入試動向分析

2009年一般入試の難易変動はこうなる!?【2008年11月】

2008(平成20)年度

国公立大は一橋・千葉・大阪・神戸、
私立大は早慶・中央・同志社が難化!?

 

 一般入試の本番まであと3か月、パワー全開で受験勉強に取り組む時期となった。2009年は「大学受験生数は微減、センター試験がやや難化」と予想される中で、国公私立大の難易や人気度がどう変わるのか。ここでは、高校・予備校の進路指導の先生方へのアンケートを中心に、さまざまな変動要因を総合し、2009年一般入試の動向を予測する。

 

※この記事は『螢雪時代・2008年11月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

 

 

2009年入試の大きな流れを読む!
一般入試の志願者数は国公立が前年並み、私立が約1%減か

 

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 2009(以下、09)年の大学受験生数は微減(1%減)で、一般入試の志願者数は国公立大が前年並み、私立大が約1%減の見込み。センター試験(以下、セ試)の難化で、国公立大と難関私立大との併願が増えそうだ。学部系統別では、経済・理工・医が人気アップ、教育・社会福祉・歯・薬が人気ダウンの見込み。

 
大学受験生数とセンター試験者数、現役志願率の推移

センター試験の志願者数は
ほぼ前年並みの54万人前後か

 

 文部科学省(以下、文科省)発表の『平成20年度学校基本調査速報』によると、08年は高卒者数が約5%減少し、4(6)年制大学の受験生数(以下、大学受験生数)も67万人と、約3%減少した。09年は、高卒者数の減少は前年より緩やか(約2%減)な模様で、大学・短大への現役志願率の上昇傾向もあり、大学受験生数は本誌推定で66万5千人と、前年比で約5千人(約1%)の減少に留まるものとみられる。
 セ試の出願者数は、08年は前年比2%減だったが、09年は大学受験生数の推移に見合った変動が予想される。公立の新設2大学(千葉県立保健医療大・新潟県立大)が初年度からセ試を利用、岩手県立大‐ソフトウェア情報も新規に利用する。また、私立大でセ試を新規利用する大学は19大学(26学部)、既利用大学の実施学部増は22大学24学部で、募集人員が805人増加することも、セ試への出願を促進しそうだ。螢雪時代編集部が実施したアンケートにおける先生方の回答では「54万人」が多く、平均は53.9万人となる。こうした見通しも考慮し、09年のセ試の出願者数は、08年とほぼ同じか微減の54万人前後と予測する。

 
大学受験生数とセンター試験者数、現役志願率の推移

【国公立大】
難関校の「前期集中化」で、“準難関校”の後期が難化か

 

 09年度のセ試は、08年の平均点アップの反動で、国語や数学Ⅰ・Aなどがやや難化する可能性大。英語などは易化しそうだが、全体として平均点はややダウンするとみられる。そのため、受験生が若干「慎重出願」に転じ、セ試の得点次第では国公立大への出願に対し消極的になることが考えられる。
 ただし、螢雪時代のアンケートにおける先生方の回答では、経済状況が悪化する中、「国公立大志向が強まる」との回答が多い。そのため、国公立大全体の志願者数はほぼ前年並みとなるものと見られる。とはいえ、「慎重出願」のため、1ランク落とした出願傾向や、前年の難易変動を強く意識した出願結果が予想される。
 国公立大一般選抜では、一橋大の後期大幅縮小(募集人員6割減)をはじめ、東北大‐文、京都大‐医(人間健康科学)、九州大‐教育・医(保健)などで後期を廃止。募集人員の比率は、前期79.3%(08年78.8%)、後期20.7%(同21.2%)で「前期集中化」が進んだ。
 前期は同レベル同士で志願者が分散し、難関校でも多少「広き門」となる可能性もある。一方、後期実施大学・学部に併願が集中、「慎重出願」もあって筑波大・千葉大・横浜国立大・神戸大など“準難関校”の後期が難化しそうだ。また、大阪大は医(医)のセ試負担減(理科3→2科目)や全学規模の2段階選抜廃止・緩和など、難関校の中で際立った動きを示し、要注意だ。
 09年の国立大全体の入学定員(8月末現在)は316人増加する。特に医学部定員増の影響は大きい(表2)。また、教員養成課程の定員増(静岡大40人増、山口大30人増、福岡教育大50人増)も注目される。
 公立大では、大学の統合(愛知県立大・愛知県立看護大→愛知県立大)や新設(前述の2大学)、学部等の増設(福井県立大‐海洋生物資源、北九州市立大‐地域創生学群、富山県立大‐工<環境工>)が注目される。
 国公立大の選抜方法の変化(08年→09年:文科省集計)は表1に示した。セ試で5(6)教科7科目を課す大学・学部の募集人員は全体の66%を占めるものの、ほぼ前年と変わらず、「7科目化」はほぼ落ち着いた模様。むしろ、セ試の科目数を軽減するケースが、おもに後期でみられる。一方、2次を課さない大学・学部が減少し、医学部を中心に面接が増加している。
 なお、国公立大の後期縮小の受け皿として、推薦・AO入試の募集枠が拡大し(AO7%増、推薦4%増)、実施学部はAOが「155→164」、セ試を課す推薦が「135→140」に増加。前述の一般選抜とあわせ、面接対策の重要性が高まったといえる。

 
 

【私立大】
大都市圏の難関校は合格者減で難化、さらに2極化が進む!?

 

 私立大は07・08年と2年続きの志願者増(08年は約1%増:文科省集計)の反動が考えられるが、国公立大志願者層が前述の「慎重出願」から私立大難関校の併願を増やす可能性もある。「前期集中化」の影響もあり、「国公立大前期→(後期を回避し)→私立大難関校のセ試利用入試」という併願パターンが増えそうだ。
 このため、私立大全体では前年比1%程度の志願者減に留まるものとみられる。ただし、「大都市圏と地方」「総合大学と単科大」といった2極化が進み、後者は志願者大幅減が予想される。
 
 大都市圏の難関校や総合大学は、入学手続率が良好なことから、「定員の大幅超過の回避」などもあって、合格者数を抑える傾向が続いている(08年の例を下の表3に示した)。09年も、こうした大学では「合格者絞り込み」による難化傾向が続くとみられ、要注意だ。
 
 一方、新設予定は9大学。学部・学科の増設は、認可申請が「学部=19大学20学部、学科=4大学4学部4学科」、設置届出(4~7月分)が「学部=27大学32学部等、学科=60大学65学部87学科等」にのぼり、その他の定員増を含めると全体で約5千人の定員増となる。特に新増設が多いのは、医療・看護系と教員養成系だが、いずれも志願者分散で易化が予想される。
 
 私立大の入試改革では07・08年と同様、(1)学部共通入試、(2)一般・セ試併用型、(3)セ試利用の募集回数増が目立つ。(1)は亜細亜大・玉川大・中央大(社会科学系4学部)・東海大(理系10学部)など、(2)は九州産業大・福岡大など、(3)は武蔵大・近畿大などで新規実施する。学部共通入試は、同時に複数の学部・学科に併願できるなど、学内併願のチャンスが増えるメリットはあるが、07・08年ほど爆発的な人気はなさそうだ。

 
私立大一般入試 合格者絞り込みの例
 

定員大幅増の医学部が
09年入試の“台風の目”に

 

 09年最大の変動要因は「医学部の定員増」であろう。
 近年の医師不足の抜本的な解消へ向け、07年に国が「緊急医師確保対策」を策定、医学部(医学科)の定員増(各都府県5人増、北海道のみ15人増)が認められた。さらに08年、「経済財政改革の基本方針2008」を踏まえ、「過去最大規模(8,280人:1981~84年)程度」にまで定員を増やす方針が8月に決定された。
 
 これらを受け、09年では国立42大学361人(他に編入学32人)、公立8大学80人程度、私立29大学320人程度、合計で約760人の増員が予定され、編入学を含む総定員は8,560人程度と、過去のピーク時を約280人上回る。
 各大学の定員増加数については、国立大は8月末に予定として発表されたが、公私立大は10月末までに文科省に認可申請し、11月以降には各大学から「認可申請中」として発表される予定。表2に「定員増(1)」として6月末までの申請分(緊急医師確保対策の分)を、「定員増(2)」として8月末発表の国立大の申請分を掲載した。現在未発表の定員増やその内訳は、各大学のホームページ等で発表される予定なので、医学部志望者は必ずチェックしてほしい。
 
 増加分は、出願資格を地元出身者に限定する「地域枠」や、全国対象だが卒業後の一定期間の地元勤務を条件に奨学金等を支給する「地域医療枠」に充てられ、しかも推薦・AOで募集するケースが多い。このため、一般入試の倍率はそれほど緩和されず、ハイレベルの激戦が続くものと見られる。
 医学部はこの他にも、国公立で後期廃止(金沢大・長崎大・大阪市立大)やセ試の理科3科目化(岡山大・徳島大)、私立では学費値下げ(東海大・東邦大)など変動要因が多く、09年入試の“台風の目”といえよう。

 
2009年度 医学部医学科の定員数・募集人員の変更
 

経済・理工・医が人気アップ、
教育・福祉・歯・医療が易化か

 

 学部系統別では、国公立・私立ともに07・08年に近い志望動向が予想される。就職状況の好調さが続いているため、経済系(特に経営・商)は志願者増か。理工系も人気アップが見込まれ、特に機械・情報・生命科学といった分野の人気が高いようだ。医は根強い人気で高嶺安定、前述の定員増や私立医学部の学費値下げも志願者増の要因となろう。法は、新司法試験の合格率が2年連続でダウン(06年48%→07年40%→08年33%)したが、志願者はほぼ前年並みか。
 
 一方、教員養成系は、大都市圏で採用率はアップしているものの、教員を取り巻く環境の厳しさから敬遠され、志願者減の見込み。私立では新設ラッシュ(新設校も含め、13大学で学部新設予定)もあり、易化は必至。医療・看護も新増設ラッシュ(新設予定の私立大9校中7校が医療・看護系。その他、8大学で学部新設予定)で志願者分散、やはり易化は必至だ。この他、社会福祉・歯・薬の各系統で、志願者減が見込まれる。

 
 

進路指導の先生方は
09年入試をどう見ているか

 

 進路指導のプロである先生方は、09年入試をどのように捉えているのか。アンケート結果をもとに、基本的な考え方や対応策を示していこう。

 

A.国公立大志向はどうなりますか?

(1)強まる…18%
(2)やや強まる…50%
(3)変わらない…32%
(4)やや弱まる…0%
(5)弱まる…0%

 

B.私立大志向はどうなりますか?

(1)強まる…0%
(2)やや強まる…14%
(3)変わらない…59%
(4)やや弱まる…27%
(5)弱まる…0%
 前年の調査と比べ、Aは(1)(2)が増え、特に(2)に集中。Bは(2)が減少し、(3)(4)が増加。景気の先行き不透明感や、地方の経済状況の悪化などもあり、学費の安い国公立大への志向が強まっている。一方で、大都市圏では「通学範囲志向」に加え、就職状況を考慮し、地元の難関私立大への志向が続いている。

 

C.推薦入試への取り組みについては?

(1)08年とほぼ同様…77%
(2)08年よりやや重視…23%
(3)08年よりやや軽視…0%
 前年と比べ、(1)が52%→77%、(2)が44%→23%となったが、「推薦もやや重視」の方向性に変わりはない。国公立大で募集人員の後期→推薦・AOへの移行、医学科で定員増に伴いセ試を課す推薦(地域枠・地域医療枠)の導入・拡大が相次いだ影響が大きい。

 

D.09年入試での併願校数はどうなりますか?

(1)08年とほぼ同数…95%
(2)08年よりやや増える…5%
(3)08年よりやや減る…0%
 前年より(1)が増えた。『学校基本調査速報』に基づき併願率を算出すると、07年→08年で「現役4.5校→4.7校、浪人8.8校→9.5校」とアップ。09年は国公立大志望者が慎重出願から私立大難関校との併願を増やす見込みだが、全体として併願校数は前年並みとみられる。

 

E.AO入試にはどう対応されますか?

(1)積極的にチャンスを生かす…14%
(2)徐々にチャンスを生かす…54%
(3)ほとんど関心がない…32%
 前年より(3)が増え、(1)が減少。ただし、国公立大の4割超がAO入試を実施し、セ試を課すケースが多いためか「国立大のAOは利用したい」との声が目立つ。

 

(文責/小林)

 

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■地区別に志望動向・難易変動を予測する!■

 

 以下、次項で各地区のおもな大学について、09年一般入試の変動要因と難易動向をみていこう。文中、変更点は08年→09年で表記。学部・学科名は略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼][夜]と略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。なお、医学部の定員増については、各大学の増員数や募集人員の振り分けなど未公表の部分が多く、一般入試の難易変動に与える影響が流動的なので省略した。

 

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【北海道・東北】
東北大は文で後期廃止、法・薬・工が難化か。
北海道大は法・薬などで志願者増の見込み

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<国公立大>

 

●旭川医科大 医(医)で【前】20人→35人、AOが20人→地域枠35人に増加、【後】40人→17人に削減。前期は募集枠拡大で志願者増が見込まれ、札幌医科大‐医【前】から志願者が流入しそう。一方、後期は2次負担増(集団面接を追加)もあり、志願者大幅減が予想される。
●北海道大 東北大‐文の後期廃止により、文【後】はやや志願者増か。前年の反動から、法【前】【後】・歯【前】【後】・薬【前】の志願者増、獣医【後】の志願者減が予想される。
●室蘭工業大 工[昼]6→4学科、工[夜]3→2学科に再編成。工[昼]【後】で募集人員減(128人→120人)、前年の志願者減の反動もあり、やや難化する見込み。
●弘前大 医(医)で【前】50人→55人に増加するが、前年の志願者53%増の反動もあり、やや易化しそう。農学生命科学【後】は2次で「小論文→理科」に変更、対策が立てやすくなり、志願者増か。やはり前年の反動で、人文【前】・教育【前】【後】・医(保健)【前】【後】・理工【前】の志願者増、理工【後】の志願者減が見込まれる。
●岩手大 教育で募集人員を変更(【前】152人→136人、【後】52人→57人、推薦46人→57人)、農で【後】37人→33人に削減、【前】141人→146人に増加。また、工で学科改編(7→5学科)に伴い定員減、【前】270人→250人、【後】65人→62人、推薦95人→88人に削減。
 前年の反動もあり、教育【前】・農【後】で志願者減、人文社会科学【後】で志願者増が見込まれる。
●東北大 文で後期を廃止、AOを導入し、【前】180人→200人に増加。前期は志願者増も倍率ダウンでやや易化しそう。医(医)【前】は募集人員増(90人→95人)も、難易は前年並みか。工はAOの募集枠を拡大し、【前】605人→591人に削減、やや難化しそう。前年に実質倍率(受験者÷合格者。以下、倍率と略)がダウンした法【前】・薬【前】も、反動で志願者増が予想される。
●秋田大 教育文化【前】では、学校教育・人間環境の2課程で2次の英語からリスニングを除外、志願者増の要因となろう。前年の反動で、医(医)【後】の志願者減、医(保健)【前】・工学資源【前】の志願者増が見込まれる。
●山形大 前年の志願者大幅増の反動で、人文【前】・地域教育文化【後】・医(医)【前】【後】・工[昼]【前】【後】の志願者減が見込まれる。ただし、やはり前年に志願者大幅増の農【前】(所在地=鶴岡市)では、試験場を山形市に増設するため、志願者はほぼ前年並みか。一方、人文【後】は東北大‐文の後期廃止の影響で志願者増の見込み。
●福島大 前年の反動で、人間発達文化【後】・行政政策【前】【後】・経済経営【前】【後】・理工【前】は志願者増、理工【後】は志願者減が予想される。
●公立はこだて未来大 前・後期ともにセ試を3→5科目に増加し、同【前】の2次で「数IIIC・物理・生物・実技から1」→「数IIB・数IIICから1」に変更。08年に続き、志願者減が見込まれる。
●岩手県立大 ソフトウェア情報で前期をA・B日程(各40人)に分割し、後期(10人)を新規実施、前期B日程・後期ではセ試を新規利用する。前年の反動もあり、志願者大幅増は必至。やはり前年の反動から、看護【前】【後】・総合政策【前】【後】の志願者増が見込まれる。
●福島県立医科大 医【後】で2段階選抜の予告倍率を緩和(募集人員の7倍→8倍。以下同様)したが、前年の志願者大幅増の反動から、志願者減が見込まれる。
 
 北海道教育大は、前年の反動で釧路校が志願者減、函館校・岩見沢校が志願者増か。釧路公立大は中期で試験場を増設(盛岡)するが、前年の反動で志願者減は必至。札幌医科大の医【前】は、前年の反動に加え、旭川医科大‐医(医)【前】の増員の影響で志願者減の見込み。青森公立大は、経営経済で【後】20人→10人に削減(地域みらい学科で廃止)、やや志願者減か。

 
 

<私立大>

 

 08年は、地区全体で志願者1%増、合格者1%減(旺文社集計。以下同じ)で、倍率は2.0倍とほぼ前年並みだったが、09年は志願者減が予想される。札幌大は定員減(法300→220、経済300→250、経営350→280、外国語150→110)、外国語をA・B日程に分割。藤女子大がセ試利用入試を導入。北海道医療大は全学のセ試後期を3→2科目に軽減。東北学院大は、経営学部を増設、経済・経営がセ試利用を新規実施するが、導入2年目の全学部日程で志願者減が見込まれる。東北福祉大はA・C日程の「学部統一試験」導入、受験料割引制度の導入などの入試改革で志願者増が見込まれる。

 

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【関東・甲信越】一橋大で後期を大幅縮小、千葉大・横浜国立大
が激戦化! 青山学院大・中央大が台風の目に

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<国公立大>

 

●茨城大 08年の志願者大幅増の反動で、教育【前】【後】・工[昼・夜]【前】【後】・農【前】【後】は志願者減の見込み。一方で、人文【前】【後】は志願者増が予想される。
●筑波大 募集人員の多い前期では、前年の反動で、人文・比較文化・日本語日本文化・生物・工学システム・情報科学・看護の各学類の志願者増と、社会・教育・心理・障害科学・生物資源・数学・物理・化学・地球の各学類の志願者減が予想される。人文【前】は2段階選抜の予告倍率緩和、看護【前】は2次負担減(理科を除外)、地球【前】は後期(5人)復活に伴う募集人員減(35人→30人)も、変動要因となりそうだ。
●宇都宮大 前年の反動で、国際【前】・教育【後】が志願者増、教育【前】・農【後】が志願者減の見込み。教育は推薦枠拡大で【前】139人→130人、【後】38人→30人に削減するため、後期が難化しそうだ。
●群馬大 教育で【前】146人→152人に増加、【後】51人→34人に削減、後期は前年の反動もあり志願者大幅減が見込まれる。医(医)【前】【後】は2段階選抜の新規実施が敬遠材料となり、志願者はやや減少しそうだ。
●埼玉大 前年の反動で、経済【前】【後】・工【前】・教養【後】が志願者減、教育【前】・理【前】【後】では志願者増が見込まれる。
●千葉大 一橋大・東北大の後期縮小の影響で、両校からの併願が増え、文【後】・法経【後】は志願者増の見込み。医【前】は80人→85人に増員するため、やや志願者増か。この他、前年の反動で、法経【前】の志願者増、薬【後】・工【後】・園芸【後】の志願者減が予想される。
●東京大 08年に募集枠を約3割に縮小、全科類共通入試となった後期は、数学の出題範囲(数III・Cまで)が文科類志望者に不利だが、一橋大の後期縮小で文科類の学内併願が08年以上に増加するとみられ、超ハイレベルの激戦は必至。前期は理III以外がやや難化しそう。
●東京医科歯科大 医(保健衛生)で後期を廃止し、看護学専攻では【前】30人→35人に増加。歯(歯)【後】は、2段階選抜の予告倍率引き締めが敬遠材料となりそう。医(医)【前】は前年の反動から、やや志願者増の見込み。
●東京工業大 全学の志願者数はほぼ前年並みとみられる。前年度の反動で、前期では第4類・第7類の志願者増、第3類・第5類の志願者減が見込まれる。
●一橋大 後期全体の募集枠を約4割に縮小。商で後期を廃止し、【前】215人→255人に増加。法・社会で後期を大幅縮小(法=【前】140人→160人、【後】30人→10人。社会=【前】185人→225人、【後】50人→10人)。また、後期の入試科目を大幅に変更(経済【後】=セ試7→6科目に軽減、2次から論文を除外/法【後】=セ試4→7科目に増加、2次で外国語→面接に変更/社会【後】=2次で数学・外国語→面接に軽減)。後期は経済・社会が難化、前期は志願者増も倍率面ではやや緩和されそうだ。
●横浜国立大 経済・経営・工の後期は、募集人員に占める比率が高く、一橋大・東京工業大の併願先として08年に続き人気を集めそう。教育人間科学(マルチメディア文化)で、【前】70人→45人に削減、【後】20人→45人に増加、後期は志願者大幅増の見込み。
●新潟大 前年の志願者大幅減の反動で、人文・法・理・歯の前・後期と教育【前】は志願者増の見込み。医(医)【前】は信州大から志願者が流入、難化が予想される。
●山梨大 前年の反動で、教育人間科学【前】【後】・医(看護)【前】が志願者増、医(医)【後】・工【後】が志願者減の見込み。
●信州大 理で【前】85人→95人に増加、【後】116人→93人に削減。生物科学科のセ試負担減(7→6科目)、物理科学科の2次負担減(数学・理科を除外)もあり、前期は志願者増の見込み。この他、前年の反動で、人文【前】・繊維【後】の志願者増、人文【後】・教育【後】・経済【前】【後】・医(医)【前】【後】・工【後】・農【前】の志願者減が予想される。
●群馬県立女子大 文で学科を増設(総合教養:【前】10人、推薦・AO各5人)。ただし、既設の学部・学科は前年の反動から志願者減が予想される。
●千葉県立保健医療大 09年新設予定。初年度からセ試を利用し、前期のみ募集のため、千葉大‐看護【前】、埼玉県立大‐保健医療福祉【前】に影響を及ぼしそうだ。
●首都大学東京 都市環境【前】は募集人員増(107人→119人)でやや易化しそう。また、前年の反動で、法学系【前】の志願者増、人文・社会系【後】と経営学系【後】の志願者減が見込まれる。
●横浜市立大 国際総合科学【前】で文系理系共通枠(50人)を廃止し、経営科学系を10人増、理学系を5人増。ただし推薦枠拡大で学部全体の一般枠は狭まるため、志願者大幅減の見込み。医(医)は【前】80人→85人に増員も、増加分は特定診療科希望者対象の地域医療枠に充てられるため、一般枠では激戦が続きそうだ。
●新潟県立大 09年新設予定。一般入試(セ試を利用)は通常の前・後期とは別日程(A~C日程)で実施し、東京会場も設置するため、高倍率の激戦が予想される。

 
 

<私立大>

 

 08年は、地区全体で志願者3%増、合格者はほぼ前年並みで、倍率は3.8→3.9倍にアップ。特に、上智大・中央大・東京理科大・法政大など、難関校~準難関校で合格者絞り込みによる難化が目立った。
 09年は、一橋大の後期大幅縮小で、慶應義塾大・早稲田大への併願増が見込まれる。東京理科大は学部共通入試の導入2年目の反動でやや志願者減か。
 いわゆる“MARCH”では、青山学院大・中央大・立教大が志願者増、法政大はやや人気ダウンの見込み。特に、青山学院大(教育人間科学部を新設)、中央大(社会科学系4学部の共通入試を導入)が台風の目となりそう。“日東駒専”では日本大が人気アップか。新設学部では、教員養成系の國學院大‐人間開発も注目度が高い。一方、中堅クラス以下は志願者減が続き、「2極化」がさらに進むとみられる。
 以下、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●青山学院大 新設学部(教育人間科学)・学科(経営‐マーケティング)が人気を集めそう。総合文化政策・社会情報でセ試利用入試を新規実施し、社会情報でA方式(歴史・数学・英語)を廃止する。
●亜細亜大 T方式(全学統一試験)を導入する(2科目型:2月下旬実施)。複数学部・学科への併願可。
●慶應義塾大 一橋大の後期縮小の影響で、併願者増(特に経済・法)が見込まれる。薬学部以外の学費制度を全面的に改定、入学金を「34万円→20万円」に引き下げる一方、在籍基本料(6万円)を新設した。
●駒澤大 全学部統一日程(文系6学部)で、同一日の複数出願が「不可→3学科・専攻まで併願可」となり、併願時の受験料割引制度も導入。ただし、経済学部が対象外のため、志願者増は小幅に留まりそうだ。
●芝浦工業大 デザイン工学部を新設予定。また、システム理工に「数理科学科」を増設予定。
●成蹊大 全学部日程入試のE方式は武蔵大の全学部入試との日程重複が解消、試験場の新設(浦和・横浜)もあり、志願者増が予想される。一方、文A方式は早稲田大‐文化構想と日程重複、志願者減が予想される。
●大東文化大 全国入試の試験場を、東北~関東に10会場増設し、会場数を大幅増(14→24)に。一般3教科の試験日を2→4日に増加(試験日自由選択制)。
●中央大 法・経済・商・社会で、共通問題による「統一入試」を導入。教科・科目の選択により、同時に複数学部の出願が可能なので、学内併願の大幅増は必至。商のセ試併用方式で、セ試を1→3教科に増やし、個別試験を「独自試験→一般入試の問題を使用」に変更。
●玉川大 全7学部で「全学統一入試」を導入する(2科目型:試験日2/2)。複数学部・学科への併願可。また、複数学科併願時の受験料割引制度を導入する。
●東海大 医で初年度納付金を1,089万円→778万円に減額、志願者増は必至。理系10学部で共通問題による「理系学部統一入試」を導入、同時に複数学部・学科に出願可(3併願まで)。医・体育・健康科学以外の16学部でセ試後期を3→2科目に軽減。B方式が、文系・理系別科目から、文・理系共通科目(英語必須、国語・数学から1、地歴・公民・理科から1)に変更。
●東京女子大 文理・現代文化の2学部10学科を「現代教養」の1学部4学科12専攻に再編・統合。セ試利用のB方式後期とC方式を「3月期入試」に統合した。
●東京都市大 大学名を「武蔵工業大学」から変更し、文系の都市生活・人間科学の2学部を増設。
●東京理科大 C方式(一般・セ試併用の学部共通入試)の理科の科目選択を、昼間6学部とも「物理・化学・生物(各I・II)から1」に統一する。一般B方式の学外試験場を広島に増設し、さいたま・横浜を廃止。
●東洋大 国際地域学部を板倉(群馬県)から白山(東京都心)にキャンパス移転。総合情報学部を増設予定。工学部(8学科)を理工学部(6学科3コース)に改編、生体医工学科を増設し、D方式(3科目型。最高得点科目を2倍)を新規実施。セ試B方式で、法・国際地域が中期(2科目型)を新規実施する。
●日本大 薬でセ試利用を新規実施。法のセ試C方式(3教科型を追加)、国際関係のセ試C方式1期の出願締切日を、セ試本試験日の後から前に繰り上げた(法1/27→1/17、国際関係1/24→1/16)。生産工のA方式で学外試験場を新設(1期13会場、2期4会場)し、数学の出題範囲からIII・Cを、理科からIIを除外する。
●法政大 スポーツ健康学部を増設、人気分野だけに多くの志願者を集めよう。T日程で国際文化が科目変更(小論文・情報関係基礎から1→国語・数学から1)、人間環境が2→3科目に増加(地歴を追加)した。
●武蔵大 全学部入試を「1学部のみ出願可→同日で複数学部間の併願可」に変更(3学部まで可)、全学(経済‐金融を除く)でセ試後期を導入する。
●明治大 法のセ試前期で、3科目方式に加え4科目・5科目方式を新規実施(3方式間の併願も可)。08年開設の国際日本は、早稲田大‐文化構想と新たに日程重複、志願者減が予想される。
●立教大 国公立大志望者の併願増で、安定した人気を保ち、志願者微増が見込まれる。ただし、08年開設の異文化コミュニケーションはやや志願者減か。
●早稲田大 社会科学が「昼夜開講制(13時開講)→昼間部(9時開講)」に移行し、セ試利用入試を新規実施。志願者大幅増が見込まれる。人間科学のセ試利用で2次(小論文)を廃止。文・文化構想の試験日を繰り上げる(文化構想2/17→2/12、文2/23→2/17)。

 

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【北陸・東海】
名古屋大は文・理・農・医(保健)が難化の見込み。
愛知大・名城大が志願者増か。

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<国公立大>

 

●富山大 金沢大‐医学類・薬学類・創薬科学類の後期廃止の影響で、医(医)【後】・薬【後】は志願者増の見込み。前年の反動で、人文【前】【後】・経済[昼]【後】・理【前】【後】・医(医)【前】・薬【前】の志願者増、人間発達科学【前】・経済[昼]【前】・医(看護)【前】【後】・工【前】の志願者減が予想される。
●金沢大 医学類(以下、学類を省略)で後期を廃止、推薦を新規実施、【前】80人→75人に削減。前期はやや難化か。薬・創薬科学で後期を廃止し、【前】55人→60人に増加。前期の2次負担増(理科1→2科目)もあり、易化が見込まれる。経済で【前】130人→145人に拡大、志願者増も難易はほぼ前年並みか。この他、法【前】・学校教育【前】は前年の反動で志願者増が見込まれる。
●福井大 医(看護)で【後】15人→10人に削減、やや難化しそう。金沢大‐医学類の後期廃止の影響で、医(医)【後】はやや志願者増の見込み。前年の反動で、工【前】【後】・教育地域科学【前】の志願者減が見込まれる。
●岐阜大 教育で【前】140人→163人に増加、【後】82人→55人に削減。後期では2次を「小論文→学科試験」に変更、対策が立てやすくなり、難化が予想される。応用生物科学で【前】125人→137人に増加、【後】23人→14人に削減、前期が志願者増の見込み。この他、前年の反動で、医(看護)【前】・工【前】【後】の志願者増が見込まれる。
●静岡大 教育で教員養成課程を拡大(【前】170人→192人、【後】27人→33人)し、他3課程を縮小。前年の反動もあり、やや易化が予想される。人文[昼]【前】は、経済学科のセ試負担増(4→6科目)が志願者減の要因となりそう。この他、前年の反動で、情報【前】【後】・工【前】・農【前】の志願者増が見込まれる。
●浜松医科大 医(医)で【前】55人→60人に増加。医(看護)【前】でセ試6→5科目(数学2→1科目)に軽減。いずれも志願者増が見込まれる。
●名古屋大 医(医)で後期を復活(3人:地域医療枠)、高倍率の激戦は必至。推薦枠拡大に伴い、理【前】220人→210人、医(看護)【前】50人→45人に削減。前年の倍率ダウンの反動で、文【前】・理【前】・農【前】・医(保健)【前】は志願者増で難化、工【前】は志願者減が予想される。
●名古屋工業大 工1部(情報工)で、【前】114人→94人に削減し、【後】40人→50人に増加。名古屋大‐工【前】の併願先として志願者増の見込み。
●三重大 教育の教員養成課程で【前】119人→126人に増員、【後】23人→16人に削減。前年の反動から、人文【後】・生物資源【前】の志願者増、教育【後】・医(医)【前】【後】・医(看護)【前】・工【前】の志願者減が見込まれる。
●富山県立大 工で環境工学科を増設、富山大‐工【前】から志望者が流入し、前・後期とも志願者増の見込み。
●岐阜薬科大 推薦を新規実施、【中】120人→96人に削減。志願者大幅減が見込まれる。
●愛知県立大 愛知県立大と愛知県立看護大が統合し、「新:愛知県立大」となる。4→5学部に改組、夜間主コースを廃止し、全体で690人→710人に定員増。看護は【前】45人→55人に増員、後期で2次から外国語・小論文を除外。情報科学【前】【後】でセ試の理科を2→1科目に軽減。外国語【前】の2次を「小論文→国語」に変更。いずれも志願者増の要因となりうる。
●名古屋市立大 医【前】で2段階選抜を廃止、前年の反動もあり、志願者増が見込まれる。薬【中】は岐阜薬科大【中】から志願者が流入、やや難化しそう。前年の反動で、経済【後】・医【後】・看護【前】【後】の志願者減が予想される。

 
 

<私立大>

 

 08年は地区全体で志願者2%増、合格者2%減で、倍率は2.3倍→2.4倍にアップしたが、難化したのは中京大・名城大など少数に留まる。08年は国公立大志望者が「慎重出願」から愛知大・南山大・名城大などへの併願を増やすとみられる。金城学院大では4学部の前期で3教科型を新規実施し、受験料割引制度を導入。愛知大では一般入試の受験料を減額(3万5千円→2万5千円)し、一般・セ試併用型で個別試験を「独自試験日→一般前期の問題を使用」に変更。中京大では、前期の試験日を変更(A方式を2/1~2/4→2/6~2/9、B方式を2/2・3→2/10に繰り下げ、M方式を2/9→2/1に繰り上げ)、入試方式をスリム化(情報理工で前期B方式を廃止/9学部で一般・セ試併用型を廃止/11学部のセ試前期で4教科型を廃止)、一般入試の受験料を減額(3万5千円→2万5千円)。中部大では現代教育でセ試利用を新規実施。藤田保健衛生大‐医療科学では前・後期およびセ試利用で面接を廃止し、セ試利用の受験料を減額(2万5千円→2万円)。名城大では、薬でF方式(一般・セ試併用型)を新規実施、農A方式で試験日自由選択制を導入(試験日1→2日)、経済・経営の試験日を2→3日間に増やす。

 

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【関西】
大阪大・神戸大が前・後期ともに激戦化。
同志社大・関西大・関西学院大も難化か

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<国公立大>

 

●京都大 医(保健)で後期を廃止、【前】123人→143人に増加。これで、全学が前期に統一された。
 工【前】は2次負担増(国語を追加)が影響し、やや志願者減か。経済【前】は理系試験の導入(セ試7科目+2次3科目<国語・数学・外国語>)と、論文試験の科目変更(2次の数学→「国語・外国語」に変更)で志願者増の見込み。この他、前年の反動で、総合人間【前】・農【前】の志願者減が見込まれる。
●大阪大 07年の京都大、08年の東京大・名古屋大と、「前期集中化」した難関大の併願先として、志願者が大幅に増加した後期は、09年も高倍率の激戦が続くものと見られる。文・外国語・人間科学・歯の前・後期と、経済・法・医(保健)の前期で2段階選抜を廃止。また、経済【後】(約8倍→約10倍)・理【後】(約7倍→約10倍)で予告倍率を緩和する。こうした全学規模の2段階選抜の廃止・緩和は、志願者増の要因となりうる。ただし、法【後】・経済【後】は、08年以上の志願者増は考えにくく「高嶺安定」が予想される。
 08年に大阪外国語大を統合した外国語は、前年の志願者大幅減の反動で、志願者増が見込まれる。また、工【前】は2次負担増の京都大‐工【前】から志望者が流入しそうだ。医(医)【前】【後】で、セ試8→7科目(理科3→2科目)に軽減、志願者増・難化が予想される。
●神戸大 大阪大と同様、京都大・名古屋大の併願先として、後期の志願者増が予想される。特に、08年に後期が激戦化した大阪大から志望者が流入するとみられ、法【後】・経済【後】・経営【後】は志願者大幅増で難化は必至。また、工【後】では2次負担減(外国語を除外)も志願者増の要因となりそう。
 前期では、前年の入試結果から「経済→経営」に志願者が移行しそうだ。また、やはり前年の反動で、文【前】・法【前】・医(保健)【前】の志願者増も予想される。
●奈良教育大 08年の志願者大幅減(【前】18%減、【後】55%減)の反動で、滋賀大‐教育【後】、和歌山大‐教育【後】、兵庫教育大【前】から流入、志願者増が見込まれる。
●奈良女子大 文【前】は前年の志願者減の反動、理【後】は2学科の2次負担減(化学=理科→課さない、情報科学=数学→課さない)で志願者増が見込まれる。
●和歌山大 前年の反動で、経済【後】・観光【前】【後】の志願者増、教育【後】の志願者減が見込まれる。
●大阪市立大 医(医)で後期を廃止、【前】60人→80人に増加。前期は「やや易化」が見込まれ、岡山大‐医(医)【後】、奈良県立医科大‐医(医)【後】への併願が増えそうだ。商1部で【前】148人→158人に増加、【後】40人→30人に削減。前期は志願者増、後期は2次(論文)を廃止するが、志願者は経済1部【後】に移行するとみられる。この他、前年の反動で、経済1部【前】・法1部【後】・工【後】の志願者増、文1部【前】・生活科学【前】の志願者減が見込まれる。なお、理・工で学科を再編成(理=6→5学科、工=10→6学科)する。
●大阪府立大 工【中】は2段階選抜の予告倍率を緩和(約10倍→約12倍)、工学系の貴重な併願先として、前年並みの志願者を集めそう。看護で【前】50人→45人に削減、やや難化か。生命環境科学【前】の3学科(生物情報・植物バイオサイエンス・緑地環境科学)で、2次の配点比率がアップ(40%→57%)、セ試が難化した場合、2次逆転狙いの受験生が集中しそうだ。
●神戸市外国語大 外国語2部で【前】64人→41人、【後】20人→15人に削減、外国語(英米)で【前】84人→98人・【後】30人→35人に、同(中国)で【前】28人→35人・【後】10人→12人に増員。前期は志願者増が見込まれる。
●兵庫県立大 環境人間で推薦枠を縮小、【前】100人→110人に増員し、食環境栄養課程を新設予定。前年の反動もあり、前・後期とも志願者増は必至。前年の入試結果から、経営【前】→経済【前】に志願者が移行しそうだ。この他、経営【後】・工【後】で志願者減の見込み。
●奈良県立医科大 医(看護)で推薦枠を拡大し、【後】20人→10人に削減、後期の出願資格を県内出身者対象に限定(従来は全国対象)。2次負担減(小論文を除外)も志願者減は必至、大阪府立大‐看護【後】などに流出しそう。医(医)【前】は前年の反動で志願者大幅増の見込み、後期も大阪市立大‐医【前】からの併願増が見込まれる。
●和歌山県立医科大 医・保健看護の前・後期ともに、前年の反動で志願者大幅減は必至。医【前】は2段階選抜の倍率引き締め(5倍→4倍)でも敬遠されそうだ。
 
 滋賀大は、教育【後】が前年の反動で志願者大幅減の見込み。京都府立医科大は、医(看護)【前】【後】がセ試の軽減(6→5科目)で志願者大幅増の見込み。京都工芸繊維大は後期が前年の反動で志願者減か。京都教育大・大阪教育大は引き続き減少傾向が見込まれる。

 
 

<私立大>

 

 08年は、地区全体で志願者1%増、合格者3%減で、倍率は3.7→3.8倍にアップ。特に、同志社大・関西学院大・京都産業大・近畿大など、難関・上位校グループで合格者の絞り込みが目立った。
 09年は「関関同立」のうち、同志社大・関西大・関西学院大で志願者増が見込まれる。特に、同志社大‐心理、関西大‐外国語、関西学院大‐教育といった新設学部は注目度が高く、多くの志願者を集めそうだ。立命館大は08年に続き志願者減が予想されるが、合格者を抑え目に出すと見られ、やや難化が予想される。
 一方、「産近甲龍」のうち、京都産業大・近畿大・甲南大では、前年の難化が敬遠材料となりそう。また、龍谷大も志願者減が見込まれる。中堅クラスでは、大阪工業大・摂南大・神戸女学院大・武庫川女子大などで、08年の志願者大幅増の反動が考えられる。
 この他、大阪歯科大で入学時納付金を「925万円→675万円」に減額。大阪医科大で一般前期の1次(学科試験)合格者の上位100名以内を対象に、入学時納付金を「518万円→176万円」に減額する特待生制度を導入したのが注目される。
 以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学のおもな変動要因を紹介する。
 
●京都産業大 法学部に「法政策学科」を増設予定。スタンダード2科目型を新規実施する。
●同志社大 心理学部を増設し、入学定員を5,257人→5,630人に拡大(社会365人→400人、法・経済・商各805人→850人、政策375人→400人、文化情報250人→280人)。08年開設の生命医科学・スポーツ健康科学でセ試利用入試を新規実施。神・社会で1・2年次を「京田辺(京都府南部)→今出川」にキャンパス移転、4年間とも京都市の中心部で学ぶことになり、人気アップの要因に。文(哲学)のセ試利用でセ試を3→5科目に増加、2次(小論文・口頭試問)を廃止する。
●佛教大 B日程の試験機会が2→3回になり、大阪会場を増設。教育のA日程とセ試前期で国語が「必須→選択」に。資格系人気が伸び悩む中、社会福祉・教育・保健医療技術の志願者減が見込まれる。
●立命館大 08年新設の薬で、セ試利用入試を新規実施する。文・法・産業社会・政策科学・国際関係・理工で、セ試利用の7科目型を導入する。国際関係・映像で、セ試利用の4教科型を「5教科型」に変更。経済の後期分割入試を「個別のみ(2科目)→一般・セ試併用(個別2科目+セ試1科目)」に変更。
●龍谷大 一般A・B日程の「配点セレクト方式」で、文系6学部が「選択科目重視型」を、理工が「理科重視型」を新規実施する。一般A・B日程の学外試験場を山口に増設し、北九州を廃止する。
●関西大 外国語学部を新設予定、英語教育・中国言語文化・外国語コミュニケーションの3専修で構成される。学部個別日程の試験機会を、法・経済・商・社会・総合情報で1→2回に、文・政策創造で2→3回に増加、学内併願の大幅増が予想される。全学部日程・セ試中期(一般・セ試併用)の学外試験場を、新潟・福井・山口・熊本に増設。会場数が「22→26」に増加する。
●大阪工業大 セ試前期C日程の出願締切日を、セ試本試験日の「後→前」に繰り上げる(1/31→1/16)。セ試前期C日程を、工・情報工は「理系型・総合型」、知的財産は「文理型・総合型」の2方式に分割する(理系型・文理型はセ試3科目、総合型はセ試4科目)。
●近畿大 7学部(法・経済・経営・理工・工・生物理工・農)の前期A日程で、得意科目重視方式(出願時に申告)を高得点科目重視方式(高得点科目を自動的に2倍)に変更した。9学部(法・経済・経営・理工・薬・文芸・医・生物理工・工)でセ試C方式中期を新規実施する。生物理工のPC方式後期(一般・セ試併用)で、セ試を3→1科目、個別を3教科必須から「3教科受験の高得点1教科」に軽減。産業理工のPC方式後期で、セ試を3→1科目、個別を「3教科受験の高得点2教科→1教科」に軽減した。
●桃山学院大 前期B日程で、配点を「英語・国語各100点、高得点の方を1.5倍」に変更・統一した(08年は、社会・法・経済・経営=英語・国語各100点、国際教養=英語150点・国語100点」)。
●関西学院大 入学定員を4,425人→5,150人に拡大。聖和大を統合し、教育学部を増設(定員350人)。総合政策が「学科別募集→学部一括募集」に変更、学科増設(都市政策・国際政策)に伴い定員増(480人→580人)。理工も学科増設(数理科学・人間システム工)に伴い定員増(360人→460人)。社会は「5コース→3系7領域」に改組し定員増(475人→650人)。「関学独自方式」で、総合政策・社会が英語・数学型、社会がセンター併用型<数学>を新規実施。総合政策のF方式で「理系3科目型」を新規実施。社会のセ試利用3月で、4科目型に加え3科目型を新規実施する。
●甲南大 マネジメント創造・フロンティアサイエンスの2学部を増設する。フロンティアサイエンスは生命科学系のため、人気を集めそうだ。
●神戸女学院大 一般・セ試併用の前期D日程(セ試1科目+個別1科目)で、募集枠を拡大(24人→42人)し、セ試2科目型を追加する。セ試後期を廃止する。京都の試験場を廃止し、名古屋に増設した。
●武庫川女子大 入試方式のスリム化を行った。文・生活環境でAO入試を廃止、文・生活環境・薬で一般・セ試併用の「一般Bセンタープラス」を廃止した。

 

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【中国・四国】
島根大・山口大・愛媛大が志願者増、徳島大が
志願者減か。高知工科大が公立化で人気急上昇!?

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<国公立大>

 

●鳥取大 地域【前】の2次で、地域教育学科が「総合問題→数学・英語から1」、地域環境学科が「総合問題→英語」に変更。対策が立てやすくなり、志願者増は必至。医(生命科学)で後期廃止、工【後】・農【後】との併願が増えそうだ。医(保健=看護)【前】【後】でセ試7→6科目に軽減、やや難化か。この他、前年の反動で、地域【後】・医(医)【後】の志願者減、農【前】の志願者増が予想される。
●島根大 08年は全学で志願者が2割近く減少、09年はその反動が予想される。教育【前】は募集人員が110人→100人に削減され、やや難化しそう。医(看護)【前】【後】で、面接を新たに点数化(60点)し、調査書点数化を120点→50点に変更したが、前・後期ともに志願者増の見込み。この他、教育【後】の志願者減、総合理工【前】・生物資源科学【前】の志願者増が見込まれる。
●岡山大 医(医)【前】【後】でセ試を7→8科目(理科2→3科目)に増加。敬遠材料となりそうだが、大阪市立大‐医(医)の後期廃止の影響もあり、前期が志願者減、後期は前年並みか。薬【前】は、創薬科学科の2次負担減(面接を除外)で志願者増の見込み。
 この他、前年の反動で、文【前】【後】・歯【後】の志願者増、経済[昼]【後】・農【後】の志願者減が予想される。
●広島大 08年は“準難関校”志向で人気アップしたが、09年の志願者数は全体ではほぼ横ばいか。ただし、前年の反動で、医(医)【前】の志願者増、文【後】・法[昼]【前】・経済[昼]【後】・生物生産【前】の志願者減が予想される。
●山口大 医(医)で【前】50人→55人に増加、志願者増の要因となりそう。教育でAO枠を拡大、【前】184人→179人、【後】31人→20人に削減し、「小学校教育コース」を新設(前期10人・AO20人)。前年の反動もあり、前・後期ともやや難化か。この他、やはり前年の反動で、人文【前】・理【後】・医(保健)【前】・工【後】・農【前】【後】の志願者増、経済【前】【後】・医(医)【後】の志願者減が予想される。
●徳島大 工[昼]で推薦枠を拡大し、【前】316人→295人に削減、やや難化の見込み。医(医)【前】で、セ試を7→8科目(理科2→3科目)に増加、志願者減の要因となりそう。総合科学で学科の再編(2→3学科)を予定、【前】134人→150人に増加、【後】71人→50人に削減。前期がやや志願者増か。この他、前年の反動で、歯【前】の志願者増、医(保健)【前】【後】・工[昼]【後】・歯【後】の志願者減が予想される。
●香川大 農で推薦枠を拡大し、【後】35人→25人に削減する。農【後】はセ試の負担減(7→5科目:国語、地歴・公民を除外)もあり、難化は必至。経済【前】・工【前】・農【前】は学外試験場を新設(兵庫県西宮市)、医(医)【前】は徳島大‐医(医)から志願者の流入が見込まれ、前年度の反動もあり、いずれも志願者増が予想される。
 この他、やはり前年の反動で、法【前】の志願者減、医(看護)【前】の志願者増が予想される。
●愛媛大 法文[昼]で【前】233人→240人に増加、同[夜]で【前】55人→45人、【後】25人→20人に削減。また、農で推薦・AO枠を拡大し、【前】94人→85人、【後】24人→20人に削減。前年の反動もあり、法文[昼]【前】【後】の志願者増、農【前】の志願者減が見込まれる。この他、やはり前年の反動で、教育【前】【後】・医(医)【後】・工【前】の志願者増、医(医)【前】・工【後】の志願者減が予想される。
●高知大 人文(人間文化)【前】【後】でセ試6→3科目に軽減(地歴・公民・数学・理科が各必須→選択に)、同【前】で2次を「総合問題→国語・英語」に変更。対策が立てやすくなり、志願者増は必至。
 また、前年の反動で、教育【前】・医(医)【前】の志願者増、理【後】・農【前】の志願者減が見込まれる。
 
 08年に志願者大幅減の下関市立大・山口県立大・香川県立保健医療大・愛媛県立医療技術大は、いずれも反動で志願者増が予想される。下関市立大は中期の 試験場増設(高松・鹿児島)、香川県立保健医療大は看護学科の募集人員増(【前】20人→28人、【後】5人→7人)も志願者増の要因となりそうだ。

 
 

<私立大>

 

 08年入試では、地区全体で志願者8%減、合格者2%減、倍率は1.9倍→1.8倍とダウン。09年も全般的に志願者減と易化傾向が続くものとみられる。09年では、岡山理科大で工に「工学プロジェクトコース」を新設。川﨑医療福祉大でセ試利用を新規実施。広島修道大は、人文で一般・セ試併用型を導入。松山大では、文系4学部で前期2教科型(英語・国語)を、法でセ試後期を新規実施する。高知工科大は公設民営から公立へ移管される予定で、工の学部改組(システム工・環境理工・情報の3学群13専攻に分割)、マネジメントのセ試利用新規実施もあり、志願者大幅増が予想される。

 

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【九州】
大分大・北九州市立大が志願者増、佐賀大・宮崎大が
志願者減か。西南学院大・福岡大は安定!?

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<国公立大>

 

●福岡教育大 教員養成3課程を計430人→480人に増加(英語、技術ものづくり、生活・総合の3選修を新設)、その他の3課程を計200人→150人に削減。教員養成系の不人気で、全体的に志願者減が見込まれる。
●九州大 教育で後期を廃止し、AOを新規実施。前期はやや難化が予想される。文【後】は教育【前】の併願先として志願者が流入し、難化しそうだ。医(保健)で後期を廃止し、【前】99人→113人に増加。前年の反動もあり、志願者増が見込まれるが、難易は前年並みか。
 この他、やはり前年の反動により、法【前】・経済【前】【後】・医(医)【前】・歯【前】で志願者増、文【前】・理【前】・農【前】【後】で志願者減が見込まれる。
●九州工業大 前年度の志願者増の反動で、工・情報工の前・後期とも志願者減が見込まれる。
●佐賀大 医(医)【後】は募集人員増(18人→20人)に加え、後期廃止の長崎大‐医(医)からの併願増で、志願者増が見込まれる。一方、前期は長崎大‐医(医)【前】へ志願者が流出、易化しそう。前年の反動で、文化教育【前】【後】・医(看護)【前】【後】・理工【前】【後】は志願者減の見込み。
●長崎大 医(医)で後期を廃止し、【前】60人→85人に増加するが、志願者増は小幅とみられ、やや易化しそう。歯【後】でセ試7→4科目に軽減、志願者増の見込み。前年の反動から、医(保健)【前】・薬【前】【後】の志願者増、環境科学【前】【後】の志願者減が見込まれる。
●熊本大 医(医)【前】【後】で2段階選抜を新規実施、志願者減の見込み。前年の反動で、文【前】・法【前】・教育【後】の志願者減、法【後】・医(保健)【後】の志願者増が見込まれる。
●大分大 前年の反動で、経済【前】・医(医)【前】・医(看護)【前】【後】・工【後】の志願者増、経済【後】の志願者減が予想される。また、後期廃止の長崎大‐医(医)からの併願増で、医(医)【後】は志願者増が見込まれる。医(看護)の場合、前年に志願者大幅増の宮崎大‐医(看護)、宮崎県立看護大から志願者が流入しそうだ。
●宮崎大 前年の志願者大幅増の反動で、医(医・看護)【前】【後】・工【後】・農【前】【後】の志願者減は必至。
●鹿児島大 教育で推薦枠を拡大し、【後】65人→57人に削減。後期は前年の反動もあり、やや難化しそう。歯【前】は募集人員減(40人→35人:推薦を新規実施)と2次負担増(面接を追加)が敬遠材料となり志願者減、歯【後】は後期廃止の九州歯科大からの併願が増えそうだ。医(保健)【前】【後】・農【前】・水産【後】は前年の反動で志願者減の見込み。工では学部改組に伴い定員減、【前】320人→308人、【後】67人→65人に削減。前期の場合、志願者減の要因となろう。
●琉球大 教育で専修・コースを再編成、推薦枠を拡大し、【前】139人→130人、【後】33人→26人に削減。教育【前】は2次負担増(国語教育・保健体育・沖縄島嶼=面接を追加/自然環境科学=数学・面接を追加)もあり、志願者減の見込み。観光産業科学[昼]は、産業経営学科の募集人員減(【前】37人→28人、【後】10人→8人)もあり、やはり志願者減が見込まれる。
 この他、前年の反動で、工[昼]【前】【後】・農【前】【後】の志願者減、理【前】【後】の志願者増が見込まれる。
●北九州市立大 外国語・経済・文・法の夜間主コースを廃止し、昼間コースを定員増(合計938人→1,000人)。前年の反動もあり、文【前】【後】・経済【前】【後】は志願者増、法【前】【後】は志願者減で易化する見込み。昼夜開講制の地域創生学群を新設、前期のみ実施(35人)でセ試を課さないため、志願者は少数に留まりそう。
 国際環境工は【前】128人→144人に増員、後期は2次(08年は英語・総合問題)を変更(情報メディア工・環境生命工=数学・理科から1/エネルギー循環化学=化学/建築デザイン=面接/機械システム工=数学・理科)、対策が立てやすくなり、前・後期ともに志願者増が見込まれる。
●九州歯科大 後期を廃止し、【前】73人→78人に増員。歯学部人気の低迷もあり、やや易化する見込み。
●宮崎県立看護大 募集人員減(【前】60人→55人、【後】20人→15人)、2次負担増(前・後期とも面接を追加)に加え、前年度の反動もあり、志願者大幅減は必至。

 
 

<私立大>

 

 08年入試では地区全体で志願者3%増、合格者2%減で、倍率は2.2倍→2.3倍にアップ。09年はその反動が予想される。ただし、西南学院大では文・商・人間科学・国際文化で一般・セ試併用型(セ試2科目+個別2科目)を導入、経済のセ試前期を6→4科目に軽減。また、福岡大では法・経済・薬で一般・セ試併用型(セ試2科目<薬は3科目>+個別2科目」を導入。いずれも、国公立大の併願先として志願者増が見込まれる。この他、九州産業大でも5学部で一般・セ試併用型(セ試2科目+個別1科目)を導入する。

 

この記事は「螢雪時代(2008年11月号)」より転載いたしました。

 

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