入試動向分析

国公立大&私立大 2014年入試結果&2015年新課程入試速報
 【2014年8月】

2014年は準難関私立大がやや易化か。新課程入試初年度は理科がカギ!?

夏休みを前に、各大学の2014年(以下、14年)入試結果データが出そろった。ここでは、国公立大、私立大それぞれの一般入試結果を最終チェックし、さらに15年新課程入試の最新情報を紹介。そのうえで、15年入試の志望動向を予測する。

※この記事は『螢雪時代・2014年8月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

一般入試の合格状況を総ざらい! 国公立大は準難関校がやや難化、私立大センター利用で合格者大幅増

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14年の一般入試結果を見ると、国公立大は「志願者1%減、合格者:前年並み」、私立大は「志願者2%増、合格者6%増」。いずれも全体的に倍率ダウンした。首都圏の準難関国公立大がやや難化、一方で準難関私立大がやや易化した模様だ。学部系統別では、国公立・私立ともに医・歯・薬が難化、私立で文系が易化したとみられる。


国公立大:
志願者1%減、合格者は前年並み。医・歯・薬が難化、教員養成が易化

国公立大の14年一般入試の実施結果を『螢雪時代』で調査したところ、全体では13年に比べ「志願者1%減、合格者:前年並み」で、倍率(志願者÷合格者。以下、特に注記のない場合は同じ)は13年4.1倍→14年4.0倍とダウンした。
 日程別にみると(グラフ2)、前期・後期ともに国立大が倍率ダウン、公立大が倍率アップと対照的な結果になった。特に公立大後期が「志願者3%増、合格者1%減」で「8.8倍→9.2倍」にアップしたのが目立つ。
 センター試験(以下、セ試)の平均点はややアップ(グラフ1)したが、“源氏物語ショック”の国語の平均点ダウンが文系・理系いずれにも影響を与え、さらに15年新課程入試を翌年に控えた「後がない」意識から安全志向が強まり、文理ともに慎重な出願傾向となった結果、「国立大→公立大」へ志望変更したものとみられる。また、私立大の併願も増やした模様だ(特にセ試利用入試で)。
 各大学の倍率(全学の合計)の変動を見てみよう。難関校で倍率低下が目立つ一方、準難関校や地方公立大では倍率アップがみられた。
 難関校では、東京大(3.9倍→4.0倍)が倍率アップしたが、北海道大(4.0倍→3.9倍)、東北大(3.1倍→3.0倍)、名古屋大(2.7倍→2.6倍)、京都大(2.9倍→2.8倍)、大阪大(3.1倍→3.0倍)、九州大(3.4倍→3.1倍)がダウン。特に、九州大はやや易化した模様だ。
 一方、筑波大(3.7倍→3.9倍)、埼玉大(3.5倍→3.7倍)、千葉大(4.3倍→4.5倍)、横浜国立大(4.5倍→4.7倍)、広島大(3.1倍→3.2倍)、首都大学東京(4.8倍→5.2倍)、大阪府立大(5.3倍→5.5倍)といった、おもに首都圏の準難関校で倍率アップが目立った。特に首都大学東京は、第1段階選抜の不合格者が「393人→1,087人」に急増(予告倍率を引き締めたため)するなど、やや難化した模様だ。
 学部系統別(グラフ3)にみると、文系は経済・経営・商、社会・社会福祉、国際・国際関係がやや倍率アップ。理系では薬が激戦化し、難化した模様。医・歯もやや倍率アップしたが、理・工・農は前年並み、医療・看護はやや倍率ダウンし、志願状況と同様、倍率面でも「文低理高」はやや弱まり、「文理均衡」に近づいた。その中で、志願者大幅減の教員養成系は倍率もダウン、やや易化したとみられる。

グラフ1 センター試験(本試)5教科6科目の総合平均点の推移、グラフ2 2014年度/国公立大一般入試 日程別/志願者・合格者動向、グラフ3 2014年度/国公立大一般入試学部系統別/志願者・合格者動向


総合点の“合格者平均点”のクリアを最終目標にしよう

こうした「倍率」とともに気になるのが、合格者の最低点や平均点という「合格者データ」だろう。合格最低点は合否の分かれ目になる、いわゆる「ボーダーライン」。合格平均点は、総じて最低点より得点率(%)にして5~10p(ポイント)程度高い。合格最低点は「最低目標」として重要なデータといえるが、確実に合格を目指すには、「合格者平均点」のレベルまで学力アップしておくことが望まれる。
 14年入試の例として、金沢大の前期日程の合格者データを見てみよう(表1)。総合点を得点率(%)に換算し、各学類を分野別にまとめて平均すると、文系(人間社会学域)で「最低63%・平均68%」、理工系(理工学域)で「最低63%・平均67%」、医療系(医薬保健学域)で「最低70%・平均73%」となる。合格するには医療系で7割以上(医は8割以上)、文系・理工系で6~7割程度の得点が必要なのだ。また、合格者平均点をセ試・2次(個別試験)ごとに平均すると、「文系=セ試72%・2次60%、理工系=セ試74%・2次60%、医療系=セ試78%・2次68%」となる。マーク式のセ試に比べ、記述式の2次の方が得点しにくいことがわかる。
 このうち、配点がセ試重視の「国際学類」と、2次重視の「物質化学類」を比較してみよう。
 国際学類の配点は「セ試900点、2次600点、総計1,500点」。合格者は、セ試では得点率66%~80%(平均73%)に分布し、最高・最低の差は14p。2次では得点率47~76%(平均61%)に分布し、最高・最低の差は29p。配点の小さい2次の方が最高・最低の差が大きく、セ試の得点である程度合否が決まったことがうかがえる。
 一方、物質化学類の配点は「セ試450点、2次600点、総計1,050点」。合格者は、セ試では得点率66%~84%(平均75%)に分布、最高・最低の差は18p。2次では得点率52~76%(平均62%)に分布し、最高・最低の差は24p。国際学類に比べ、セ試と2次で得点幅にあまり違いがなく、2次の得点力で合否が決まったことがうかがえる。

表1 2014年入試/金沢大前期合格者の最低点・平均点


私立大:
志願者2%増、合格者6%増。文系全般と看護系が易化

表2 私立大 志願者数TOP10 の入試結果『螢雪時代』の私立大一般入試結果調査(533大学集計:志願者300.4万人)によると、13年に比べ「志願者2%増、合格者6%増」で、倍率は全体で13年3.5倍→14年3.4倍にダウンした。
 入試方式別にみると、各大学の独自入試は「志願者1%増、合格者3%増」で、倍率は3.8倍→3.7倍にダウン。また、セ試利用入試(独自・セ試併用型を含む)は「志願者6%増、合格者13%増」と、さらに合格者増が顕著で、倍率は3.0倍→2.9倍にダウンした。セ試利用入試(特に独自・セ試併用型)は同時併願の受験料割引(以下、併願割)の対象にされることが多いのに加え、14年はもともと国公立大志向の強い受験生からの併願が増えたため、入学手続率(歩留まり)が読みにくくなり、合格者を多めに出さざるを得なかったものとみられる。
 志願者数の上位10大学(表2)の入試結果を見ると、志願者減の中央大・東洋大・明治大・立教大・関西大の実質倍率(受験者÷合格者)ダウンはもちろん、志願者数トップとなった近畿大や法政大・立命館大といった志願者増の大学まで、その増加率以上に合格者を多めに出し、10大学中8大学で実質倍率がダウンしたのが注目される。法政大の場合、T日程(統一日程入試)で学部・学科同時併願を可能にし、受験料割引を導入したため志願者が増加したが、歩留まりも読みづらくなった模様。この他、おもな大学で実質倍率が比較的大きく変動したのは次の通り(*=志願者÷合格者)。


(1)倍率アップ
【首都圏】工学院大5.5倍→5.8倍、国際基督教大2.7倍→2.9倍*、上智大3.8倍→4.3倍
【京阪神ほか】金沢工業大2.1倍→2.7倍、名城大2.8倍→3.0倍、京都産業大4.0倍→4.9倍、同志社女子大3.6倍→3.8倍、大阪経済大4.6倍→4.8倍、大阪工業大3.2倍→3.4倍、摂南大3.8倍→4.7倍、神戸学院大2.3倍→2.9倍

(2)倍率ダウン
【首都圏】獨協大3.2倍→2.7倍、青山学院大5.8倍→5.5倍、慶應義塾大4.2倍→4.0倍、國學院大4.8倍→3.9倍、芝浦工業大4.8倍→4.1倍、成蹊大4.5倍→4.3倍、成城大4.0倍→3.4倍、津田塾大2.5倍→2.1倍、東海大3.5倍→3.3倍、東京女子大2.6倍→2.4倍、東京電機大5.1倍→4.5倍、東京理科大3.2倍→3.0倍、日本女子大3.2倍→2.9倍、武蔵大4.9倍→4.4倍
【京阪神ほか】南山大2.6倍→2.1倍、京都女子大2.9倍→2.7倍、佛教大4.0倍→3.2倍、龍谷大3.8倍→3.6倍、関西学院大3.9倍→3.7倍、甲南大3.8倍→3.6倍、武庫川女子大3.8倍→3.6倍


地区別の集計をみると(グラフ4)、インターネット出願(以下、ネット出願)や、その際の受験料割引(以下、ネット割)が志願者大幅増に結びついた関西地区で、かえって倍率が低下した。ネット割による学内併願増も、歩留まりの読みにくさにつながり、合格者増に影響したものとみられる。とはいえ、前掲のおもな大学の倍率変動をみると、首都圏の難関~中堅校の方が、京阪神や各地域ブロックの拠点校よりも倍率低下した大学が多いことがわかる。
 グラフ6で文理別・難易ランク別の志願者動向(5月上旬現在:駿台予備学校の集計)を見てみよう。ここでいう難易ランクは、同じ大学内でも学部によって異なるが、おおむね、Aランクは難関校や難関医科大、Bランクは準難関校、Cランクは中堅上位校、D~Eランクは中堅クラス以降を指す。文系は全ランクで志願者減か前年並みであり、特にBランクの減少が目立つのに対し、理系は全ランクで志願者が増え、いわゆる“中堅理工系”などC~Eランクの志願者増が際立つ、という対照的な現象が見られた。難易ランクを超えた極端な「文低理高」傾向と、理系の志願者増のボリュームゾーンが中堅クラスであることから、国公立大からの併願増も含め、「後がない」意識による“安全志向”がいかに強かったかが見て取れる。
 全国の私立大を、大学単位の競争率(実質倍率)グループ別に分類すると(グラフ7)、「1.9倍以下」の大学が増え、その他のグループは減少するか前年と同じだった。高倍率校を敬遠して順次ランクダウンし、1倍台の中堅クラスに流入するとともに、準難関校の文系を中心に、合格者増で倍率低下するケースがままみられたことが、倍率全体を押し下げた模様だ。
 学部系統別にみると(グラフ5)、ここ数年と同じく「文低理高」傾向だが、倍率面でみると、志願状況ほど顕著ではない。
 文系学部は、国際関係・外国語以外は軒並み倍率が低下し、いずれもやや易化したものとみられる。理系学部のうち、医、歯、薬の倍率アップが著しく、やや難化した模様だが、“爆発的”に志願者が増えた理・工は、合格者も大幅に増えたため、倍率はほぼ前年並み。また、医療・看護は新設が相次いだわりに志願者が集まらず、既設の学部・学科を中心に倍率ダウン、易化した模様。同じように、家政・生活科学も近年の栄養系学科の難化が敬遠されたためか、「志願者減・合格者増」で倍率ダウン、やはり易化したものとみられる。

グラフ4 2014年度/国公立大一般入試 日程別/志願者・合格者動向、グラフ5 2014年度/私立大一般入試学部系統別/志願者・合格者動向、グラフ6 2014年私立大一般入試 難易ランク別志願者増減率、グラフ7 私立大一般入試/競争率グループ別大学数の分布、


合格ライン周辺から、私立大の入試の実態を把握しよう

倍率に続き、私立大一般入試の「合格ライン」を見てみよう。国公立大と同様、合格への道標となる大切なデータだ。
 グラフ8に、龍谷大‐経営(A日程:スタンダード方式文系型)の14年入試で、合格ライン付近の人数分布を示した。同方式の科目・配点は「英語」「国語」「世界史、日本史、政治・経済、数学から1」の3科目で各100点、計300点。受験者数1,717人に対し合格者数369人で、実質倍率は4.7倍。合格最低点は222点(得点率74.0%)だった。その分布状況を見ると、
(1)合格最低点を含め、上10点幅のゾーンに136人と、全合格者の約37%が集中している。
(2)不合格者の最高点(221点)を含め、下10点幅のゾーンに212人もいる。
(3)合格最低点で合格したのは11人、1点差での不合格者も24 人いる。
 合格ライン付近では、総合的にほぼ同じ学力の受験生がひしめき合い、わずか1点差で合否が決まる。では、“1点差”を争う合格ラインを、どうやって突破するのか? グラフ8の右側に、合格最低点とその1点下の受験者から、特徴のある得点パターンをピックアップした。ここからわかるのは「得意科目」の大切さだ。
 3科目入試では、1科目で得点が伸びなくても他の科目でカバーできることが多い。Aさんのように絶対的な得意科目があれば、他の2科目が普通、または1科目だけやや苦手であっても心強い。ただし、Dくんのように苦手科目の失点が大きすぎると、カバーしきれず1点差に泣くことになる。得意科目の優位を生かすには、苦手科目でも6割以上の得点はほしい。
 できれば余裕をもって合格したいが、私立大一般入試で何とか合格ライン(7割台)をクリアするためには、得意科目(8割台)、準得意科目(7割台)を持ち、残り1科目で普通(6割台)をキープしよう。

グラフ8 龍谷大-経営(A日程)スタンダード方式文系型 合格ライン付近の合否状況

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15年新課程入試の変更点をチェック! 上智大・成城大・共立女子大で全学規模の学部共通入試を実施!

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ここからは、15年入試で最大の変動要因といえる、新課程理科の科目指定状況をおさらいし、4・5月号に続き、6月中旬現在で判明した、おもな大学の変更点を紹介する。国公立大では山口大・高知大の学部増設予定、私立大ではネット出願の導入校急増や、首都圏主要校の大規模な入試改革、看護系の「増設ラッシュ」が注目される。


新課程理科:
看護・医療・栄養系の多様な科目指定には要注意


 新課程入試で科目や実施方法が大きく変わる理科は、15年入試で最大の変動要因といえる。ここでは、国公立大と私立大の科目指定状況と、学部系統ごとの特徴を再確認しておこう(図1)。文中、理科で基礎を付した科目を「基礎科目」、付していない科目を「発展科目」と表示。個別試験など、出題範囲が基礎・発展にまたがる場合は「基礎&発展」と表示した。

【国公立大:セ試】文系学部では、国立大・公立大ともに「基礎2科目、または発展1科目」が一般的。国立大で次に多いパターンの「基礎2科目」では、発展科目受験者への救済措置として「みなし措置」がとられる(例:東京大‐文科類では、発展2科目を「基礎2科目」とみなす。ただし配点は200点→100点に圧縮)。
 理系学部の場合、国立大・公立大ともに「発展2科目」が一般的。看護・医療・栄養系では、国立大で「発展2科目」が最多で、次に「基礎2科目または発展1科目」が多いのに対し、公立大は「基礎2科目または発展1科目」が最多で、次に「発展2科目」が多い。

【国公立大:2次】理系学部の特徴をみると、難関大や医学科が「基礎&発展」2科目、その他の理系学部(医療・看護・栄養系を含む)は「基礎&発展」1科目が一般的だ。

【私立大:独自入試】理系の各学部系統の特徴をみると、理工、農、歯、薬は「基礎&発展」1科目、医は同じく2科目が一般的。ただし、慶應義塾大‐理工、早稲田大の理工系3学部では「基礎&発展」2科目を課す。医療・看護・栄養系は、大学によって「基礎1科目」「基礎2科目」「基礎&発展1科目」「基礎2科目、または基礎&発展1科目」と選択パターンが分散するが、半数近くが「基礎1科目」としている。

【私立大:セ試利用入試】私立大文系学部で理科を課すか選択可能な場合、科目指定は「基礎2科目、または発展1科目」が一般的だが、一部に基礎科目が選択不可のケースもみられる(青山学院大‐法、明治大‐文・商など)。
 理系学部では、理工、農、歯、薬は「発展1科目」、医は「発展2科目」が一般的。医療・看護・栄養系は「基礎2科目、または発展1科目」が多い。ただし、理工、農、薬は「発展2科目」のケース(同志社大‐理工・生命医科学、大阪薬科大、関西学院大‐理工など)や、基礎2科目で受験できるケース(日本大‐生産工・工、麻布大‐獣医・生命・環境科学、名城大‐農・理工など)もある。

図1 新課程理科の科目指定 最も一般的なパターン


ネット出願:
広島大・上智大・法政大など、導入校が爆発的に増加しそう


 14年に公私立大あわせて90大学近くが実施した「ネット出願」は、15年入試でさらに導入校が“爆発的”に増えそうだ。また、13・14年に関西地区の志願者増の一因となった「ネット割」も、やはり導入校が増える見通しだ。
 国立大では、お茶の水女子大が一般入試で、広島大が一般入試・AO入試で、愛媛大が「スーパーサイエンス特別コース」でネット出願を導入する(いずれも紙の願書と併用)。
 私立大では、上智大が一般入試でネット出願を導入するのをはじめ、亜細亜大・成城大・法政大・広島修道大・西南学院大が一般入試(セ試利用含む)でネット出願を導入する(成城大はAO入試、西南学院大は公募推薦も)。このうち、上智大・成城大は紙の願書を廃止し、広島修道大・西南学院大はネット割も導入する。
 この他にも、札幌学院大・神田外語大・目白大・創価大・東京経済大・東京工芸大・東京成徳大・相模女子大・岐阜聖徳学園大・大谷大・大阪産業大・大阪商業大・大阪薬科大・神戸松蔭女子学院大・広島国際大・九州産業大などでネット出願を導入する予定(対象となる入試やネット割の有無は各大学で異なる)。このうち、大阪薬科大・広島国際大・九州産業大(それぞれ一部方式を除く)では、紙の願書を廃止する。
 既にネット出願を実施している大学でも、さらなる進化が続く。東海大は、対象を一般A方式(医学部以外)・理系学部統一入試に拡大し、ネット割を導入。神奈川大も対象を給費生試験・一般前期・セ試前期に拡大し、紙の願書を廃止。大阪工業大・摂南大も紙の願書を廃止(一部方式を除く)し、福岡大でも一般後期・セ試Ⅱ期などをネット出願のみに移行。また、金城学院大・京都橘大などでネット割を導入する。ネット割の割引額は各大学や入試方式で異なるが、だいたい「3千円~5千円」を減額している。
 今後も、秋以降の募集要項の発表までに、ネット出願やネット割を導入する大学が続出するものと見られ、注意が必要だ。


国公立大:
山口大・高知大が学部増設予定、長岡造形大が中期日程を実施


●新増設・改組
 山口大・高知大で、学部増設を含む大規模な改組を予定している。山口大では「国際総合科学部」を開設し、経済学部を「5学科1課程→3学科」に改編(商業教員養成課程を廃止)、教育学部で教員養成課程を拡大(130人→180人に定員増)し、その他の4課程を廃止する予定(図2)。また、高知大では「地域協働学部」(定員60人)を開設する一方、人文学部を定員減(295人→275人)、教育学部で教員養成課程を拡大(100人→130人に定員増)し、生涯教育課程の廃止を予定している。
 この他にも、和歌山大‐システム工で5学科を「システム工学科」(10の教育・研究領域で構成)に、静岡文化芸術大‐デザインで3学科を「デザイン学科」(5領域で構成)に統合する。また、鳥取大‐工では「8学科→4学科」に改編(図3)する予定だ。

●募集人員
 4月から「私立→公立」に移行した長岡造形大は、15年入試を「前期・中期」で実施する(募集人員=前期100人、中期30人)。
 茨城大‐農で「前期56人→75人、後期22人→17人、推薦37人→23人」、山口大‐医(医)で「前期52人→60人、後期15人→10人、推薦40人→37人」と前期の比率を高める。一方、兵庫県立大‐工は「前期216人→120人、後期44人→140人」と、比率を「前期→後期重視」に逆転し、名古屋市立大‐看護は「前期55人→40人、後期10人→5人、推薦15人→35人」と、一般から推薦へ募集人員を移行する。

●推薦・AO入試
 長崎大‐多文化社会でセ試を課さないAO入試を、山形県立保健医療大でセ試を課すAO入試を新規実施。一方、兵庫県立大‐工でセ試を課すAO入試を廃止する。

●一般入試
 名古屋市立大‐薬の中期で2段階選抜を新規実施(予告倍率=募集人員の約23倍)。やはり2段階選抜で、山口大‐医(医)の後期は、予告倍率を「約10倍→約15倍」に緩和する。
 小樽商科大で、前・後期ともに学外試験場(東京)を廃止。一方、富山大では経済の前期で学外試験場を新設(名古屋)、工の前期でも大宮(さいたま市)に増設する。

図2 山口大学の学部増設・改組(予定)、図3 鳥取大学工学部の学科改編(予定)


私立大:
看護系の増設ラッシュ続く。首都圏で入試改革が顕著


●新増設・改組等
 15年度の私立大学の新設予定、および学部・学科等の増設予定が文部科学省から発表されている(大学は3月末認可申請。学部・学科等は5月末認可申請分。表3を参照)。
 大学の新設予定は5大学(7学部)。また、27大学で学部・学科等の増設を認可申請したが、同志社女子大・武庫川女子大など、14年に続く医療・看護系(新設大学を含め18大学で申請)の多さが目立つ。また、西日本の私立大では希少な、龍谷大の農学部増設が注目される。
 この他、(1)青山学院大‐地球社会共生、工学院大‐先進工、神戸学院大‐グローバル・コミュニケーションなどの学部増設、(2)武蔵野大(環境→理工)、龍谷大(国際文化→国際)などの学部改組、(3)日本大‐生物資源科学(くらしの生物)、立命館大‐薬(創薬科学:4年制)、関西学院大‐理工(先進エネルギーナノ工、生命医化学、環境・応用科学)などの学科増設が予定されている(いずれも設置届出)。
 全体としては“看護ラッシュ”に加え、保育・教育や国際系の増設予定、工学系の改組と受験生にわかりやすい名称への変更が目立つ。
 さらに、東洋大(7学部で計512人増:全体で8%増)、福岡工業大(3学部で計85人増:全体で10%増)の大幅定員増も注目される。

表3 2015年度新設予定の大学・学部・学科


●推薦・AO入試
【AO入試】金城学院大が全学(文・生活環境・国際情報・人間科学の4学部)でAO入試を廃止するのをはじめ、東京薬科大‐生命科学、日本大‐文理(地球システム科学)、椙山女学園大‐生活科学(管理栄養)、中京大‐総合政策、南山大‐人文などでAO入試を取りやめる。
 その他、亜細亜大‐経済・経営・国際関係でグローバル人材育成入試を新規実施。また、愛知大‐現代中国で、中国語・英語の有資格者対象のグローバル人材特別入試を導入する。

【推薦入試】岩手医科大‐歯・薬で公募推薦の後期を廃止/亜細亜大‐国際関係で一芸一能入試を廃止/中央大‐総合政策で公募推薦を廃止/帝京大の9学部で指定校制の推薦Ⅱ期を新規実施/東京理科大‐経営で公募推薦を新規実施/明治大‐総合数理(ネットワークデザイン)で自己推薦を新規実施/立教大‐文の自由選抜入試で「方式Ⅰ」を廃止/関西学院大‐理工(生命科学)で公募推薦を廃止する。

●独自入試(一般入試)
【学部共通入試】首都圏で、全学規模の学部共通入試を新規実施するケースが目立つ。
 上智大では、全学部統一日程「TEAP利用型入試」を新規実施。英語の試験を実施せず、アカデミック英語能力判定試験(TEAP:上智大と英検が共同開発した英語能力試験。大学での学習・研究に必要な英語運用力を測定。年3回、全国7都市で実施)の受験が必須。各学科で設定する基準点以上で出願可能だが、得点の高低は合否に影響しない。試験当日は共通問題で英語以外の2教科を受験し、理工は学科同時併願可、他7学部も指定の選択科目が同じ場合、複数学科に同時併願可(受験料割引制度もあり)。募集人員は全体で319人と、一般入試(1,719人)の約2割を占める。
 共立女子大で全学規模の共通日程(1/26)の「統一入試」を新規実施(看護学部以外)。短大部も含め、学部・学科の同時併願可(受験料割引制度もあり)で、学外試験場も新設(水戸・静岡・宇都宮・高崎・甲府)する。
 また、成城大でも全学部統一入試(S方式)を新規実施。学部別の募集人員は「経済20人・文芸30人・法10人・社会イノベーション20人」、国語・英語の2科目で統一し、全学部・学科の同時併願可で、学外試験場も新設(柏・横浜・さいたま・長野)する。

【新傾向の方式】国際基督教大で、一般入試に新形式「総合教養」を導入する。講義(15分程度)を聴き、学際的な設問に解答。その後、講義内容に関する論述等(人文科学・社会科学・自然科学)を読み、各設問に解答する。さらに、英語に外部検定(IELTSまたはTOEFL)を利用する「B方式」も追加する。

【試験場の新設】首都圏では、学外試験場を初めて設置するケースも目立つ。共立女子大・成城大に加え、青山学院大が全学部日程で学外試験場を新設(名古屋・福岡)。日本体育大でも、前期の全学統一日程で学外試験場を新設(札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡)する。また、既に設置している大学では、明治学院大が全学部日程の学外試験場を、札幌・福岡に増設する。

【併願割の導入】「ネット割」の他に導入が盛んな受験料減額システムに「併願割」がある。上智大・共立女子大に加え、津田塾大がB方式で、武蔵大が「個別学部併願3科目型」で、複数学科同時併願の受験料割引制度を導入する。

【その他のおもな変更】青山学院大‐理工の全学部日程で募集人員増(60人→75人)/慶應義塾大‐商の一般入試で募集人員減(A方式560人→480人、B方式140人→120人)/上智大‐理工でA方式(理科2科目)、同‐総合人間科学(社会福祉)でB方式(小論文・面接)を廃止/東洋大‐文・経済・法・国際地域が一般入試で数学必須の4教科型を導入/法政大‐法・社会のT日程を「3→2科目」に軽減(全学部で2科目に統一)/明治大‐経営が「学科別募集→学部一括募集」に移行/愛知学院大で、文系7学部の前期Bを「前期A利用型(前期Aの高得点2科目を合否判定に利用)」と「個別受験型(2科目型の前期Bを受験)」の2方式に分割/関西大の全学部日程で、文に3教科同一配点方式を、社会安全に英国方式・英数方式を導入する。

●セ試利用入試 表2 2015年度/センター試験を新規利用(または廃止)する私立大学・学部等
【新規利用】6月中旬現在で判明した、15年からセ試を新規利用、または取りやめる私立大学・学部等の一覧を掲載した(各大学の入試概要、および本誌調査による)。7大学で新規利用、1大学で取りやめる予定だ。

【その他のおもな変更】北星学園大でセ試Ⅱ期を新規実施/専修大‐経営のセ試前期に2科目理数得意型を追加/日本大‐歯のセ試利用で面接を廃止/明治大で、経営のセ試利用に3科目方式を追加する一方、文でセ試後期を廃止/明治学院大‐国際でセ試後期を廃止/愛知学院大は全9学部で、セ試Ⅰ期に4科目型を追加/日本赤十字豊田看護大でセ試利用を3→4教科に負担増/兵庫医科大でセ試後期を新規実施/福岡大でセ試Ⅱ期を新規実施する。

●キャンパス新設・移転
 受験生の“通学範囲志向”を反映し、大都市中心部や交通至便の地へのキャンパス新設や、履修キャンパスの「郊外→都心」への移転が続いている。おもな新設・移転の予定は次の通り。
 北海道薬科大が北海道小樽市から札幌市手稲区(北海道科学大のキャンパス内)に移転/大妻女子大‐家政・文(1年次)がキャンパス移転(埼玉県入間市→東京都千代田区)/拓殖大‐商・政経(1・2年次)がキャンパス移転(東京都八王子市→同文京区)/南山大‐理工(1年次)がキャンパス移転(愛知県瀬戸市→名古屋市昭和区)/立命館大が京都・大阪間の大阪府茨木市にキャンパス新設、政策科学部を京都市から、経営学部を滋賀県草津市から移転/龍谷大‐国際(国際文化を改組予定)がキャンパス移転(滋賀県大津市→京都市伏見区)/神戸学院大‐法・経営(1・2年次)がキャンパス移転(神戸市西区→同中央区)。

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以上、詳細は国公立大の選抜要項、私立大の入試ガイドなどで必ず確認してほしい。


15年一般入試の志願者数は、国公私立ともにやや増加か

最後に、15年の新課程一般入試がどう動くのか予測してみよう。ポイントは4つある。

(1)再び受験生数が増える!?
 4(6)年制大学の受験生数は、13年の約4%減に対し、18歳人口の増加に伴い、再び増加する見込み。66万3千人と、14年に比べ約1%増加するものとみられる(旺文社推定)。

(2)センター試験の平均点がやや上がる!?
 入試制度の大きな替わり目の年は、比較的易しめな出題になる傾向があるという。15年度のセ試は、こうした新課程入試初年度の特徴に加え、13・14年と2年連続で平均点ダウンした反動で、国語が易化するとみられる。また、既卒者(浪人)には経過措置として、15年に限り旧課程科目も出題されるので、その点は安心して受験できる。もっとも、新課程の理科は各科目が「基礎」「発展」に分かれるため、平均点の予測が難しいが、理科の基礎科目のレベル次第では、平均点はやや上がる見込み。国公立・私立ともに出願を促す要因となりそうだ。

(3)新課程理科の科目指定がカギ!?
 新課程の理科は、出題科目が大幅に変更され、セ試における選択パターンも複雑化する。前述のように、各大学の科目指定のパターンが多様な場合もある(特に看護・医療・栄養系)ので、科目選択次第では併願先や志望変更先が制限される恐れがある。このため、最も多数派で他と併願しやすい科目指定の大学・学部は安定して志願者を集め、逆に併願しにくい科目指定の大学・学部は志願者減が予想される。また、国公立大文系では、セ試で理科を課さないか、選択しなくてすむ学部・学科の人気アップと、国公立中堅校から私立大への流出が予想される。

(4)「ネット出願」の急増も影響大!?
 「ネット出願」や「ネット割」を実施する大学の急増は、14年以上に志願動向に影響を及ぼしそうだ。しかし、14年のように合格者増の要因となる可能性もあるので、志願倍率(志願者数÷募集人員)のアップを過度に恐れることのないように注意したい。

 以上のことから、一般入試の志願者数は、国公立大・私立大ともに、やや増加が見込まれる。特に、14年に合格者増で倍率ダウンした私立大準難関校では、その反動による志願者増が見込まれる。学部系統別では、ここ数年の反動から、理工・農・医の志願者増は小幅に留まり、歯・薬は国家試験の合格率ダウン(薬剤師79.1%→60.8%、歯科医師71.2%→63.3%:13年→14年の比較)の影響もあり、志願者減に転じそう。また、医療・看護系は増設ラッシュで志願者が分散、既設の学部・学科は易化しそうだ。一方、国際系の高人気に加え、就職率改善に伴い経済系が人気回復するとみられ、国公立・私立ともに「文低理高」傾向はやや弱まりそうだ。



(文責/小林)
この記事は「蛍雪時代(2014年8月号)」より転載いたしました。

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