試を新規実施。文(英米文)の一般C方式、地球社会共生・総合文化政策の一般B方式で、TEAP利用型を新規実施。指定の基準を満たせば、文(英米文)は英語以外の2科目、その他は小論文のみで受験可。総合文化政策の一般入試で、募集人員を「A方式90人→65人、B方式30人→45人、全学部日程30人→40人」に変更。
●亜細亜大
 都市創造学部を新設。全学統一入試(C方式から名称変更)で中期を新規実施し、前期・中期に3教科型(独自・セ試併用)を追加する。
●國學院大
 V方式(セ試利用)でⅡ期を新規実施し、C日程(独自・セ試併用)を廃止。法で、V方式Ⅰ期・A日程受験者を対象に、書類選考を加えて合否判定する「法学部特別選考」を新規実施する。
●上智大
 全学部統一日程「TEAP利用型入試」の募集枠を拡大(384人→402人)。また、TEAPについて、技能【後】との基準スコアを新たに設定、文(英文・新聞)・総合人間科学(社会・教育)・法律(国際関係法)・経済・外国語(英語)・総合グローバルは4技能全ての利用に移行(他は「読む、聴く」で変更なし)。このため、外国語(英語)はTEAP利用型で2次(英語、面接)を廃止する。
●成蹊大
 文で独自・セ試併用のP方式(国公立併願アシスト入試)を導入、セ試5科目とE方式(全学部日程)1科目で判定する。経済のセ試利用でも、3月実施のM方式(多面評価型入試)を新規実施(セ試5科目+グループ面接)する。
●成城大
 全学部統一入試「S方式」で静岡会場を増設、文芸の募集枠を拡大(30人→45人)。A方式の試験日を「2/10~13→2/4~7」に繰り上げる。
●専修大
 7学部で定員増(文660人→674人、法1部700人→715人、経済1部680人→695人、経営530人→542人、商1部660人→675人、人間科学190人→194人、ネットワーク情報230人→235人)。スカラシップ入試の募集枠を拡大(40人→60人)し、基準点と志望理由書提出を廃止する。
●東京理科大
 工1・2部を「工学部」に統合。経営を定員増(240人→480人)、ビジネスエコノミクス学科を増設し、キャンパス移転(埼玉県久喜市→東京都新宿区)。ビジネスエコノミクス学科では、出願資格(TEAPが「読む、聴く」の2技能合計で100点以上)をクリアすれば、数学のみで受験できる「グローバル方式」も実施。薬のB方式で数学の出題範囲に数Ⅲを追加する。
●東洋大
 法のセ試前期に5教科型を追加。経済のセ試前期3科目型で「英語外部試験利用入試」を新規実施(出願資格に利用)し、国際地域のセ試前期ベスト2型で、英語外部試験が基準を満たせば英語を満点とみなす制度を導入する。
●日本大
 スポーツ科学・危機管理の2学部を新設。医がN方式1期(学部共通入試)に新規参加、歯でセ試C方式2期を新規実施する。
●法政大
 6学部で「英語外部試験利用入試」を新規実施。学部指定の基準以上なら、英語以外の1科目で合否判定(全学部日程のT日程と同日実施)。グローバル教養でT日程を新規実施。社会のセ試利用入試でC方式(5教科6科目型)を新規実施し、B方式のうち4科目型を廃止する。
●明治大
 法で一般選抜の募集人員を350人→330人に削減。商のセ試利用入試を募集人員増(前期6科目方式15人→25人、後期18人→25人)。
●立教大
 全学部日程で「グローバル方式」を新規実施。英語の試験に代え、英語外部試験を出願資格として利用し、試験当日は英語以外の2教科を課す。募集人員は従来の3教科方式472人、グローバル方式131人、両方式の併願は不可。
●早稲田大
 文・文化構想のセ試利用入試で、セ試(6または7科目)のみで判定する方式を追加(従来は「独自2教科+セ試1教科」の併用)。募集人員は「文=セ試のみ・併用各25人、文化構想=セ試のみ・併用各35人」。商でセ試利用入試を「6または7科目→5または6科目」に軽減する。
 
 千葉工業大‐工を3学部(創造工・先進工・工)に分割。学習院大で国際社会科学部を新設。北里大‐医で試験日を「1次=1/24→1/30、2次=1/31・2/1→2/6・7」に繰り下げる。慶應義塾大‐経済で募集人員をA方式480人→420人、B方式240人→210人に削減。芝浦工業大はセ試利用で英語リスニングを「選択→必須」に。中央大‐法でセ試利用単独方式前期に3教科型を追加。帝京大では、8学部で一般入試・セ試利用とも2→3科目に増加し、全学部で英語を「選択→必須」に。東海大‐医でセ試利用前・後期を新規実施し、ネット出願・ネット割を導入。東京女子医科大‐医で一般入試に小論文を追加。日本医科大で試験日を「1次=2/2→1/25、2次=2/12・13→2/3・4」に繰り上げる。

 
 

【北陸・東海】金沢大・岐阜大・三重大・名城大が志願者増、富山大・静岡大・愛知県立大が志願者減か。

 

<国公立大>

●富山大
 北陸新幹線の開通により、北関東~長野県からの流入が増えそうだ。とはいえ、前年の反動も強く作用し、人文【前】・人間発達科学【後】・経済[昼]【前】【後】・同[夜]【前】【後】・理【前】・医(看護)【前】【後】・芸術文化【前】で志願者減が見込まれる。ただし、理【後】は生物学科のセ試軽減(5または6科目→4または5科目)や3学科の2次変更(化学=小論文→化学、生物=面接→生物、地球科学=課さない→理科1科目)が前年の反動を相殺し、志願者はほぼ前年並みか。一方、人文【後】・医(医)【前】【後】・薬【前】【後】は志願者増が見込まれる。特に医(医)【後】は、信州大‐医(医)の後期募集停止の影響で、他大学からの併願が増えそうだ。
●金沢大
 富山大と同様、北陸新幹線の開通によって、関東地区からの関心が高まりそう。前年の反動から、人文学類(以下、学類を略)【前】・地域創造【前】・国際【後】・物質化学【後】・電子情報【前】【後】・自然システム【前】・医【前】で志願者増が、法【前】【後】・経済【後】・学校教育【前】・国際【前】・数物科学【後】・物質化学【前】・機械工【前】【後】・環境デザイン【前】【後】で志願者減が見込まれる。国際【後】はセ試の軽減(8→4科目:数学・理科を除外)も志願者増の要因となりそう。また、経済【前】は前年大幅増(18%増)ながら、低倍率(1倍台)のため狙われそうだ。
●福井大
 国際地域学部(定員60人)を新設。教育地域科学を「教育学部」に改組し、地域科学課程(定員60人)を廃止。工を8→5学科に再編する。
 国際地域(【前】35人・【後】15人)は、旧地域科学課程の受け皿になりそうだが、国際系かつ文理融合型という特色に対する認知度不足から、初年度は低倍率が予想される。教育は教員養成に特化し、学校教育課程は前期が倍率アップで難化しそう。この他、前年の反動から、工【前】・医(医)【前】・医(看護)【前】【後】で志願者増が見込まれる。工【前】は募集人員増(272人→288人)も、志願者増の要因となりそうだ。
●岐阜大
 前年の反動から、医(医)【前】・医(看護)【後】・応用生物科学【前】で志願者増、地域科学【前】【後】・工【後】・応用生物科学【後】で志願者減が見込まれる。医(医)【後】は、信州大‐医(医)の後期募集停止の影響から、超高倍率を覚悟のうえで狙われそうだ。
●静岡大
 全学横断型教育プログラム「地域創造学環」を新設。人文社会科学[昼]で定員減。教育で教員養成以外の3課程(定員:計100人)を廃止。理に「創造理学コース」を新設。情報を2→3学科に再編し、定員増。農も3→2学科に再編し、定員増を行う。
 地域創造学環(【前】25人・【後】5人)は全学一括募集で、入学後は従来の学部に所属しながら、教育内容は各学部と異なる特殊性から、開設初年度は低倍率となりそうだ。
 人文社会科学[昼]は、募集人員減(【前】271人→231人、【後】63人→53人)に加え、前期は前年の反動もあり、大幅減が見込まれる。教育は教員養成に特化するが、人文社会科学[昼]の縮小もあり、廃止3課程からの受け皿不足から、教育養成以外の課程の規模(定員232人)が比較的大きい愛知教育大などへ流出しそうだ。
 一方、情報【前】は学科増設に伴う募集人員増(115人→155人)で志願者大幅増、農【後】も募集人員増(38人→45人)で志願者増の見込み。
 この他、前年の反動から、情報【後】・理【前】・工【前】・農【前】の志願者減が見込まれる。
●名古屋大
 前年の反動から、経済【前】・情報文化【前】・理【前】・医(保健)【前】で志願者増・難化の見込み。情報文化【前】は募集人員増(55人→59人)も要因となりそう。一方、やはり前年の反動から、文【前】・教育【前】で志願者減が見込まれる。
●名古屋工業大
 工1部で従来の7学科を、5学科と創造工学教育課程(学部・大学院の6年一貫教育課程)に再編。創造工学教育課程では、2段階選抜の実施(予告倍率=【前】約3倍・【後】約7倍)が敬遠材料になりそう。また、工1部で募集人員を【前】512人→485人、【後】300人→306人に変更(推薦枠を拡大)。このため、工1部【前】は志願者減が見込まれる。
●三重大
 教育で人間発達科学課程(定員20人)を廃止するが、学校教育課程を定員増(180人→200人)するため、志望動向への影響はなさそう。
 前年の反動から、人文【前】・医(医)【前】・医(看護)【前】【後】・工【後】・生物資源【後】の志願者増、教育【後】の志願者減が見込まれる。人文【前】には定員減の静岡大‐人文社会科学【前】から流入しそうだ。
●富山県立大
 工の2学科(機械システム工、知能デザイン工)で定員増(各50人→60人)、前期の募集人員が、各32人→39人に増える。前年の反動もあり、工【前】【後】とも志願者大幅増が見込まれる。
●福井県立大
 前年の反動で、経済【前】【後】・生物資源【後】・海洋生物資源【後】・看護福祉【前】【後】が志願者増の見込み。一方、やはり前年の反動から、生物資源【前】・海洋生物資源【前】で志願者減が見込まれる。
●岐阜県立看護大
 前年の志願者大幅減の反動で、前・後期ともに志願者増が見込まれる。愛知県立大‐看護【後】、三重県立看護大【前】【後】から流入しそうだ。
●静岡県立大
 経営情報【前】では、2次の小論文を「英語・数学から1」に変更。対策が立てやすくなり、やや志願者増が見込まれる。この他、前年の反動から、食品栄養科学【前】【後】・経営情報【後】・薬【中】で志願者増が、看護【後】で志願者減が見込まれる。
●愛知県立大
 看護で一般入試を募集人員減(【前】55人→50人、【後】10人→5人:全国枠推薦を導入)。志願者は前期でやや減少、後期で大幅減の見込み。前年の反動から、外国語【後】・日本文化【後】の志願者減、教育福祉【後】・情報科学【前】【後】の志願者増が見込まれる。
●名古屋市立大
 前年の反動から、薬【中】・看護【後】で志願者増、人文社会【後】・看護【前】で志願者減が見込まれる。

 
 

<私立大>

 15年は、地区全体で志願者5%増に対し合格者4%増で、倍率は2.7倍でほぼ変動なし。16年は安全志向に加え、静岡大の文系縮小の影響もあり、国公立大から愛知大・中京大・南山大・名城大への併願が多くなりそうだ。
 金沢工業大ではネット出願を導入、一般前期を2→3教科に増加し、セ試前・後期で英語を「選択→必須」にする。金城学院大ではセ試前期を2→3教科に増やす一方、セ試プラス方式(独自・セ試併用)でセ試を2→1教科に軽減。中京大では10学部で、前期A方式に「英語基準型」を導入(英語外部試験の基準を満たせば、英語を満点とみなし、他の2教科とあわせて判定)。南山大でも、全学統一入試で英語外部試験が基準を満たせば、英語を満点とみなす制度を導入し、人文・外国語の全学統一入試で個別学力試験型を導入。ネット出願も導入し、紙の願書を廃止する。名城大では、新設キャンパス(名古屋市東区)に外国語学部を新設。一方、法を2→1学科に再編し、定員減(530人→400人)。また、農でF方式(独自・セ試併用)を新規実施する。

 
 

【関西】国公立は京都大が難化、大阪大の後期や奈良教育大が志願者増、私立は立命館大・関西学院大・近畿大が志願者増か。

 

<国公立大>

●滋賀大
 前年の反動から、経済[昼]【前】【後】・同[夜]【前】は志願者減が見込まれる。一方、やはり前年の反動から、教育【後】は志願者増が予想される。
●滋賀医科大
 前年の反動で、医(医・看護)【前】はともに志願者減の見込み。京都府立医科大‐医(医・看護)【前】、滋賀県立大‐人間看護【前】へ流出しそうだ。
●京都大
 全10学部で「特色入試」を新規実施。総合人間・文・教育・経済・理・医(人間健康科学)・薬・農がセ試課すAO、医(医)がセ試免除推薦、工がセ試課す推薦を実施し、法で後期日程を復活する。このため、前期の募集人員は「総合人間120人→115人、文220人→210人、教育60人→54人、法320人→300人、経済240人→215人(論文型を特色入試に移行)、理311人→306人、医(医)107人→102人、同(人間健康科学)143人→127人、薬80人→77人、工955人→945人、農300人→297人」に削減されるが、教育・経済・医(人間健康科学)以外は減少幅が小さく、影響は限定的。むしろ、東日本の難関大志望者に京都大への志向が高まっている模様で、前年の反動もあり、総合人間【前】・法【前】・薬【前】で志願者増が見込まれるのをはじめ、全体的に倍率アップでやや難化しそうだ。一方、経済【前】・医(人間健康科学)【前】は募集人員減の影響が大きそうだが、倍率はほぼ前年並みか。法で復活する後期は、2段階選抜を実施(予告倍率=約10倍)するものの、東京大‐文Ⅰ【前】からの併願など、志願者が集中し、超高倍率の激戦になりそうだ。
●京都工芸繊維大
 夜間主コース(定員40人)を募集停止し、昼間コースに学部共通プログラム「地域創生TechProgram」(3年次後半から、新設予定の福知山キャンパスで履修)を増設する予定。一般入試の募集人員が少ない(前期8人・後期2人:AOで20人募集)が、前期にやや影響しそう。前年の反動もあり、工芸科学[昼]【前】で志願者増、同【後】で志願者減が見込まれる。
●大阪大
 17年に、推薦・AO「世界適塾入試」の導入に伴い、全学部の後期日程を募集停止する予定(理・工・基礎工はすでに廃止)。このため16年は、後期を受験できる最後のチャンスとなり、文・人間科学・外国語・経済・医(医・保健)・歯の後期はいずれも志願者増が見込まれ、難化は必至。ただし、薬【後】は2次負担増(個人面接を1→2回に増加し、配点を50点→150点にアップ)が敬遠され、法【後】は京都大‐法が後期を復活する影響で、志願者減が見込まれる。
 一方、前期では前年の反動から、人間科学【前】・理【前】・工【前】・基礎工【前】で志願者減、外国語【前】・医(医・保健)【前】で志願者増が見込まれる。
●神戸大
 前年の反動から、国際文化【前】【後】・発達科学【前】・法【後】・経営【前】・農【前】・海事科学【前】【後】で志願者増が見込まれる。海事科学【前】【後】は、東京海洋大‐海洋科学【前】【後】から流入しそうだ。また、国際文化【前】【後】は募集人員減(【前】100人→95人、【後】40人→35人:セ試課す推薦を新規実施)のため、難化が予想される。一方、やはり前年の反動から、文【前】【後】・発達科学【後】・理【前】・医(保健)【後】・工【後】・農【後】で志願者減が見込まれる。
●奈良教育大
 一般入試でネット出願を導入し、紙の願書を廃止。中等音楽・中等美術・家庭科・技術教育で後期を新規実施する。前年の志願者36%減の反動もあり、和歌山大‐教育【前】【後】などから流入、前・後期とも志願者大幅増が見込まれる。
●奈良女子大
 前年の反動から、理【前】【後】・生活環境【後】で志願者増、文【前】で志願者減が見込まれる。
●和歌山大
 教育で教員養成課程を拡大(定員145人→165人)、総合教育課程(同20人)を廃止。経済を3→1学科に統合し、定員減(330人→300人)。観光を2→1学科に統合し、定員増(110人→120人)を行う。前年の反動もあり、教育【前】【後】・観光【後】で志願者減、経済【後】で志願者増が見込まれる。経済【前】は募集人員減(200人→180人)を、観光【前】は募集人員増(50人→55人)を、それぞれ前年の反動が相殺し、志願者はほぼ前年並みか。経済【前】はやや難化しそうだ。
 この他、やはり前年の反動から、システム工【前】【後】の志願者増が見込まれる。
●滋賀県立大
 前年の反動から、環境科学【前】・工【後】・人間文化【前】で志願者増、人間看護【前】【後】で大幅増、工【前】で志願者減が見込まれる。
●京都府立大
 前年の反動で、文【前】・生命環境【後】が志願者増、文【後】・公共政策【前】【後】が志願者減の見込み。
●大阪市立大
 前年の反動から、経済【前】【後】・法【後】・理【前】【後】・工【後】・医(医・看護)【前】の志願者増、商【後】・文【後】・工【前】の志願者減が見込まれる。
●大阪府立大
 前年の反動から、現代システム科学域【前】【後】、工学域【中】で志願者増、生命環境科学域【後】・地域保健【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●兵庫県立大
 前年の反動から、経済【後】・看護【前】【後】の志願者増、経済【前】・工【後】・環境人間【前】の志願者減が見込まれるが、工【後】は募集枠が大きく(【前】120人・【後】140人)、神戸大‐工【前】などの貴重な併願先なので、小幅な減少に留まりそう。看護【前】【後】には、2年連続で志願者大幅増の反動が予想される、神戸市看護大【前】【後】から流入しそうだ。
●奈良県立医科大
 医(看護)で後期(地域枠のみ実施)を募集停止。地域枠(10人)を前期に移行し、2段階選抜を新規実施(予告倍率=10倍)。前期一般枠は40人→35人に削減。前年の反動もあり、医(医)【前】・同(看護)【前】で志願者減、医(医)【後】で志願者増が見込まれる。医(看護)からは、和歌山県立医科大‐保健看護【前】【後】へ流出しそうだ。
 
 この他、前年の反動から、京都教育大【前】【後】で志願者増が、兵庫教育大【前】【後】、神戸市外国語大‐外国語1部【前】【後】で志願者減が見込まれる。 

 
 

<私立大>

 15年は、地区全体で志願者は1%増、合格者は7%増。ネット出願・ネット割が急速に普及したため、新規導入校でも志願者増に結びつかず、学内併願が増えた分、歩留まりの読みにくさにもつながり、合格者を多めに出す大学が目立った。16年は京都産業大・龍谷大がネット出願に完全移行(紙の願書を廃止)するが、その他のネット出願に関する変更は、大きな変動要因とはならないものとみられる。
 前年の倍率ダウンの反動に加え、就職状況が比較的良好で文系学部の定員規模が大きい「関関同立」「産近甲龍」に対し、国立大の「文系縮小、理系拡大」の学部改編により、受け皿を求める国公立大文系志望者が併願を増やすものとみられる。特に、英語外部試験利用に積極的な立命館大・関西学院大、「国際学部」を新設する近畿大の動向が注目される。ただし、定員規模の大きな大都市圏の大学では、16年から定員超過率が厳しく抑制され、合格者絞り込みが予測されるため、やや難化が想定される。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●京都産業大
 理に「宇宙物理・気象学科」を増設予定。一般入試・セ試利用入試をネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止する(受験料割引は継続)。
●京都女子大
 一般前期で、英語の解答方式を「記述式→マークシート」に変更。文・発達教育・家政・法のセ試前期で、5科目型を追加。また、発達教育・法でセ試後期を新規実施する。
●立命館大
 15年開設の茨木キャンパス(京都・大阪間)は、交通アクセスの良さに加え、総合心理学部の新設(セ試利用入試も実施)もあり、大阪・神戸からの志願者が大幅に増えそうだ。理工・生命科学・薬で、学部個別配点方式に理科2科目型を追加。また、全学(法・理工を除く)のセ試利用入試で、英語外部試験が指定の基準以上の場合、セ試の英語を満点と見なす制度を導入。国際関係のIR方式で英語のリスニングを廃止し、英語外部検定の成績を新規利用(例:英検2級=80点、準1級以上=満点に換算)する。
●龍谷大
 一般入試・セ試利用入試をネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止(受験料割引は継続)。15年開設の農は、西日本では希少な私立農学部だけに、セ試利用入試の新規実施もあり、国公立の併願先として引き続き人気を集めそうだ。
●関西大
 入学前予約型の「学の実化(じつげ)入学前採用型給付型奨学金」を新設(一般入試・セ試利用入試の受験者が対象)。法・経済で全学部日程に「同一配点方式」を追加し、経済のセ試利用入試に4科目型と6科目型を追加する。
●近畿大
 国際学部を新設。定員規模(500人)が大きく、セ試利用入試も新規実施する。人気系統だけに多数の志願者を集めそうだ。一方、法で定員減(680人→500人)の予定。医のC方式セ試で、前・中期ともに2次(小論文・面接)を追加。また、法・経済・経営・文芸・総合社会の5学部で、一般入試に学部内併願方式(同一学部内の複数学科等を同時併願可)を導入する。
●摂南大
 4学部で定員増(法・経済各220人→250人、経営260人→270人、理工450人→500人)を予定。また、法・外国語・経済・経営の前期A日程を2→3教科に負担増(国語を選択→必須に)、前期B日程の試験日を「2/9・10→2/3・4」に繰り上げる。セ試前期では、法・外国語・経済・経営で2科目型を、理工・薬・看護で2教科型を廃止し、いずれも4科目型を追加する。
●関西学院大
 全学部のセ試利用入試(1月出願)で「英語検定試験活用型」を新規実施。英語外部試験(TEAP、英検準1級など)を出願資格として活用し、各学部が指定する、英語以外のセ試の科目で合否判定を行う。また、全学日程で学外試験場を変更(長崎を廃止、奈良に新設)する。
●神戸学院大
 法・経済・経営・人文・現代社会・総合リハビリテーション(社会リハビリテーション)の一般前期で、複数学部・学科の同時併願制度(最大8学科)を導入。15年開設のグローバル・コミュニケーションでセ試利用入試を新規実施する。
 
 関西外国語大・神戸松蔭女子学院大などでネット出願を新規実施し、紙の願書を廃止。武庫川女子大でネット出願(紙の願書と併用)とネット割を導入。同志社女子大・神戸女子大・武庫川女子大では、15年開設の看護でセ試利用入試を新規実施する。
 成美大が「私立→公立」化を予定。追手門学院大は、地域創造でセ試利用入試を新規実施し、一般S日程で後期、一般B日程で3科目方式を廃止。大阪薬科大では、一般Aの募集人員を増加(80人→90人)し、セ試利用入試を削減(後期も含め30人→20人)。神戸女学院大では、一般前期の学外試験場を高松・広島に増設する。神戸薬科大で、一般中期を「英語必須、化学・生物から1選択」から「化学・数学各必須」に変更。兵庫医科大で一般入試の募集枠を拡大(74人→79人)し、名古屋会場を増設する。

 
 

【中国・四国】鳥取大・広島大・山口大・香川大が志願者増、島根大・徳島大・愛媛大・高知大が志願者減か。

 

<国公立大>

●鳥取大
 前年の反動から、医(医)【前】・工【後】・農【前】【後】で志願者増、地域【前】【後】・医(医)【後】・医(保健)【前】【後】で志願者減が見込まれる。医(医)【前】は、島根大‐医(医)【前】から流入しそうだ。
●島根大
 前年の反動で、教育【前】・医(医)【前】・総合理工【前】・生物資源科学【後】が志願者減、法文【後】・総合理工【後】・生物資源科学【前】が志願者増の見込み。
●岡山大
 教育【前】は、定員減の広島大‐教育【前】からの流入が見込まれ、やや志願者増か。また、前年の反動から、理【後】・歯【前】【後】・薬【前】・環境理工【前】で志願者増、文【前】【後】・法[昼]【前】【後】・経済[昼]【前】・薬【後】・農【前】で志願者減が見込まれる。
●広島大
 教育【前】【後】は、第1類(学校教育系)の募集人員減(【前】132人→122人、【後】31人→21人)が影響し、やや志願者減か。理【前】は2次の配点をアップ(数学科1,000点→1,400点、他4学科は900点→1,400点。セ試は900点)するが、セ試の平均点がアップした場合、敬遠材料となりそう。この他、前年の反動から、経済[昼]【前】・理【後】・医(医)【前】・歯【前】・薬【前】・生物生産【後】で志願者増、法[昼]【前】・歯【後】・工【後】で志願者減が予想される。
●山口大
 国際総合科学は開設2年目で認知度が高まったため、英検などの外国語検定の成績を利用できる(2次の得点に加算)こともあり、やや志願者増が見込まれる。人文では2→1学科に統合、一般入試の募集人員を増加(【前】113人→115人、【後】22人→33人)。前年の反動もあり、前・後期とも志願者大幅増の見込み。この他、やはり前年の反動から、理【前】・医(保健)【後】・農【前】で志願者増、経済【後】・教育【前】・医(医)【前】・工【後】・農【後】・共同獣医【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●徳島大
 生物資源産業学部を新設。総合科学を3→1学科に統合し、定員減(265人→170人)。工を「理工学部」に改組し、昼間7学科・夜間主6学科を各1学科(6コース)に統合する。生物資源産業(【前】50人・【後】20人)は2次で総合問題を課すが、理系女子に人気の分野だけに、多くの志願者を集めそう。総合科学【前】【後】は募集人員減(【前】145人→85人、【後】50人→20人)に加え、前期は前年の志願者7割増の反動もあり、大幅減は必至だ。
 医(医)【前】は、前年の志願者倍増の反動に加え、2段階選抜の予告倍率(約5倍)に得点基準(900点中600点以上)を追加したため、志願者大幅減の見込み。この他、前年の反動から医(保健)【前】【後】・歯【前】【後】・薬【前】で志願者増、理工[夜]【前】で志願者減が見込まれる。
●香川大
 前年の反動から、教育【前】・経済[昼]【前】・医(看護)【前】【後】・工【前】【後】・農【前】で志願者増、教育【後】・経済[昼]【後】・医(医)【前】で志願者減の見込み。経済[昼]【後】は募集人員減(55人→45人:推薦枠拡大)も志願者減の要因となりそうだ。
●愛媛大
 社会共創学部を新設、農を1→3学科に再編。一方、法文[昼・夜]を2→1学科に統合し、定員減(昼395人→275人、夜110人→90人)。教育では教員養成以外の3課程(定員:計100人)を廃止し、学校教育課程の定員増(100人→140人)を行う。
 社会共創は文理融合の4学科構成で、法文[昼・夜]や、教育の廃止3課程の受け皿になりそうだが、前期のみ募集(111人)で、3学科で面接を課すため、低倍率が予想される。また、法文[昼]【前】【後】は募集人員減(【前】230人→180人、【後】70人→50人)のため、志願者大幅減は必至。教育【前】【後】では学校教育課程に廃止3課程の志願者層の一部が移行、倍率アップで難化しそうだ。
 この他、前年の反動から、理【前】・医(看護)【前】・工【前】・農【前】で志願者増が、医(医)【前】・農【後】で志願者減が見込まれる。医(医)【前】の場合、2段階選抜の予告倍率引き締め(募集人員の8倍→6倍)も敬遠材料となりそうだ。
●高知大
 人文を「人文社会科学部」に改組、3→1学科(3コース)に統合。農を「農林海洋科学部」に改組、1→3学科に再編し、定員増(170人→200人)。理も定員減(270人→240人)を行う。
 人文社会科学は定員減がなく、愛媛大‐法文[昼]【前】【後】から流入が見込まれ、前・後期とも志願者が増加しそう。農林海洋科学は募集人員が増える(【前】98人→126人、【後】20人→24人)が、前年の大幅増の反動から、前期で志願者減、やや易化が見込まれる。また、理【前】【後】は募集人員減(【前】163人→145人、【後】30人→26人)に加え、後期は前年の志願者255%増の反動もあり、志願者減が見込まれる。
 地域協働【前】は、開設2年目で認知度が高まり、やや志願者増か。この他、前年の反動から、医(看護)【前】【後】で志願者増、教育【前】・医(医)【前】で志願者減の見込み。医(看護)【前】は、募集人員減(30人→25人:推薦枠拡大)で難化しそうだ。
●島根県立大
 総合政策【前】で募集枠の配分を変更(3教科型80人→60人、5教科型40人→60人)。軽負担の方式を縮小するため、志願者減の見込み。また、前年の反動から、看護【前】で志願者減、総合政策【後】で志願者増が見込まれる。
●県立広島大
 前年の志願者21%増の反動から、人間文化【前】・経営情報【前】【後】は志願者減の見込み。生命環境【前】【後】は、募集人員増(【前】75人→86人、【後】24人→34人)に加え、前期は2次負担減(英語を除外)もあり、志願者増が見込まれる。
●山口県立大
 国際文化【前】は2次負担増(国際文化学科=集団面接を追加、文化創造学科=総合問題→小論文・個人面接)が敬遠され、やや志願者減か。前年の反動から、国際文化【後】・看護栄養【前】【後】で志願者減、社会福祉【前】【後】で志願者増の見込み。看護栄養【前】は栄養学科のセ試負担増(5または6科目→6または7科目)も要因となりそうだ。
●高知県立大
 15年で、定員大幅増(80人→150人)に志願者増が追いつかず、倍率が急下降した文化[昼]【前】【後】をはじめ、前年の反動から、看護【前】・社会福祉【前】・健康栄養【前】で志願者増が見込まれる。
●高知工科大
 前年の反動から、システム工【後】・環境理工【前】【後】・情報【前】【後】で志願者増の見込み。環境理工【後】は「センターのみ」方式(セ試7または8科目のみで合否判定)の追加も要因となりそう。一方、経済・マネジメント【前】は、前年の志願者約3倍増の反動で、志願者減は必至だ。

 
 

<私立大>

 国公立との併願が多い広島修道大・松山大は、人気回復傾向の経済系を中心に志願者を集めそう。岡山理科大の学部増設(教育)、広島修道大の学科増設(人文‐教育)、山口東京理科大の「私立→公立」化、松山大のネット出願・ネット割の導入などが、志望動向に影響を及ぼしそうだ。

 
 

【九州】九州大・佐賀大・琉球大・福岡大が志願者増、福岡教育大・長崎大・熊本大・宮崎大が志願者減か。

 

<国公立大>

●九州大
 前年の反動から、文【前】・経済【前】【後】・理【後】・歯【前】・薬【前】・芸術工【前】で志願者増、法【前】・歯【後】で志願者減が見込まれる。歯は募集人員の増減(【前】37人→40人、【後】8人→5人)も影響しそう。
 医(医)【前】は医学系で唯一、理科3科目必須(セ試・2次合計)のため、募集人員増の熊本大‐医(医)【前】へ流出し、志願者減が見込まれる。
●福岡教育大
 教員養成以外の3課程(定員:計102人)を廃止し、教員養成課程(初等教育・中等教育・特別支援教育)を定員増(計528人→615人)。ただし、教員養成3課程の合計で、推薦入試の募集枠を拡大(59人→179人)し、一般入試の募集枠を縮小(【前】373人→350人、【後】96人→86人)。また、初等教育課程を「選修別募集→一括募集(幼児教育選修を除く)」に変更。中等教育課程【前】【後】の2次負担増(小論文を追加)もあり、前・後期とも志願者減が見込まれる。
●佐賀大
 芸術地域デザイン学部を新設。文化教育を「教育学部」に改組し、学校教育課程を定員増(90人→120人)、人間環境、国際文化、美術・工芸の3課程(定員:計150人)を廃止する。
 芸術地域デザイン(【前】58人・【後】27人)は、県外の認知度不足から、低倍率が予想される。教育は、教員養成に特化するが、学校教育課程自体は福岡教育大【前】【後】などからの流入が見込まれ、倍率はアップしそう。
 理工【前】は2次負担増(英語を追加)が敬遠され、志願者減の見込み。医(医)【後】は、熊本大‐医(医)【後】の募集停止が影響し、貴重な併願先として人気が高まりそう。この他、前年の反動から、経済【前】・医(医)【前】・農【前】【後】で志願者増、医(看護)【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●長崎大
 多文化社会【前】は前年の超低倍率と募集人員増(70人→75人)から狙われそうだが、セ試の英語の高基準点がネックになり、志願者増は小幅か。教育【前】では英語重視の2次負担増(コース・専攻により、小論文から英語必須の学科試験に変更、従来の科目に英語を追加、など)を実施。前年の反動もあり、志願者減が見込まれる。工【前】も2次負担増(英語を追加)が敬遠され、志願者減は必至。この他、前年の反動から、医(保健)【前】・歯【後】・薬【前】・工【後】・環境科学【後】・水産【後】で志願者増、教育【後】・経済[昼]【前】・医(医)【前】・歯【前】・水産【前】で志願者減が見込まれる。
●熊本大
 医(医)で後期を募集停止、前期を募集人員増(80人→95人)。前期は2段階選抜の予告倍率を引き締める(約5倍→約4倍)が、やや志願者増の見込み。併願先は佐賀大-医(医)【後】、鹿児島大‐医(医)【後】が増えそうだ。教育【前】【後】は一般入試の募集枠縮小(【前】221人→208人、【後】34人→19人)で志願者減の見込み。前年の反動から、法【後】・医(保健)【前】【後】・工【前】【後】で志願者増、文【前】・理【後】で志願者減が見込まれる。
●大分大
 福祉健康科学部を新設。教育福祉科学を「教育学部」に改組し、教員養成以外の2課程(定員:計145人)を廃止する。福祉健康科学(【前】78人・【後】16人)は、旧人間福祉科学課程の受け皿となるが、初年度は低倍率が予想される。教育は、定員減の宮崎大‐教育からの志願者流入で、やや倍率アップしそう。この他、前年の反動から、経済【後】・医(医)【前】・医(看護)【前】・工【後】の志願者増、医(看護)【後】・工【前】の志願者減が予想される。
●宮崎大
 地域資源創成学部を新設。教育文化を「教育学部」に改組し、学校教育課程を定員減(150人→120人)、人間社会課程(定員80人)を廃止。一方、農で定員増(265人→285人)を行う。地域資源創成(【前】55人・【後】20人)は、旧人間社会課程の受け皿となりそうだが、初年度は低倍率が予想される。教育は、定員減で前・後期とも倍率ダウンの見込み。また、農は募集人員増(【前】152人→167人、【後】64人→73人)ながら、琉球大‐農【前】【後】が受験しやすくなった影響もあり、志願者増は小幅に留まりそう。
 前年の反動から、医(医)【前】で志願者増、医(医)【後】で志願者減の見込み。工【前】【後】は2次で英語を課さないため、英語を追加する鹿児島大‐工【前】などから流入しそうだ。
●鹿児島大
 理(数理情報科学、物理科学、生命化学)・工・農・水産の前期で、2次に英語を追加。いずれも敬遠材料となり、志願者減が見込まれる。
 この他、前年の反動から、教育【後】・工【後】・医(医)【前】【後】・医(保健)【後】・農【後】・水産【後】・共同獣医【前】【後】で志願者増、法文【前】【後】・歯【前】【後】で志願者減の見込み。医(医)【後】は、熊本大‐医(医)【後】の募集停止も影響しそうだ。
●琉球大
 農【前】【後】で、セ試の理科の選択パターンに「発展2科目」を追加。15年は「基礎2科目+発展1科目」必須で、しかも基礎・発展の同一科目不可だったため敬遠されたが、16年は他の農学部と併願がしやすくなり、志願者大幅増は必至だ。この他、前年の反動から、観光産業科学[昼]【前】・理【後】・医(医)【前】【後】・工[昼]【後】で志願者増、法文[夜]【前】【後】・教育【前】・医(保健)【前】・工[夜]【後】で志願者減が見込まれる。
●北九州市立大
 前年の反動から、外国語【前】・経済【後】・法【前】・文【後】・地域創生【前】・国際環境工【後】で志願者増、文【前】・法【後】で志願者減が見込まれる。また、国際環境工【前】は2次で英語を課さないため、佐賀大‐理工【前】などから流入し、やや志願者増か。
●福岡女子大
 国際文理で募集人員を変更(【前】113人→129人、【後】60人→43人)。募集人員が増加する前期は志願者増、減少する後期は、国際教養学科のセ試負担増(3または4科目→5または6科目)もあり、志願者大幅減が見込まれる。
●長崎県立大
 経済を「経営、地域創造」の2学部に、国際情報を「国際社会、情報システム」の2学部に、それぞれ分割・改組する。旧学部の前年の入試結果から、経営【前】【後】・地域創造【前】【後】は志願者増、国際社会【前】で志願者減の見込み。また、前年の反動から、看護栄養【後】で志願者減が見込まれる。
●熊本県立大
 前年の反動から、文【後】・環境共生【前】で志願者減、総合管理【前】【後】で大幅減が見込まれる。

 
 

<私立大>

 15年は地区全体で、志願者6%減に対し、合格者4%増。16年は、国立大の学部改組の影響で、西南学院大・福岡大への併願が増えそう。この他、中村学園大がネット割を導入、福岡大が入学前予約型の給付奨学金を新設、立命館アジア太平洋大がセ試前期に7科目型を追加、セ試後期を「3または4科目→4または5科目」に増加するのが注目される。

 
 

●お詫びと訂正
 小社刊『螢雪時代・2015年11月号』の「2016年 一般入試の難易変動はこうなる!?」の66ページ左段7行目と、11月臨時増刊『全国大学受験年鑑』の「2016年入試志望動向&難易変動予測」の19ページ左段12行目において、「学習院大・名城大・立命館大の“国際系”学部増設」としていましたが、正しくは『学習院大・名城大・近畿大の“国際系”学部増設』となります。読者ならびに大学関係各位にお詫びして訂正いたします。なお、当サイトに転載した同記事については修正済みです。

 

この記事は「螢雪時代(2015年11月号)」より転載いたしました。

 

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