入試動向分析

2020年の私立大入試はこう変わる!【2019年9月】

2019(令和1)年度

全体に入試の変更点は少なめ、専修大・日本大などが要注目!

 

 私立大の入試ガイドがほぼ出そろった。“入試改革”が次年度に迫り、「後がない入試」といわれる中、私立大入試(おもに主要校の一般入試)のどこが変わるのか、どのような大学・学部・学科が新設されるかを紹介する。

 

※この記事は『螢雪時代・2019年9月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)

 

 

 人気校の変更点を総まとめ!
 成蹊大・東京経済大などの一般入試で英語外部検定を新規利用

 

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 全国のおもな私立大の入試変更点で、志望動向に影響しそうなものを一挙に掲載した。「入試改革」を次年度に控え、入試の変更点は前年までに比べて少なめだ。その中で、成蹊大の英語外部検定の新規利用、日本大の同時併願割引制度の拡大、北里大・関西医科大など医学部における科目や募集人員の変更が注目される。

 
 

志望校の入試のしくみを把握し、的確でムダのない受験対策を!

 

 『螢雪時代』編集部では、全国の大学から2020年(以下、20年。他年度も同様)入試の概要(科目・配点、募集人員、日程など)を掲載した「入試ガイド」を集めた。
 私立大入試のしくみは、毎年のように変更される。ここでは、おもに全国各地区で志願者数の比較的多い大学の入試ガイドから、19年に比べ変更され、志望動向に影響しそうなポイントを、独自入試、センター試験(以下、セ試)利用入試を中心に紹介する。
 『螢雪時代』9月号付録『2020年 全国私立大学 入試科目・配点一覧』とあわせ、志望校の入試情報をつかみ、得意科目を最大限に生かせる、効率的な受験対策や併願作戦をたてよう。そして、くわしくは各大学の入試ガイドや募集要項を必ず取り寄せ(またはホームページからダウンロードし)、確認してほしい。

 
 

北里大・関西医科大など、医学部で科目や募集人員の変更が目立つ

 
 

(1)21年「入試改革」を控え変更点は少なめ

 20年入試は、翌年に「入試改革」を控える。セ試が廃止され、代わりに数学・国語の記述式問題、4技能(読む、聞く、書く、話す)を測定する英語外部検定の併用などを盛り込んだ「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」が導入され、主体性の評価など調査書等の重要性も高まる。
 各大学では、21年入試科目を公表しなければならず、そちらに注力せざるを得ない。しかも「共通テスト」自体、いまだに課題を残し、大学は苦慮している状況だ。
 そのため20年入試では前年に比べ、全体的に一般入試の方式や科目等の変更は少ない。その中で、比較的多いのがセ試利用入試や英語外部検定利用に関する変更だ。

 

(2)英語外部検定利用では“微調整”が多い

 ここ数年、各大学の独自試験やセ試の英語の代わりに(または併用して)、英語外部検定を利用する方式が加速度的に増えたが、20年入試における導入や拡大は、上記(1)の要因からやや控えめ。むしろ、既実施校における利用可能な検定の追加や入れ替え、利用する際の基準レベル(級・スコア)の変更など、実施結果を踏まえての微調整が多い。
 新規導入で注目されるのは、成蹊大の「G方式」。新設するグローバル教育プログラム「EAGLE」の募集方法として、従来のE方式(2科目型)をベースに、英語外部検定を出願資格と得点加算の対象として利用する。また、東京経済大・追手門学院大では「指定基準に達すれば、英語を満点、またはレベルに応じた得点に換算し、他科目と合算」する方式を導入する。
 既実施校では、日本女子大‐文・家政・理が、19年の人間社会に続いて導入。独自入試で英語外部検定を利用する方式(出願資格として利用。ただし、スコアによって加点)で実施。関西大‐法でも「指定の基準以上で出願可。あとは英語以外の科目で合否判定」で新規実施する。
 なお、以下の変更点一覧では、前述の微調整については割愛した。
 
 *     *     *
 
 この他には、次のような特徴がみられる。
(3)インターネット出願の実施校は、19年に私立大の7割を超えたと見られ、主要な大学のほとんどが全面移行(紙の願書を廃止)した。20年入試では、未実施校が多かった北海道・東北での導入や全面移行が目立つ。北海学園大・北星学園大で新規導入。既実施校では、東北学院大・関西医科大が一般入試・セ試利用入試で全面移行し、紙の願書を廃止する。
(4)推薦・AO入試では、東京農業大(4タイプのAO入試を新規実施)、日本医科大(セ試を課すAO入試を導入)、大阪経済大(公募推薦で調査書の配点をアップ)、近畿大(理系7学部の公募推薦で英語外部検定を新規利用)の事例が注目される。
(5)セ試利用入試に関する変更では、大東文化大の全学的な多科目型の追加と少数科目型の廃止、一方で関西大の4学部で科目数軽減が目立ったのが注目される。
(6)獨協医科大・北里大・杏林大・順天堂大・関西医科大など、医学部において入試科目、日程・方式、募集人員の変更が目立つ。特に、北里大‐医の健康診断の廃止、兵庫医科大の調査書・面接の点数化などが注目される。
(7)ここ数年と同様、学内併願時の受験料割引や奨学金制度の拡充が目立つ。特に、成蹊大・甲南大の入試前予約型給付奨学金の新設や、日本大の全学規模の同時併願割引(A方式とN方式1期)、玉川大の資格・検定取得者対象の受験料減額の導入などが注目される。

 

●変更点一覧の見方

 文中、センター試験は「セ試」、インターネット出願は「ネット出願」と略。学部・学科名は原則として略称とし、例えば「医(看護)」のように記載。入試方式・日程等も略称とし(例:一般入試前期日程→一般前期、セ試利用入試前期→セ試前期)、変更点は「19年→20年」で表記した。また、誌面の都合上、学科単位の変更や、ほぼ変更のない大学については、原則として割愛した。

 

◎英語外部検定利用の表記について

 出願資格=大学(学部・学科)が指定する基準(スコア・級)をクリアすれば出願でき、あとは英語以外の科目を受験し、その得点で合否が決まる(単に出願資格の場合もある)。
 得点換算=大学(学部・学科)が指定する基準(スコア・級)をクリアすれば、英語を満点(または一定の得点)と見なして換算する。その他の入試科目の得点と合算し、合否を判定。
 加点=スコアや級ごとに設定された得点に換算し、満点を超えない範囲で合計点に加える。セ試や大学独自で実施する英語の受験が必要。

 
 

北海道・東北~関東・甲信越
 
成蹊大で英語外部検定利用の新方式を導入、専修大で2部を募集停止

 

●北星学園大
 一般入試・セ試利用入試・推薦入試でネット出願を導入する。
●北海学園大
 一般入試・セ試利用入試・推薦入試でネット出願を導入する。
●北海道医療大
 医療技術でセ試利用入試を新規実施する。
●東北学院大
 一般入試・セ試利用入試でネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止する。
●東北医科薬科大
 医の一般入試の1次で札幌会場を増設する。
●国際医療福祉大
 ①「福岡薬学部」を開設予定。/②成田保健医療学部に「放射線・情報科学科」を増設予定。
●獨協医科大
 ①医のセ試利用入試で、個別試験から小論文を除外する(面接は継続)。/②医の一般入試で、小論文を「2次試験→1次試験」に移行する。
●獨協大
 経済の一般C方式(2科目型)で、国語の配点を「200点→100点」にダウン(英語は100点)。
●神田外語大
 外国語で、入試区分を「全学科統一・Ⅰ期・Ⅱ期」→「前期A~C日程、後期日程」に変更。
●千葉工業大
 一般C日程で学外試験場を新設(札幌・仙台・名古屋・福岡)する。
●青山学院大
 経営の個別学部日程でC方式(英語外部検定利用)を廃止する。
●学習院大
 法の一般入試(コア試験・プラス試験)で「得点が30%未満(得点調整後)の科目が1つでもある場合は不合格」というルールを廃止する。
●北里大
 ①薬でセ試利用入試を廃止し、一般入試の募集人員を増加(170人→182人)。/②医の一般入試で2次の健康診断を廃止。また、一般入試で募集人員減(84人→65人)、地域枠を移行して地域枠指定校推薦(山梨県・茨城県各2人、神奈川県5人)を新規実施。その欠員補充として、「地域枠一般入試」を実施する場合がある。
●杏林大
 ①医・保健でセ試利用後期を新規実施する。/②医で一般後期を廃止する。
●慶應義塾大
 理工の募集単位を、「学門1~5」から「学門A~E」に変更する。また、学科名を「電子工学科→電気情報工学科」に変更する予定。
●工学院大
 ①工の一般S・A日程、セ試前期で「学部総合(入学時に学科を定めない募集単位)」を廃止する。/②先進工の一般S・A・B日程、セ試前期で「学部総合(同上)」を廃止し、「大学院接続型6年一貫コース」を設置する予定。
●國學院大
 経済で経済ネットワーキング学科を募集停止し、他の2学科を定員増(経済210人→255人、経営150人→255人)する予定。
●国士舘大
 理工でセ試利用Ⅲ期を廃止する。
●順天堂大
 ①医の募集人員を変更。一般A方式を61人→67人に増員する一方、一般B方式を10人→5人、センター・一般独自併用を20人→15人に削減。/②スポーツ健康科学の一般入試で「競技型1科目方式」を新規実施する。
●昭和大
 保健医療(看護・作業療法)の一般Ⅰ・Ⅱ期で、数学が「必須→選択」に(国語が選択可に)。
●成蹊大
 ①学部横断型のグローバル教育プログラム「EAGLE」を開設する予定。/②経済(現代経済)・経営・法・文(英語英米文、国際文化)で、G方式(2教科型グローバル教育プログラム入試)を新規実施。試験日・試験問題はE方式と共通で、英語外部検定利用と活動報告書提出が必須(各得点換算)。合格者はグローバル教育プログラム「EAGLE」に所属する。/③入試前予約型給付奨学金「吉祥寺ブリリアント奨学金」を新設する(くわしくはカコミ記事を参照)。
●専修大
 ①商を生田キャンパス(神奈川県川崎市)から神田キャンパス(東京都千代田区)に移転する。/②法・経済・商で第二部を募集停止する。
●創価大
 ①国際教養の一般入試・全学部3科目型で「英語必須→英語外部検定利用」に変更する。/②国際教養のセ試前・後期で「外国語必須→英語外部検定利用」に変更する。
●大東文化大
 セ試利用入試を、以下のように全学的に変更する。①文(中国文・英米文)、外国語(中国語・英語)、スポーツ・健康科学の前期前出願型(セ試本試験日の前に出願締め切り)で4教科型を新規実施。一方、前期前出願型では、文(英米文)で2教科型、外国語(中国語)、スポーツ・健康科学で1教科型を廃止。/②文(中国文・教育)の中期・後期で4教科型を新規実施。/③外国語(中国語)の前期前出願型・中期・後期で2教科型を新規実施。/④外国語(日本語)、スポーツ・健康科学(看護)の前期後出願型(セ試本試験日の後に出願締め切り)で4教科型を新規実施。/⑤外国語(中国語)、スポーツ・健康科学(健康科学、看護)の前期後出願型で2教科型を新規実施。/⑥スポーツ・健康科学の中期・後期で4教科型を新規実施し、1教科型を廃止。/⑦経営の前期前・後出願型で3→4科目に、中期・後期で2→4科目に負担増。/⑧外国語(日本語)の中期・後期で1→3科目に負担増。/⑨法(政治)の中期で4教科型を新規実施。/⑩社会の後期で4教科型を新規実施する。
●玉川大
 ①全学の給付型奨学金入試と国公立大学併願スカラシップ入試で、後期(3月実施)を新規実施(募集回数を各1→2回に)。/②全学統一入試前・後期、学部別入試、給付型奨学金入試で、資格・検定取得者の受験料割引制度を導入する(割引額:英語系検定=1万円、国語系・数学系検定=5千円)。
●中央大
 ①商・理工・総合政策・国際経営・国際情報のセ試併用方式で、出願締切日をセ試本試験日の「前→後」に繰り下げる(19年:1/18→20年:1/24)。/②法の一般入試とセ試併用方式で、3学科の試験が同日実施になる(19年は政治学科のみ2/13、他2学科は2/12)。
●東海大
 ①文系・理系学部入試後期(旧一般B方式)で、新たに英語外部検定利用が可能になる。/②体育でセ試利用入試を新規実施する。
●東京経済大
 ①一般前期で英語外部検定を新規利用(得点換算。例:英検2級=80点、準1級=満点と見なす)。/②一般前期2教科型で英国型を廃止。
●東京慈恵会医科大
 医(医)の一般入試で、出願書類に英語外部検定結果を追加する(ただし、提出は任意)。
●東京女子医科大
 看護で1年次のキャンパスを「静岡県掛川市→東京都新宿区」に移転(東京都心に全面移転)。
●東京電機大
 工2部の一般入試で数学満点選抜方式(数学が満点の場合は合格とする)を導入する。
●東京都市大
 工を「理工学部」、知識工を「情報工学部」に名称変更する。
●東京薬科大
 生命科学のC方式からセ試の理科を除外、「セ試併用→独自のみ(数学・英語)」に。
●東邦大
 ①薬でセ試利用後期を廃止する。/②薬・健康科学でセ試併用型を新規実施する。
●日本大
 ①一般A方式とN方式1期で同一学部・学科を同時併願した場合の受験料割引制度を導入(N方式1期の方が無料に)。/②文理の各学科で、次のように変更。社会・教育でA方式2期を新規実施、体育でセ試C方式1期を新規実施、数学のセ試C方式2期で4→3科目に軽減、地球科学でセ試C方式2期を廃止。/③生物資源科学の8学科(生命農・生命化学・動物資源科学・食品ビジネス・海洋生物資源科学・食品生命・応用生物科学・くらしの生物)でN方式2期を新規実施する。
●日本女子大
 文・家政・理で「英語外部検定入試」を新規実施(出願要件・加点)。一般入試と同日実施で同時併願可。
●武蔵大
 全学部統一グローバル型(英語外部検定利用)で、新たに英語外部試験を得点換算する(従来は出願資格のみで得点換算せず)。
●武蔵野大
 ①看護で1年次のキャンパスを「東京都西東京市→同江東区」に移転(都心に全面移転)。/②全学の募集人員を「一般入試875人→925人、セ試利用入試250人→310人」に増加する。
●明治大
 ①国際日本で英語外部検定入試を新規実施(出願要件・加点)。一方、一般3科目方式、全学部統一3科目方式(いずれも従来型)では、英語外部検定が「利用可→不可」になる。/②農の全学部統一入試で英語外部検定入試を新規実施する(出願要件・加点)。一方、全学部統一3科目方式(従来型)では、英語外部検定が「利用可→不可」になる。/③総合数理(ネットワークデザイン)の全学部統一入試で、3科目方式を廃止する。
●明治学院大
 法(法律)のA日程の英語外部検定試験利用型が「出願資格方式→得点換算方式」に変更。また、心理(心理)のA日程で英語外部検定試験利用型(得点換算方式)を新規実施する。
●新潟薬科大
 薬でセ試利用C日程を新規実施する。

 
 

北陸・東海~九州
 
龍谷大で全学規模の定員増、関西大の4学部でセ試利用に新方式実施

 

●愛知大
 法・経済・経営・文(心理)・地域政策(食農環境)の一般入試で、数学重視型を新規実施(国語・数学・英語の3科目型)。
●愛知学院大
 法と、経済・経営・商の1年次を、日進キャンパス(愛知県日進市)から名城公園キャンパス(名古屋市北区)に移転する予定。
●中京大
 ①M方式2教科型の試験日(自由選択制)を3日間(1/30~2/1)→2日間(1/30・31)に短縮。/②一般後期の試験日を「1日(3/7)→2日間(3/7・8)」に増やし、自由選択制を導入する。
●中部大
 全7学部のセ試C方式前期で2教科型を、同後期で2教科型・5教科型を新規実施する。
●藤田医科大
 ①医で一般後期・セ試後期の募集人員を「合計15人→一般後期10人・セ試後期5人」に明確化。/②出願を「締切日必着→消印有効」に変更。
●名城大
 都市情報・外国語・人間で、セ試C方式前期に5教科5科目型を追加する。
●同志社女子大
 薬・生活科学(食物栄養科学)の一般入試で、セ試併用方式(独自・セ試併用)を導入する。
●立命館大
 ①スポーツ健康科学・食マネジメントの一般入試で理系型3教科入試を新規実施し、スポーツ健康科学で理科1科目入試を廃止する。/②グローバル教養で「セ試+面接」方式を廃止(一般入試を全廃)。
●龍谷大
 ①理工を「先端理工学部」に名称変更予定。/②全学で4,913人→5,154人に定員増(241人増:5%増)する予定。/③政策のセ試利用で「3科目一般入試併用型」と中期3科目型・後期3教科型(セ試のみで判定)を新規実施する。/④先端理工のセ試利用で「3教科一般入試併用型」を新規実施。/⑤農の一般A・B日程の農学型をスタンダード・高得点科目重視の2方式に分割、C日程に高得点科目重視方式を導入する。/⑥農のセ試前期を4教科型→3科目型に軽減、セ試中期に「3科目一般入試併用型」を追加する。
●追手門学院大
 ①2学部で定員増を予定(地域創造150人→230人、社会230人→350人)。/②セ試利用入試の受験料を減額(1万5千円→1万円)。/③一般前期で英・国総合型を新規実施し、3教科型高得点2科目方式を「3教科型高得点科目重視方式」に変更(判定科目数を2→3に)。/④国際教養の一般前期で数学重視型を廃止。/⑤一般後期を「英国総合型→2教科型」に変更。/⑥一般前・後期で英語外部検定利用が可能になる(得点換算)。
●大阪医科大
 医の一般前期で「研究医枠」を廃止する。
●関西大
 ①法の学部個別日程で英語外部試験利用方式を新規実施(出願資格)。英語以外の2科目で判定。/②法でセ試前期に3科目型を追加。また、セ試中期(併用型)でセ試を4または5科目→2科目に軽減する。/③社会安全のセ試後期を4または5科目→2科目に軽減。/④システム理工のセ試前期を5科目→4科目に軽減、セ試後期で英語外部試験利用方式(出願資格)と3科目型(数学科のみ。英語と数学2科目)を導入する。/⑤環境都市工のセ試前期で6→5科目に軽減し、セ試後期に4科目型を導入する。
●関西医科大
 ①一般入試、セ試利用入試ともにネット出願に全面移行し、紙の願書を廃止する。/②医でセ試利用後期を新規実施する。/③看護のセ試利用入試で、個別試験(小論文)を廃止する。
●近畿大
 建築のセ試C方式中期で4→3科目に軽減。
●関西学院大
 ①理工のセ試1月出願で5科目型(理科1科目選択)を新規実施。また、セ試3月出願で4科目型を新規実施。/②理工で関学数学併用型(全学科共通)を新規実施。セ試2科目と独自入試の数学を課す。
●甲南大
 入試前予約型給付奨学金「“わがくるま星につなぐ”甲南の星奨学金」を新設する(くわしくはカコミ記事を参照)。
●神戸学院大
 一般後期で調査書併用型を導入する。スタンダード型(2科目型)に調査書点数化(50点満点)を加えて合否判定する。
●兵庫医科大
 医の一般入試で名古屋会場を廃止し、調査書・面接を新たに得点化する。
●武庫川女子大
 「建築学部」「食物栄養科学部」を開設予定。
●岡山理科大
 全学(獣医‐獣医を除く)の一般SA・SAB・SB方式で、指定科目重視型(傾斜配点)を追加。
●広島修道大
 人間環境の各入試を次のように変更。前期C日程で3→2教科に負担減。前期D日程で英語が「必須→選択」に。セ試利用前・後期、セ試併用型で、国語から古文・漢文を除外する。
●西南学院大
 一般入試、英語4技能利用型入試で北九州会場を増設する。
●久留米大
 ①文系5学部の一般前期で、入試日程を4→3日程に変更し、2月9日の学外試験場を増設(山口・福岡・佐賀・熊本・大分・宮崎)。/②医(医)で福岡県特別枠を一般入試から推薦入試へ移行する。
●中村学園大
 ①一般入試でB方式を新規実施し、後期を廃止。/②セ試利用入試で、英語外部検定の利用方法を「見なし得点→加点」に変更する。
●福岡大
 ①入学前予約型給付奨学金「七隈の杜」の対象となる入試に一般後期を追加。/②商(経営)・商2部のセ試Ⅰ期で、会計専門職プログラムの募集を新規実施。一方、商2部の一般後期では同プログラムの募集を停止する。
●福岡歯科大
 口腔歯でセ試利用3期を新規実施する。
●熊本学園大
 セ試利用A日程で、新たに2学科まで同時併願可能になる。

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成蹊大・甲南大で入試前予約型給付奨学金制度を新規導入!

 

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 変更点一覧にも記載したが、成蹊大・甲南大で新たに入試前予約型給付奨学金制度を導入する。出身地の指定や、保護者の年収制限、高校在学時の成績などの応募条件はあるが、経済的に私立大の進学をためらっている受験生にとっては朗報だ。ここに、応募条件やスケジュールの概要を紹介するので、参考にしてほしい。

 
 

■成蹊大学

 

吉祥寺ブリリアント奨学金
【給付額】45万円/年額(6月中旬・10月中旬に半額ずつ給付)
【給付期間】4年間(毎年進級時に継続審査を実施)
【採用候補者数】300名
【応募条件】一般入試(E・A・G方式)、セ試利用入試(C・S方式)、セ試・独自併用入試(P・M方式)を受験する、首都圏(東京都は島しょ部を除く)以外の高校等の出身者で、評定平均値3.8以上(1浪まで可)。父母の年収合計が800万円未満(税込み。事業所得の場合は350万円未満)
*ここでは、「首都圏」とは東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県を指す。
【申請期間】11月1日~12月2日
【給付までの流れ】書類審査→選考結果通知(12月下旬に郵送)→出願・受験→合格・入学手続→受給手続(4月中旬まで)→振込(年2回)

 

■甲南大学

 

“わがくるま星につなぐ”甲南の星奨学金
【給付額】文系学部50万円、理系学部70万円/年額(半額ずつを前期・後期授業料から差し引く)
【給付期間】2年間(2年進級時に継続審査を実施)
【採用候補者数】100名
【応募条件】一般入試(センター利用型、センター併用型を含む)を受験する、保護者の住所が自宅通学圏以遠(近畿圏以外の地域、あるいは近畿圏内の対象地域)で、評定平均値3.8以上の国内高校・中等教育学校出身者(1浪まで可)。保護者の年収合計が800万円以下(税込み。事業所得の場合は350万円以下)
*ここでは、「近畿圏」とは6府県(京都・大阪・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)を指し、「自宅通学圏以遠」とは通学時間2時間以上の地域を指す。
【申請期間】11月1日~11月30日(消印有効)
【給付までの流れ】申請→書類審査→選考結果通知(12月下旬)→出願・受験→合格・入学手続→年額の半額を給付(3月)→本採用手続き(4月)

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 新設大学・学部・学科をチェック!
 看護・医療系の増設は昨年より少なめ。建築系や女子大経営系の増設に注目!

 

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 ここからは、全国の私立大(専門職大学を含む)について、20年度に新設予定の大学・学部・学科等(既存の学部・学科の組織改編を含む)を紹介する。看護・医療の新設は前年より少なく、心理、国際、理工の新設が目立つ。また、建築系学部や、女子大の経営系学部の新設も相次ぎ、要注目だ。

 
 

成蹊大・専修大・東京都市大などで学部増設や改組を予定

 

 私立大における、20年度の新設予定大学、および学部・学科の増設予定(認可申請分)、さらに学部・学科の改組・再編等に伴う増設で、5月末までに文部科学省に「設置届出」があったもの(7月末発表)、さらに新設予定の専門職大学(7月現在)を、このページ下にリンクした。
 学問分野や教員組織等を大きく変えないなど、一定の条件を満たす場合に限り、文部科学大臣に届け出れば学部・学科等を増設できる(設置届出)。その他の学部・学科増設や、大学の新設には「認可申請」が必要で、最終的には8月末に正式認可される予定だ。

 

●大学・専門職大学の新設

 3大学が新設予定。また、私立の専門職大学は、8校が開設を申請中だ。一方、3大学(神戸山手大・広島国際学院大・保健医療経営大)と5短大が募集停止を予定している。
 ただし、神戸山手大は関西国際大に統合され、前者の現代社会学部はキャンパスも入学定員も変わらず、後者へ移行する予定だ。

 

●学部・学科増設(設置届出)

 5月末までの届出分は、学部等の増設(既設学部の改組を含む)が成蹊大‐経営、専修大‐国際コミュニケーション、西南学院大‐外国語など23大学28学部等、学科増設が16大学16学部23学科となった。届出は12月まで随時受け付けられ、今回の掲載分は20年度の一部に過ぎない。ただし前年同時期に比べ、学部(21→28)、学科(11→23)とも増えている。なお、6月以降の届出分の一部を、変更点一覧に掲載した。

 

●学部・学科増設(認可申請)

 認可申請したのは、学部増設が12大学12学部、学科増設が2大学2学部2学科。今回の申請で、私立大の定員は1,920人増える(新設大学を含む)。さらに、別途申請・認可された定員増(1,382人)、および現在申請中の定員増(593人)を加え、募集停止予定の3大学の定員(530人)を差し引くと、私立大全体の定員は3,365人増える(通信教育課程と編入学定員を除く)。前年同時期とほぼ同じ規模だ。

 

●新設大学・学部・学科の特徴

 分野別に見ると、看護・医療系の学部・学科の新増設が、申請・届出を合わせ12大学と、昨年(18大学)ほど多くない。しかも、広島国際大では医療系4学部を1学部に統合する。
 むしろ、心理、国際、理工の増設予定が目立つ。また、建築系学部(東北工業大・東京都市大・明星大)の新設と、女子大における経営系学部の新設(共立女子大・園田学園女子大・武庫川女子大)も要注目だ。
 新設大学・学部・学科等の詳細は、案内パンフレットや募集要項などで必ずチェックし、不明の点は入試担当者に問い合わせてほしい。

 

2020年度 大学・短大新増設一覧(7月末現在までの発表分)

 

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2019年9月号)」より一部改変のうえ、転載いたしました。

 

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 2020年私立大入試
 受験のプロはこう見る! 《駿台予備学校》

 

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 ここまで紹介した、私立大一般入試の主な変更点、新増設大学・学部・学科などの変動要因や、19年入試結果を踏まえ、受験のプロに20年私立大入試の展望や心構え、注目ポイントを教わった。
 
 “超安全志向”に陥らず、正統派の受験で初志貫徹!
 
受験のプロ
駿台教育研究所 進学情報事業部長 石原 賢一 さん

 
 

 18年入試に続き、19年も私立大入試が難化しましたが、今回は、受験生が安全志向からランクダウン、または併願を増やした中堅校以降の倍率アップが主要因でした。このランクの大学は、定員に占める推薦・AO入試の割合が比較的高いのですが、やはり安全志向から、例年以上に指定校推薦や公募推薦に志願者が集中し、しかも入学手続率が高まったため、一般入試の募集枠を圧迫しました。さらに、2月入試の志願者が大幅に増えた結果、3月入試の募集枠がほぼ残っていないケースが多く見られました。これが、今年の「模試でA判定でも不合格だった」人のパターンです。
 一方、いわゆるMARCHや関関同立など、一般入試の募集枠が大きい難関グループは、前年に合格者絞り込みで難化した反動もあって、意外に通りやすい“逆転現象”が起こり、「もっと出願すればよかった」との声も聞かれました。
 20年入試は「入試改革」が直前に迫り、「後がない入試」といわれ、今年以上の“超安全志向”になるといわれています。でも、セ試の後継となる「大学入学共通テスト」といえども、出題範囲は現行のカリキュラムと変わらず、記述式の出題や、出題レベルがアップすることについても、じっくり対策できる浪人の方が有利なので、21年を過度に恐れる必要はありません。
 むやみにランクダウンするのは、19年の例から見ても、かえって危険。20年は科目・方式等の変更が少ないので、対策は立てやすいはず。落ち着いて初志貫徹しましょう。そのうえで、確実に合格を目指すなら、募集枠が小さく高倍率になりやすいセ試利用入試よりも、募集枠が大きい各大学の独自入試、しかも全学部型よりも学部個別型、それもオーソドックスな3科目型を主軸に据え、併願作戦を展開しましょう。また、セ試利用入試なら4科目以上の多科目型が、特に国公立大併願を考える人にはおすすめです。
 以下、入試科目・方式の変更点や学部・学科等の新増設などの変動要因をもとに、私が20年入試で注目する大学・学部を、首都圏・京阪神地区それぞれにいくつか紹介しましょう。

 

20年私立大入試
“プロ注目”の大学・学部はここだ!

 

■首都圏

 

◎慶應義塾大学理工学部
 学門(学科を大括りにした募集単位。2年進級時に所属学科を決定)を再編。「情報」「データサイエンス」という、いま注目のキーワード2つを前面に出した「学門C」が人気沸騰か?
◎専修大学
 東京都心のキャンパスの高層化、商学部の郊外キャンパス(神奈川県川崎市)からの移転、さらにグローバル系の「国際コミュニケーション学部」の新設が人気を集めそう。
◎神奈川大学
 「国際日本学部」を新設する。さらに、21年度には横浜市の観光スポット付近に「みなとみらいキャンパス」が新設され、そこへ同学部や外国語・経営の2学部が移転を予定していることも人気材料になりそう。

 

■京阪神

 

◎龍谷大学理工学部
 同学部は「先端理工学部」へ改組される。「先端」というキーワードが効果を発揮するか?
◎関西医科大学医学部
 センター試験利用方式で後期を新規実施する。受験機会が増え、併願先として志願者が増加しそう。
◎摂南大学農学部
 最近、志願者大幅増が続き、勢いのある同大学の学部新設として注目される。
◎甲南女子大学国際学部
 “超安全志向”による女子大人気で、摂南大と同様に勢いがある中で、近年人気が高いグローバル系の新設学部として注目される。

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