入試動向分析

2013年 国公立大入試 志願者動向分析
 【2013年4月】

センター試験「国語ショック」で、文・理系とも「慎重・弱気」出願に!!

センター試験の難化に揺れた、2013年国公立大入試について、各大学や学部系統などの人気度を示す「志願者動向」を分析する。さらに、2014年入試の最新情報も紹介する。

※この記事は『螢雪時代・2013年4月号』の特集より転載(一部、webでの掲載にあたり、加筆・訂正を施した)

センター試験が3年ぶりに難化。文理ともに〝戦意喪失〞者が続出、国立大の後期で減少が目立つ

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国公立大の志願者数は前年比1%減で、志願倍率は4.9倍→4.8倍とダウン。国立大2%減に対し公立大3%増、後期日程で志願者減が目立った。センター試験(以下、セ試)の平均点の大幅ダウン、特に“国語ショック”が影響。文系・理系ともに“慎重・弱気”な出願傾向が見られた。


志願者数は1%減、志願倍率は4.9倍→4.8倍にダウン

文部科学省の発表によると、2013年(以下、13年)の国公立大一般選抜の確定志願者数は489,672人で、12年に比べ1.0%減少(独自日程で入試を行う国際教養大・新潟県立大は集計に含まれない)。そして、全募集人員(101,219人)に対する倍率(志願倍率)は4.8倍と、12年より0.1ポイント低下(グラフ1)した。
 入試日程別に志願状況(グラフ2)と志願倍率の変化(12年→13年)をみると、前期は「0.1%増:3.4倍→3.4倍」、後期は「3.5%減:10.3倍→10.0倍」、公立大中期は「6.7%増:13.1倍→13.8倍」で、後期の志願者減・倍率ダウン、公立大中期の志願者増・倍率アップが注目される。
 また、国立・公立の別に見ると、国立大が志願者2.3%減、志願倍率は4.6倍→4.4倍にダウンしたのに対し、公立大は志願者2.7%増、志願倍率は6.4倍を保った。
 4(6)年制大学の受験生数が増え(2.7%増:『螢雪時代編集部』推定)、セ試の受験者数も増えた(3.2%増)。さらに“国公立大志向”も強まっているのに、国立大の志願者はなぜ減ったのだろうか?

グラフ1.大学受験生数と国公立大志願者数・志願倍率等の推移、表1.大学入試センター試験(本試験)科目別平均点



セ試では国語、数学Ⅰ・Aなどが難化、特に文系には“逆風”

12年からのセ試の実施方法変更(地歴・公民、理科の各試験枠統合/「倫理、政治・経済(以下、倫政経)」の登場/受験教科名・科目数の事前登録/地歴・公民、理科の2科目受験時の「第1・第2解答科目」の区別、大学側の成績利用の「第1解答科目」指定、など)は受験生に浸透し、前年のような実施上の混乱もほとんどなかった。
 では、13年国公立大入試に影響を与えた最大の要素は何か? それは、セ試の難化、特に“国語ショック”だ。13年のセ試は3年ぶりに平均点がダウン(=難化)。科目別では(表1)、国語、数学Ⅰ・A、日本史B、倫政経、物理Ⅰなどの平均点がダウンし、アップしたのは数学Ⅱ・B、現代社会など少数に留まった。
 中でも、受験生にダメージを与えたのは、第1日目の国語だった。第1問(評論)で受験生になじみの薄い難解な随筆風の評論が出題されたため、とまどったものとみられる。加えて、小説や古文・漢文も難化したため、平均点は1990年のセ試開始以降、過去最低となった。
 国公立大がセ試で課すのは、文系が「地歴・公民から2科目」の5~6教科7科目、理系で「理科2科目」の5教科7科目(いずれも数学2科目受験)が標準的。ただし、地歴・公民と理科は各科目に「第1・第2解答」の得点が混在し、平均点の実態が把握しにくい。このため、国公立大の文・理系に共通の“基幹3教科”である「国語、数学(Ⅰ・A、Ⅱ・Bの2科目)、英語(リスニング含む)」の平均点合計を算出すると328.4点(得点率54.7%)で、前年に比べ29.7点ダウン。また、文理共通の5教科6科目(地歴・公民合わせて1教科1科目として100点、理科1科目として100点の800点満点)の加重平均点(科目別平均点と受験者数から算出)は450.7点(得点率56.3%)で、前年に比べ33.8点もダウンした。
 文系志望者は、得点源の国語で稼げず、数学Ⅰ・Aの影響を理系よりも強く受ける。このため、文系の方がより強く“逆風”を受けたといえる。とはいえ、倫政経や物理Ⅰの難化に伴い、理系志望者のダメージも大きかった。医学系志願者の減少(後述)は、セ試の難化の影響が、理系の高学力層にも及んだことを物語る。


経済不安も慎重出願に影響。駆け込み出願が増加

ある高校の先生は、今回のセ試を「戦意喪失入試」と表現する。東日本大震災の影響や経済不安が続き、受験生を取り巻く経済的環境は厳しい。もともと「より確実に現役で」という“安全志向”、入学後の生活費を考えた“地元志向”が強かった上に、セ試での自信喪失が加わり、「難関~準難関の国立大→中堅国立大→地元の公立大」と順次、難易ランクを落とす“慎重・弱気”な出願傾向となってあらわれた。
 国公立大の志願者数は、出願締切日15時現在の数字が先に発表される。最終確定までに人数は増えるが、その際伸びた人数は20,538人と12年を4,349人上回った。締切日まで志願倍率の高低を慎重に見極め、駆け込み出願した受験生がいかに多かったかがわかる。
 特に、募集人員が少なく、しかも実施学部・学科が年々減っている後期では、前期以上に弱気な出願に走ったようだ。さらに、国公立大にぎりぎり手が届く学力層が、最初から後期の出願をあきらめ、私立大(セ試利用入試ではなく独自入試で)の併願を増やした模様だ。
 この他、個別試験(以下、2次)の配点比率が高い大学・学部に、2次逆転狙いの受験生が集中したり、セ試の国語を課さない学部・日程で志願者が急増したりするケースもみられた。

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全体が下がったにもかかわらず、受験生は自分だけが失敗したと思い込みがち。冷静に周囲を見回し、できるだけ“初志貫徹”しよう。妥協した結果、入学後に不本意な学生生活を送ることになりかねないからだ。本来の夢や志を捨てず、後期までの粘り強い受験を勧めたい。

グラフ2.国立大入試 日程別志願状況、グラフ3.国公立大入試 地区別志願状況、グラフ4.国公立大入試 学部系統別志願状況


「文低理高」続くも、医が志願者減。東京大が人気低下、京都大志向強まる。安全志向で地方公立大が人気集める

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学部系統別では、法・文・教員養成系で志願者減、工・歯・薬が志願者増。「文低理高」が顕著だが、センター難化の影響で「医→歯・薬」の志望変更もみられた。難関~準難関校では、東京大・大阪大・神戸大などが減少、京都大・東北大などが増加。“慎重・弱気”出願と地元志向が相俟って、“地方公立大人気”が高まった。


中国・四国が2%増、九州が1%増。関西からの流入か

全国6地区ごとの全体的な志願動向(グラフ3)を見ていこう(以下、【前】=前期、【後】=後期、【中】=公立大中期)。中国・四国の2%増、九州の1%増に対し、北海道・東北、関東・甲信越が各2%減、関西が3%減と全国平均を下回った。
 関西地区の減少は、大阪大・神戸大の後期縮小(後述)の影響に加え、セ試で得点が伸びなかった受験生(特に理系)が“慎重・弱気”出願で、中国・四国、九州の大学へ志望変更したものとみられる。これら2地区では、もともと“地元志向”が強いうえに、関西勢の流入が志願者増に結びついた模様だ。一方で、中~西日本の受験生に「首都圏離れ」の傾向もみられた。
 東北地区では、復興が進まず、厳しい経済環境のもと、地元志向は強いものの、難関校志望者の他地区への進出が、震災前と同程度に活発化した模様だ。一方、工学系を中心とした東海地区からの他地区進出は、やや落ち着いた模様。例えば、名古屋会場を新設した信州大‐工【前】は、12年に設けた繊維【前】との分散もあり、5%増に留まった。この他、名古屋会場を設けている大学・学部では、富山大‐工【前】の88%増が目立つが、その他は減少したところが多い。
 各地区のおもな大学に関する分析は、『螢雪時代』4月号掲載の「螢雪ジャーナル」をご覧いただきたい。


法・文・教員養成・看護などが減少、工・歯・薬が増加

次に学部系統別の志願状況を見てみよう(グラフ4)。全体に志願者減の系統が並ぶ中にも、セ試の難化が文系により打撃を与えたのと、就職状況の低迷を背景に、法、文・教育・教養、国際・国際関係など文系全般に人気ダウンした。法は法曹・公務員人気の低下に加え、文系の中では比較的難易度が高いことも要因とみられる。国際・国際関係は、東京外国語大‐国際社会の「開設2年目の反動」の影響が強い。
 教員養成系の人気低下も顕著で、北海道教育大(18%減)・東京学芸大(11%減)・愛知教育大(17%減)・大阪教育大(11%減)と、教員養成系の単科大で大幅減。いじめ問題など、マイナスイメージの報道が多いことも要因とみられる。
 一方、工、歯、薬といった“技術・資格系”の理系学部が人気アップし、「文低理高」傾向がすっかり定着した。
 ここ数年、高校(特に進学校)では理系受験生自体が増えたという。高校1・2年の文理分けの時点で、理系クラスの選択者が増え、しかも学力上位層が理系にシフトしたというのだ。セ試の理科受験者の増加(3.5%増)をみても、基礎数が増えていることがわかる。“技術・資格志向”と「文系より理系の方が就職の可能性が高い」との認識が、受験生以上に保護者に強まったためとみられる。
 とはいえ、セ試の難化は理系にも影響した。医の志願者6%減に対する、歯の8%増、薬の4%増はその象徴だ。医師不足解消へ向けた6年連続の定員増(国公立は6年間で計981人増)で門戸は広がったが、ぎりぎり医学部を狙える学力層が「国語ショック」で自信喪失し、初志貫徹をあきらめ、一部が歯・薬へ志望変更した模様だ。また、看護・医療もここ数年で志願者増が続き、難化したため、やや敬遠された模様だ。


「前年の反動」や入試科目・募集人員の変更は要注意

大学・学部別の志願状況を見るためには、次の5つのポイントを押さえておこう。

[1]前年度の倍率アップダウンの反動
 受験生は前年度の倍率を気にする。高倍率や倍率アップなら敬遠、低倍率や倍率ダウンなら人気を集めるため、前年度の反動や、1年おきに増減を繰り返す“隔年現象”が起きやすい。

[2]入試科目の変更、科目数の増減
 入試科目数の増減、2段階選抜の廃止(導入)や予告倍率緩和(引き締め)など、負担の変化が志願者の増減に結びつく傾向がある。また、小論文や面接が敬遠され、学科試験のみの大学・学部が人気アップする傾向がある。

[3]セ試:2次の配点ウェート
 セ試の平均点ダウンの影響で、2次の配点ウェートが比較的高い(全配点の40%以上を占めるような)学部・学科に、セ試で思うように得点できなかった受験生が2次逆転を狙って流入するケースが目立った。

[4]募集人員の変更
 後期から前期へ(その逆も)募集人員を移したり、学部全体の募集人員が増減したりした大学・学部では、募集人員が増えた(減った)日程は志願者も増える(減る)ことが多い。

[5]地区内の「玉突き」
 志願者が急激に増えた(減った)大学・学部や、後期日程の廃止・縮小、新設大学・学部などがあると、近隣の大学や学内の他学部で、玉突きのように変動が起きるケースがある。

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わかりやすい例として、横浜国立大‐理工と奈良県立医科大‐医(医)のケースを紹介する。

例1:横浜国立大‐理工
 募集人員の配分を、前期303人→407人、後期388人→279人と「後期重視→前期重視」に変更(→[4])。前期の2次に理科2科目・英語(化学生命系は英語)を追加し、2次配点比率が「23~32%→57%」にアップ(→[3])。一方、後期は2次から英語を除外した(→[2])。
 前期は志願者16%増、東京大‐理Ⅰなどから志望変更があった模様。一方、後期は東京工業大などの併願先として重要性は変わらず、2次配点比率が高い(58%)ことも2次逆転狙いの層を引きつけ(→[3])、募集人員減(28%減)に対し志願者は微減(2%減)に留まった。

例2:奈良県立医科大‐医(医)
 募集人員の配分を前期65人→22人、後期20人→53人と「前期重視→後期重視」に変更(→[4])。これに伴い、前期で2次の理科を「2→1科目」に軽減(→[2])。一方、後期で2次を「小論文→学科試験(3教科)」に変更し、2次配点比率を「24%→75%」にアップ(→[3])。さらに、2段階選抜の予告倍率を緩和(前期=5倍→15倍、後期=6倍→15倍)した(→[2])。
 前期は志願者39%減、滋賀医科大‐医(医)【前】(45%増)、徳島大‐医(医)【前】(59%増)などへ流出したとみられる(→[5])。滋賀医科大‐医(医)【前】は12年(29%減)の反動(→[1])も要因となった。一方、後期は2次逆転狙いの医学部志望者の併願先として人気集中、志願者は4倍超(332%増)に膨れ上がり、鳥取大‐医(医)【後】(22%減)、岡山大‐医(医)【後】(32%減)などの志願者減(→[5])につながった模様だ。


東北大が志願者増、後期縮小の大阪大・神戸大は大幅減

表2では、志願者数の多い順に、上位10大学を一覧表にした。難関~準難関校が連なるが、10大学中7大学で志願者が減っている。
 1位は東京大だが志願者7%減。前期では文Ⅰが激減(27%減)、13年ぶりに第1段階選抜が実施されなかった。理Ⅰ・理Ⅱも大幅減。その一方で、文Ⅲ・理Ⅲが大幅増、文Ⅱもやや増加した。文Ⅰは慎重出願の影響に加え、法曹・公務員不人気もあり、「文Ⅰ→文Ⅱ・Ⅲ」や、東北大‐法【前】などへの志望変更がみられた。また、理Ⅰ~Ⅲはそれぞれ前年の反動が強く出た。理Ⅲを除く全科類共通入試の後期も10%減、やはり前年の反動とみられる。
 2位の大阪大も志願者14%減、理・基礎工で後期を廃止した影響が強くあらわれた。一般枠と同時併願する「挑戦枠」を新設した理【前】(4%増)は、募集枠拡大(25%増)ほど志願者が伸びず、同じく募集枠を拡大(21%増)した基礎工【前】は、工【前】と志願者が分散し15%減。5位の神戸大(9%減)も経済の後期廃止が影響、経済【前】は募集枠を拡大(25%増)したが、やはり経営【前】と分散し24%減。いずれも、後期の併願先を東海~中国地区に求めたものとみられる(図1)。
 これに対し、8位の京都大は志願者3%増。難関大志望者に「東大離れ→京大志向」がみられる。特に、第2志望学科の登録が可能になった工【前】(10%増)の増加が目立った。また、3位の北海道大は前期が7%増、特に総合入試(文・理系別に一括募集し、入学後に進路決定)の評価が高まった模様だ。
 この他の難関~準難関校では、“慎重・弱気”な出願傾向を反映し、一橋大(9%減)・名古屋大(9%減)をはじめ、お茶の水女子大(7%)・東京外国語大(11%減)・首都大学東京(10%減)・大阪府立大(7%減)などが志願者減。一方、志願者増は、東北大(6%増:他地区からの流入が戻る)、広島大(11%増:前年の14%減の反動)や、前期のセ試を受験資格として用い(950点中600点以上が出願可)、2次(数学・理科・英語)のみ配点化し合否判定する東京工業大の微増(1%増)など、少数に留まる。
 各地区の国公立大中堅校を見ると、公立大で志願者増が目立ち、セ試の難化による「難関・準難関校→国立大中堅校→地方公立大」という、1ランクずつ落とした志望変更が如実にあらわれている。また、「前年の反動」も顕著だ。
 表3では、志願者の増加率が高い順に上位10大学を示した。表2と異なり、1学部のみの単科大が9大学を、公立が7大学を占める。1位の奈良県立医科大は前述の変更(募集人員・科目など)が影響し、志願者はほぼ倍増。また、3位の宮崎県立看護大をはじめ、7大学で前年の志願者減の反動が出ている。一方、昨年1位(11年20%減→12年91%増)だった高知県立大は38%減、“隔年現象”とみられる。
 なお、12年4月から「私立→公立」に移行した鳥取環境大は、13年からセ試を課す前期・後期日程で実施した。このため、鳥取大‐地域・農、島根大‐生物資源科学(それぞれ前・後期)の志願者減に結びついた模様だ。

図1.後期日程廃止の影響-併願先をどこに求めたか?
表2.志願者数の多い国公立大学TOP10、表3志願者の増加率が高い国公立大学TOP10


少数科目の学部は高倍率になりやすく、要注意!

次は、各入試日程で特に志願倍率(志願者数÷募集人員)が高い(低い)学部を各20学部紹介する(表4~6。同倍率が多数の場合は20を超えて掲載。医学部医学科や看護学科は1学部として扱う)。なお、「受験者数÷合格者数」で割り出す実際の倍率を「実質倍率」という。
 まず、表4・5の「高倍率の学部等」から見ていこう。
 前期では、最高倍率の岐阜大‐医(医)【前】など医学科が連なり、その難関ぶりを物語る。また、セ試の科目数が少ない場合、例えば北九州市立大‐地域創生学群【前】や福井県立大‐看護福祉【前】(それぞれ2科目)、釧路公立大‐経済【前】(3科目)などは高倍率になりやすい。
 後期では、募集人員が少ないうえ、実施学部・学科も減りつつあるので、最高倍率(52.1倍)の岐阜大‐医(医)【後】をはじめ、前期以上の「超高倍率」になるが、欠席率の高さ(前期の入学手続者が欠席するので、志願者の約50%が欠席する)を割り引いて考える必要がある。
 募集人員増(5人→8人)の新見公立大‐看護【後】や、前年の反動による北海道大‐歯【後】、山梨大‐医(医)【後】、岡山県立大‐情報工【中】、宮崎県立看護大‐看護【後】などの倍率アップが目立つ。山梨大‐医(医)は「後期のみ実施」のため、後期を廃止した筑波大‐医学類【前】、群馬大‐医(医)【前】などから併願が増えた模様だ。
 一方で、表6のように前期で志願倍率が1倍台のケースもある。例年、医療・看護系の学部・学科が連なる中で、13年は人気低落の法学系(北海道大‐法、金沢大‐法学類、岡山大‐法[昼]、熊本大‐法)の低倍率や、大阪大‐基礎工【前】の急激な倍率ダウンが目を引く。ただし、基礎工【前】では同‐工【前】と連動して増減することが多く、14年は揺れ戻す可能性がある。

表4.前期日程で高倍率の学部等、表5.後期日程・公立大中期日程で高倍率の学部等、表6.
前期日程で低倍率の学部等


前期日程の第1段階選抜の不合格者は2,411人と激減

最後に、前期日程の2段階選抜の実施状況を紹介しよう。
 予告した学部(51大学142学部)に対し、実際に行ったのは20大学32学部(前年比3大学3学部減)で、第1段階選抜の不合格者は12年3,633人→13年2,411人と大幅に減少(34%減)した。ここにも、2段階選抜を恐れた“慎重・弱気出願”が見て取れる。
 不合格者の多かった大学は、東京大(643人)、徳島大(190人)、千葉県立保健医療大(169人)、東京医科歯科大(143人)、一橋大(142人)、京都大(130人)など。文Ⅰが13年ぶりに行わなかった東京大で不合格者が半減(前年比48%減)、一橋大における激減(12年は366人:前年比61%減)ぶりも目立つ。 東京大からは、前期の第1段階選抜合格者の最高・最低・平均点が発表された(p.162を参照)。得点率に直すと、平均点が81.6%(文Ⅰ)~88.2%(理Ⅲ)の範囲(文Ⅰは無資格者を除く全志願者の平均)、最低点が63.8%(理Ⅰ)~78.6(文Ⅲ)の範囲であった。第1段階不合格者数の激減(1,233人→643人)もあって、全科類で平均点がダウンしたが、志願者増の文Ⅱ・文Ⅲで最低点がアップ、志願者減の理Ⅰ・理Ⅱでダウンした。中でも文Ⅲの大幅アップ(70.2%→78.6%)と、理Ⅰの大幅ダウン(85.6%→63.8%)が注目される。

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セ試を課さない推薦の志願者は国立大・公立大とも前年並みに。岩手大・茨城大などが志願者増

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一般入試に先立って行われた「セ試を課さない」推薦・AO入試。『螢雪時代編集部』の集計では、推薦は「志願者:前年並み、合格者1%増」と安定していた。また、AO入試は「志願者6%減、合格者8%減」との結果が出た。


推薦入試は理工が志願者減。薬が増加、文系学部も微増

グラフ5.国公立大「セ試を課さない推薦入試」志願者・合格者動向『螢雪時代編集部』では、国公立大のセ試を課さない推薦について、13年入試結果の調査を行った。12年12月25日現在の集計データ(101校:志願者数=約2万5千人)では、志願者数は前年度に比べほぼ同数。内訳は、国立大・公立大ともに「前年並み」となった(グラフ5)。
 実施学部数こそ「セ試を課す156→166、課さない358→357(12年→13年。以下同じ)」と前者へ移行しつつあるが、セ試を課さない推薦入試は安定した人気を保ったといえる。ちなみに、公立大は「私立→公立」化2年目を迎えた鳥取環境大の大幅な反動減(12年461%増→13年69%減)を除くと「2%増」となる。
 大学別では、弘前大(8%増)・岩手大(15%増)・茨城大(13%増)・宇都宮大(15%増)・岡山大(6%増)・大分大(14%増)・長崎県立大(57%増)の志願者増、北海道教育大(7%減)・群馬大(6%減)・新潟大(7%減)・香川大(8%減)・兵庫県立大(7%増)の志願者減が目立つ。
 合格者数は「国立大:前年並み、公立大1%増」、倍率(志願者数÷合格者数。以下同じ)は、国立大が2.5倍で12年と同様だったが、公立大は2.3倍→2.2倍とわずかにダウンした。
 学部系統別にみると、理工がやや志願者減。一方、就職事情が若干改善されたためか、法・経済・国際関係といった文系学部が微増。とはいえ、“理系の資格志向”は根強く、薬が増加、医療・看護も微増だった。


セ試を課さないAO入試は、志願者6%減、合格者8%減

AO入試は国公立大の42%(69大学)で実施したが、ここ数年と同様、実施大学・学部等の削減(例:山口県立大で全廃/筑波大‐教育学類・応用理工学類、九州大‐薬、兵庫県立大‐経済・経営で廃止)など“AO離れ”が進んだ。
 このため、セ試を課さないAO入試は、12年12月25日現在の集計(39大学:志願者数=約4千人)によると、「志願者6%減、合格者8%減」で、倍率は3.5倍→3.6倍とややアップした。大学別では、東北大(12%増)・京都工芸繊維大(8%増)の志願者増、静岡大(32%減)・熊本県立大(12%減)の減少が目立った。

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14年入試の変更点を速報! 秋田大が全学規模で改組・再編、公立3大学が開設予定!

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15年から始まる“新課程”入試、特にセンター試験の大幅変更を控え、14年入試は大規模な変更(日程や実施方法等)が比較的少なく、波静かだ。その中で、秋田大の全学規模の改編、2次における面接の追加、AO入試の相次ぐ廃止などが注目される。


岡山大・九州大の医学科や熊本大‐薬で後期を廃止

ここからは、14年国公立大入試の特徴と、志願動向に影響しそうな変更点を見ていこう。

図2.秋田大学の学部増設・改組
(1)大学・学部の新設・改編など
 秋田大では、教育文化(4課程)・工学資源(8学科)の2学部を、新設の国際資源および教育文化(2課程)・理工(4学科)の3学部に再編成する予定(図2)。「国際資源学部」は理系2コース・文系1コースからなる文理融合型学部で、同校の前身(旧制の秋田鉱山専門学校)の伝統を受け継ぐ工学資源学部地球資源学科と、教育文化学部の教員養成以外の課程(3→1課程に統合)の一部を移行して創設する。英語による専門教育や海外インターンシップの必修化などを導入し、国際的なエネルギー・鉱物資源開発(例えばシェールガス、レアメタルなど)をリードする“グローバル人材”の養成を目標とする。
   公立大では「山形県立米沢栄養大」と「敦賀市立看護大」(いずれも仮称)の新設が予定されている。山形県立米沢栄養大では一般入試を、セ試を課す前・後期日程で実施する予定。一方、敦賀市立看護大では一般入試を、セ試を課さない別日程で実施する予定だ。この他、私立の長岡造形大も公立化を予定しており、全て認可されれば、一挙に公立3大学が誕生する。

(2)日程や募集人員の変更
 13年の大阪大‐理・基礎工、神戸大‐経済のような、影響力の強い日程変更はない。とはいえ、筑波大‐国際総合学類、岡山大‐医(医)、九州大‐医(医)、熊本大‐薬などで後期を廃止。ますます後期の選択肢が狭まることになる。
 また、静岡県立大‐看護では、同短大部看護学科を4年制化して統合し、前期と推薦の募集人員を大幅に増加する予定だ。

(3)入試科目の増減など
 “新課程”セ試(数学・理科で先行実施。特に理科の出題科目が大幅に変更され、選択パターンが複雑化する)の開始を15年に控え、14年は科目の変更が比較的少ない。
 ただし、セ試・2次ともに負担増を行う傾向がみられる。また、2次では全体に、面接を導入したり、一方で小論文を廃止、または学科試験へ切り替えたりする傾向もみられる。
【センター試験】福井県立大‐経済【前】で「2~3→3~4科目」、静岡県立大‐看護【前】【後】で「5→6科目」に負担増。高知県立大‐看護【前】【後】・社会福祉【前】【後】で、英語にリスニングを追加。また、北九州市立大‐経済【前】では「3教科型」を廃止する。一方、信州大‐教育【前】で「7→6科目」に軽減する。 なお、九州大‐法【前】【後】で公民(「倫理、政治・経済」)が選択可能になる。13年まで地歴B科目のみ選択可で、受けにくさの要因となっていたため、志願者増に結びつきそうだ。
【2次試験】岐阜大‐医(医)【前】【後】、熊本大‐医(医)【前】で面接を追加。これに伴い、岐阜大‐医(医)【前】で2段階選抜を復活、同‐医(医)【後】、熊本大‐医(医)【前】でも予告倍率を引き締める。
 また、信州大‐医(医)【前】、岐阜大‐工【前】【後】で外国語を、静岡県立大‐看護【後】で面接を追加。三重県立看護大【前】でも「1→2科目(外国語が選択→必須)」に増加する。一方、三重大‐医(看護)【前】では国語を除外する。

(4)推薦・AO入試の導入・廃止
 ここ数年と同様、「セ試を課さない方式」の廃止、「課す方式」の導入例が多い。また、AO入試そのものを廃止するケースも目立つ。
【推薦入試】三重大‐生物資源、岡山大‐医(医)、熊本大‐薬でセ試を課す推薦を導入。このうち、岡山大‐医(医)は地域枠を前期から移行する。一方、愛媛大‐医(看護)、熊本大‐理では、セ試を課さない推薦を廃止する。
【AO入試】群馬大‐理工でセ試を課さないAOを、金沢大‐機械工学類・電子情報学類、長崎大‐医(医)でセ試を課すAOを廃止する。

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以上、2月下旬までに判明した、14年国公立大入試のおもな変更点の一部を紹介した。今後、各大学が6~7月に発表する「選抜要項」(入試の概略を紹介した冊子)、10~12月に発表する「募集要項(出願書類を備えた正式な入試要項)」などで必ず確認してほしい。

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2013年4月号)」より転載いたしました。

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