入試動向分析

国公立大 2次出願のポイントはこれだ!
 【2013年2月】

“2次逆転”するには、されないためには……

センター試験(以下、セ試)を受けたら、自己採点の結果をもとに、国公立大志望の人は2月6日までに個別試験(以下、2次)へ出願する。予想より得点できた人も、そうでなかった人も、結果を冷静に受け止め、最善の対策を立てよう。ここでは、自己採点データや大学公表の合格者データなどをもとに、2次出願のポイントと“2次逆転”の条件を紹介する。

※この記事は『螢雪時代・2013年2月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

自己採点の結果は冷静に受け止め、的確な出願を

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セ試を受けた後、まずやることは「自己採点」だ。大半の受験生は1月21日(月)に行い、予備校等が実施する全国レベルの自己採点集計に参加する。セ試の結果を正確に採点し、受験科目の得点、志望校の配点による得点を把握しよう。集計結果は3~5日で戻ってくる。
 自己採点データが届いたら、最初に各科目の得点を全国平均と比較しよう。予想通りの科目、意外に高得点の科目、ミスした科目に分かれるはず。こうした特徴をつかんだら、志望校について目標とした得点と比較してみよう。
 また、返却されてきた集計データでは、合格可能性の判定だけでなく、自分の席次(志望学部・学科の全志望者中、何番目か)を確認し、前年の合格者・不合格者の分布と比較しよう。その際、全国レベルの総合平均点や科目別平均点のアップダウンに注意したい。前年より平均点が大幅に変動(±10点程度)した科目があると、志望校の配点によっては合格ラインに大きく影響するからだ。
 以下、自己採点結果の基本的な受け止め方と対応策を示した。いずれの場合も、担任や進路の先生とよく相談して出願校を決定しよう。

(1)目標どおりに得点できた場合
 全国レベル(平均点の変動などを加味)で予定した得点が取れた場合、またそれより±20点(900点満点で)の範囲で、合格可能性がA・B判定、あるいは50%以上の場合は、おおむねそのまま出願すればよい。
(2)目標よりかなり多く得点できた場合
 予定より40点ほど上回った場合、2次の科目・配点を考えずに志望校をランクアップする人がいるが、2次科目の学力不足で不合格になるケースも多い。マーク式特有の幸運を割り引いて考えよう。ただし、セ試の配点が高く、2次に不安がなければランクアップしてもよい。
 ここで注意すべきは、地歴・公民、理科で、自分の受験科目、特に「第1解答科目」として受けた科目が、志望変更先に考えた大学の指定科目でない場合がありうることだ。募集要項を確認せずにうっかり出願し、「0点」「無資格」とならないよう気をつけてほしい。これは次の(3)でも同じことがいえる。
(3)予想外に悪く、目標を下回った場合
 逆に合格可能性がC・D判定、あるいは30%以下の時は考えどころ。実力不足の場合は、すみやかに志望校を変更する必要があるが、セ試の失敗があくまで勘違いや計算ミスなど不注意によるもので、記述試験に自信があれば、同レベルで2次の配点比率が高く、課す科目が共通する大学・学部を選ぶのも一つの手段だ。その際、そこが2段階選抜を予告していたら、ここ数年の実施の有無と突破ラインを調べよう。

とはいえ、合格への基本戦略となるのは、セ試の持ち点を活かした「先行逃げ切り」だ。国公立大は私立大に比べ受験機会が少ないうえに、後期日程を行わない学部・学科も多い。そのため、ある程度満足感が得られるなら、“次善の志望校”への変更もやむをえない。その場合は、科目・配点の面で極力有利になる大学・学部を重視し、出願校を再選定しよう。
 ただし、前年に倍率が大幅ダウンした大学・学部は要注意。その反動で必ずといっていいほど志願者が集中し、競争が激化するからだ。また、セ試の地歴・公民、理科で「高得点科目を利用」としている大学も、志望変更の際に制約が少ないことから人気を集めそうだ。

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セ試高得点でも安心は禁物。2次逆転は本当に起こる!

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(3)のような場合、本当に挽回できるのか? 図表1に、駿台予備学校の「入試データバンク」の中から、金沢大‐経済学類の前期日程について、2012年(以下、12年)のセンター試験の合否調査結果を示した。
 12年入試では、セ試が5(6)教科7科目の900点、2次が国語・数学・外国語の600点。入試結果は志願者262人、受験者257人、合格者156人、実質倍率1.6倍で、図表1のデータは受験者の約88%、合格者の約90%をカバーする。大学公表のセ試の合格者成績は「最高774.0点、平均680.9点、最低620.6点」で、本データの合格者の分布にほぼ合致する。
 得点帯ごとの度数分布表でアミをかけた部分に注目しよう。本データでは不合格者の最高が約700点で、合格者の最低は約610点。この差90点の範囲が「合否混在ゾーン」で、合格者の約81%、不合格者の約86%が含まれる。11年より2次の配点比率が高まった(31%→40%)が、11年(620点~710点)とほぼ同じ範囲で“2次逆転”が起きたことがわかる。
 セ試で合格最低点付近の受験者が総合点の合格最低ラインを超えるには、2次で合格者平均(58.8%)を上回る得点率(59.1%)が必要だったが、それでも最後のがんばり次第で逆転が可能だったことになる。逆に、セ試で高得点を取っていても安心できない(2次が合格最低点<44.7%>の場合、セ試は78.6%という高得点が必要)ことを肝に銘じよう。
 さらに、同大学の機械工学類の前期(図表2)も見てみよう。12年入試では、セ試が5教科7科目の450点、2次が数学・物理・英語の650点。入試結果は志願者267人、受験者265人、合格者126人、実質倍率2.1倍で、図表2のデータは受験者の約80%、合格者の約83%をカバー。大学公表のセ試の合格者成績は「最高388.5点、平均337.4点、最低289.0点」で、やはり本データの合格者分布にほぼ合致する。
 本データの合否混在ゾーン(アミをかけた部分)は、不合格者の最高(約360点)と合格者の最低(約285点)の間、75点差の範囲であり、合格者の約90%、不合格者の約89%が含まれる。セ試の満点が圧縮配点の450点であることを考えると、セ試の比率が高い経済学類に比べ、2次の比率が高い機械工学類の方が、より“2次逆転”のゾーンが広いといえる。

合格・不合格の状況

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2次試験で差がつくのは英語・数学・理科

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次に、2次試験の教科別に、得点分布の特徴を見ていこう。2次で課されることの多い、英語・国語・数学・理科について、ここ数年の標準的な事例を図表3(A~H大学)に示した。

【英語】-得点差がつきやすいキー科目

英語は大半の大学で課されるが、A・B大学の例をみると、国語に比べて得点差がつきやすく、合否に大きな影響を与えている。
 A大学の場合、文系だけに英語の得意者も多く、受験者の平均点は得点率60%前後、合格者の平均点は70%前後。配点ウエートが大きいこともあり、英語の高得点者の多くが合格している。一方、B大学では理系のためか、受験者にはかなりの低得点者も多い。合格者も50~180点に幅広く分布しているが、やはり英語での高得点者の合格率は高い。文理ともに、英語は合否を決めるキー科目といえる。大学による難易差はあるが、最低でも文系で60%以上、理系でも50%以上は得点したい。

【国語】-比較的、差がつきにくい

国語は平均点レベルに得点分布が集中し、差がつきにくい。C大学は文系学部だけにD大学の理系学部よりも平均点が高く、高得点者の合格率も高い。逆にD大学の理系学部では50~150点と合格者の分布は幅広い。理系の場合、国語を課すケースが少ない上、配点もたいてい数学・理科に比べて小さいので、得点率が低くても合格する反面、高得点者でも合格しないことがある。とはいえ、不得意な場合でも50%以上の得点を目指してほしい。なお、制限字数以内で理由を説明したり、主旨を要約したりする設問で意外に差がつくという。

【数学】-わかりやすい答案で部分点を確保

数学は文系・理系を問わず、得点差が大きい。できる人は満点に近くなるが、できない人は0点に近い得点になるからだ。
 E大学の文系学部の場合、受験者・合格者ともに得点差が大きく、60%を超えるような高得点者の合格率は高い。文系では、数学が得意なら強力な武器となるのだ。F大学の理系学部では、出題レベルはほぼ適正だったとみられ、受験者の平均は110点前後、合格者は80点~満点近くと幅広く分布。合格には最低限40%以上は必要で、70%以上では大半が合格した。
 メモを書き連ねたような答案でなく、論理展開、計算の過程、推論などを明確にし、採点者にわかりやすい答案作成を心がけ、きめ細かく得点しよう。2次試験の採点法は、減点主義ではなく加点主義なので、完答できなくても、部分点だけで合格している人は多いのだ。

【理科】-高得点が合格への必須条件

理科の場合、受験者の平均点は、物理よりも化学の方がやや高い傾向がある。G大学・H大学の得点分布を見ると、理科の高得点者は大半が合格したことがわかる。全国的に理科の得点分布は安定しており、過去問を入念に調べて学習を進めよう。確実に合格するには、60~80%の大量点が必要とされる。ただし、2次で理科2科目を課す大学で、なおかつ低倍率の場合は、不得意な方の1科目が30%程度の低得点率で合格したケースもみられる。

2次試験 教科別の得点分布の例

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逆転するには2次試験で合格者平均点をとろう!

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国公立大では一部を除き、セ試と2次の合計点で合否が決まる。その実態を、【蛍雪時代】取材のデータ(図表4:X大学-理系学部の事例)で見てみよう。同学部の入試科目・配点は、セ試が5教科7科目の450点、2次が数学・理科・英語各200点の計600点。人数の分布は、セ試を10点刻み、2次を30点刻みの得点帯で示した。黒丸は合格者、白丸は不合格者で、直線帯k(x+y=k)の右上部分が合格ゾーンとなる。
[1]セ試の得点は、受験者が320~400点に、合格者は360~410点(得点率80~90%)に集中。合格者平均は380点(約85%)程度。
[2]2次では、受験者は240~420点(40~70%)の範囲に集中。合格者は270~450点(45~75%)の幅にあり、集中するのは300~420点(50~70%)の得点帯である。
[3]合格者の大半は、セ試で80~90%、2次で50~70%のゾーンにいる。その幅はセ試の10ポイント差に対し、2次は20ポイント差になる。マーク式のセ試に比べ、記述式の2次(特に数・理)では得点差が大きくなる。
[4]全体の得点分布は図のような楕円形になり、セ試と2次の得点は相関関係にある。ただし、セ試が330~340点と低くても、2次で360~390点(60~65%)の高得点をとって合格した者もいる。逆に、セ試でほぼ400点をとっても、2次で240点(40%)程度しかとれず、不合格となっている。


ここで注目したいのは、セ試の高得点者が必ずしも2次の高得点者ではない、ということ。記述試験を常に意識した学習で、2次に適応した学力がついていれば、たとえセ試で目標の点数を取れなくても、2次の配点が高い大学・学部なら、ある程度は挽回が可能なのだ。
 次に、セ試で合格最低点の場合、2次でどれだけとれば合格できたか、12年の大阪市立大(前期)のケースを見てみよう(図表5)。
 同大学ではセ試・2次・総合点それぞれに、合格者の最低点や平均点を公表している。そこで、総合の合格最低点からセ試のそれを引き、「2次必要点」として算出し、さらに2次の合格者平均点と比較してみた。これをみると、2次科目が国語・外国語(商・経済は数学も)の商・経済・法・文では学部により得点率57~61%、2次科目が数学・理科・外国語の理・工でも学科により得点率56~68%と、いずれも合格者平均点付近(上下3~4ポイントの範囲)の得点が必要だった。さらに医学科では得点率84.9%と、ハイレベルな合格者平均(85.5%)に迫る必要がある。けっして易しくはないが、“2次逆転”のためには、合格者平均点を確保できるまでレベルアップしておきたい。

センター試験&2次試験の得点帯別にみる合否状況と相関(X大学-理系学部の例)

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強い意志と高レベルの得意科目があれば2次逆転できる!

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ここまでの事例を踏まえ、“2次逆転”のポイントをまとめてみた。
[1]2次逆転は、セ試で比較的低得点の受験者が2次で合格者の平均レベルの得点を取り、合格ゾーンに入るケースが多い。つまり、2次の合格者最低点と合格者平均点前後の得点の間が、合格者・不合格者が混じる逆転ゾーンとなることが多い。
[2]逆転ゾーンは、文系学部で狭く理系学部で広い傾向がある。また、セ試・2次の配点比率が「2次重視」で、2段階選抜がなければ広くなるが、「セ試重視」の配点になればなるほど、逆転ゾーンは狭くなる。
[3]2次逆転の要因となるのは、得点差のつきやすい数学・理科・英語。特に文系で数学が得意だったり、理系で英語が得意だったりすると、逆転の可能性が高い。
[4]自己採点時に2次逆転が可能なリミットを判断するには、多くの場合、合格可能性30~40%のラインが目安となる(予備校によって異なる)。もちろん、セ試・2次や科目間の配点比率によって、判断基準は上下する。

 さらに、高校や予備校の進路指導の先生方に取材したところ、2次逆転できる受験生には、次のような特徴があるという。
(1)志望校に対する強い意志
 「必ずこの大学に入る!」という強い意志は必須条件。さらにセ試の失敗を引きずらず、2次対策に集中する切り替えの早さも必要だ。
(2)ハイレベルの得意科目がある
 絶対の自信を持つ得意科目がある人は強い。その科目の配点が高ければ2次逆転のチャンスは広がる。また、セ試の準備のように不得意科目を意識することなく、2次に向けて得意科目を集中的に勉強できるので、残り1か月で学力が飛躍的にアップするという。
(3)思考力・論理力重視の記述試験が得意
 セ試のようなスピードを要求される試験より、じっくり考えさせる試験の方が得意で、論理構成のしっかりした答案が作れる人は、各大学の出題傾向にもよるが、2次で真価を発揮し、高得点をかせげることが多い。

 一方、2次で逆転されやすいのは、セ試が予想外に高得点で合格可能性もA判定のため、安心しきってしまうケースだ。特に、マーク式に比べ記述式が苦手な人は気をつけよう。

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短期間での2次対策完成には“実戦”の場を活用しよう

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前期日程まであと1か月あまり。セ試の試験日が12年より5日繰り下がったため、2次の準備期間は12年より5日間短い。ただし受験生、特に現役生は、受験教科が絞られることもあり、この短期間に学力が「偏差値で3~5は上がる」という。急激な学力アップを実現するには、志望校の出題傾向を頭に叩き込むとともに、“実戦”の場を活用することが重要だ。
 セ試や私立大入試を受けた後は、模試と同じように、失敗や違和感のあったところを必ず復習する(セ試は2次との共通科目のみ)。原因を突き止め、弱点を補強した上で、これまで受けた模試の解説や講評などを読むと、実感を伴って理解できるようになる。さらに、志望校で頻出する範囲や項目を集中的に学習して蓄えた知識が、私立大入試という“実戦”を通して整理され、定着する。
 また、セ試の後は授業がないことが多いが、ふだんの生活サイクルを崩さず、孤独感に苦しまないためにも、なるべく高校や予備校に登校して勉強することをお勧めする。担任の先生や友人と短時間話すだけでも、精神面で大きなプラスになるものだ。
 セ試が好成績だった人は逆転されないために、予定より得点できなかった人は逆転を狙って、最後まで集中力を保っていこう。

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2013年2月号)」より転載いたしました。

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