入試動向分析

2011年の私立大入試はこう変わる!【2010年9月】

2010(平成22)年度

立命館大で全学的に入試方式整理、関西学院大では学部個別日程 (文系型)の実施方式を変更!

 

 夏休みも後半、私立大の入試ガイドがほぼ出そろった。ここでは、2011年の私立大入試(おもに主要校の一般入試)のどこが変わるのか、どのような大学や学部・学科が新設されるかを紹介する。螢雪時代・9月号付録『全国私立大学入試科目・配点一覧』とあわせ、志望校の情報をしっかりつかみ、効率のよい受験対策をたててほしい。

 

※この記事は『螢雪時代・2010年9月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

 

 

人気校の変更点を総まとめ!
推薦・AOでは評定平均値の導入や得点化、
一般入試では一般・セ試併用型の導入が目立つ

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 全国のおもな私立大の2011年入試変更点のうち、志望動向に影響しそうなものを一挙掲載した。関西学院大の学部個別日程(文系型)の時間割変更をはじめ、中央大‐法の4教科型導入、法政大のセンター6科目型の導入、立命館大の全学規模の入試方式整理などが注目される。

 
 

志望校の入試のしくみを把握し
的確でムダのない受験対策を!

 

 私立大入試のしくみは多様かつ複雑で、しかも毎年のように変更される。志望校の入試にどのような特徴があり、どこが前年と違うのか、把握しておく必要がある。
 「螢雪時代」編集部では、全国の大学から2011(以下、11)年入試の概要(科目・配点、募集人員、日程など)を掲載した「入試ガイド」を集めた。その中から、全国各地区で志願者数の多いおもな大学について、10年に比べ大きく変更され、志望動向や難易変動に影響しそうな注目ポイントをピックアップ。センター試験(以下、セ試)を新規に利用する大学・学部については、すでに(当サイトにて7月に)募集人員等を紹介したので、それ以外の変更点を一般入試中心に(一部、推薦・AO入試も)に紹介する。得意科目を最大限に生かす、効果的な受験対策や併願作戦をたてる参考にしてほしい。そして、くわしくは各大学の入試ガイドや募集要項を必ず取り寄せ、確認してほしい。

 
 

●変更点一覧の見方

 

 文中、学部・学科名は原則として略称とし、「学部(学科)」と記載。入試方式・日程等も略称とし(例:セ試利用入試前期→セ試前期)、変更点は「10年→11年」で表記した。また、誌面の都合上、学科単位の変更や、ほぼ変更のない大学については、原則として割愛した。

 
2010年度 私立大一般入試 合格者絞込みの例

医・歯・薬学部で変更が目立つ愛知大の推薦が学科試験主体に

 

 11年私立大入試の変更点で注目されるのは、法政大の「セ試利用6科目型」導入、中央大‐法の数学必須の「一般4教科型」導入、立命館大の全学規模の入試方式の整理と再編成、そして関西学院大の学部個別日程の時間割変更だ。
 関西学院大では、一般入試の名称変更(F方式→全学日程、A方式→学部個別日程)とともに、学部個別日程の文系型の時間割を変更、入試方式を「英語・国語必須、数学・地歴から1」→「英語必須、国語・数学・地歴から2」とした(右のを参照。人間福祉を除く。全学日程は従来通りの方式で実施)。選択科目は120分の試験時間内で2科目を解答するため、時間配分の自由度が高まる。また「英語・数学・地歴」など、国語を選択せず数学を取り入れた選択パターンも可能になる。幅広く勉強した国公立大受験者や、文系学部・学科であっても理系受験生がチャレンジできる入試といえる。
 中央大‐法の4教科型や、法政大のセ試6科目型なども含め、難関校の文系学部では、これまでになく「数学」の重要度が増してきそうだ。
 この他には、次のような特徴がみられる。
 
(1)学部系統別では過去3年間で定員増を行った医、人気低下に悩む歯・薬で入試改革が目立つ。
(2)推薦・AO入試では学力重視路線への転換が目立つ。出願要件に評定平均値を追加するケースが急増、調査書(特に評定平均値)や面接を得点化するケースも増えた。また、愛知大の公募推薦では選考方法を小論文から基礎学力試験へ転換、帝京大・金沢工業大では推薦・AOから一般入試へ募集人員を移行する。
(3)一般入試ではここ数年と同様、セ試利用に関わる変更が多く、特に順天堂大・中京大など、各大学の個別試験とセ試を組み合わせた「一般・セ試併用型」の導入・拡充が目につく。
(4)その他、岩手医科大・昭和大の歯学部で初年度納付金を減額するのをはじめ、特待生制度の拡充、受験料の減額、学内併願時の受験料割引制度の導入といった、不況下の受験生を経済面でサポートする改革が目立つ。

 
 

北海道・東北~関東・甲信越

 

岩手医科大‐歯、昭和大‐歯で
初年度納付金を減額!

 

●北星学園大
 公募推薦の出願資格に評定平均値を追加。経済3.0以上、文(英文)3.5以上、同(心理・応用コミュニケーション)=国語・外国語・その他の3教科平均が3.8以上、社会福祉(福祉心理)3.7以上。
●北海道薬科大
 (1)一般後期(3人)を新規実施する。(2)一般入試の試験場のうち、大阪を廃止する。
●酪農学園大
 (1)学力試験I期で旭川・帯広に試験場を増設。(2)「学部・学科→学群・学類・コース」制への移行に伴い、一般推薦と学力試験I期の募集形態を学類入試とコース入試に分割する(管理栄養士コースはコース入試のみ)。
●岩手医科大
 (1)歯で初年度納付金を890万円→640万円に減額。(2)歯・薬で一般入試と公募推薦の募集機会を2→3回に増加。従来の後期(3月上旬実施)を「中期」に名称変更し、新たに3月末実施の後期を導入する。選抜方法は一般・推薦ともに前期・中期と同じ。(3)薬の一般入試(3科目)で、入試教科を「数学、理科、英語」→「理科必須、国語・数学・英語から2」に変更する。(4)歯の公募推薦の出願条件から評定平均値(3.5以上)を除外。
●東北学院大
 (1)一般前期で旭川・帯広に試験場を増設。(2)経営で募集人員を「セ試前期15人→20人、指定校推薦55人→65人、AO40人→25人」に変更。
●東北福祉大
 (1)AO入試の出願条件に評定平均値(3.5以上)を追加。(2)一般入試・推薦入試ともに、2学科以上複数出願する場合の受験料を「1万5千円→1万円」に減額する。
●国際医療福祉大
 特待生特別選抜入試を新規実施。全学部で最大181人を特待生として選抜する。
●青山学院大
 (1)法の個別学部日程で募集人員を「A方式80人→70人、一般・セ試併用170人→160人」に削減。(2)理工でセ試後期を廃止。(3)文(英米文)で「英語資格取得者自己推薦」を導入(募集人員10人)。(4)文2部(英米文学科)を募集停止する予定。
●桜美林大
 特別奨学生選抜(9月実施)を新規実施。合格者は授業料を最大4年間免除される。
●駒澤大 
 (1)全学部統一日程を全問マーク方式に変更し、募集枠を拡大。学部単位では、仏教12人→25人、文72人→97人、経済70人→90人、法50人→65人、グローバル・メディア・スタディーズ(GMS)15人→20人に増える。(2)GMSでセ試中期を新規実施(募集人員10人。セ試4教科4科目)。(3)セ試中期の科目数が、経済・法で3→4科目、医療健康科学で4→5科目に増える。
●順天堂大
 (1)医・医療看護で一般・セ試併用型を導入。医は募集人員35人、セ試7科目と個別(1次=理科2科目・英語、2次=小論文・英作文・面接)で選抜。医療看護は募集人員10人、セ試3科目と個別(1次=英語・小論文、2次=面接)で選抜する。(2)一方、医では一般入試を82人→52人に削減し、セ試後期を廃止。また、医療看護では一般後期を廃止する。(3)医の地域枠入試で、個別試験から数学を除外する。
●昭和大
 (1)歯で初年度納付金を900万円→750万円に減額。(2)歯の募集人員を93人→86人に削減(推薦27人→25人、一般II期6人→5人、セ試I期8人→4人)。(3)歯の一般入試から小論文を除外。
●専修大
 文・人間科学(社会)が全学部統一入試に新規参入。これで、1部(昼間部)の全学部で実施することになった。
●創価大
 (1)経済・経営・工でAO入試を廃止。(2)全6学部でセ試後期を新規実施する。
●大東文化大
 (1)全学部統一入試で試験日を1→2日に増やし自由選択制を導入。(2)文でセ試中期を新規実施。
●玉川大
 (1)全学統一入試で後期日程を新規実施(2科目型:試験日は2/23)。学部別の募集人員は「文8人、農13人、工15人、経営8人、教育7人、芸術15人、リベラルアーツ5人」。(2)工・芸術で学部別入試のB方式(3月実施)を廃止する。
●中央大
 (1)法の一般入試に「4教科型」を追加。学科別の募集人員は「法律=3教科270人・4教科60人、国際企業関係法=3教科60人・4教科10人、政治=3教科130人・4教科20人」で、各学科とも両タイプを同時併願できる。4教科型は、英語・国語・数学(I・II・A・B)が必須、選択科目が「日本史B・世界史B・政治経済から1」で、配点は英語150点(国際企業関係法は200点)、他は各100点。(2)「統一入試」で、法は同一学科の3・4教科型を併願できるようになった。
●帝京大
 (1)経済で「地域経済学科」を宇都宮キャンパスに増設予定。(2)8学部でAO入試の募集枠を縮小し、一般入試(特にII期)の募集枠を拡大。
●東海大
 医の一般A日程で、試験日を「2/6・7→2/2・3」(自由選択制)に繰り上げる。
●東京都市大
 環境情報・都市生活の全学統一試験を、2教科→「3教科必須の高得点2教科判定」に負担増。
●東京薬科大
 (1)一般B方式を前期(試験日1/30)と後期(同2/5=女子部、2/6=男子部)に分割。入試科目は前・後期とも同じで、募集人員は「前期=男子部・女子部各35人、後期=男子部・女子部各60人」。(2)セ試A方式・一般B方式を同時併願する場合の受験料割引制度(1万円減額)を導入する。
●東洋大
 (1)セ試利用のB方式を次のように変更。文(日本文学文化)・総合情報で前期(ベスト2)、経済(経済)で前期(4教科型)、国際地域で前期(傾斜配点方式)、社会(社会文化システム)で中期を新規実施。(2)国際地域(国際観光)でC方式を廃止する。(3)理工で一般D方式(最高得点重視方式)を廃止し、機械工・電気電子情報工・建築の3学科でB方式中期を、生体医工・都市環境デザインの2学科でB方式前期(ベスト2)を新規実施する。
●日本大
 (1)法1部・経済・商で学部共通入試「N方式」を導入。学部別の募集人員は「法1部50人、経済65人、商45人」で、共通問題により同一日(3/4に実施)に試験を行い、学部間の同日併願可。法1部では3教科3科目(国語・英語必須、地歴・公民・数学から1)、経済・商では2教科2科目(英語必須、国語・数学から1)を課す。一方、法1部・経済でA方式3期を廃止する。(2)商のA方式2期を2→3教科に負担増。(3)文理(教育)でセ試C方式を導入。(4)松戸歯でA方式1期の試験日を1→2日に増やし(自由選択制)、指定校推薦・AO入試を導入する。
●日本獣医生命科学大
 獣医(獣医)で、一般(1回)を独自試験から、一般・セ試併用型(セ試=数学・英語、個別=理科)に切り替え、受験料を3万円→2万5千円に減額。
●法政大
 (1)セ試利用のうち、3月募集のセ試後期を廃止し、セ試前期を「セ試B方式」に改称、さらに5教科6科目型のC方式を8学部で導入。セ試後期の募集枠は他方式・日程に振り向ける(一般T日程へ10人、A方式へ5人。セ試B方式へ40人、C方式へ94人)。セ試C方式の実施学部と募集人員は「法15人、文16人、経済15人、経営18人、人間環境5人、キャリアデザイン5人、デザイン工10人、情報科学10人」。(2)情報科学のA方式で2→3科目に負担増(物理を追加)。(3)理工に「創生科学科」を増設する予定。
●明治大
 (1)文が「学科別募集→専攻別募集」に移行。また、心理社会学科で臨床心理学・現代社会学の2専攻を新設する。(2)文(史学地理)で245人→260人、同(心理社会)で75人→100人に定員増、政治経済(経済)で660人→620人に定員減の予定。(3)文のセ試前期に5教科方式を追加。また、セ試後期を新規実施(3教科方式。募集人員13人)。(4)政治経済(地域行政)のセ試後期を3→6教科に増加。(5)理工(情報科学)のセ試前期を4→3教科に軽減。(6)政治経済の全学部統一入試で、国語必須→「国語、数Ⅲ・Cから1」に変更し、選択教科に理科を追加。科目選択次第で、理系教科(数学・理科・外国語)でも受験可能になる。
●明治学院大
 (1)心理(教育発達)でセ試前・後期、自己推薦AOを新規実施し、一般B日程を廃止。(2)文・社会(社会)・国際で、セ試後期を新規実施する。
●早稲田大
 国際教養では、セ試利用入試の個別試験(英語)を廃止する。

 
 

北陸・東海

 

金沢工業大で一般入試枠を増加、
中京大ではセ試4教科型を拡充

 

●金沢工業大
 (1)公募制推薦の募集枠を444人→296人に縮小し、一般前期を444人→518人、中期を74人→148人に増員する。(2)一般前期をS1方式に統一し、学部特色科目型(T方式)を一般中期(10年はS2方式で実施)に移行する。
●愛知大
 (1)地域政策学部を豊橋キャンパスに増設予定。(2)一般推薦(併願制)の実施学部を3→7学部に増加。新規実施学部と募集人員は「経営14人、国際コミュニケーション10人、文20人、地域政策17人(予定)」。また、3学部で募集人員増(法5人→20人、現代中国5人→10人、経済13人→15人)。併願制の実施方式を「英語、国語(国際コミュニケーションは面接)、調査書点数化」に統一。(3)一般推薦(専願制)では、6学部で小論文を学科試験(文は国語・英語、他は英語)に変更し、法・経済・現代中国で面接を追加。
●愛知医科大
 (1)医で募集人員を、一般入試65人→60人、セ試利用5人→10人に変更。(2)看護で公募制推薦をI(小論文・面接)・II(基礎学力検査・面接)の2タイプに分割(IIは新規実施)。
●愛知淑徳大
 セ試利用を3方式(I期2教科型、I期4教科型、II期2教科型)に分割する。
●金城学院大
 金城サポート奨学金を新設。一般前期の成績上位者100人が対象で、全学科とも年間の学費が一律50万円になる(例:薬は195万円→50万円)。
●中京大
 (1)9学部で、セ試前期に4教科型を導入する(法・現代社会は10年から実施)。(2)スポーツ科学(体育学部を改組予定)で実技入試のE方式を廃止。(3)一般・セ試併用のセンタープラス方式で、心理・経済・現代社会・スポーツ科学が英語重視型を、心理・経済・経営・総合政策・スポーツ科学が国語重視型を、経営・総合政策・現代社会・スポーツ科学が数学重視型を導入する。
●名古屋外国語大
 (1)「一般I期→前期、II期→後期」に名称変更。(2)I期でB方式(3科目型。英語リスニングなし)を廃止し、M3方式(全問マークシートの3科目型)を新規実施。従来のM方式(全問マークシートの2科目型)を「M2方式」に名称変更。
●日本福祉大
 (1)社会福祉で学科を統合(社会福祉・保健福祉→社会福祉)。また、デイタイムコース・アフタヌーンコースを統合。(2)公募推薦で後期(12月)を新規実施。(3)セ試前期で「全学部出願型」と2教科2科目型を新規実施。全学部出願型(3教科3科目)は全学部・学科への同時出願が可能で、合格発表後に面談を経て入学学部・学科を決定する。
●名城大
 (1)経済のセ試利用のC方式前期で5教科型を導入。(2)一般・セ試併用のF方式で、法・人間の個別試験がA方式と同一試験日となる(2/11→2/1・2)。A・F方式は同時併願できる。(3)経済・経営で募集人員を変更。経済では、公募推薦(指定校含む)を58人→105人に増員、一般入試をA方式135人→100人、B方式20人→15人、F方式15人→10人に削減。経営では、公募推薦(指定校含む)を62人→118人に増員、一般入試をA方式120人→85人、B方式25人→15人、C方式前期30人→25人、F方式15人→10人に削減する。(4)理工(工学系)でB方式を100人→76人に削減し、F方式を76人→100人に増員する。

 
 

関西~九州

 

近畿大‐医の一般前期で
面接を追加、2段階で選抜

 

●同志社大
 (1)文化情報のセ試利用でB方式(4教科5科目。個別なし)を新規実施。従来型(セ試2教科2科目+個別2科目)はA方式となる。(2)文・心理でAO入試を廃止し、文(英文)で公募制推薦、心理で自己推薦を新規実施。
●佛教大
 公募制推薦で、学科試験を「英語・国語必須→英語必須、国語・数学から1」に変更。
●立命館大

私立大学医学部の2010年入試変更点

 (1)一般入試でE方式(国語・英語・英語リスニング。10年は3学部で実施)を廃止。(2)セ試利用入試のうち、2月実施の4教科型(10年は9学部で実施)と経営のベスト3科目型を廃止し、3月実施の後期型では4学部で3→4教科に変更。基本的に2月を「7科目型・5教科型・3教科型」の3タイプ、後期型(3月)を4教科型に統一する(表を参照)。(3)スポーツ健康科学でW方式を廃止し、一般・セ試併用型を新規実施。(4)公募制推薦(10年度は11学部で実施)を廃止。(5)AO入試で自己推薦方式(10年度は9学部で実施)を廃止し、従来の「学部独自方式」と新方式「国際方式」に再編成する。国際方式は10学部で実施する。また、学部独自方式は実施学部が「10→12学部」に増え、理工では実施学科が「2→9学科」に増える。
●龍谷大
 (1)セ試利用入試の受験料を1万5千円→1万円に減額する。(2)学部増設などに伴い、全学の入学定員を473人増加する予定(10年3,877人→11年4,350人)。(3)学外試験場を新潟・松本・浜松に増設し、長野・静岡を廃止する。
●大阪医科大
 医でセ試利用の出願締切日を、セ試本試験日の「後→前」に繰り上げる(1/29→1/14)。
●大阪工業大
 知的財産で前期B日程(国語・英語の2教科入試)とBC日程(一般・セ試併用)を導入。
●大阪薬科大
 セ試利用で後期M方式を新規実施。募集人員は10人、セ試3教科5科目(数学・理科各2科目。英語はリスニングを除く)と調査書(評定平均値を点数化)で選抜する。合格発表日は3/8。
●関西大
 (1)文でセ試利用の方式を整理。前期で2教科型、中期で英語力重視方式、後期で5教科型を廃止する。(2)社会安全の一般後期に2教科型を追加。
●近畿大
 (1)医で一般前期に面接を追加し、「1次=学科試験、2次=小論文・面接」と2段階で実施する。また、受験料を5万円→6万円に増額する。(2)薬の前期B日程で高得点科目重視方式(高得点科目を自動的に2倍)を新規実施。(3)農でAO入試を廃止し、専門・総合学科対象の推薦を新規実施。(4)医・薬の公募推薦で、出願資格のうち卒業年度を「現役のみ→1浪まで可」に緩和する。
●桃山学院大
 一般入試の実施方式を大幅に変更。10年は前期A日程・B日程・後期ともに国語・英語2教科だったが、11年は選択科目(地歴・数学から1)を追加。前期A日程は3教科必須(2教科での合否判定も可)、前期B日程・後期はそれぞれ2・3教科型(高得点科目の配点を、前期B日程は1.5倍、後期は2倍して判定)の2タイプで実施する。
●関西学院大
 (1)一般入試の名称を変更(F方式→全学日程、A方式→学部個別日程)。(2)学部個別日程(文系型)の時間割を変更し、入試方式を「英語・国語必須、数学・地歴から1」→「英語必須、国語・数学・地歴から2」とした。国語を選択せず「英語・数学・地歴」での受験も可能。(3)商で一般・セ試併用の「関学数学併用型」を新規実施(セ試2科目+個別<数学>)。(4)理工のセ試1月出願に5科目型を追加(物理・化学・生命科学の3学科で導入。従来は7科目型)。
●甲南大
 (1)セ試利用のC日程で、国語の範囲指定を変更。文・経済・法・経営・マネジメント創造・フロンティアサイエンスでは「現代文・古文」「現代文・漢文」の2パターンのうち、高得点の方を合否判定に利用することになった(10年は、文・経済・法・経営・フロンティアサイエンスが「古文・漢文を含む」、マネジメント創造と文‐社会の4科目型が「現代文のみ」)。また、理工・知能情報では古文・漢文を除外。(2)経営のセ試利用を2科目型に統一(中期を3→2科目に軽減、後期で4科目型を廃止)。(3)文(人間科学・歴史文化)のセ試C日程で英語にリスニングを追加する。
●神戸女学院大
 (1)セ試利用で5科目型を廃止し、2科目型・4科目型を新規実施。(2)文(英文)の一般A~D日程で、英語からリスニングを除外する。
●神戸学院大
 経済・経営で、一般・セ試併用のAC日程・BC日程を新規実施する。
●神戸薬科大
 一般中期を新規実施する(英語・生物の2科目)。
●武庫川女子大
 文(健康・スポーツ科学)を改組し、「健康・スポーツ科学部」を新設する予定。
●広島修道大
 一般・セ試併用入試の出願条件を「一般前期・セ試前期の両方出願」→「セ試で指定科目を受験し、一般前期で同一日程・学科専攻を出願」に緩和。一方、受験料を5千円→1万円に増額する。
●九州産業大
 (1)セ試前期の出願締切日を、セ試本試験日の「前→後」に繰り下げる(1/15→1/25)。(2)商1部で、一般・セ試併用型の「センタープラス方式」を新規実施する。
●久留米大
 医(医)の「地域枠推薦」で、出願資格のうち評定平均値を4.0→3.8に緩和する。
●産業医科大
 医の受験料を、一般・推薦とも5万円→6万円に増額する。
●中村学園大
 一般入試で3月実施の後期を導入。学部別の募集人員は、栄養科学・教育・流通科学各5人。
●福岡大
 (1)人文・工(機械工)で一般・セ試併用型の「センタープラス型入試」を新規実施。(2)薬の一般前期で「理科重視型」を導入する。「理科2科目、英語」の2教科3科目を課し、募集人員は30人。
●立命館アジア太平洋大
 (1)一般A方式の「英語検定等評価枠制度」を、他の全方式にも導入する。(2)一般入試の試験会場を33→26会場に削減する。(3)入試の成績優秀者対象の奨学金と、経済的困難者対象の採用予約型奨学金の2種類を新設する。

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新設大学・学部・学科をチェック!8大学が新設、5大学が募集停止。
専修大・立命館大・関西大・関西学院大などで学部を増設予定!

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 ここからは、全国の私立大について、11年度に新設予定の大学・学部・学科等(既存の学部・学科の組織改編を含む)を紹介する。

 
 

医療・看護と保育・教育の
2分野で新増設が目立つ

 

 私立大における、11年度の新設予定大学、および学部・学科の増設予定(認可申請分)、さらに学部・学科の改組・再編等に伴う増設で、5月末までに文部科学省に「設置届出」があったもの(7月末発表)をこのページ下にリンクした。
 学問分野や教員組織等を大きく変えないなど、一定の条件を満たす場合に限り、文部科学大臣に届け出れば学部・学科等を増設できる(設置届出)。その他の学部・学科増設や、大学そのものの新設には「認可申請」が必要で、最終的には10月末に正式に認可される予定だ。

 

●大学の新設と募集停止

 6大学の新設が予定されている。このうち、4大学が医療・看護系の専門大学だ。一方、福岡医療福祉大学が学生募集を停止する。

 

●学部・学科増設(設置届出)

 5月末までの届出分は、学部増設が15大学17学部、学科増設が30大学35学部45学科となる。届出は12月まで随時受け付けられるので、今回の掲載分は11年度分のごく一部に過ぎない。この中で、酪農学園大(3学部8学科を2学群5学類に再編成)の全学的な組織変更が注目される。
 なお、6月以降の届出分で、大学が公表しているものの一部を「変更点一覧」に掲載した。

 

●学部・学科増設(認可申請)

 認可申請した学部・学科は、学部増設が10大学10学部、私立大の学科増設が3大学3学部3学科となる。これらの中で、京都女子大の“女子大で初”となる法学部新設が注目される。
 今回の認可申請により、私立大の定員は約1千人増える。さらに、大学の新設による定員増(約1千100人)や、別途申請中の定員増(約1千400人)を加え、募集停止大学の定員(300人)を差し引くと、私立大全体の定員は約3千人増えることになる(編入学定員を除く)。

 

●新設大学・学部・学科の特徴

 全体の特徴としては、学部・学科を統合する大学が目立つ。募集単位を大くくりにして、入学後に専門分野を決定する仕組みを採用するケースや、組織や定員をコンパクトにまとめつつ、コース制により多様なニーズに応えるケースなど、大学によって目的や手法はさまざまだ。
 分野別に見ると、ここ数年と同じく、医療・看護系、教育・保育系の新増設が目立つ。医療・看護に関する学部・学科を新設する大学は14校に及び、保育・幼稚園や小学校の教員を養成する学部・学科を新設する大学も8校ある。
 大学生の就職状況の低迷により、強い“資格志向”が見込まれ、慢性的な看護師不足、大都市圏における教員不足といった要因もあり、10年に続き上記2分野の志願者増が予想される。ただし、入り口が広がり受験者が分散するため、既設校では倍率ダウンが見込まれる。
 新設学部・学科等の詳細は、案内パンフレットや募集要項などで必ずチェックし、不明の点は入試担当者に問い合わせてほしい。

 

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2010年9月号)」より転載いたしました。

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