入試動向分析

国公立大&私立大 2019年入試結果&2020年入試速報 【2019年8月】

大都市圏の難関私立大を敬遠し、公立大と中堅私立大が難化!

夏休みを前に、各大学の2019年(以下、19年)入試結果データが出そろった。ここでは、国公立大、私立大それぞれの一般入試結果を最終チェックし、19年の動向を予測。さらに、20年入試の最新情報も紹介する。

※この記事は『螢雪時代・2019年8月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)


一般入試の合格状況を総ざらい! 中堅上位~中堅私立大が難化、難関~準難関私立大がやや易化か


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19年の一般入試結果を見ると、国公立大は「志願者1%増、合格者:前年並み」、公立大が全日程とも志願者増で倍率アップ。私立大は「志願者6%増、合格者3%増」、特にセ試利用入試が大幅増。難関~準難関校が敬遠され、中堅校以降に人気集中し、難化した模様だ。学部系統別では、倍率面も国公立が「文理均衡」、私立が「文工高・医療低」となった。


国公立大:
公立大は全日程で倍率アップ、地方国立大の難化も目立つ

国公立大の19年一般入試の実施結果を『螢雪時代』で調査したところ、全体の集計では18年に比べ、国立大が「志願者:前年並み、合格者1%減」で、倍率(志願者÷合格者。以下、特に注記のない場合は同じ)が18年・19年とも4.2倍だった。一方、公立大(別日程実施の2大学を除く)は、学部増設なども影響し「志願者3%増、合格者2%増」で、倍率は18年4.7倍→19年4.8倍(以下、年度を略)とややアップした。
 日程別にみると(グラフ2)、推薦・AO枠拡大に伴う募集人員減もあり、後期が国立・公立いずれも倍率アップしたのが注目される。また、公立化2年目の公立諏訪東京理科大、開設2年目の公立小松大などが新規参入した公立大中期(以下、中期)もやや倍率アップした。
 センター試験(以下、セ試)の英語リスニングと国語の易化による平均点アップ(グラフ1)が影響し、国公立大への出願を後押しした。私立大難関~準難関校の合格者絞り込みによる難化を警戒し、“超安全志向”が高まったこともあり、国公立大志望者が後期・中期まで粘る意識を強め、私立大志望者も受験機会を増やすため、中堅国公立大、特に少数科目で受けられる公立大も狙う戦略に転じたと見られる。
 各大学の倍率(全学の合計)の変動を見てみよう。難関校では、一橋大が4.4倍→4.1倍にダウンしたのをはじめ、東京大(3.2倍→3.1倍)、東北大(3.3倍→3.2倍)、京都大(3.0倍→2.9倍)、大阪大(2.5倍→2.4倍)、九州大(3.1倍→3.0倍)がやや倍率ダウンした。
 一方、難関校の中で後期の募集枠を最も多く残す北海道大(3.8倍→4.0倍)が倍率アップ。また、「類別募集→学院別募集」に移行し、学費値上げ(535,800円→635,400円)した東京工業大の倍率は、4.8倍と前年並みを保った。
 準難関校では、“公立大人気”に加え、前年の全学的な改組の認知度が高まった首都大学東京が5.2倍→5.6倍と倍率アップした。この他、筑波大(3.7倍→4.1倍)の倍率アップ、東京農工大(4.3倍→3.7倍)・金沢大(3.4倍→3.0倍)のダウンが目立った。
 各地区の中堅校では、倍率アップした大学が多く、しかも前年の極端な反動が見られた。倍率の変動が目立った主な大学は次の通り。


【倍率アップ】茨城大3.3倍→3.8倍、群馬大3.2倍→3.8倍、山梨大4.4倍→5.2倍、滋賀大5.1倍→6.9倍、山口大3.4倍→4.1倍、大分大3.4倍→4.6倍、宮崎大4.4倍→5.1倍、岩手県立大5.4倍→6.9倍、静岡県立大3.4倍→4.2倍、愛知県立大3.4倍→3.9倍
【倍率ダウン】秋田大5.8倍→5.0倍、島根大4.6倍→3.5倍、高崎経済大6.1倍→5.3倍


学部系統別(グラフ3)にみると、文系学部のように、募集人員減が倍率アップにつながったケースも見られたが、全体に倍率はほぼ前年並みか、わずかな変動で収まっている。その中で、薬(5.5倍→4.9倍)の大幅ダウンが目立つ。これは、山陽小野田市立山口東京理科大‐薬(8.6倍→5.1倍)の影響が大きい。

センター試験5教科6科目の総合平均点の推移

総合点の“合格者平均点”のクリアを最終目標にしよう

「倍率」とともに気になるのが、合格者の最低点や平均点といった「合格者データ」だろう。
 合格最低点は合否の分かれ目になる、いわゆる「ボーダーライン」。合格平均点は、総じて最低点より得点率(%)にして5~10p(ポイント)程度高い。合格最低点は「最低目標」として重要なデータなのだが、確実に合格を目指すには、「合格者平均点」のレベルまで学力アップしておくことが望まれる。
 19年入試の例として、金沢大の前期日程の合格者データを見てみよう(表1)。
 総合点を得点率(%)に換算し、各学類を分野別にまとめて平均すると、文系(人間社会学域)で「最低70%・平均73%」、理工系(理工学域)で「最低63%・平均68%」、医療系(医薬保健学域)で「最低67%・平均71%」となる。合格するには、文系・医療系で7割以上(医は8割以上)、理工系で6~7割程度の得点が必要なのだ。また、合格者平均点をセ試・2次(個別試験)ごとに平均すると「文系=セ試77%・2次66%、理工系=セ試74%・2次62%、医療系=セ試77%・2次66%」となる。マーク式のセ試に比べ、記述式の2次の方が得点しにくいことがわかる。
 このうち、配点がセ試重視の「地域創造学類」と2次重視の「物質化学類」を比較してみよう。
 地域創造学類の配点は「セ試950点、2次400点、総計1,350点」。合格者は、セ試では得点率73%~84%(平均77%)に分布し、最高・最低の差は11p。2次では得点率57~83%(平均65%)に分布し、最高・最低の差は26p。配点の少ない2次の方が最高・最低の差が大きく、セ試の得点である程度合否が決まったことがうかがえる。
 一方、物質化学類の配点は「セ試900点、2次1,200点、総計2,100点」。合格者は、セ試では得点率67%~82%(平均75%)に分布、最高・最低の差は15p。2次では得点率55~77%(平均63%)に分布し、最高・最低の差は22p。地域創造学類に比べ、セ試と2次で得点幅にあまり違いがなく、2次の得点力が合否に強く影響したことがうかがえる。

2019年入試/金沢大前期合格者の最低点・平均点


私立大:
志願者6%増、合格者3%増「安全校なき入試」に

私立大 志願者数TOP10 の入試結果 『螢雪時代』の私立大一般入試結果調査(549大学集計:志願者385.7万人)によると、18年に比べ「志願者6%増、合格者3%増」で、倍率は全体で18年4.1倍→19年4.2倍とややアップした。
 入試方式別では、各大学の独自入試は「志願者3%増、合格者2%増」で倍率は4.6倍→4.7倍にアップ。また、セ試利用入試(独自入試との併用を含む)も「志願者12%増、合格者6%増」で、倍率は3.4倍→3.6倍とアップした。セ試の国語・英語リスニングの易化も、事後出願(セ試本試験日の後まで出願可)の大学や方式への出願を後押ししたようだ。
 私立大一般入試の志願者は、昨年とほぼ同程度に増加した。昨年と異なるのは、合格者も増えたのと、難関~準難関校の志願者が減る一方、中堅上位~中堅校の志願者が増えたことだ。
 18年入試では、定員超過率の抑制のため、大都市圏の難関~準難関校が合格者絞り込みによって難化した。その再現を警戒し、中堅校への併願を増やしたり、志望変更したりする傾向が強まった。また、関西の中堅校を中心に、指定校推薦や公募推薦への出願が激増した。その結果、推薦合格者の増加が一般入試枠を圧迫し、合格者を減らす大学が続出した。
 一方、難関~準難関校は、敬遠されて志願者減。しかも、定員超過率の制限が固定されたため、合格者を減らさず、たとえ正規合格者は絞っても、追加合格や補欠合格を多めに出したこともあり、「志願者減・合格者増」で倍率ダウンする大学が続出、意外な穴場となったのだ。
 志願者数の上位10大学(表2)の入試結果を見ても、4大学が志願者減の一方で合格者を増やすなど、全体に昨年と違って合格者を絞り込まず、法政大・明治大・早稲田大・近畿大など10大学中8大学で実質倍率(受験者÷合格者。東洋大は志願者÷合格者)がダウンした。
 この他、主な大学のうち、実質倍率が比較的大きくアップ・ダウンした大学は次の通り(ただし、*=志願者÷合格者)。


【倍率ダウン】青山学院大7.9倍→6.8倍、学習院大5.6倍→4.9倍、立教大6.9倍→6.1倍*、京都産業大7.8倍→6.0倍
【倍率アップ】國學院大5.5倍→7.1倍、駒澤大5.1倍→6.7倍、成蹊大4.7倍→5.7倍、専修大5.2倍→6.4倍、東京理科大3.4倍→3.7倍、東京都市大3.6倍→4.8倍、甲南大4.3倍→5.2倍


地区別の集計をみると(グラフ4)、北海道・東北、北陸・東海、関西、九州がいずれも志願者8%増で、首都圏を擁する関東・甲信越の伸び率を上回る。国公立大志望者が地元の大学の併願も増やした模様だ。
 グラフ6で文理別・難易ランク別の志願者・合格者動向(5月25日現在:駿台予備学校の集計)を見てみよう。ここでいう難易ランク(第3回駿台・ベネッセマーク模試での合格可能性60%ラインによるグループ分け)は、同じ大学内でも学部によって異なるが、おおむね、Aランクは難関校や難関医科大、Bランクは準難関校、Cランクは中堅上位校、D~Eランクは中堅クラスを指す。
 文系はAランクが「志願者減・合格者増」、B~Eランクは志願者の増加率が合格者のそれを上回るが、特にD~Eランクの志願者の爆発的な増加ぶりと、合格者増との差が目につく。一方、理系はA~Bランクが「志願者減・合格者増」、Cランクも合格者増加率が上回り、やはりD~Eランクが志願者急増、合格者増加率をはるかに上回る。前述の通り、“超安全志向”からA~Bランクを敬遠し、Cランク以降の志望者が、合格確保校として次のランクの併願を増やしたり、志望校をランクダウンしたりした結果、文理ともランクが下がるほど倍率がアップした様子が見て取れる。なお、理系の方が上位ランクの志願者が減少しているのは、医・薬学部の人気低下が要因とみられる。
 また、全国の私立大を、大学単位の競争率(実質倍率)グループ別に分類すると(グラフ7)、1倍台の大学が減り、2倍台以上がいずれも増えている。低倍率校が急激に倍率アップし、その影響が玉突きで現れたことを示しており、グラフ6とあわせ、“超安全志向”が皮肉にも「安全校なき入試」につながったことがわかる。
 「秋の模試ではA判定だったのに、本番では不合格だった」…。昨年と同じ嘆きが、19年入試では、難関校よりも中堅上位~中堅校の受験者から聞かれたという。今年の私立大入試は、難関~準難関校の合格者絞り込みを警戒するあまり、“超安全志向”が裏目に出て、想定外の苦戦を強いられたといえる。
 学部系統別にみると(グラフ5)、文系学部は全面的に志願者増ながら、文以外は合格者増に転じ、倍率アップは小幅。理系では工・歯がやや難化した模様。一方、農・獣医畜産・水産、医、薬は「志願者減・合格者増」で、いずれも易化したとみられ、倍率面でも“文工高・医療低”というべき状態になった。

グラフ4 2015年度/国公立大一般入試 日程別/志願者・合格者動向、グラフ5 2015年度/私立大一般入試学部系統別/志願者・合格者動向

グラフ6


合格ライン周辺から私立大入試の実態を把握しよう

倍率に続き、私立大一般入試の「合格ライン」を見てみよう。国公立大と同様、合格への道標となる大切なデータだ。
 グラフ8に、龍谷大‐経営(A日程:文系型スタンダード方式)の19年入試で、合格ライン付近の人数分布を示した。同方式の科目・配点は「英語」「国語」「世界史、日本史、政治・経済、数学から1」の3科目で各100点、計300点。受験者数2,305人に対し合格者数295人で、実質倍率は7.8倍。合格最低点は226点(得点率75.3%)だった。その分布状況を見ると、

①合格最低点を含め、上10点幅のゾーンに144人と、全合格者の約49%が集中している。
②不合格者の最高点(225点)を含め、下10点幅のゾーンに173人もいる。
③合格最低点で合格したのは19人、1点差での不合格者も18 人いる。

 合格ライン付近では、総合的にほぼ同じ学力の受験生がひしめき合い、わずか1点差で合否が決まる。では、“1点差”を争う合格ラインを、どうやって突破するのか?
 グラフ8の右側に、合格最低点とその1点下の受験者から、特徴のある得点パターンをピックアップした。ここからわかるのは、「得意科目」の大切さと、「苦手科目」克服の必要性だ。
 3科目入試では、1科目で得点が伸びなくても、他の科目でカバーできることが多い。AさんやBさんのように絶対的な得意科目があれば、他にやや苦手な科目があっても心強い。ただし、CさんやDさんのように苦手科目の失点が大きすぎると、カバーしきれず、1点差に泣くことになる。
 得意科目の優位を生かすには、苦手科目を「やや苦手~普通」までにレベルアップし、6割以上の得点はほしい。私立大一般入試で、何とか合格ライン(7割台)をクリアするためには、得意科目(8割台)を持ち、残り2科目で7割台と6割台をキープしよう。

グラフ8 龍谷大-経営(A日程)スタンダード方式文系型 合格ライン付近の合否状況

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20年入試の変更点をチェック! 鹿児島大・県立広島大などで全学規模の学部改組を予定!


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ここからは、4・5月号に続き、6月下旬までに判明した、主な20年入試の変更点を紹介する。21年“入試改革”を直前に控えるため、例年より変動要因は少ない。国公立大では、教員養成系や理工系を中心に、改組や統合・縮小が目立つ。私立大では英語外部検定利用の拡大、セ試利用入試の多科目型導入などが注目される。


英語外部検定利用:
成蹊大・東京経済大などが一般入試で新規利用


 各大学の独自試験やセ試の英語の代わりに、英語4技能(読む、聞く、書く、話す)を測定できる「英語外部検定」を利用する方式の導入が進んでいる。一般入試での主な利用方法は、①出願資格、②得点換算、③加点、の3パターンに分かれる。以下、私立大一般入試で新規利用する事例の一部を示した。

*    *   *
成蹊大 経済(現代経済)・経営・法・文(英語英米文、国際文化)で、G方式(2教科型グローバル教育プログラム入試)を新規実施。試験日・試験問題はE方式と共通、英語外部検定利用と活動報告書提出が必須(各得点換算)。合格者はグローバル教育プログラム「EAGLE」に所属する。
東京経済大 一般前期で英語外部検定を新規利用(得点換算。例:英検2級=80点、準1級=満点と見なす)。
東京慈恵会医科大 医(医)で出願書類に英語外部検定結果を追加。ただし提出は任意。
日本女子大 文・家政・理で英語外部検定入試を新規実施(出願要件・加点)。
明治大 国際日本で英語外部検定入試を新規実施(出願要件・加点)。
追手門学院大 一般前・後期で英語外部検定利用が可能に(得点換算)。
関西大 法の学部個別日程で英語外部試験利用方式を新規実施(出願資格)。英語以外の2科目で判定する。


国公立大:
理・工で学科等の統合、教員養成系で定員減が目立つ


 以下の変更点のうち、AO・推薦と一般入試の変更については、原則として国公立大は4月号、私立大は5月号に掲載したものを除いた。

●国公立大の改組と新増設
 教員養成・理・工学系を中心に、学部内の複数の学科・課程を、1つ、もしくはより少数に統合・再編したり、入学後に専門分野を決める仕組みを導入したりするケースが目立つ。以下、国立・公立ごとに、主な学部改組や新増設の予定をまとめた(新設学部等の名称は仮称)。
【国立大】長崎大で「情報データ科学部」を、弘前大‐医で「心理支援科学科」を増設。また、宇都宮大‐教育、群馬大‐教育を改組し、両大学に「共同教育学部」を開設する。
 新潟大‐経済を「経済社会科学部」に改称、2→1学科に統合、定員増(305人→350人)の一方、夜間主コースを募集停止。同‐人文で「6→3プログラム」に統合し、定員減(225人→210人)。同‐教育で「3→1プログラム」に統合し、定員減(220人→180人)。同‐法で定員減(180人→170人)、法曹養成プログラムを増設する。
 九州大‐芸術工を5学科→1学科(5コース)に統合。長崎大‐教育の中学校教育コースで音楽・美術・技術・家庭の4専攻を募集停止する。 鹿児島大‐教育で定員減(215人→190人)、理を「4学科→1学科(5プログラム)」に統合、工で建築以外の6学科を「先進工学科」に統合・改組(6プログラムで構成)する。
【公立大】新潟県立大で「国際経済学部」を、福知山公立大で「情報学部」を新設予定。県立広島大では、人間文化・経営情報の2学部を「地域創生学部」に統合し、定員減(220人→200人)する他、生命環境で学部改組(「生物資源科学部」に改称し、165人→140人に定員減)、保健福祉で学科統合(5→1学科)を行う。

●インターネット出願
 19年入試では国公立大の約46%と、半数近くが「ネット出願」を実施するに至った。20年入試では、いよいよ過半数を超えそうだ。 国立大では岩手大・福島大・東京農工大・富山大・福井大・三重大・和歌山大などがネット出願を導入し、紙の願書・要項を廃止(以上、対象となる入試は各大学で異なる)。さらに、すでに推薦・AO等で実施している奈良女子大が、一般入試でもネット出願を導入する。

●推薦・AO入試
 奈良教育大‐教育でセ試免除推薦を廃止し、セ試課すAOを新規実施。岡山大‐医(医)の推薦で、出願資格に英語外部検定を追加(必須)。横浜市立大‐医(医)の推薦が県外高校からも出願が可能(従来は県内高校のみ対象)になり、「神奈川県指定診療科枠」も新設。長崎県立大‐経営でAO入試を新規実施する。

●一般入試
 金沢大‐医学類の前期で、2段階選抜の予告倍率を「募集人員の3.5倍→3倍」に引き締める/九州大‐医(医)の前期で、2段階選抜の予告倍率を「募集人員の約4倍→約2.5倍」に引き締める。また、芸術工の前期で、コース別募集と別に「学科一括入試」(大括り募集)を新規実施。入学後に複数分野を学び、コース選択する/長崎大‐教育の前期で中学校教育コースを「専攻別募集(10専攻)→系別募集(文系・理系・実技系)」に移行/鹿児島大‐理の後期で「大括り入試」を新規実施(2年次進級時に専攻するプログラムを決定。前期はプログラム別募集)。また、工(先進工)の前期で、プログラム別募集と別に「括り枠」を新設する(1年次後期に各プログラムに配属が決定)。

◆鹿児島大学の学部改組(予定)


私立大:
4大学で建築系学部を増設。セ試利用で多科目型が増加


●新増設・改組等
 20年度の私立大学の新設予定、および学部・学科等の増設予定が文部科学省から発表されている(大学は前年10月末認可申請。学部・学科等は3月末認可申請分。表3を参照)。大学の新設予定は3大学。また、14大学で学部・学科の増設を認可申請中だ。
 その他に設置届出として、①成蹊大‐経営、専修大‐国際コミュニケーション、神奈川大‐国際日本、武庫川女子大‐建築などの学部増設、②東京都市大(工・知識工→理工・建築都市デザイン・情報工)、広島国際大(医療福祉・心理・医療栄養・医療経営→健康科学)などの学部改組が予定されている。全体として、医療、国際、建築といった分野の増設予定が多い。
 さらに、専門職大学は、9専門職大学の設置認可が現在申請中だ(下のカコミを参照)。
 一方、神戸山手大・広島国際学院大・保健医療経営大の3大学が20年4月から募集停止する予定。このうち、神戸山手大は関西国際大に統合され、現代社会学部が移行する予定。


◆専門職大学‐学部の新設予定(以下、仮称)
静岡県立農林環境専門職大(公立)‐生産環境経営/東京国際工科専門職大‐工科学/東京保健医療専門職大‐リハビリテーション/i専門職大‐ICTイノベーション/開志専門職大‐事業創造・情報/びわこリハビリテーション専門職大‐リハビリテーション/和歌山リハビリテーション専門職大‐健康科学/岡山医療専門職大‐健康科学/国際貢献専門職大‐国際貢献
※専門職大学名は略称。


2020年度新設予定の大学・学部・学科

●インターネット出願
 北星学園大・北海学園大が一般入試・セ試利用入試・推薦入試でネット出願を導入。また、東北学院大が一般入試・セ試利用入試で、関西医科大が一般入試・セ試利用入試・推薦入試で、ネット出願に全面移行(紙の願書を廃止)する。

●推薦・AO入試
【AO入試】東京農業大で「キャリアデザインAO」「高校で学んだ実践スキルAO」「東京農大ファミリーA」「“私の夢”北海道AO」の4方式を新規実施/日本医科大‐医でAO入試を新規実施/新潟薬科大‐薬でセ試利用のAO入試を新規実施する。
【推薦入試】東京都市大で専門高校指定校推薦を新規実施/金沢工業大で公募推薦B(学校長推薦)を新規実施/常葉大‐外国語・経営・社会環境・保育・造形で自己推薦を廃止/追手門学院大の公募制推薦で、前期小論文型と後期2教科基礎力型を廃止する。

●独自入試(一般入試)
 青山学院大‐経営の個別学部日程でC方式を廃止/杏林大‐医で一般後期を廃止/玉川大では、給付型奨学金入試と国公立大学併願スカラシップ入試で、後期(3月実施)を新規実施/東京経済大の前期2教科型で英国型を廃止/東京薬科大‐生命科学のC方式からセ試の理科を除外(セ試併用→独自のみに)/愛知大‐法・経済・経営・文(心理)・地域政策(食農環境)の一般入試に数学重視型を追加/立命館大‐スポーツ健康科学・食マネジメントで理系型3教科入試を新規実施する一方、スポーツ健康科学で理科1科目入試を廃止/龍谷大‐農の一般A・B日程で農学型をスタンダード・高得点科目重視の2方式に分割、C日程に高得点科目重視方式を導入/神戸学院大の一般後期で調査書併用型を導入。

●セ試利用入試
 文中、「併用型」とは大学の独自入試とセ試利用入試の成績を組み合わせて合否判定する「独自・セ試併用型」を示す。
 獨協医科大‐医のセ試利用で、個別試験から小論文を除外/杏林大‐医・保健でセ試後期を新規実施/東邦大‐薬・健康科学でセ試併用型を導入する一方、薬でセ試後期を廃止/新潟薬科大‐薬でセ試C日程を新規実施/名城大‐都市情報・外国語・人間で、セ試C方式前期に5教科型を追加/同志社女子大‐薬・生活科学(食物栄養科学)でセ試併用方式を導入/立命館大‐グローバル教養で「セ試+面接」方式を廃止/龍谷大では、政策のセ試利用で「3科目一般入試併用型」と中期3科目型・後期3教科型(セ試のみで判定)を新規実施。農のセ試前期を4教科型→3科目型に軽減、セ試中期に「3科目一般入試併用型」を追加。また、先端理工のセ試利用でも「3教科一般入試併用型」を導入/関西大では、法でセ試前期に3科目型を追加し、セ試中期(併用型)でセ試を4(5)科目→2科目に軽減。社会安全のセ試後期を4(5)科目→2科目に軽減。システム理工のセ試前期を5→4科目に軽減し、セ試後期で英語外部試験利用方式と3科目型(数学科のみ)を導入。環境都市工のセ試前期を6→5科目に軽減し、セ試後期に4科目型を導入/関西医科大では、医でセ試後期を新規実施。また、看護のセ試利用で個別試験(小論文)を廃止/関西学院大‐理工で関学数学併用型(セ試2科目+数学)を新規実施し、セ試1月出願に5科目型(理科1科目選択)を追加する。

●募集単位の変更
 工学院大‐工の一般S・A日程、セ試前期で「学部総合」(入学時に学科を定めない募集単位)を廃止。また、同‐先進工の一般S・A・B日程、セ試前期でも「学部総合」を廃止し、「大学院接続型6年一貫コース」を設置する。

*     *     *

以上、詳細は国公立大の選抜要項、私立大の入試ガイドなどで必ず確認してほしい。


 「入試改革」を直前に控え、さらに“超安全志向”に!?

最後に、20年入試がどう動くのか予測してみよう。ポイントは3つある。

(1)19年以上の“超安全志向”になる!?
 20年入試を受ける今年の受験生は、次年度に21年「入試改革」を控える。セ試が廃止され、代わりに数学・国語の記述式問題、英語外部検定の併用などを盛り込んだ「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」が導入される。現行の入試と比べ、教科書自体は変わらず、「共通テスト」の出題教科・科目や出題範囲などもセ試とほぼ変わらないが、出題レベルはセ試より上がる(平均点5割が目標。セ試は6割)。また、英語外部検定利用や調査書等の扱いに関する迷走ぶり、「共通テスト」の試行テストにおける記述式問題の解答率や正答率の低さなど、報道等で不安感を抱き、浪人を回避するため、現行入試での確実な合格を目指し、19年入試以上の“超安全志向”となりそうだ。

(2)私立大は「安全校なき入試」の再現!?
 一方、19年入試結果からもわかる通り、大都市圏の大規模私立大に対する入学定員超過率の制限は固定されたので、合格者の厳しい絞り込みは考えにくい。とはいえ、“超安全志向”から、19年入試の再現さながら、「早めで確実な合格」を目指して推薦・AO入試に殺到し激戦化、一般入試では志望校のランクダウンや併願増、前年の入試結果を過度に意識した出願が予想される。この場合、思わぬ競争激化で「安全校なき入試」になる可能性がある。一方、19年に敬遠された難関~準難関私立大の中には、ゆれ戻しで狙われるケースもありそうだ。

(3)駆け込み“中堅国公立大狙い”!?
 20年セ試では、前年の反動から、国語、英語リスニングが平均点ダウン(難化)、逆に「倫理、政治・経済」、地理B、物理、化学などがアップ(易化)する可能性がある。ただし、「最後のセンター試験」となるため、出題レベルの大きな変更はなさそうだ。
 そのため、私立中堅校の難化を警戒し、なおかつ「共通テスト導入の前に」との“駆け込み”意識から、セ試の持ち点を活かす戦略から、中堅国公立大が第1志望としても併願先としても人気を集めそうだ。

(文責/小林)
この記事は「螢雪時代(2019年8月号)」より転載いたしました。

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